Russia Matters
July 10, 2025
トゥルシ・ギャバード: ロシアとウクライナに関する発言集
Tulsi Gabbard on Russia and Ukraine
By Simon Saradzhyan, Angelina Flood
近年、トゥルシ・ギャバードほどロシアに対する見解を厳しく批判された人物は稀だ。しかし、こうした批判にもかかわらず、彼女はトランプ大統領のチームのトップとなり、国家情報長官(DNI)として大統領の首席情報統合官を務めている。
ギャバード氏は1981年4月12日、アメリカ領サモアでうまれた。2002年からハワイ州下院議員を勤めつつ、ハワイ陸軍州兵に入隊し、約20年にわたり軍務を勤めた。その間1年にわたりイラクで従軍している。
2013年に、民主党員としてハワイ州選出の下院議員に選出された。2019年、民主党から大統領選に出馬表明、のちに辞退。
2024年、ギャバードは共和党への転入党を発表した。今年、大統領に就任したトランプは、彼女を国家情報長官に指名した。
Comfirmation Meeting
Comfirmation Meeting
対ロシア観の変遷
2022年2月24日のロシアによるウクライナへの本格的な侵攻の開始を、即座に非難しなかった。そして、「バイデン氏は、ウクライナがNATOに加盟しないことを保証すれば、ロシアとの戦争をいとも簡単に防ぐことができる」と主張した。
彼女は、「ウクライナは民主主義国家ではない」と繰り返し主張している。
また、ウクライナの生物兵器に関する疑念について「深く懸念している」と発言した。彼女は「戦争開始前に米国とウクライナが危険な生物研究に関与していた」というロシアの主張を支持したことで非難を浴びた。
これらの発言のため、彼女は「ロシア国営メディアの寵児」「ロシア国営メディアのお気に入り」「ロシアの偽プロパガンダを繰り返す者」「ロシア弁護者」「ロシアの手先」「ロシア人のお気に入り」「反逆者」などと評された。ギャバードは動じることなく政界のキャリアを続けた。
2020年には、ヒラリー・クリントンが「ギャバードのロシアとのつながりについて疑いがある」と発言した。ギャバードはヒラリーが「嘘をついた」と主張して、名誉毀損訴訟を起こした(後に訴訟を取り下げた)。
エドワード・スノーデンと情報漏洩問題
ギャバードは下院議員時代に、2020年に「スノーデン訴追を取り下げる法案」の共同提案者を務めた。DNIの承認公聴会で、「スノーデンの情報漏洩が裏切り相当するか」を問われた際、彼女は「法律を破った」とだけ答えた。
また、今年1月の国家情報長官就任にあたっては、議会の審問を受け、「スノーデンを擁護する立場を全面的に覆す」よう圧力を受けたが、これを拒否した。
(も大変素晴らしい)
以下はギャバードの発言録である。Russia Mattersの収集した発言集「Competing Views」シリーズからピックアップしたもの。(編注: ここではさらにウクライナ問題に絞り込んでいます)
① ウクライナ問題ー人道的影響:
* ウクライナへの残忍な攻撃は非難されるべきものです。ロシアにも既に多大な損害を与えています。今すぐに軍隊を撤退させることが、ロシア国民とウクライナ国民にとって最善の利益です。(2022年3月4日)
* バイデンとハリスは、ウクライナの自由を守るためにはコストを負担しなければならないと言っている。しかしその間、権力エリートは全く苦しまないだろう。紛争が核戦争に発展すれば、彼らはバンカーで安全に過ごせるが、あなたや私、そして私たちの愛する人たちは住む場所を失う。(2022年2月25日)
② ウクライナ問題ー軍事問題
* ウクライナをめぐるロシアとの戦争で、核戦争の惨劇の中で愛する人たちが生きたまま焼かれるのを見る覚悟はできているだろうか?(ローリングストーン誌、2022年2月24日)
* 戦争は既に激化しており、さらに激化するだろう。その理由は、バイデン政権がロシアの経済と軍事力の完全な破壊を目標においているからだ。ロシアは、この状況に直面した場合、戦術核兵器を使用する以外に選択肢はないと明言している。
バイデン政権が私たちに突きつけている道は、第三次世界大戦と核によるハルマゲドンへと繋がる道だ。その時世界は、計り知れないほどの苦しみを味わうことになるだろう。(ギャバードのXアカウント、2022年5月6日)
* 2009年、私はチェルノブイリの不気味なほど静まり返った街路を歩き、原発事故の残骸を目の当たりにしました。ザポリージャでは、さらに壊滅的な原発事故が起こる危険性があります。世界の安全のために、ロシアとウクライナは直ちにこの地域を非武装化し、IAEAの立ち入りを許可すべきです。(ギャバードのXアカウント、2022年8月29日)
* バイデン政権は、軍産複合体とウクライナの腐敗官僚に白紙小切手を渡している。彼らの行動は、彼らが本当に誰を気にかけているのかを露呈している。それは私たちではないのだ。(2022年11月19日)
* ウクライナにクラスター爆弾を送る決定は、国民のことを全く気にかけていないことを示している。これらの爆弾は、今後数十年にわたり、不発弾によるウクライナの犠牲者を生み出すことになるだろう。かつてイラク戦争で、子どもたち50万人が命を落としたとき、オルブライト国務長官が「それだけの価値があった」と述べた。その時の冷酷で打算的で冷酷な態度と同じだ。(2023年7月9日)
* ソ連の崩壊は、膨大な核兵器を保有するロシアとの関係改善を図る明白な機会をもたらした。ペリー国防長官はロシアのグラチェフ国防相と協力して「膨大な核兵器備蓄」を削減した。
常識的にはロシアとの平和共存政策が求められるだろう。しかしワシントンはロシアを不必要に刺激し、国際的な緊張を高め、世界の安全と安心を損なうように仕向けた。(『For Love of Country』、2024年)
③ ウクライナ問題ー地政学
* CIA、FBI、あるいはその他の情報機関は、自らが好むメディアを通して、極めて疑わしく曖昧なほのめかしを愛用します。これらの情報は、パニックを煽ることを目的としているように思われます。それらのほのめかしが具体的に何を主張しているのか、直ちに詳細を明らかにする必要があります。(ザ・ヒル紙、2020年2月27日)
* ウクライナがNATOに加盟しないことを保証すれば、ロシアとの戦争は容易に防ぐことができる。なぜロシアにその保証を与えないのだろうか?
そもそもウクライナがNATOに加盟しても、我が国の安全保障上の利益にはならない。なのに、 戦争屋たちはなぜ、ロシアの侵攻を望んでいるのだろうか? ロシアに過酷な制裁を課し、新たな冷戦を実現するためだろうか?
そうなればたしかに、軍産複合体は今後数十年にわたって無限の利益を得ることになるだろう。(ギャバードのXアカウント、2022年2月13日)
* バイデン大統領は、真に対処すべき第一の問いに答えていません。それは、アメリカ国民が抱いている疑問です。「なぜ私たちはこんなことをするのか?大統領はなぜこのような選択をするのか? 我々はどのような代償を払うことになるのか?」
… こうした戦術が、最終的にはアメリカ対ロシアという核保有国同士の対立へつながるかも知れません。そして核戦争と核攻撃という事態に陥る危険性があるのです。
ロシアの最大の懸念は、米国と NATOが ウクライナ国境に軍事拠点を設置することです。しかしそれはありえません。ウクライナが NATOに加盟する可能性が極めて低いためです。(FOXニュース、2022年2月15日)
* 私はプーチン大統領のウクライナ侵攻の決定を決して支持しません。そのことは確認したうえで、もしバイデン大統領とNATOが、ウクライナ問題に介入しないと明らかにすれば、このような事態は防げたはずです。(The Intercept、2022年2月24日)
* ヨーロッパは今、深刻なエネルギー危機に陥っています…なぜこんなことが起こっているのでしょうか?…ジョー・バイデンの制裁措置のせいです。バイデンが作り出した供給問題であります。これは戦争を利用して NATOを強化し 、軍産複合体を肥やすことです。(イランのFARS、2022年8月14日)
* ロシアのエネルギー収入は、ウクライナ侵攻以前よりも増加している。これは輸入国における供給不足が深刻化しているためだ。ヨーロッパの人々はすでにエネルギー危機に直面しており、次は私たちだ。(ギャバードのXアカウント、2022年8月16日)
* バイデン政権のウクライナ政策と対中政策は、いずれも中国とロシアの接近を強めることになる。そうすると、新たな冷戦を生み出す戦争屋たちの動きがさらに強まる。それは軍産複合体と、独裁政治家に莫大な利益をもたらすことになる。
この新たな冷戦(Cold war)は必然的に熱戦(Hot war)となる。それは、私たちの繁栄、安全、そして自由を損なう。今すぐに阻止しなければ、手遅れになってしまうだろう。(ギャバードのXアカウント、2023年3月20日)
* バイデン氏とNATOは、彼らの目的がロシアの経済と軍事力を弱体化させることにあることを明確に示している。一方ロシアは、西側諸国がその目標達成に近づいた場合、核兵器に頼る用意があることを明確にしている。つまりバイデン氏とNATOは、私たちを核による終末への道へと導いていることになる。幸いなことにその試みは成功しているとは言い難いが、手遅れになる前に目を覚ます必要がある。(ギャバード氏のXアカウント、2023年5月11日)
④ ウクライナ自身に民主主義の死が襲う
* 戦争屋たちは、ウクライナは「民主主義」だから守らなければならないと主張する。しかし、彼らは嘘をついている。ウクライナは実際には民主主義ではない。ウクライナ大統領は権力を維持するために、自分を批判した3つのテレビ局を閉鎖し、選挙で2位になった野党党首を投獄し、さらにその党幹部を逮捕・投獄した(まさにプーチンが行ったと非難されている行為だ)。これらはすべて米国の支援を受けて行われた(ギャバードのXアカウント、2022年2月19日)
* ウクライナには、米国が資金提供しているバイオ研究所が25か所以上あり、侵入されれば致死性の病原体が放出され、米国および世界に蔓延する可能性があります。米国、ロシア、ウクライナ、NATO、国連、EUは、これらの研究所が確保され、病原体が破壊されるまで、これらの研究所周辺で停戦を実施しなければなりません。(ギャバードのXアカウント、2022年3月13日)
* バイデン/ハリスと「超党派のワシントン・エリートたち」は、ウクライナにおける「民主主義を守り、独裁政治を打倒する」 そのために、アメリカと世界中の人々を貧困に陥れ、核戦争のリスクを冒している。
しかし、ウクライナ大統領は、国営メディアを掌握し、政敵を投獄する。さらに真実を語る勇気のあるアメリカ人をブラックリストに載せ、中傷する。そうやって、ウクライナにおける民主主義をしに追いやっている。(ギャバードのXアカウント、2022年7月27日)
* ゼレンスキー大統領は現在、ウクライナのメディアを完全に掌握し、野党政党とウクライナ正教会を非合法化し、戒厳令を宣言し、戒厳令下での絶対的な権力を行使して大統領選挙を中止させている。(ギャバード氏のXアカウント、2023年9月11日)
⑤ ウクライナ問題ー解決の道を追究
* プーチン大統領は長年、NATOがロシアに接近し、四方八方から包囲していることを安全保障上の懸念としてきた。バイデン政権は、NATOの戦略がアメリカ国民にとってどう影響するのかかを国民に明確に示していない。(ニューヨーク・ポスト、2022年2月26日)
* 外交の道は常に存在する。というか、外交以外の道は常に存在しないのだ。「他に何ができるだろうか?」と考えてみよう。 となると、それは常に戦争エスカレーションの継続だ。 (ニューヨーク・ポスト、2022年2月27日)
* プーチン大統領、ゼレンスキー大統領、そしてバイデン大統領へ。地政学的な問題は脇に置き、ウクライナ国民への友愛(アロハ)の精神、敬意、そして愛を抱き続けること、ウクライナが軍事的中立国となることで合意すべきです。
こうすることで安全保障上の懸念が軽減されます。なぜなら、ロシア軍もNATO軍も、互いの国境以外には駐留しないからです。こうすることで、ウクライナ国民は平和に暮らせるようになるでしょう。アロハ。(ギャバードのXアカウント、2022年2月27日)
* ウクライナ戦争が始まって数ヶ月経った今でも、外交は依然として有効な選択肢であり、多くの命が失われ、都市が破壊される前に、この紛争を速やかに終結させるべきです。(For Love of Country、2022年)
* 米国とNATOが、ウクライナ・ロシアの早期交渉を頓挫させたのは、ロシアの政権交代という目標の妨げになるという理由からだった。しかし、政権交代戦争は予測不可能で費用もかかる。プーチンが失脚すれば、より強硬で危険な指導者(補注: メドヴェージェフのような)が台頭することは明らかだ。(ギャバードのXアカウント、2023年8月2日)
* バイデン政権の「功績」は、就任以来アメリカが地獄に落ちたことだ。ロシアとの新たな冷戦と熱い代理戦争に国を巧みに巻き込んだ。(ギャバードのXアカウント、2023年9月20日)
* バイデン政権は、戦争終結の交渉を拒否している。結局のところ、彼らはウクライナの人々のことを気にかけていないからだ。そして、アメリカ国民の安全、安心、そして自由についても気にかけていない。(『For Love of Country』、2024年)
* 民主党と共和党の指導者たちは、人命や税金の犠牲を一切顧みず、政権転覆戦争を繰り返してきた。今、彼らはロシアと中国の政権転覆を望んでいる。それは国全体の安定を揺るがし、世界の食料とエネルギー供給に影響を与え、そして最も危険なことに、数千もの核兵器が相互使用される危険にさらされる。(For Love of Country、2024年)
* 民主党エリート層は、自分たちの政策に反対するものに「MAGA共和党員」の「レッテルを貼り、悪魔化する。そこには次のような人々も投げ込まれる。
「ロシアや中国との冷戦へと突き進み、核による大惨事の瀬戸際に追いやろうとしているワシントンの戦争屋たちに敢えて疑問を呈したり、反対したりする」人々である。(For Love of Country、2024年)
就任に際しての聴聞会に出席したギャバード
⑤ 国家情報局長としての活動の中から
⑤ 国家情報局長としての活動の中から
* 私の就任が承認された場合、私の最優先事項は、大統領がロシアとウクライナを交渉のテーブルに着いてもらうこと、そのために必要な重要な情報を確実に得られるようにすることです。(2025年1月30日3時)
* 平和と戦争の終結を大胆に訴える私たちは、たちまちプーチンの弁護者か操り人形呼ばわりされる。(『愛国のために』2025年)
* トランプがロシアと平和的に紛争を解決できるような関係を築くなんて、神に祈るしかない。民主党はロシアとの平和的な関係など全く望んでいない。(『For Love of the Country』2024年)
* @realDonaldTrumpさん、アメリカ国民の利益と平和のために揺るぎないリーダーシップを発揮していただき、ありがとうございます。ゼレンスキー氏は長年にわたり、アメリカをロシアとの核戦争/第三次世界大戦に引きずり込もうとしてきました。あなたのおっしゃったことは全くの真実です。
@JDVance副大統領、外交の必要性について力強く、そして明確に発言していただき、ありがとうございます。(ギャバード氏のXアカウント、2025年2月28日)
* [トランプ氏は]平和へのコミットメントを共有し、ロシア・ウクライナ戦争の終結、殺戮の停止、第三次世界大戦と核戦争の危険の防止を選挙運動の柱としてきました。しかし残念ながら、歴史を通して見てきたように、単に平和を訴えるだけでは、攻撃や中傷を招くことが多すぎます。トランプ大統領は、現実主義と実用主義に根ざした戦略を通じて平和を実現するという揺るぎない決意を貫いています。(シンジュ・ポスト、2025年3月18日)
* 中国、ロシア、イラン、北朝鮮の関係は緊密化している。現在高い水準にあるこれらの協力関係には、さらに新たな刺激が生じる余地が残されている。その原動力となっているのは、米国や西側諸国による制裁と対ウクライナ戦争への支援である。(2025年3月25日)
* 2024年後半、ロシアは核ドクトリンの改訂を発表し、核兵器の使用を検討する条件を拡大した。ロシアは、信頼性の高い報復攻撃能力によって米国のミサイル防衛網を迂回できるよう設計された、より近代的で生存性の高い核戦力を構築している。ロシアは、米国本土を危険にさらすことと、紛争において核戦争を脅かす能力を持つことの両方によって、米国への抑止力となることを意図している。( DNI.gov 、2025年3月25日)
* これは作り話のSFではありません。今、私たちが直面している、まさに危機に瀕した現実です。なぜなら、私たちが今、かつてないほど核による絶滅の瀬戸際に立っているにもかかわらず、政治エリートと戦争屋たちは、核保有国間の恐怖と緊張を軽視し、軽々しく正義を煽っているからです。(ギャバードのXアカウント、2025年6月10日)
以上
太線は編集部による


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