下記の記事は、先月9月20日に発表されたものであり、駐日ベネズエラ大使館の紹介を通じて入手したものである。筆者の責任で内容を要約してあるため、正確には原文をご参照願いたい(同大使館ホームページにて閲覧可能 20180920 PUNTOS INFORME EXPERTO ALFRED DE ZAYAS)

国連人権委員会  独立専門官・アルフレド・デ・サヤス
「ベネズエラにおける人権状況についての報告」  

1.ベネズエラに対する非人道的制裁

ベネズエラでは経済制裁により、経済危機が深刻化し、食料や医薬品の生産と分配を歪め、死者が発生し、大量の移民が生まれています。
またこのような状況のもとで、人権侵害も発生しています。
とくに2017年11月に、注文された抗マラリア薬の発送・供給をコロンビアが拒んだこと、国際社会がこれを容認したことは危機の深刻さを示しています。
(代替抗マラリア薬はインドから輸入され事なきを得ました)

2.その他の薬剤不足

米国、カナダ、EUはベネズエラに一方的制裁を課しています。その結果、インスリンや抗レトロウイルス薬といった薬剤の不足が直接的・間接的に深刻化しました。

3.新たな追加制裁の動き

米国はベネズエラを締め上げるために、新たな制裁の法令を考えています。そして準備を始めています。

4.一方的制裁が深刻な経済的影響をもたらしている

ベネズエラでは多くの失業が生まれ、その結果、隣国への移民が発生しています。
その主な理由は一方的制裁や金融封鎖にあること、それらが経済危機を深刻にしたためです。このことは十分な証拠を持って証明できます。

5.経済制裁はこれまでも行われてきた

このような一方的制裁は、チリのアジェンデ政権、ニカラグアのサンディニスタ政権などに対して行われてきました。
今回の制裁はそれらに匹敵するものになっています。

6.メディアは慎重でなければならない

メディアは不安を煽るようなキャンペーンを繰り返しています。それを通じて、ベネズエラには「人道危機」が存在するとの先入観が植え付けられています。

このような誇張表現には慎重でなければなリません。

なぜなら「人道危機」は、軍事介入の口実として不適切に使用され得る専門用語だからです。

7.ベネズエラ国民への国際的な連帯

ベネズエラにおける現在の物資不足を軽減するためには、自由な食料品・医薬品の流通が必要です。

そのためには国際的な連帯が必要です。それは人道的な連帯です。政治的なものである必要はありません。

8.ベネズエラ危機は人道危機ではない

ベネズエラは経済的危機にありますが、中東やアフリカ諸国とは異なり人道危機にあるわけではありません。

国連食糧農業機関(FAO)の報告では、世界37カ国で食糧危機が列挙されていますが、ベネズエラは含まれていません。

9.政府は頑張っているが、制裁が足を引っ張っている

ベネズエラ政府は重大な経済危機に立ち向かっています。

国際的な援助を求め、経済を多様化し、負債の再編を試みています。

しかし、一方的制裁はこれを妨げています。医薬品や種子の輸入を妨げるなど、状況を悪化させるのみです。

10.独立専門家サヤスの国連総会への勧告
 
国連総会の名において、キューバ決議とほぼ同様の意味付けで「ベネズエラ制裁は国際法及び人権法に反する」と宣言することを勧告します。