小田氏の解説で、ボルカールールの核心は“自己勘定取引の禁止”だということが分かりました。

バーゼルⅢの分析でも、「トレーデイング勘定が乱用され、リスクの高い資産をトレーデイング勘定に計上してレバレッジをかけていた。ここで損失の大半が発生した」とされており、自己勘定取引という仕組みがどうも悪の根源のようです。

もう少し力を振り絞って、自己勘定取引 (proprietary trading) の勉強をします。


まずは【WSJで学ぶ金融英語】第7回 自己勘定取引 http://jp.wsj.com/ed/finance_eng/100215.html

自己勘定取引」とは、金融機関が自らの資金(自己勘定)で自社の運用資産の効率を図るためにリスクを取って市場で行う取引のこと。

自己勘定取引」について定義をめぐる議論が生じている。

とくに「マーケット・メーキング」と呼ばれる取引が自己勘定取引に含まれるのかどうかが焦点となっている。

「マーケット・メーキング」というのは、顧客の注文に対して金融機関自らがその相手方となって売買を成立させる取引である。つまり自己勘定ではなく対顧客取引である。しかし不思議なことに、本来は対顧客取引であるにもかかわらず、対顧客以外の取引を行うことも許可されている。


要するに銀行が手持ちの金を使ってディーラー商売を始めたということです。ただし自らの資金には「預金」はふくまれません。

私たちのこれまでの常識から言えばとんでもないことです。銀行といえば堅い商売の代名詞みたいなものです。銀行員といえば石部金吉と昔から相場が決まっていました。ヤクザまがいの株屋ごときとは対照的な世界だったはずです。

マーケット・メーキングというのは、詰まるところレポ取引のことで、これ自体、銀行の正常な本来業務とはいえないものです。

ボルカーの言うように、理念が大事なのであって、まず銀行が「襟を正す」ことが出発点なのです。手立てだけではいくらでも抜け道は作られることになります。最初は非合法すれすれであっても、みんながやり始めれば世間の常識になっていく。それがリーマン・ショックだったのでしょう。

だからいまは「疑わしきは罰す」という態度が必要だと思います。


次は 証券用語辞典 のディーリングの項目

ディーリング(dealing)とは、有価証券の取引に関して、証券会社が自己勘定を使って市場での売買取引を行うこと。

従来、証券会社が投資家から依頼された取引を仲介業務として顧客勘定で行うブローキング(broking)と明確に区別されていたが、最近では、より広い 意味でこの言葉を使う傾向があり、証券会社だけでなく銀行や機関投資家が自己の利益の確保をねらって大量の資金での短期売買を市場で実行する場合も含めて ディーリングとよぶことが多い。


ということで、もはや銀行が自分の金と他人様のお金との見境もつかなくなっていることが示されています。

Fx をやっている人のブログを見ると、そもそも20世紀型の商業銀行などいまどきお呼びではない。融資先は先細りし、このままでは銀行は死を待つばかり、という厳しい状況があるのだそうです。それというのも、ローリスクの五つ星の会社がみんなマネーゲームに手を出して、それで自己資金を確保するようになっているからだそうです。要するにいたちごっこですね。

私たちたちは、その先に何があるのかを見据えていかなければなりません。