鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

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キーワード:ベネズエラを含む記事

ベネズエラ関連情報で、いつものごとく新藤さんによる提供。

赤旗のベネズエラ記事

8月6日、 しんぶん「赤旗」は、大要次の通り論評した。
グアイドーを支持する野党連合の 27 政党は12月予定の国会議員選挙に参加しないと発表した。
『不正選挙には参加しない』との態度を表明した。
さらに『ベネズエラは人道危機にあり、犯罪的、抑圧的な独裁が支配している。自由で透明な国際的な監視団による選挙が必要だ』と強調した。
選挙管理委員会を任命するのは、国会の役割だが、政府の意を受けた最高裁が勝手に任命した。このように最高裁を野党封じ込めに使うのは政府の常套手段だ。
「赤旗」は野党27 党の一方的な声明を詳細に引用する一方、与党側の反論意見は無視している。そして最高裁についても事実上政府の言うままだと批判している。


ベネズエラの現実と真実

現在野党(右派)は、主要4 党と7つの小政党併せて11 党が、選挙反対野党になっている。

主要4党は、それぞれが選挙参加派と不参加に分かれている。6つの小政党は、選挙に参加し言論で闘う姿勢を示している。

これに対し与党(左派)は政権政党である社会主義統一塔を中心とする10の政党の連合であり、「拡大祖国戦線」(FAP)を名乗っている。そこにはベネズエラ共産党もふくまれている。

yorontyousa
           新藤さんの記事より転載

最近の世論調査では、27党合わせた野党の支持率は、与党連合の75%にしか達しない。

選挙ボイコット派は、このことをよく承知しており、敗北を隠すために選挙をボイコットするのである。

野党勢力減退の理由

与野党勢力比が日本での印象とかけ離れているのは、この数年間の騒ぎが決して国民の支持の下にあったのではないことを示している。

これは過去の与野党得票比を見れば分かる。

過去において両者が拮抗した場面はいくつかあった。しかし現在の力関係はチャベス最盛期のそれに近い。


“難民”は、実はコロンビアからの出稼ぎ者

此処から先は鈴木の個人的な考えである。

“難民” は、この間に経済危機で生活の糧を失い、故郷コロンビアに戻った“ベネズエラ人”の数を反映している。

各種統計で数百万と言われる“難民”には、実は帰るところがあった。だから数百万を受け入れる難民キャンプはついに形成されなかったのである。

難民がどこにどうやって流れたのかについての統計はない。コロンビア政府が発表していないからだ。国連人権事務所や人権NGOも、これについて口をつぐんでいる。

難民はベネズエラに来たコロンビア人である。その多くは都市での不安定職業に従事し、上流階級のためのハウスキーピングを生業としてた。

彼らがもっとも強固な野党支持者であったことは納得しうるし、不況下にあってまっさきに職を失い、国を去ったことも容易に想像しうる。

つまりは上流階級による“資本家ゼネスト”のとばっちりをモロに被ったことになる。もちろん彼らを供し続けることができなくなった上流階級の弱体化も反映しているのだろう。

これが与野党支持率のドラスティックな変化を説明する理由である。

ただし、今の所、それ以上の根拠は持ち合わせていない。


選挙ボイコットは米国の指示か?

新藤さんが指摘し、かつ赤旗の記事が触れていない重要な情報がある。

7 月28 日に米国務省のエイブラムス・ベネズエラ問題特別担当特使の意見表明である。

新藤さんによれば内容は以下の通り
2019 年の国会議員選挙は、自由で正当ではなかった。それは2018 年の大統
領選挙より、一層悪いもので操作されていた。
そして今回選挙が行われれば、それが一層不当なものになると示唆し、選挙に反対する意志を示した。

これを受けて主要4政党は、選挙ボイコットを発表したのである。

これがベネズエラ議会選挙をめぐる騒動のてん末である。

南アフリカの苦しみに、心添わせよう

本日の新聞で南アに関する記事が、写真入りで大きく取り上げられている。

どんな内容なのかは、見出しだけ列挙すれば大方見当がつくだろう。

“残忍取締り” ネットに記録
都市封鎖下 南ア警察・軍に批判
人権団体がサイト設立
殴打されて死亡

これについては何も言うまい。ただ出所が例によってロイターであることだけ付け加えておく。

私はこの場に南ア大統領のメッセージ(要約)を掲載して対抗したい。


  Cyril Ramaphosa 大統領

最初のメッセージは3月18日に全国に向け発信されたものである。

親愛なる友人の皆さん

世界は、未曾有の規模の緊急事態に直面しています。コロナウイルスの蔓延は驚くほど迅速かつ広範囲です。

それは境界を知らず、老若男女を問わず、先進国と発展途上国を問わず蔓延しています。 

私は昨日、国民非常事態を宣言しました。これにより緊急時の迅速で効果的な対応システムを構築しようとしています。

避けられない経済的影響が出るでしょう。輸出入の減少、観光客の減少、失業の増大などです。


1.緊急対策

多くの緊急対策が実施されます。

危険度の高い国からの入国禁止、多人数の集まりは禁止、学校の休校、港の全面閉鎖など

社会的距離の確保、頻繁に手洗い、咳やくしゃみじのエチケットをれいこうします。

これらの措置は懲罰的ではなく、公共の安全を徹底する課題です。

2.私たちの心構え

幸運は努力と準備を好むと言ったのはルイ・パスツールでした。南アフリカは準備されています。私たちの科学者と疫学者は世界クラスです。

現時点で最大の危険の1つは、無知と誤った情報です。

ソーシャルメディアでは、偽の未確認のニュースの拡散をやめるべきです。これはすでに緊張した国民の気分を悪化させるでしょう。

他の国々で見られた偏見の表現に屈服してはなりません。偏見はすべての人々に影響を与えるウイルスです。 

感染者や、帰国者への思いやりの翼を広げましょう。困っている人やもっとも貧しい人たちを助けましょう。

「寛容と敬意」は、私たちを人として定義している徳です。私たちは、その価値に忠実であり続けます。 

私たちは決意と目的を持って、断固として行動します。我々は克服しなければならない。なぜなら私たちは南アフリカ人だからです。


次のメッセージは8月1日、「コロナウイルスの国内対応について」と題した大統領のメッセージである。

1.感染の現状について

今日の時点で、南アフリカはコロナウイルスの50万人以上の確認例を記録しました。342,461人が既に回復しており、現在152,676件が今も治療中です。

過去2か月間で感染が急速に増加しました。その後、東西ケープ州、ハウテン州で安定して来ているようです。

残念ながら症例数は世界で5番目となっています。一方死亡数は8,153人、致死率は1.6%に留まり、世界平均よりも大幅に低くなっています。
(ただし実際の死者数はこの数値を超えていると思われる)


2.我々の払ってきた努力

過去数か月にわたって、私たちは前例のないリソースの動員を行ってきました。

すべての州で病院が再編成され、監視システムが整えられました。医療従事者がトレーニングされ、大量の保護具が用意されました。

しかし感染の広がりはそれをはるかに越えていきました。


3.南アのもつ対応力の効果的再配分

これから1ヶ月の間に、国内で生産された2万台の非侵襲的人工呼吸器を配置します。

スタッフのための感染防御具の不足と物流の不具合を解決します。

もっとも緊急の課題として、労働者の懸念と不満に真剣に対応します。

また法執行機関に、物資の調達における汚職および不正行為に関する調査を優先するよう動きます。


4.個人および集団の不法な行動の予防

目の前の医療システムを維持するために、いくつかの措置が取られなければなりません。私たちは、質の高いケアをおこなう多くの病院を誇りに思うべきです。

気持ちが荒んでいるために、酒を飲んで略奪したり医療施設などを襲撃するケースが頻発しました。

アルコールの販売を停止したことで、これらのケースは大幅に減少しました。これからも破壊行動が起こる可能性はあります。警戒を続けなければなりません。

マスクを正しく着用し、他の人から2メートルの距離を保ち、定期的に手を洗うことを守ってください。

私はすべての南アフリカ人に、これらの最も困難な時代に強くて堅実であり続けることを求めます。


どちらも南アの現実の一面を切り取っているのかも知れないが、現地を経験した人の視点はどうなのか、伺いたいところである。ひょっとしてベネズエラのように、どちらから見るかでまるっきり景色が違うのかも知れない。


Long Hash のサイトより

Oct 24, 2019 03:10 AM | José Rafael Peña Gholam


はじめに

私の長男アドリアンは、ベネズエラのカラカスで生まれました。

私は一生懸命働きました。そして節約しました。そしてビットコインのおかげで、私はすべての医療費を現金で支払うことができました。

この国を揺さぶる経済危機の真っ只中に、長男アドリアンは首都のまともな民間クリニックで生まれたのです。


ビットコインとの付き合い

ベネズエラに住んでいると、生活自衛の方法を見つけるように駆り立てられます。

そのオプションのひとつが、通貨ボリーバルをビットコインに交換することです。

過去2年間、私は給与のすべてをビットコインで受け取りました。

私はビットコインの動揺性(ボラティリティ)を完全に認識しています。
それでも、超インフレに陥っている通貨ボリーバルよりはるかに安全だと思っています。

一つの例ですが、今年1月に、カフェオレは450 ボリーバルかかりました。
9月までに同じコーヒーが14,000 ボリーバルになりました。(この手記は19年10月に書かれたもの)


出産費用の計算

そんなとき、私は父親になることを知ったのです。その瞬間から、妻と赤ちゃんに適切な治療を受けるにはどれくらいの費用がかかるかを計算し始めました。

民間クリニックの出産費用の相場は、数年前なら500ドルから700米ドルの間でした。しかしその後値上がりを続けています。

私たちが最終的に出産した民間クリニックは、最低でも1500ドル、帝王切開のときはさらに2500ドルが必要でした。

この民間クリニックは最も安価な部類に入ります。

聞いた話ではカラカスの高級診療所では、帝王切開の費用が最高6,000米ドルになるそうです。

ベネズエラの最低賃金は月額で約16ドルです。


なぜ米ドルで話すのか

おそらくあなたは不思議に思っているでしょう:

ベネズエラに住んでいるのに、なぜ米ドル換算で話すのか?

それはインフレのためです。
ここでは、ほとんどの商店が、商品やサービスの価格をドルで設定しています。超インフレから身を守るためです。

何かを買うときは、その日の為替レートをみてボリーバルで支払うか、または直接ドルで支払うことができます。持っている場合ですが。


ビットコインの利息はかなり大きい

私は最初にも言ったとおり、給料をすべてビットコインで受け取っています。ビットコインではなく、ドルで貯金することもできましたが、過去数年にわたって、ビットコインはそれ以上の大きな利息を提供してくれました。

想像してみてください。たとえばボリーバルしか持っていなかったとしたら、ハイパーインフレが原因で随分目減りしていたでしょう。
今日の医療費が貯蓄を上回っていた可能性は十分にあります。

ビットコインを持っていなかったら、妻と生まれてくる子供はどうすることになったのでしょうか。 


公立医療機関の悪い噂

最良の選択肢は、母親と赤ちゃんの世話を専門とする公立産科病院だったでしょう。

しかし、これらの場所は患者で溢れており、一人ひとりへのきめ細かな配慮はほとんどありません。備品不足も深刻だそうです。

これらの公立産科病院についての悪い話を聞いたことがあります。

これらの病院の一部の従業員は明らかに低賃金で働いており、有能な従業員はほとんどいないということです。

これは、妊産婦に対するケア不足や医療ミスにつながる可能性があります。

また、妊婦が数日間も陣痛に陥り、その間胎児一緒に放置されるとか、または疲れた産婦が赤ん坊をベッドから落とすこともあると聞きました。(ここまで来ると流石に信じがたいが…)

妻をこのように扱わせる道はありません。


ビットコインを売るリスク

多額のビットコインを売ることはリスクを伴います。息子が生まれた週にそれを体験しました。

その週、1ビットコインの価格が10,000ドルから8,200ドルに下がったのです。

このような市場の動きは非常にイライラします。私にとってとても不安な週が始まりました。

私は価格が下がるのを見て、次の値下げから身を守るためにステーブルコインに交換すべきか、または、何もせずにビットコインの価格が9月30日までに反発することを期待するか、判断が付きませんでした。

その日が息子の出産代を払わなければならない期限です。

私は待つことにしました。

残念ながら、ビットコインの価格は1万米ドルに戻りませんでした。私は損失を取り、1 BTCに対して8200米ドルのレートで取引をすることにしました。

取引と言ってもドルに変えるわけではありません。取引相手にビットコインを売り、それを対ドル相当のボリーバルで現金化するのです。そして、そのボリーバルで診療費を支払うのです。


ビットコインの現金化

私は人気のあるWebサイトであるLocalBitcoins.comでボリバルとBTCを交換しました。

息子が生まれる前の夜、私はエスクローサービスのあるLocalBitcoinsにBTCを転送しました。あとはクリニックに到着するまでに転送が確認されることを待っていました。

私はある人物との取引を選択しました。
その人は私と同じ銀行を利用し、プラットフォームで良い評判のある人で、わたしに最高の価格を提供してくれました。

この人物はシンガポールにIPアドレスを持っていますが、電話番号はベネズエラに登録されています。LocalBitcoinsのたくさんの秘密の1つです。


ドル交換はヤバ筋?

少なくとも私にとってビットコインを手に入れるのは、ドルを手に入れるのよりはるかに容易です。

まず“LocalBitcoins”にアクセスし、そこで最良のオファーを選択して取引を行います。
合意が成立し送金が完了すればあとは確認を待ちます。こうして仕事場を離れることなくビットコインを受け取ることができます。

ドルと交換するのは別な話になります。まず、私がドルを買いたいと通告しなければなりません。
(これから先はよく分からない。通告先は“my circle of friends and family”であり、彼らはWhatsapp あるいは Instagramのサイト先に存在するらしい)

もしそのサイトでドル売りを希望する人を見つけたとします。私は彼と為替レートについて交渉し、現金を引き渡す場所を打ち合わせる必要があります。(つまり非合法の闇取り引きのようだ)


BTCをボリバルに交換

私の息子の出産の場合、BTCをボリバルに交換するのは、妻の陣痛が始まった朝に行われました。

これは私にとって非常に危険な動きでした。

なぜなら時間通りに、私が診療所に支払うのにいくつも障害物があることがわかっていたからです。

取引を始めた人が反応しない可能性とか、もっと悪いことに、私の銀行が多額の送金を不審に思いブロックするのではないかとか恐れました。

私の取引相手は、同じ銀行の4つの銀行口座から、金額が異なる6つの送金を送信してきました。おそらく、1つの送金だとブロックされてしまうを回避するためでしょう。

通貨ボリーバルを受け取った後、診療所への支払いに取り掛かりました。

私はそれを2つの銀行振込に分けて問題なく行うことができました。


ビットコインは私を救った

最後の転送を終えて、私が感じた安堵と喜びは息子に会った最初の瞬間の喜びを完全に超えていました。

診療所に支払う費用負担はすべて瞬時になくなりました。

私はビットコインを使用して、自分のやりかたで出産費用を支払うことが出来ました。私はそれを誇りに思い、幸せに思いました。


ビットコインの貯蓄のほとんどを手放すのはつらいことです。しかしこの際は、息子を安全に出産させ、母親にきちんとした治療を提供することがより重要でした。

私は2月の記事で「ビットコインはベネズエラを救わない」と書きました。


いまでもその思いは同じです。

  しかし、この体験で、ビットコインが自分の生活の中でいかに重要であるかがわかりました。

わたしはビットコインのおかげで、ベネズエラのハイパーインフレと戦い、貯蓄を積み、短時間に多額のお金を支払うことができました。

たとえば、必要なものをビットコインの代わりに金でやり取りすることを想像してみてください。

ソーシャルメディアで、ビットコインは市場の憶測以外には何の役にも立たないと言っている人がよくいます。

深刻な経済問題やハイパーインフレのない国では、おそらくそれは本当です。

しかし、経済が機能不全に陥っているベネズエラのような国は、ビットコインは巨大な可能性を示しています。

私の息子の誕生の物語はその実例です。


6月22日 日本経済新聞
中村亮「米軍トップ、辞任よぎった夜 『親トランプ』の苦悩」

がとても面白い。見てきたような話ではあるが…

6月1日、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は、合衆国憲法修正第1条は「表現の自由」を盾に、デモ鎮圧のために米軍動員を求めるトランプ大統領に激しく抵抗した。

激論の末、ひとまず軍動員の回避に成功したが、警官隊がデモ隊を強制排除したあとに、ミリー議長は戦闘服姿でトランプに随行するハメになった。

ミリー

その日の夜、ミリー議長はメディアやネットで、自らの行動が「軍による政治介入」などと集中砲火を浴びるのを目のあたりにした。

批判者の中にはマティス前国防長官などの米軍OBもいた。ミリー議長は周辺に辞任の是非を相談するまでになった。

息をさせて
    ベネズエラ制作のポスター(We hope というのが良い)

話は10日後に飛ぶ。

6月11日、ミリー議長は国防大学の卒業生に向けた祝辞で、「私はあの場にいるべきではなかった」と述べた。

それはホワイトハウス前で軍服を着てトランプ氏に随行したことをさしている。

さらにミリー議長は「みなさんもこの誤りから学んでほしいと私は切に願っている」と言葉を続けた。

しかし、話はこれでおしまいだ。
辞任もしなければ、トランプと決別もしていない。トランプは慰留に入っている。
周辺情報によれば、ミリーはトランプ派の高級将校として軍に送り込まれたらしい。その結果、かなりの特進を経て現職についたようだ。
勘ぐれば、あんな写真がでかでかと出て、軍の反人権派のトップとして扱われたことに対するエクスキューズかとも取れる。
だから、問題はミリーの良心ではなく、統合参謀本部議長さえ一夜にして辞任間近に追い込むほどの民衆の圧力なのだ。
そしてコロナさへなければこれほどにはならなかったろうという、両者の社会心理学的な連結について思いを致すことだ。


かなり長めのまえがき

仮想通貨「ペトロ」の行方は日本のメディアからはさっぱり浮かんでこない。

実はベネズエラの仮想通貨はきわめて興味ある歴史的実験なのである。それはペトロが最初の国家の運営する仮想通貨だというためであるが、もう一つは、そもそもビットコインをふくむ仮想通貨が一般通貨を乗り越えるほどに通用し、それがドル支配体制を乗り越える可能性があるのかという話だ。

だからこそ米国は仮想通貨を犯罪視し、ベネズエラのペトロ運営責任者を国際犯罪者として敵視するのである。

ペトロに関して重要な日本語記事は2つある。一つはロイターの敵意に満ちた記事であり、もう一つはサンパウロの日経特派員の同じく敵意ある記事である。

それ以外の記事は、断片的ではあるが、好意的な印象で書かれているものも多い。その多くは仮想通貨の当事者であり、ベネズエラの積極的な試みが将来に向けての試金石になってほしいという願いを込めたものとなっている。
それらを時系列風につなぎ合わせてみた。

作った後の感想だが、実はベネズエラのハイパーインフレを止めたのはビットコインだったということである。ビットコインはペトロとは違うが仮想通貨であり、その代表である。
Coindance出典:
   ビットコイン購入量の変化(Coindance出典)

この図が見事にインフレ収束とビットコインの関係を示している(左クリックで拡大)

つまりベネズエラの国民は、わずかでも蓄えを増やす経済力のある人々は、通貨ボリーバルが手に入り次第、それを片っ端からビットコインに変えていったわけだ。
そうして必要なときはそれをボリーバルに変えて買い物をすることになる。これで通貨発行量は激減する。承知の通りベネズエラのハイパーインフレは物資不足よりも投機に基づくものだったから、多分投機筋は相当痛い目にあって市場から撤退していったのではないか。

そう思うと、なにか大きな力がアメリカの圧力に対して、ズリッズリっと押し返し始めているような気がしてくる。

ビットコインは相当上下の激しいものだから、普通なら素人が手を出すものではない。しかし十万、百万というインフレに比べればはるかに安全だ。しかも、ここが大事なところだが、アメリカ政府の思うような動きには決してならない。

アメリカはベネズエラ政府をいじめるに際してマドゥロ派ではない一般国民までもいじめ抜いた。それがやりすぎると国民をビットコインの方に押しやってしまうことになる。ビットコインで生き抜いた人々は絶対にアメリカのドル支配を認めないだろう。

とはいえ、それがドル離れのきっかけにはなってもペトロの側にやってくるとは限らない。要するに庶民はもう政治なんてたくさんだと思っているのではないか。

今後ペトロが国民の間に根付いていくのには、それなりの知恵と、何よりもそれなりの年月が必要だ。しかし国民はもはや決して親米の方向には動かないだろう。

国民はハイパーインフレに苦しむ人々を前に、1千万%などと予想を立ててニヤニヤと笑い済ましていたIMFの連中を許さないだろうし、早く潰れろ早く潰れろと囃し立てていたロイターやBBCのことを信じないだろう。もうひとこと言いたいが、それは我慢する。 

ペトロに関する時刻表

2017年

8月25日 トランプ政権、ベネズエラに経済制裁を発動。米金融機関に対してベネズエラ国債とPDVSA社債の取引を禁じる。

12月3日 マドゥロ大統領、ベネズエラ政府として仮想通貨「ペトロ」(Petro)を導入すると発表。

1ペトロは1バレルのベネズエラ原油代金に対する購買券である。ペトロ保有者は暗号資産取引所で一定の“為替”レートで、ほかの仮想通貨やベネズエラ通貨と交換できる。

12月4日 ワシントン・ポスト、「ベネズエラ全国民が、1万1500ドルの年間所得をすべてビットコインに投資していたとすれば、1人当たり84億ドルの価値になっていたはず」だと論評。

2018年

1月6日 ペトロ発行計画の詳細が明らかになる。通貨の信用裏書きとして53億バレルの原油を割り当てる。これは当時の原油価格で2670億ドルに相当する。

1月6日 マドゥロ大統領、引き当て原油の財源はオリノコ重質油帯のアヤクーチョ油田1だと述べる。
アヤクーチョ油田は埋蔵されているというだけで、稼働しているわけではない。開発計画も整っていない。(ただしロイター記事)
2月 ベネズエラ、仮想通貨「ペトロ」のプリセールを開始。月末のマドゥーロ発表では、127ヶ国の機関投資家による171,015件の購入が認証され、価格にして30億ドルを調達したとされる。

3月19日 トランプ大統領、Petroの使用や購入の禁止を命令。

8月20日 法定通貨のボリバル・フエルテから新法定通貨ボリバル・ソベラノに移行。通貨単位を10万分の1に切り下げる。同時に3600ボリバル・ソベラノを1ペトロ(60ドル)に紐付ける。

10月1日 マドゥロ大統領、ペトロの国民への販売を開始すると発表。
ペトロ計画の意義を強調。ドル依存の国際市場に一石を投じ、国際市場の健全化・多様化を実現すると語る。さらに、国内のダイヤモンド鉱床やアルコ・ミネロ金鉱も割り当てるとする。
10月31日 ペトロ、米ドルなどのフィアット通貨?や一部の仮想通貨で購入可能となる。


2019年

1月14日 マドゥロ大統領が経済改革案を発表。国営企業が売上高の15%をペトロで販売するよう指示。

2月 ポンペイオ国務長官、イングランド銀行のベネズエラ外貨準備12億ドルを凍結するようイギリスに要請。

11月 この時点でペトロを受け付ける企業は400社にとどまる。多くの商店がペトロの受け取りを拒否。

11月20日 米国の制裁のため2019年の原油抽出を削減。PDVSAは批判に答え、裏づけ資源となる原油を50億バレルから3000万バレルに減少させる。ペトロの維持に疑問の声が高まる。

12月 ベネズエラで、公務員ボーナスにペトロを配布。一人0.5ペトロで原油価格に換算して3300円に相当する。

ペトロアップというサイトに登録し、そこに送付・受領される仕掛け。

2020年

1月 政府、昨年度のインフレ率が7374.4%だったと発表。18年の約170万%から大幅に鈍化。IMFは1000万%と予測していた(残念だったね)。

この間ビットコイン取引高が急増。通貨シフトにより、ボリーバルへの依存が減ったため。ただしビットコインとボリーバルとの交換は進んでいない。

1月2日 マドゥロ大統領、「我々はすでにベネズエラ産の鉄や鉄鋼をペトロで販売している。今後は石油もペトロで販売する予定だ」と語る。

1月 マドゥロ大統領、ペトロを使用するカジノをオープンすると発表。収益はベネズエラの公衆衛生および教育部門に分配される予定。

チャベス元大統領は売春、麻薬、犯罪などの温床になるとして、すべての賭博施設を閉鎖していた。

4月 ベネズエラの仮想通貨取引所Criptolago、インターネットを介さない送金システムを開発したと発表。これによりペトロのみならずビットコインも送金可能となる。

6月1日 政府、ガソリンの補助金を撤廃。代わりにペトロで支払いを行えば割引を行うと発表。
これはかなりの名案と思う。かねてより問題となっていたガソリン補助金の撤廃とペトロの普及が一石二鳥という仕掛けだ。もっともこういう美味しい話には裏があるのが普通だが。
6月2日 米政府、ベネズエラの仮想通貨事業の最高責任者であるラミレス・カマチョ氏を「最重要指名手配リスト」に追加する。

6月15日 ガソリンスタンドでの支払いの約15%がペトロにより行われたと発表。




白い民主主義からすべての色の民主主義へ

1.米国における「4つの差別」

今日の赤旗日曜版で、アメリカ人評論家のジョン・フェファー氏が重要な発言をしている。

黒人男性殺害事件で米国内がこれほどまでに沸騰しているのは、「4つの差別」が背景にあるという。

第一に、警察による人種差別である。今回の事件につながる警官の暴行は系統的で、明らかに人種差別という点で共通している。

第二に、いのちの人種差別である。米国の新型コロナは明らかに有色人種を狙い撃ちしている。それは有色人種の健康や医療が体制的に保障されていないためだ。

第三に、経済差別である。失業率が大恐慌以来最悪の水準に達し、貧困層を直撃している。なかでも都市の有色人労働者がその標的となっている。

第四に、政府による差別である。それはトランプ大統領が関係しているが、それにより連邦政府のこれまでの政策が、差別を助長する方向に歪められていることを見逃すことはできない。

つまりアメリカの伝統的民主主義が、4つの差別を内包しているということになる。

2.白い民主主義の歴史的限界

実は、フェファー氏のいう4つの差別のうち第4点については、私がかなり拡大解釈している。

私は、トランプの差別主義、ひいてはトランプの登場を許してしまったアメリカの民主主義の弱点が問題の歴史的根源にあると考えるからである。

これはアメリカだけが抱える問題ではない。16世紀以降、世界に進出し植民地化し、支配してきたヨーロッパ白人社会が共通して抱える問題だからである。

それを厳しく表現するなら、「白い民主主義」の持つ本質的限界が露呈された象徴的事件ということができるだろう。

私は決して「白い民主主義」の歴史的役割を否定するわけではない。

とりわけ反ファシズムの闘いの旗頭となったルーズベルト大統領のもとでのニューディール政策が、戦後の世界秩序の形成に果たした巨大な役割は巨大なものである。

にもかかわらず、それが非白人の差別の上に成立した民主主義だということは動かしがたい事実であり、そこには超えなければならない歴史的限界があるということである。

2.白人民主主義は人種差別に関して寛容だ

白人民主主義は白人優位に執着している。その結果非白人の社会進出は抑制されている。それは歴史的経過と社会の現実を見れば明らかである。

だからどんなに優れた民主主義であっても、すべての人種に開かれた民主主義にそのまま移行することはできない。それどころか「最悪の民主主義」に移行する危険もある。

この「最悪の民主主義」は、内部的には民主主義そのものであり、その担い手に悪の意識を持たせない分、救いがたいほどに最悪なのである。

20世紀は西欧諸国に民主主義(法の下の無差別平等)の考えが広まった世紀であると同時に、植民地主義と選民思想が風靡した世紀でもあった。両者は共存しうるのだ。


4.すべての色の民主主義を

白い民主主義の軛を抜けすべての色の民主主義の世界に移行する社会的実践は、すでに多くの経験を積んでいる。

その最大の経験は第二次大戦後の植民地解放闘争だ。これらの国(アジア・アフリカ)では白人の植民主義者を追出し、白人民主主義をモデルに自国民の国家を作り上げた。

白人植民者とその子孫により支配層が分厚く形成されている国では、さまざまな移行形態が試みられている。

人口の多くを先住民や混血が占める国では、「民族解放闘争」の旗印が掲げられることもあるが、大事なのはその形態ではなく、非白人系(多数系)のイニシアチブのもとでの民主主義国家づくりという方向性であろう。それなしに差別からの自由は実現し得ない。「解放」(Liberation)というのはそれを目指しているものと考えられる。

この運動の先頭を担っているのがベネズエラの革新政権だろうと思う。(すみません。体調不良にて脳みそがスタミナ切れしました)

1.超帝国主義はまやかしだ

ネグリの「帝国」はGAFAMのことであろう。当時はまだ正体がわからなかったから、ヘッジファンドとか言っていたが、ようするに新自由主義の発達に伴って、これまでの多国籍企業の枠を超えた超国家的権力が生まれつつあるということだったのだろう。

この考えは2つの点で、大間違いだとうことが分かった。

第一にGAFAMの下に生まれつつある超帝国主義は資本の持つ悪意が極度にまで進展したものだということ。
決して資本主義の進歩した形態ではなく、もっとも腐朽した形態なのだ。

第二に、GAFAMは国籍を持ち、母国によって守られているということだ。
それがもっとも端的に現れたのが、租税回避をめぐる国際論議だ。米国は諸外国におけるGAFAM課税の動きを恫喝し、自国への還流を策している。

つまりGAFAMは超国家権力ではなく、アメリカ帝国主義の一部であり、そのバーチャルな表現なのだ。

2.新自由主義とグローバリスムは厳密に使い分けられなければならない

両者の意味は、少なくとも経済学的にはまったく異なる。しかしその言葉の指す現実社会の領域が類似しているので、しばしば混同される。中には意識的な混同もある。

これはグローバリズムという言葉が多義的であることに原因がある。また新自由主義も学説としてのマネタリズムという他に、主として米財務省が打ち出した国際貿易、金融政策という意味があって、これも意識的に混同される。

新自由主義政策のマニフェストは、ワシントン・コンセンサスである。

これは以下の条項を原理とする
1.資本の移動の自由
2.通貨の交換の自由
3.労働の移動の管理と制限

繰り返しになるが、もう一度確認しておきたい。

「世界資本主義」は、労働の自由と労働者の移動の自由が確保されない限り幻想である。それはアメリカ帝国主義に対する幻想である。


3.マルティチュードと新中間層

とはいえ、先進国や一部の新興国では資本の一定の蓄積のもとで、中間層が形成されつつある。

以前から、こうして形成される新中間層とは何なのかがずっと気になっていた。

去年ニカラグアを訪問したとき、政権を支えるヤング世代の人々の存在が非常に気になった。

サンディニスタ革命40周年というから2世代経過している。サンディニスタが政権を降りてから30年だ。つまり35歳以下の人々、すなわち人口の圧倒的部分はサンディニスタの闘いを知らない。

彼らの多くは2006年、ダニエル・オルテガが大統領に再選されて15年の業績で判断しているのだ。
関係者の話をいろいろ聞いて分かったのは、彼らには定職があり、それは、生活は厳しいが誇りを持てる職業だということだ。彼らはこの間に偽りのない教育を受け、ディーセント・ワークを獲得している。

教員であったりナースであったり、清掃であったり、ゴミ収集であったりするが、公務員だ。正規の労働者として保護される。そんな国は中米に一つもない。

第二には社会的生活基盤が整備され、共稼ぎで子を育て、世代を再生産する余地があるということだ。それは家族の明日があるということであり、未来には安定が期待できるということだ。

これは、中間層=小ブルと考えるこれまでの発想とはまったく異なるが、全人口の95%が貧困層・失業者に属するような社会ではきわめて妥当な定義だ。

肝心なことは、その新中間層が既存の支配層と貧困層を結びつける接着剤となって、国家と国民を形成することなのだ。

昨年4月ニカラグアでは、金で雇われた「民主主義派」の暴動や暗殺などの策謀を平和的に吹き飛ばした。それは私達がこの目で見てきた。

ベネズエラでも、相次ぐクーデター策動や経済封鎖で明日にでも崩壊しそうな政権が、実はアメリカの攻撃に耐え抜く底力を身に着けつつあるのではないだろうか。

4.非生産労働者こそマルティチュード

ラテンアメリカのことだとつい力が入ってしまう。

話がとんでしまったのだが、私はマルティチュードはこのような形で生まれてくるのではないかと思う。

彼らの多くは、物質的生産→流通・販売という広義の生産過程ではなく、物質を消費し、それにより生活を生産し、それにより欲望を生産する過程にかかわる労働者であり、そノ生活インフラを支える労働者であり、マルクス流に言えば非生産労働者である。

5.生産は欲望の拡大と道連れで拡大する

たしかに物質的富の生産こそが社会の村立基盤であり、生産関係が社会関係を規定する。そのことを否定するものではない。

ただ産業革命とマルクスが観察した急速に発展する資本主義社会というのは、世界史的には例外の時代だったのではないかと考える。

それは大規模な世界交易の発展期であり、海外市場は無尽蔵であり、工業製品は作れば売れる時代だった。場合によっては大砲で脅して買わせることも“自由”だった。
したがって物質的生産が度外れに強調される時代だったのである。

市場が円熟すれば、消費活動を抜きに生産活動は語れなくなる。

そこで第二次大戦後の大量生産・大量消費時代が展開されたのだが、人工的に煽られた欲望にはいずれ限界が来る。

そのような「大衆社会論」の行き詰まりが新自由主義を招いたのだが、これは「神の手」論と「トリクルダウン」論に基づくフィクションである。

こんなことをしてはいずれどんでん返しがやってくる。みなそれを感じながら目をつぶって進んできたのではないか。そしてコロナが最悪のどんでん返しをもたらすのではないか。

6.欲望にも市場がある

もちろん欲望の一番の基礎は物質的富にあるのだが、現代では物質的富は一部に過ぎず非物質的なものへの欲望のほうがはるかに高い比重を持つようになっている。

非物質的欲望の一番基礎に座るのは、社会的サービスだ。医療・教育に始まって、清掃から防災など多岐にわたる。私はこれを社会インフラと呼ぶ。

そしてその上に、芸術・スポーツ・娯楽などの実に多様な世界が広がっている。私はあまり勉強していないのでお教えいただければありがたい。

社会インフラが等差級数的に進めば、枝葉の部分は等比級数で拡大する。社会の人的生産力はますますこの世界に広がっていく。

非物質的市場のイメージについては、到底わたしに論及しうるようなものではないが、以下は言えるのではないか。
すなわち、それはかなり労働力市場と近縁のものであり、その“裏返し”の形態を取るのではないか。

社会インフラで働く労働者がその他の労働者を引っ張り、労働者階級の前衛に立つ形で市場の一報を形成していくのではないかということだ。

7.社会インフラ労働は本質的に協業である

物質的生産労働においては分業が本質であり、協業は補完的である。大規模生産においては部門内での協業がかなりの程度まで発展するが、社会的生産の主流を形成するわけではない。

これに対し、社会インフラ労働は、すでに社会の手によって分割されたものとして提示されている。だから社会インフラ労働は本質的に協業的であり、かつ社会的である。

ネグリは、おそらく無意識的であろうが「生産的協働」という言葉を用いている。

ネグリはそれをこういう。
マルチチュード労働者の保有する活動諸力は生活すること、愛すること、変革すること、創造することである。マルチチュードの生きた労働こそが、潜在的なものから現実的なものへの通路を築きあげる。
それらの生きた労働は直接的に社会的ネットワ!ークであり、コミュニティーの諸形態である。
非物質的労働は本質的に協働的であり、必然的に社会的相互作用をもたらす。
これらの特徴が非物質的労働自体を価値づけているのだ。

その兆候はすでに、オキュパイ闘争を通じて現れている。オハイオ州での下級公務労働者の反緊縮の闘い、最低時給の引き上げを求める闘争に示されている。

Dさん、コメントありがとうございます


  • 1. D 
  • 2020年05月25日 15:02
      • webに記事がありますね

        ベネズエラ 衝撃の“クーデター未遂事件” | 国際報道2020 [特集] | NHK BS1
        https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2020/05/0521.html
    1. ニュース原稿と写真がすべて載っていました。

      いずれ消えるでしょうからお早めに。

    NHK・BS1で「えっ、こんな番組やっていいの?」と思われるほどのニュースが報道された。
    見逃した人は是非、オンデマンドへ
    私も録画したが、残念ながらファイル変換の知識はなく皆さんにお見せできない。
    もっとも、そんなことをすれば手が後ろに回るかもしれない。

    番組紹介文から
    6日にベネズエラで大統領殺害を狙ったアメリカ人とベネズエラ人の傭兵グループが捕らえられ、グアイド国会議長の関与が疑われている。捕らえられたアメリカの元海兵隊員は、マイアミにある軍事顧問会社に所属。その会社の社長はグアイド国会議長の関与を明かした。これまで反マドゥーロの立場だったメディアもグアイド氏の関与を次々と報じている。20世紀にアメリカが中南米各国で仕掛けていた謀略を想起させる。


    報道の内容はいちいち書き出せないが、
    【世界を見渡すニュース・ペリスコープ】 に、ほぼ同様のソースと思われる記事がある。

    その要旨を掲載しておく。(記事そのものは見られなくなっているがキャッシュでの閲覧が可能)

    英紙「インディペンデント」によれば、ベネズエラに潜入しようとした13人の「テロリスト」を拘束が逮捕された。その中にはアメリカ人の元軍人2人も含まれていた。

    米TV「CBSニュース」はこのニュースをフォローしている。
    マドゥーロ大統領が記者会見し次のように語った。
    「これはクーデター計画であり、”もうひとりの大統領“フアン・グアイドが、資金援助をしている。米国人2人はルーク・デンマン(34)とエイラン・ベリー(41)。ともに米治安部隊のメンバーだった」
    これに先立ちサーブ司法長官が語ったところでは、
    「傭兵たちはグアイドと2億1200万ドルの契約を結んだ。グアイドはその資金を国営石油会社PDVSAから持ち出した」

    NHKの報道によれば、グアイドのこの行動は「彼ならいかにもやりそうなこと」として受けとめられてえおり、反チャベス・反マドゥーロの野党勢力もふくめ、国内での支持はほとんど失われている。
    アメリカのクーデター策動への共感もない。

    仏TV「フランス24」は、事件の黒幕について次のように報じている。

    「フロリダに拠点を置く元グリーンベレーのジョーダン・ゴードローが、マドゥロを拘束する計画を立てた。彼はベネズエラを「解放」するために、2人を送り込んだ」

    事件の背景

    米政府はマドゥロを失脚させるべく、2018年の大統領選挙を「不正選挙だった」とし、反マドゥロ勢力の野党リーダーであるグアイドを大統領として公式に承認した。

    世界60ヵ国ほどがグアイドを大統領として認めており、ベネズエラでは現在、大統領が2人存在するという異様な状況

    英紙「デイリー・メール」によれば、「アメリカはマドゥロの逮捕、または有罪に繋がるような情報には1500万ドルの報償金を出している」とされ、これがゴードローの行動の動機になっているかもしれない。

    真相はまだわからないが、少なくとも、マドゥロを失脚させようとする動きが相変わらず続いていることは確かだろう。


    その後、追いかけ情報が次々に流されている。これまでの“マドゥーロ憎し”の氾濫はどこに行ったのだろう。赤旗は変わるのだろうか。もう少し情報を集めてみる。

    1.ベネズエラではコロナは抑え込まれている

    4月26日の東京新聞は、①ベネズエラが原油価格低落で危機的にあり、②医療保険制度が崩壊し、③コロナが蔓延していると書かれている。

    すごく善意で見ると、記者は筆の勢いでコロナ蔓延と書いてしまったのかもしれないが、少なくとも③については取り消したほうが良いのではないだろうか。

    彼らにとっては予想外で、かついくらか残念なことであろうが、ベネズエラではコロナは抑え込まれているのだ。

    数はばらつきがあるが、WHOの4月17日の発表ではベネズエラは感染者440人、回復者220人、死亡者10人となっている。4月27日のロイター報道では、感染者数が318名,死者が10名にとどまっている。

    この数字はラテンアメリカでは最低部に入る。理由についてはいろいろの見方ができるだろうが、数字だけで見ればほぼ抑え込まれていると見て良い。

    ブラジルの感染率は104人/100万人。これに対しベネズエラでは6人/100万人である。
    ②の「医療保険制度が崩壊」というのも、揚げ足を取るようだが不正確だ。もともとベネズエラの一般民衆(つまり非白人系)は見捨てられた存在だった。バリオ(スラム街)に住む人々にはそもそも医療保険などなかったし、医師は貧困者などに見向きもしなかった。

    この状況を劇的に変えたのがチャベスの革新政権だった。チャベスは医療と福祉の充実を目指し、バリオにキューバの医師団を送り込んだ。

    そしてここが大事なところだが、一部の人達には信じたくない情報だろうが、それはベネズエラの経済状況が悪化したあとも変わらない。

    いまもキューバから1500人の医師団が派遣されている。彼らはバリオに入り戸別訪問して定期的に健康状態をチェックしている。そして変化があれば隔離し検査を施行し、感染者であれば隔離する。


    2.ベネズエラの医療は国際的な支援を受けている

    もちろん無慈悲な経済封鎖のもとで、医薬品などあらゆる製品が不足している。これに対し量は少ないとはいえ、国際機関による支援が与えられている。

    経過を少し書いておく。

    3月25日、国連はコロナ支援を必要とする優先支援国の一つにベネズエラを指定した。感染者数や重症度ではなく、医療インフラが極度に逼迫しているためである。

    4月8日、最初の支援物資90トンが首都カラカスに到着した。対コロナ国連対応計画の枠組みにより、ユニセフを通じて送られたものである。

    支援物資には、11万人分の緊急キット110セット、酸素濃縮器、小児用ベッド、コロナ用のPPE検査キット約1,000個(3万人分)が含まれる。

    ユニセフはまた、毎日2万7,000人の子どもを対象とした給食活動を開始した。


    3.トランプのいじめはますますひどくなっている

    彼は国連がベネズエラを優先支援国に指定すると、翌日には早速、攻撃を開始した。米司法省がマドゥーロ大統領ら 14 名を「麻薬テロ」への関与で起訴。

    さらに4月に入ると、カリブ海域の「高まる脅威」に対処するため、軍事リソースを倍増すると発表。高まる脅威というのは、マドゥロ大統領など「麻薬・腐敗アクター」がコロナ大流行に乗じて麻薬密輸を強化しているという途方も無いフェイクだ。

    IMFも何度も頭を下げたベネズエラ政府を足蹴にして、50億ドルの緊急融資を拒絶した。さらに特別引き出し権(SDR)へのアクセスも拒否した。ベネズエラは、融資額を 10 億ドルに引き下げて、改めて緊急支援を要請したが、その要請も拒否された。

    みなさん、

    コロナとの闘いにおいて、各国政府の真面目さと人権に対する思いが試されています。
    決して、「うまかった、下手だった」という目で評価しないでください。
    そもそも「やれません、やりません、その気はありません」の政府がうまくできるわけはないのです。

    ベネズエラのように何にもない国、危機にさらされている国でも、コロナを抑え込むことはできるのだ、という事実を見ていただきたいと思います。


    ベネズエラにおけるコロナ制圧の状況 を参考にしました。さらに知りたい方はそちらへどうぞ。


    アラン・マクレオド   Venezuelanalysis 


    1.米国の政権転覆の動き

    米国はベネズエラの政権転覆を長い間計画してきた。これは公然の秘密である。

    トランプ大統領は18か月以上にわたって、軍事侵攻をほのめかせてきた。

    フロリダでの最近のスピーチでは、「ベネズエラでは社会主義と共産主義の時代が時を刻んでいる。我々は近いうちにカラカスで、人々が何をするかを見ることになるだろう」と述べた。

    ペンス副大統領は、マドゥーロ大統領を「独裁者」と罵り、グアイド“大統領”の「自己宣言」にアメリカ国民の「揺るぎない支持」があると述べた。

    米国はベネズエラの経済を破壊し、マドゥロを政権の座から追い落とそうと試みてきた。そして何度も違法な制裁を繰り返してきた。

    また、ベネズエラを政治的および経済的に孤立させるために、他の国々にも同じことをするようもとめ威嚇してきた。

    2.策動は失敗しつつある

    しかし、対米盲従的な国際メディアの最強の側面攻撃にもかかわらず、崩壊の瀬戸際にある孤立した国としてベネズエラを描く試みは惨めに失敗した。

    現実には、国際社会は米国のファン・グアイドおしつけを拒否している。国連加盟国の約75%はマデューロへの支持を表明している。

    メディアは、国連人権理事会が米国の“制裁”を明確に非難する決定を下したことをまったく報道しなかった。

    この決定は、米国がベネズエラの最も貧しく最も脆弱な人々を標的としていると指摘している。

    国連はすべての加盟国に不法な“制裁”を破るよう求めた。さらに米国がベネズエラに支払うべき賠償についてさえ話し合った。

    国連のアメリカ問題特別視察官アルフレッド・デ・サヤスは、“制裁” は中世の包囲に類似していると述べた。そしてアメリカは人道犯罪に当たる可能性があると非難した。

    この驚くべきニュースは国際的に広く報道された。しかし主流の西側メディアは、事実上完全に無視した。


    3.マドゥーロ政権を倒すさまざまな試み

    トランプの政権転覆計画が示したのは、彼の呆れるほどの能力不足にほかならない。

    マルコ・ルビオはずっと、ベネズエラ軍に政権離脱とマドゥロ打倒を求めていた。しかしこの戦略は、軍が忠実を保ったため、完全に消えてしまった。

    国連と赤十字は「人道援助」の仮装行列への参加を拒否した。“人道” を考慮するための最小要件さえ満たしていないからだ。

    一方マドゥーロ政権にはこれらの機関から本物の(genuine)援助が与えられた。

    米国はコロンビア国境で「支援物資」を暴力的に送り込もうとした。もしベネズエラ側が抵抗すれば、そこを血の海にするつもりだった。

    それは受け取り側の「民主派」活動家が自分たちの支援トラックに発砲するところが発見されたおかげで、失敗に終わった。

    その他、億万長者のリチャード・ブランソンによる「ベネズエラ・エイド」と銘打ったライブコンサートがあった。

    大スターが看板を飾った大規模なコンサートだった。国境に集まった観衆は数千人だった。

    なぜトランプのベネズエラ作戦がうまく行かないのか。それはトランプのグループがオバマ政権のときのような規律と洗練を欠いているからだ。

    彼らは相次いでヘマをやらかしている。そして彼らのやろうとしていることが民主主義と人権と無縁であることを白日のもとにさらしているからだ。

    エリオット・エイブラムスはラテンアメリカの政権転覆と虐殺における影の指揮者として悪名が高い。

    彼が最初に有名になったのは1980年代後半、援助を装ってニカラグアに武器を密輸した作戦を指揮した事件だった。

    エイブラムスがトランプ政権に任命されたことは、これから起こりそうなことへの明確なシグナルだった。

    トランプのもうひとりの壊し屋、ジョン・ボルトン特別補佐官は隠された箇所を大声で語り、秘密を漏らした。

    ベネズエラはアメリカ企業にとって商売のビッグ・チャンスだ。ベネズエラの石油を引き継げば「米国に大きな変化をもたらす。

    ボルトンはまた、「マドゥロ大統領をグアンタナモ湾の拷問キャンプに派遣することを検討している」と公言した。

    もうひとり、マルコ・ルビオは、リビアのカダフィ大佐の傷ついた死体の写真をツイートして世界に衝撃を与えた。

    エリオット・エイブラムスが任命された直後、別のスキャンダルが判明した。

    米ニュースサイト「McClatchy DC Bureau」は、アメリカ籍飛行機がマイアミからベネズエラに武器と弾薬を密輸していたことを明らかにした。

    飛行機はその年だけで40回以上、ベネズエラに往復していた。 これは米国政府の「善良な意図」を国際社会に納得させるものではない。


    4.グアイド擁立の失敗

    ワシントンが大統領に選んだ男、グアイドはその血に飢えた社会変質者としての側面をさらけ出した。

    彼が大統領就任を宣言したとき、ベネズエラ人の80%以上がその名を知らなかった。

    彼は名乗りを上げた去年1月、こう語って国民を驚愕させた。
    「衝突の犠牲となった人々の命はコストではなく将来への投資なのだ」

    グアイドが国民の上に君臨できなかった主要な理由は、あからさまなクーデターの振る舞いです。

    最近の世論調査では、ベネズエラ人の80%以上が米国の制裁に反対していることが示された。そして、もっと多くの人がアメリカの軍事介入に反対している。

    国際社会はますます米国を包囲しつつある。

    最近の国連安全保障理事会ではベネズエラに関する公聴会が開かれた。席上、米国は南アフリカに非難された。

    南ア代表は述べた。
    アメリカはベネズエラの法律と憲法上の権利を踏みにじっている。アメリカはベネズエラ国民が自らの将来を決めようとする権利を奪おうとしている。

    ボリビアもアメリカを非難した。アメリカが他国への不干渉という国際関係の基本を破り、ベネズエラの国家主権を侵害したと主張した。

    ロシアは雰囲気をまとめました。そしてグアイドを詐欺師(Imposter)と呼び、アメリカはベネズエラの立憲的権利を笑い者(Mockery)にしたと述べた。

    そして、「アメリカの“人道援助”は世界の他の地域ではテロリズムとして分類されるだろう」と指摘した。


    5.ベネズエラ包囲網のほころび

    米国にとってさらに悪いことに、リマ・グループの決議すら崩れ始めている。

    リマ・グループはトランプ政権によって設立された中南米諸国の組織で、ベネズエラの政権交代を明確な目標を掲げている。

    ブラジルのファシスト大統領、ボルソナロは米国との同盟から手を引いた。そして、「いかなる状況においてもブラジルが侵略の一部となることはない」と宣言した。

    以前、ボルソナロは「マドゥロを取り除くためならあらゆることをする」と公言していた人物である。

    他の主要加盟国であるコロンビア、チリ、ペルーも同様の声明を発表した。

    スペインやドイツなど、マドローを批判するヨーロッパの大国も、米国が準備している軍事オプションを断固として(categorically)拒否している。

    6.孤立しているのはどちらか

    米国がベネズエラを孤立させようとして、逆に孤立してしまったのは、これが初めてではない。

    2013年に総選挙(大統領選挙+国会議員選挙)が行われたとき、米国は選挙結果に疑問を投げかけ、再集計を求めた。しかしアメリカは完全に世界から孤立していた。

    今度のやり方はそれに輪をかけて酷いものだ。

    イングランド銀行がベネズエラの金を10億ドル以上凍結した。この異常な決定は、英国がもはや中立的な仲裁人でなくなったことを世界に示したものとなった。

    イタリアはイギリスに保管した金を自国に送還する議論を始めたと伝えられている。イタリアのような同盟国がそうしたなら、中国、インド、ロシアの同類は同じように考えているに違いない。

    斜陽の帝国、イギリスが残した数少ない産業の1つは金融であり、この決定は英国の経済に大きな影響を与える可能性がある。

    米国は現在、世界でほぼ完全に孤立しているように見える。しかしこれは必ずしも米国の攻撃の終わりを意味するものでは

    米国は世界で唯一の超大国であり、いつでも一方的に行動することができる。

    目下のところベネスエラとの国際世論を巡る争いには破れたかたちだが、今後もベネズエラの戦いは続いていくだろう。


    この記事は「基軸通貨 75年 ドルへの不安」という日経記事の紹介です。筆者は日経新聞国際部長の発田さんです。

    大変要領よくまとめられていて、参考になります。しかしこの記事1発でわかるほどデジタル通貨は甘くありません。

    少し話の順序を変えて、議論の流れが飲みやすくなるよう工夫してみました。いくつかの部分には補足的説明も折り込みました。

    そのため原文よりかえって長くなってしまいました。ご容赦の程をお願いします。


    問題意識 デジタル人民元はドルを揺るがすだろうか?

    中国が発行するデジタル人民元が普及しつつある。
    問題はこれがドルを基軸とする国際金融体制を揺るがすことになるか否かである。

    それは2種類の議論を内包している。ドルの単一支配体制が人民元により破綻するのかという問題、もう一つはデジタル通貨が国債決済の主役になっていくのかという問題だ。

    1.ブレトンウッズ体制とドル本位制

    ブレトン・ウッズ協定以来75年間、ドルは世界の基軸通貨であり続けている。

    貿易の半分はドル決済だ。各国の外貨準備、証券発行、新興国の対外債務の3分の2がドル建てだ。新興国の中には、普通にドルが国内流通している国も珍しくない。

    もともとのドル支配体制は金本位制を背景としていた。フランスが60年代にドル覇権に挑んだことがある。しかし金の大幅流出にも関わらずドル覇権が揺らぐことはなかった。

    73年に、ベトナム戦争と財政破綻によりブレトン・ウッズ体制は崩壊した。ドルは金の裏打ちをなくし、世の中は変動相場制の時代に移行した。

    アメリカは双子の赤字を抱え困難に直面した。ドルの価値は大幅に下落した。

    このとき「基軸通貨ドルを防衛せよ」という共通認識が形成された。実質的には通貨システムの押し付けであったが、形としては先進諸国の合意による通貨システムの再建であった

    その後、ドル基軸体制はそのまま続いている。

    理由は単純だ。米国に代わる強国が登場しなかったからだ。世界第二の経済大国にのし上がった日本も、総合力において到底かなうものではなかった。


    2.中国もドル覇権から抜け出せない

    だが21世紀に入って状況は大きく変わりつつある。中国という強力なライバルの登場だ。

    いまや中国のGDPは購買力平価ベースでは米国を逆転している。このまま行けば、2030年には市場実勢ベースでも米国を抜くことになる。

    とはいえ、中国もかつての日本同様にドル支配の軛のもとにある。

    あらゆる通貨の中でドルは特権的地位にある。その特権はとてつもないものだ。

    ドルが貿易の決済通貨である以上、各国はドルを持たなければならない。そのために、日本や中国は1兆ドルを超す米国債を保有している。

    外国企業はドル調達や為替差損の調整にコストとをかけざるをえない。

    一方、米国は経常収支が赤字でも世界から資金を集めることができる。米企業はドルに関する手当てをまったく必要としない。


    3.通貨覇権と軍事覇権

    米国以外の多くの国にとって、最大の脅威は通貨覇権が軍事覇権を支えていることだ。

    イランはトランプ政権成立後に石油収入の8割が減った。外貨準備はあるのに、その9割にアクセスできない。

    どうして米国はこのようなことができるのか。それは送金情報を送る国際銀行間通信協会(SWIFT)が決済網を握っているからだ。

    米国が対イラン制裁を発動したとき、それが実効化できたのはSWIFTがイランの銀行を決済網から締め出したからだ。そしてSWIFTの運営を握っているのが米銀だからだ。

    同じ手口はベネズエラにも適用された。中国の党幹部はSWIFTなどの国債決済網は「米国の覇権維持ド道具」と見ている。


    4.米国第一主義がドルへの信頼を揺るがせている

    ドルによる通貨覇権への不安は、中国や途上国だけでなく先進国や、金融中枢からも湧き出ている。

    ドルは世界システムとしての安定性を欲するが、トランプの自国第一主義はこの考えと激しく衝突するからだ。

    自国第一主義というのは、自分の立ち位置を中心に土俵を作るようなものだ。土俵際まで追い込まれたら自分を中心に土俵を書き直すことにする。

    これではルールも何もあったものではない。

    先年、米国は「世界の警官は続けられない」と宣言した。安全保障分野と同じように世界経済システムの守り手の役割も放棄するなら、もはやドル支配体制の維持に意味はなくなる。

    その不安感を典型的に示したのが、昨年8月のイングランド銀行カーニー総裁の講演だ。

    デジタル通貨容認論だけが全面に出る形で報道されたが、最も重要なことはトランプ政権への不信感と、ドル依存体制への危機感である。

    カーニー総裁は「経済政策をめぐる不確実性」や「あからさまな保護主義」が、通貨システムを介して世界経済を破壊する危険性があると指摘した。そして世界はドル基軸体制から脱却する必要があると訴えたのである。

    その延長線上に代替システムの一つとしてデジタル通貨(中銀主導型)の可能性を示唆したのである。



    5.デジタル通貨が切り札となるか?

    デジタル通貨には長所と欠点がある。

    最大の長所は通貨を介入することから来る為替リスクがないことだ。その他にも銀行を通さないことから、金融介入をシャットアウトできること(公的介入さえも迂回できる可能性がある)、簡素でスピーディな手続きも長所としてあげられる。

    一方で、大銀行や政府・中銀のバックアップがないから、外部の干渉に弱い。あまりに投機性が高いためにアメリカでは半ば犯罪扱いされてきた。

    大資本がバックアップすれば短所はカバーされる

    この欠点はピア・トゥ・ピア評価が安定しないことから生じる。それは各国中銀や大手銀行がシステムに介入し、取引の信頼性を担保すれば克服できる。

    特に先行しているのが中国人民銀行だ。

    いま、IMFや世銀を先頭に多くの国際的銀行ネットワークは米国の影響下にある。これに対して中国は、ブロック・チェーンを使って銀行を通さない決済を広げようとしている。

    このブロック・チェーンの先にビットコインを接続すれば、大手金融網とは関係なくもう一つの経済圏が構築される可能性がある。


    6.人民元そのものの弱点はそのまま残っている

    そこでデジタル人民元に未来はあるかという話になる。

    発田さんの指摘によれば、人民元は個人の両替は年間5万ドル以下、海外投資には事実上使えない、浮遊ペグではあるが完全変動相場制ではない、などの制限が残っている。
    その結果外国為替市場での取引シェアは2%にとどまっている。

    まずは国際通貨にふさわしく、さまざまな制限を撤廃し、ブラッシュアップしなければならない。どちらにしても、人民元が国際化されなければデジタル人民元も国際的なものにはならないだろう。

    ただし、ドルの側から人民元に押し込むようなプッシュ要因が今後出現しないとは限らない。あるいはユーロとの協調のような局面も考えられる。

    いずれにせよデジタル通貨元年のような様相を呈している2020年、動向を慎重に見極めていく必要がありそうだ。

    ビットコインの歴史

    2008年 「サトシ・ナカモト」の名前でビットコインに関する論文が発表される。

    2009年1月  ビットコインのオープンソース・ソフトウェアが発表され、運用が開始される。

    2009年6月 「資金決済に関する法律」が成立。流通性や汎用性を持つ電子的な決済手段を仮想通貨と定義する。

    2010年5月 ビットコインによる商取引が初めて成立する。ピザ2枚が1万ビットコインで売られた。

    2012年 欧州中央銀行は「未制御だが、特殊なコミュニティで用いられる電子マネー」と定義。

    2013年3月 ブロックチェーンの分岐が起こり、激しい売り攻勢に直面する。米国の国土安全保障省はビットコイン取引所を押収し、FBIはSilk Roadのウェブサイトを閉鎖。

    10月 中国のIT大手バイドゥがビットコインによる決済を導入。バンクーバーでビットコインのATMが導入される。

    11月 中国を拠点とするビットコイン取引所のBTC China、世界最大のビットコイン取引所となる。

    12月 中国人民銀行がビットコインの使用を禁止する。ビットコインの価値は暴落。

    2013年 米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)、「どの司法組織においても法定通貨としての価値を持たないもの」と定義。半ば犯罪扱いする。

    2014年

    1月 ビットコインを使ったマネーロンダリングで男が逮捕される。

    2月 マウントゴックス、全ての取引を停止。取引IDの改ざんにより送金が繰り返され、480億円相当が引き出された。

    6月 エクスペディア、デル、楽天スーパーロジスティクスがビットコイン決済の取扱を開始。時価総額は約8400億円に達する。

    2014年 欧州銀行当局、「公的機関の裏づけはないが、支払手段として受け入れられ、電子的に譲渡、保管または取引される」ものとする。
    中央銀行によって発行されるデジタル通貨は「中央銀行のデジタル通貨」とされる。

    2016年 改正資金決済法が成立。仮想通貨を「弁済や購入・売却、相互交換を行うことができる電子情報上の財産的価値」と再定義。

    2017年7月 ロシア人のビーニク、マウント・ゴックスなどから不正に金銭を入手したとして逮捕される。

    2018年 資金決済法の再改正。欧米での呼称に従い、「仮想通貨」を「暗号資産」(crypto asset)に変更。

    2018年7月 ベネズエラ政府が経済危機への対策として埋蔵原油を裏付けに発行したデジタル通貨「ペトロ」を発行。



    それは金融一極支配の突破口になるのだろうか?

    ブロックチェーン(Blockchain)とりあえずの感想

    メリットやデメリットはどうでも良い

    どうも困ったことだが、ビットコインやブロック・チェーンを扱う現場の人達が強調する「メリット」というのがさっぱり実感できないのである。

    中央依存性が低い
    安全性が高い
    追跡可能性が高い

    というのは、たしかにブロック・チェーンの特徴ではあるかも知れない。しかしだからといってそれが即「メリット」だと言われると、実のところそれはあまり実感できないのである。

    「それをメリットだと思う人がやったら?」ということになる。

    どうも記事は、ビットコインの相場に手を出そうとしているコンシューマーに、揉み手をしながら近づいてくるセールスマンのような感じで、油断ならない。



    邪道が正道に

    そもそもビットコインのそもそもの目的は非営利であった。それは金融独占の打破であり、「持たざるもの」に信用の窓地を開放することであった。しかしその目的はとうに失われた。

    いまやそれは「口座を持てない人々」とはそもそも無縁な、高度のテクノロジーを利用した金融バクチとして発展しつつある。2018年のダボス会議でソロスは言った。1日で25%も値動きするような通貨は通貨ではない。誤解にもとづくただの投機だ。

    業界2位の暗号通貨である「イーサリアム」は、ブロックチェーンを利用した取引を、一桁も二桁も増やそうとしている。
    百鬼夜行の世界には詐欺や不祥事が続発してきた。暗号通貨が「暗号」であるゆえの弱点、強力な守りと利便性の矛盾が攻め込まれる隙間を提供してきた。

    また中国では暗号資産の技法だけを盗み出して、P to Pとは真逆の「全展望監視システム」の方向に持っていこうとしてる。

    鬼と出るか蛇と出るか

    私が問うているのはメリット、デメリットという欲得の世界ではない。それが金融支配体制に風穴を開け、ドルの桎梏から抜け出し、脱一極の世界へ進み出す切符になるかどうかを問うているのである。

    本来の分散型、ピア・トゥ・ピアの「民主的」な世界的金融システムが展開できるならこれほど素晴らしいことはない。

    いわば政治の世界での一極支配対多国間主義という図式を、金融の世界に投影して行きたいのである。

    法定通貨との組み合わせ・まずは決済機能から

    暗号通貨は法定通貨の補助的な役割を担うようになっている。それはすでにかなりの程度まで進行している。具体的には送金手段、決済手段、利殖手段だ。

    その際、人々が最も期待するのは決済機能であろう。フェアーな決済こそがいま最も求められているものだ。これがないために米国に国内法を発動され、不当な制裁を甘受せざるを得なくなっている。
    ここ数年のEU諸国の米国追随ぶりは目を覆うばかりだ。イラン、ベネズエラ、パレスチナなどで米国が横車を押してもフランスもドイツも見て見ぬ振りをする。こんなことはイラク戦争の頃はなかったことだ。



    Ⅰ.非同盟首脳会議の概要

    第18回非同盟首脳会議が10 月 22 から1週間にわたり開かれた。今回の開催地はアゼルバイジャンの首都バクーであった。慣例により首脳会議の開催国は、次の首脳会議までの間議長国を勤めることになる。

    アゼルバイジャンは北海道ほどの面積に人口千万人弱。1991 年崩壊したソ連から独立し、2011 年に非同盟運動に正式加盟した。

    今回の首脳会議は、バンドン原則 65 周年(2020 年)と 非同盟運動設立 60 周年(2021 年)にあたり、意義深いものとなった。

    会議には120の加盟国と17のオブザー国・組織が参加した。主な首脳としてベネズエラのマドゥーロ大統領、アゼルバイジャンのアリエフ大統領、イランのロウハニ大統領、キューバのディアスカネイロ大統領、マレーシアのマハティール首相など。

    今回の会議のテーマは「バンドン原則を擁護し、現代世界の課題へ一致し適切な対応を確保するために」だった。

    各国の代表は、貧困と格差の拡大、地球環境の破壊で世界は大きな挑戦に直面していると強調した。

    とりわけトランプ米政権が国際法を無視した一国主義を推し進めていることが、非同盟運動をかつてない困難に直面させているとと指摘した。


    Ⅱ.日本AALAの参加にあたっての立場

    日本AALAは、この会議にアジア・アフリカ人連帯機構(AAPSO)の代表団の一員として参加した。
    そして首脳会議に以下のような要望と提案をおこなった。

    A.いかなる干渉にも反対し、主権を守り、人民と連帯する
    ①トランプ政権による「制裁」は、人民にたいする「集団制裁」であり、国際法、人道法に違反する。
    ②トランプ政権は各国へ「制裁」への参加を強制している。これに反対し、協同して被害国を支援すべきだ。
    ③干渉を正当化する理論を認めず、自決権を厳格に遵守するようもとめる。
    ④多国間協議により平和的に解決する立場を徹底して欲しい。

    B.核兵器の廃絶にむけて

    核兵器廃絶にむけ、とりわけ核兵器禁止条約の早期発効を目指す。

    採択には反核の国際世論とともに非同盟諸国が大きな役割を果たした。賛成122カ国のうち、 105 カ国が非同盟国である。

    朝鮮共和国が非核化に動き出している。非核化の枠組みとなるさまざまな合意を支持するよう提案する

    C.発達した諸国の人民運動への支援

    発達した諸国においても国民の多くは苦しんでいる。日本では日米軍事同盟を強化し、沖縄米軍基地を増強している。

    日本AALAは、日本が軍事同盟を脱して非同盟運動に参加するというビジョンをもってたたかっている。
    非同盟運動が日本など発達した諸国の人民運動にたいする理解と支援を表明することは意義がある。


    3.大会決議(バクー宣言)のあらまし

    A.国連重視

    国連中心主義と多国間主義を貫き、とりわけ国連総会の活性
    化に力を注ぐ。
    国連安全保障理事会の開かれた民主的な組織への改革。

    B.平和な国際関係

    政治的主権、政治的な独立を尊重し、「合法的に構築された政府」に対する不安定化策動を行ってはならない。
    相互不可侵と武力不行使の原則を守る。

    C.対テロ活動の原則

    テロリズムはいかなる宗教、国籍、文明、民族集団とも関連してはいない。そうあってはならないことを、非同盟運動は強調する。

    D.核兵器のない世界のために

    大量破壊兵器、特に核兵器の存在が人類最大の脅威となっている。非同盟運動は核兵器のない世界を実現するために努力することを決意する。

    E.貧困の根絶

    極度の貧困を含むすべての形態と次元で貧困を根絶することは、なお重要な要素の 1 つである。

    開発途上国には開発の権利があり、それは尊重されなければならない。

    先進国における保護主義の高まりは、特に発展途上国の輸出にマイナスの影響を与える。

    F.先進国による経済制裁

    一方的な強制措置の適用に対する強い非難を表明する。それらの措置は国連憲章および国際法、特に国家の非干渉、自決および独立の原則に違反する。
    それらは人々の生存権に影響を与え、完全な経済的および社
    会的発展を妨げる。


    4.マハティールの重要な指摘

    マハティールはマレーシアの首相。なんと92歳という高齢だが、非同盟運動の進むべき方向を鮮やかに示している。

    それが今回の会議のテーマにもなっている「バンドン原則に立ち帰れ」という呼びかけだ。

    彼は、2003年イラク戦争のさなかに非同盟会議の議長を務め、アメリカの覇権主義を厳しく批判した経験があり、非同盟運動の象徴とも言うべき人だ。

    すこし演説の内容を引用する。

    イラク戦争のとき、米国は各国に「敵か味方か」を迫ってイラクを破壊した。それがまた特定の国を敵視し、国連の承認なしに、「民主主義」の輸出と政権の転覆を企てている。
    …世界はは依然として恐怖の中に生きているにもかかわらず、非同盟側では内部対立が激化して、かつての団結が失われてしまった。

    いまやバンドン原則にたちかえり、対話と平和的手段による紛争の解決に徹して、大国の横暴や覇権主義に対抗しよう。


    5.不破さんの重要な指摘

    非同盟運動に関して、最近行われた共産党大会で不破さんが大変重要な発言を行っているので紹介したい。

    A.20世紀論の核心は民族自決にある

    20世紀論の核心は植民地国家の独立にあった。民族自決の原則が世界の根本となった。

    21世紀のさまざまな出来事は、この歴史認識の正しさを見事に実証した。


    B.20世紀の構造変化が核兵器禁止条約を生み出した

    この間の平和と社会進歩の最大の変化は、核兵器禁止条約の成立である。

    それをもたらした最大の力はアジア・アフリカ・ラテンアメリカの国々だ。


    C.世界政治の主役は交代した

    発達した資本主義国の政府は、世界平和を目指す人類的な意思に背を向けている。恥ずかしながら被爆国日本もその一員だ。

    発達した資本主義国が政治的反動に向けて歩んでいるという事実は、世界政治の主役が交代したことをはっきりと示している。

    D.社会主義への道はさまざまだ
    社会主義を目指す動きもさまざまな国で、さまざまな形で起こっている。
    そうした運動状況の中で、日本共産党が「発達した資本主義国での社会変革」の運動の最前線に立っているのは間違いない。
    しかしそれは世界史的には未だ実現されておらず、開拓者としての使命が課せられている課題である。
    我々にとって「大道」は、まず何よりも日本における多数者革命の実践である。この大道を確信を持って前進しよう。



    ネット社会とデマ

    日経の日曜版に滝順一さんの書いた「フェイクの時代…私達にできること」という記事が載った。
    主に技術的な側面から昨今のフェイクニュースの動向を書いている。

    へぇっと驚くトピックもあるが、やや情報詰め込み過ぎで、うっとうしいところもある。

    これからのフェイク対策に触れられているが、結論から言うと、いずれ対策は立てられるようになるだろうということだ。

    国立情報学研究所の山岸教授は「改ざん画像を検知するソフトがブラウザに組み込まれる日が来る」と楽観的だ。

    要は迷惑メールへの対処と同じで、フェイク検知もネット社会の日常作法になるということだ。

    しばらくは矛と盾との競争時代が続くが、世の中が理性をもとめる以上、技術はそういう方向に動いていくだろうというのである。

    おそらくその現場技術者の経験に基づく判断は正しいのだろうと思う。

    フェイクニュースの歴史

    滝さんはそれを歴史的にあとづけている。

    19世紀末、米国ではイエロー・ペーパーの煽情的なフェイクニュース合戦が展開され、それが米西戦争を招いた。

    付け加えるなら、テレビが出始めの頃から70年ころまで、我々はテレビのニュースを信用しなかった。新聞や総合誌が世論を形成した。新聞は2,3紙とるのが当たり前だった。リベラルな家には赤旗も入っていたものだった。

    テレビやラジオは肩のこらない話題からはみ出ることはなかった。週刊誌はヘアヌードとスキャンダルが売りの劣情誌だった。

    滝さんは書いている。
    このように、フェイクニュースが氾濫するのは、新しいメディアの勃興期につきものの現象なのかも知れない。
    かつてのイエローペーパーの社主ピュリッツァーの名は、いまや権力に立ち向かい真実を報道した人々に贈られる賞の名前として知られるようになった。

    ネットもいずれ整理され、公序良俗を求めて、アングラとの境界が厳しく制定されていくことになるだろう。

    それにしてもロイター、BBC、朝日、赤旗がベネズエラについてフェイクニュースを書きまくり、IMFはおろかUNHCRまで、怪しげな情報を垂れ流すのはどういうわけか。


    新春対談「21世紀の世界を変える非同盟運動」を読む

    日本AALAの機関紙の新年号に上記の対談が掲載された。話者は西谷修さんとAALA代表理事の吉田万三さん。以下はこの対談を読んでの感想である。


    非同盟運動はなぜ「運動」なのか

    ① 非同盟運動は戦後一斉に独立を勝ち取った新興国が始めた運動である

    ② 新興国は国連中心主義を掲げ、それによって平和と発展を期待した。

    ③ しかし、国連軍として参戦した朝鮮戦争が大規模化し、新興国まで巻き込まれた。

    ④ 新興国は国連にだけ頼っていては安全は守れないことに気づき、平和共存のシステムづくりに乗り出した。

    ⑤ さらに国連憲章の集団安全保障の理念が大国主導にならないよう、改善を求めた

    ⑥ さらに軍事同盟そのものが世界の平和の妨げだと考え、同盟をなくすよう主張するようになった。

    ⑦ さらに現代軍事同盟の中核に核の支配があると考え、核廃絶を運動の中心課題にすえた。

    ⑧ さらに国際外交を大国主導でなく、個別の取引でなく、集団で交渉するべきという多国間主義を訴えている。

    これらはいずれも大変重要で、今日的な課題であり、これらの提起を実践的に担ってきた非同盟運動の役割は大変大きい。

    注③ 3年間にわたる朝鮮戦争で両軍合わせ300万人が参戦、うち80万が戦死した。国連憲章の集団自衛権に基づき多くの新興国も参戦している。例えばフォリピン、トルコ、コロンビアなどは数千名を派兵した。朝鮮半島のすべてが戦場となり、民間人150万人が犠牲となった。とくに後半戦は実質的な「米中戦争」で、核兵器以外のすべてが使用された。

    注④ 1954年の周恩来・ネルーによる平和5原則(領土、主権の尊重 不侵略 内政不干渉 平等・互恵 平和共存) 当時中国は中共と呼ばれ国連への加盟を認められなかった。

    注⑤ 平和共存実現のため、国連憲章の集団的自衛権のしがらみをどう振りほどくかが、バンドン会議の最大の焦点となった。バンドン声明は10項目あるが、そのうちの (5)国連憲章に従い諸国民が個別的、集団的に自国を防衛する権利の尊重 (6)集団的防衛機構を大国の特定の利益に用いず、他国に圧力をかけない (7)領土保全、政治的独立への侵略、脅迫、力の行使をしない (8)国際紛争は国連憲章に従い、関係国が選択する平和的手段で解決 の4項目が、平和共存の内容となっている。
    これは非同盟運動が国連中心主義を貫きつつ、どうやって非戦と平和を維持していくのか、どうやって各国の自決と尊厳を守っていくのかという問題に関わる運動であることを意味している。

    つまり非同盟運動というのは軍事同盟に入るか入らないかではなく、軍事同盟に反対し軍事同盟をなくしていく運動なのだ。
    しかしこれはあくまでも原理的な視点なのであって、実際上は資本主義と社会主義のどちらの世界にも入らないという「第三世界論」が支配的であったことは認める。


    社会主義体制の崩壊により非同盟運動が反軍事同盟の原則に立ち帰った

    90年のベルリンの壁崩壊により、東西対立という関係は基本的には消失した。これに伴い「第三世界」という概念も根拠を失った。しかし非同盟運動は存続し続けた。

    これを当時支えたのは東南アジア諸国のイニシアチブであった。

    1992年にジャカルタで開かれた非同盟諸国首脳会議では、改めてバンドン宣言の意義が問い直され、非同盟運動の原点としての国連中心主義と反軍事同盟路線を確認した。90年以降の非同盟運動のスローガンとして押し出されたのが多国間主義である。これは国連中心主義と反軍事同盟路線がもたらす必然的な実践的な帰結である。

    多国間主義は東南アジアにおいて反軍事同盟路線と平和共存、さらに共助・共栄のセットとして打ち出され、ASEANとして結実した。それを国際的には国連中心主義として踏み固める方向が打ち出された。その際にバンドン宣言の精神が大いに生かされている。

    この多国間主義に示された反軍事同盟路線は、いわば東南アジアに地域を限った「限定版のお試しセット」として打ち出されたために反米色はほとんど感じられない。むしろ注意深く避けられていると言える。「色々事情もあるだろうから軍事同盟は否定しないが、私たちはそういうのには関係なくやってみたいです」という感じだろう。


    中立から非同盟へ 国家のあり方としてのスローガン

    非同盟という概念は、ラテンアメリカ諸国のように直接アメリカが軍事同盟の網の目を形成している地域では、のんきな話ではない。非同盟を掲げることはアメリカとの関係にイチャモンを付けることになる。

    たとえ経済面だけに絞ったメルコスールでも、アメリカは容赦しない。経済的自立を図ったブラジルの労働党政権やアルゼンチンの正義党政権は、ベネズエラと同じような難癖をつけられ潰された。

    そういうわけで非同盟運動はなかなか難しい運動である。しかしある意味で言えばむずかしいからこそ「運動」なのであって、たんなる非同盟諸国のなかよし会ではないのである。


    非同盟運動はきわめて広い思想をふくんでいる

    非同盟運動の核心の一つである「国連中心主義」という考えは、世界のあり方を枠づける究極のユニバーサリズムであると思う。それは超富裕層が提起するグローバリズムの考えに対置される。肝心なことは独立、平和、共存ということであり、思想、文化、宗教の何如を問わない。国際間のルールが国連機関やさまざまな国際法を通じて遵守されるような世界を作ることである。

    例えば宗教であるが、進歩勢力は国内レベルでは、非宗教的で理性的な政治をもとめて戦う。しかし国際レベルでは敵対的態度を取らない限り、協調し対話をもとめる。なぜならさまざまな歪んだ形の民衆政治(ポピュリズム)は、つまるところ歪んだ世界への不寛容の表明だからである。私たちは歪んだ世界を正していくことでは協調できると思う。

    人権という原理で世界の民衆の運動を裁断するのは、少なくとも今生きているこの社会では賢明な方法ではないと思う。

    世界を支配する米国こそ最強の原理主義国だ。「アメリカ第一主義」という原理を押し付けており、その下で先進諸国がグローバリズムという原理を押し付けているから、歪んだ世界が作り出されているである。


    非同盟運動は「世界に対する責任」のあり方を示している

    アメリカ第一主義ということは、「アメリカは世界に対して権利は持つが、責任は持たない」という宣言である。世界の諸国が仲良く付き合っていこうという際に、こういう国が存在するのはまことに困ったことである。米国は「ない方が良い国」になりつつある。とくに所得の再分配という機能が国際的に働かなるということでは、世界の将来は大変暗いものになる。

    そういうことになると、「世界に対する責任をどうやってみんなで分け合っていこうか」と考えたり、議論したり、実行したりできるのは非同盟運動にくわわる国だけになってしまう。同盟国はアメリカと同盟を結んだ瞬間に思考停止に陥ってしまうからだ。日本やEU諸国を見ていると、どんどん従属的になってきているのが分かる。

    「世界に対する責任」というのは、これからますます大事になってくる考えだと思う。

    吉田万三さんは「世界の新しいあり方として非同盟運動が大事な役割を果たしていく」といっているが、まさにここが一つのポイントになるだろうと思う。


    またまた新藤情報です。何かせっつかれているようです。この記事は赤旗より早く届きました。

    二人の国会議長選出の真相」(朝日新聞6日夕刊 )
    ということですが、北海道は記事が東京より遅れるので赤旗の掲載は今朝のことです。

    皆さんお読みになったことを前提にして、違うソースの報道を紹介します。

    基本的には赤旗も朝日新聞も同じ観点からの報道で、「独裁者マドゥーロが、憲法、民主主義を踏みにじり、民主主義の復活を推進するグアイドーを弾圧した」ということです。

    しかし現地の新聞は次のように書いています。予めお断りしますが、「現地の新聞」とは、一つは中道保守系のグロボビシオン、もう一つが中道のウルティマス・ノティシアスです。

    1月5日、議長などの人事を決める国会が開かれました。
    御承知の通り、国家の多数派は野党が占めており、いわゆるねじれ状態が続いています。そのことを念頭に置いてください。
    国会議員は総数が 167 人です。定足数は 3 分の 2と定められていますが、151人が出席したので立派に成立しています。
    しかしなぜかグアイドー議長は欠席しました。
    選挙が行われ正副議長、正副書記長が選出されました。その全員が野党所属です。
    選挙を終えた国会は前議長であるグアイドーの出席を待ちました。

    このとき、突然米国務省のマイケル・コザック西半球局次官補代行が、「国会は、定足数不足で偽物だ」とツイートしました。

    この発言を受けたグアイドーは、みんなが待っている国会の正門から入らず、鉄柵を乗り越えて議会に入ろうとしました。ほとんど意味不明の猿芝居です。
    guaido_fence
            フェンスをよじ登るパフォーマンス
    そうして警備員と揉み合う場面を通信社のカメラマンに披露すると、今度は国会外の建物で「もう一つの国会」を開催したのです。

    この「もう一つの国会」は100名が出席しました。多分二股かけた議員がいるのでしょう。しかし100名という数も怪しげですが、それでは定足数に足りていません。

    おまけに自ら大統領を宣言した人間が、大統領のままふたたび国会議長に就任するというのも、まことに立憲主義にそぐわないものです。

    後ほど明らかになったことだが、国会では出席者数151人のうちパルラ81票、グアイドー70票だった。「もう一つの国会」では出席議員は70人。残りの30人は補欠などでした。

    今回の事件は、結局グアイドーが野党の中でも孤立深めていること、それと比例するかのように、ますます彼がアメリカ言うなりの操り人形と化しつつあることを示しています。

    ところで正規派の国会議長に就任した野党議員パルラはこう語っています。
    Luis-Parra
                 ルイス・パラ新議長
    我々はベネズエラ政府と対決する野党であることを確認しつつ、国家の制度を復活させ、立憲主義に立つ、自主独立の国会を復活させる。

    これがまっとうな人間の言うことでしょう。


    例によって新藤さんの記事のメガホンです。
    これは19.12.16の 日経新聞の紹介です。

    ベネズエラ、「物価高騰」勢い弱まる 物不足が改善
    というのが見出しです。
    サンパウロ特派員の外山記者の記事ですが、写真などを見ても、どうやら現地に行って取材してきたようです。何処かの記者にも見習ってほしいです。

    1.ハイパーインフレが終熄しつつある

    11月の物価上昇率はなお年率で1万%台だが、200万%超に達した年初からは縮小した。
    理由は、政府がドルの国内流通を容認したからである。これは自国通貨とドルの公定レートを廃止したことと連動している。

    これはある意味で、ベネズエラ政府が敗北を宣言したということだ。そのきっかけはアメリカの取引銀行がドル決済を凍結したことにある。その前は民間にカネがなくても政府にはうなるほどあった。石油を売れば自動的にドルが転がり込んでくるからだ。

    ところがその窓口が閉められてしまったから、ドルの残高はあってもブルーバックはないという仕掛けになった。これでベネズエラ政府は干上がったから、屈服せざるを得なくなった。

    ベネズエラのやせ我慢を前提に成り立っていた、1千万%という交換レートは一気に瓦解した。これは20世紀末のいわゆる「ドラリゼーション」である。多分大損した連中もいるだろうと思う。


    2.IMFの予言は嘘だった

    もちろん外山記者がそう言っているわけではありませんが、中身はそういうことです。

    2018年10月、IMFはベネズエラのインフレ率が1000万%に及ぶと予測した。しかし現実にはインフレ率は200分の1に縮小した。

    こういうのを「最悪の口先介入」というのではではないでしょうか。IMFが蹴っ飛ばして、格付会社がそれを奈落の底に突き落とすというタッグは最悪です。彼らは「失われた10年」の悪の主役でした。


    3.物資は溢れている

    外山記者は「商店の棚が空っぽで、店の前に長蛇の列」というのは過去のものだといっています。見てきたものの強みです。

    スーパーに食料品や飲料が並び、ドラッグストアには欧米メーカーの商品が陳列されていた。現地在住者は「この数年で、今が一番物がそろっている」と口をそろえた。12月中旬にはカラカスのショッピングモールで年末商戦が始まった。

    おそらくこのような光景は赤旗記者には信じられないでしょう。なぜなら彼はロイターやBBCのニュースを信じ切っていたからです。

    4.固定相場制は悪の温床になっていた

    これはきわめて厳しい指摘ですが、まさしくそのとおりです。市場原理を全面否定したその先には、前近代的「非経済的」力関係が復活する他ありません。

    しかしながら、この関係を「市場原理主義」として固定的に考えるのは間違いです。我々は自転車を漕ぎなら進歩への坂道を登っています。その時は右足、左足と交互に力を入れながら前にすすむのです。

    固定相場制は自国の経済発展を揺るぎないものとするために非常に魅力的なオプションに見えますが、経済は大抵が有利と不利の2つの側面を持っているので、必ず裏を取っていかなければなりません。

    肝心なことは進むことであって、そのためには左右に体を振りながら力を込めていくしかないのです。

    マドゥロ政権はハイパーインフレによる社会不安を抑え込もうと、18年12月から公定レートと実勢レートの差を近づける方針に転換した。

    と書いてあるのは、正しくそういうことを示しているのでしょう。


    5.とにかく独立した経済を運営していくのは大変なことなのだ


    ベネズエラのシンクタンク、エコアナリティカはインフレの沈静化をこう説明しています

    インフレの沈静化は所得減少に伴う一時的な需要縮小という側面も大きい。

    原因はどうであれ、ハイパーインフレは極端な物不足の表現です。ここまで民衆の生活を下支えしようと頑張ってきた政府が、もはや万策尽きてその役割を放棄した。
    そのゆえに物価は沈静化したのです。経済のブラックホール化です。

    外山記者はこう書いています

    ベネズエラ国民はBsを受け取った後、競うように闇市場でドルに替え、必要に応じてBsに再び替えていた。日常的にドルを受け取り、支払いにもそのままドルを使う人が増え、経済取引が安定するようになり、国内の物価高騰を抑える効果をもたらした。

    それにしても、このような状況を押し付けたアメリカ帝国主義に、どうして怒りが向かわないのでしょうか。


    イシカワ大使が紹介されました

    田舎者には縁がない新聞ですが、朝日新聞の東京都内版の12月20日号にイシカワ大使の記事がのりました。
    イシカワ大使の紹介というより、麻布十番の創作手拭いの店の紹介なのですが、大使の経歴もかなり詳しく書き込まれています。

    いつものとおり、新藤さんの教えてくれた情報です。
    イシカワ大使紹介

    うまくコピーできませんでした。画面の上を左クリックするとちょっと読みやすくなります。

    田中靖宏さん(日本AALA連帯員会代表理事)の報告 「核兵器のない平和な世界への展望を示す、第18回非同盟首脳会議に参加して」が発表されました。
    何分にも長い文章ですので、感想部分のさわりだけ紹介させてもらいます。私の「抄訳:非同盟首脳会議のバクー宣言」も合わせてお読みください。

    と言いつつなかなか端折れなくて、このままでは原文そのままです。このあと各論に入っていきます。ここからは滞在中の感想とかエピソードは全部飛ばします。何時か原文が出ると思うのでそちらを読んでください。


    10.制裁措置に反対する

    バクー宣言は具体的な政策について31項目にわたって述べています。

    国連の重視: 国連、とくに安保理への基本的な立場を明らかにしています。いまの安保理は5大国の拒否権など世界の現実を反映しない非民主的な側面をもっています。しかしそれにも拘らず、安保理の諸決議は国際法として順守する義務がある、たとえ短期的には不利益でも、法を守ってこそ国連中心の国際秩序を構築できるのです。大国の横暴な論理に立ち向かうにはそれしかないのです。

    11.経済制裁措置は平和的で積極的か?

    バクー宣言は米国の一方的強制措置を国連憲章に違反すると強く非難しています。国連安保理は現在いくつかの国に制裁決議を採択して、加盟国に実施をもとめています。これまで30近い制裁決議が発動されています。

    しかし今とりあげられている「一方的な強制措置」は、安保理の承認を得ないで各国が独自に実施しているものです。それは米国やEUなどがイランや北朝鮮、キューバ、ベネズエラ、ニカラグアなどの非同盟諸国に実施している「制裁」のことです。

    「経済制裁」は、武力行使にかわる非暴力的な強制措置として積極的な意味に使われました。しかしいまでは、多くの一般市民の生活に甚大な悪影響を及ぼす「集団懲罰」であり、武力行使とかわらない「戦争」行為と考えられるようになっています。キューバにたいする「制裁」は国際法に違反する措置です。第3国にまで「制裁」を及ぼすのは二重三重の国際法違反です。

    ベネズエラ「制裁」は金融取引を停止させ、主要輸出品の石油などの貿易を禁止しました。それはベネズエラ国民へのゆえなき懲罰をもたらし、「4万人以上の死者の増加につながった」と推計されます。

    12.首脳会議の白眉…マハティール演説

    マレーシアのマハティール首相が、とても説得力ある演説をしました。マハティールは94歳とは思えないしっかりとした口調で諄々と説き、会場は静まりかえりました。

    16年前にイラク戦争がありました。ブッシュ米大統領は「米国の味方につくのか敵になるのか」と各国の指導者に選択を迫りました。最後に多国籍軍が侵攻してイラクは破壊されました。しかし大量破壊兵器は見つからなかった。しかし、まともな反省も破壊を修復する努力もないまま、イラクの国富は略奪され分け取りされました。
    イジメに反対する国は叩かれ、ズタズタにされました。いまはどうか。世界を「敵か味方か」にわける戦闘状態がまだ続いているのではないか。世界はいまだに恐怖のなかにあるのではないか。
    私たちは「民主主義の輸出」を口実にした国家攻撃がいかに国家と文明を消耗させ、崩壊させているかを目のあたりにしています。これに直面し耐えている国もあるが、他の国も将来同じ運命に苦しむかもしれません。そんなことは絶対にあってはならないことです。
    大国が並外れた影響力をつかって貿易戦争をしかけています。交易条件をえさに、ブロックをつくって非同盟諸国を分断しようとしています。残念ながらこうした圧力に屈する国があります。このため非同盟運動はかつてのような団結がそこなわれています。みなさん団結しましょう。

    13.核問題

    ここでは省略せせてもらいます。

    14.人権問題

    バクー宣言は「人権の問題」の項を起こして、基本的な立場を次のように説明しています。

    第一に、すべての人権を守り促進する決意を確認する。それは普遍的で不可分、相互に関連しあった国際的な誓約と国内法にしたがっておこなう。また建設的で強力的な対話と能力構築、技術支援や成果の認定を通じておこなうと述べています。
    第二に、開発・発展の権利について述べ、それらが人権の重要な一部だと強調しています。それは平和と持続的な発展を達成するにあたって必要な資産であり、人権を保障するものだからです。
    まず食うこと、食えることが平和の出発点、それはアフガンの中村先生の活動を見れば明らかです。

    そのうえで「人権は、普遍性、透明性、公平性の基本原則の遵守によって強化されるべきである」と強調しています。特定の政治的な意図をもって取り上げたりするのはダメだ、二重基準は許されないという立場です。

    さらに採択された最終文書では、非憲法的手段で政府が権力を握った国での憲法上の合法性回復を呼びかけています。そして非同盟諸国に、運動の創設原則にそって民主主義の理想を掲げ続けるよう奨励しています。


    15.日本AALA創立50周年における不破演説

    2005年は日本AALA創立とバンドン会議50周年に当たります。このとき日本共産党の不破哲三議長が「アジア・アフリカ・ラテンアメリカ~いまこの世界をどうみるか」と題した記念講演を行っています。
    不破講演は、AALA諸国人民との連帯活動の意義と展望に確信をあたえてくれるものでした。

    不破さんは、AALA諸国がそれぞれに困難にぶつかりながらも自立的な発展に努力していると述べ、21世紀の世界を動かす展望をもった地域になると強調しました。そして世界でもっとも活力のあるこれらの地域と、平和憲法をもつ日本が合流していくことに大きな未来があると語られました。その際不破さんが大切だと言ったのは、「自分たちの地域で生まれた政治制度や民主主義を、権利の絶対的な基準としない」ことでした。
    いまの世界には、自国の基準にあわないことがあると、「あれは独裁国だ」とか「遅れた国だ」とかいって片づけてしまう傾向が強くあります。

    アメリカやヨーロッパの国ぐにが、自分たちの地域で生まれた政治制度や民主主義の制度的なあり方を、権利の絶対的な基準として、その他の地域に持ち込み、その地域の国ぐにの状況をそれによってはかる、そしてその基準にあわないことがあると、「あれは独裁国だ」とか「遅れた国だ」とかいって片づけてしまう。あるいは「前進の仕方が遅い」とか「モデルが違う」などと攻撃するという傾向が、かなり強くあります。

    不破哲三『アジア・アフリカ・ラテンアメリカ-いまこの世界をどう見るか―』(新日本出版社、2005年)

    田中靖宏さん(日本AALA連帯員会代表理事)の報告 「核兵器のない平和な世界への展望を示す、第18回非同盟首脳会議に参加して」が発表されました。
    何分にも長い文章ですので、感想部分のさわりだけ紹介させてもらいます。私の「抄訳:非同盟首脳会議のバクー宣言」も合わせてお読みください。

    1.バクーの非同盟サミット会議

    第18回非同盟首脳会議が10月、アゼルバイジャンの首都バクーで開かれました。会議には120の加盟国と17のオブザーバ国・組織の首脳らが参加しました。日本AALAは今回は私と清水学さんがAAPSO団員、大村哲、浅尾剛の2人が随員として参加しました。

    2.迫力のある首脳たちの討論

    会場となったのは大きな会議場でした。なにしろ150カ国ほどの国の代表団が参加するので、広すぎて向こう側の首脳の顔は肉眼では確認できないほどです。しかし、それぞれの首脳たちの肉声はとても力強く、訴えの真剣さはひしひしと迫ってきました。

    会議の成果は、採択されたバクー宣言に集約されています。

    核兵器のない平和な世界の実現は可能だ、それにむけて力を合わせて頑張ろうという内容です。オブザーバーの中国やブラジルを含めると、世界人口の8割、国の数でいえば7割が反核・平和の課題で一致して声明を発したのです。
    残念ながら日本の一般マスコミは、「赤旗」を除いてすべて無視しましたが、非同盟諸国のメディアは一斉にその成果と内容を報じました。

    3.会場の模様

    首脳会議に先立つ24、25の両日が閣僚会議でした。オバザーバーの席は後部で、AAPSOの席は最後列で全体が見渡せる場所にありました。私たちのすぐ前が中国で、右がプエルトリコ独立党、左がアルゼンチンといった配置でした。日本政府はいつもゲスト国として参加しているので、会場に席はありませんでした。

    論議されていたのは閣僚会議に先立って開かれた準備会議がまとめた249ページ1172項目にわたる最終文書案です。

    南米での事態をめぐる議論: 直前のボリビアの選挙でエボ・モラレス大統領が当選しました。これを祝福するとの表現にチリが反対をのべ、これにキューバが反論するなど議論がありました。

    南シナ海の覇権問題: 中国の覇権主義的な行動に懸念を表明した項目はいわくつきのものでした。3年前にベネズエラで行われた首脳会議で、議長国のベネズエラが中国に配慮して表現をやわらげました。これにASEANを代表したラオスが抗議をして、採択では「留保」を表明しました。
    今回の最終文書も前回の表現が引き継がれたため、タイ(ASEAN議長国)が「保留」を表明しました。議長をつとめたアゼルバイジャンの外相の采配はたいしたもので、合意点を提案し、不一致点は首脳会議に委ねることで承認されました。

    4. やや低調だが、主役が交代

    首脳会議といっても、首脳自身が参加したのは十数カ国しかありませんでした。とくに運動の推進役となってきたインドやインドネシア、エジプトなどが首脳の参加を見送ったことは、運動自体の影響力の現状を反映しているのかも知れません。

    その代り、新しい諸国が運動を担う意気込みが感じられました。その象徴が開会総会ではその隣にイラン、ベネズエラ、マレーシアやバングラデシュ、キューバといった首脳が並びました。これらの国の多くは、米政権から敵視されて、さまざまな圧力や干渉をうけています。
    それらの国がバンドン精神という国際的な大義をかかげ、世界の秩序と平和を守る姿をアピールしました。その姿勢が色濃く反映された会議だったと言えるでしょう。

    5.議長国アゼルバイジャンの面目躍如

    そうしたなかで首脳会議の象徴となったのが今回の議長国になったアゼルバイジャンです。非同盟運動に2011年に加盟したばかりです。
    この国は旧ソ連の一国でした。北海道ほどの面積に人口1千万弱の小さな国です。90%がイスラム教ですが、第一次大戦後に世俗の民主共和国として独立しました。しかし独立は2年しか続かず、ソ連に組み入れられました。ソ連が崩壊した1991年に独立を回復しました。その後も隣国との争いが絶えず、ナゴルノ・カラバフの民族紛争とその後のアルメニアとの戦争で百万人もの国内難民が出ました。(私の「アルメニア民主化の話」を読んでください)

    その国がなぜ非同盟を選んだのか。私が得た印象は、国民がヨーロッパの一員でありながら、東西文明の接点として架け橋になることをとても誇りにしていることでした。

    たしかにこの国は十字路の上に位置しています。北のロシアと南のイラン、西のアルメニアとジョージア、さらにその先はトルコにつながっています。それだけにこの地域は古くから文化の融合と対立を繰り返してきました。国内にも民族間の矛盾、宗教間の対立をふくんでいます。

    アリエフ大統領は開会の演説のなかで、独立後、国内の民族紛争の克服に努力する一方で、すべての国との友好を促進してきたと述べました。文明間の対話をうながす「バクー・イニシアチブ」を主催し、ロシアと米国・NATOの対話の架け橋になってきたと説明しました。それらの路線は非同盟運動の目標と役割に完全に一致するとし、今回の議長国として承認されたことに感謝しました。

    6.会議に押し寄せる電子化の波

    いちばん驚いたのは、会議の運営や資料のやり取りがすべて電子メールでおこなわれることでした。一時代前はいつも大きなプレスセンターができて、事務局や各国政府の担当がきて資料を配布し、ブリーフィングしてくれました。記者はその資料をうけとって記事にしていました。

    ところがいまは、すべて電子メールで行われるのです。記者や関係者はIDをもらってスマホでアクセスし、そこでダウンロードして資料を入手するのです。スマホの操作に精通していないと話になりません。旧世代のわたしは途方にくれることが一度や二度ではありませんでした。

    会場にはいれない随員たちは、控え室や会場の隣にしつらえられた映画館のような大ホールで大きな画面をみながら会議をウオッチするのです。一般メディアの取材陣は車で30分もかかる別のホテルに設けられたメディアセンターでの取材でした。記者たちの間からは制約の多い取材環境に不満がでていましたが、会議の運営という観点からは、国際会議や外交を重視するアゼルバイジャンの面目躍如たるものを感じました。

    7.多国間主義と主権の擁護

    今度の会議のテーマは「バンドン原則を擁護し、現代世界の課題への一致した適切な対応を確保するために」でした。この「現代世界の課題」は、各国の首脳からいろいろなかたちで言及されました。それらは最終文書の「前書き」に端的にまとめられています。

    かいつまんでいうと、
    * リーマンショックに象徴される世界経済・金融危機のもとで、世界的に貧困と格差が拡大し、地球環境が破壊され、新しい軍拡競争が始まっている。
    * そのしわ寄せを勤労者とりわけ発展途上国の人民が被っている。
    * そういう状況の下で、トランプ米政権のような自国優先の単独行動主義が広がり、力を背景に途上国にたいして不平等な交易条件や特定の発展モデルを押し付け、従わない諸国には制裁と称して「一方的な強制措置」がとられている。
    * 非同盟諸国はこういう傾向に団結して対応しなければならないというものでした。

    8.トランプとユニラテラリズム

    とりわけ首脳たちが一様に強調したのが、ユニラテラリズムの動きです。ユニラテラルというのは、一方的なという意味です。ユニラテラリズムというのは単独主義とか一国行動主義という意味になります。

    かつては軍備の削減や撤廃を、相手と関係なく自主的にやる意味(例えば一方的停戦とか一方的軍縮)でしたが、今は自分の思い通りに振舞う独善的な行動という否定的な意味で使われています。

    端的に言えば、それはトランプ政権による一連の政策と行動です。

    米国はもともと、「死活的な利害がかかわる場合には単独で独自に行動する」と宣言してきました。それでいて他の加盟国には国連安保理決議違反を厳しく追及し、場合によっては制裁を課し、武力行使さえ行ってきました。ユーゴースラビア空爆やリビア攻撃、さらにイラク侵攻など、すべて国連安保理決議なしでおこなわれました。つまり単独行動主義は米政権の一貫した政策です。

    トランプ政権はそれにとどまらず、「アメリカ・ファースト」を掲げ、パリ協定やTPPからの離脱、核軍備管理協定の破棄、一方的な関税上乗せなどむき出しの自国優先主義をとっています。自国が結んだ国際条約や安保理決議さえも一方的に破棄する点で、一歩も二歩も進んでいます。

    懸念されるのは、ミニ・トランプともいえる指導者が各地に現れて米国の一国主義に追随し、国内の引き締めを強化し国際的緊張を煽っていることです。関連しますが、首脳会議の会場で私の隣にすわっていた難民救援の国際団体の係官と話した際に、「日本と韓国の対立もありますね」といわれたのにはハッとさせられました。世界は日韓対立を同じようなナショナリズムや一国主義の広がりという角度でみているわけです。

    9.国家の主権とマルチラテラリズム(多国間主義)の堅持

    そのうえで首脳たちが強調したのが「マルチラテラリズムの堅持」という表現でした。それは国連を中心とする多国間の国際システムと、それを尊重する国際協調主義の考えを指しています。

    マルチラテラリズムは日本国憲法の精神でもあります。憲法の前文にも「われらは、いずれの国家も自国のみのことに専念してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる」と書かれていますが、まさにこれこそがマルチラテラリズの核心なのです。

    こうした認識にたって首脳たちが採択したバクー宣言は、前文で国連憲章の目的、原則、規定をしっかりと守るとの決意を示したあと、最初の項で次のように述べています。

    世界には違った経済、政治、社会、文化の体制をもつ国があり、国連はそういう違った国の存在を前提に成り立っているのだから、それらはお互いに尊重し、受け入れなければならない。

    ここはとても大事なところだと思います。かつて日本共産党の不破哲三議長は、2005年の日本AALA創立50周年の記念講演のなかで、おなじことを強調しています

    私たちはAALA諸国が歩んでいる道や状況を、その国がたどった歴史的経過を尊重してみる必要があります。その国が我々と同じ水準の代議制民主主義を実現していないからといって、安易に批判したり干渉したりしてはなりません。

    バクー宣言はまずなによりも、各国の主権が尊重されるべきことを強調します。そしてこの各国の独立にたいする武力行使やその威嚇は許されないと訴えます。

    そのうえで、
    1.非同盟運動は、植民地主義と新植民地主義、人種差別、あらゆる形態の外国の介入、侵略、外国による占領、支配または覇権にたいするたたかいを貫いてきた。
    2.非同盟運動は、これらのたたかいを通じて、大国中心の軍事同盟の一員ではなく国際関係のバランス要因になることを目指してきた。
    と述べ、それを貫いてきたことが、非同盟運動の有効性と歴史的な発展を特徴づけていると宣言しています。

    後編に続く

    新藤さんのベネズエラ情報から

    12 月 4 日 ベネズエラで一つの世論調査が発表された。保守系の世論調査会社メガアナリシスによるものだ。
    その結果は、28日の グロボビシオン紙に掲載された。

    質問の一つは、次のようなものだった。

    グアイドー議長を支持するか?

    グアイドーは、大統領を僭称する国会議長である。アメリカを始めとする西側諸国とラテンアメリカのうち親米諸国が承認している。

    この質問に対する回答は以下の通り。

    ① 最早支持しない 68.5%

    ② 一度も支持したことはない 12.9%

    ③ 今でも支持している 10.3%

    ④ わからない 8.2%


    という結果だ。
    他にも質問項目はあったが省略する。

    はっきりしたのは、①と②をあわせた不支持の合計が 85.3% に達するということだ。
    この調査会社が保守的傾向の持ち主というのは、「一度も支持したことはない」層、すなわち頑固な与党派が 12.9% にすぎないことからも伺われる。

    グロボシオン紙がグアイドーをクソミソに

    この世論調査に関するグロボシオン紙の報道は、かくのごとく結ばれている。
    グアイドーが招集するデモは、すでに結集力はなくなっている。グアイドー人気の低迷と、ベネズエラ過激派のなみいるお偉方の雪崩をうつ腐敗を強調する事以外には、もはや国際メディアの表紙を飾ることはないだろう。
    グアイドーは、最初は、市民の人気を得ていると信じた。無条件に国際的な支援を受けていると信じ、陶酔した。彼はベネズエラ政府に逮捕されることを恐れなかった。しかし今では、その人気は本当のものでなく、その仕事は死産であったことを認めざるを得なくなっている。
    新藤さんの作成した世論調査一覧表
    yorontyousa

    ベネズエラの実情にそぐわない国際対応


    御承知のように、日本外務省は公然とグアイドーを支持しているので、グアイドーが要望すれば大使館の接収とイシカワ大使の放逐は時間の問題だと考えられている。現にいくつかの国でそのような措置が実現している。

    「赤旗」はマチャドを独裁者として激しく非難する一方、国民の声を代表するものとして、グアイドーに強い親近感を示している。

    しかしこれらの見解が、ベネズエラ国民にとって共感しうるものなのだろうか。これらの見解に基づいて取られるであろういくつかの措置は、国民の意志に反する内政干渉とならないだろうか…

    私としては深刻な危惧を抱かざるを得ない。


    先進国と途上国との関係において、「人権」問題は常にコントロバーシャルでデリケートな問題であった。

    「人権侵害、人道的犯罪との戦い」という言葉が、繰り返し内政干渉の政治的道具として使われてきた。

    だが私たちは、経験上知っている。先進国の意向に従うものの人権侵害は大目に見られ、先進国に逆らうもののそれは容赦なく罰せられてきたことを。

    20年前、ノリエガが支配するパナマは米軍の直接侵攻を受け政府を破壊された。外国の武力侵攻に抗議する人々は、親ノリエガだろうが反ノリエガだろうが、海兵隊の標的となった。

    今となって明らかなのは、ノリエガはコンタドーラ・グループの先頭に立ってニカラグアやエルサルバドルへのアメリカの干渉を止めさせようとしたから首を切られたのだ。別に国内で独裁体制を敷いたからでも麻薬カルテルに首を突っ込んだからでもない。

    10年経てばそういう話は明らかになる。だから歴史を学ぶ人間は誰でも「アメリカが民主主義を言い出し始めたらクーデターが始まるな」ということは分かるのだ。

    ロイターもBBCもそのくらいは百も承知でヤマを張るのだ。だから連中の言うことは決してまともに信じてはいけない。少なくともそれを根拠にして綱領を書き換えるなんて言うことは絶対にやってはいけないことなのだ。

    繰り返す。「人権」というのは実に階級的な概念なのだ。むかし北海道選出の国会議員で高崎裕子さんという人がいて、この人の決り文句が「強いものに味方はいらない。弱いものにこそ味方が要るのだ」というセリフだった。
    国際政治の中でもこの観点は絶対必要だ。弱い国に向かって叫ぶ「人権」が、「弱い国の強者」の人権にならないよう、私たちは心がけなければならない。


    少し遅れましたが、11月はじめに京都外語大学で開かれた「ベネズエラ・シンポジウム」に行ったときの写真を紹介します。

    講義では名古屋大学の岡田さんの報告が面白かったです。

    1.ベネズエラ問題は人種問題の側面がある

    そのことを示すのが下の図です

    ベネズエラ人の人種的エイデンティティ

    ベネズエラはかつて白人主義をとったこともあり、白人の比率が高いのですが、それでもメスティソが多いのです。

    もう一つ、ベネズエラが白人主義をとったということは、白人に人種差別観が強いということを示唆しています。戦前は日本人移民は入国できませんでした。

    2.ベネズエラは豊かな国

    ニュースを見ているとベネズエラは超貧しい国と誤解されるかもしれませんが、実はとてもゆたかな国なんです。

    石油は唸るほどある。国民向けのガソリン代はほとんど無料なのです。少なくとも中流以上の人なら、働かなくても食っていける国です。景気のいいときは、カラカスの下水にはヘネシーが流れているというくらい贅沢をしていました。

    それは豊かだと言うだけではなく、富が偏在していることも意味しています。だから非白人系の怒りが燃え上って、それがチャベスを大統領の座に押し上げたのです。

    豊かな国ベネズエラには南米諸国から多くに人々が移り住んでいました。その人たちの多くは資産家の召使いとして働いていました。ベネズエラにめぼしい産業はないのでそれより他に働き口はなかったのです。

    LA内の人口移動

    この表からはいろんなことが読みこめますが、岡田さんの示すようにコロンビア発ベネズエラ行の人口移動が圧倒的だということです。年間53万人にも達しています。

    これはちょっと古い1990年の統計です。もう一つの図(ちょっと見えにくいので省略)では、2000年で60.5万人となっています

    あらあらですが、20年で1千万人がコロンビアからベネズエラに入って、その多くが不安定就業人口となっていたら、その人たちが経済危機に際してとる手段は帰国でしかないでしょう。

    数百万の国外難民がいるのに、あふれかえるような難民キャンプの映像がまったく報道されないのは、こういう事情で説明できるのだろうと思います。

     

    3.ベネズエラで殺人が多いのはチャベスのせいではない

    岡田さんが証拠として示した図がこれです。

    殺人率とインフレ率

    ベネズエラで「カラカソ」と呼ばれる民衆暴動が起き、これを憂いたチャベスがクーデターを企てたのが1990年のことです。そして出獄したチャベスが大統領選に打って出て勝利したのが1998年のことです。そのチャベスが今度は逆にクーデターをかけられ、民衆に救い出されたのが2002年のことです。

    これらの事件は安定した物価水準にも、増加する一方の殺人事件にもまったく影響を与えていません。“良くも悪しくも”、関係ないのです。

    あるとすれば、麻薬カルテルの浸透、隣国コロンビアでの武装闘争の激化でしょうか。

     

    岡田さんは別にベネズエラ問題で、どちらに肩入れしているわけではありませんが、メディア(および赤旗)で流されるベネズエラ情報については一定の批判的視点を持っていらっしゃるようです。

     

     

    京都外語大学ラテンアメリカ研究所主催の「ベネズエラをめぐる状況」講座でのフロア発言
    べ講座

    2日間の議論、本当に面白く聞かせていただきました。
    参考になるかどうかわかりませんが、ベネズエラを取り巻くもう一つの国際環境として、非同盟諸国首脳会議でのベネズエラ評価に関して発言させていただきたいと思います。
    ベネズエラはこの間まで非同盟諸国首脳会議の議長国だったのですが、9月のバクー・サミット宣言でも間接的に言及されています。
    それが人権に関する考え方です。

    アメリカや西欧のメディアを念頭に置いていると思うのですが、人権、人権というが、いちばん大事なのは生きる権利だというのです。
    そして今一番世界で危機にさらされているのも生きる権利だと言うのです。

    その理由は、経済的不平等がかつてなく進行しているからです。

    私達にとって重要なことは、2019年秋の時点で、世界の国の過半数を占める百数十カ国の首脳がこのような人権観で一致していること、それが共通の意志として宣言されているということです。

    政治的・思想的自由の権利表現の自由などの権利も重要なものであり、それが遅れた国ではしばしば軽視されていることも間違いありません。

    しかし同じように先進国も、遅れた国のこのような人権状況を無視し、人間開発・社会開発の権利を軽視しているのではないでしょうか。

    ベネズエラ問題を考える際、「人権」というのがキーワードになっていますが、このような人権観の枠組みの違いが先進国と途上国との間に横たわっています。

    一方的な審判、指弾ではなく、共通の思いの形成を検討の基盤に置くべきではないか、ということを指摘させていただきたいと思います。

    綱領改定案(世界情勢論)について

    2004年綱領は、20-21世紀論を中核としていた。その根本的立場は今日も正確で有効だ。
    改定案はそれを引き継ぐとともに、さらに発展させる。


    世界情勢に関する3つの見直し

    第一に、21世紀論の具体的展開
    具体的には、
    ①核兵器廃絶にむけた新たな前進、
    ②平和の地域協力の流れの形成・発展、
    ③国際的な人権保障の新たな発展

    第二に、いわゆる「社会主義国」問題
    全面削除、および世界情勢論の全体の組み立ての一定の見直し。

    第三に、第五章・未来社会論の改定
    発達した資本主義国での社会変革が社会主義・共産主義への大道である。

    ここまでが総論部分だ。「社会主義」諸国の削除については異論はない。

    個別の改定点

    綱領第三章

    「世界情勢――二〇世紀から二一世紀へ」の表題を「二一世紀の世界」に変更。

    21世紀論の骨子はそのまま残す。

    1.人権論を書き加える。

    第二次世界大戦までの時期は、人権問題は、国内問題とされ、外国からの口出しは無用という問題として扱われてきました。

    21世紀の世界においては、人権を擁護し発展させることは、単なる国内問題でなく、「国際的な課題」となった――国際社会における各国の義務となった。

    「人権は国境を超える」論、「民族自決」は人権より低位概念という理論。

    2.植民地体制の崩壊のもつ意義を特記

    20世紀論における「3つの変化」のうち植民地体制の崩壊が最大の特徴である。

    そもそも植民地支配は、民主主義や人権と両立しえません。
    民族自決権はあらゆる人権の土台として世界公認の原理でした。
    しかし、「植民地体制が崩壊した」のだから、これからは民族自決権より人権のほうが重要になる。

    というのが論建てのようです。

    綱領第八節―「社会主義をめざす新しい探究…」の削除

    これまで「社会主義の事業に対して真剣さ、誠実さ」を尺度としてきた。
    その尺度は
    *こういう国ぐにの指導勢力と接しての判断
    *これらの国ぐにが現実にとっている対外路線
    などから判断する以外にない。

    これは、後でベネズエラ問題を考える上で重要なポイントとなります。

    以下中国評価についての記述が続くがこれは省略。特に異論はない。
    ただこれは、中国の話なので、キューバとベトナム、したがって「社会主義を目指す他の国」についてはこの限りではない。

    結局、議論の結末としては、「社会主義を目指す」潮流そのものが存在しなくなったということになる。これは事実としてそういう他ない。いわゆる「前進的整理」であろう。

    民主主義と人権を破壊し独裁を強めるベネズエラ
    ここでキューバを批判するついでに、その論拠として、ベネズエラに想像もつかない非難を浴びせている。さらに「ラテンアメリカに分断を持ち込んで」いるという記述は、事実に即して見れば認めるわけには行かない。

    ソ連論についてはジャンプします。

    綱領第九節――「世界の構造変化」

    「世界の構造変化」が、平和と社会進歩を促進する生きた力を発揮しはじめている。
    これは新たに書き加えた部分であり、これまでの第9節は第10節となる。

    第一〇節 
    世界資本主義の諸矛盾から、世界をとらえる。いわば各論部分。
    現綱領の第九節の内容をもとに書き加える。

    ここで「ラテンアメリカの国ぐに」に触れられている。

    米国の強い従属下に置かれていたが、「二〇世紀の終わりから二一世紀に」軍事独裁政権が倒されて、民主主義の覚醒があった。
    その結果、米国から自立した地域へと変わった。
    しかしこの数年間にベネズエラ危機が分断をもたらした。
    今後、平和の地域協力の流れが、ベネズエラ危機をのりこえて発展するよう願う。

    なんとも悲しくなるような分析である。

    弾力的なアメリカ論

    アメリカは、いつでもどこでも覇権主義・帝国主義の政策と行動をとるのではなく、「世界の構造変化」をふまえて、外交交渉による解決を模索する側面も見る。

    これは重要な指摘です。事実に即して具体的に見ていく必要があります。
    ラテンアメリカにおいては、目下そのような「弾力的」傾向は全くありません。

    綱領第一一節 国際連帯の諸課題

    二つの国際秩序の選択」という記述を見直す。中国、ロシアによる覇権主義も台頭しているからだ。

    このため「国連憲章にもとづく平和の国際秩序か、独立と主権を侵害する覇権主義的な国際秩序かの選択」という、より包括的な規定にあらためた。

    三つの流れ」という特徴づけを削除

    発達した資本主義諸国・資本主義を離脱した国々・AALAの人民の運動の3つを社会主義への発展の時代的・国際的条件としたが、これをやめる。

    遅れた国ぐににおける社会主義的変革の可能性を否定するものではないが、きわめて大きな困難がともなう。
    発達した資本主義国での社会変革こそが、社会主義・共産主義への大道である。


    この点は一般論としてはきわめてよく分かるのですが、現実的には発達した資本主義国での社会主義革命は実現していません。
    逆に遅れた国々で平和的に議会選挙と通じて「社会主義」を目指している国が、現にいくつか存在しています。これらの事実から見て、もう少し謙虚に学ぶべきではないかと思います。

    また非同盟運動の志、バンドン会議の精神は、反核運動の枠に押し込まず、もっと多角的に称揚すべきではないでしょうか。

    何れにしても社会主義への道はそう単純ではなく、ジグザグとしたコースを歩みながら21世紀を通じて進行していくものと考えるべきでしょう。あまり振りかぶった規定はしないほうが良いのではないかと思います。

    今回の綱領改定には多くの理論的前進が見られ、「20世紀の残り物」的理論も随分整理されて見通しが良くなりました。

    その分、ラテンアメリカの現実に起きている変化の評価には、あらっぽさが目立ってしまうように思えます。

    とりあえずの感想です。

    第18回非同盟運動サミット会議

    2019年10月25-26日
    アゼルバイジャン共和国のバクー

    宣言「バンドンの原則を守り、現代世界の課題への適切な対応を」

    BAKU DECLARATION of the 18th Summit of Heads of State and Government of the Non-Aligned Movement (NAM)

    抄訳です。公式の引用はご遠慮ください。

    前文

    2016年9月17〜18日にベネズエラのボリバル共和国マルガリータ島で第17回サミットが開催されました。それは、NAM加盟国および人類全体にとって懸念される主要な問題の解決のために効果的な貢献を目指しました。

    それは、バンドン(1955)およびベオグラード(1961)で明確に表現された非同盟運動のビジョン、原則、目的に沿ったものでした。今回のサミットはそれらを引き継いでいます。

    私達はすべての人のために平和、平等、協力、幸福の世界を達成することを目指します。私達は世界が豊かな多様性で構成されていることを承認し、国連憲章の目的、原則、規定に対する私たちの強いコミットメントを繰り返します。

    人類の政治、経済、社会、文化システムは多様であり、特定のモデルの押し付けはあってはなりません。この点に関して、メンバーの権利と特権を守る決意を表明するものです。私達は主権と政治的独立の原則を守り、対話と寛容の促進へ向けて行動します。

    国家の領土保全または政治的独立に対する脅威、武力行使などが、国際的な問題を解決する手段として採用されることはありえません。そのような脅威または武力の行使は、国際法および国連憲章の違反となります。

    非同盟政策の具体的な内容とは、植民地主義と新植民地主義、あらゆる形態の外国の介入、攻撃、占領、支配または覇権と戦うということです。

    今世界では、武力紛争、拡張主義、テロリズム、分離主義、国境を越えた組織犯罪などの過激な思想が強まっています。それが人権侵害、金融危機、環境悪化をもたらし、世界中の人々に被害を及ぼし続けています。

    私達は多国間主義と国際協力の強化をもとめ、そのために非同盟運動の有効性の向上に努めます。私達は国連憲章と「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を支持します。それらは国連の3つの柱である平和と安全、開発、人権を促進するための基本的な戦略です。

    章文

    (小見出しは私がつけたものです)

    私達は以下の目的を達成するために共同で努力します。

    A. 非同盟運動の役割強化

    *運動の役割を活性化し、現在の政治的現実にふさわしいものにする。

    *国際的に平和を支援し、戦争に反対する運動の地位と役割を強化する。

    *発展途上国の利益を促進する。公正で、包括的で、透明で効果的な国際システムを構築する。

    *正義と公平の原則に基づいて、戦争の脅威、武力紛争、環境ハザード、気候変動、伝染病、極度の貧困などに対処する。

    *非同盟諸国への新たな脅威を考慮し、運動内で団結し、国際平和、安全、開発への挑戦をおこなう。

    *非同盟運動の有効性を高めるため、加盟国の利益と優先事項を適切かつタイムリーに支援、調整する。ダイナミックで効果的なメカニズムを作り上げる。

    B. 国連重視と多国間主義

    *国連を核とした多国間主義を支援する。国際秩序の制度的および法的枠組みにおける国連の中心的役割。

    *国連の強化と近代化のために、普遍的かつ代表的な組織である国連総会を活性化する。

    *国際的な平和と安全の分野をになう国連安全保障理事会の改革。より民主的、効率的で透明性の高いものとする。

    C. 国際的な平和と安全

    *友好関係と協力に関する国際法の原則を忠実に遵守する。国家が引き受ける義務を国連憲章に従って誠実に履行する。

    *内政不干渉の原則をまもる。すべての国の政治的主権、政治的な独立を尊重する。「合法的に構築された政府」に対する不安定化策動を行ってはならない。

    *相互不可侵の原則を守る。国家の統一や領土の保全に対する脅威、武力不行使の原則。

    *これらの原則を部分的または全体的に混乱させるような、あらゆる試みに反対し続ける。これらの試みに対し、国際社会は必要な措置を講じるべきである。

    D. テロへの態度の原則

    *あらゆる形態のテロとの闘いにおけるNAMの連帯を強化する。テロを防止し、戦うための協力を強化する。

    *テロとの闘いにおいて、非同盟運動は国連憲章・国際法にもとづく義務を積極的に担う。いかなるテロ行為であっても傍観することはない。

    *テロリズムはいかなる宗教、国籍、文明、民族集団とも関連してはいない。そうあってはならないことを、非同盟運動は強調する。

    *テロリストグループは国家、地域、および国際の平和と安全を危険にさらす。安全な避難所、作戦の自由、移動と徴兵、財政的、物質的または政治的支援を行ってはならない。

    *法の正義をもたらすために、適切な場合には引き渡し原則に則って関係者を引き渡す。「適切な場合」にはテロ行為の加害者・支援者、テロ行為の資金調達、計画、準備への参加者が含まれる。

    E. 核兵器のない世界のために

    *人類にもたらされる脅威を排除するための努力を倍加する。大量破壊兵器、特に核兵器の存在が人類最大の脅威となっている。

    *私たちは、核兵器のない世界を実現するために努力することを決意します。

    *非核兵器地帯の強化。とくに中東地域での非核兵器地帯の設立をめざす。

    *私達は平和的目的のために原子力エネルギーを開発する国の主権を改めて表明し、その独立性と経済発展を考慮に入れる。

    F.  航海の自由と資源の自由な流れ

    *私たちはホルムズ海峡、オマーン海、紅海などの国際水域での最近の一連の負の事件について懸念を表明する。中東での石油タンカーおよび商業船に対する挑発的な行動を抑制するようもとめ、国際商業航法およびエネルギー供給の安全性と安定性を維持するよう訴える。

    *いま中東地域外のすべての人々をふくむ国際社会全体が、航海の自由と石油やその他の資源の自由な流れを維持するようもとめている。

    *そのためには、繰り返しますが、国家の主権、領土保全、独立の原則、内政不干渉を尊重し、国連憲章に記されている原則を厳格に遵守して平和維持活動を行うべきである。これは国際平和と安全の促進における共同努力の重要な要素である。

    *平和維持活動を成功させるためには、その基本原則を尊重すること、すなわち、当事者の同意、公平性、および武力の不使用が重要である。

    G. 持続可能な開発のための2030アジェンダ

    *非同盟運動の加盟国はその共同活動により平和の文化を促進しなければなりません。国家間の平和と信頼を促進するため、努力を動員する必要があります。そのための手段を構築しなければなりません。とりわけ持続可能な平和、連帯を構築するための政治対話と相互理解が必要です。

    *「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、普遍的かつ変革的であります。多面的かつ統合的なアプローチが必要です。それは最大の世界的課題です。開発途上国には開発の権利があり、それは尊重されなければなりません。それは世界の持続可能な開発に不可欠な要件です。

    *極度の貧困を含むすべての形態と次元で貧困を根絶することは、なお重要な要素の1つです。

    *2001年のドーハ開発ラウンドは、貿易交渉における開発の側面の中心的な重要性を再確認した重要な会議でした。開発途上国の利益も反映される多国間貿易システムの構築が必要という認識を共有しました。

    *しかし先進国における保護主義の高まりは、特に発展途上国の輸出にマイナスの影響を与える。私達は世界の金融・経済危機が世界貿易に及ぼす悪影響について深刻な懸念を表明する。

    H. 一部の非同盟諸国への一方的な強制措置

    *非同盟運動は一部の加盟国に対する一方的な強制措置の適用に対する強い非難を表明する。それらの措置は著しい不均衡と不平等をもたらしている。

    *それらの措置は国連憲章および国際法、特に国家の非干渉、自決および独立の原則に違反する。それらは人々の生存権に影響を与え、完全な経済的および社会的発展を妨げる。わたしたちはそのような措置の廃止を要求し、その決意を繰り返すものである。

    I. 気候変動


    J. 南南協力


    K. 人権問題

    *1993年のウィーン宣言と国際的なコミットメントおよび国内法に従って、すべての人権の促進と保護へのコミットメントを再確認する。普遍性、透明性、公平性、非選択性、非政治化、客観性の基本原則を遵守することにより、人権を強化する必要があることを改めて表明する。

    *世界的に認められた人権の包括的な部分として、開発の権利が含まれなければならない。持続可能な平和と繁栄を築くことが、すべての人権の完全な享受を確保することにつながる。

    L. パレスチナ:外国人支配下にある人々の自己決定権

    *東エルサレムを含むパレスチナ領土の、イスラエルによる占領を完全に終わらせるための、真剣な集団的努力を緊急に呼びかける。状況のさらなる危険な悪化と不安定化を回避するために、迅速に行動しなければならない。

    *私たちは外国の占領・植民地支配下にある人々の自己決定権に関する、原則的立場の妥当性と関連性を再確認する。

    *国際人道法および人権法を含む国際法、および関連する国連決議、安全保障理事会決議が尊重されなければならない。

    *国際社会はパレスチナ問題に対する歴史的、政治的、法的、道徳的責任を自覚し、パレスチナ人の譲渡不能の権利の実現を支援しなければなrない。

    *東エルサレム、シリア・ゴランを含むパレスチナ領土のイスラエルによる占領を完全に終わらせなければならない。そのための真剣な集団的努力を緊急に呼びかける。

    M. 中東難民の処遇について

    *武力紛争の状況にある加盟国において、国内避難民のための恒久的解決策を促進する主要な責任が該当国家にあることを認識すべきである。安全で尊厳のある自主的な返還を含むとともに、人権の尊重、保護および履行を確保することがもとめられる。

    *国外から流入した難民については、人類に対する共通の課題として対処する。そのために、多様性に対する寛容と尊重を促進し、文明間および文明内で共通の基盤を模索する。共通の価値、普遍的な人権を重んじ、協力、パートナーシップ、包括を通じて、人種差別、外国人嫌い、不寛容との戦いを進めなければならない。

    *国、地域、およびグローバルなイニシアチブを評価し、異文化間の対話を促進する。


    19.10.02
    宮本眞樹子 「見て聞いて感じたベネスエラの今」

    ベネスエラに行ってきました!

    ハバナからカラカスまで直行便で3時間、お隣、という近さです。
    12年ぶりのカラカスは、見たところ変わっていません。朝の通勤ラッシュ、夕方の雑踏、道端の物売り、美人でお洒落で魅力的な女性たち、普通の生活が見えます.
    強いて言うなら、警備の人が増えた事でしょうか。

    私がベネスエラを訪問していた時、首都カラカスでは、「ノー・モア・トランプ!大集会」と、「女性のための集会」が開かれ、スクレでは「ベネスエラ・キューバ相互連帯集会」が同時に開かれていました、なんとまあ精力的な事でしょう。

    スクレ市まで行きました

    今回は「連帯集会」に参加するために、カリブ海に面したクマナ県スクレ市に行ってきました。スクレはカラカスから東へ525キロ、海岸沿いのリゾート地でもあります。
    島影が浮かび、絵のように美しい海と海産物の美味しいスクレ。ここはボリーバルとっともに南米を解放したアントニオ・ホセ・スクレが生まれた土地で、“栄光の地“と呼ばれています。

    街の中心にある「フィデル・カストロ来訪記念彫刻美術館」を訪ね、スクレ像の建つ公園を散歩しました。
    ショッピングセンターでお買い物して、ねっとり濃いガトーチョコレート(これが超美味!)にカプチーノのお茶タイム。
    02

          <買い物に来た女性たちと小さなお店の前で>

    夜は海岸通りの公園で、毎週金曜の夜開催されるフィエスタ(お祭り)を楽しみました。
    屋台の魚介類を賞味しながら、音楽が高鳴り、若者たちが盛り上がっているのを満喫しました。

    ”愛の高齢者“プロジェクト

    ステージでは、”愛の高齢者“プロジェクトが開催されていました。
    美しく着飾った年配女性の、それはそれは優雅で綺麗なダンスが披露されました。終わった後はやんやの喝さいを浴びていました。
    01

           <”愛の高齢者“プロジェクトの女性たちと>

    曲が変わると誘われて、私も一緒に踊りました。日本人が珍しいのか、次々現れる男性を相手に、休む間もなく踊り続けてしまいました。

    小腹が空いて、民芸品や手作りお菓子などがずらりと並んだ屋台を冷やかしながら食べ歩きました。
    地元の人たちとお喋りしました。気になっていたことを訊いてみました。

    「どこに餓死する人が?」

    「ここでは食べ物がいっぱいあるけれど、日本のニュースでは食べ物が無くて餓死しそうな人がいるとか、病院に行かれなくて死にそうとか言われているの。本当にそういう人がいるのですか?」

    たっぷり太った屋台の女性は笑いながら、「どこに餓死する人がいるのかね?」と聞き返してきました。
    そして傍に立っていた二人の男性の太鼓腹を撫でました。このマッチョたちは私を物珍しげに見ていたのです。

    周りにいた人たちも、どっと笑いました。そして「どこに餓死する人がいるのかね?」と、互いのお腹をさすりました。訊いた相手がふさわしくなかったかも(^^;)

    フィエスタをやらないわけにはいかない

    「失礼しました、日本ではそんな風に伝えられているものですから」
    私はそう言い訳して謝りました。その女性は言葉を続けました。

    「今年の3月、ベネスエラの発電所がテロ攻撃で壊されたの、知ってるでしょ? あの時、3日目が金曜日だった。フィエスタの日よ。
    停電だったけど、フィエスタをやらないわけにはいかないもの。それが私たちのお愉しみなんだから。
    それでみんなで車を集めて、車のライトで照らして、音楽をかけて、みんなで踊ったのよ」

    感動で言葉を失った私、心の中で呟いていました。

    「あっぱれ! ベネスエラ人よ!」

    カラカスの庶民の生活事情

    カラカスに戻ってから、お世話になった人や運転手さんたちにいろいろ質問してみました。
    「インフレで物価高になって大変ですね?
     食べるものは調達できるのでしょうか?
     病院や教育費は?
     サラリーは平均どのくらいでしょう?」

    答えは次のようなものでした。

    「米国の封鎖強化で、インフレは酷い、サラリーが下がってお金は無い。今、サラリーの平均は6万5千ボリーバルだ。年金も少ない。私と同年齢の女性は4ボリーバルでまったく足りない。
     でも、食糧プロジェクトがあるから食べ物はある。政府からの食糧支援は2年前から更に増えた。
     例えば、お米、トウモロコシの粉(主食のパンケーキを作る)、卵、パスタ、油、砂糖、珈琲、ツナの缶詰…いろいろある、
     高齢者や障害者にはミルクなど更に多く支給される(安価で)」

    キューバのリブレタ(食糧支援)と同じです。(真紀子さんはハバナ在住)

    八百屋さんや小売店に行ってみました。食料品の品数は豊富、キューバは比べ物にならないくらいです。野菜や果物の価格はキューバと同じくらいです。珈琲はキューバの半額です。
    03

              <カラカスの街の八百屋さん>

    * お店には、ベネズエラの側の案内で行ったのではなく、モールの前にあった小さな店にぶらっと寄ったとの宮本さんの説明です(新藤さんの注)

    「病院は種類があって無料のもあります、教育費は大学まで無償です。

    ガソリンは激安! だから、ヤンキーが狙う

    移動中、スタンドでガソリンを入れました。運転手さんが「これで払う」といって、支払いのお札を私に見せました。500ボリバルです。
    「え!まさか、それだけ?」 それではトイレチップと同じ金額です。

    信じられない私、別の運転手さんに訊いてみました。
    「ガソリンはリットル幾らですか?」
    「ガソリン1リットルは0.0001米ドル、0.01セントだ」
    (お店によって為替レートが若干違いますが、1USドル=20,000~23,000ボリーバル、9月末現在)
    「は!そんな激安!?」
    「いいかい、40㍑買うとする、100ボリバル払う、60㍑買っても100ボリバル、200㍑買ったとしても100ボリバルだ、要するにいくらでもないのだ、ここではオイルは水よりも安い」

    計算が合わないだけでなく頭がついていけません。分かったのは
    「だから、ヤンキーが石油を狙うのね」「シー!(その通り)」


    宮本眞樹子(キューバ、ハバナより)

    ベネズエラ大使らの邦銀口座が勝手に凍結

    緊急に拡散することをもとめます。

    朝日新聞報道(10月6日)

    まずは朝日新聞の報道(平山亜理記者 2019年10月6日18時00分)

    SMBC信託銀が駐日ベネズエラ大使らの口座を「凍結」

    南米ベネズエラの駐日大使や、大使館員が開設しているSMBC信託銀行の口座が凍結された。

    同銀行広尾支店の副支店長は、「トランプ米大統領がベネズエラ政府関係者による米ドル取引を禁じたためである。取引の一部がこの規制に抵触する懸念が生じると判断した」と説明した。

    (「ベネズエラへの経済制裁」を理由に挙げているが、米国政府の行動を口実にした勝手なふるまいであることは間違いない : 筆者)

    この結果ベネズエラ大使や大使館員は、子どもの学費の支払いやクレジットカードなどの引き落としもできなくなった。

    大使が日本の外務省などと交渉し、円の口座は使えるようになったが、米ドル口座は使えないままだ。

    朝日新聞の取材に、同行は「米財務省の規制に違反しないかを調べている」と説明。完全な凍結ではないが家賃の支払いなどが窓口で4時間かかった大使館員もいる。

    イシカワ大使のメッセージ

    2019年10月8日(火) 12:07 

    皆さま
    お疲れ様です。
    今回の銀行の措置については、ご懸念と非難のメッセージをありがとうございます。
    措置を知らされてすぐ、外務省に連絡を取り状況を知らせました。
    銀行側は国家間の外交関係を定めるウィーン条約に一方的に違反していいます。
    またトランプの大統領令は違法で国際法侵害に当たります。このような措置が域外適用されることは間違いです
    以上のことを警告しました。
    皆さまからの連帯のご支援を得て、これからも銀行側に圧力をかけていくと同時に、制裁の域外適用の危険性を一般に知らせていくつもりです。
    イシカワ

    なお、新藤さんによると、
    トランプ政権の海外口座への凍結措置は、キューバ大使館にも9月にありました。しかしキューバに関しては、友好議員連盟などの協力で解決したようです。

    Yさんのブラジルだよりを転載します。
    YさんはY大学の先生で、ブラジル経済が専門です。
    ニカラグア訪問団でご一緒させていただきました。
     ブラジルにきています。PCdoB(ブラジル共産党)の幹部に取材しました
     PT(労働党)とPSOL(ブラジル社会主義自由党)は、時間がなく、取材には至りませんでした。
    1 ジルマ・ルセウ(前大統領)の弾劾やそれにいたる2013年頃からの抗議運動には、米国の介入がある。
      ジルマの電話が盗聴されていたのは、報道されたように、周知のことだ。
      ベネズエラやニカラグアへの米国の介入と似ている。
    2 米州機構のニカラグア報告は、きわめて批判的で残念だ。
      あれを仕切った委員はブラジル人で、彼はPT派の人だからなおさら非常に残念な状況だ。
      バチェレ(現OAS事務局長・前チリ大統領)のベネズエラ報告も残念だ。とまどっている。
      個人を越えた、組織のなにか力が働いていると考えるほかない。
      (ただバチェレについては「もともと、市民社会との関係が強い人ではないと思う」というようなことを、
      おっしゃったと思いますが、全体に微妙な表現で、完全に理解できませんでした)
    3 ただしニカラグアのガバナンスがいいと思わない。
      オルテガの奥さんが副大統領というのは、まあどうかと思うけど。

    4 ベネズエラも民主主義の点で問題があるとは思う。しかしそれでも、今は彼らを支持している。
     サンパウロでは長年の友人にききました。彼がいうには、
    1 ジャバラトの汚職捜査は、ひどいの一言。PTつぶしの作戦だ。
      汚職そのものは、嘘ではないにしても。
    2 ジルマ弾劾も、PTつぶし以外のなにものでもない。弾劾のロジックがおかしい。
      むろんジルマやイグナシオ・ルーラ(元大統領)が完全に白かどうかはわからないが、
      とにかくPTつぶし最初にありきの捜査だ。
    3 ボルソナロ(現大統領)は、ブラジルの民主主義的な諸制度をつぶしつつある。
      大学予算カットもひどいし、私の研究すら影響を受けそうな状況だ。
      PT政権は、科学技術の発展を重視していた。ボルソナルは反対の動きだ。
    4 ルラのときに国会内で野党票を買収していた。それは事実で、メンサロン事件とよばれた。
      仕切ってたのはディルセゥ議員だが、彼は「good management賞」だ(皮肉)。
      ジャバラトと比較したら少額だった。少額で国会を仕切ってたんだから、
      効率的な金の使い方で“good management”賞だ。ジャバラトの汚職の規模は、それと比べるとでかすぎる。
    5 司法がPTつぶしに加担して、おかしくなっている。
    
     こんな感じです。
    
    2019年9月29日 

    まことに驚きました。寝耳に水、まさかこんな線があるとは思いませんでした。

    これまで私の書いてきた情勢分析は一体何だったのでしょうか。茫然自失とはこのこと、しばらく自信喪失です。

    「日米同盟を重視する知日派としても知られており、安倍政権とも太いパイプを持つ」(毎日)とされ、安倍首相にはかなりの衝撃だろうと思います。一連のファッショ的路線は、トランプを取り込んだボルトン+ネオコンを本筋と読んでの判断だったと思います。

    一番気になるのは、トランプの「彼の提案の多くに私は強く反対してきた。他の政権メンバーも同意しなかった」というセリフです。

    いちど、ボルトンが安保担当補佐官に就任して以来の変更事項を総ざらえしてみなければなりません。

    イラン核合意、中距離ミサイル(INF)に関してのサイドの変更があるのか。イスラエル政策や対中政策、中南米政策に変更があるのか。



    本日早朝5:36の入電(現地は10日の夕方)
    日本経済新聞ワシントン支局永沢毅記者の第一報だ。

    ツイッターを通じて解任するのはこれまでと同じだが、言い方ははるかにきつい

    昨夜、ボルトン氏にホワイトハウスにはもう要らないと伝えた。…だから私は辞任を促した。

    ポンペオ米国務長官が直後に記者会見した。彼は「トランプ大統領とボルトン氏は多くの点で意見の違いがあった」と語った。ポンペオにまでそう言われるんだから、ボルトンの暴走ぶりはすごかったようだ。

    ニューヨークタイムズ紙によると、トランプ政権の安全保障チームは、もともと大統領を抑制する任務を負っていた。しかし後にはトランプ自身がボルトンを抑制するようになっていた。

    10:36 のCNNニュースではこう書かれている。
    ある政権高官の話によると、トランプ氏はイランやベネズエラ、アフガニスタン情勢などをめぐるボルトン氏の発言に対し、いら立ちを募らせてきた。

    解任の直接の背景は、米軍が長期駐留するアフガンへの対応だと書いている。最近のアフガンがらみの政権内協議に、ボルトンは出席していないという。

    済まないが最近のアフガン議論は記憶にない。何かそんなに揉めていたっけ?

    産経の黒瀬記者の第一報(01:33)には、
    トランプはタリバンを大統領山荘キャップデービッドに招くつもりだった。ボルトンはこれに強力に反対した。
    となっている。これは先程のCNNニュースでも確認されている。

    しかし後知恵になるが、わたしはイラン爆撃をいったん承認し取りやめた事件が一番ではないかと思う。

    高橋浩祐の公式サイト

    イランが6月20日にアメリカの無人偵察機を撃墜した際、ボルトンはその報復としてイラン攻撃を主導した。しかしトランプが「FOXニュース」のキャスターの助言により攻撃を回避した。
    トランプはその後、ボルトン氏を「タカ派」と呼ぶようになった。

    BBCの記事で、トランプは「ジョンには気に入らない戦争なんかないんだ」と冗談を言ったことがある。
    borutonn
    とここまでがニュース。

    次は同じく日経新聞の本日15:46のニュース

    ツイッター発表から90分後のポンペオ会見の詳報で、おそらくワシントンの最終初だろう。無署名だが永沢毅記者のものだろう。かなり重要なニュースだ

    解任は驚きではない。ボルトン氏と私の意見の相違は多かった。

    会見にはムニューシン財務長官も同席しポンペオ見解を補強した。

    イラン制裁では制裁をさらに強化する一方、9月下旬の国連総会でトランプ・ロウハニ会談を“無条件”に実現することに前向きな姿勢を示した。

    これは13:30のBBCニュース。事実とすればかなりのスクープだ。

    トランプ政権の元高官は匿名を条件に語った。

    本来なら大統領に政策助言を行う国家安全保障会議(NSC)が、ボルトン補佐官の指揮の下、ホワイトハウス内で独立した存在へと変化していった。

    「ボルトンは、ホワイトハウス内のほかの人から独立した状態で仕事をして」おり、会議には出席せず、自らの戦略にこだわっていた。
    …ボルトンは大統領に『あなたの優先事項は何ですか』とは尋ねなかった。ボルトンの優先事項を大統領のものとしている」
    ボルトン氏は、「自分のやり方が気に入らなければ結構」というスタンスで、大統領を含む、政権内の多くの人を激怒させた。

    BBCニュースの内幕暴露はさらに続く。

    トランプはロウハニ大統領との会談に前向きだったが、ボルトン氏はこの提案に反対していた。

    北朝鮮との2回目の会談が物別れに終わった際には、政権内からボルトン氏を非難する声が上がった。

    トランプはキャンプデイヴィッドで予定していたタリバンとの「秘密会談」を取り止めた。これはボルトンが強硬に反対したためだった。

    トランプ氏は今春、ヴェネズエラをめぐる外交政策が失敗に終わった際に腹を立てた。マドゥロ大統領を退陣させることは簡単だとボルトンが説明したが、そのことで、トランプ氏は判断を誤ったと愚痴をこぼした。

    最近のイエメン情勢

    これまで書いてきたイエメンの情報と基本的な特徴は変わりないが、よりひどくなっている。
    同時にサウジと連合軍の攻撃が無法であること、彼らは分裂し勝ち目がなくなっていることが明らかになってきている。
    トランプ政権はイエメン攻撃をビジネスと考えていて、金儲けのために戦争の継続に執着している。メディアの中にも人権派のフリをして、フーシ派を極悪人のように描くことで、ジェノサイドに肩を貸そうとする動きがある。これはベネズエラやニカラグアのケースと類似した手法だ。

    イエメン関係記事: 下記をご参照ください






    2012年09月08日 南イエメンの解放闘争




    2018年

    9月 ウォールストリート・ジャーナル、「20億ドル相当の兵器供給がフイになる」とサウジを弁護したポンペオ国務長官の発言を報道。

    10月15日 国連世界食糧計画(WFP)、ホデイダでの戦闘が激化すれば1200万人が飢饉に直面すると発表。

    10月23日 ローコック国連事務次長の報告。「いままさに、重大な飢餓がイエメンを飲み込もうとしています。その徴候がはっきりと現れています」

    11月 国連安全保障理事会、CNNによれば、英国が「限定的な停戦を求める決議案」を提出したが、米国が「急ブレーキをかけた」とされる。

    11月 サウジの反体制記者カショギが殺害される。CIAはムハンマド皇太子の命令と断定。米国はサウジ機に対する空中給油支援を停止。

    11月 国連食糧農業機関(FAO)、イエメンの食糧事情について報告。人口の6割にあたる約1,780万人が支援を必要としており,うち約880万人は深刻な食料不足,約290万人は深刻な栄養不足状態。10分ごとに1人が死亡している。

    11月21日 英国のNGO「セーブ・ザ・チルドレン」、イエメン内戦で栄養失調死した子どもは推定8万4千人と発表。とくに有志連合がホデイダの港を封鎖してから悪化したとする。
    ホデイダでは、約5カ月にわたって続く空爆で推定30万人が難民となった。
    イエメン事務所代表は「こうして亡くなる子どもは、内臓の機能が落ちてついに停止してしまうまで、大変苦しい思いをする。泣く力さえ残っていない子もいる。親たちは何もできないまま死ぬのを見ているしかない」
    ワシントン・ポスト紙は恥知らずにも、こう書いている。
    フーシは反対派を片っ端から拘束しては拷問する。幹部は豪華な邸宅に暮らし、高級車のポルシェなどを乗り回す。反対派を拘束、手足を縛り付けてローストチキンのように火あぶりにする。
    これはありえないと思う。人道援助に対する間接的妨害だ。ワシントン・ポストを自ら貶めている。

    12月14日 イエメン正統政府とフーシ派が部分停戦について合意。ホデイダにおける停戦,タイズ市における人道回廊開設が実現。
    ホデイダは物流拠点で国連の支援物資が集まる港湾都市。サウジはホデイダ制圧のため1万4000人のスーダン人雇い兵を投入。
    12月 サウジアラビア主導の有志連合軍は、その後も空爆を続ける。
    サウジがイエメン戦争につぎ込んでいる戦闘機や爆弾はほとんどが米国製だ。現地ではボーイングなどの技術者数百人が働く。トランプは1200億ドル強の武器売却に成功した。

    2019年

    3月26日 WHO、イエメンで過去3ヶ月に11万人がコレラと類似症に感染。3分の1は5歳未満。
    (2017年には100万人以上がコレラと類似症に感染した)

    4月4日 米議会上下院、有志連合への米軍支援を中止する決議を採択。上院が54対46、下院が247対175。

    4月8日 首都サヌアで爆発。子ども14人が死亡、重傷を負った子どもは16人。

    4月16日 トランプ大統領、有志連合支援を中止する決議に拒否権を発動。「決議は大統領の権限を弱め、兵士の命を危険にさらす」と主張。

    5月14日 フーシ派軍、原油パイプラインのポンプ場2か所を無人機で攻撃。「侵略者のジェノサイド及び封鎖の継続に対する報復」と声明。

    5月20日 南部タイズに空爆。子ども7人が犠牲になる。この10日余りに死傷した子どもは、国連確認で27人。

    6月12日 フーシ派軍、サウジ南部のアブハ空港にクルーズ・ミサイルを発射。空港の管制塔に命中したと発表。サウジ発表で26名の民間人が負傷。

    6月23日 フーシ派軍,サウジ南部のアブハ空港、ジーザーン空港に対し「カースィフK2」ドローン複数機で攻撃。サウジ発表でシリア人1名が死亡、民間人21名が負傷。

    7月2日 フーシ派軍、サウジ南部のアブハ空港をドローンで攻撃。サウジ発表で民間人9名が負傷。

    7月 アラブ首長国連邦(UAE)、イエメン戦線から撤収開始。ホデイダ港周辺の軍事拠点をサウジに移譲。地上戦を担ったUAE軍に対し、血を流そうとしないサウジに不信が広がる。

    7月19日 サウジ、16年ぶりとなる米軍国内駐留を承認。

    7月20日 ニューヨーク・タイムズ、ムハンマド皇太子が特殊部隊や軍事顧問の派遣を求めてきたと報道。

    7月29日 イエメン北部の町で市場が空爆を受けて、子ども4人を含む民間人14人が死亡。サウジが支援するイエメン政府は「フーシがロケット弾を使用した」と非難。

    8月1日 アデンの政府軍施設がフーシのドローン攻撃を受け、少なくとも40人近くが死亡。大半は訓練中の治安要員だった。

    8月1日 同日、イスラム過激派が警察署に対し自動車爆弾を使い自爆攻撃。10人が死亡し、16人が負傷。

    8月10日 南部地域の分離独立派、アデンの大統領府や軍事施設を占拠。これまで分離独立派と暫定政権は共闘してきた。
    分離独立派は南部暫定評議会(STC)を名乗り、アラブ首長国連邦(UAE)の支援を受けている。地上勢力を掌握してきたUAE軍は、サウジと結ぶ暫定政府に反感を募らせる。
    8月17日 南部暫定評議会(STC)、占拠していたアデン市内の主要公共施設を政権側に明け渡す。

    8月20日 フーシ派軍,米国の無人機MQ9を地対空ミサイルで撃墜。

    8月27日 ウォール・ストリート・ジャーナル、米政権がフーシとの直接対話を準備中と報道。米議会は超党派で、連合軍への軍事支援を停止するよう要求している。

    8月28日 暫定首都アデンに到着した政府軍、大統領宮殿やアデン国際空港を奪還。

    8月28日 南部暫定評議会、シャブワ県での敗北・撤退を認める。政府軍背後のサウジアラビア主導の有志連合軍を非難する。

    8 月29日 ポンペオ米国務長官、暫定政権と南部暫定評議会(STC)に対し、対立を解消するよう求める。

     

     データで見る:紛争下のイエメン、人道危機の規模
    ユニセフ・イエメン人道状況報告書(2018年12月)/ユニセフ・イエメン人道ニーズ概況報告(2019年)

    1億1,300万人  -  人道支援が必要な子どもたちの数
    2億4,100万人  -  人道支援がなくては生きられない人の数
    200万人  -  急性栄養不良で治療が必要な5歳未満の子どもの数
    1億9,700万人  -  基本的な保健ケアへのアクセスが必要な人の数
    1億7,800万人  -  安全な水、適切なトイレなどへのアクセスが必要な人の数
    出典:ユニセフ・イエメン人道状況報告書(2018年12月)/ユニセフ・イエメン人道ニーズ概況報告(2019年)
    ただしイエメンの総人口は約2,892万人(2018年/国連)であり、ユニセフの数字にはベネズエラ並みの誇張(翻訳ミス?)があるようだ。

    AALA全国大会に向けての準備

    1.世界が当面する三大問題と人権

    方針案は核・環境・格差を三大問題としている。現実に世界で興っているさまざまな闘いも、これらの問題を巡ってのものである。

    注目されるのは、これら多くの運動が人権をめぐる課題として提起されていることだ。

    それは平和的生存権であり、持続可能な生活環境を維持する権利であり、差別されずに生活する権利であり、他国の不当な脅迫を拒否する権利である。

    これらの権利は人類がともに共有すべき権利であり、我々が思想・信条の違いを乗り越えて擁護すべき権利である。

    私は、人民連帯運動の基本的な構えとして、この考えを徹底していく必要があると考える。


    2.国際紛争をどう解決すべきか

    国際紛争をめぐっては2つの考えが必要だ。

    まず、国家や民族の自決権を擁護するという立場である。ホーチミンがいうように「独立ほど尊いものはない」のである。

    もう一つは、いかなる紛争であれ、平和的解決を目指すべきだということである。

    平和的解決は多国間の協議を通じてしか実現しない。一方的な制裁や脅迫は、決して正しい解決にはつながらない。

    7月に行われた非同盟諸国外相会議の声明は、それらのことをきっぱりと示している。


    3.「自主的な国作り」とはなにか

    総会方針に「キューバとベネズエラ、ニカラグアは「自主的な国作りを続けている」と書かれている。

    自主的という言葉には、一般的な「自主」という以上の特別な意味が込められている。

    それは「モンロー主義」には従わないという不服従の立場だ。
    それはアメリカに支配されてきた歴史への批判と、ホセ・マルティのいう「我らのアメリカ」への誇りだ。

    「自主的な国作り」という表現は、そこを読み込んでいくべきだろうと思う。


    4.コンセンサスにもとづく運動を

    日本AALAはコンセンサスに基づいて運動を展開する組織である。

    もともと、多様な意見を持つ人がコンセンサスで共同活動するのだから、一致できない論点が出てくる可能性はある。

    それらについては、当面全体方針とはせずに、引き続き研究・議論を重ねながら合意形成を目指すことになる。もちろん、その間メンバーが個人の見解に基づいて意見を表明することは妨げられない。

    具体的に、ベネズエラ政権に対する評価の不一致が問題になっている。

    もちろんベネズエラをふくめたラテンアメリカ諸国の人々との連帯は、私たちの共通の願いであり、組織としての死活的任務だ。

    そのうえで一致点はどこで、不一致点はどこかを明らかにしなければならないだろう。

    「一致できない論点は原案から削除する」という意見があるが、アメリカの「制裁」は認められないということは一致できるのではないか。

    それは書くべきであろうと思う。

    いま間違いなく、アメリカの干渉行為(武力脅迫・経済制裁・金融攻撃)がベネズエラの民衆を苦しめている。

    だから、「いかなる情勢変化があろうとも、私達はベネズエラの民衆を見捨てない」と宣言することでは、私たちは一致できるのではないか。

    5.不破講演(2005年)の核心

    日本AALA50周年の記念講演「アジア・アフリカ・ラテンアメリカ―いまこの世界をどう見るか」はいまなお示唆に富むものだ。

    そこで話された大事なことは、「歴史的出来事の現実の推進力」がどこにあるのかという見方、すなわち「21世紀論」の視点と「変革の立場」を貫くことである。

    世界の「99%」がアメリカの一国行動主義を批判し、ルールある平和を擁護する方向、これが21世紀の流れなのだと不破さんは主張する。

    さらに世界の進歩勢力の中にも、さまざまな否定的現象が噴出することがあるが、その際も、一般的な評価にとどまらず、功罪を明らかにし、教訓を導き出さなければならない。これが「変革の立場」だと強調している。

    以上のような立場を強調し、日本AALAのさらなる発展に向け奮闘したいと考える。

    ピンク・フロイド好きの人へ

    今も75歳でコンサート活動を続けているロジャー・ウォーターズのこのビデオは、圧倒的な迫力だ。

    「ブタ」は社会の頂点にいる人たち、富と権力を持つ人たちだ。
    「ブタ」たちは、社会の他の人たちを操作できる。そして悪意の競争と冷酷さを奨励する。だからブタは強力なままでいることができる。
    という歌だ。情けないが、日本で放送しようとすれば、きっと「忖度殺し」されるだろう。

    queen trump

    サウンド的には、こちらのほうがはるかに良いので、まずこちらからみてほしい。こちらはメキシコ市のソカロ広場で20万人の聴衆を前に演奏したものだ。このコンサートはメディアがベネズエラを袋叩きにしている最中に行われた。

    だから、その時のメッセージで、ロジャー・ウォーターズは次のように“真実”を語っている。
    ベネズエラでは、今のところ内戦も暴力も殺人もない。政治犯の大量収監もなければ、報道の抑圧もない。
    誰かの持ち出した“人道コンサート”は、米国のベネズエラ侵略に手を貸すものなのだ。それはベネズエラ国民の必要とするものとは違う。民主主義や自由とも関係ない。
    そうです。まさにそのとおりなのです。
    ピンク・フロイドを愛する皆さん、私のブログに来てくれたついでに、検索窓に“ベネズエラ”と入れてみてください。なぜロジャー・ウォーターズがそういうのか、わかってもらえるでしょう。

    Facebook に、ロジャー・ウォーターズの発したメッセージがあるので紹介する。


    おはようございます。 私の名前はロジャー・ウォーターズです。 
    わたしから一つお話があります。 それはベネズエラについてです。 

    1998年、ベネズエラの人々は社会主義をめざす政府を民主的に選出しました。その政府は石油産業を国有化しました。

    その後、米国政府の支援を受けて、当時の大統領チャベスを倒すクーデターが試みられました。 

    それは2日間続きましたが、結局失敗しました。大統領の復帰を要求したベネズエラの人々が街頭で、巨大な抗議行動を展開したからです。

    彼は2日後に牢獄を脱出して大統領に復帰しました。それが2002年の物語でした。

    つぎに米国がやったことは、「ベネズエラは米国にとって戦略的脅威だ」といって、それを理由に経済制裁と封鎖を課すことでした。

    これらの米国の違法な制裁は、ベネズエラに不当な負担をもたらしました。
    それは経済を破壊し、インフレを促進しました。それによって国内の反対派を活発化させました。

    多くの人々がベネズエラを去っています。ベネズエラでは、特に貧しい人々の生活は困難です。それは主にインフレのためです。
    食べ物がないというのは嘘です。たくさんの食べ物があります。しかし人々が買うには高すぎます。

    彼らは二度目のクーデターという目標を持っています。彼らは10年もの間クーデターを準備してきました。今はグアイドとか言う名の操り人形を持ち込んでいます。

    それは疑問の余地なく明らかです。すなわちグアイドは救世主のふりをして、コロンビア国境の向こう側で彼を操る人形師と会っているのです。それこそがベネズエラに苦難をもたらした張本人です。

    これはナンセンスそのものです。これは2002年に彼らが達成しそこねたことです。
    その失敗したクーデターが企てられたのは、チャベス政府が、アメリカ政権にとってとんでもないことをしでかしたからでした。

    それは石油産業からの収入を政府が受け取ることでした。そして、それを社会計画としてベネズエラの人々に分配することでした。

    私には操り人形と彼を操るマスターへのメッセージがあります。

    ベネズエラから手を引け!
    あなたがしていることは、無法で汚らわしい。

    私達はベネズエラの人々、何百万人もの人々を、世​​界中でサポートしています。
    みんなが新聞で何を読んでいるか知らないけれど、それでも私たちはあなたを愛しています。

    歴史はおそらく証明するでしょう。ベネズエラの社会主義は、世界中で政治が進むべき道を照らす光だということを。
    大丈夫、私たちはあなたと一緒です。

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    May 30, 2019


    ベネズエラ中央銀行(BCV)が3年ぶりに経済指標を発表しました。

    1.GDPの縮小

    データは、ベネズエラの経済が2013年から2018年の第三期までに47.6パーセント縮小したことを明らかにしています。これについての公式のコミュニケーションはありません。

    2.月次インフレ率

    BCVのデータは、ベネズエラのハイパーインフレ(月間50%を超えるインフレ)が始まったのが、わずか1年ちょっと前、つまり2018年4月だったことを明らかにしています。

    2018年の総インフレは13万パーセントに達しました。

    そして12ヶ月経った2019年3月にインフレ率が50%を下回りました。BCVの3月と4月のインフレ率は、それぞれ34,8と33,8%です。

    inflation
    2017年1月以降の月間インフレ率。青はベネズエラ中銀、橙は国会チームのデータ、
    50%の緑色破線はハイパーインフレのしきい値。


    野党が支配する国会附属機関も2017年11月から経済分析を開始していますが、こちらも3月に初めてインフレ率が50%を下回ったと発表しています。

    3.石油と貿易比率

    ベネズエラは、2015年以来、原油価格の下落、経済の不正管理、制裁の結果として、深刻な経済的失速状態に陥っています。

    石油輸出収入は、2017年には315億ドルでしたが、2018年には298億ドルに低下しました。

    輸入総額は2012年に史上最高となり、660億ドルに達しました。それが2017年には120億ドルまで低下しました。2018年にはそれから149億ドルにまで増加しましたが、依然として1/4以下の水準です。

    4.非道な経済制裁

    今年はじめ、フアン・グイドが自称「暫定大統領」を宣言します。政府打倒を目指すワシントンは、直ちにフアン・グイドを支持することを決定しました。それ以来、米国財務省の制裁は著しくエスカレートしています。

    米国による一方的な措置は、ベネズエラの経済、特に石油部門をターゲットとしています。

    ワシントンDCに本拠を置くシンクタンクである「経済政策研究センター」が最近、報告書を発表しています。その結論は以下のようなものでした。

    米国の制裁により、2017年以降、ベネズエラの石油生産量が著明に減少している。さらに制裁はベネズエラに40,000人以上の死者をもたらした。

    研究者のJeffrey SachsとMark Weisbrotは、「経済制裁はハイパーインフレと深刻な経済危機に対処する可能性を奪った」と結論を与えました。

    5.経済改革の挫折

    ベネズエラ政府は昨年8月に包括的な経済改革を実施しました。

    これには、通貨の再変換、為替レートの切り下げ、通貨をペトロ暗号通貨に固定することが含まれます。

    しかしそれにもかかわらず、ハイパーインフレを抑止することはできませんでした。政府はボリバル・ペトロの為替レートを切り下げて給与を引き上げざるを得ませんでした。

    最新の昇給は4月末に行われました。

    最低賃金と食糧費補助は合計で65,000ソブリン・ボリバルです。これは並行市場レートで約11ドルに相当します。

    6.金融政策の改革

    ベネズエラ中央銀行は昨年12月に進路を変更しました。通貨安誘導政策の採用です。

    DICOMの公式外貨オークションでドルに関してボリバルを積極的に切り下げました。
    5月6日、BCVは並行市場指標のペースを維持するため為替管理の廃止を発表し、完全変動相場制へ移行しました。
    「交換ボード」は現在、公共銀行と民間銀行によって運営されており、為替レートはBCVに伝えられています。

    中央銀行による最近の措置は、流通するボリバルの量の制限とともに、経済のインフレスパイラルを減速させました。

    しかしこれは劇薬です。インフレの抑制は需要の縮小を犠牲にしてもたらされることになります。エコノミストは、どこかで資金手当がない限り、このインフレ抑制策には長期的な経済停滞のリスクがあると警告しています。


    UN Human Rights Council Adopts Resolution Rejecting US Sanctions

    7月13日、国連人権理事会第41回評議会は、ベネズエラに対する米国による制裁を非難する決議を採決しました。

    決議案は非同盟国運動(NAM)の議長国ベネズエラとパレスチナから提出され、賛成28票、反対14票、棄権5票で承認されました。

    ベネズエラ政府は「決議に対する国連人権理事会の加盟国の圧倒的な支持に感謝する」との声明を発表しました。

    この文書は、「すべての国の「譲渡不能な権利」としての自決権を再確認しました。そして一方的な強制措置(制裁)を拒否し、他国や米州諸機関の干渉なしに、国民主権・独自の政治的、社会的、経済的、文化的システムに従って、進むべき道を決めるべきである」と訴えています。

    ベネズエラは非同盟運動の当番議長として、加盟国からの大きな支持を得て国連人権理事会に決議案を提出しました。

    ベネズエラのホルヘ・アレアザ外相はこう述べています。

    すでに今年の5月、国連の特別報告者であるIdriss Jazairyは、制裁がもたらす悪影響に対する報告をしています。彼は「キューバ、ベネズエラ、イランに対する政治的目的での経済制裁の使用は、人権と国際法に違反している」と非難しています。

    しかし今回の決議は、ベネズエラにとって重要な意味を持っています。それは理事会が国連の人権高等弁務官ミシェル・バチェレの提出した報告書を体系的に拒否しているためです。

    バチェレ報告は、ベネズエラ政府の主要な社会政策を無視しています。そして米国政府による経済制裁についても言及していません。

    今回の決議は、米国による経済制裁が「対象国(ベネズエラのこと)の人々の福祉を妨げ、人格の完全な実現を障害している」と述べています。

    2017年以来、ホワイトハウスはベネズエラの個人や事業体に対して150の制裁を課しており、食料と医薬品の不足により4万人以上の市民が直接死亡し、1,160億ドルの損失が発生しました。

    この数字は、最近の経済政策研究センターによる独立した報告書によって明らかにされています。


    「非同盟諸国外相会議」のカラカス政治宣言

    上記の会議が7月20日、21日ベネズエラの首都、カラカスで開催されました。
    正式名称は「非同盟諸国運動調整ビューロー閣僚会議」というのだそうです。

    その会議の「宣言」が発表され、その抄訳を新藤さんが訳されています。大変ありがたい話ですが、それでさえも法律用語風の言い回しで相当読みにくい。

    そこで私が勝手に10分で読めるように縮めて言い換えて、読み物風にまとめました。大事だと思うところはゴシックにしています。

    もとより正確さにかけているので、気になる方は新藤さんの本文をご覧ください。

    はじめに

    私たちは…特に平和の推進と国際法を順守する緊急の必要性について率直に討議した。
    そして反戦勢力、平和愛好勢力として非同盟運動の役割を果たすために、以下のことを決定した。

    平和と国際安全保障の維持のためには、諸国家が国際法の諸原則と国連憲章に従うことが重要である。
    とくに主権、政治的独立、加盟国間の国境の不可侵を尊重することを再確認する。

    平和的手段を通じた国際紛争の解決を推進する。国連憲章の原則に違反する力あるいは脅迫、軍事侵略の行使を慎まなければならない。

    単独行動主義について

    特定の国々により押し付けられた単独行動主義的な措置に反対する。
    単独行動主義は国連憲章、国際法、人権の侵害を生み出し、国際関係に否定的影響を与える
    非同盟諸国にたいし、単独行動主義にもとづく一方的な経済制裁、威嚇的・一方的な制限を慎むべきである。それは主権と独立、貿易・投資の自由に脅威を与える。
    非同盟諸国のみずから決定する権利を妨害してはならない。それは国連憲章、国際法の基準と原則に対する重大な侵害となる。
    単独行動主義的な措置は逆転されるべきである。こうした措置や法律は即時に廃止するよう要請する。

    被害国との連帯

    侵略行為あるいは単独行動主義は国際法違反である。それによる被害は賠償されるべきである。

    単独行動主義が非同盟諸国、とりわけ発展途上国に圧力をかけるために行うレッテル貼りに断固反対する。

    外部からの力の行使の脅迫、侵略行為、抑圧的な措置の被害を受けている諸国民との連帯を引き続き強化する。

    以下略


    ユニラテラリズム(単独行動主義)とマルチラテラリズム(多国間主義)

    マルチラテラリズムは非同盟運動の最も基本的な理念の一つです。非常に訳しにくいのですが多方向主義とも訳せます。三カ国以上でやる交渉ならマルチラテラリズムですが、たとえばサミット会議などはマルチラテラリズムとは言いません。大国間の談合はそもそも多国間主義の理念に反するのだから当然です。これは普通「多極化論」と呼ばれます。

    これらの合意形成過程を一切無視して、大国が自らの意見を一方的に押し付けるのがユニラテラリズムです。「無理が通れば道理が引っ込む」ことになるので、ユニラテラリズムは本質的に間違っています。

    これができるのはアメリカしかありません。だから「単独行動主義」というのは、反多国間主義のことであり、事実上アメリカの覇権主義にほかなりません。

    多国間主義の立場に立つ非同盟運動は、単独行動主義と原理的に相容れません。ここがベネズエラやニカラグアの問題を考える上でのキーポイントだろうと思います。

    何れにしても世界の国々の3分の2を結集する非同盟運動が、メディアの大宣伝を打破し、単独行動主義との対決を打ち出したことの意義は決して小さくないと思います。



    July 2019 「米国はキューバ、ニカラグア、ベネズエラへの攻撃を強化している」
    Intensification of US aggression against Cuba, Nicaragua and Venezuela

    4月16日、ジョン・ボルトンが「ピッグス湾の侵略に参加した退役軍人の会」に出席し演説した。
    彼は述べた。「トランプ政権は民主主義、主権、安全、法の支配を擁護する。モンロー・ドクトリンはいまも生きている」

    この200年も前に宣言されたモンロー・ドクトリンは、アメリカがアメリカ大陸を好きなように形作る「権利」としてずっと主張されてきた。

    ボルトンは、キューバ、ニカラグア、ベネズエラを「専制のトロイカ」だと決めつけ、新たな経済制裁策を発表した。

    彼は、この「トロイカ」が崩壊すると、アメリカ大陸は「雪をかぶったカナディアン・ロッキーから輝くマゼラン海峡まで、人類史上初めて自由な半球になる」と宣言した。

    モンロー・ドクトリンのこの非常に危険な復活は、「民主主義」とも「人権の尊重」とも何の関係もない。しかしアメリカの経済的権益擁護と左翼政権を排除することには深い関係がある。
    ロシアと中国は米国を「世界を不安定化させ国際法に乱暴に違反している」と非難しており、このところの状況は、冷戦時代以来見られなかった対立を露わにし、世界を危険にさらしている。

    ニカラグアに最も壊滅的な影響を与える制裁措置はNICA法である。それは「米国は国際貸付機関にたいし、ニカラグアへの貸付を行わせないよう阻止する」と定めている。政府の財政困難を駆り立てている。

    国連の特別報告者 Idriss Jazairyは、政治的な目的のために経済制裁を使用することは人権と国際法の違反だと言う。 
    「そのような行動は、一般の人々が見せしめや人質にされてしまう。それは前例のない人道的な災害を引き起こす可能性がある」

    和平交渉と恩赦法

    2月26日にニカラグアの世論調査会社が行った調査では、回答者の90%以上が、家族や地域社会の幸福を保証するために対話、平和、安定を望んでいると回答している。

    このような背景の下、政府代表と野党「正義と民主主義のための市民同盟」による交渉が開始された。 協議には、OAS代表や教皇庁代表が立ち会った。

    重要な合意がなされている。一つは市民の権利を強化するための手続きに関するものであり、もう一つは昨年の暴力に関連して拘禁された人々の釈放である。それは国際赤十字委員会によって監督されていることになっている。

    国会はこれを受けて、2018年4月18日以降の全国で起きた事件で、すべての関係者に完全な恩赦を与える法律を承認した。
    政府は市民同盟の反対派逮捕者を釈放した。さらにOASが関与して、選挙改革のための検討プロセスが再開された。

    なお保留されている問題は次のとおり。
    ① 暴力事件に関連して国外逃亡した人々の帰還を許可する。 
    ② NICA法という違法な米国の制裁措置の停止。それは国の最貧者、最も脆弱な分野に対して度外れに悪い影響を与えている。

    「正義と民主主義のための市民同盟」は、政府との交渉を担当する主要な野党グループだった。
    しかし、先行きは不透明である。反対派を構成している70の組織のうち多数は、政府との和平交渉をやめて、米国がさらに制裁を強化するようもとめている。

    米州機構のアルマグロ事務局長は、囚人の釈放が大幅に進んだことを確認し、ニカラグア政府が健康と教育の改善を進めていると称賛した。 
    このため、アルマグロはSNSでは過激派に非難された。

    私の疑問

    1.ボルトンの主張は、ある面では「正しい」のだろうか?
    2.NICA法は、民主主義を守るためには必要なのだろうか?
    3.交渉を拒否する野党強硬派の立場は、支持しうるものだろうか?
    4.「専制のトロイカ」を打倒することは、民主主義の実現を意味するのだろうか?

    集会での演説要旨(キューバのグランマ英語版より)

    40年集会

    オルテガは全国民に「貧困撲滅の戦い」への参加を呼びかける

    オルテガ大統領は、サンディニスタ革命40周年記念集会で、数十万人の人々を前に演説した。

    彼は演説の冒頭、貧困と失業を根絶するための行動に参加するよう求めた。彼は同時に、予算が全体として削減されたにもかかわらず、道路・学校・保健センター・病院の建設が続いていると明らかにした。

    外交の分野では、経済制裁を厳しく批判した。これは新たに採用された攻撃の形態である。それはあけっぴろげの恥知らずの攻撃だ。
    どんな国でも、国際法に基づかない制裁措置を課す権利はない。そのような制裁を課した国は犯罪を犯しており、そのような行動は許されるべきではない。

    オルテガは問う「結局、誰が苦しむのか? 苦しむのは民衆である。アメリカはなぜ民衆の生活をそのようにして弄ぶことができるのだろうか?」

    40周年記念集会に参加した外国人ゲストの中には、アメリカ合衆国から来た「平和のための退役軍人グループ」(Veterans for Peace)がいた。オルテガは、これら元兵士が今では「人類の道は平和への道しかないと確信している」と強調した。その一人が、中米に武器を運ぶ列車を止めようとして足を轢断されたブライアン・ウィルソンである。 「彼こそは平和の本当の英雄だ」とオルテガは付け加えた。

    ニカラグア年表 7/8 ビオレータ・チャモロの大統領就任まで

    の87年9月の項目に詳しい経過あり。

    Brian Willson

    オルテガは、国の社会的、経済的発展のために働きたいと思うすべての人々と対話する準備ができていると語った。彼は労働者、技術者、大小規模の生産者と対話すると述べた。

    選挙は2021年(前倒しすることなく、予定通り)に行われるだろう。そして我々はそれらを勝ち取るべく準備している。

    オルテガは、すべての選挙改革は憲法に従って行われる。選挙の後に「我々は選挙を奪われた」などという抗議ができないようにすると強調した。(El Digital 7/20/19)

    その他のあいさつ

    祝賀会場であるラ・フェ広場には500人以上の外国人客が数千のニカラグア青年とともに並んだ。
    オルテガ大統領の前に、副大統領ロザリオ・ムリーリョ、キューバとベネズエラの代表、そしてカトリック司祭アントニオ・カストロ神父がスピーチを行った。

    ロサリオ・ムリージョ副大統領はこう述べた。
    この40年、ニカラグアは栄光、若さ、歴史、そして未来に満たされていた。「サンディニスタ人民革命」は負けることなく意気高く、前進を続けてきた。

    キューバ代表のサルバドール・バルデス・メサ第一副大統領はフィデル・カストロの言葉を引用した。
    「サンディニスタの勝利は、45年のソモサ独裁に対する勝利ではない。それは150年にわたる外国支配の勝利だ」

    演者たちは平和の重要性を訴えた。また社会的、経済的正義と貧困の撲滅の課題を強調した。

    それぞれは米国がニカラグアやキューバ、ベネズエラに対して制裁を科したことを非難した。それはすでに貧困状態にある人々をさらに貧困に追いやることにつながるだろう。

    キューバはニカラグアの成功が帝国主義を苦しめていると言う

    キューバのミゲル・ディアス=カネル大統領は、ツイッターでメッセージを送っている。(紛らわしいが、この人は大統領兼首相でバルデス・メサの前の副大統領。プレジデンテはこれまで議長と訳されてきたが、今年から大統領となったらしい)

    下記のセンテンス “Nicaragua pains them, love pains them” はとても難しいが、「ニカラグアには棘がある。“愛”という棘が奴らを苦しめる」と訳しておく(我ながらなかなかの訳だ)。
    「私たちはサンディニスタ革命40周年を歌う。それはラテンアメリカの歴史を変えたのだ」


    本日、北海道AALAでの報告会用の原稿です。

    サンディニスタ革命40周年記念集会に参加して

    はじめに

    目の前に広がっている景色は、35年前に見た景色と同じでした。会場いっぱいの人々、10万人は越えていたと思います。
    しかし集会の雰囲気はどことなく成熟したものを感じました。

    考えてみればあたりまえの話で、ダニエル・オルテガは私と同世代、あの時が30代後半で今は70歳を超えています。
    その下にふた世代積み重なったサンディニスタ党の集会なのです。

    あのときは一方で革命の熱気が残っていて、片方ではコントラが大規模な侵攻を開始して、とにかくものすごいテンションだったのです。

    いまでは与党とはいえ一つの政党にすぎず、支持しない人もたくさんいます。街にも幟や飾りはほとんど見かけず、サンディニスタがあまり目立たないように抑えている感じでした。

    それなのに革命直後並みの動員力を持っているのはなぜでしょうか。これは一つの謎です。

    アメリカに負けなかった国: ニカラグア

    謎といえば、何から何まで謎です。10年近くも続いた内戦は、自分の責任ではなくアメリカから一方的に仕掛けられたものでした。

    とはいえ、内戦のもとで5万人が命を失い、経済が崩壊し自滅した政権だったのに、その後も国民の影響力を失わず、生きながらえ、あまつさえ20年後に政権に返り咲き(しかも平和的に)、今では国民の7,8割の支持を受けているというのは、謎でしかありません。

    そもそも自滅というのは正確ではありません。むしろアメリカの雇兵部隊に打ち勝ち、和平にまで持ち込んだことで、国の独立を守り、戦いそのものには事実上勝利したのです。

    ニカラグアは小さな国です。面積や人口から言うと、北海道が独立して一つの国になったようなものです。

    そんな国がアメリカに正面から立ち向かって勝てるはずはないだろうと思っていましたが、私の間違いでした。それは歴史的に証明されたことです。

    ニカラグアは独裁国家ではない

    そんなニカラグアを独裁主義国家だという人がいます。これはどこをどう押しても大嘘のコンコンチキです。

    サンディニスタは戦いには勝った(というか引き分けに持ち込んだ)のですが、1990年の選挙では負けてしまいました。

    彼らは、命がけで守った政権を野党に譲り渡し、長い間野党として活動してきました。

    そして16年後に保守党分裂のすきを突いて、ちょっとした手練手管(もちろん平和的な)を使って見事に政権に復帰します。

    2013年01月27日 ニカラグア大使講演、聞き書き: どうして、サンディニスタが政権に再び就いたか

    それからというもの、世論調査では圧倒的に支持され、選挙のたびに大勝を繰り返しています。アメリカにしてみれば憎たらしいと思うでしょうが、選挙が公明正大だから手を出せずに来たのです。


    それが10年も続いているのです。いわば民主国家としてのアメリカのお墨付きをもらったようなものでしょう。それが急に去年になって変わったというなら、その証拠を出すべきではないかな。

    メディアは誰を「市民」としているか

    今回、これだけ大々的に40周年記念集会をやったのは、単純なお祝いではないと思います。

    去年の4~6月に国内で大規模な反政府派との衝突があって、それから1年経って国内はどうなっているのかを世界に知らせたいという思いがあるでしょう。

    この「衝突」は2つの否定的影響を与えました。一つはそれまでニカラグアはポジティブなイメージで語られてきたのに、独裁政治のもとで暴力がまん延する危険な国だというネガティブなイメージに変えられたことです。

    もう一つは、反政府派(の一部)が武力であちこちを占拠し、道路を封鎖したことです。さらにアメリカなどが制裁を課したことから、GDPは前年比4%(ちょっとうろ覚え)下がったと言われます。

    もちろんこれとは別に人命をふくむ物理的被害はありますが、紙面の関係上ここでは省略します。

    メディアの事件報道は偏ったものでした。
    例えば、毎日新聞は次のように報道しています。
    【サンパウロ山本太一】反政府デモを暴力的に取り締まる中米ニカラグアの反米左派オルテガ政権に対し、国際社会の非難が高まっている。
    4月以降、当局との衝突などで市民約270人が亡くなった。各国は対話による解決を求めるが、混乱は深まる一方だ。
    軍や警察がデモ隊や立てこもった市民に発砲し、死者や負傷者が相次いでいる…
    それで市民というのが、この写真です。
    民主派
    説明文は「車やバイクに乗ってオルテガ政権に対し抗議の声を上げる人々」となっています。こういうのを普通日本では暴走族というけど、山本記者には「自由を求める正義の市民」に見えるらしい。

    とにかく、メディアはなんの根拠もなく書き放題です。ベネズエラと同じことが行われています。

    ニカラグア政府は紛争をどう抑えたか

    今の世界が本当に怖いのは、米国がやると決めた瞬間から、対象国が世界中から孤立してしまうことです。

    ドルの購入やドルによる決済が困難になり、世界との通常の貿易が不可能になります。禁輸措置がとられると、ドルを持っていても医薬品すら買えなくなります。さらに通関手続きが制限されることから物資は滞留します。

    それらが何をもたらすかはベネズエラで見たとおりです。経済政策の失敗という見方もあるようですが、論理的にありえない話です。

    ニカラグアに残された道は唯一つ、ひたすらに隠忍自重することでした。

    反政府派がいかに暴力をふるい、破壊活動と封鎖を続けようと、政府は手を出しませんでした。サンディニスタ活動家にも待機の指示が出されました。警察は暴徒の破壊行為を遠巻きに眺めるだけで、事実上為すがままにさせました。

    「軍や警察がデモ隊や立てこもった市民に発砲」している写真はありません。彼らが一方的に暴れ、サンディニスタの活動家を“人間タイマツ”にしている写真のみです。

    当時の「衝突」は日本大使館が詳しくフォローしています。メディアに頼らざるを得なかったので仕方ないのですが、そのほとんどは反政府の「市民」による暴行でした。

    今年3月にニカラグア国内のテレビで6夜にわたって放映されたドキュメンタリー番組が、余すことなく実態を伝えています。(ただし全体に冗長で、目を背けるような映像もふくまれており、日本人向けに手入れが必要でしょう)

    ただこれに警察力をもって対応すれば、相手の思うつぼになります。ここは「ならぬ堪忍、するが堪忍」です。

    実はこれでネを上げたのが経営者たちでした。
    道路封鎖で3ヶ月にわたり全土で産業活動が止まりました。
    資本家にとっては全国で無期限ゼネストを打たれたようなものです。

    結局最終的にはアメリカと資本家たちの根負けの形になりました。サンディニスタではない普通の人々が、バリケードに立ち向かうようになりました。

    7月に入って徐々に道路封鎖のバリケードは解除され、暴徒たちはいつの間にか消え去りました。結局のところ、反政府派の妄動は自己破産していったのです。

    反政府派への恩赦と「愛」

    暴徒は数ヶ月の妄動の間に、警察官やサンディニスタ活動家など数百人を殺害しました。

    普通なら一般刑事犯として処罰すべきものですが、政府はこれらの暴徒に全て恩赦を与えました。無罪ではなく無処罰です。それが反政府派との和解の条件でした。

    ただすごいのは、恩赦を和解の条件として提示したのではなく、「愛と平和」というサンディニスタ哲学の基本として提示したことです。

    この考えは、かつてコントラとの和平の中で打ち出された考えです。内戦中にコントラは集団虐殺など悪辣な行為を繰り返していましたが、和解にあたっては一切その罪を問わず、土地を与え職を与えました。
    nica女性戦士

    このときのサンディニスタに対する信頼感が、今も国民の間に強く根付いていると思います。ニカラグアは、党派を超えてすべての市長が反核宣言をしている唯一の国です。

    恩赦というのは罰しないということですが、そうではなく「罪は恕されなければならない」という考えが大事なのです。

    若干宗教的になりますが、恕すというのは「愛」なしには実現できない行為です。愛の具体的な試金石です。
    そこから導かれるのは、神が愛し恕すように我々も互いに恕さなければならないということです。

    といっても言うは易く行うは難しい。

    サンディニスタの青年と話す機会がありました。彼女も一生懸命勉強して納得したが、納得できない人もいると正直に話していました。

    とにかく、このような方針と哲学を掲げた政党が国民の圧倒的支持を受けて活動を続けているという事実を、ささやかな事実ではあるけれども、大いに語っていかなければならないと強く心に刻みました。


    25x220=5500

    下記の記事が大変優れているので、その要約を上げておきます。一部私の見解も混じっているので、記事の責任は私にあります。興味のある方は本文をご参照ください。

    東洋経済オンライン 2018/09

    岩崎 博充 「リーマン破綻から10年で世界は変わったのか…今も続く恐怖と後遺症、次に来るリスク

    はじめに

    リーマン・ショックから10年、世界は様変わりした。
    世界はアメリカを筆頭に景気回復を遂げつつある。
    日本は相変わらず日銀による異次元の量的緩和を続けている。

    リーマン・ショック以前には存在しなかった極右政権が数多く誕生した。とりわけトランプ大統領の出現は世界の様相を一変させた。彼らは一見、グローバリズム・自由貿易主義とは真逆の政策をとっているように見える。

    一方で、リーマン・ショック後に湧き起こった「ウォール街の占拠」運動は、ウォール街の強欲主義を厳しく糾弾し、格差社会を糾弾する運動となった。

    リーマン・ショックが人類にもたらしたもの

    リーマン・ショックがこの世界に残したものは何だったのか。それを列挙しておきたい。

    <金融市場にもたらされた影響>

    Ⅰ.作り出された「過剰流動性」

    ① 流動性の枯渇

    リーマン・ショックは、急激な流動性の枯渇が引き金となった。

    アメリカでリーマン・ショックが終熄した後も、欧州の通貨危機は長期にわたった。実体経済も足を引っ張られた。

    その対策として取られたのが大規模な金融緩和、とりわけ量的緩和政策だった。

    ② 量的緩和(QE)

    米連銀のバーナンキ議長は流動性の枯渇に対応するために、量的緩和政策を導入した。長期国債などを購入することでマネーを大量投入した。

    ベース・マネーは、約8720億ドル(2008年8月)から2兆6480億ドル(2012年1月)となった。4年間で3倍となったことになる。

    ヘリコプターからお金をばらまくようだということから、「ヘリコプター・ベン」と呼ばれた。

    欧州中央銀行や日本銀行なども、これに追随した。異次元の量的緩和によって、世界経済は平常に復した。金融危機は過剰流動性によって避けられたといえる。

    ③ 過剰流動性のツケ

    日本銀行だけがいまも依然として量的緩和を続けているが、FRBやECBは緩和縮小(テーパリング)に入っている。

    しかし世界にはマネーがあふれている。過剰流動性は至るところでバブルを引き起こしている。世界は、今後大きなツケを払わなくてはならないかもしれない。

    Ⅱ.金融モラルの崩壊

    投資銀行などの自己勘定による金融取引はリーマン・ショックの原因の一つとなった。

    このためボルカールールが定められ、投資銀行の閉鎖と銀行の市場取引の規制が導入された。

    しかしトランプ政権によりボルカー・ルールは骨抜きにされつつある。投資銀行は復活し、CEOなどの責任はほとんど問われなかった。

    金融業界にとって何よりも大切なモラルが崩壊し、結局は「やった者勝ち」の世界が生み出されつつある。

    <政治、国民生活への影響>

    Ⅰ.格差社会の拡大

    「ウォール街の占拠」運動は、世界が保有する資産の半分を1%の富裕層が独占している現実を明らかにした。

    しかしそれから10年近く、格差社会は一向に縮小せず、ますます拡大している。

    Ⅱ.極右勢力の台頭

    デマ宣伝を運動形態とする極右の運動が広がっている。その背景には、100年に一度の金融危機があったと考えるのが自然だ。

    リーマン・ショックの発生直後にオバマ政権が誕生し、8年間の苦闘の末に金融危機を抑え込んだ。しかしその間に膨らんだ大衆の不満はオバマの目指したものとは逆の方向に向かった。

    ヨーロッパでは、長引く不況を背景に移民排斥を唱える人々が勢いを増している。

    <リーマン・ショックは終わったのか>

    過剰流動性を是正する過程が、大きな矛盾を生み出す可能性がある。

    Ⅰ.資金量の減少

    まず金融市場から資金が消えていく。

    FRBはすでに2520億ドル(28兆円)の保有資産を減らした。FRBやECB、日本銀行の3行を合わせた買い入れ額は、この1年でゼロになる見込みだ。

    Ⅱ.ドル金利の引き上げ

    資金の減少は金利の上昇と投資の減少を招く。

    金利の上昇は
    ①ドル高(円安)
    ②株価の下落
    ③新興国資金の逆流(新興国通貨安)
    をもたらす

    とくに新興国市場からの資金引き上げは、新興国通貨安をもたらし、ドル債務の増加となる。トルコ、南アフリカ、イラン、ベネズエラの悲劇は、明日のすべての新興国の悲劇となるかもしれない。

    一方における貧困の蓄積は、他方における富の蓄積をもたらす。世界的な格差の拡大に拍車が掛かる。
    強いドルを背景としたアメリカの金融支配力は格段に強化される。

    2012年08月13日 赤旗「ベネズエラはいま」を読む
    いまどきこの記事を読んでくれる方がいました。
    なかなかものが言いづらくなっている今、心より感謝します。

     いまは「世界史の回転軸」について考えています。
    一方におけるトランプや右翼のゴリ押し、他方における地方選挙と民主勢力の伸び悩みという状況のなかで、「だれに依拠し、どう戦い、どの方向に展望を切り開いていくのか」という変革者の視点がますます必要になっています。

    答えは明らかで、「民衆に依拠し民衆のために闘うこと、そして民衆にとって望ましい目標を提起すること」です。

    階級闘争が激化すればそこにはバリケードが形成されます。
    そのとき、バリケードを挟んで対峙する2つの勢力のあいだで自分がどちらにいるか、自分の居るべき場所はどちらか、そこを見失ってしまったのでは話しになりません。

    それは何よりも鍛えられた皮膚感覚と階級感覚が決めることです。五つ星のホテルに泊まりながらバリケードの向こう側を語ることはできません。

    捲土重来を期しローマを脱出しようとしたペテロにイエスは問いかけます。
    「クオ・ヴァディス、お前はどこへ行くのか?」

    そしてイエスは自ら応えます。
    「君は去れ、私は向かう」
    若い人には勧められませんが、余命いくばくもないジジババにはずしんと応える呼びかけです。

    米中通商戦争はエネルギー戦争

    米中通商戦争はエネルギー戦争としての側面も持っている。

    中国が今後発展していく上で最大のネックとなっているのがエネルギーである。
    20世紀末までは時代遅れの石炭でしのいできたが、それはPM5となって自分の首を絞めるようになった。
    中国エネルギー
           中国における一次エネルギー消費量の推移
    中国は原油の確保をめぐって悪戦苦闘を続けてきた。南シナ海の海底油田はその一つだ。
    米国は逆に原油供給先を潰しにかかってきた。イラン、リビア、ベネズエラへの干渉は中国に対する兵糧攻めだ。

    石油からどこへ?

    一方で、フクシマ以来原子力への芽が絶たれたことから、「石油に代わる未来のエネルギーは何なのか?」が問われるようになっている。

    私がこの間勉強してきた感じでは、それは自然エネルギーをベースロードとし、LNGで増減を調整するミックス電源となるだろう。

    自然エネルギーは、あれもこれもの夢物語ではない。広大な大陸では風力、人口密集帯では太陽光だ。これに揚水発電・省エネが組み合わされることになる。

    蓄電池や液体水素などの話はその次の世代の話となる可能性が高い。

    いずれにせよLNGの確保が死活問題

    原油と違ってエネルギーの全てではないが、LNGの重要性は死活的なものとなる。
    しかしパイプラインをふくめるとLNGの初期コストは相当なものとなる。EUに対するロシアの恫喝を考えると、政治コストも高価なものとなる。
    そして今後LNG最大の供給先となりそうなのが、半ば無尽蔵のシェールガスをかかえる米国だ。これに対して最大の輸入国となりそうなのが中国という構図になる。

    どうやっても中国はエネルギー不足という呪縛から逃れられそうにないのである。

    ジョン・ボルトンと彼を支える「システム」

    はじめに

    前回、ハノイの米朝首脳会談が潰れたとき、テレビのニュースを見ていて、「アッ、こいつが潰したんだな」とかんじたので、なんの論証もなくそのまま文章にしました。

    それが以下の記事です。
    この話には伏線があって、第一回目の首脳会談のときにも妨害活動の先頭に立ったのがボルトンだったのです。
    それについて書いたのが下記の記事です。

    私の第一感は正しかったようです。まもなくニューズウィークがそれを裏付ける記事を組みました。それが下記のものです。

    ハノイのボルトン
      1日目の会談に出なかったボルトンは突如2日目に会談に姿を表した
    ボルトンは、ハノイでの27日夜の夕食会には出席しなかった。
    米朝会談の2日目、突然ボルトンがこれみよがしの席に着席した。会談の準備を進めてきたビーガンは後方席に座った。
    周知の通り、その後会議は流産した。トランプは本気で会議を成功させようとしたのに、どうしてか。

    韓国統一部元長官がこう語っている。
    会談2日目の28日朝の時点では「ほぼ100%楽観的」だった。
    しかし土壇場になって、ボルトンが「核兵器だけでなく、保有する生物・化学兵器についても報告義務を課す」と言い出した。
    この結果、会議は合意に至らなかった。

    ニューズウィークは不思議なことにそれ以上は掘り下げず、もう一つの謎に迫ろうとしない。「なぜトランプはボルトンのちゃぶ台返しを許したか」を書いていない。しかしそれは明らかに取引だ。

    米朝交渉の流産と、ロシア疑惑追及の中止をトレードオフするという取引だ。現にロシア疑惑はうやむやに幕引きされようとしており、トランプ再選の芽すら出てきた。
    それをできるのはFBIにこれ以上の追及を思いとどまらせる力を持った「システム」だけではないか。ボルトンはその「システム」の尖兵と考えるべきであろう。



    今後のこともあるので、この際ボルトンについてのまとめ記事を掲載します。

    1.ボルトンの経歴と実像

    ウィキペディアによれば
    ボルトン(John Robert Bolton)は1948年ボルチモア生まれ。
    1970年にイェール大学を卒業、1974年イェール・ロー・スクール修了。
    高校時代からゴールドウォーターの選挙運動に参加するなど保守派で、転向者という意味でのネオコンではない。親イスラエル派、親台派の代表的人物と見なされている。
    ヘルムズ上院議員の補佐官を経て国際開発庁および司法省に勤務した。クリントン政権期は保守系シンクタンクに在籍し、クリントン批判を続けた。
    2001年、ブッシュ政権によって国務次官(軍備・安全保障担当)に任命された。金正日を「圧政的な独裁者」と呼び、北朝鮮で生きることは「地獄の悪夢」などと発言した。北朝鮮はボルトンを「人間のクズ」と評した。
    対イラク開戦では開戦推進派として戦争への流れをつくった。彼は大量破壊兵器疑惑が誤りだったと判明したあとも、戦闘継続を主張した。

    2.ボルトンの国連観

    2005年、国際連合大使に任命されたが、上院で承認されず未着任のまま満期辞任する。
    しかしこのときの推薦名簿は、そのまま彼の支持母体を示している。ウィキペディアによれば、5人もの共和党政権の国務長官が連名で推薦した。すなわちキッシンジャー、ベーカー、シュルツ、ヘイグらである。これがおそらく「システム」の国務省系列であろう。
    ウィキペディアによれば彼の国連観は以下のようなものであった。
    「国連などというものはない。あるのは国際社会だけで、それは唯一のスーパーパワーたるアメリカ合衆国によって率いられる」

    浪人中は極右の大物としての発言を続けた。
    イランの核爆弾を止めるために、イランを爆撃せよ(To Stop Iran’s Bomb, Bomb Iran)
    イランへの爆撃や北朝鮮への先制攻撃も主張している。
    またオバマの広島訪問を「恥ずべき謝罪の旅」と強く批判している。



    3.「悪魔の化身」となったボルトン

    トランプは大統領選挙のさいにボルトンを国務長官候補として検討していた。そして3月にマクマスター大統領補佐官を電撃解任したトランプは、ボルトンを後任に任命した。
    3月29日、ボルトンと会った当時の「狂犬マティス」国防長官は、「あなたのことは悪魔の化身だと聞いている」と挨拶している。
    4月9日、国家安全保障担当補佐官に就任したボルトンは、1回目の首脳会談を前にして突如「リビア方式」を提唱。日本や韓国のタカ派と共謀して会議の流産を図った。
    会談のぶち壊しに失敗したボルトンだが、今度はシリア軍事攻撃をトランプに強くもとめた。さらにアサド政権の後ろ盾であるロシアやイランへの対処を含む「より大きな戦略」を訴えた。
    その後も中距離核戦力全廃条約(INF)の破棄や、イラン核合意からの離脱を推進した。18年秋には、国防総省に対し、イラン空爆のための軍事オプションを提示するよう求めた。
    こうしてただの反共ポピュリストに過ぎなかったトランプは、極右のハードライナーとしての姿勢を露わにしていくことになった。



    1.右も左もベネズエラ政府を非難

    アメリカのペロシ下院議長とバイデン元副大統領(共に民主党)によるグアイド大統領承認は、ワシントンの悪意ある合意の最新版です。

    フィデル・カストロ以来、ラテンアメリカの国家元首は一貫して悪魔化されてきました。

    しかし、カストロの就任した1960年代は冷戦の極寒の時期でした。今日のベネズエラとは異なり、キューバは一党制でした。

    左右両派のベネズエラに関するコンセンサスの範囲は、最近のトランプ大統領とオカシオ・コルテス議員の発言によって示されています。

    連邦議会の演説で、トランプはベネズエラの経済危機を社会主義の失敗に帰しました。これに対してオカシオ・コルテスは「権威主義体制と民主主義の問題」であると主張しました。

    二人のコメントは互いに補完し合っています。

    ワシントンを支配するストーリーによると、ベネズエラは経済的にも政治的にも大失敗です。経済苦境と国家の権威主義的な支配の責任は、マドゥーロと取り巻きにあります。

    当然のことながら、主流メディアは疑問を投げかけようとはしません。ほとんどの報道は経済制裁の有害な影響にふれつつも、国家の無能力と汚職にアクセントマークを付けています。

    さらに少なからぬ左翼は、少なくとも部分的に節度ある経済制裁を支持しています。国の差し迫った経済的困難を乗り越えるために必要だというのです。

    今や、こういったベネズエラ非難を批判的に検討している人はほとんどいません。一部の人々は制裁には異議を唱えますが、マドゥーロ政府を攻撃することで実質的に反対に参加します。

    例えば、Gabriel Hetlandによる最近の記事は、「Maduroは権威主義的な手段によって権力を保持している」と述べています。そこではベネズエラ経済を分析した結果、「経済困難の主な要因は、政府の石油収入の管理ミスと汚職である」と主張されています。

    2.根拠のないベネズエラ非難をそのままにしてはおけない

    私は昨年末、アメリカとカナダで2ヶ月間、ベネズエラへの連帯を訴えるツアーへ参加しました。そのとき、「ベネズエラの経済的、政治的問題を詳しく知る必要はない」という意見をよく耳にしました。それは主要な問題ではなく、主にはトランプの制裁の違法性と軍事介入の脅威だからだというのです。

    しかし、「国際法の遵守を!」だけで問題を解決できるのでしょうか。

    マドゥーロが恐怖の独裁者であり、完璧に無能な支配者であるとの烙印が押されたら、人々は外国の介入に反対して、ベネズエラ政府を熱心に支持する旗のもとに集まりますか?

    私はそうは思いません。

    絶対に、政治・経済的の両方を、事実に即して詳しく検討する必要があります。連帯の努力が有効に働くか否かは、ベネズエラ政府の“真実性”にかかっているからです。

    マドゥーロ政権についての圧倒的に支配的なストーリーが撒き散らされています。しかしそれは額面通りに取ることはできません。その中に1片の真理があるとしてもです。


    3.「元を正せば」のどこが「元」なのか?

    ベネズエラの野党はいつもこう主張します。「制裁も、原油価格の下落も、国の経済的困難を合理化するものではない。全ては経済の誤った管理のせいだ」と。

    一部の野党アナリストは、要因としての原油価格の重要性を否定または最小化しています。そして「他のOPEC諸国はベネズエラと同じくらい石油輸出に依存しているが、ここまでの経済混乱はなかった」ことを指摘します。

    野党の中心的な主張は、ベネズエラの悲惨な経済困難がトランプの制裁実施より先だということです。

    2014年半ばから国際原油価格の急激な下落が来たとき、すでに政府の失政が蓄積していたからこそ、原油値下がりがベネズエラに悲惨な影響を与えたというのです。

    そこに続いて石油価格の下落、そして制裁というわけです。

    2日に渡って野党の大統領候補となったカプリーレスは、「危機は原油価格の下落前に始まったが、長い間政府によって無視され、抑圧され、覆い隠されてきた」と主張しました。

    この考え方には2つの誤りがあります。

    そもそも、ベネズエラに対する米国の「経済戦争」は、いろいろの要因の中で最も古くから始まっています。トランプによる制裁はそのなかで最終のものです。


    4.米国のベネズエラ干渉の歴史

    1999年にゥーゴ・チャベス大統領が当選したときから、米国は新自由主義と米国の覇権の受け入れを拒否するベネズエラ政府に干渉を続けてきました。米国の敵意はさまざまな点で経済に深刻な打撃を与えました。

    例えば、2006年にはベネズエラ空軍に高価なF-16戦闘機のスペアパーツの販売を禁止しました。このためベネズエラ政府はロシアからの戦闘機の購入を余儀なくされました。

    国際制裁もトランプで始まったのではなく、2015年のオバマ時代に始まっています。オバマはベネズエラを米国の国家安全保障への脅威と呼んで制裁を命令しました。

    その命令に続いて、フォード、キンバリークラーク、ゼネラルモーターズ、ケロッグ、そしてほとんどすべての国際航空会社を含む多国籍企業によるベネズエラからの撤退が続きました。(オバマを弁護するわけではないがキューバとの国交正常化のための議会対策という側面もある)

    2番目に、マドゥロの下の石油価格は2014年以来低かっただけではなく、任期中に急落しました。チャベスの下で起こったことのちょうど反対のことが起きたのです。

    高値は期待とコミットメントを生み出します。それが急降下すると、それは欲求不満と怒りに変わります。現在の価格は下落前の水準の半分をわずかに超えた程度です。このため、油価急落は大問題です。


    5.闇市場対策の失敗

    3つの要因がベネズエラの経済的困難を説明しています。低原油価格、ベネズエラに対する「経済戦争」、そして誤った政策の3つです。

    政府政策のカテゴリーで際立っているのは、公定価格と間価格との格差拡大の問題に対するマドゥーロの反応の遅れです。

    配給品は市場を通して低価格で販売されることになっていました。しかしその製品の多くが闇市場に回り、法外な価格で販売されたり、近隣のコロンビアに密輸されてしまいました。をれは汚職や密輸の助けになります。


    6.独裁者のレッテルは千回も貼り直される。

    メディアはベネズエラ報道において良質な情報源が徹底して不足しています。

    ベネズエラの民主主義に関する声明は、露骨な誤解を招くものから正確なものまで多岐にわたります。

    前者の例は、「ガーディアン」紙の主張です。

    そこではベネズエラ政府が「ほとんどのテレビ局とラジオ局を統制している。それらは絶えず親マドゥーロ宣伝を流し続ける」と書かれています。

    これは明らかなウソです。実際には、ベネズエラの人々の80%が、3つの主要な民放(Venevisión、Televén、およびGlobovisión)を見ています。これらは贔屓目に見ても親政府であるとはいえません。

    もう一つの極端な例ではHetlandの主張があります。

    野党指導者ヘンリック・カプリレスが汚職の容疑の結果として、公職立候補権を剥奪されたというものです。ヘトランドはこの決定が政治的に動機付けられたものと述べました。

    実際には、その動きはHetlandが議論したものよりも悪かった。

    一時、政治的地位が大幅に下落したカプリレスは、政府との対話を主張する穏健派野党に鞍替えし、多くの市民の支持を集めました。
    しかしカプリーレスはその政治的地位を利用して党内に過激派を招き入れました。その結果、国内対話を起こすための努力は水泡に帰したのです。


    7.軍・警察の暴力

    マドゥーロを独裁者と呼ぶ人々には、2つの共通する主張があります。

    政府は、2014年から2017年にかけて、政権交代をもとめる平和的デモを残酷に抑圧したとされています。それは4ヶ月間に及ぶものでした。

    事実はどうでしょうか、抗議行動はとても平和的といえるものではありませんでした。2014年には6人の国家警察隊員と2人の警官が殺害されました

    抗議者たちはカラカスの空軍基地にむけて発砲し、2017年にはタチラ市のいくつかの警察署を攻撃しました。

    もちろん、抗議行動に関連して発生した多数の死亡者を取り巻く状況にはさまざまなバージョンがあります。しかしメディアがそれらを提示したことはほとんどありません。まず公平な分析が必要です。

    第二に、野党は、昨年5月の大統領選挙は正当ではないと主張しています。したがってマドゥーロの再選は認められないとし否定しています。

    大統領選挙を無効とする理由は、それが制憲議会(ANC)によって行われたためであり、そもそも制憲議会そのものに法的根拠がないというのが主張です。

    グアイドの大統領としての自己宣言の正当性も制憲議会の違法性を根拠にしています。

    8.最後に

    第一に、民主的規範の違反や警察による抑圧の事例は、それ自体で政府が権威主義的であるか独裁的であることを証明するものではありません。

    第二に、国の経済問題はいかなる種類の介入も正当化するべきではありません。紛争の本当の問題はベネズエラの民主主義の状態です。


    むかし、高橋敷さんという人がいてベネズエラの大学で教えたことがある。その時の思い出を本にした。2015年に亡くなられたようである。高橋さんの経歴についてはウィキを参照のこと。
    それが「みにくい日本人」(原書房)という本である。当時ベストセラーになったらしい。
    1970年の出版であるが、南米在留期間は59~67の8年間である。後半はベネズエラのゲリラ闘争の頃と重なる。ゲリラについては詳しい年表があるので参照されたい。

    その中の一節を紹介する。もはや入手困難な本であろうから、著作権など無視してコピー起こしする。

    まず飛び込んでくるのがベネズエラの強烈な貧富の差と、それに劣らず強烈な有色人への差別意識。

    ついで半ば奴隷としてつれてこられた東洋人(チーノ)に対する無知と蔑視。

    それらが、ベネズエラの地に限って日本人植民がきわめて少ないことの説明だ。

    最後が、この本の題名になっているのであるが、それに反発しながら実際には迎合し、「名誉白人」の地位をもとめ、東洋人(チーノ)や現地の有色人を差別することにかけて引けを取らない「みにくい日本人」だ。

    わたしたちの「AALA人民連帯運動」は、こういう日本人像から脱却し、差別とは無縁の真の国際人となるための、気づきと学びの運動でもある。


    2章 残酷と忍従のあと
      1 日本人不毛の地

     ◇夢の楽園

    ベネズエラ。ここは夢とロマンスの国、さもなくば恋と情熱とリズムの楽園ともいえよう。
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            60年代初頭のカラカスのハイウエイ
     創市四百年の歴史を持つ首都カラカスは、人口百五十万、マイケティア空港から、またラガイラ海港から、キロメートル当り、時価にして十億円はかかる、片側六車線のすばらしい舗装道路が、いくつかの長いトンネルをくぐりぬけながら、海抜九百メートルの斜面をなだらかにのぼって、わずか二十分で都心部を結びつける。
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             写真はいずれも60年代初頭の絵葉書
     そこには、何階層にも重なり交錯しながら、国の各地方に広がってゆく美しいインターチェンジの白い輪の放列かあり、その中に空高くそびえる二本の政庁ビルを中心に、昼は色とりどりの花園や、
    大学都市の広壮な造形に飾られ、夜は南十字の星影と、スケールの大きいネオンにいろどられて、ごみ一つない、清潔な近代都市が、緑ゆたかに広がっている。

     人口九百万、国土は日本の二倍半、たとい国民の半数を占める原住インディオの貧しい生活を、郊外や山間の僻地に捨て去っているとはいっても、この、ぜいたくなまでの富の来たるところを見ようと思えば、飛行機で四十分、西の方、カリブに続く美しいマラカイボの湖面を見わたせばよい。

     そこには、すみきった青空にむかって、無数ともいえる石油并が林立し、スペクトルのように輝きを変えるエメラルドの水面から、おびただしい石油の管が四方に送られる。世界第二の産出量を誇り、この国の貿易愉出の九六パーセントを占める、原油のすきとおった流れこそ、ベネズエラの明日なのである。


     ◇屈辱の日本人

     だが、未来を求めるこの楽園が、日本人にとっては何と耐えがたい屈辱の国なのだろうか。東洋人にとっては、未来どころか、つきまとう古き鎖のまぼろしの国であるかもしれない。

     美しいショーウインドをのぞいて歩きながら、しばしばあわれみとも軽蔑とも分かち難い、冷たい視線が自分に集まるのを意識する。そしで、ささやき合う母と子の対話が耳に入ってくるのだ。

    「ごらん、チーノ(中国人)よ。ママ」
    「まあ、ネクタイしてるわ、オホホホ。でもかわいそうね」

    そしてタクシーに乗って、ますます事の重大さにおどろくのである。
    「チーノ。さっさと行き先をいえ」
    「俺は(ポネス(日本人)だ」
    「何だって、前にもハポネスというチーノを乗せたことがあるぜ。ハポンがチーノの県か、チーノが「ポンの県か。どっちだい」

     腹を立てたってどうにもならない。
    「お前、学校で地理を習わなかったのか」
    「習ったよ。ハポンやチーノぱ、アヘンと伝染病の産地だって」


     ◇クマーナの町

     カラカスの台地を降りた車が、荒々しい濯木の野を分けて、まっすぐなパンアメリカン道路を東へ六百キロメートル、明るいカリブの青を左に眺めながら、何度かココヤシの林をすぎ、弓なりの木の
    幹の間を通りすぎた後、来訪者歓迎のアーチと、漁業の盛んな町を象徴して、マクロを差し上げた少年の裸像に迎えられて、この東部の中心地に到着する。

     その昔、海賊に備えたという、数十門の砲台を据え付けたスペイン風の白い城が、緑に包みこまれて海岸の台地にそびえ、山手の方には人工の濠に影をうつして、日本のどんな大学だって太刀打ちできない、巨大なオリエンテ大学のビル群がひしめいている。

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     しかし、これらの人工美にはるかに優り、旅行者の魂を神秘の境にさえ引き入れる、カリブ海の陶酔の輝きはどうであろうか。泳ぎつかれた金髪のセニョリータたちが憩う白糖の砂浜は、背後から、一度はのけぞって、幹の上の方でもう一度おおいかぶさる″びんろう樹”のぬれた緑に包みこまれて、数秒おきに小さくひびくそらからの波のタンバリンに洗われている。

     マルガリータの島影に夕陽が落ちると、空を染めつくした金線の残光が一瞬波の上を走り、びんろう樹の影をとかせていたサファイアの海面が、たちまちヒスイに変わり、やがて深いコバルトブルーの眠りにおちてゆく。

     この美しい海の而を、日々見なれて来たクマーナの人が、どうして人種差別の先頭に立つのか。カラカスでおどろいた対日無知は東部に行くにしたがって、ますます、とうにもならない、ひどいものになってくるのであった。

     ◇チーノーキャノン

     「おーい、来てみろチーノがいるぞ」
     海の美しさに見とれて、ぼんやり岸に立っている私を見つけて、五、六人の中学生が走りよって来た。

     「見ろよ、われわれより上等の服を着ているじゃないか」
     「ワッハッハ。ほんとうにチーノだ」
     「石をぶっつけようか」
     「よせやい。可哀そうじゃないか」
     「オーイ。チーノ。どこから来だのかいってみな。ホンコン、トウキョウ、。ペーピン、それともシャンハイかな、ニッポンかな」

     私は無視してじっと沖を見ていた。明日の朝刊はすべてを解決してくれるだろう。「日本人教授来たる」と。だが、この分では、ペルーでの初講義以上の困難を覚悟せねばならないだろう。別れを惜しむペルーの学生を振りきってまで、苦しみを求めてなぜこんな国にやって来たのだろう。

     それにしてもカリブの海の色あいはどうだ。恋を思いださせ、死をあこがれさせ、情熱のたかまりをかきたてる。とても現世のものとは思えない、生命を吸いこむ美しさなのである。タマーナの人々は、幸せな筈なのに。

     「あなた、見てごらん、チーノじゃない」
     汐風にふかれながら、若い一組の男女が通りすぎる。
     「ややっ。ごらん。チーノがカメラ持ってるぜ。それもキャノンじゃないか。世界の最高級品だよ。おどろいたなあ、まったく」


     ◇学生たちの生活

    省略


     ◇黄色いプロフェサー

     さきの吉川教授の人気や、海洋研究所のドクトル・奥田(元北海道大教授)の活躍に目をつけて、東洋人不毛のベネズエラ東部に、一つ日本人を招こうと考えたゴンサレス学長は唯一の知日家だった。

     だが彼にともなわれて初講義に立った私の教室に、溢れるばかりに集まった学生たちは、学問が目的でないことだけは明らかであった。

    「さあ、チーノ先生の講義がはじまるぞ」
    「犬のサーカスよりは珍しいぜ」
    「オー、オー、プロフェッサー・チーノ」
     さすがに礼殼だけは正しいものの、彼らのささやきは、まことにたまらないものであった。

     私は決して腹を立てずにたんたんと天体を論じた。何よりも私は日本の文化を示す道具を持っていた。だが、講義終了後の物理本館の屋上で、これ見よがしに学生実習用に日本からもって来た望遠鏡をすえつけている私をとり囲んだ学生たちの質問は、まことにひどいものだった。

     「先生、これはどこの望遠鏡ですか」
     「書いてあるじやないか。メイド・イン・ジャパンと」
     だが、学生は気の毒そうに訊ねるのだ。
     「それはわかります。私たちの知りたいのは、日本に会社を設けている国の名なのですけれど……」

     彼らによれば、ソニーも、キャノンも、日本の土地にある外国の会社の作品であり、だから商品名も英語であった。そして、私か大散財をあえてして、ラガイラ入港の見本市船「さくら丸」に何人かの学生を招いたことも、結果としては、どれだけの効果があったか知れたものではない。

     「先生、さくら丸はいい船ですね。こういう船が買えるんだから、日本は金持ちだといえますよ。」

     だが、さしもに忍耐を重ねた私か、ただ一度だけ、怒って灰皿をたたき割ったことがある。それは海岸のホテルで開かれた企画教授会でのこと、サービス係のマルコ助教授が、ひとりずつに葉巻を配ったとき、私の番になって一言多かった。

    「どうぞ一本、プロフェサー・高橋、残念ながら当地にアヘンはありませんので……」

    マルコはびっくりしてしまった。ほんのお世辞のつもりだったと弁明した。しかし、それ以後、私にアヘンの話をしかける者はいなくたった。

     こんな日常に、とつぜん一九六四年オリンピックが東京で開かれたことは幸いであった。大学に出勤すると、あいさつはオリンピックのことであった。

     「先生、昨日テレビを見ましたよ。東京って美しい町ですね。まるでカラカスみたいだ。日本をみなおしましたよ。自動車だって走っているじやないですか」


     ◇侮蔑対策三方法
     このような日常を生きぬいて、しかも教授としての面目を保って学生を指導してゆくにはさまざまの適応型がある。

     日本人教授第一号である吉田氏は学習型であり、報復型である。位相数学の世界的権威が、不心得な無礼学生を徹底的にしぼり上げたのではたまったものではない。だからといって「チーノはむつかしい」と音をあげるには彼らの誇りが許さなかった。学生たちは吉田氏を恐れるようになった。

     奥川氏は研究型、または超越型たった。チーノとか、アヘンとかいう言葉にも、氏は何の反応も示さなかった。

    「チーノ、何、俺に名をつけるのか、どうぞ」という氏に、学生たちは、偏見を表明する興味と錢会を失ってしまった。

     東部という日本不毛の世界にとびこんだ私は、説得ないしは生活指導型をとらなければならなかった。日本は世界第三の工業国であること。新幹線も東京タワーもあること。

     そして、そのためには、学生たちを招いて夕食をともにしたり、日本のスライドを紹介する必要があって、日本の威厳のために涙をのんで、一日四十ボリパールの高級ホテル、クマナゴートに往まねばならなかった。
     市内には、十ボリバールを払えば、豊かな生活が楽しめる下宿がいくらもあった。クマナゴートに往んだのは、ただアメリカ大教授、ドイツ人教授か往んでいるのに対抗したにすぎなかった。


     ◇ムスメ売る国日本

     昭和四十年代の世界で、排水口に流れるゴミのように、これだけ日木に対する偏見の集まる場所があるだろうか。だが、たしかに、ここは北半球の一角なのである。

     彼ら、ヴェネズニフ大にとって「チーノ」とは東洋人の総称であり、それは同時に、頸に豚の尾のような弁髪を垂らせ、アヘンを求めて地上に寝転がる人々を意味した。その印象にある「チーノ」は今日もういない。

     だが彼らは、日本の映両が来た時にそれを思い回す。サムライのちょんまげは弁髪の変種なのであった。

     「僕は日本をよく知つてるよ。チーノとは全然別の国だって」
     こんなことをいいだすのも、決まって映画ファンだった。そして、日本映画といえばサムライ、さもなくばエロ映画ときまっていたし、稀に入ってくる受賞作は悲惨な汚れものに違いはなかった。

     「僕は文明社会は嫌になっているんだよ。日本の自然で、カゴにのってゲイシャと寢たらどんなにいいだろう。」
     「ゲイシャはキモノを着ているから普通のセニョリータと見分けぱつくだろうね」
     「ドクトルも日本じゃ刀をさすのかね」
     「日本じゃ人身売貿があつてゲイシャになるんだってね。ゲイシャつて可哀想なんだそうだよ。逃げられないんだ」
     黙ってきいていれば、彼らの会話には何がでてくるか、わかったものじゃない。
     「でもゲイシャにはきれいな人は少ないのだって、日本占領軍の友人がいってたよ。一番いい方法はポリスにチップをやって、一番きれいなセニョリータの家を教えて貰うんだ。」
     「しかしゲイシャは白人にあこがれるんだってね。みんな、もてて、もてて、帰国する時は泣き叫ぶので困るそうだよ」

     だが、ここで私か怒りだしただけでは問題は終わらない。後日、ニューヨークの場末で、時間まちに見た映画の筋は、たしかにこの会話と同じものであった。不良黒人兵が日本の娘に暴行を加えた。だが、MPが来るまで、日本人の弥次馬は集まるばかりで誰も助けようとはしない。そして、娘は黒人兵を慕うよりになるのである。

     「日本は世界第三位の国だぞ」
     だが、ひとりだけ私の叫びに同調する者がいた。キューバのモンテス研究員である。
     「世界一の強国は、アメリカ合衆国を倒して独立したキューバ。次は引き分けに持ちこんだベトナム。三番目は、四年問持ちこたえた日本だ。日本はゲイシャじゃない。キューバの友達だ」


     ◇差別のなりたち

     ベネズエラ人の東洋蔑視には、かつては旧中国の労務者を奴隷として買いこみ、開拓の人柱として酷使した、非道にも深い歴史のいきさつがある。

     侵略者として入りこんだ白人たちが、インカ帝国とは勝手の違う、気性のはげしいオリノコ高地人と融和して、いかにして支配体制を確立するかという命題につき当ったとき、おあつらえむきに現われたのが中国人であった。

     かつて日本の権力者たちが、同じ命題で民衆にむかった時、一体何をしたかを思い出せば、この関係ははっきりするだろう。権力者たちは、気にいらぬ者を犠牲にして、さまざまな方法で責めると同時に利用を試みた。はじめはキリシタンであるとの容疑をかぶせて、鼻そぎ、一寸刻み、逆吊り、蛇責め、油いため、はりつけなど、天才的な工夫でなぶり殺すと同時に、他への見せしめに利用した。

     後には、えた非人制を発明し、反抗する者を殺さず、家族主義の日本人の精神構造を利用した知恵で、子孫代々を苦しめて、しかも、平常は″切捨てごめん″の町人たちにも、権力の楽しさを味わわせる玩具として利用しつくそうとした。

     だが、ベネズエラの白人たちは、残酷を必要としなかった。ただ、希望する中国人を買えばよかった。弁髪に鼻の丸い、のっぺりした顔立ちの人種を見ただけで、高地人たちは大喜びであった。中国人の出現によって、鼻の高い高地人もまた、白人との共通性を見出したのである。


     ◇日本と中国

     事情がわかってみると「自分は日本人だ。チーノではない」といういいわけは、何と思い上がった差別加担行為であったかがわかるのである。チーノは日本そのものにほかならなかった。

     だが、せっかく仲よくなったパン屋のワンさんと、一夜、盃をかわした時、彼ははっきりと私に告げた。

     「高橋さんは別だ。だが、私が世界で一番嫌いなものは日本人だ」と。

     ワンさんは話を続ける。

     「ベネズエラ人の虐待は耐えられる。彼らには、それなりの歴史と理由がある。それに虐待しても決して排斥はしない。現に私の手になるパンを市民は喜んで食べるし、大学祭の仮装には中国服がいつも貸しだされる。だが、日本人はどんな理由で中国人を差別するのか」

     彼は、カラカスに働いていたとき、日本の旅行者に日本人と見誤られた思い出を語るのであった。

     「残念です。私は一つお隣りの中国です。と答えました。その時の旅行者の、さも汚いものに触れたような不快と軽蔑の目つき。私は、高橋さんには悪いげど、これでも五千年の歴史の中で、中国が日本に敗れたのは、最近の五十年間だけだと信じていますよ。日本人はなぜわれわれを排斥するのでしょう」


     ◇便壺と特攻隊

    「日本に対する、すさまじいばかりの無知は一体どこから来るのか」

     だが、実際には、この質問ほど思い上がった島国根性はない。田舎の村会議員の権勢などよその町では通用するものではないのだ。

     第一、ベネズエラの教科書に日本の記事がどれだけあるだろう。
    一年生で国内地理、二年生で白米地理、そして三年生になって世界地理に進行中学の・課程で、日本の現われるのはやっと三年生の三学期、北米、ヨーロで(を終えた後の「その他の両々」になる。もっとも、その大部分は中国、インド、オーストラリヤであるが。

     第二に、日本の変化が、地球の裏側のうわさ話を形づくるには激しすぎたということ。ナポリ郊外のポンペイの遺跡が、二千年前、ヴェスヴィヤスの噴火によって埋められた、そのままの姿で発掘されてみても、今日の生活様式とのあいだに目だった違いがないのにくらべて、日本の五十年の差違はどうでおろうか。

     第三に、これはもっとも大切なことなのだが、「誤解とか無知」とか感じるのは、むしろ私たちの方が間違っている場合が多いことである。

     「日木には東京タワーがある」
     「日本の汽車は世界一速い」

     こういってくれたら、もちろん日本人は大喜びするに違いない。しかし、この報告と、

     「日本人は大便小便を何力月か貯えて、そのまわりで寝起きするんだってね」

     といううわさと、どちらが一般的に本当に近いかは、胸に手をあてればわかる筈なのである。

     最後に、誤解そのものが世界的な常識であって、日本の方が狂っている場合もいくらでもある。

     「カミカゼというのは、アヘンを吸って、ふらふらになって飛行機に乗りこむんだね」

     私か真っ赤になって怒ったのはいうまでもない。日本人を馬鹿にするな、と。だが、自分で進んで軽蔑を買ったのが私の怒りであった。世界の人々は、(シラフで)爆弾を抱いて突っ込むというという非人間性を理解することができなかった。

     野蛮人ならいざ知らず、日本人が(本当の)文明人であることを認めるためには、自殺する前に精神錯乱の原囚を作る必要があったのである。


    ◇感激の夜は果てて

    後略


    あとで調べたら、この本は当時のベストセラーで、ようやく増え始めた海外生活の指針として重視されたらしい。

    ウヨクと思われる人たちが「自虐的」と批判しているが、見当はずれだ。要は世界中の人の相対化、つまり嫌なこともふくめて「十人十色」というあたりまえのこと、そして「人の振り見て我が振り直せ」という自戒だ。

    著者を日本人と知って諭したパン屋のワンさんは、チャベスを支持してきた“色付き”の人々と重なるのかもしれない。

    以下の文章は「USAトゥデイ」の論説(Feb. 18, 2019)です。筆者はベネズエラ人のようです。

    題名は
    ベネズエラは私の家でした、そして社会主義はそれを破壊しました。 それはアメリカもゆっくりと破壊するでしょう


    副題もけっこう長い
    万人のためのメディケア」も富裕税もアメリカを一晩でベネズエラに変えることはありませんが、こういう一連の壊滅的な政策がベネズエラ化をもたらすでしょう

    以下は要約なので、ご不明な箇所は本文を読んでください。

    1.ベネズエラの戦いを妨害する米国リベラリスト

    私たちベネズエラ人の多くは社会主義の破壊的な結果から逃れるためにアメリカへ逃げてきました。

    しかし、アメリカの自由主義者はベネズエラが失敗した社会政策をまたも受け入れようとしています。
    それはベネズエラで飢饉、大量流出および高騰のインフレを引き起こしました。

    バーニー・サンダース上院議員やホセ・セラノ上院議員のようなリベラルな政治家は、マドゥーロと同じ種類の政策を称賛しています。
    さらに悪いことに、最近の数週間で、Ilhan Omar、Ro KhannaおよびTulsi Gabbardの民主党代表は、ベネズエラ人のマドゥーロに対する抗議行動を歪めて伝えています。
    加えて、多くの議会民主党員がメディケア・フォー・オールとグリーンニューディールの提案を支持しています。

    そして、マドゥーロの独裁政権を終わらせるためにドナルド・トランプ大統領が広く支持している動きを非難しています。

    2.医療・社会保障がベネズエラをだめにした

    医療・社会保障政策は、キューバとベネズエラなどいくつかの国が行った重点政策です。
    それは、健康保険業界を国有化し、それを仕事にしたいと思うすべての人を保証し、そして大幅に増税し、経済への政府の介入を増やしました。

    米国の提案者たちは、彼らがすべてのアメリカ人に質の高い医療、住居、その他すべてを無料で提供できると考えています
    そしてどういうわけか、政治家は事業主自身よりもうまく事業を運営できると考えています。

    これらの提案は、米国の財政赤字と国家債務を急増させるでしょう。すでに債務は記録的な22兆ドルに達しています。

    アレクサンドリア・オカシオ - コルテス議員は、「それでも十分でない場合は、連邦準備理事会に金を印刷させ」て、支払うようもとめました。
    まさにこのような医療・社会保障こそがベネズエラの悪夢を引き起こしたものです。

    3.医療・社会保障は国家を滅ぼす

    リベラル経済学者のPaul Krugmanは最近コラムで論じました。
    誰かが進歩的な政策思想に反対するとき、その理由としてベネズエラを引き合いに出します。その人は知らないか、嘘をついているか、またはその両方です。
    私は知らないわけでも不正直でもないことをKrugman氏に保証することができます。

    もちろん国民皆保険も富裕税だけでも、米国を一晩でベネズエラに変えることはできません。
    しかし、これらの対策の全部または大部分が実施されれば、それらはベネズエラにもたらしたのと同じ壊滅的な結果をアメリカの人々にもたらす可能性があります。

    トランプ大統領は、最近の州の演説で次のように述べています。
      アメリカは社会主義国になることは決してありません
    私は大統領が正しいことを心から願っています、

    すべてのアメリカ人は、かならず誤った約束の誘惑に抵抗することができるでしょう。
    だからこの偉大な国は社会主義の暗い雲の上に常に輝き、そしてベネズエラの運命を避けることができるのです。


    この文章からはいくつかのことが読み取れる。
    1.ベネズエラ野党の反対理由は、反民主主義や独裁よりも医療・社会保障政策への反対にある。
    2.米国の民主党やリベラル派も、医療・社会保障政策を強調するが、これは「社会主義」であり許されない。
    3.民主党やリベラル派を支持すると、米国もベネズエラのようになる。
    ということで、日本で報道されている論点とはだいぶ違うことが分かる。そもそも、より人道的なのがマドゥーロ政権なので、彼らはそのゆえに非難されているという側面がある。
    私達もロイター、BBC、アムネスティなどのヒステリックな人道攻撃に惑わされないようにしなければならない。


    How Amnesty International is Reinforcing Trump’s Regime-Change Propaganda Against Venezuela


    Joe Emersberger著


    イントロ

    アムネスティ・インターナショナルは、読者に情報の誠実さと公平性を信頼するようもとめています。
    しかし、率直に言ってそれらは信頼できません。

    アムネスティはマドゥロ大統領の支持者たちを悪魔のように扱ってきました。そしてその一方で、反政府側の人々による明白な人権侵害を徹底的に無視してきたからです。

    グアイドが暫定大統領に就任した直後、アムネスティは「人権」を最大の根拠として、トランプによる軍事的脅迫を「人権」で偽装させたかのように読める報告を出しました。


    チームトランプがベネズエラの「唯一の希望」?

    この点に関して、アムネスティのエリカ・ゲバラ米州局長はこう語っています。

    国際正義はベネズエラの人権侵害を防ぐ唯一の希望です。 さらなる残虐行為を防ぐために、“利用可能なすべてのメカニズムをアクティブにする”時が来ました。

    そして報告書でもこう述べています。

    ベネズエラの人権状況を本当に心配している国は、“普遍的管轄権の適用”を探るべきである。

    “普遍的管轄権の適用”とは、ユーゴ内戦のときのセルビアのように、国家主権を剥奪することです。アムネスティのベネズエラに対する主張は、思いとしては真剣かもしれませんが、誠実さ、公平さに欠けると言わざるを得ません。

    ベネズエラへの米国の軍事攻撃の脅威は、「人道援助の提供」を偽装しています。その偽装役をみずから買っているのがアムネスティなのです。
    実際には、ベネズエラは外国からの援助を積極的にもとめ、喜んで受けとっています。そのことを忘れてはならないでしょう。


    食料・医薬品へのトランプの攻撃を無視するアムネスティ

    2017年8月に金融制裁が始まったとき、アムネスティはそれを非難しませんでした。経済全体への影響が深刻ではなかったというのが理由です。

    それから現在までに、ベネズエラは1200億ドルを輸入し、制裁措置により60億ドルを超える追加コストを払っています。

    国際石油価格が大幅に値下がりし、その安値が続き、持続的な価格崩壊が始まりました。そのあと制裁措置が始まり、設備の修復管理が困難となり石油生産が急減しました。

    それまでは、ベネズエラは年間約20億ドルの医薬品を輸入していたのです。

    アムネスティはベネズエラの経済問題を、しばしば人権侵害とごたまぜにして指摘しています。このことを覚えておくことは重要です。

     昨年、私はトランプの制裁を非難するよう求める手紙をアムネスティに送りました。これに対しアムネスティは非難を拒否する旨の返答を送ってきました。

    そのときアムネスティはこう言っています。
    アムネスティは、これらの制裁措置について意見を表明するつもりはありません。
    そうではなく、ベネズエラが直面している深刻な危機に対処する、緊急の手当の必要性を強調しているのです。
    人権に関しては、これを解決するのがベネズエラ国の責任です。
    米国がベネズエラに与えた破滅的な被害を、アムネスティが一貫して認めなかったのは驚くべきことです。

    アムネスティはさらに、1月から始まった追加制裁について、その影響を注意深く「監視する」ようにトランプにもとめました。制裁の「効果」と書かなかっただけ偉いのかもしれませんが、中身はまさにそのとおりです。

    信頼できる人権団体なら、トランプが課したすべての経済制裁の即時終了を要求するのが筋だろうに。

    ベネズエラでの暴力犯罪

    アムネスティはまた、最新の報告書で次のように述べています。
    カラカスの貧しい地域は特に影響を受け、最も多くの犠牲者を登録した。
    当局との衝突で殺害された犠牲者は、「犯罪者」として後に提示された。
    ベネズエラの治安部隊が犯罪を犯したことは間違いありません。マドゥーロ政府もそれを認めています。そして2017年の暴力的なデモ事件に関係した警察官は逮捕されました。

    2017年6月、ウラジミール・パドリノ国防相は、国営テレビで治安部隊に警告しました。そして「もう国家警備隊が残虐行為を実行するのを見たくはない」と述べました。

    ベネズエラの治安部隊は非常に高い殺人率を保持しています。同時に警察官の高い死亡率に直面していることにも留意すべきです。この傾向はチャベス政権よりずっと前からの傾向です。

    同時に、この国は何年もの間、米国に支持された暴力的な抗議者に悩まされてきました。その粗暴ぶりは際立っており、アフロ系ベネズエラ人を路上で生きたまま焼いたり、警察官を殺害したりします。

    そして今日、米国は野党内で最も暴力的な勢力を権力につかせようとしています。このことが深刻な脅威をもたらしています。

    暴力は連鎖します。治安部隊が「犯罪との闘い」として、または自己防衛として法外な処刑を黙認する可能性があります。

    それはまた、アムネスティのような党派的グループがトランプの政権転覆計画を、実際上煽るような動きをもたらすかもしれません。


    Maduroの支持者たちへの汚い戦争をけしかける宣伝

    アムネスティはその報告書で次のように述べています:

    カラカス市内のあちこちに、政府を支持する強力な武装グループ「コレクティボ」が存在します。住民が国の配給システムに依存しているところではより強力です。

    繰り返しになりますが、「緊急事態計画」は制裁措置が発動されたためのものです。

    野党系の世論調査でも、何百万人もの貧しい人々に必需品を配給しています。それは全世帯の最大60%に達します。

    そもそも貧困地域で、自分たちを自己防衛のために組織化することは、貧しい人々の歴史となっています。それは別に新しいことでも何でもありません。

    そして彼らは貧民街や貧しい農村にいてマドゥーロを支持しています。

    だから、武装しているかどうかにかかわらず、米国とつながる勢力が権力を握ると、激しく標的にされるでしょう。特にクーデターや米軍の侵略を通して政権が変わるのならなおさらのことです。

    アムネスティは、貧困者を「非難する」ことについてはほとんど懸念を持っていません。
    トランプが彼らの「健康と食料への権利」を攻撃することについては、ほとんど気にしてないように見えます。

    上記のすべての理由からして、ベネズエラに関するアムネスティの誠実性と客観性には強い疑問を投げかけるほかありません。

    平和と正義のために、私たちはアムネスティへの視点をもっと厳しい水準に保つべきです。


    リード

    クーデターは偶然ではありません。 それはただ空から降ってくるのではありません。
    それは特殊な材料と条件でつくりあげるものなのです。それが成功するには準備・計画・宣伝、それに時間とお金が必要です。

    国内外の民衆が納得するために、宣伝は重要です。

    クーデターとは選挙で選ばれた政府を強制的に辞任させることです。
    それを納得してもらえるためには、国家が特殊な状況にあり、クーデターが論理的・必然的な帰結であることを、民衆に確信させることが必要です。

    資本主義の下のマスメディアは、国家支配の道具の一部です。そして国家の重要な宣伝要素としての役割を果たすため、「客観的」で「自立的」であるという「名声」をしっかり利用します。

    イギリスでは、BBCは人々が帝国主義的なクーデターを受け入れるように仕向けるスキルを完成させました。それが彼らがベネズエラについてしたことです。

    BBCは1月16日、「廃墟の中の革命ーウーゴ・チャベス物語」という番組を放送しました。

    これはマドゥーロをチャベス神話の後継者とし、彼に対するあらゆる行動を視聴者が受け入れるよう準備されたものでした。
    そして一週間以内に、クーデター計画が発動したのです!

    正しい一面

    BBCはまたベネズエラの直面する問題を、チャベスとマドゥーロによる独裁の結果として描き出そうとしました。

    ベネズエラ革命の経済、社会、政治的背景を説明しようとする視点は、まったく見当たりません。
    そしてもちろん、アメリカの経済制裁がもたらしたものについては、まったく言及されません。

    番組の冒頭から、彼らは「チャベス大統領の14年間は、今日みられる多くのポピュリスト指導者の先駆者だった」と主張しました。

    チャベスのもとで、健康と教育におけるいくらかの前進がみられたが、それはごく初期のごく短期間のものだった」。そして同じ時期、「独裁権力のあくなき追求」が強められたと、BBCは主張します。

    それが残りのシーンのほとんどです。

    世界最大の石油埋蔵量があるにもかかわらず、この国は崩壊しました。
    そこには混乱、貧困、暴力だけがあります。いまベネズエラは、世界で最も危険な国です。

    チャベスは「力の集中」に夢中でした。民衆は「ただ一人の人物によって惑わされ、支配されていました」。その時、チャベスはその性格の最悪の側面を露わにしていました。

    これは「客観的報道」が売りもののBBCが作り出した物語です。

    人々は、ベネズエラの災厄は全て独裁者チャベスによって引き起こされたと信じるように導かれます!

    それはBBCが沈んだ闇の深さを示しています。


    チャベスを“批評するものたち

    BBCの見解を裏付けるために、語り手に加えて8人がコメントを述べています。
    大多数は反Chavezでした。

    11年間チャベスの助言者であり支持者であったエヴァ・ゴリンジャーでさえ、チャベスに対する性的性格の非難“Me Too”をしました。(それにしても見事な大脱走だ。CIAが作った筋書きだろう)
    彼女が言うような事件が起きたかどうかはわかりません。彼女とチャベスしかいない席での出来事ですし、チャベスは2012年に亡くなったので、自分を弁護することができません。

    1998年の大統領選挙で、チャベスは56%の票を獲得しました。

    これについてコメンテーターの一人ラウル・ガジェゴスは言います。
    「それでチャベスは何を手に入れたか。それは軍事独裁者の地位ではなかったか」
    「教養ある」大学教授マルガリータ・ロペスは、「チャベスには政治的経験がなかった」と述べました。

    このあとも番組のウソはますますひどくなります。

    しかし「客観的なBBC」は完全な嘘をつくことを控えなければなりません。半分の真実で十分です。

    石油公社(PdVSA)は、国家によって所有されていました。しかし事実上、それは国家内の国家でした。石油収入の多くは、寡頭支配層に利益をもたらすよう取締役会によって配分されました。

    人口の大部分が貧困の中で、飢餓と栄養失調に苦しみながら生活していました。
    それでもガジェゴスは「政治はうまくいっていた」と言いはります。しかしチャベスの前に降伏したことは認めざるを得ませんでした。

    チャベスは野党指導者が多数を占める石油公社を支配しようとして、「手綱をギュッと引き締めた」。
    野党の支持者にとってそれは「共産主義者の乗っ取り」のように見えました。

    2002年4月にチャベス政権に対しクーデターがおこされ失敗しました。
    番組ではこの件で、チャベスはほとんど非難されているようにさえ見えます。

    画面上、デモ参加者は政府側も反政府側も狙撃手によって殺されているように見えます。
    これは真っ赤なウソです。当時のテレビの映像が明らかに示しています。狙撃は明確にチャベス支持派を目標としたものでした。

    チャベスへの中傷

    番組は言います。
    チャベスは大統領の任期を経るごとに「力に酔いしれた」ようになった。そして力に身を任せるようになった。

    しかし番組は2012年10月に起きた事実を隠すことはできませんでした。

    彼の最後の大統領選挙に当たり、「全国の人々は死ぬことが分かっている人物に投票した。そしていまも彼を支持し信頼している」

    皆さん、せっかく良い話をしているのに、気に入らない事実がジャマをするけど、気にしないでね。

    BBCが知っていながら無視したことは、チャベスと民衆との生き生きとした結びつきです。

    なぜ民衆はチャベスを愛したか。なぜならチャベスはベネズエラから貧困、ホームレス、飢餓、文盲を取り除くと宣言し、彼らの願いを代弁したからです。

    番組はかくの如くです。それは全体としてチャベスのキャラ抹殺でした。

    ついでジェレミー・コービン(英労働党委員長)もまた有罪であることが示されました。彼がチャベスと親しかったからです。
    映像ではチャベスがイランのアフマディネジャド、リビアのカダフィ、イラクのフセインと挨拶をしているところが移されました。もちろんその中にコービン!も混じっていました。


    帝国主義者の干渉

    最後に、番組は3つの分野に言及しました。
    それらがもっと展開されれば、チャベス政権下で起こったことがより正しく描かれたかもしれません。

    第一がメディアの干渉です。ほとんどのメディアは個人的に所有されています。チャベスが大統領に選出された当初から、その大部分は彼の打倒を求めていました。

    チャベスは「伝統的なメディアを迂回して」人々に直接話しました。それには国営放送の「「ハロー大統領」という番組が使われました。

    英国のマスコミが、選出された政府の打倒を公然と求めた場合、どうなるでしょうか。
    このことについてBBCからの言及はありません。

    第二の干渉は「社会的使命」計画の資金を供給するために石油収入を使うことへの非難です。

    チャベスはそれを決めました。

    社会計画のための伝統的な方法では資金調達はあまりに遅く、あまりに官僚的でした。
    そこでかれは国家構造をバイパスしたのです。

    社会主義の方向に社会を動かすために、資本主義国家を使うことにはさまざまな困難がつきまといます。
    とりわけベネズエラのように国家機構が寡占層の執行部として、寡占層のためにだけ機能してきた国ではそうです。

    既存の組織ではほとんど対応できないのです。

    第三の問題が、貧しい人々を政治に参加させたことへの非難です。

    しかし番組の最後にコメンテーターの一人がこう告白しました。

      「貧しい人々は、これから先もずっと、ベネズエラの政治対話の一翼となるだろう」

    何百万もの普通のベネズエラ人が政治生活に目覚めました。これがチャベスとベネズエラ革命の永続的な遺産です。



    題名に惹かれて訳したが、あまり水準の高いレポートではない。おそらくトロツキスト系青年のなぐり書きであろう。
    “それはBBCが沈んだ闇の深さを示しています”というのがかっこいいが、なぜBBCがその闇に突っ込んだかについては言及されていない。

    もう少し探してみる。

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