鳥畑さんの記事に戻ろう。
鳥畑さんは現在の金融政策の実態を典型的に示すものとして4つの数字を上げた。
それは
1.ハイパワード・マネーがGDP成長率をはるかに上回る速度で増加していること。
2.それをはるかに上回る速度で日銀当座預金が増えていること。つまり発行された日銀券の大部分が日銀当座預金に吸収されていることを意味すr.
3.これは日銀が長期国債を買いまくっているからであること。日銀はさらにこれを続けるつもりであること。
4.その結果、ハイパワード・マネーのマネーフローに占める割合が高くなっていること。
そして、貨幣乗数の低下、つまりハイパワード・マネーのマネーフローに占める割合が高くなっていること、要するにハイパワード・マネーがハイパワーでなくなってきていることを以って、「流動性の罠」を示す数字だとしている。
ここはそう直線的には行かないのではないか。
鳥畑さんによれば、
貨幣乗数の低下は、ゼロ金利政策を導入した先進国で共通して発生しています。ゼロ金利政策の下では、「流動性の罠」によって量的金融緩和の効果が失われると指摘されています。またデフレ下では金融緩和効果が失われるとも言われています。
ということになっている。
悪いけど、これはまったく別の話題だろう。しかもこの文章、全て伝聞系で、業界筋のうわさ話の聞き書きにすぎない。
時系列で見ていこう。
貨幣乗数の低下はゼロ金利にあるのではない。資金の投資先がないからだ。つまり需要の先細りか、生産過剰かに原因がある。
金利を下げることによって投資意欲の振興をはかっても、もう動かなくなってしまったからこそ、次の手段として量的緩和が出てきた。
バーナンキ風に言えば、「ごちそうさま」といって食おうとしない連中でも、口からキャッシュを押しこめばいずれ吐き出すだろう、ということになる。
ところが資本家連中は第二の本能を露わにし始めた。稼ぐ欲望ではなく貯めこむ欲望である。産業資本家としての本能を捨て、カネをひたすら溜め込み続けることによって、彼らは飽食時代に適応し始めた。
こうなると、いくらカネをつぎ込んでも吐き出さなくなる。タクラカマン砂漠は沼地になるまで水を吸い続けるのである。
と、これはQE、QE2、QE3の本質である。クルーグマンがこれをジャーナリスティックに「流動性の罠」と呼んだに過ぎない。(量的緩和、聞きかじり)
日本における「異次元の金融緩和」はそのレベルに留まるものではない。その本質は国債破壊であり、貨幣乗数で言えば分母の方に問題がある。
どうも鳥畑さん、ピンぼけだ。
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