2019/8/26付 日本経済新聞の「経済教室 コラム」という記事に、「アフリカ開発会議の課題」という記事が載った。大塚啓二郎さんという人の書いたものである。
副題は「工業化成功、カイゼンが鍵」となっているがこちらは省略する。

要するにアフリカの問題は次のような点にある。と、ある意味バッサリ切り捨てているのだが、一応それなりに説得力はあるので紹介はしておく。

サブサハラの21世紀の発展は2つの期に分けることができる。
①2010年まで
この間GDPは+5%をキープした。しかし人口が+3%のため、一人あたり成長は+3%にとどまった。
②2010年以後
GDP成長率は徐々に低下。最近ではマイナス成長となっている。

経済停滞の原因は工業化の失敗にある。製造業の比率は10%を前後して停滞している。
農業は雇用の受け皿とならず、農村は過剰人口を生み出す。
その結果農村を押し出された若者は、都市での低劣なサービス産業に入るしかない。

先進国の支援はインフラ整備に集中しているが、まったく役に立たず、壮大なゴミと化している。
開発経済学は間違っている。それは起業家の不足と経営の非効率性を無視あるいは軽視したことである。

後はカイゼンの我田引水的宣伝が延々と続く。


違うでしょう。
「先進国の支援はインフラ整備に集中」したというが、それは間違いではなくて、それ自体が目的だったんでしょう。

「対外援助」を食い物にする重厚長大産業と、経産マフィアがつるんでやってきたことでしょう。
だから「カイゼン」なんかでそれを改善しようというのは筋違いも甚だしい。

「ヒモ付きでなく真水の支援を重視し、支援の現場の声を優先し、経産省の干渉を排除する政策を取っていれば、いまごろ日本は援助大国になれたはずだ! 」と、連帯運動家としては思う。



流石に日経の記事はいただけないなと思っていた所、
2019.08.29 朝日新聞Globe に
という記事があった。著者は白戸圭一さんという人だ

数年前から目立ち始めた新しい「アフリカの伝え方」がある。それは、アフリカにおける中間層の増大を強調し、消費市場としての明るい未来を訴える論調である。

その根拠はアフリカ開発銀行(AfDB)が2011年に刊行した報告書である。

しかしこの報告は「1日当たり消費額」という胡散臭い数字に基づいている。
①貧困層 2ドル未満
②流動層 2~4ドル未満
③下位中間層 4~10ドル未満
④上位中間層 10~20ドル未満
⑤富裕層 20ドル以上
というのが分類で、これだけでもウッとくるが、さらに②流動層もふくめて「中間層」と定義する。
そうすると「アフリカには2010年時点で約3億2600万人の中間層が存在する」という結論が導き出される。総人口の実に3割以上である。

物価水準の違いがあるにせよ、これは「悪い冗談」に近い。

世界銀行は、1人1日当たり消費額1.9ドル未満の人々を、「衣食住や健康面で限界に直面している極度貧困層」と定義している。

白戸さんがILOのデータを使って分析した所、中間層の絶対数こそ増加したものの、貧困層が圧倒的多数を占める階層構成に変化はみられない、という結論であった。

最後に、白戸さんは現地にスタートアップ企業を立ち上げた長谷川将士さんの意見を引用している。

「経済指標を用いる場合は適切に、尚且つ適用する国の社会背景まで理解して用いなければ、誤解するリスクは跳ね上がるだろう」

ようするに現状ではまだまだ、珠盤づくでやれるような貿易は期待できない。しかしその国の発展を真剣に考えれば。支援だけではないビジネス的な展開もありうる、ということだろう。