Democracy Now
August 15, 2025

John Mearsheimer vs. Matt Duss:
A Debate on Trump-Putin Summit, Ukraine, Russia & Paths to Peace

AALAニュース編集部より: たいへん興味深い記事だ。半年前、ヘグセス国防長官がNATO 総会で、「ウクライナ戦争はヨーロッパの戦争だ。アメリカはウクライナから手を引く。ヨーロッパとウクライナは停戦すべきだ」という爆弾発言をした。それはたんなるトランプ流の爆弾発言ではなく、大変筋の通ったものだった。
従来の「平和」派は、この発言に興味を示し、共感さえ示した。一方、「正義」派は激昂して、戦争継続とウクライナ支援を叫んだ。
当時「平和」派に傾いていたDemocracy Nowは、Nationの編集長とJD.サックスを相次いで招き、トランプ政権が極右であるにも関わらずウクライナ停戦の展望を示したことで、積極的な受け止めをもとめた。
事件は突如起きた。JDサックスのインタビュー中に「正義」派のオブザーバーが刺さりこみ、「トランプは極右の親ロであり、和平提案は毒饅頭だ」「ウクライナ和平を唱えた連中は親ロであるだけでなく、親極右であることが明らかになった」と、ちゃぶ台返しを行った。
「誰が?なぜ?」という疑問を抱くまもなく、インタビューはめちゃめちゃになり、やがて記事そのものがDemocracy Now のサイトから撤去された。間違いなくそれは陰謀(騙し討ち)だった。
その次にこのマット・ダスという人物が、サンダースの元側近という触れ込みで登場し、堂々たる「正義」派の論陣を張った。JDサックスもミアシャイバーも影を消した。それ以来、Democracy Now にとってウクライナはタブーとなった。
それが、今度は Mearsheimer を呼んで、しかもマット・ダスとの論争を企画したのだから、何が起こったのか、さっぱりわからない。
まぁとにかく読んでみよう。
………………………………………………………………………………………………………………

イントロ
トランプ米大統領とプーチン露大統領がアラスカで、ウクライナ停戦の可能性を話し合う重要な首脳会談に臨む。これを機にこの戦争とその原因、そしてどうすれば終結に持ち込めるかについて、2人の外交専門家による討論会を開催する。

miashaima-

ジョン・ミアシャイマーはシカゴ大学の国際関係論者で、リアリズムの観点から知られる。彼は以前から、欧米の政策がウクライナ危機の主な原因だと主張してきた。「この列車を走らせたのは、NATOのウクライナへの進出だという圧倒的な証拠がある」とミアシャイマーは言う。

マット・ダスは国際政策センターのエグゼクティブ・バイス・プレジデントで、バーニー・サンダース上院議員の元外交政策アドバイザーである。彼は、西側の不手際にもかかわらず、現在の戦争の主因は結局ロシアであり、プーチンは2022年にウクライナへの全面侵攻を開始した、と言う。「プーチンは、ロシア帝国の再興という、かなり壮大な歴史的構想を持っていることを明らかにしている」と彼は言う。
マット・ダス

ミアシャイマーもダスも、ウクライナの戦力は低下しており、ロシアに領土を譲ることになったとしても、「できる限りの和平を結ぶ」ことが最善の道だと言う。


グッドマン:

デモクラシー・ナウ!です。フアン・ゴンサレスはシカゴにいます。

トランプ大統領とロシアのプーチン大統領は本日、ウクライナでの停戦の可能性について協議するため、アラスカで重要な首脳会談を行う。
トランプ大統領は、この首脳会談は、ウクライナのゼレンスキー大統領を含む後続の会談につながる可能性があると予測した。

トランプ大統領: 良い会談になるだろうが、より重要なのは2回目の会談だ。それはこの会談に引き続いて行われるだろう。プーチン大統領、ゼレンスキー大統領、私、そしてもしかしたらヨーロッパの首脳たちもくるかもしれないし、そうでないかもしれない。それは......私にはわからない。
非常に重要なものになるだろう。何が起こるか見守りたい。プーチン大統領は和平を結ぶと思う。ゼレンスキー大統領も和平を結ぶと思う。彼らがうまくやっていけるかどうか。そうなれば素晴らしいことだ。


AMY GOODMAN:

13日、トランプはプーチンが停戦協定に同意しなければ、ロシアは非常に厳しい結果に直面すると警告した。ゼレンスキーはウクライナが停戦の一環としてドンバス地方の領土を放棄する提案を拒否した。

今日の首脳会談はアラスカで行われている。アメリカが1867年に平和的にロシアから購入した土地だ。

プーチンの訪米は、国連総会中にオバマ大統領と会談した2015年以来となる。トランプとプーチンが最後に会談したのは、2019年に日本で開催されたG20だった。

今日の首脳会談は、「ウクライナの占領地域から子供たちを不法に移送した」という戦争犯罪の容疑で、プーチンの逮捕を求める国際刑事裁判所からの未解決の令状があるにもかかわらず行われている。 ロシアもアメリカもICCを設立したローマ規程の締約国ではない。

ロシア軍がウクライナ東部のドンバス地方でさらに2つの入植地(settlement)を占領したと主張する一方で、ウクライナは最近ロシア軍が前線を突破した場所に近い町から家族の強制避難を命じた。

ウクライナ戦争、米ロ関係などについて、2人のゲストをお迎えしてお話を伺います。

ワシントンD.C.からは、国際政策センターのエグゼクティブ・バイス・プレジデントで、バーニー・サンダース上院議員の元外交政策アドバイザー、マット・ダス。

ジョン・ミアシャイマーはマサチューセッツ州ケンブリッジから。ミアシャイマーはシカゴ大学の政治学教授で、最近の著書に『How States Think: The Rationality of Foreign Policy』があります。2014年には『フォーリン・アフェアーズ』に「ウクライナ危機は西側のせいだ」という論文を寄稿し、広く読まれている。

さて、ミアシャイマー教授、まずはあなたから。アラスカで現在起きていること、トランプ大統領とプーチン、ゼレンスキーとの関係、そして今何が必要なのか、あなたの見解を聞かせてください。

JOHN MEARSHEIMER:

 [聞き取れず]トランプは非常に和平合意を望んでいる。彼はウクライナ戦争を終結させたいと思っている。 しかし、彼がそれを実現できていないのは事実であり、今日プーチンとアラスカで会談しても、その目的を達成するためには何の役にも立たないだろう。

エイミー(グッドマン)さんもお分かりと思うが、ここでの主な問題は、ロシアが妥協せず、トランプが受け入れられず、ウクライナ人も受け入れず、ヨーロッパ人も受け入れない一連の要求を持っているということだ。それは3つに分けられる。

3つの要求とは、ロシアがウクライナの4つの州とクリミアを併合したことを西側諸国とウクライナが認めることです。これが第一だ。
2つ目は、ロシアがウクライナを中立国にするよう要求していることだ。これは基本的にNATOに加盟できないことを意味し、西側諸国、特にアメリカからの安全保障を得られないことを意味する。
 そして3つ目の要求は、ウクライナがロシアに対して重要な攻撃能力を持たないところまで武装解除することだ。

これらの要求は、ロシアから見れば変更不可能なものだが、明らかにウクライナ人にとっては受け入れがたいものであり、欧州にとっても受け入れがたいものである。

だから、今日は多くの問題について多くの話し合いが行われるだろうが、合意に向けた進展があるとは考えにくい。

JUAN GONZÁLEZ: 

ミアシャイマー教授、今回の首脳会談がトランプとプーチンの間で行われました。その事実だけでも、この戦争は実質的に、最初からアメリカとロシアの代理戦争だったという見方を強めるものではないのですか?

JOHN MEARSHEIMER: 

明らかに代理戦争であり、米国とロシアがほぼ戦争状態にあることに疑問の余地はない。従って、プーチンとトランプが腰を落ち着けて話し合い、取引の大まかなパラメーターを取り決めようとするのは理にかなっている。

しかし問題なのは、このゲームには他に2人のプレーヤーがいて、その2人とはウクライナとヨーロッパだ。つまり、プーチンとトランプがある種の協定を結ぶことができたとしても、協定のパラメーターを示すことができたとしても、その協定をウクライナとヨーロッパに提案しなければならないという状況なのだ。

もしトランプがロシアを受け入れるために必要な譲歩をしたとしても、問題はウクライナやヨーロッパ、そして実のところアメリカの国家安全保障体制の大部分が、プーチンの取り決めを受け入れるはずがないということだ。だから最終的には戦場で決着がつくことになるのだ。

JUAN GONZÁLEZ:

マット・デュスさんにお話を伺いたいと思います。アラスカでのサミットについて、またそこから何が生まれると予想しますか?

マット・デュス:
ええ、ありがとうございます。つまり、このサミットで何が出てくるかという点で、私はミアシャイマー教授に異論はありません。このサミットに向けた準備はあまり進んでいないように思えます。

教授が言ったように、プーチンの目標はあまり変わっていないようだ。彼は「ウクライナを事実上自分の影響下に置き、ロシアの支配圏の一部にしたい」と考えている。それはウクライナ人が同意するものではない。

ロシアがウクライナの一部を支配し続けるという解決策も考えられると思う。ウクライナ人自身が、本当に戦争が終わるのであれば、そのような解決策を取るという証拠もあると思います。それがここでの重要な問題だと思います。

一時的ではなく、長期的に戦争を終結させる合意ができるのか、と言われると、少なくとも今はその可能性は非常に低いと思う。とはいえ、米ロが腰を落ち着けたという事実だけで、私たちがまだ考えてもいないような別のチャンスが生まれる可能性があることは確かだ。

AMY GOODMAN

お二人に質問したい。なぜこのようなことになったのでしょうか? まずはマットさんから。

マット・ダス

 ウラジーミル・プーチンがウクライナに侵攻し、ウクライナを占領しようと決めたからです。もちろん、そこにはもっと長い歴史がある。

ミアシャイマー教授は、NATOの成長とロシアがそれを脅威として見ていることについて多くのことを語っている。それが事実であるという証拠はあると思います。他に多くの人たちもそう主張している。

ビル・ペリー元国防長官やビル・バーンズ元CIA長官など、1990年代を通してアメリカのトップ高官たちは、「これはプーチンだけでなくロシアにとってもリアルな問題だ」と述べてきた。

しかし、それだけでは問題のすべてを説明することはできない。NATOだけがこの戦争の原因ではないのです。

プーチン自身は、特に2021年6月の演説で、ウクライナがその一部となるようなロシアの帝国を復活させるという、より壮大なビジョンを明らかにしている。ところが、その構想はウクライナ自身の主権や独立、そしていかなる法律や規範に基づく国際問題への一般的なアプローチとも一致しない。ですから、NATOの成長は、やはりロシアの大きな不満の一部だと思います。

AMY GOODMAN:

ミアシャイマー教授、いかがですか?

JOHN MEARSHEIMER: 

エイミー、戦争の原因について私が説明する前に、「戦争の原因」そのものについてどう考えるかが、この戦争を議論するうえでは決定的に重要だということを理解してほしい。

一般論ではなく、「紛争を実際に解決する見通し」との関連で「戦争の原因」を突き詰めておく必要がある。それについてどう考えるかが、解決の方向性に大きな影響を及ぼす。そのことを理解することが非常に重要だと思う。

さて、マットの主張は基本的にこうだ。「戦争の原因はいろいろあるが、主要な原因はプーチンに壮大な野望があったからだ」
そしてその論拠を持ち出している。そしてこういう結論を導き出している。「彼はソビエト連邦を復活させ、大ロシアを作りたかったのだ」

私はそうは思わない。そのような主張を裏付ける証拠はほとんどない。

多くの証拠を吟味してみれば、この列車を動かしたのはNATOのウクライナへの進出であったことは極めて明白である。「大ロシア復活説」に比べれば、むしろ圧倒的な証拠があると思う。

プーチンは、2008年4月にNATOが初めてウクライナをNATOの一部にすると発表したとき、こう明言していた。
「ウクライナをNATOの一部とすることは、ロシアにとって存立の危機であり、絶対に許されない」

すなわちロシアの戦争の根本となる動機は、「存立の危機」に対する恐怖なのだ。そして2022年2月24日の侵攻は、その恐怖が大きな原動力となった。

つまり、プーチンはNATOの拡大と、ウクライナのNATO加盟を存亡の危機と見ているのだ。だからプーチンは妥協しようとしないのだ。

多くの人は、トランプ大統領がアラスカでできることは、領土の交換や停戦などの取り決めを行うことで、ロシアはこのような融和を行うだろうと考えている。

 そんなことはない。ロシア側は最初から自分たちの要求を示している。彼らはまったく揺らいでいない。彼らが揺るがない理由は、ウクライナのNATO加盟を自らの存亡の危機と見なしているからだ。

一方、我々西側諸国はそうは考えていない。我々は、つまりトランプも、「プーチンは攻撃的で、望みをすべてかなえてはくれなかった。しかし、プーチンとの取引は最後にはうまくいくだろう」と考えている。

それは現実世界の正確な描写ではないと思う。繰り返しになるが、停戦の中核となる原則は「ロシアの存立の保証」ということだ。

「ウクライナは中立国でなければならない。NATOにウクライナは入れない。ウクライナに対する西側の安全保障もない」

しかし、我々はそれを拒否し、ウクライナ人もそれを拒否している。だから我々は今日、袋小路に陥っているのだ。

JUAN GONZÁLEZ: 

デュスさん、2013年と2014年の『デモクラシー・ナウ!』では、ロシアの専門家であるスティーブン・コーエンに何度も登場してもらいましたが、彼は本質的にミアシャイマーさんと同じことを言っていました。

実際、彼はこう言っていました。
「打倒されたヤヌコビッチ大統領は2014年のマイダン反乱において、ウクライナの中立性を維持したかった」

そのとき、「ウクライナは中立であってはならず、ロシアに対抗しなければならない」と主張したのはNATOでした。

それについてどうお考えですか?

また、もしメキシコが中国やロシアと安全保障協定を結び、それらの国の軍隊を自国に駐留させたり、それらの国のミサイルをメキシコに配備したりした場合、アメリカは黙って見過ごすと思いますか?

MATT DUSS: 

はいお答えします。みな良い質問です。それではまず、ミアシャイマー教授が言ったことに何点か答えたい。

私の言いたいのは、教授は「プーチンがウクライナを征服し、新たな類のロシアの支配権(a new kind of imperium)を樹立しようとしたという証拠はない」と主張しますが、それは不可解です。

プーチンは明確にそう言っている。私は皆さんに2021年6月の演説(詳細不明)を見てほしい。

彼はまた、2022年2月、ウクライナ政府を倒し、彼の…そう、「ロシアに友好的な政府」を樹立するための行動の一環として、キエフ郊外に軍隊を侵入させた。しかしそれは失敗した。ロシア軍はキャンプをするためにキエフに侵攻したのではない。

そして、その計画は失敗した。これはプーチンの野望が教授の主張よりもはるかに大きなものであったことの明らかな証拠だと思う。

さて、マイダンとヤヌコビッチについてだが、私はマイダンをNATOのせいだとは思わない。

明らかに、私が言ったように、ロシアとプーチンはNATOの成長を脅威として見ている。私たちはそれを真剣に受け止めるべきだと思う。それは議論すべきことだ。

 私はまた、各国がNATOに吸収されるわけではないことにも留意を促したい。ヨーロッパの国々はNATOへの加盟を求めている。これは押し付けられるものではない。彼らはNATOへの加盟を自国の安全保障の一部と考えている。

繰り返しになるが、ロシアがこれを挑発的なものと見ていることを軽視しているわけではない。私たちはそれを真剣に受け止める必要があると思う。しかし、マイダン革命はNATOのためではなかった。マイダン革命は、ウクライナの人々がロシアとの関係を緊密にするのではなく、ヨーロッパとの関係を緊密にすることを求めたものだ。

そのことに注目することが重要だと思います。これはNATOによって引き起こされたものではない。これはウクライナの人々によって引き起こされたものだ。NATOに執着し続けることは、ウクライナ人自身の主体性を否定することになる。そして、私たちはそれをこの会話の中心に据える必要があると思います。

さて、メキシコについての質問ですが、メキシコがロシアや中国、その他の大国と安全保障協定を結ぶとしたら、おそらくアメリカはそれについて何か言うでしょう。
それは外交的に解決すべきことだと思います。だからといって、それに対して米国がメキシコの一部を侵略し、占領することを正当化することにはならないと私は考えている。


AMY GOODMAN:

ウクライナ人は何を望んでいるのか、それを忘れてはなりません。まずゼレンスキー・ウクライナ大統領が、ドイツのメルツ首相とのベルリンでの共同ブリーフィングで記者団に語った言葉を紹介したい。


PRESIDENT  ZELENSKY:  3者間の話し合いの形式を準備しなければならない。第一に停戦が必要だ。本当に信頼できる安全保障がなければならない。
ところで今日、トランプ大統領は三者協議を支持し、アメリカも参加する用意があると語った。また、合意された原則の中で、ロシアはウクライナの「欧州やNATOに対する見解」(Ukraine’s European and NATO prospects)に対して拒否権を持つことはできない。
そして和平交渉は、ロシアに対する適切な圧力と組み合わされるべきである。ロシアがアラスカでの会談で、停戦に応じない場合は、制裁措置がとられ、強化されなければならない。


AMY GOODMAN: 

ギャラップ社の世論調査があったことを指摘しよう。戦争が始まって3年以上が経過し、勝利まで戦い続けることへのウクライナ人の支持は最低を更新した。

ギャラップ社が7月上旬に実施したウクライナに関する最新の世論調査では、69%ができるだけ早く交渉によって戦争を終結させることに賛成していた。これに対し、勝利まで戦い続けることを支持しているのはわずか24%だった。

2022年に話を戻そう。ウクライナでは4分の3、73%が勝利まで戦い続けることを支持している。まずミアシャイマー教授から、そしてマット・デュスさんの反応を伺いましょう。

JOHN MEARSHEIMER: 

ウクライナの政治家たちの戦争への熱意が薄れているのは当然だろう。彼らは膨大な犠牲者を出している。戦場ではロシアが勝利を収めており、ウクライナが状況を打開できるようにも、西側諸国がウクライナの状況を打開する手助けができるようにも見えない。

そのため、ウクライナの社会では明らかに、戦争への支持が失われつつある。

問題は、エリートレベルでは、誰もロシアと取引しようという証拠がないということだ。繰り返すが、ロシアはいまとても厳しい駆け引きをしている。彼らは本当に厳しい交渉をしている。どんなウクライナの指導者でも、ロシアがテーブルに載せている柔軟性のない条件を受け入れるのは非常に難しいだろう。

今、ウクライナのエリートたちが望んでいるのは、アメリカやヨーロッパを引きずり込んで、将来にわたってウクライナに意味のある安全保障を与えることだ。そして、西側諸国がウクライナを支援し続け、将来のある時点でロシアが弱体化し、ウクライナが西側諸国の支援を得て、現在失っている領土をロシアから取り戻すことだ。

それが彼らの大きな希望なのだ。だから、エリートたちはそこで頑張ろうとしている。これがゼレンスキーのコメントに反映されている。

しかし、エイミー、あなたは自問自答しなければならない。ウクライナは戦場で負け続け、国内の支持は離れていく。ある時点でウクライナはがらがらと崩壊するだろう。過去の歴史的な証拠から考えても、その可能性が高い。

AMY GOODMAN:

Matt Duss, do you agree?

MATT DUSS: 

かなりのところまで同感です。たしかに、ウクライナ政府には、教授が今言ったような人物像に当てはまる人たちがいる。ただし、ウクライナのエリートをそこまで責めてはいません。

ここで重要なのは、あなたが指摘したように、ウクライナ人の間でこの戦争を終わらせたいという支持が高まっているということだ。もしこれで戦争に終止符を打つことができるのであれば…。

ゼレンスキー大統領のコメントについては、誰も驚く必要はないと思います。ウクライナの大統領が自分から先立って領土を譲歩するとは誰も思わないでしょう。

本当に戦争を終結させるような申し出や合意があれば、ウクライナ政府はおそらく諸方面に圧力をかけて同意させることができると思う。

ウクライナ政府にとって、降伏を受け入れるのは非常に厳しい決断であるが、ウクライナ国内には停戦への強い希望があることを理解している。なぜなら国民は、自国のかなりの部分がロシアの支配下にあることを知っているからだ。

しかし、ここで重要な疑問がある。プーチンは「最終目標」を変えたのか? プーチンが本当に戦争を終わらせるような合意を結ぶ気があるのか。

そして、その証拠はない。それがここでの重要な問題なのだ。

JUAN GONZÁLEZ: 

ところで、ミアシャイマー教授にお聞きしたいのですが、私には驚くべき事実がいくつかあります。

1990年代初頭にソ連が崩壊し、ウクライナが独立したとき、ウクライナの人口は5200万人でした。ロシアとの戦争が始まる頃には、人口はすでに4000万人にまで減っていた。そして現在、国外への移住や難民の流出、高い死亡率と低い出生率が続いていることを考慮すると、現在のウクライナの人口は約2800万人しかいないと推定されている。

これは国としては驚くべき人口減少である。ウクライナはソビエト連邦崩壊以来、本質的に崩壊し続ける国なのだろうか?

JOHN MEARSHEIMER: 

さて、この件に関して2点申し上げたい。まず、この言葉はウクライナの状況を説明するのに使われることがある、

つまり、ウクライナは 人口学的に見て「デス・スパイラル 」に陥っているということだ。

この言葉について考えてみてほしい。ウクライナは人口減少のスパイラルに陥っている。この戦争がもたらしたのは、膨大な数のウクライナ人の死である。さらに、膨大な数のウクライナ人が国外に流出し、その多くが戻ってくることはないだろう。つまり、これは人口統計学的に見ても大災厄なのだ。

AMY GOODMAN: 
教授、あと30秒しかありません。

JOHN MEARSHEIMER: 

2つ目のポイントは、このまま行けば… すみません。ウクライナもまた、機能不全のランプ国家として命を終えるだろう。

rump state: 脱退、併合、占領、脱植民地化、あるいはクーデターないし革命などによって残骸化したした国家の事を指す。

AMY GOODMAN:
What do you think, in 15 seconds — how do you think this should end?

JOHN MEARSHEIMER:
私は、ウクライナ人が譲歩し、戦争を終わらせるために全力を尽くすべきだと思う。戦い続けても、より良い取引は得られない。

AMY GOODMAN:
And, Matt Duss, 10 seconds.

Democracy Now
August 15, 2025

John Mearsheimer vs. Matt Duss:
A Debate on Trump-Putin Summit, Ukraine, Russia & Paths to Peace

AALAニュース編集部より: たいへん興味深い記事だ。半年前、ヘグセス国防長官がNATO 総会で、「ウクライナ戦争はヨーロッパの戦争だ。ヨーロッパとウクライナは停戦すべきだ。アメリカはウクライナから手を引く。ヨーロッパとウクライナは停戦すべきだ」という爆弾発言をした。それはたんなるトランプ流の爆弾発言ではなく、大変筋の通ったものだった。
従来の「平和」派は、この発言に興味を示し、共感さえ示した。一方、「正義」派は激昂して、戦争継続とウクライナ支援を叫んだ。
当時「平和」派に傾いていたDemocracy Nowは、Nationの編集長とJD.サックスを相次いで招き、トランプ政権が極右であるにも関わらずウクライナ停戦の展望を示したことで、積極的な受け止めをもとめた。
事件は突如起きた。JDサックスのインタビュー中に「正義」派のオブザーバーが刺さりこみ、「トランプは極右の親ロであり、和平提案は毒饅頭だ」「ウクライナ和平を唱えた連中は親ロであるだけでなく、親極右であることが明らかになった」と、ちゃぶ台返しを行った。
インタビューはめちゃめちゃになり、やがて記事そのものがDemocracy Now のサイトから撤去された。
その次にこのマット・ダスという人物が、サンダースの元側近という触れ込みで登場し、堂々たる「正義」派の論陣を張った。JDサックスもミアシャイバーも影を消した。それ以来、Democracy Now にとってウクライナはタブーとなった。
それが、今度は Mearsheimer を呼んで、しかもマット・ダスとの論争を企画したのだから、何が起こったのか、さっぱりわからない。
まぁとにかく読んでみよう。
………………………………………………………………………………………………………………

イントロ
トランプ米大統領とプーチン露大統領がアラスカで、ウクライナ停戦の可能性を話し合う重要な首脳会談に臨む。これを機にこの戦争とその原因、そしてどうすれば終結に持ち込めるかについて、2人の外交専門家による討論会を開催する。

ジョン・ミアシャイマーはシカゴ大学の国際関係論者で、リアリズムの観点から知られる。彼は以前から、欧米の政策がウクライナ危機の主な原因だと主張してきた。「この列車を走らせたのは、NATOのウクライナへの進出だという圧倒的な証拠がある」とミアシャイマーは言う。

マット・ダスは国際政策センターのエグゼクティブ・バイス・プレジデントで、バーニー・サンダース上院議員の元外交政策アドバイザーである。彼は、西側の不手際にもかかわらず、現在の戦争の主因は結局ロシアであり、プーチンは2022年にウクライナへの全面侵攻を開始した、と言う。「プーチンは、ロシア帝国の再興という、かなり壮大な歴史的構想を持っていることを明らかにしている」と彼は言う。

ミアシャイマーもダスも、ウクライナの戦力は低下しており、ロシアに領土を譲ることになったとしても、「できる限りの和平を結ぶ」ことが最善の道だと言う。


グッドマン:

デモクラシー・ナウ!です。フアン・ゴンサレスはシカゴにいます。

トランプ大統領とロシアのプーチン大統領は本日、ウクライナでの停戦の可能性について協議するため、アラスカで重要な首脳会談を行う。
トランプ大統領は、この首脳会談は、ウクライナのゼレンスキー大統領を含む後続の会談につながる可能性があると予測した。
トランプ大統領:良い会談になるだろうが、より重要なのは2回目の会談だ。それはこの会談に引き続いて行われるだろう。プーチン大統領、ゼレンスキー大統領、私、そしてもしかしたらヨーロッパの首脳たちもくるかもしれないし、そうでないかもしれない。それは......私にはわからない。

非常に重要なものになるだろう。何が起こるか見守りたい。プーチン大統領は和平を結ぶと思う。ゼレンスキー大統領も和平を結ぶと思う。彼らがうまくやっていけるかどうか。そうなれば素晴らしいことだ。



AMY GOODMAN:

水曜日、トランプはプーチンが停戦協定に同意しなければ、ロシアは非常に厳しい結果に直面すると警告した。ゼレンスキーはウクライナが停戦の一環としてドンバス地方の領土を放棄する提案を拒否した。

今日の首脳会談は、アメリカが1867年にロシアから購入したアラスカで行われている。

プーチンの訪米は、国連総会中にオバマ大統領と会談した2015年以来となる。トランプとプーチンが最後に会談したのは、2019年に日本で開催されたG20だった。

今日の首脳会談は、「ウクライナの占領地域から子供たちを不法に移送した」という戦争犯罪の容疑で、プーチンの逮捕を求める国際刑事裁判所からの未解決の令状があるにもかかわらず行われている。 ロシアもアメリカもICCを設立したローマ規程の締約国ではない。

ロシア軍がウクライナ東部のドンバス地方でさらに2つの入植地(settlement)を占領したと主張する一方で、ウクライナは最近ロシア軍が前線を突破した場所に近い町から家族の強制避難を命じた。

ウクライナ戦争、米ロ関係などについて、2人のゲストをお迎えしてお話を伺います。

ワシントンD.C.からは、国際政策センターのエグゼクティブ・バイス・プレジデントで、バーニー・サンダース上院議員の元外交政策アドバイザー、マット・ダス。

ジョン・ミアシャイマーはマサチューセッツ州ケンブリッジから。ミアシャイマーはシカゴ大学の政治学教授で、最近の著書に『How States Think: The Rationality of Foreign Policy』があります。2014年には『フォーリン・アフェアーズ』に「ウクライナ危機は西側のせいだ」という論文を寄稿し、広く読まれている。

さて、ミアシャイマー教授、まずはあなたから。アラスカで現在起きていること、トランプ大統領とプーチン、ゼレンスキーとの関係、そして今何が必要なのか、あなたの見解を聞かせてください。

JOHN MEARSHEIMER:

 [聞き取れず]トランプは非常に和平合意を望んでいる。彼はウクライナ戦争を終結させたいと思っている。 しかし、彼がそれを実現できていないのは事実であり、今日プーチンとアラスカで会談しても、その目的を達成するためには何の役にも立たないだろう。

エイミー(グッドマン)、ここでの主な問題は、ロシアが妥協せず、トランプが受け入れられず、ウクライナ人も受け入れず、ヨーロッパ人も受け入れない一連の要求を持っているということだ。それは3つに分けられる。

3つの要求とは、ロシアがウクライナの4つの州とクリミアを併合したことを西側諸国とウクライナが認めることです。これが第一だ。
2つ目は、ロシアがウクライナを中立国にするよう要求していることだ。これは基本的にNATOに加盟できないことを意味し、西側諸国、特にアメリカからの安全保障を得られないことを意味する。
 そして3つ目の要求は、ウクライナがロシアに対して重要な攻撃能力を持たないところまで武装解除することだ。

これらの要求は、ロシアから見れば変更不可能なものだが、明らかにウクライナ人にとっては受け入れがたいものであり、欧州にとっても受け入れがたいものである。

だから、今日は多くの問題について多くの話し合いが行われるだろうが、合意に向けた進展があるとは考えにくい。

JUAN GONZÁLEZ: 

ミアシャイマー教授、今回の首脳会談がトランプとプーチンの間で行われました。その事実だけでも、この戦争は実質的に、最初からアメリカとロシアの代理戦争だったという見方を強めるものではないのですか?

JOHN MEARSHEIMER: 

明らかに代理戦争であり、米国とロシアがほぼ戦争状態にあることに疑問の余地はない。従って、プーチンとトランプが腰を落ち着けて話し合い、取引の大まかなパラメーターを取り決めようとするのは理にかなっている。

しかし問題なのは、このゲームには他に2人のプレーヤーがいて、その2人とはウクライナとヨーロッパだ。つまり、プーチンとトランプがある種の協定を結ぶことができたとしても、協定のパラメーターを示すことができたとしても、その協定をウクライナとヨーロッパに提案しなければならないという状況なのだ。

もしトランプがロシアを受け入れるために必要な譲歩をしたとしても、問題はウクライナやヨーロッパ、そして実のところアメリカの国家安全保障体制の大部分が、プーチンの取り決めを受け入れるはずがないということだ。だから最終的には戦場で決着がつくことになるのだ。

JUAN GONZÁLEZ:

マット・ダスさんにお話を伺いたいと思います。アラスカでのサミットについて、またそこから何が生まれると予想しますか?

マット・デュス:ええ、ありがとうございます。つまり、このサミットで何が出てくるかという点で、私はミアシャイマー教授に異論はありません。このサミットに向けた準備はあまり進んでいないように思えます。

教授が言ったように、プーチンの目標はあまり変わっていないようだ。彼は「ウクライナを事実上自分の影響下に置き、ロシアの支配圏の一部にしたい」と考えている。それはウクライナ人が同意するものではない。

ロシアがウクライナの一部を支配し続けるという解決策も考えられると思う。ウクライナ人自身が、本当に戦争が終わるのであれば、そのような解決策を取るという証拠もあると思います。それがここでの重要な問題だと思います。

一時的ではなく、長期的に戦争を終結させる合意ができるのか、と言われると、少なくとも今はその可能性は非常に低いと思う。とはいえ、米ロが腰を落ち着けたという事実だけで、私たちがまだ考えてもいないような別のチャンスが生まれる可能性があることは確かだ。

AMY GOODMAN:お二人に質問したい。なぜこのようなことになったのでしょうか? まずはマットさんから。

マット・ダス

 ウラジーミル・プーチンがウクライナに侵攻し、ウクライナを占領しようと決めたからです。もちろん、そこにはもっと長い歴史がある。

ミアシャイマー教授は、NATOの成長とロシアがそれを脅威として見ていることについて多くのことを語っている。それが事実であるという証拠はあると思います。他に多くの人たちもそう主張している。

ビル・ペリー元国防長官やビル・バーンズ元CIA長官など、1990年代を通してアメリカのトップ高官たちは、「これはプーチンだけでなくロシアにとってもリアルな問題だ」と述べてきた。

しかし、それだけでは問題のすべてを説明することはできない。NATOだけがこの戦争の原因ではないのです。

プーチン自身は、特に2021年6月の演説で、ウクライナがその一部となるようなロシアの帝国を復活させるという、より壮大なビジョンを明らかにしている。ところが、その構想はウクライナ自身の主権や独立、そしていかなる法律や規範に基づく国際問題への一般的なアプローチとも一致しない。ですから、NATOの成長は、やはりロシアの大きな不満の一部だと思います。

AMY GOODMAN:
ミアシャイマー教授、いかがですか?

JOHN MEARSHEIMER: 

エイミー、戦争の原因について私が説明する前に、「戦争の原因」そのものについてどう考えるかが、この戦争を議論するうえでは決定的に重要だということを理解してほしい。

一般論ではなく、「紛争を実際に解決する見通し」との関連で「戦争の原因」を突き詰めておく必要がある。それについてどう考えるかが、解決の方向性に大きな影響を及ぼす。そのことを理解することが非常に重要だと思う。

さて、マットの主張は基本的にこうだ。「戦争の原因はいろいろあるが、主要な原因はプーチンに壮大な野望があったからだ」
そしてその論拠を持ち出している。そしてこういう結論を導き出している。「彼はソビエト連邦を復活させ、大ロシアを作りたかったのだ」

私はそうは思わない。そのような主張を裏付ける証拠はほとんどない。

多くの証拠を吟味してみれば、この列車を動かしたのはNATOのウクライナへの進出であったことは極めて明白である。「大ロシア復活説」に比べれば、むしろ圧倒的な証拠があると思う。

プーチンは、2008年4月にNATOが初めてウクライナをNATOの一部にすると発表したとき、こう明言していた。
「ウクライナをNATOの一部とすることは、ロシアにとって存立の危機であり、絶対に許されない」

すなわちロシアの戦争の根本となる動機は、「存立の危機」に対する恐怖なのだ。そして2022年2月24日の侵攻は、その恐怖が大きな原動力となった。

つまり、プーチンはNATOの拡大と、ウクライナのNATO加盟を存亡の危機と見ているのだ。だからプーチンは妥協しようとしないのだ。

多くの人は、トランプ大統領がアラスカでできることは、領土の交換や停戦などの取り決めを行うことで、ロシアはこのような融和を行うだろうと考えている。

 そんなことはない。ロシア側は最初から自分たちの要求を示している。彼らはまったく揺らいでいない。彼らが揺るがない理由は、ウクライナのNATO加盟を自らの存亡の危機と見なしているからだ。

一方、我々西側諸国はそうは考えていない。我々は、つまりトランプも、「プーチンは攻撃的で、望みをすべてかなえてはくれなかった。しかし、プーチンとの取引は最後にはうまくいくだろう」と考えている。

それは現実世界の正確な描写ではないと思う。繰り返しになるが、停戦の中核となる原則は「ロシアの存立の保証」ということだ。

「ウクライナは中立国でなければならない。NATOにウクライナは入れない。ウクライナに対する西側の安全保障もない」

しかし、我々はそれを拒否し、ウクライナ人もそれを拒否している。だから我々は今日、袋小路に陥っているのだ。

JUAN GONZÁLEZ: 

ダスさん、2013年と2014年の『デモクラシー・ナウ!』では、ロシアの専門家であるスティーブン・コーエンに何度も登場してもらいましたが、彼は本質的にミアシャイマーさんと同じことを言っていました。

実際、彼はこう言っていました。
「打倒されたヤヌコビッチ大統領は2014年のマイダン反乱において、ウクライナの中立性を維持したかった」

そのとき、「ウクライナは中立であってはならず、ロシアに対抗しなければならない」と主張したのはNATOでした。それについてどうお考えですか?

また、もしメキシコが中国やロシアと安全保障協定を結び、それらの国の軍隊を自国に駐留させたり、それらの国のミサイルをメキシコに配備したりした場合、アメリカは黙って見過ごすと思いますか?

MATT DUSS: 

はいお答えします。みな良い質問です。それではまず、ミアシャイマー教授が言ったことに何点か答えたい。

私の言いたいのは、教授は「プーチンがウクライナを征服し、新たな類のロシアの支配権(a new kind of imperium)を樹立しようとしたという証拠はない」と主張しますが、それは不可解です。

プーチンは明確にそう言っている。私は皆さんに2021年6月の演説(詳細不明)を見てほしい。

彼はまた、2022年2月、ウクライナ政府を倒し、彼の…そう、「ロシアに友好的な政府」を樹立するための行動の一環として、キエフ郊外に軍隊を侵入させた。しかしそれは失敗した。ロシア軍はキャンプをするためにキエフに侵攻したのではない。

そして、その計画は失敗した。これはプーチンの野望が教授の主張よりもはるかに大きなものであったことの明らかな証拠だと思う。

さて、マイダンとヤヌコビッチについてだが、私はマイダンをNATOのせいだとは思わない。

明らかに、私が言ったように、ロシアとプーチンはNATOの成長を脅威として見ている。私たちはそれを真剣に受け止めるべきだと思う。それは議論すべきことだ。

 私はまた、各国がNATOに吸収されるわけではないことにも留意を促したい。ヨーロッパの国々はNATOへの加盟を求めている。これは押し付けられるものではない。彼らはNATOへの加盟を自国の安全保障の一部と考えている。

繰り返しになるが、ロシアがこれを挑発的なものと見ていることを軽視しているわけではない。私たちはそれを真剣に受け止める必要があると思う。しかし、マイダン革命はNATOのためではなかった。マイダン革命は、ウクライナの人々がロシアとの関係を緊密にするのではなく、ヨーロッパとの関係を緊密にすることを求めたものだ。

そのことに注目することが重要だと思います。これはNATOによって引き起こされたものではない。これはウクライナの人々によって引き起こされたものだ。NATOに執着し続けることは、ウクライナ人自身の主体性を否定することになる。そして、私たちはそれをこの会話の中心に据える必要があると思います。

さて、メキシコについての質問ですが、メキシコがロシアや中国、その他の大国と安全保障協定を結ぶとしたら、おそらくアメリカはそれについて何か言うでしょう。
それは外交的に解決すべきことだと思います。だからといって、それに対して米国がメキシコの一部を侵略し、占領することを正当化することにはならないと私は考えている。


AMY GOODMAN:

ウクライナ人は何を望んでいるのか、それを忘れてはなりません。まずゼレンスキー・ウクライナ大統領が、ドイツのメルツ首相とのベルリンでの共同ブリーフィングで記者団に語った言葉を紹介したい。

PRESIDENT VOLODYMYR ZELENSKY:

 3者間の話し合いの形式を準備しなければならない。第一に停戦が必要だ。本当に信頼できる安全保障がなければならない。

ところで今日、トランプ大統領は三者協議を支持し、アメリカも参加する用意があると語った。また、合意された原則の中で、ロシアはウクライナの「欧州やNATOに対する見解」(Ukraine’s European and NATO prospects)に対して拒否権を持つことはできない。

そして和平交渉は、ロシアに対する適切な圧力と組み合わされるべきである。ロシアがアラスカでの会談で、停戦に応じない場合は、制裁措置がとられ、強化されなければならない。



AMY GOODMAN: 

ギャラップ社の世論調査があったことを指摘しよう。戦争が始まって3年以上が経過し、勝利まで戦い続けることへのウクライナ人の支持は最低を更新した。

ギャラップ社が7月上旬に実施したウクライナに関する最新の世論調査では、69%ができるだけ早く交渉によって戦争を終結させることに賛成していた。これに対し、勝利まで戦い続けることを支持しているのはわずか24%だった。

2022年に話を戻そう。ウクライナでは4分の3、73%が勝利まで戦い続けることを支持している。まずミアシャイマー教授から、そしてマット・デュスさんの反応を伺いましょう。

JOHN MEARSHEIMER: 

ウクライナの政治家たちの戦争への熱意が薄れているのは当然だろう。彼らは膨大な犠牲者を出している。戦場ではロシアが勝利を収めており、ウクライナが状況を打開できるようにも、西側諸国がウクライナの状況を打開する手助けができるようにも見えない。

そのため、ウクライナの社会では明らかに、戦争への支持が失われつつある。

問題は、エリートレベルでは、誰もロシアと取引しようという証拠がないということだ。繰り返すが、ロシアはいまとても厳しい駆け引きをしている。彼らは本当に厳しい交渉をしている。どんなウクライナの指導者でも、ロシアがテーブルに載せている柔軟性のない条件を受け入れるのは非常に難しいだろう。

今、ウクライナのエリートたちが望んでいるのは、アメリカやヨーロッパを引きずり込んで、将来にわたってウクライナに意味のある安全保障を与えることだ。そして、西側諸国がウクライナを支援し続け、将来のある時点でロシアが弱体化し、ウクライナが西側諸国の支援を得て、現在失っている領土をロシアから取り戻すことだ。

それが彼らの大きな希望なのだ。だから、エリートたちはそこで頑張ろうとしている。これがゼレンスキーのコメントに反映されている。

しかし、エイミー、あなたは自問自答しなければならない。ウクライナは戦場で負け続け、国内の支持は離れていく。ある時点でウクライナはがらがらと崩壊するだろう。過去の歴史的な証拠から考えても、その可能性が高い。

AMY GOODMAN: Matt Duss, do you agree?

MATT DUSS: 

かなりのところまで同感です。たしかに、ウクライナ政府には、教授が今言ったような人物像に当てはまる人たちがいる。ただし、ウクライナのエリートをそこまで責めてはいません。

ここで重要なのは、あなたが指摘したように、ウクライナ人の間でこの戦争を終わらせたいという支持が高まっているということだ。もしこれで戦争に終止符を打つことができるのであれば…。

ゼレンスキー大統領のコメントについては、誰も驚く必要はないと思います。ウクライナの大統領が自分から先立って領土を譲歩するとは誰も思わないでしょう。

本当に戦争を終結させるような申し出や合意があれば、ウクライナ政府はおそらく諸方面に圧力をかけて同意させることができると思う。

ウクライナ政府にとって、降伏を受け入れるのは非常に厳しい決断であるが、ウクライナ国内には停戦への強い希望があることを理解している。なぜなら国民は、自国のかなりの部分がロシアの支配下にあることを知っているからだ。

しかし、ここで重要な疑問がある。プーチンは「最終目標」を変えたのか? プーチンが本当に戦争を終わらせるような合意を結ぶ気があるのか。

そして、その証拠はない。それがここでの重要な問題なのだ。

JUAN GONZÁLEZ: 

ところで、ミアシャイマー教授にお聞きしたいのですが、私には驚くべき事実がいくつかあります。

1990年代初頭にソ連が崩壊し、ウクライナが独立したとき、ウクライナの人口は5200万人でした。ロシアとの戦争が始まる頃には、人口はすでに4000万人にまで減っていた。そして現在、国外への移住や難民の流出、高い死亡率と低い出生率が続いていることを考慮すると、現在のウクライナの人口は約2800万人しかいないと推定されている。

これは国としては驚くべき人口減少である。ウクライナはソビエト連邦崩壊以来、本質的に崩壊し続ける国なのだろうか?

JOHN MEARSHEIMER: 

さて、この件に関して2点申し上げたい。まず、この言葉はウクライナの状況を説明するのに使われることがある、

つまり、ウクライナは 人口学的に見て「デス・スパイラル 」に陥っているということだ。

この言葉について考えてみてほしい。ウクライナは人口減少のスパイラルに陥っている。この戦争がもたらしたのは、膨大な数のウクライナ人の死である。さらに、膨大な数のウクライナ人が国外に流出し、その多くが戻ってくることはないだろう。つまり、これは人口統計学的に見ても大災厄なのだ。

AMY GOODMAN: 
教授、あと30秒しかありません。

JOHN MEARSHEIMER: 

2つ目のポイントは、このまま行けば… すみません。ウクライナもまた、機能不全のランプ国家として命を終えるだろう。

rump state: 占領、脱植民地化、あるいはクーデターないし革命などによって残骸化したした国家の事を指す。

AMY GOODMAN: What do you think, in 15 seconds — how do you think this should end?

JOHN MEARSHEIMER:
私は、ウクライナ人が譲歩し、戦争を終わらせるために全力を尽くすべきだと思う。戦い続けても、より良い取引は得られない。

AMY GOODMAN: And, Matt Duss, 10 seconds.

MATT DUSS:

私も同感です。

私は11月に同僚のロブ・ファーリーとともに『フォーリン・ポリシー』誌に寄稿した。今こそウクライナ人は、できる限りの譲歩で和平を結ぶときだ。ロシアが現在支配しているウクライナの一部を譲歩できるのであれば、そうすべきだ。

しかし、疑問がある。それで本当に戦争が終わるのか? 問題は、プーチンがその気になっているという証拠がないことだ。

AMY GOODMAN: We have to leave it there. Matt Duss and professor John Mearsheimer.


………………………………………………………………………………………………………………

無知・無内容さを、官僚的慇懃さと瞬間的にパンチを避ける反射神経で覆い隠しただけの人物と、私の眼にはうつる。もちろんそんなレベルの人ではなく、何かの事情があって、噛ませ犬を承知で出てきたのだろうが、これだけ打ち込まれると可哀想な気もする。
しかしそんなふりして裏では、半年もデモクラシー・ナウを機能不全に追い込んできたのだから、相当年季の入ったワルだ。それがいまさら殊勝なふりをするというのもアラスカ会議のご利益か。とにかくミアシャイマー先生、ご苦労さまでした。(SS)