スコット・リッター:米国がゼレンスキー排除、欧州は無力化へ
2025/07/22

紹介
スコット・リッターは元米軍少佐、情報将校、そして国連兵器査察官です。リッター氏は、NATOがウクライナで急速に敗北へと向かっており、現時点で打つ手がないと主張しています。アメリカはゼレンスキー大統領の排除と交代を決断したように見え、ヨーロッパはこの戦争に軍事力、経済、社会の安定、地政学的な重要性のすべてを賭けています。



グレン・ディーセン

皆さん、こんにちは。お帰りなさい。本日は元アメリカ海兵隊情報将校であり、国連の兵器査察官でもあったスコットリッターさんをお迎えしています。改めて番組へようこそ。

トランプは最近ロシアを脅し、奇妙な50日間の最後通告を出しました。ロシアは予想通りこれを一蹴しました。
それに続いて継続的な武器供与の発表も含まれており、これはトランプがついに和平の公約を放棄し、この戦争を自分の戦争にしたことを意味しているようです。しかしこのロシアへの脅しには2つの裏の要素があるように思えます。

一つは、ヨーロッパがウクライナでロシアと戦うためにアメリカ製の武器を購入しなければならないということ。もう1つはロシアと取引する全ての国に対して100%の2次制裁を勝つと脅すことでロシアをそのパートナーから切り離そうとする試みです。

私はこのトランプの新しい計画をどう解釈すればいいのか考えていました。正直なところ未だに目的がよくわかりません。

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スコット・リッター

彼がこの計画を最初に発表し、最初に語った時、私は驚きました。なぜならこの計画ほど失敗が確実なものはかつてなかったからです。この計画には実現性がありません。持続可能でもありません。そして例えばその上に何かを築くための基盤となるものでもありません。最初から失敗する運命にあります。

実際最初から失敗しています。まずは武器の供与について話しましょう。どんな武器が供与されているのでしょうか?大統領は17基のパトリオット・ミサイル・システム、大統領によれば完全な装備を話していました。しかし私は手持ちのパトリオットが17基も存在するとは思いません。5基すらないと思います。今すぐに送れるものが2基で
もあれば驚きです。

ホランダは何かを送ろうと話しています。ドイツは後方補充があれば、何かを送るだろうと約束していますが、そもそもアメリカに存在しないのです。配備予定のスイスのパトリオットを振り向けない限り後方配備を得ることはできません。しかしそもそもスイスのパトリオット注文は、現実的な話ではありません。2026年か2027年まで納品予定がありません。ということはつまり、ドイツが後方配備の納品を待つのであれば、ウクライナにパトリオットバッテリーが届くのは2026年か2027年になると
いうことです。

経済的側面を見てみましょう。ロシアに対する制裁は、いまやそれほど重要ではありません。ロシアは全く気にしていないのです。

実際この発表があった時、ロシアの株式市場は2.7%も価値が上昇したそうです。ロシア人は制裁があってこそ力を発揮するのです。そういうわけです。

今回の措置は中国、インド、ブラジル、その他ロシア産原油を消費している国に対して2次制裁を約束しています。つまりこれらの国々がロシア産原油の購入をやめれば、ロシアは戦争を継続する現金を得られなくなるという前提です。

しかし中国はすでにロシアとの関係強化を約束しています。自らの運命をすでに承知しているからです。ウクライナで起きていることは、神のご加護がなければ、やがて台湾でも起こると中国は十分に理解しています。だからこそ今、大国の支配網をウクライナで食い止めなければならないのです。この紛争は中国にとっても自分ごとなのです。

ロシア産原油に依存している諸国は皆、ロシアが勝利するよう全力を尽くしている。そしてもし我々が愚かにも、中国に制裁を貸すなら中国がどの立場を取るか、それがどんな結果をもたらすか、ヒントを教えよう。

ヨーロッパは18回目の制裁措置を可決したが、その中に中国企業3社が含まれていたらしい。
それに対して中国は「本当に自殺したいならどうぞ。でも我々は
必ず反撃するし容赦なくやり返す。貴方がたを叩きすぶすぞ。だから自分たちのやっていることを考え直せ」と迫った。

たぶん、ヨーロッパは考え直すだろう。なぜなら彼らには他に
選択肢がないからだ。この件でアメリカは中国に対して何の切り札も持っていない。

覚えているかもしれませんが、4月にトランプ大統領が中国に制裁を貸しました。数字や割合は思い出せませんが、それは重要ではありません。なぜなら実際には実施されなかったからです。

大統領はすぐに引き下がり、制裁実施を90日間延長せざるを得ませんでした。今は8月まで延長されているようです。いずれにしても、結局制裁は実施されませんでした。

中国側は制裁に対しアメリカへのレア・アース鉱物や磁性材料の全ての供給を停止することで応じました。その結果、アメリカの自動車製造基盤は壊滅しました。これらの鉱物がなければ車を生産できないからです。

私たちには他の供給源がありません。たしかにウクライナのレアアース鉱物取引は存在しますが、それは書面上の話で現実のものではありません。

結局、最近6月にようやく何らかの合意が交渉されたことで是正されたようだが、中国は簡単に手を引くことができる。彼らは我々を必要としていない。彼らは手を引き、我々は崩壊する。

中国は制裁合戦というゲームには乗らないだろう。馬鹿げています。最も予想通りの結果です。

ブラジルは、「もし私たちと取引したくないなら、私たちもあなたたちと取引したくない」と言っています。「だからあなたが何をしようと関係ありません。私たちはただあなたたちを切り離すだけです」。

そしてインドも、いずれは態度をはっきりさせなければならなくなるでしょう。しかしインドはブリックスの一員であり、トランプ政権の予測不可能性に付き合って自国の主権を犠牲にする
とは思いません。それが彼らの経済的な将来の方向性だからです。

トランプ政権は積極的にゼレンスキーを政権から排除しようとしてます。これが50日間の停止の意味を持つ唯一の理由です。ゼレンスキー政権の排除とロシアの要求に同調できる政府を生み出すことです。そのことを目的としたウクライナでの選挙の実施です。

これによって最終的な停戦と紛争終結に向けて進むことができるでしょう。これこそがトランプ氏が取っている道だと思います。彼はそれを口に出せません。なぜならそれは欧米諸国が面目を失うことになるからです。しかしトランプ氏は「ウクライナ政府が
同意する平和に我々も同意する」と言うでしょう。

ただし現時点ではウクライナ政府が主張する「停戦」に同意することはできません。なぜならゼレンスキー政権は、真の意味の「和平」に同意していないからです。解決策はゼレンスキー政権を排除すること以外にありません。


グレン・ディーセン

トランプはプーチンが取引に応じたがらなかったために失望したと発言しました。しかし彼がどの取引を指しているのかは明確ではありません。

というのも第2期トランプ政権発足当初、ウクライナで平和を実現するには、まず中立性の回復、それから現地の現実の変化を考慮することが必要だと考えていました。これはロシア側の主張でもあります。

しかしトランプは停戦に言及しました。彼は本質的にスターマーやマクロンと同じ取引を推進しているのでしょうか?
それともロシア側になにか別の取引を持ちかけようとしているのでしょうか?


スコット・リッター

トランプはどんな取引を望んでいるのか自分でも分かっていません。なぜならウクライナについて何も理解していないからです。

ヘグセスはアメリカがこの戦争を始めたのであって、ロシアではないことを理解する必要があります。実際現在の紛争の前提を作り出したのは第1期トランプ政権の人気とり政策であり、ウクライナ軍への武器教与を進めたのもトランプ政権でした。

2015年には私たちはウクライナの基地でウクライナ兵の訓練を始めました。2017年、トランプ政権当時に、私たちは55日ごとに500人のウクライナ兵を訓練し、彼らを東部に送り込んでドンバスでロシア人を殺させる作戦を実行していました。それが私たちの目的でした。

それはトランプ政権で行われたのです。つまり事実としてこの戦争を引き起こしたのは私たちです。この戦争を作り出したのは私たちです。私たちが結果を決める立場にはなれません。なぜ
ロシア人が私たちの言うことを聞くのでしょう?

これは放火犯に自分が起こした火事の消し方を尋ねるようなものです。アメリカがその放火犯です。私たちは地性学的な放火犯であり、ウクライナに火をつけました。そしてロシア人が消防士であり、彼らは自分たちのやり方で火を消そうとしています。そして彼らはその火が再び燃え上がったり、再発したりしないような形で火を消したいと考えています。

つまり火元であるロシアは、この紛争の根本的な原因に対処しなければならないということです。これらはアメリカが対処したく
ないことであり、率直に言って私たちには理解できないので対処する能力もありません。

ワシントンDCにはウクライナ問題の複雑さについて効果的かつ性格、責任を持って語れる人はあまりいません。それを行うには歴史を正しく理解する必要があります。

ケロックは西ウクライナの民族主義者たちから聞いたこと以外、ウクライナについて何も知りません。マルコルビオは頭に浮かぶ全ての考えにロシアが嫌いだという色をつけているだけです。そしてピートヘグセスですが、失礼を承知で言えば特にロシアに関してはとても愚かです。それでは私たちのアメリカ大統領に助言しているのは誰なのでしょうか?


グレン・ディーセン

さて、今やロシアが勝利しているのが見て取れますが、ロシアがこの戦争を国家存亡の危機と捉えている以上、彼らが重要な問題で妥協することはできません。

て主な問題はゼレンスキーが大きな決断をする意思がないことだと思います。このためロシア側はかなり前からゼレンスキーが権力の座にいる限り和平合意を得ることは不可能だと結論付けています。
これらの新しい報道を受けてアメリカ、少なくともトランプ政権がゼレンスキーではもはや無理だという結論に達したと見ていますか? それともゼレンスキーが政治エリートの間でも支持を失い始めているという現実政治の反映なのでしょうか?


スコット・リッター

ロシア側の問題意識はゼレンスキーだけにとまらずもっと寝深いものです。彼らが言うにはどんな解決策や合意も正当な権限を持つものが署名しなければならないということです。

そしてゼレンスキーは支配階級の正当な権限を持つものではない。だからゼレンスキーについての唯一の問題は、彼を排除することです。彼が排除されれば正当な権限を持つものに置き換えることになりますが、その正当な権限を持つものの役割はロシアが決めた合意に署名することだけです。

もし「正当な権限を持つもの」がゼレンスキーを排除して、別の誰かに置き換えたとしても、ウクライナは何も得るものはないでしょう。ウクライナはこの戦争に敗れたのです。ヨーロッパも何も得られません。

ゼレンスキーを排除したあと、ロシアが提示する幸福条件を合法的に受け入れられる政府を受立する道が開かれます。それだけのことです。だから私は、ウクライナ政府の崩壊について、「人々が自由に成りたがっている。平和を望んでいる」といった観点から語る人をあまり注目していません。

そもそも、ウクライナ政府の誰も平和を望んでいません。彼らはスポーツカーや豪邸などを買い資産を海外に移すことを可能にした腐敗の継続を望んでいるのです。壁が崩れ落ちる時、彼ら全員がどれほど素早く逃げ出すか見ていてください。今そこにいるウクライナの高官たちが、責任を取るために残ることはありません。彼らは消えてしまうでしょう。

ウクライナ政府全体が腐敗しており、ロシアは彼らの誰とも交渉するつもりはありません。彼らは紛争後のウクライナの一部にはならないでしょう。なぜならこの紛争の根本的な原因について語るならウクライナの支配層こそがその根源だからです。彼らはとどまることを許されず、居住ことさえ許されないかもしれません。逮捕され、裁判にかけられるか、逃亡を強いられる可能性もあります。いずれにせよ彼らが紛争後のウクライナの一部になることはありません。

ウクライナ人を打ち負かすわけでも、ウクライナ政府を排除するわけでもありませんが、ロシアは戦後の現実に備えています。すぐにでも乗り込める計画を用意しているでしょう。欧米社会が今から備えなければならないのは、ロシアがウクライナの未来の枠組みを上から下まで作り上げるという避けがい現実なのです。


グレン・ディーセン

この件においてヨーロッパ諸国の役割をどのように見ていますか?

再度言いますが、トランプの取引の一部はアメリカがヨーロッパ諸国に武器を売り、その武器をヨーロッパ諸国がウクライナに寄付してロシアと戦うことを許可するというものでした。

しかしヨーロッパ諸国はや分裂しているように見えます。イタリアやフランスもそうだと思いますが、彼らは本当は持っていないお金を武器に使うことにあまり関心がないようです。つまり両国とも近いうちに事実上破産するでしょう。

しかしドイツとイギリスは依前として戦争に積極的な姿勢を見せています。実際最近
ポリティコの記事でメルツとスターマーが停戦問題において共通の立場を押し出したと報じられていました。

イギリスについては従来の傾向から見てそれほど驚くことではありません。彼らは常に最も反ロシア的な勢力として自分たちを位置づける傾向があります。それは部分的には、“”アメリカのヨーロッパにおける信頼できる主要なパートナー”であり続けるためだと思います。

しかしドイツに関しては数年前とは全く異なる状況です。もし今ウクライナが崩壊し始めた場合、さらに踏み込むと思いますか?
アメリカにも予備がない、絵に書いた武器のために持っていないお金を使うのでしょうか? それとも自ら戦争に参戦するつもりなのでしょうか?


スコット・リッター

ドイツはリトアニアに4000人の舞台を派遣してリトアニアのNATO旅団を稼働させることすらできません。そんなドイツが突然、第3帝国の軍隊を再現するような大軍をどうやって編成できるのでしょうか?

彼らにはそれだけの資源がありません。ラインメタルのような軍事産業複合隊が、はたして戦車をいくつ生産できるのでしょうか? 鋼鉄はどこから調達するのか? 資金はどこから出るのか? 

ドイツは破産状態です。今のドイツには機能している経済がありません。経済は崩壊しつつあります。ヨーロッパではこうした無責任な軍事支出のために資金を充当するには、社会保障プログラムを削減しヨーロッパの遺産に手をつけなければならないという状況になっています。かつては世界中の羨望の的でしたよね。それが今失われつつある。医療も失われつつある。教育も全てが失われつつある。

ヨーロッパの経済崩壊はヨーロッパの人々にとって悲劇ですが、世界にとってはいいことかもしれません。いまやヨーロッパは重要じゃない。ヨーロッパは数に入らない。まるで中身のないハンバーガーだ。そしてロシア人たちは座ってこういうだろう。私たちはこれを望んでいなかった。ロシアが望んでいたのは安定だ。ロシアが望んでいたのは責任ある貿易相手だ。ロシアが望んでいたのは平和的な共存だった。でもそれはヨーロッパが提供してきたものではない。


グレン・ディーセン

ヨーロッパが、政治的にも経済的にも軍事的にも、これほど急速に重要性を失ったのは驚くべきことです。そしてこれこそがヨーロッパの大きな恐怖です。アメリカが去ってしまえばヨーロッパの存在意義も一緒に消えてしまう。

今あなたが話したことを聞いてJDバンスがヨーロッパ人に講演し、そこで「我々は従属国ではなく同盟国が必要だ」と言ったのを思い出しました。ワシントンの主人たちに「従属国になるのはやめろ」と言われるのは悲しいことです。

私の主な懸念は、ヨーロッパの軍事的分断が、ヨーロッパという範疇の無意味さにつねがり、それが経済的衰退を招くと流れが明らかになった点です。それにも関わらずこの道を進んだ人々は愛国心を独占するかのように自国を思うならこの道を選ぶべきだと主張しました。

そして今のドイツを見てみると、経済は低迷し、主要野党の禁止について公然と議論され、ガザでのジェノサイドを支持しています。現在の外交政策はロシアとの戦争だけのように見えます。あなたが指摘した通り、もしドイツ軍が本当に動き出したとしても、他のヨーロッパ諸国が真剣に受け止めるとは思えません。


スコット・リッター

この部分は省略


グレン・ディーセン

あなたが言う通り、この戦争を続けていてはウクライナだけでなくヨーロッパも破滅してしまうと思います。
将来の世代は2014年のマイダン政変とその後の数年間を振り返り、戦争の原因が明らかになっても、なお見て見ぬふりをし続けたことを悔やむでしょう。
お時間をいただきました。どうもありがとうございました。