WSJ 日本語版(11月 27日号)などから作成
教会は弱者救済を―ローマ法王、経済的不平等を批判
11月26日、法王就任後8ヶ月を経たフランシスコ・ローマ法王は、初めての使徒的勧告を発表した。
私註 使徒的勧告(Apostolic Exhortation)は回勅(Encyclica)と並ぶ教皇文書。
「喜びの福音」と名付けられたこの224ページの文書は、フランシスコ法王が新法王に選出されて以降強調してきた多くのテーマをまとめたものだ。
喜びの福音: Evangeli Gaudium
1.貧困者について
教会は聖職者としての使命をさらに深く追求しなければならない。社会の最も弱い人々、とりわけホームレス、麻薬常習者、難民、移民、そして高齢者に対するケアに着手しなければならない。どうして高齢のホームレスが野ざらしにされて凍え死ぬことがニュースにならず、株式市場が2ポイント下がっただけでニュースになるのか
飢えている人がいる一方で食べ物が廃棄されているのをどうして見過ごし続けられるのか
2.教会の役割
カトリック教会のメンバーが改めて貧者に的を絞って活動するよう訴える。
弱者集団に手を差し伸べるにあたって、教会は傷つき、汚れると覚悟しなければならない。なぜなら、貧者を支援するためには保護された、壁に囲まれた安全な場所(教会)にとどまるのではなく、街頭に出なければならないからだ。3.不平等のシステム
「勧告」は、不平等と社会的不公正を糾弾している。
現代世界の大きな難題として、途方もない所得不平等を生み出している経済システムがあります。それは抑圧され疎外された人々を「落伍者」として放置しています。市場や金融投機活動の絶対的自律性を拒絶し、不平等の構造的問題にメスを入れるのではない限り、貧困問題やその他世界で生じている諸問題の解決は導かれません。
現在の経済システムはその根本において不公正であり、その理論は市場と金融上の投機の絶対的な自立を守るためのものです。
この種のシステムは、自らの法と規則を一方的に容赦なく押しつける“新たな専制政治”を生む危険性があります。
4.不平等を支えるイデオロギーへの批判その上で、下記のごとくイデオロギー問題へ踏み込んだ。
自由市場の恩恵による経済成長のためには、トリクルダウン理論による経済活動を継続していくべきだと主張する人々もいらっしゃいますが、このような考えは 今まで一度も実際に(真実であったと)確証されたことはありません。
経済的な力のある人は(上手く働くと)考えています。それは彼らの良心に対する大雑把で楽観的な信頼に基づいています。しかし実際には経済活動が排他的になる可能性は未だに存在して います
トリクルダウン理論は、荒々しい経済的パワーを持つ者たちに正当性を与え、現在の経済システムの機能を神聖化しています。
5.排除と不平等の経済に『汝向かうなかれ』
最後に教皇はグローバル資本主義への攻撃に着手するよう呼び掛けています。
今日において私たちは、排他的な経済活動、不平等な経済活動は人を殺すことにつながると言わざるを得ません。
『汝、殺すなかれ』との命令にあるように、人類のいのちを尊び、人間生活の価値を守っていくためには明確な限度が必要です。
まさに同じように、われわれは今日、排除と不平等の経済に『汝向かうなかれ』と言わなければならないでしょう。
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