ゼレンスキーは独裁者の要件を完全に備えている


トランプ大統領は2月19日、ツィートでウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を「独裁者」と呼び、両者の亀裂を深める「口撃」を展開した。これが全面攻撃の口火となった。
この「奇妙な」攻撃に対して、メディアは一斉に反発した。

好戦メディアの筆頭、BBCは、各界の反応をここぞとばかり取り上げた。
…ドイツのオラフ・ショルツ首相ら欧州指導者たちから批判の声が上がった。ショルツ氏は、「ゼレンスキー大統領の民主的正当性を否定するのは単純に間違っているし、危険な行為だ」と述べた。
スターマー英首相は「ゼレンスキー大統領を、民主的に選ばれたウクライナ指導者として支持する」と表明した。そして「第2次世界大戦下のイギリスのように、戦時中に選挙が実施されないのは全く合理的だ」と、付け加えた。
スウェーデンのウルフ・クリステション首相も、トランプ氏が「独裁者」という言葉を使ったことを批判した。
スウェーデンのウルフ・クリステション首相も、トランプ氏が「独裁者」という言葉を使ったことを批判した。
ウクライナのアルセニー・ヤツェニュク元首相は、「ウォロディミル・ゼレンスキーは完全に、合法的に選ばれた大統領だ」と述べた。

あたかもトランプが嘘をついているかのような論調だ。また選挙をやらないまま任期が切れて、それでも大統領の座に居座り続けていることを独裁者と呼ぶ根拠にして、トランプが非難しているようだが、これも違う。ゼレンスキーは在任中に戒厳令を利用して11の野党を追放して議会を無力化した。こういう政治が独裁でなくてなんと呼ぶ。

なお旧ソ連以下、いわゆる社会主義国のほとんどは共産党以外の政党の活動を禁止し共産党独裁となっている。これが良いこととは決して思えない。
これは、マルクス主義の用語で資本主義の政治的本態をブルジョア独裁と規定し、これに代わる社会を過渡期政治形態としてプロレタリア独裁と呼んだことに起因する。
これが、うんと平たく言うと共産党の一党独裁というふうに歪曲されたのである。
とは言っても、なかなか国民にこれを飲み込めとは言いにくい。それをスターリンのせいだといえば、それはマルクス主義ではなく宗教だ。
一時これをプロレタリア執権と言い換えたこともあるが、結局なんということはないブルジョア民主主義からコミューン型民主主義への転換というのでよいのではないか。

ついでながら、バンス副大統領はミュンヘンでの講演で「自由なくして民主なし」といい、無政府主義に近いリバタリアニズムを唱えるが、それは強者の自由主義であって、ジャングルの掟と裏腹の関係にある論理である。
弱者の自由を守るには社会の関与と保護が不可欠である。自由を育む能力は強力な保護と強力な方向付けのもとで生まれる。