鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

カテゴリ: 10 国際政治/経済

経済の仕組みとその変化をしっかりと整理している文章がなかなか見当たらない。

というより私がこのところ経済の勉強をサボっているのが一番主要な問題なのだが。

私の勉強がストップしたのは、欧州金融危機の後半のあたり。

スティグリッツらが日本の金融緩和策を支持したあたりから、筋道が見えなくなっている。

そこまでのレベルで一応議論を整理しておくと、

リーマンショックから欧州金融危機への移行というのは、基本的には資金の流動性の低下によるものであった。
1.デレバレッジ(逆テコ)が金融弱者を痛めつけた

これは直接の引き金としてはデレバレッジ(逆テコ)による極度の信用収縮であった。商品経済とは直接の関係がない金融不況だった。

2000年代前半の好況局面を通じて信用が極端に拡大し、通貨供給量を大きく上回る信用が形成された。それは見かけ上膨らまされた金融商品、簿価として計上された含み資産などである。

これら通貨の裏付けのない資金はリーマンの破産後、一気に店じまいをかけたが、通貨への還元力の弱い信用、逃げ足の遅い資金ほど大きな犠牲を受けることになった。

その通貨、決済通貨というのはドルである。とりあえずの金融危機が収束したあと、ドルは各国中央銀行に相対的に集中した。

ドルは札束で持っているのが一番強い。しかしそうはいっても、ハダカでさらすわけにも行かないから、どこかの金庫におさまっていなくてはならない。
2.預金の引き出し権が物を言う

そうすると手持ちの資金量は名目の預金量というよりは、その預金の引き出し権の多寡ということになる。怪しげな銀行の当座預金に100万ドル持っていたとしても、その100万ドルが引き出せないのなら意味がない。

では一番確実な銀行(預金先)はどこか、それは米連邦銀行を置いてほかはない。なぜなら彼らは輪転機を持っているからである。次に確実な銀行はどこか。それは日銀である。米連銀内に大量のドル預金を持っているからである。だから商品経済ではなにも円高になる理由などないのに円高になってしまったのである。

話が脇にそれたが、欧州金融危機は各国財務当局や、中銀の体力コンテストになった。そして弱者が敗者となり、勝者も著しく体力を消耗したのである。
3.量的緩和が決め手

この状況を打開するには、とにかく米連銀の輪転機を回すしかない。失われた信用の何割がドルの裏付けを得て復活すれば、経済がふたたび回り始めるのか、どこに資金を注入すればより効率的な回復が望めるのか、このへんはよく分からない。

とにかくバーナンキはグリーンバックスを刷りまくった。8年の任期のうち6年間、量的緩和QE1~3を続けたのである。

結果的に言えば、これは「流動性の罠」を抜け出すのに有効な方法だった。変な言い方だが、異端であり排斥されてきた方法であるにも関わらず成功したのである。

それは方法的にはサプライサイドの調整策であるが、需要創出という側面からはケインジアン的性格の濃いものである。
4.商品市場とは全く別の論理

私の印象としては、これは商品市場とは全く別の論理で動く、もう一つの市場経済世界である。

どうもこれを一緒にして語ってきたから話が混乱しているのではないだろうか。

我々がこれまで語ってきた市場の需要・供給曲線というのは商品世界のバランスだった。しかし今我々が目の前にしたのは商品を中心として動く世界ではなく、貨幣を中心として形成される需要・供給曲線の世界なのではないか。

このあたりはマルクスが資本論第3部で端緒的に触れたところであるが、彼の時代の信用システムはまだ十分に開花されたものではなかったから、理論も展開されたものではない。

むしろ究極的には商品と貨幣により形成される市場経済に規定されるものだという側面が強調された。

しかし信用制度が発達してくれば貨幣と信用により形成される市場が新たに出来上がり、その経済規模が実体経済の十倍以上に拡大すれば、信用市場を管理するためのノウハウは別個のものとして体系化されなければならないだろう。
5.国際決済通貨(ドル)市場の論理
それに加えてグローバル経済では、信用市場の主役は貨幣一般ではなく「国際決済通貨とその引き出し権」を真の貨幣=供給された決済力として考えていくべきであろう。といっても、どこが違うのか自分には何の答えもないが。
今はそういう時期を迎えているのではないだろうか。



人との待ち合わせのちょっとした隙に本屋に入り、ふらっと買ってしまった本がある。

題名に惹かれての衝動買い。

荻原博子「投資なんかおやめなさい」というものだ。

別に私は株なんかやらないし、どうでも良いみたいなものだが、ふんどしの文句が気になる「銀行・証券・生保 激怒必至」と書いてある。

さほど安い本ではないが、喫茶店でパラパラとめくるには格好のネタかもしれない。

まず「はじめに」から

過激な言葉が並ぶが、ようするに「投資ブーム」が作られたもので、仕掛け人が銀行・証券・生保だということ。こういう儲け話に乗ると大損するからやめときなさい。

ということで、これだけならむかしからのお話。

現代風の味付けはどこにあるかというと、

アベノミクス→金融緩和→金融機関の収益悪化→金融機関の株屋化

ということで、これもさほどの新味はない。

結局、今の「好景気」が金融バブルでありいずれ弾ける。荻原さんは東京オリンピック後にそれが来るだろうと言っている。

その際、「好況局面に入ったにも関わらず、金融緩和を続けているのは日本だけだから、不況になったときに世界のしわ寄せが日本に来るだろう」というのがミソといえばミソ。

それでどうするかというと、荻原さんのご託宣は「タンス預金」だ。

これはどうもいただけない。

年寄りはお金を増やそうとは思っていない。とにかく安全にしたいのだ。ところがいまの世の中安全な方法などというものはないのだ。

まず昔ながらのインフレリスクはある。これだけ金融緩和したのだから、いつ来てもおかしくはない。

もう一つは金融が自由化された以上、為替リスクはいつでもある。

この2つの資産リスクをヘッジしようとすれば、資産を貨幣形態資産と不動産形態資産に分散しなければならない。

もう一つは貨幣資産を邦貨と外貨に分散しなければならない。

この2つのリスク回避は、見た目には投資である。だから投資=資産の形態変化をそのままリスクと考えるのは間違っている。

問題は「儲け気分」をふくらませるかどうかだ。つまリは主観の問題だ。貪らなけければタンス預金よりリスクを回避できる確率は高い。

そういうわけで、20年前なら私は間違いなく荻原さんに全面賛成しただろうが、今は部分賛成にとどまる。

ここまでは結論部分について、その不正確さを指摘したのだが、論立て部分にも相当のあやふやさがある。

とくにインフレとデフレの問題、金融不況と実体経済の不況の問題、通貨問題については混乱状態である。

これらについては、いづれ別に記事を起こして行こうと思う。


いくつかのレビューでも明らかにされているように、ベネズエラの目下の経済的苦境はアメリカの経済封鎖、とりわけ金融封鎖によるものであって、政府の失策とか「社会主義の失敗」によるものではない。
ただ、それだけではなく、石油依存国家で実体経済をどう運営していくかという特殊なノウハウの問題も含んでいる。したがって下記の問題を留意しながら、分析を進めなければならない。
2012年08月12日 エコノミストはベネズエラを評価している より一部引用
何度も強調するのだが、この国の経済運営はオーソドックスな手法ではやっていけない。
この国の実体経済の規模をはるかに上回るすごい勢いでドルが行き来している。
しかもこいつは“オイルダラー”と言って、世の中で最も流動性が最も高く、投機性がもっとも強く、たちの悪い資金だ。いざとなれば瞬きするあいだに目の前から消えてなくなる。
この投機資本と国内経済と実体貿易はどこかで遮断しなければならない。収支は短期の資本収支も合わせて評価しなければならない。サウジのように貧困者を徹底して無視し、反抗者を徹底的に押さえつければ経済は安定する。
しかしチャベスのごとく貧困者の生活水準を引き上げれば、インフレは必至であり、放置すれば経済を破壊する。
さりとて、輸入自由化で物価を安定させようとすれば、たちまち巷には失業者があふれることになる。
こういう中で経済運営をした経験は日本人にはない。だから我々は個々の失敗について四の五の言うのではなく、こうした経験から虚心坦懐に学ぶべきであろう。
私は以前から、連帯運動というのは「学ぶ運動」だと考えている。与える運動ではなく、与えられる運動なのである。

さて、今日から気分を入れ替えて勉強再開しよう。グダグダぐらしにも少々飽きた。
今年はどんな年なのだろうかと、考えてみる。そうだ今年はリーマンから10年なのだ。
たぶん、リーマン・ショックを機に世の中相当変わっていると思う。
一番大きいのは、リーマン・ショックを機に世の中がふるいにかけられ、貧富の差が一段と進行したことだろう。
そしてこの格差がそろそろ究極的な所まで来て、世界中からWin-Winの関係がなくなってしまったことだろう。
世界の経済システムは、1980年のレーガノミクスの出現からネオリベラリズムが席巻し、第二次大戦後の民主的経済システムの崩壊が始まった。それにともなって巨大資本への富の集中が進み、ついに行き着くところまで行き着いた。
次の経済システムへの移行が本格的に求められるようになっている。それを実現するのも実のところ政治システムの変化を通じてしかありえない。
それが経済民主主義ということになるが、その場合、民主主義のあり方が鋭く問われることになってくる。
この間の世界の動きの中で、自由主義と民主主義を二つの柱とする近代政治システムは、二つのチャレンジを受けてきた。一つは権力の側からの「自由」をもとめるネオリベラリズムの動きであり、ひとつは「自由」の基盤の上に立たないポピュリズムの動きである。
これらの動きは、人類史を引き戻そうとする歴史的反動の流れにとって、車の両輪となる危険がある。同時に、これらとの闘いは社会を新たな人類史的段階へと推し進める変革の闘いと直接結びついている。
そういうわけで、今年は以上のような観点から「リーマン後の10年」をあと付け、とりわけ正統リベラリズムの観点から意味づける作業の年にしていきたいと思う。

リーマン・ショック後の10年(主な動き)


経済的出来事

政治的出来事

2008

リーマンショックが発生

オバマが大統領に初当選、変革を唱える。

2009

円高が進行、84円に。

民主党が勝利。鳩山政権が成立する

2010

ギリシャ債務が表面化
アメリカでFATCAが成立(外国口座税務規制)
中国GDPが日本を抜く。

ティーパーティー運動の躍進

2011

東北大震災+原発事故→GDP低下と貿易赤字。円高75円が相殺。

チュニジアから「アラブの春」→シリアで泥沼化
ウォール街占拠運動、2ヶ月にわたる

2012

欧州経済危機がスペイン、イタリアにも波及(PIIGS)、ユーロ95円まで下落

原発稼働ゼロに
英国がスターバックスの租税回避を非難。独・仏も英支援に回る

2013

アベノミクスの実施(異次元緩和)→円安・株高
デトロイト、自動車産業空洞化により財政破綻

習近平が国家主席になり、訪米・会談
米政府機関による盗聴が発覚
中国のPM2.5汚染が日本にも波及

2014

OPEC破綻、バレル100→40ドルへ
アイルランドが「ダブルアイリッシュ」を廃止(20年まで猶予)

消費税が8%となり、ふたたび不況へ

2015

東芝で粉飾決算が発覚
COP21でパリ協定
OECDがFATCAの双方向性を強めたCRSを提示
米財務省、欧州委員会のBEPS対策、とくにアップルへの追徴金課税について非難。
中国が一帯一路やアジアインフラ投資銀行などを打ち出す
日本の貿易収支黒字化

戦争法反対運動+野党共闘
ギリシャ選挙で反緊縮派が勝利。
ポルトガルで社会党を中心とする左派連合が政権に
ヨーロッパで難民問題が顕在化

2016

パナマ文書が暴露される。
ドイツ銀行が住宅ローンで経営危機に

英国民投票でEU離脱を決定
トランプの大統領当選+ポピュリズムの台頭

2017

トランプ、TPPとパリ協定離脱を決定

核兵器禁止条約が採択される。
サンダース・コービン・メランション現象



2000年に書いた金融グローバリゼーションの行方の一部です。北海道AALAの2000年版情勢報告から抜粋しています。
金融危機のもとでは、変動相場制絶対論でヘッジファンドのなすがままにされるのではなく、条件的に固定相場制の採用もありうるという経験です。

マハティールの「勝利」

 おおかたの東アジア諸国がIMFの指導に従うなかで,マレーシアはこれとは逆の方向に出ました.

 それまでマレーシアを支配してきたマハティール首相は,腹心のアンワルに(私のパソコンは「案悪」という素晴らしい宛て字を用意した)経済運営を委ねていました.マレーシアを金融危機が襲ったとき、アンワルはIMFの政策を導入して危機の乗り切りを計ろうとしました.
このやり方を不満とするマハティールは,強引にアンワルを更迭し、自ら危機対策に乗り出しました.

 マハティールの対応は「ヘッジファンドの行き過ぎた活動を規制すること」でした.彼は国際投機家ジョージ・ソロスを名指しで批判し、ソロスとアメリカ当局が裏でつながって、アジアを危機におとしめていると主張しました.

 当時,この非難は荒唐無稽と思われましたが,その後ブラジル金融危機に際し,IMFとアメリカ財務省,ソロスが一心同体であることが立証されました.
ブラジルの金融危機に際し,IMFはソロスの大番頭を経済相に就けるよう推薦し,その就任を待って融資を開始したのです.マハティールに言わせれば、「泥棒を金庫番に就けた」ようなものです。

 マハティールはまず為替取引きを停止しました。ついで株式・債権の短期売買を禁止しました.マレーシアの通貨リンギットは国外での取引きを禁止され、海外持ち出しを制限されることになりました.国内では1ドル=3.8リンギットの固定相場となりました.

 これらの政策はIMFの指導と真っ向から対決するものでした.

 マスコミの多くはマハティールのやり方を痛烈に批判しました。そして強引なアンワル下ろしと相まって,その独裁ぶりが書き立てられました.「マハティールはインドネシアのスハルト前大統領と同様、国民の怒りを受けて失脚するだろう」と噂されるようになりました.

 しかし大方の予想を裏切って,98年度のGDPは1%前後のマイナスにとどまりました.さらにその後は大幅なプラス成長に転じたのです.相場師たちはマレーシアを離れましたが,逆に半導体と家電関係の新規投資は急激に増加しました.

 99年9月1日,この措置の1年間の期限が切れました.世界が固唾を呑んで見守りました.マレーシア政府は50億~60億米ドルの流出を覚悟していました。しかし実際に国外に流出した資金は10億ドルに留まったのです.マハティールの大バクチは成功したと見ることができるでしょう.

 その後もマレーシア経済は順調な足どりを続けています.GDPは前年比で二桁を上回る増加を記録しています.外貨準備高は15億ドル前後増え、ビジネスも順調に伸びています。外国からの直接投資にも悪影響はみられません。

 マハティールは「先進国を中心とする国際社会は,経済の混乱がアジア各国の国内に波及するのを食い止めることができなかった」(それができたのは私だけだった)と胸を張りました.

「私の選ぶ今年の十大ニュース」と言いつつそれは一番最後。まず世間の選んだ十大ニュースから紹介する。

what's @DIME

1000人が選んだ「2017年の重大ニュース」ランキング(2017.12.12)

【1】スポーツ編ランキング

2位 横綱・日馬富士が弟子力士に暴行 傷害容疑で捜査(40.3%)

5位 プロ野球 大谷翔平が日本ラスト登板、来年からメジャーへ(22.6%)

7位 プロ野球ドラフト会議 清宮幸太郎内野手との交渉権を日本ハムが獲得(21.7%)

【2】芸能編ランキング

3位 元SMAP 香取、草なぎ、稲垣がジャニーズ退社(47.8%)

4位 松居一代と船越英一郎の泥沼離婚騒動(31.0%)

【3】政治編ランキング

1位 豊田真由子議員による騒動。「このハゲーーーー!!!」(64.4%)

2位 北朝鮮が弾道ミサイル発射、日本上空を通過、Jアラート発令(44.8%)

3位 森友学園、加計学園問題(44.4%)

7位 第48回衆院選、自民党が圧勝(22.5%)

8位 小池都知事が「都民ファーストの会」代表に就任(20.2%)

【4】海外編ランキング

1位 トランプ大統領就任(67.5%)

2位 金正男氏殺害事件(64.9%)

5位 ラスベガスで史上最悪規模の銃乱射事件、死傷者500人以上(31.0%)

6位 朴前大統領を逮捕(24.7%)

9位 カタルーニャ独立騒動(9.8%)

10位 トランプ大統領がメキシコ国境への壁建造の大統領令(8.8%)

【5】明るいニュース編ランキング

1位 将棋 藤井4段が29連勝、最多連勝記録を30年ぶりに更新(56.1%)

5位 「インスタ映え」が流行(19.3%)

【6】悲しいニュース編ランキング

1位 フリーアナウンサー 小林麻央さん 死去(55.3%)

2位 座間市9人バラバラ遺体事件で、白石容疑者逮捕(46.8%)

5位 横綱・日馬富士が弟子力士に暴行 傷害容疑で捜査(24.4%)

7位 九州北部豪雨(23.2%)

【7】怒りのニュース編ランキング

1位 座間市9人バラバラ遺体事件で、白石容疑者逮捕(51.1%)

5位 森友学園、加計学園問題(29.5%)

10位 神戸製鋼でデータ偽装(17.6%)
全部書くと大変なことになるので、私でも知ってそうなニュースだけ選んだ。全文はwhat's @DIMEへ

Yomiuri Online

こちらは読売新聞の「読者が選ぶ10大ニュース」投票のための資料情報なので使いやすい。しかし記事の選択にはいかにも読売新聞的なバイアスがかかっている。(もちろん前川さんのマの字も触れていない)

国内編

【1月】

韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦を象徴する少女像が設置る。政府は長嶺安政・駐韓大使と森本康敬・釜山日本総領事を一時帰国させた。

【2月】

安倍首相は10日、トランプ米大統領とワシントンで初の首脳会談を行った。沖縄県の尖閣諸島が日米安全保障条約5条の適用対象であることなどを共同声明に明記し、同盟強化の方針を確認した。

東芝、連結決算が4999億円の赤字になったと発表。8月に17年3月期の連結決算を公表し、最終赤字が9656億円に達したことが分かった。

【4月】

名護市辺野古沿岸部で埋め立て区域を囲む護岸の建設に着手した。県は7月、移設工事の差し止めを求め、国を相手取って提訴した。

宅配便最大手のヤマト運輸、個人向け宅配便の基本運賃を荷物一つあたり140~180円(税抜き)値上げすると発表。

【5月】

安倍首相、読売新聞紙上のインタビューで、自民党総裁として憲法改正を実現し、2020年の施行を目指す方針を表明した。

【6月】

テロ等準備罪創設を柱とした改正組織犯罪処罰法が15日、参院本会議で可決、成立した。

安倍内閣の支持率が前月比12ポイント減の49%に急落した。学校法人「森友学園」や「加計かけ学園」を巡る問題が響いた。

【7月】

東京都議選、「都民ファーストの会」が55議席を獲得し、都議会第1党となった。自民党は過去最低の23議席となり、歴史的惨敗を喫した。

稲田朋美防衛相、南スーダンPKOに派遣された陸上自衛隊部隊の日報を巡る問題の監督責任を取り、辞任した。

森友学園前理事長と妻を逮捕。補助金詐取容疑

【9月】

日産で無資格社員が検査。その後、スバル、神戸製鋼所、三菱マテリアルの子会社、東レの子会社で検査データの改ざんも次々と明らかになった。

【10月】

原子力規制委員会、柏崎原子力発電所6、7号機が新規制基準に適合していると判断し、事実上の合格証となる「審査書案」を了承した。

衆院選が22日投開票され、自民党が圧勝した。自民、公明の与党では計313議席となり、憲法改正の国会発議に必要な3分の2以上の議席を維持した。解散直前、小池百合子・東京都知事が希望の党を結成し、民進党は希望への合流を決定。小池氏が「排除」しようとした民進党内のリベラル系を中心に立憲民主党が結成され、民進党は分裂した。衆院選で立憲民主が野党第1党となり、小池氏は11月に希望の党代表を辞任した。

神奈川・座間のアパートで切断9遺体

【11月】

トランプ米大統領が初めて来日した。トランプ氏は安倍首相との会談で、北朝鮮への圧力を最大限まで高めることで一致。対日貿易赤字の是正に強い意欲を示した。

内閣府が9月の景気動向指数を発表。2012年12月に始まった景気の拡大期間が58か月になる。これは戦後2番目の「いざなぎ景気」(1965年11月~70年7月)の57か月を抜くもの。

みずほフィナンシャルグループ、26年度末までに従業員数を約1万9000人減らすなどの構造改革案を発表した。三菱東京UFJ銀行や三井住友FGも業務量を減らす方針。



国際編

【1月】

ドナルド・トランプ氏が第45代米大統領に就任した。環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱、イスラム圏7か国からの入国制限の大統領令に署名。2月にフリン大統領補佐官が辞任するなど政権幹部の辞任も相次いた。

ニューヨーク株式市場でダウ平均株価(30種)の終値が、史上初めて2万ドルを突破した。

【2月】

北朝鮮の金正恩委員長の異母兄、キムジョンナム氏がクアラルンプール国際空港で、神経剤VXで殺害された。

【3月】

韓国憲法裁判所、朴槿恵大統領の罷免を決定。韓国検察は31日、朴容疑者を収賄などの容疑で逮捕した。朴容疑者側への贈賄容疑などでサムスン電子のイジェヨン副会長が逮捕された。

英政府は欧州連合(EU)離脱を正式通知した。離脱日時は「2019年3月29日午後11時」と発表した。

【5月】

仏大統領選で、中道のエマニュエル・マクロン前経済相が、極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏を破り当選。6月の国民議会(下院)選もマクロン新党が圧勝した。

韓国大統領選で左派の最大野党「共に民主党」のムンジェインが勝利した。9年ぶりに保守から左派に政権交代した。

トランプがFBIのコミー長官を解任。コミー氏はトランプからロシア疑惑の捜査中止を指示されたと述べる。米司法省はモラー元連邦捜査局(FBI)長官を特別検察官に任命した。

英中部マンチェスターのコンサート会場で「イスラム国」による自爆テロ。ロンドン中心部では車が歩行者に突っ込むテロが相次ぎ、3月には英議会議事堂付近で5人が死亡、6月にはロンドン橋で8人が犠牲となった。

【6月】

トランプ米大統領は1日、中国などに有利な内容で「不公平」だとして、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から離脱すると表明した。

英国の下院選が8日、投開票され、メイ首相率いる与党・保守党が過半数割れし、事実上の敗北となった。

ロンドン西部の24階建て高層公営住宅で火災が発生し、死者は71人に達した。

【7月】

核兵器の使用や開発などを初めて法的に禁じた「核兵器禁止条約」が採択された。122か国が賛成、米英仏中露の核保有国や日本などは採決に不参加。採択に貢献した「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」は10月、ノーベル平和賞の受賞が決まった。

【8月】

ベネズエラでマドゥロ政権が新憲法制定に向けて立法機関の制憲議会を発足させた。7月末の制憲議会選は野党勢力が棄権し、マドゥロ氏派が全議席を独占。国会から立法権を奪った

ミャンマー西部ラカイン州で、バングラから流入したロヒンギャ人問題、難民60万人超に達する。ロヒンギャの過激派集団が警察拠点を襲撃したことが発端となる。

【9月】

北朝鮮が6回目の核実験。弾道ミサイル発射も相次ぎ強行

【10月】

米ラスベガスで銃乱射、58人死亡

米がユネスコ脱退方針通知。ユネスコの「反イスラエル的な姿勢」などを理由とする。

米軍が支援するシリアの民兵組織「シリア民主軍」が、「イスラム国」が「首都」とするラッカを完全制圧した。7月10日にはイラク政府軍がモスルの奪還を宣言した。

【11月】

ジンバブエで事実上のクーデター。37年「独裁」を続けたムガペ大統領が辞任
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それで私の選ぶ十大ニュース(というよりトレンド)は

1.トランプの大統領就任 イギリスのEU離脱などポピュリズムの伸長

2.サンダース・コービン・メランション現象

3.耐え抜いた野党共闘路線 連合の策動の失敗

4.東京都議選での怒り 政治劣化の進行 

5.「好景気」の下、相対的貧困化と絶対的貧困化の同時進行

6.神戸製鋼などものづくり産業のモラル低下

7.内部留保の際限のない積み上げと租税回避への怒り

8.資源価格の低下と途上国の苦境

9.原子力規制委員会の堕落

10.核兵器禁止条約の採択






の作成中に、何度か国際人権規約の条文に関連して発言してきた。「三つの権利」に即した運動として世界の流れを把握する以上、その拠り所としての世界人権宣言と国際人権規約にも触れなければならない。
まずはその形成過程を具体的に振り返ることから、その分析を開始したい。そして国際連帯の中心的理論課題に据えた日本国憲法、すなわち憲法25条の形成過程とその歴史的意義、国際的貢献の可能性についても探っていきたい。

まず年表であるが、主として下記論文により作成した。
まず、あらあらのターミノロジー
国連で定められた人権に関する法体系は国際人権章典(International Bill of Human Rights)とよばれる。これは世界人権宣言2つの国際人権規約、市民的、政治的権利に関する国際規約への第一及び二選択議定書より構成する。
さらに人種差別撤廃条約、国際人権規約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約など23の人権関連条約が人権体系を構成する


1941年 ルーズベルト大統領、年頭教書で「4つの自由」を主張。言論の自由・信教の自由・欠乏からの自由・恐怖からの自由の四つ。大西洋憲章・国際連合憲章の基礎となった。第2次大戦に参戦するための論理建てとなる。
1944 大西洋憲章が締結される。1.全体主義国家における人権の抑圧が戦争に繋がったとの反省に立ち、2.「恐怖及び欠乏からの解放」と「生命を全うできる平和の確立」をうたう。
1945  国際連合が発足。同時に発効した国連憲章は、前文と第1条で基本的人権および基本的自由をうたう。

前文: 「われらの一生のうちに二度までの言語に絶する悲哀」を前提に、基本的人権と人間の尊厳及び価値と、男女の同権…をあらためて確認

第1条: 人種、性、言語、宗教による差別なく、すべての者の人権および基本的自由を尊重する
1946 国連経済社会理事会内に人権委員会が設立される。国連憲章の具体化のため、単一の国際人権章典の作成を目指す。
1947年 第 4 回経済社会理事会、国際人権章典起草のための委員会を設け、5大国+豪、チリ、蘭を委員国に選出。
1948.12.10 国連第3回総会で「世界人権宣言」(Universal Declaration of Human Rights)が先行・採択される。条約ではなく,「人権に関し諸国家が達成すべき共通の基準」を示したもので、法的拘束力を持たない。東側諸国とサウジ、南アが棄権。

 「すべての人間は、生まれながらにして尊厳と権利とについて平等である」(第1条)

「人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治その他の意見、国民的もしくは社会的出身、財産、門地その他の地位によるいかなる差別」も認められない(第2条)
3条~21条: 市民的、政治的権利
22条~27条: 経済的、社会的、文化的権利

1950年 第5回国連総会、規約草案には市民的及び政治的権利に加え社会権と男女平等の規定を含めることを決定する。また「世界人権宣言」の発表された12月10日を国際人権デーに指定する。
1951年 第6回国連総会、人権規約内容の膨大化に対応するため、A規約(経済的、社会的及び文化的権利)とB規約(自由権)に分割することで合意。ソ連などの諸国は、社会権と自由権に分けず1つの条約とするよう主張。
1954 第10回人権委員会、A、B両規約からなる第一次案の起草を終える。草案は国連第10回総会に提出される。その後国連総会第3委員会での逐条審議が続く。
1959年 児童の権利宣言が採択される。
1961年 世界人権宣言の趣旨を広げる国際民間団体としてアムネスティ・インタナショナルが結成される。
1965年 「人種差別撤廃条約」が締結される。
1966年12.16 第21回国連総会、国際人権規約を採択。

規約は

(1) 経済的社会的及び文化的権利に関する国際規約,
(2) 市民的及び政治的権利に関する国際規約,
からなる。
(1) はA規約、あるいは社会権規約と略される。
(2) はB規約、あるいは自由権規約と略される。
第1条は両規約共通で「人民の自決権」規定を置く。
自由権規約に関連する選択議定書がある。
1976年 国際人権規約が発効。
1979年 女性差別撤廃条約が締結される。
1979年 日本、国際人権規約を批准。ただしA規約中、公休日の給与支払い、スト権、高等教育の無償化の3点を留保。自由権規約の個人通報制度を定めた第1議定書を先進国で唯一批准していない。
1989年 子どもの権利条約が採択される。

第6条: すべての子どもは、生きる権利をもっています。国はその権利を守るために、できるかぎりのことをしなければなりません。

1989年 死刑廃止を目指す第2選択議定書が採択される。
2006年 国連人権委員会が人権理事会に改組される。
2012年 社会権規約第13条「中等教育及び高等教育の漸進的無償化について」の留保の撤回を閣議決定。(この時点で留保国は日本、マダガスカル、ルワンダの3カ国)


参考
1) 人権宣言(1948)の社会権(第22条から27条まで)の一覧
社会保障を受ける権利
働く権利、同等の勤労に対し同等の報酬を受ける権利、労働組合を組織し、これに参加する権利
休息および余暇を持つ権利
健康と福祉に十分な生活水準を保持する権利
教育を受ける権利
社会の文化生活に参加する権利
2) A規約(社会権)の第6条から15条
①労働に関する権利 第6条~第8条
②社会保障などに関する権利 第9条~12条
③教育・文化に関する権利 第13条~15条
この中の第11条が「相当な生活水準の享受に関する権利」となっている。
社会権には生存権(より基本的な)はふくまれない。市民的権利(自由権)のトップに「生存、自由、身体の安全に対する権利」が掲げられているが、ここでは生存権は自由権としてあつかわれる。

3) ワイマール憲法第151条第1項(1919年)「経済生活の秩序、経済的自由」
経済生活の秩序は、すべての人に、人たるに値する生存を保障することを目指す正義の諸原則に適合するものでなければならない。各人の経済的自由は、この限界内においてこれを確保するものとする。
4)憲法草案 GHQ案(46年2月)第24条 
法律は、生活のすべての面につき、社会の福祉並びに自由、正義および民主主義の増進と伸張を目指すべきである
5)憲法草案 政府案 第23条
法律は、すべての生活部面について、社会の福祉、生活の保障、及び公衆衛生の向上及び増進のために立案されなければならない

 

スライド1
チラシ

  

本日は発言の機会をいただきまことにありがとうございます。

この講演会の主催は「憲法を考える札幌市民集会実行委員会」です。その連続講演会の4回目の会議として本日の話が位置づけられております。」

これが本日の講演会のチラシです。立派なものを作っていただきありがとうございます。


スライド2

チラシの文脈では

Ⅰ 世界の平和の流れと憲法9条

Ⅱ 北朝鮮の核開発をどう見るか

Ⅲ 平和と安全に関する法体系のあり方

Ⅳ ラテンアメリカの平和への動き

…北朝鮮問題への国際的な視点を考察し、平和と安全の問題を考える…

 


 

チラシの文句を並べるとこういうことになります。

チラシの中味だとけっこう話が拡散しています。

どうしたら聴衆の皆さんの興味を拡散させずに話をまとめることができるかどうか、考えあぐねているところもあります。

とりあえずは、国際情勢をめぐるさまざまな話題を、究極的には日本国憲法に引きつけて、整理して行くようにと考えています。

これでは広すぎる、とりあえず一点に絞る


国際的な連帯運動の到達を踏まえ、憲法(とりわけ9条)の意味を考える

一応、このような方向で話しさせていただくということで、あらかじめご承知の上で聞いていただけるとありがたいと思います。

これはある意味で学ぶ活動だといえます。

もう一つだいじなのは、日本の護憲平和の運動を国際的に意味づけし、世界につなげる活動ですが、これは後で考えていきます。

皆さんのご期待と少し外れるかもしれませんが、ご容赦願います。

 


スライド3

21世紀型連帯運動の特徴

「国際的な連帯運動の到達」の意味するもの

1.すべての国際連帯の課題が、わたしたち自身の闘いと分かちがたく結びついている

中東・アフリカの平和の問題は、日本の憲法改悪の問題と結びついている。

わたしたちの運動は世界の運動と結びついたときに大きく発展する。

2.平和の課題だけではなくすべての闘いが連帯抜きに語れなくなっている

反TPP・反原発の闘い、超国家企業・投機資本との闘い、反共ポピュリズムとの闘い

響き合う各国の闘い(特にこの問題に触れたい)

 


 

スライド4

003年 イラク反戦ウエーブ

 

 2月14日~15日の24時間で世界で1千万人がデモに参加した。その多くはインターネットによるものだった。

オーストラリア(人口1千8百万人)では、2月14日にメルボルンで25万人、16日にシドニーで25万人のほか、アデレイド、ブリスベンでそれぞれ10万人など、総計75万人がイラク反戦集会・デモに参加した。

翌15日、ヨーロッパ諸国で空前の巨大な規模の闘いが爆発した。イタリアのローマでは300万人、1都市としては最大の反戦デモが行われた。
スペインでは全国で総計4百万とも5百万とも言われる人びとが街頭を埋め尽くした。マドリードで200万人、バルセロナで150万人、全スペイン国民の10人に1人が反戦闘争に参加したのだ。
ロンドンで200万人、パリで80万人、ベルリンで50万人など、かつてない規模の反戦集会・デモが開催された。

最後の大ウエーブは戒厳態勢下のニューヨークで巻き起こった。デモが禁止されたが75万人が参加した。最後のサンフランシスコでは25万人、市民の3分の1が参加した。

 

写真省略

 


 

スライド5

21世紀型連帯運動の三つの分野

21世紀型連帯運動は3つの分野に広がっている

Ⅰ 反軍事主義・平和構築のための闘争と連帯

Ⅱ 反貧困・反格差・経済民主主義を目指す闘争と連帯

Ⅲ 反ファシズム・立憲主義と民主主義を守る闘いと連帯

この3つの課題は

Ⅰ 平和に生きる権利

Ⅱ 人間らしく生きる権利

Ⅲ 自由に生きる権利

をめぐる課題、と言いかえることもできる。

(これは私の自慢の表です) 

 


スライド6

第Ⅰ分野 反軍事主義・平和構築のための闘争と連帯

21世紀の戦争は、大小の覇権思想とこれに対する報復が軍事主義の悪循環を形成して拡大してきた。

軍事主義とは何か

紛争の解決を国際法・国際的道義と国際機関を通じた合意によらず、軍事力(脅迫)で解決しようとする政治手法である。

覇権思想と軍事主義の2つを食い止める。とくに軍事主義の手を縛ることで平和の構築に向けて歩みださなければならない。

A) 中東における大小の覇権思想と軍事主義

B) 「新しい北東アジア」の構想を推進する

C) ラテンアメリカにおけるアメリカ覇権主義の危険な動向

D) 核兵器禁止条約の締結がもたらしたもの

E) 日本の平和主義国家から軍事主義国家への変貌を許さない

A) ~ E) それぞれが広範な内容をふくんでいるので、ここでは触れない。(「新しい北東アジア」の構想は後で触れる)

 


スライド7

国際テロリズムとの闘い

21世紀の戦争は、大小の覇権思想とこれに対する報復が軍事主義の悪循環を形成して拡大してきた。

国際テロリズムとは何か

大量破壊、暗殺、略取誘拐により政府の行動に影響を与える行動。とくに民間人(ソフトターゲット)に対する無差別攻撃が問題となる。

多くの場合、民族的迫害に対する歪んだ(絶望的)報復行動となっていることが多く、異端的宗教活動を背景とする狂信に支えられている。

土台となる闘い

軍事的報復思想の発生母体を崩し、平和の構築に向けて歩みださなければならない。この課題は反貧困・反格差の課題と、ある程度重複することになるだろう。

1.資源問題などでの富裕層の国際的な横暴を抑えること

2.領土問題などを利用する大小の覇権主義の芽を摘み取ること

3.民族差別を煽る極右・反動勢力の台頭と闘うこと

当面の対応

当面、国連などの国際協力を通じて、

1.異文化理解の強化 

2.貧困の削減と飢餓の根絶 

3.難民の受け入れと支援 

4.非軍事支援の強化

を推進していかなければならない


スライド8

第Ⅱ分野 反貧困・反格差・経済民主主義を目指す闘争と連帯

A) グローバリズムと経済問題の深刻化

1.ビッグバン 金融自由化: 投機資本の市場撹乱

2.リーマンショック: レバレッジの仕掛けが世界を壊す

3.租税侵食: 超国家企業の出現と国家財政の破綻

基層をなすのは先進国における産業空洞化、労働の不安定化、マーケットの狭小化

B) 格差問題は世界で深刻化している

1.アントニオ・ネグリ「帝国」 2003年

途上国国民の貧困化と流民化

2.ピケティ「21世紀の資本」 2013年

先進国の空洞化と格差拡大。

C) 人間らしく生きる権利が侵害されている

生存権とは、もっとも簡潔に言うと、人間が人間らしく生きる権利のことである。それは「人間らしく生きる」ことを可能にする国家の義務である。

国際的には、国際人権規約のうち、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(A規約)が相当する。(A規約については別途検討)


スライド9

欧米の社会変革の動きとの響き合い

A) 2011年 反失業青年行動 

リーマンショック→欧州金融危機→PIGSの債務危機→財政引き締め

チュニジア青年失業者の自殺→アラブの春→スペイン、ギリシャの青年行動→ウォール街占拠闘争→アメリカでの最低賃金引き上げ運動

日本では東北大震災のため連動しなかったが、反原発闘争、非正規就業反対・ブラック企業告発で盛り上がる。

B) 2016年 各種選挙での躍進

ギリシャでの反緊縮政党(元共産党)の勝利→スペインでのPODEMOSの前進→サンダース現象→イギリス総選挙でのコービン現象→フランスでのメランション現象

日本でも野党共闘が大いに盛り上がった。さらに揺るぎないものにするためには、青年・学生・若ママ・非正規の要求を組み上げることがだいじだ。


スライド10

格差問題是正のために何をなすべきか

1.税制改革、財政改革、働き方改革の「3つの矢」

1.税制改革: 税制を改革し、所得再配分をすすめる。「能力に応じて負担する、公正・公平な税制」の原則。

①間接税から直接税へのシフト、②大企業優遇税制の抑制、③租税回避を許さない、④世界的な「法人税引き下げ競争」の見直し。

2.財政改革: 積極的な公的社会支出(社会保障、教育・研究、子育て)で格差と貧困を是正する。

3.働き方改革: ①労働規制の強化、②非正規から正規へ、「均等待遇」「同一労働同一賃金」の原則を打ち立てる。③大幅賃上げと最賃引き上げなどによりワーキングプアをなくす。


2. 富裕層は強大だ

わずか1%で99%の人たちを支配できる。そのくらい富裕層は強力なのだ。だから99%が本当に力を合わせなければ、この仕組みを打ち破ることはできない



スライド11

21世紀型連帯運動の三つの分野

そのⅢ 自由に生きる権利を守る闘いと連帯

1.立憲制とリベラリズム

政治的自由は、国家における民主主義の根幹をなすものである。政治的自由を支えるものとしての「立憲主義」の根幹性は、この間の運動の中で明らかになっている。

1.支配者の恣意による専制支配: 人治政治

2.法による支配: 法治主義(法定主義)

3.立憲主義政治: 国家原則(憲法)に権原を由来する政治

4.共和制国家による支配: 主権在民を前提とした民主主義のシステム

1→4の順に国民の自由度は高まる。これは人間の歴史の中で築き上げられてきたものである。

2.民主主義はリベラルでなければならない

シェリ・バーマンはポピュリズムは反リベラルではあるが、反民主主義ではないという。

これは明らかに誤りだ。ポピュリズムには多数決主義はあっても、自由権(批判的・異端的)を恣意に委ねない保障はない。それは近代的民主主義ではない。

3.立憲政治を民主主義の基礎としたのは戦争法反対闘争の成果

まだいろいろ議論が必要だが、「立憲主義」とリベラリズムを民主主義の前提条件と位置づけたのは、日本の護憲闘争の理論的成果である。

  


スライド12

国際的な連帯運動の到達を踏まえ、憲法(とりわけ9条)の意味を考える

Ⅰ 反軍事主義・平和構築のための闘争

憲法前文と憲法9条 非戦条項の実効性を証明した功績

平和国家としてのプレステージ(まったく生かされていないが)

Ⅱ 反貧困・反格差・経済民主主義を目指す闘争

憲法25条の先進性

Ⅲ 反ファシズム・立憲主義と民主主義を守る闘い

「憲法は、個人の尊重が目的とされ、人間らしい生活を保障するもの」という教訓

憲法擁護はリベラリズムの核心であり、近代民主主義の第一歩

 

最後にもう一度

「国際的な連帯運動の到達」の意味するもの

1.すべての国際連帯の課題が、わたしたち自身の闘いと分かちがたく結びついている

中東・アフリカの平和の問題は、日本の憲法改悪の問題と結びついている。

わたしたちの運動は世界の運動と結びついたときに大きく発展する。

2.平和の課題だけではなく、すべての闘いが連帯抜きに語れなくなっている

反TPP・反原発の闘い、超国家企業・投機資本との闘い、反共ポピュリズムとの闘い

響き合う各国の闘い(特にこの問題に触れたい) 

前の記事
2017年11月18日 

 とあわせお読みください。



を書き始めたのだが、どうにもまとまらない。書くための材料が何か決定的に欠けているような気がして仕方がない。

1週間悩みに悩んで得た結論が二つある。
A)憲法25条の「生存権」は、胸を張って生きていく権利
一つは「生存権」が意味のある生き方をおくる権利だとすれば、それが拒否するのは貧困一般ではなく貧富の差であり、貧富の差が生み出す「差別を伴う格差」だということだ。
貧富の差そのものが差別を生み出す。これは倫理を介在するものではない。月給10万の人は、誇りを傷つけられずに月給100万の人とともに暮らすことは不可能であろう。
格差そのものが生存権の侵害であり、これは慈善ではいかんともしがたいことだ。そういうものとして「生存権」を捉えなければならないということだ。
それで、そこまで踏み込んで条文化したのが日本国憲法の25条だということだ。これは「人を餓死させてはならない」という条文ではない。人口の少なくとも過半数を占めているのは相対的な貧困層なのだから、その人達が胸を張って生きていける社会を作らなくてはならないというのが法律の趣旨だ。
少し調べてみたが、ここまで明確に人間が人間らしく生きていく権利の権利性を文章化した条文はないように思える。国連人権規約が登場するまでは、世界でもっとも進歩的な条文ではなかったか、と思っている。

B) 日本型立憲主義の主張と「自由主義思想」の再評価
もう一つは、近代民主主義の基層をなすものとしての自由主義思想の受け止めである。
これは、一昨年の戦争法反対運動の中でにわかに巻き起こり、いわば「民主主義的立憲主義」という形で民主運動の中に定着しつつある。
この立憲主義の思想的裏付けとなっているのが自由主義思想(リベラリズム)である。リベラリズムは産業資本主義のバックボーンとなってきた思想である。ところがこれが冷戦体制の中で資本主義諸国のブランドマークとして利用され、反動政策を覆い隠すために利用されてきたため、進歩的運動野では比較的軽視されてきた。
冷戦体制が崩壊し、資本主義対社会主義、民主主義対自由主義というレッテルの張り合いが無意味になったいま、もう一度自由主義思想を民主主義の基層に位置づけ直すことが運動論の形成の上で不可欠になっている。
それは安倍政権の対米依存強化と軍事力主義への傾斜を食い止める上でも不可欠の思想となっている。またトランプを筆頭とするデマと民衆扇動によるポピュリズム(ニセ民主主義)の論理を打碎くためにも必須の論理である。
率直に言えば、諸外国では日本ほど徹底したソ連型政治システムへの批判が行われていない。したがってリベラリズムを偉大な正統な歴史遺産として受け止める雰囲気は形成されていない。
しかしリベラリズムの伝統の上にデモクラシーを構築しなければ、近代民主主義は語れないのである。逆説的に言えば、日本の憲法を守る運動はそういう理論的地平を切り開いたのであり、このことは大いに確信を持つべきだろうと思う。

この2つは、憲法9条を守る運動に勝るとも劣らない、日本の民主運動の世界的功績であろうと思う。

国際連帯の課題と現状

数年前から痛感しているのだが、あれこれの闘いを取り上げてもそれだけで連帯の課題は見えてこない。

すべての国際連帯の課題が、わたしたち自身の闘いと分かちがたく結びついている

これが21世紀型連帯運動の特徴なのではないか。

そう思って書いたのが、今年2月の総会への情勢報告だった。


国際連帯の三つの課題

(国際連帯の課題と現状  続き)

報告の構成は以下のようになっている。

Ⅰ 反軍事主義・平和構築のための闘争と連帯

Ⅱ 反貧困・反格差・経済民主主義を目指す闘争と連帯

Ⅲ 反ファシズム・立憲主義と民主主義を守る闘いと連帯

この3つの課題は

Ⅰ 平和に生きる権利

Ⅱ 人間らしく生きる権利

Ⅲ 自由に生きる権利

をめぐる課題、と言いかえることもできる。

 


Ⅰ 反軍事主義・平和構築のための闘争と連帯

21世紀の戦争は、大小の軍事主義とこれに対する報復が悪循環を形成して拡大してきた。

この2つを食い止める、とくに軍事主義の足を縛ることで平和の構築に向けて歩みださなければならない。

A) 日本の平和主義国家から軍事主義国家への変貌を許さない

B) 「新しい北東アジア」の構想を推進する

C) 核兵器禁止条約の締結がもたらしたもの

D) 平和のための4つの方向と4つの実践課題 

A) B) C) それぞれが広範な内容をふくんでいるので、ここでは触れない。

D) についてのみ、触れておく。


Ⅰ 反軍事主義・平和構築のための闘争と連帯

(続き)

A) 日本の平和主義国家から軍事主義国家への変貌を許さない

B) 「新しい北東アジア」の構想を推進する

C) 核兵器禁止条約の締結がもたらしたもの

D) 平和のための4つの方向と4つの実践課題 それぞれが広範な内容をふくんでいるので、ここでは触れない。

A) B) C)

D) についてのみ、触れておく。

 


 

反軍事・平和擁護の闘い(続きの続き)

21世紀の戦争は、大小の軍事主義とこれに対する報復が悪循環を形成して拡大してきた。

この2つを食い止める、とくに軍事主義の発生母体を崩し、足を縛ることで平和の構築に向けて歩みださなければならない。

この課題は反貧困・反格差の課題と、ある程度重複することになるだろう。

1.資源問題などでの富裕層の国際的な横暴を抑えること

2.領土問題などを利用する大小の覇権主義の芽を摘み取ること

3.民族差別を煽る極右・反動勢力の台頭と闘うこと

を土台としつつ

当面、国連などの国際協力を通じて、

1.異文化理解の強化 

2.貧困の削減と飢餓の根絶 

3.難民の受け入れと支援 

4.非軍事支援の強化

を推進していかなければならない

 


Ⅱ 反貧困・反格差・経済民主主義を目指す闘争と連帯

A) 格差問題は世界で深刻化している

B) 欧米の社会変革の動きとの響き合い

C) 格差問題是正のために何をなすべきか

1.税制改革: 税制を改革し、所得再配分をすすめる。「能力に応じて負担する、公正・公平な税制」の原則。①間接税から直接税へのシフト、②大企業優遇税制の抑制、③租税回避を許さない、④世界的な「法人税引き下げ競争」の見直し。

2.財政改革: 積極的な公的社会支出(社会保障、教育・研究、子育て)で格差と貧困を是正する。

3.働き方改革: ①労働規制の強化、②非正規から正規へ、「均等待遇」「同一労働同一賃金」の原則を打ち立てる。③大幅賃上げと最賃引き上げなどによりワーキングプアをなくす。

D) 貿易と投資のルール作り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


Ⅰ 三人の老政治家が注目される理由

この1年の間にアメリカ大統領選挙、イギリス総選挙、フランス大統領選挙という注目すべき選挙戦が展開された。

この3つの選挙で、3人の老政治家が大活躍して注目を受けた。それはアメリカのサンダース、イギリスのコービン、そしてフランスのメランションである。

それぞれの個別の特徴は別にして、眼につく共通点は、彼らが一貫して左派リベラルの立場を守ってきたこと、彼ら自身は老人であるにも関わらず、若者の熱狂的支持を受けたことである。

彼らを支えたのは左派連合であると同時に老青連合でもあった。とくに青年のイニシアチブが際立っている。

青年層が老政治家を支えて立ち上がった理由には大きく言って3つあると思う。

A) 貧困化と格差拡大

「格差問題」は、富裕層への富の集中、中間層の疲弊、貧困層の拡大という3つの状況の複合である。さらに「板子一枚下は地獄」という不安感が社会的緊張(ゆとりのなさ)を招いている。

これは決して昔からのものではない。80年代にレーガン大統領が独占資本優位の経済政策を取り始めたからだ。最高税率を28%まで引き下げられた。最低賃金を抑え続けた。最低賃金はインフレによって目減りした。「69年は時給11ドル近かったが、2016年は7ドルだ」(ピケティ)

新自由主義は決して経済の必然ではない。アメリカの独占資本が利益を上げるために、国内外の人々に押し付けたルールの結果なのだ。だから変更することは可能なのだ。

B) 青少年の未来の喪失

格差問題が政治化する最大の理由は、中間層の疲弊と没落である。それは能力がある多くの青少年から未来を奪っている。

高すぎる奨学金、高学歴でも就職できない悩みが青年のあいだに広がっている。

「人口の1%の最富裕層のための政治ではなく、99%のための政治」はウォール街占拠運動のスローガンであるが、いまや世界の青年の共通のスローガンとなっている。

C) 民主主義の危機

格差の拡大の中で、政治的平等、法のもとでの平等の原則は大きく揺らぎつつある。その結果、民主主義に対する信頼が損なわれ、言論に訴えるよりも一過性の情緒に流される傾向が強まっている。

ヨーロッパでは深刻な経済危機のもとで、移民排斥を主張する極右派の台頭という事態も起こっている。

これに対し、民主主義を守る闘いが格差問題と結びつ来つつある。それは今回のフランス大統領選挙でもっとも典型的に示された。メランションは言う。「どんな問題でも解決策はある。それは民主主義だ」

すなわち格差問題も貧困問題も、「民主主義」を通じてしか解決できない。だから民主主義は何よりも大切なのだということを示している。

これらの論点について、三人の老政治家の認識は共通すると言ってよい。


Ⅱ なぜ老政治家が若者の心を捉えたか

A) 今の世の間違いが分かる世代

とはいえ、若者の心を政治に反映させるのには、若者自身が立候補するのが一番良いはずだ。なぜ老いぼれ政治家に自分たちの夢を託すのか。

率直に言えばよく分からない。例えばスペインやギリシャではみずからの世代の代表を議会や政府に送り込んでいるからだ。

ただ若者たちだけで戦えば、勢いだけで行けるあいだはいいが、高齢者や組織労働者などへの食い込みは難しい。ただ戦闘的なだけでなく安心感を与えることも必要だ。
選挙戦が白熱すれば、他党派との切り結びや戦略的思考が不可欠となるが、若者にはそれだけの修羅場経験がない。

そういう色々なことがあって戦略的に判断したのではないかと思われる。逆に言えば、青年の政治意識がそこまで熟度を増しているということだと思う。

その際の最大の選択基準が「ぶれない政治家」ということだろう。

B) 老青連合がお互い必要という事情

その他にも特徴がある。非エリートであること、党派性が薄いことなど、いずれも若者にとって「お神輿として担ぎやすい」要素を持っている。コービンの場合は2大政党の一つである労働党の党首ではあるが、議会内では少数派であり、一般労働党員の力のみが頼りである。これは逆に言えば政策的フリーハンドを握りやすいという利点にもなっている。

こういった戦略はおそらくサンダース陣営に乗り込んだ若者たちの発想であろうと思われる。しかしそれは巧まずして、世の中の空気にぴったりマッチした。

老青連合路線は教訓化され、それがイギリスにも持ち込まれた。そしてコービンの成功は、教訓としてフランスにも持ち込まれたのであろう。

日本においても、老青連合の凄まじい推進力とc破壊力はこの間試されずみの教訓となっている。


最近ポピュリストないしポピュリスムという言葉をよく耳にする。
ルペンまでふくめてポピュリストと一括する表現は、ラテンアメリカの歴史をやってきた人間としては、ひどい違和感を覚える。
20世紀の前半、ラテンアメリカをポプリスモが席巻した。それはカリスマによって歪められているとは言え、民衆の要求と抗議を反映したものだった。そこには激しい階級闘争があった。それがドイツ、イタリアではニセのポピュリスト=ファシストによって騙し取られたのだ。
その違いは言っていることにあるのではなく、「やっていること」にある。というより「やろうとしないこと」にある。それは、激しい言葉を使えば、「収奪者を収奪すること」である。
所得の再分配なしに財源を生み出すことはできない。内需が拡大しなければ再投資→経済成長へのインセンティブも生まれない。それを行わずにばら撒き経済を行えば、やがて財政は破綻し経済成長は停滞し雇用は失われる。
その時彼らは、海外市場への強引な進出と経済の軍事化(浪費の構造化)へとスイッチを入れ替えるのである。
ポピュリズムは、個別には破綻すればそれで一巻の終わりだが、ファシズムには財界がついている。必要とあれば暴力を使ってでも反抗勢力を押さえ込む。ファシズムにとっては独裁制が必然の帰結となる。
ポピュリスムは空文句で煽るだけだが、ファシズムは思想を押し付ける。カラ文句にだまされない人を排除し抹殺する。こうしてファシズムは愛国思想と選良思想、好戦思想を柱とする「原理主義」となる。

これがファシズムである。

なぜファシストをファシストと呼ばないのか。なぜ「極左」と並列するのか。そこには民主主義への軽蔑と、ファシズムへの警戒感の鈍化があるのではないか。自戒せよ。

フランスの大統領選挙は、結局白か黒かの決着なので、その意味を探るのは難しい。だからポピュリスト対リベラルみたいな括りも出てきてしまうのだが、議会選挙の結果と合わせて読むともう少し分かってくる。
フランス議会選挙の総括はもう少し勉強してからのことにして、アメリカ、イギリス、フランスの選挙を通じて見えてくる世界の動きについて、感想を述べておきたい。
1.“国栄え、民栄える”思考の後退
最大のトレンドは、“国栄え、民栄える”思考の明らかな後退だ。
19世紀後半から、世界中が“国栄え、民栄える”思考の中にズッポリはまってきた。その結果として二度にわたる世界大戦がもたらされ、その副産物として原水爆という悪魔的兵器が生み出された。
第二次大戦後に作られた自由貿易体制は、本来は世界は平等なひとつの家族という考えを表現したものである。
そこで“世界栄え、民栄える”という画期的な考えが初めて打ち出された。
しかしそれはアメリカの圧倒的な経済的・軍事的な優位を背景にもたらされたものであった。だから表面的には世界平等主義であっても、アメリカの許す範囲での世界主義であった。
この矛盾は当初より緊張をはらんだものであったが、ベトナム戦争を経てアメリカの全一的支配が破綻すると、複雑でぎくしゃくとしたものとなった。
アメリカ自身が「強いアメリカ」を主張するようになると各国もそれに倣い、“国栄え、民栄える”思考が復活しつつあるようにみえる。
2.“国栄え、民栄える”思考のもたらしたもの
しかしこの時代遅れの思考は、それを主張する国家(アメリカをふくめ)にとって利益を生み出さなかった。そしてますますその弊害が誰の眼にも明らかになっている。国が栄えて栄えるのは超富裕層であり、民はますます衰えるのが現実の姿だからだ。
“世界栄え、民栄える”という考えが、あらためて見直されている。
世界中の人々は国がどうであろうと、世界がどうであろうと、民が栄えることを望んでいる。同時に民を不幸におとしいれるような国も、世界も望んでいない。
人々は、国が栄えることを前提とした民の繁栄という路線に疑問をいだき始めている。そして民が栄えるような国の、別のあり方を求めている。それは“世界栄え、民栄える”型の国家への移行だ。
3.“超富裕層栄えて民栄える”か?
いま超国家的な超富裕層が国を屈服させ、民を不幸へと追いやっている。国家はかつての植民地の現地機構のように、超富裕層に隷属し国民収奪の道具となっている。
「強いアメリカ」、「強いイギリス」、「強いフランス」のスローガンはもはや人々の心に響かない。それらは、国家よりもっと強い超国家企業・超富裕層をどうするかという問題に答えていないからである。
この21世紀的枠組みに立ち向かっていく政府が、民を栄えさせる政府(いまは可能態にすぎないが)である。それが世界で同時多発的に立ち上げられる必要がある。
そしてその可能性がこの3つの選挙でしめされた。ここに最大の意義があると、私は思う。

今世紀の初頭、世界の人々が高らかに宣言した「もう一つの世界は可能だ」のスローガンを、我々は想起すべきだ。そして共通する目標として、“世界栄え、民栄える”を掲げるべきだ 

この時刻表は前に作ったものの増補版となるものです。

2016年05月09日

日本ではパナマ文書の追及もあまりされず、相変わらず「世界一企業に優しい」政治が続いていますが、海外では租税回避への厳しい対応がどんどん進んでいます。

そこで表題を上のように付けなおしたものです。なおFATCAとCRSの成立過程に的を絞ったものとして、以前の経過表はそのまま残しておきます。


2012年

2月8日 米国と欧州5か国(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国)が共同声明。欧州5か国の税務当局が米国人口座の個別情報を取得し、まとめて提供することとなる。

6月 OECD 租税委員会、BEPSプロジェクトを立ち上げ。多国籍企業等の租税回避に対応するため、国際課税ルールの抜本的見直しを開始。

10月 ロイターが喫茶店チェーンのスターバックスの租税回避を暴露。2010年以降、英国に一文も払っていないことが明らかになる。

スターバックスは英国で過去30億ポンド以上の売上があったのに対して、わずか860万ポンドほどの税を納税したのみ。ここ3年間においては12億ポンドの売上に対して税を納付していない。
法人税の安いオランダに所得移転し、差し引き8%の“節税”。イギリスは税収をまるまる失い、オランダは濡れ手に粟のぼろ儲けをした。

11月 英議会がスターバックスを呼び公聴会を開催。

12月 不買運動に直面したスターバックス、法人税の自発的納付で英当局と合意。欧州の本社機能を英国に移し、租税回避をやめる。

11月 英・独の財務大臣が租税回避を非難する共同声明を発表。仏の財務大臣も賛同する。


2013年

2月 OECD、「税源浸食と利益移転(BEPS)への対応に関する報告書」を作成。G20 財務大臣・中央銀行総裁会議(ロシア・モスクワ)に提出。

3月 英国、ドイツ、フランスの3カ国は他のG20諸国に対し、多国籍企業の租税回避を阻止するよう求めた。G20はこれを受け、OECDに租税回避防止に関する研究報告を求めた。

5月 米上院、アップルを呼び租税回避を追及する。

6月 G8首脳会議、課税逃れ対策の支持で合意。

6月 OECD 租税委員会、15 項目からなるBEPS 行動計画を採択。FATCAのモデル1をひな形として、金融口座情報等の「自動的情報交換」を多国間に拡大するもの。

7月 OECD、G20財相会議にBEPS 行動計画を提案。

7月 アメリカの消費者団体(pirg)が米巨大企業の多くが5年間納税ゼロであったと発表。またトップ100社がタックスヘイブンに保有しているお金は、1.2兆ドルに達するとする。

8月 ジェトロ、日本の対外直接投資残高が1兆ドルを超えたと報告。96年に比し4倍となる。ケイマンとオランダへの投資が突出する。

9月 サンクトペテルブルクでG20 サミット。BEPS 行動計画を全面的に支持。次年度末を目途に国内の法整備を進めることで合意。OECDによる国際基準の策定が支持される。

10月1日 OECDの発議した「税務行政執行共助条約」が日本において発効。①締約国における自動的な 情報交換、②租税債権の徴収の支援(徴収共助)、③要請による文書送達(送達共助)を定める。

10月 フランス議会、国内書店の保護を目的とする「反アマゾン法」を可決。

12月 イタリア議会、グーグル法を可決。多国籍企業がネット広告などを掲載する場合、国内事業者を通さなければならないと定める。イタリア政府は税導入を延期する措置。


2014年

1月 OECD租税委員会、自動的情報交換の共通報告基準(CRS)を承認。

2月 OECD、「課税における自動的な情報交換に関する基準」の草案を発表。

3月6日 米国財務省とIRS、最終暫定規則を発表。50以上の修正が加えられる。

4月 アップルのCEOティム・クックが上院で証人喚問を受ける。利益の多くをアイルランドで計上していることについて説明を求められた。

5月 クレディ・スイス、「米国人顧客の脱税を意図的にほう助した」と有罪を認め、米政府などに28 億1,500万ドルの罰金を支払う。

7月1日 FATCAによる規制が日本及び世界で施行される。登録金融機関は世界中で10万以上、日本の金融機関は3,624にのぼる。

日本の金融機関は、米国人対象者を特定し、同意を取得した上で、米国内国歳入庁(IRS)へ直接報告を行う
不同意口座についてはIRSが租税条約に基づく情報交換要請を日本の国税庁にする。国税庁は金融機関から情報を入手し、IRSへ提供する

7月 OECD、CRSのフルバージョンとコメンタリーを公表。金融機関の非居住者口座を政府間で自動交換するためのマニュアルとされる。

この「完全版」は「金融口座の自動情報交換のための新国際基準」(Standard for the Automatic Exchange of Financial Account Information in Tax Matters)と題されている。

9月 G20 財務大臣・中央銀行総裁会議(ケアンズ)で、BEPS報告書第一弾公表。

11月 ブリスベンのG20サミット、CRSを承認。その後97の国・地域が「税に関する自動的情報交換制度」(OECD制度)への参加を表明。日本の参加は遅れる見通し。アメリカは不参加の意向。

全国銀行協会は「OECD の枠組みは、FATCA よりもさらに負荷が大きい。実務面での配慮が必要」とコメント。

12月 この時点で、欧州各国を中心に112の国・地域が米国とIGAを結ぶ。

14年 イギリスが「UK FATCA」制度を導入。「海外領土」と呼ばれるジャージー、英領バージン諸島、ケイマン諸島、バミューダなど10カ国の金融機関に対し、英国居住者の口座情報の提供を義務付けた。これにより税金上のメリットは失われ、場合によってはHMRC(英歳入関税庁)の調査対象となる。

2015年

1月16日 欧州委員会、ルクセンブルグ政府の優遇税制措置を、EU法に定められた「違法な国家補助」に当たるとの判断。

アマゾンが税率の低いルクセンブルクの子会社にウェブサイト運営のための知的財産権を移し、同社の世界全体の売り上げの5分の1を占めるEUでの売り上げを集めていた問題がきっかけとなる。

3月 欧州委員会、「課税の透明性に対する取り組み」を発表。EU加盟国間の税務情報を、自動的に交換する仕組みを導入するよう提案。

3月31日 FATCAに関する国内法が発効。「租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の一部改正(租税条約実施特例法の一部改正)という長たらしい名前。

4月 イギリス政府、Google税(Diverted Profit Tax)を施行。租税回避された広告料所得などに対しても課税。スペインではグーグル社が徴税に対抗してグーグルニュースのスペイン版を閉鎖。

5月 米上院小委員会がアップル社からヒアリング。アメリカの法人税率は35%であるのに、アップル社は、実質2%以下の税率だったことが明らかになる。

6月 欧州委員会、公正かつ効率的な課税を目指す「法人課税に関する行動計画」を発表。

10月 G20アンタルヤ・サミット、「BEPSプロジェクト」の「最終報告書」を支持することで合意。

15年 イギリスは、企業がタックスヘイブンを利用して逃れた利益に25%の税金を課す制度を導入。

15年 イギリスのタックス・ジャスティス・ネットワーク、タックスヘイブン全体で21~32兆ドルの資産が隠されているとの試算を発表。その半分がメガバンクの保有であるとする。


2016年

1月1日 イギリスやドイツなどの早期適用国(56カ国)で、CRSが実施される。2016年の口座情報が2017年9月に交換されることになる。日本2018年適用国(41カ国)となる。

1月 欧州委員会、多国籍企業の租税回避に対する規制方針をまとめた「租税回避対策パッケージ」を提案。

①効果的な課税: 利益が発生した場所で税を支払う原則
②課税の透明性: 課税を確実にするため、加盟国が情報を共有する。具体的には多国籍企業に関する「国別報告書」(CbCR)の提出を義務化。第三国にも実施を求める。
③二重課税のリスクの回避: EU域内市場を活用する企業が二重課税を受けないように保護。

1月22日 イギリス税務当局、米グーグルとの合意に達し、210億円を追加課税した。グーグルはイギリス国内で170億ポンドも稼ぎながら、バミューダ諸島などに利益を移して5200万ポンドしか納税していなかった。

7月12日 EU理事会、「租税回避対策パッケージ」の核となる「租税回避対策指令」(Anti-Tax Avoidance Directive)を採択。利子損金算入制限、出国課税、一般的租税回避防止、外国子会社合算税制、ハイブリッド・ミスマッチの5つの規定で構成される。

8月 欧州委員会、アップルのアイルランドでの事業に対しEUの定める国家補助(state aid)法違反だと認定。アイルランド政府に対し130億ユーロの追徴税を命じる。

アップルはEU諸国での売り上げすべてを、アイルランドのペーパーカンパニーで申告している。アイルランドの法人税率は12.5%と圧倒的に低く、納税回避目的であることは明白とする。

8月 米財務省、欧州委員会が「超国家税当局」になっていると批判。アップルへの追徴金に対し「深い懸念」を示す。

9月 G20首脳会議(杭州)において、BEPSプロジェクトとCRSの進捗状況が報告される。85の国や地域が、BEPSパッケージの実施に賛同。CRS参加国の追加税収は550億ユーロに達する見込み。100の国・地域が「税務上の自動的情報交換」(AEOI)への参加を表明。

9月 オーストリアのケルン首相が「スタバなどの多国籍企業の納税額は屋台より少ない」と批判

9月 デンマーク、パナマ文書の一部を購入。税逃れをした、数百人のデンマーク人についての脱税調査を行うとする。

16年 イタリア政府はアップルがアイルランドに利益を移して不当に法人税を逃れたとして、3億1800万ユーロ(約398億円)の追加課税をした。

2017年



北海道AALA大会

情勢報告 「当面する闘いと国際連帯の課題」


はじめに

第一次議案の討議の中でいろいろ意見が出たので、表現上の修正と若干の補足をした。今回の議案の特徴は題名の通り「当面する闘いと国際連帯の課題」であり、国内課題と連帯課題の関連に焦点を当てたところにある。

これまでは中東・中南米など、ときどきの話題に焦点を当てて情報を提供してきたが、今回はまず私たち自身の闘いを振り返り、それがどのような国際的意義を持つのかを考えてみた。そしてそれとの関連で世界の人々の闘いをとらえ直してみた。そのなかで闘いの目標の共通性、今日的な「連帯」の必要性を検討してみた。

いわば「足元からの連帯」を主要な柱とした課題提起型・行動提起型の文章となっている。これが「情勢討議」の環である。議論のなかで飜えってAALA連帯委員会の固有の役割が浮き彫りになればいいなと思っている。それが「連帯運動ルネッサンス」の土台になっていくのではないかと期待している。


1.反戦・平和構築のための闘争(核廃絶の課題をふくむ)

A) 平和国家から戦争国家への変貌を許さない

この間、日本では「一人も殺さない、殺されない」という平和国家の理念を守る闘争が大きな盛り上がりを見せた。戦後の70年間、日本国民は平和憲法を守り抜き、非戦を貫いてきた。それは「国際社会において名誉ある地位」(憲法前文)を守るという国際的な意味を持つ闘いでもあった。

戦争国家づくりを阻止するためには、憲法9条を守る、戦争法を廃棄するという闘いに加えて、戦争予算の拡大を許さない、武器輸出を許さない、軍学共同を許さないなど具体的な分野の取り組みも必要だ。これらについて世界の現状を学び広げることも大事な課題だ。

B) 平和地帯、「新しい北東アジア」の構想を推進する

日本AALAでは「北東アジア平和協力構想」への賛同署名を行い、大きな成果を上げた。

この「平和構想」は対話の中で諸問題(北朝鮮、尖閣・南沙諸島など)を解決していこうという姿勢であり、ASEAN(東南アジア諸国連合)とCELAC(中南米・カリブ共同体)の経験に学んだものである。またそれは「平和5原則」(1954年)や「バンドン平和10原則」(1955年)など、国際政治の重要な民主的原則を踏まえたものでもある。

引き続き署名活動を推進するとともに、「新しい北東アジア」の構想をさまざまな方法で広げていくことが大事な課題だ。

16年7月、常設仲裁裁判所は、南シナ海問題での中国の主張を、国際法上「根拠がない」と退け、紛争の平和的解決を促す裁定を下した。この裁定を受け、9月のASEAN首脳会談は「法的および外交プロセスの全面尊重」による平和的解決を確認した。これは尖閣問題を考える上でも貴重な教訓である。「法の支配」を貫くためにも裁定の意義を広げていく必要がある。

16年10月、CELACは平和のイニシアチブを発揮し、コロンビア内戦を終わらせた。15年7月に米国とキューバが国交を回復したが、CELACは一貫してキューバ封鎖政策を批判し、国交回復を支援してきた。これらを通じて、ラテンアメリカは「アメリカの裏庭」から脱却しつつある。日米同盟のもとに従属させられている日本が学ぶべき点は多い。

いま、中南米諸国は国際不況のもとで経済不安が広がっており、親米政策への回帰の動きも見られるが、それは決して長続きするものではない。

C) 核禁条約の締結交渉の開始をうながした連帯

16年12月、国連総会で「核兵器禁止条約の締結交渉を開始する決議」が採択された。核兵器禁止条約が締結されれば、核兵器は「違法化」されることになる。世界は新しい段階に入る。核保有国は、法的拘束は受けなくても政治的・道義的拘束を受けることになる。

決議の採択に至ったのは、一つは、圧倒的多数の途上国、先進国の一部を含めた諸政府の共同であり、いま一つは、「核兵器のない世界」を求める世界の反核平和運動…市民社会の運動である。

核廃絶運動こそは国際連帯活動の典型である。世界を動かす二つの流れが連帯したことで決議が成立した、という事実を深く噛みしめる必要がある。

D) 「平和の秩序」を取り戻すための4つの緊急課題

9.11事件とリーマンショックを引き金に、世界の平和の秩序が脅かされている。平和と安定を実現するために、以下の4点が緊急にもとめられている。この方向で国内外の人々と対話を開始し、進める必要がある。

1.国際テロ根絶: このために、①国際的な機構、国際法などを用いて“法による裁き”をくだすことを基本にすえる。②貧困、無知、格差などテロが生まれる根源を除去する。③異なる諸文明間の対話と共存
2.貧困の削減: 「2030年までに極貧や飢餓を根絶」する(15年国連首脳会議)ために、途上国への支援を強める。
3.難民支援: 世界の難民・国内避難民は6530万人に達している。日本をふくむ先進国は積極的にこれを受け入れるべきだ。
4.人道的危機への対応: 国連PKOは変質している。武力を用いる「住民保護」ではなく、非軍事の人道支援を主任務とするべきだ。

より根本的には、国際的な富裕層の横暴を抑え、大小の覇権主義の芽を摘み取り、極右・反動勢力の台頭と闘い、人々の人権を擁護することがもとめられていることは言うまでもない。

2.反格差・反貧困・経済民主主義を目指す闘争

A) 格差問題は世界で深刻化している

格差の問題は、世界的には80年代はじめからの新自由主義的な経済政策(ネオリベラリズム)がもたらした現象である。日本では97年の消費税・金融危機以降顕在化し現在に至っている。

「格差問題」は、富裕層への富の集中、中間層の疲弊、貧困層の拡大という3つの状況の複合である。さらに「板子一枚下は地獄」という不安感が社会的緊張(ゆとりのなさ)を招いている。

これは社会と経済の持続可能な発展にとって重大な障害となっており、AALAとしてもこの問題に国際的視点から取り組むことが必要である。

B) 欧米の社会変革の動きとの響き合い

今日、欧米では深刻な経済危機のもとで、移民排斥を主張する右翼排外主義の潮流の台頭という事態も起こっている。イギリスのEU離脱は「EUの崩壊」として大々的に報道された。しかし、あまり報道されないが、格差と貧困の拡大に反対する幅広い市民運動もそれ以上の勢いで発展していることを見逃してはならない。

最近の動きを見てみよう。

米国では、バーニー・サンダース上院議員が、大統領選挙の民主党予備選で大健闘した。サンダースは「人口の1%の最富裕層のための政治ではなく、99%のための政治」を主張し、青年層の大きな支持を集めた。このスローガンは5年前に「ウォール街占拠運動」を展開した若者たちの主張と同じものである。

米国におけるもう一つの重要な前進は、最低賃金引き上げを求める闘いである。サービス産業を主体とする不安定就業者は日本と同じように過酷な労働に追い込まれてきた。国民の多くに支持されたこの闘いで、昨年、ニューヨーク州とカリフォルニア州では「時給15ドル」が実現した。

2015年のギリシャ、ポルトガル、スペインの総選挙では、「反緊縮」をかかげる市民運動・政党が相次いで勝利・躍進し、ギリシャとポルトガルでは新政権樹立につながった。

イギリスでは2015年9月、労働党の党首選挙が行われ、長年「戦争阻止連合」の全国議長を務めたベテラン闘士ジェレミー・コービンが党首に選出された。躍進の基盤は米国のサンダース旋風と共通しており、緊縮政策、失業、格差と貧困の拡大などへの抗議の声が結集されたもの。青年層が積極的に政治参加しコービン勝利の立役者となった。

これらは、いま日本で発展しつつある野党と市民の共闘と響きあうものとなっている。欧米の経験を学び我々の力としていくことがもとめられている。

C) 格差問題是正のために何をなすべきか

深刻な格差をもたらした新自由主義政策は、日本では「構造改革」として進められた。したがって「構造改革」の根本的な見直しが必要であるが、当面必要な施策は以下のようにまとめられるだろう。

1.税制改革: 税制を改革し、所得再配分をすすめる。「能力に応じて負担する、公正・公平な税制」の原則。①間接税から直接税へのシフト、②大企業優遇税制の抑制、③租税回避を許さない、④世界的な「法人税引き下げ競争」の見直し。
2.財政改革: 積極的な公的社会支出(社会保障、教育・研究、子育て)で格差と貧困を是正する。
3.働き方改革: ①労働規制の強化、②非正規から正規へ、「均等待遇」「同一労働同一賃金」の原則を打ち立てる。③大幅賃上げと最賃引き上げなどによりワーキングプアをなくす。

これらの方向は世界の人々とも共通するものであろう。「強固な分厚い中間層」を擁する「格差なき社会」に向けて何が求められるのか、お互い知恵を出し合う対話を進めることが必要だ。

D) 貿易と投資のルール作り

ネオリベラリズムがおしつけたルールではなく、民主的な相互促進的な貿易と投資のルールを作り上げていくことは、

いま問われているのは、「自由貿易か、保護主義か」ではない。

「自由貿易」の名で、多国籍企業の利潤を最大化するためのルールをつくるのか、人々の暮らしを向上させる相互促進的な貿易と投資のルールをつくるのか、という二つの道の選択である。

TPPが破産したいま、それに代わる包括的な貿易と投資のルールを打ち立てることは、これまでにまして重要な課題となっている。とくに途上国との経済関係を考える上での原則を共有する努力がもとめられるであろう。

なお貿易・投資問題で国際的協力を深めるためには、先進国・途上国の双方ともにILO(国際労働機構)を一層重視する必要があることを付け加えておきたい。

3.原発ゼロの世界を日本から

フクシマは日本の体験であるが、世界の体験でもある。

2年近い「稼働原発ゼロ」の体験を通じて、日本社会は原発なしでもやっていけることが国民的認識となった。 この体験はおおいに世界に向かって普及する必要がある。

処理方法のない「核のゴミ」という点からも、原発再稼働路線の行き詰まりは明瞭である。さらに、原発というのは「自主・民主・公開」の原子力三原則どころか、本質的に何重もの軍事機密に守られた暗闇の軍事技術であることを踏まえておく必要がある(東芝事件)。

4.沖縄基地問題は世界の反基地闘争の焦点

今沖縄でやられていることは、沖縄海兵隊基地を世界への「殴り込み」の一大拠点として抜本的に強化・固定化することである。さらに本土でも出撃基地化が進んでいる。

日本は世界最強の「米軍基地国家」となりつつある。これは日本よりも世界にとっての問題である。

反基地闘争はアメリカの軍事支配との闘争の中でも特殊な鋭さを持つ闘いである。一般的には米軍の軍事基地は縮小再編の傾向にある。その中で沖縄だけが突出している意味を見つめていく必要がある。

さらに選挙で明白に示された民意の無視、度重なる制度的手続きの蹂躙という点で、一国の立憲制度に対する最大の脅威ともなっている。

これらの脅威を世界の人々と共有していく必要がある。これは日本AALAの固有の任務であろう。 

5.立憲主義と民主主義を守る闘争(人権尊重の闘い)

A) 立憲主義(法治思想)への攻撃

今日の世界において一つの著しい傾向がある。それはトランプのツィッター政治に示されているように、立憲主義の思想と基本的人権の原則に対する甚だしい侵害である。

日本における憲法改正の動きはまず何よりも「戦争をする国」作りを目標としているが、同時に「緊急事態条項」など立憲主義の無視をもふくんでいる。

それは憲法を改正するだけではなく、「憲法を憲法でなくしてしまう」攻撃となっている。立憲主義と法治思想を擁護する声を世界中で上げなければならない。

B) 憲法で規定された人権

近代国家の憲法ではさまざまな人権が保証されている。さらにそれは「世界人権宣言」としても定式化されている。

基本的人権の柱は、①個人の尊厳とその尊重、②思想及び良心・表現・学問の自由などの自由権、③法の下の平等・両性の平等などの平等権、④生活・教育・勤労などの社会的生存権、④「人身の自由」と公正な手続き、などから構成される。

なおこれらはの人権枠組みは、国際的な議論を通じてさらに豊かなものとする努力が必要であろう。

また人類共通の普遍的権利を掘り崩そうとする動きは、諸国民が一致して阻止しなければならない。

6.ファシズム・反動思想との闘い

A) 反動思想の諸形態との闘い

反動思想は往々にして「復古思想」として登場する。それは必ず「排外思想」を伴う。安倍首相の「美しい日本」も、トランプがメインスローガンに掲げた"Make America Great Again"も同様である。

安倍政権の「戦争する国」への暴走は、過去の侵略戦争を肯定・美化する歴史逆行の政治と一体のものである。

それは近隣諸国との関係を著しく悪化させる一方、日本の右翼勢力や排外主義勢力を勢いづかせている。

B) 政治にもとめられるもの

これらの流れを断つためには、政治が断固たる立場に立つことが必要である。さらに司法が法的枠組みを厳正に守る必要がある。決定的に重要なのは国民が声を上げ、その力で彼らを孤立に追い込むことである。

同時に「歴史の偽造」に対し徹底的な批判をくわえ、歴史の真実を明らかにする努力がもとめられる。

そのために諸国の進歩勢力とも共同し、歴史の真相を掘り起こし、事実をつき合わせるなどの作業が必要となっている。

7.リベラル・ウィングの形成をめぐる試み

A) 市民と野党の共闘が始まった

アメリカのサンダース現象など、世界の各国で無党派市民の立ち上がりが見られる。

これは一面ではかつて統一戦線を形成した労働組合・社会党・共産党という「既存組織」の衰退の結果であるが、一面では第二次大戦後に世界各国に形成されてきた分厚いリベラル無党派層の活性化でもある。

日本では新しい市民運動による「市民革命」的な動きが沸き起こり、それに背中を押されて国会内外で野党間の共闘が発展し、さらに選挙共闘にまで進んだ。

これを従来型の「統一戦線」という呼称で呼ぶべきかは、検討の余地がある。ここでは「リベラル・ウィングの形成」と呼んでおく。

B) リベラル・ウィング形成のための課題

「リベラル・ウィングの形成」のためには、3つの基本姿勢がもとめられる。

① 「本気の共闘」: 互いに違いを認め合い、互いを信頼し、敬意をもち、心一つにたたかうことの重要性。それは「リスペクト」という言葉に示される。

② 各組織の独自活動の強化: 共闘の一致点をともにしつつも、それ以外ではおおいに独自性を発揮すること、「金太郎アメ」にならないことが、共闘を尻すぼみにさせない保障だ。

③ それぞれの組織が、組織内外の緊張関係を忌避することなく、不断に自己改革をすすめ、唯我独尊になることなく成長していく課題が欠かせない。

これらは日本での「共闘」実践から導き出された教訓であるが、各国でのリベラル・ウィングの形成は、エスニックな要素や宗教的要素などはるかに複雑であり、そこにはさまざまな道筋がある。旧来型「統一戦線」の枠組みにとらわれることなく、事実に即して検討を加え、共通のものを汲み出していかなければならない。

1.反戦・平和構築のための闘争(核廃絶の課題をふくむ)

A) 平和国家から戦争国家への変貌を許さない

日本では「一人も殺さない、殺されない」という平和国家の理念を守る闘争が大きな盛り上がりを見せた。それは「国際社会の中で名誉ある地位」を守るという国際的な意味を持つ闘いでもあった。

戦争国家づくりを阻止するためには、戦争予算の拡大を許さない、武器輸出を許さない、軍学共同を許さないなど具体的な個別の取り組みも必要だ。

B) 平和地帯の構想を推進する

日本AALAでは「北東アジア平和協力構想」への賛同署名を行い、大きな成果を上げた。

これは対話の中で諸問題(北朝鮮、尖閣・南沙諸島など)を解決していこうという姿勢であり、ASEAN(東南アジア諸国連合)とCELAC(中南米・カリブ共同体)の経験に学んだものである。

またそれは「平和5原則」(1954年)や「バンドン平和10原則」(1955年)など、国際政治の重要な民主的原則を踏まえたものでもある。

16年7月、常設仲裁裁判所は、南シナ海問題での中国の主張を、国際法上「根拠がない」と退け、紛争の平和的解決を促す裁定を下した。

この裁定を受け、9月のASEAN首脳会談は「法的および外交プロセスの全面尊重」による平和的解決を確認した。

16年10月、CELACは平和のイニシアチブを発揮し、コロンビア内戦を終わらせた。15年7月に米国とキューバが国交を回復したが、CELACは一貫してキューバ封鎖政策を批判し、国交回復を支援してきた。

C) 核禁条約の締結交渉の開始をうながした連帯

16年12月、国連総会で「核兵器禁止条約の締結交渉を開始する決議」が採択された。核兵器禁止条約が締結されれば、核兵器は「違法化」されることになる。

世界は新しい段階に入る。核保有国は、法的拘束は受けなくても政治的・道義的拘束を受けることになる。

決議の採択に至ったのは、一つは、圧倒的多数の途上国、先進国の一部を含めた諸政府の共同であり、いま一つは、「核兵器のない世界」を求める世界の反核平和運動…市民社会の運動である。

この二つが連帯したことで決議が成立したという事実を深く噛みしめる必要がある。

D) 世界平和実現へ向けた努力

党大会は4項目の提案を行っている。なお共産党の提案には5項目目として環境問題がふくまれているが、これは別項で扱うことにする。この提案の方向で世界の人々と対話を進める。

1.国際テロ根絶: このために、①国際的な機構、国際法などを用いて“法による裁き”をくだすことを基本にすえる。②貧困、無知、格差などテロが生まれる根源を除去する。③異なる諸文明間の対話と共存
2.貧困の削減: 「2030年までに極貧や飢餓を根絶」する(15年国連首脳会議)ために、途上国への支援を強める。
3.難民支援: 世界の難民・国内避難民は6530万人に達している。日本をふくむ先進国は積極的にこれを受け入れるべきだ。
4.人道的危機への対応: 国連PKOは変質している。武力を用いる「住民保護」ではなく、非軍事の人道支援を主任務とするべきだ。

2.反格差・反貧困・経済民主主義を目指す闘争

この節は相当幅広い課題をあつかうため、多くの項に分かれている。第(1)節はアベノミクスの総括なので省略する。

A) 格差問題の深刻化した背景

格差の問題は、90年代後半以降(世界的には80年代はじめから)の新自由主義的な経済政策がもたらした現象である。

それは、富裕層への富の集中、中間層の疲弊、貧困層の拡大という3つの状況の複合である。さらに「板子一枚下は地獄」という状況が社会不安を招いている。

社会と経済の持続可能な発展にとって、この問題に真正面から取り組むことが必要である。

B) 欧米の社会変革の動きとの響き合い

今日、欧米では深刻な経済危機のもとで、移民排斥を主張する右翼排外主義の潮流の台頭という事態も起こっている。

同時に、格差と貧困の拡大に反対する幅広い市民運動が発展している。

2015年のギリシャ、ポルトガル、スペインの総選挙では、緊縮政策の転換を求める市民運動と連携した政党が相次いで勝利・躍進し、ギリシャとポルトガルでは新政権樹立につながった。

イギリスでは2015年9月、労働党の党首選挙で、「戦争阻止連合」のジェレミー・コービン全国議長が党首に選出された。緊縮政策、失業、格差と貧困の拡大などに抗議する青年層がコービン勝利の立役者となった。

米国では、「人口の1%の最富裕層のための政治ではなく、99%のための政治」を主張するバーニー・サンダース上院議員が、大統領選挙の民主党予備選で、青年層の大きな支持を集め、大健闘した。

いま一つは「時給15ドル」への最低賃金引き上げを求める運動である。昨年、ニューヨーク州とカリフォルニア州で「時給15ドル」が実現するなど大きな成果を勝ち取った。

これらは、いま日本で発展しつつある野党と市民の共闘と響きあうものとなっている。

C) 格差問題是正のために

共産党は3つの課題を提起している。この提案の方向で世界の人々と対話を進める。なお共産党の提案には4つ目の課題として産業構造の改革が含まれるが、日本の特殊事情がふくまれるため省略する。

1.税制改革: 税制を改革し、所得再配分をすすめる。「能力に応じて負担する、公正・公平な税制」の原則。①間接税から直接税へのシフト、②大企業優遇税制の抑制、③租税回避を許さない、④世界的な「法人税引き下げ競争」の見直し。
2.財政改革: 積極的な公的社会支出(社会保障、教育・研究、子育て)で格差と貧困を是正する。
3.働き方改革: ①労働規制の強化、②非正規から正規へ、「均等待遇」「同一労働同一賃金」の原則を打ち立てる。③大幅賃上げと最賃引き上げなどによりワーキングプアをなくす。

D) 貿易と投資のルール作り

ネオリベラリズムによるルール作りではなく、民主的な相互促進的な貿易と投資のルールを作り上げていくことは、重要な課題である。

今回の大会決議では以下のように記載されている。

いま問われているのは、「自由貿易か、保護主義か」ではない。「自由貿易」の名で、多国籍企業の利潤を最大化するためのルールをつくるのか、各国国民の暮らし、経済主権を互いに尊重する公正・平等な貿易と投資のルールをつくるのかである。

しかし残念ながら具体的内容には触れられておらず、宿題として残されている。

なお貿易・投資問題で国際的協力を深めるためには、ILO(国際労働機構)を一層重視する必要があることを付け加えておきたい。

3.原発ゼロの世界を(地球環境課題もふくむ

以下は日本の体験であるが、世界の体験でもある。

2年近い「稼働原発ゼロ」の体験を通じて、日本社会は原発なしでもやっていけることが国民的認識となった。

処理方法のない「核のゴミ」という点からも、原発再稼働路線の行き詰まりは明瞭である。

この体験はおおいに世界に向かって普及する必要がある。

一方、再生可能エネルギーの普及は国民の生命と安全を守り、エネルギー自給率を向上させ、経済の発展にとっても大きな効果がある。

このへんは、なかなか実証が難しい。リアルな数字に基づく検証と相互の交流が必要である。

大会決議には触れられていないが、原発というのは本質的に何重もの軍事機密に守られた軍事技術であることを踏まえておく必要がある。

4.沖縄基地問題は世界の反基地闘争の焦点

今沖縄でやられていることは、沖縄海兵隊基地を世界への「殴り込み」の一大拠点として抜本的に強化・固定化することである。さらに本土でも出撃基地化が進んでいる。

日本は世界最強の「基地国家」となりつつある。これは日本よりも世界にとっての問題である。

反基地闘争はアメリカの軍事支配との闘争の中でも特殊な鋭さを持つ闘いである。一般的には米軍の軍事基地は縮小再編の傾向にある。その中で沖縄だけが突出している意味を見つめていく必要がある。

さらに選挙を通じた民意の無視、度重なる制度的手続きの蹂躙という点で、一国の立憲制度に対する最大の脅威ともなっている。

これらの脅威を世界の人々と共有していく必要がある。これは日本AALAの固有の任務であろう。 

5.立憲主義と民主主義を守る闘争(人権尊重の闘い)

A) 立憲主義(法治思想)への攻撃

今日の世界において一つの著しい傾向がある。それは立憲主義の思想と基本的人権の原則に対する攻撃である。

日本における憲法改正の動きはまず何よりも「戦争をする国」作りを目標としているが、同時に「緊急事態条項」など立憲主義の無視をもふくんでいる。

それは憲法を改正するだけではなく、「憲法を憲法でなくしてしまう」攻撃となっている。

B) 憲法で規定された人権

近代国家の憲法ではさまざまな人権が保証されている。さらにそれは「世界人権宣言」としても定式化されている。

基本的人権の柱は、①個人の尊厳とその尊重、②思想及び良心・表現・学問の自由などの自由権、③法の下の平等・両性の平等などの平等権、④生活・教育・勤労などの社会的生存権、④「人身の自由」と公正な手続き、などから構成される。

なおこれらはの人権枠組みは、国際的な議論を通じてさらに豊かなものとする努力が必要であろう。

また人類共通の普遍的権利を掘り崩そうとする動きは、諸国民が一致して阻止しなければならない。

6.ファシズム・反動思想との闘い

A) 反動思想の諸形態との闘い

反動思想は往々にして「復古思想」として登場する。それは必ず「排外思想」を伴う。安倍首相の「美しい日本」も、トランプがメインスローガンに掲げた"Make America Great Again"も同様である。

安倍政権の「戦争する国」への暴走は、過去の侵略戦争を肯定・美化する歴史逆行の政治と一体のものである。

それは近隣諸国との関係を著しく悪化させる一方、日本の右翼勢力や排外主義勢力を勢いづかせている。

B) 政治にもとめられるもの

これらの流れを断つためには、政治が断固たる立場に立つことが必要である。また国民の力で彼らを孤立に追い込むことが必要である。

同時に「歴史の偽造」に対し、徹底的な批判をくわえ、歴史の真実を明らかにする努力がもとめられる。

そのために諸国の進歩勢力とも共同し、歴史の真相を掘り起こし、事実をつき合わせるなどの作業が必要となっている。

7.リベラル・ウィングの形成をめぐる試み

A) 市民と野党の共闘が始まった

アメリカのサンダース現象など、世界の各国で無党派市民の立ち上がりが見られる。

これは一面ではかつて統一戦線を形成した労働組合・社会党・共産党という「既存組織」の衰退の結果であるが、一面では第二次大戦後に世界各国に形成されてきた分厚いリベラル無党派層の活性化でもある。

日本では新しい市民運動による「市民革命」的な動きが沸き起こり、それに背中を押されて、国会内外で野党間の共闘が発展し、さらに選挙共闘にまで進んだ。

これを従来型の「統一戦線」という呼称で呼ぶべきかは、検討の余地がある。ここでは「リベラル・ウィングの形成」と呼んでおく。

B) リベラル・ウィング形成のための課題

「リベラル・ウィングの形成」のためには、3つの基本姿勢がもとめられる。

① 「本気の共闘」: 互いに違いを認め合い、互いを信頼し、敬意をもち、心一つにたたかうことの重要性。それは「リスペクト」という言葉に示される。

② 各組織の独自活動の強化: 共闘の一致点をともにしつつも、それ以外ではおおいに独自性を発揮すること、「金太郎アメ」にならないことが、共闘を尻すぼみにさせない保障だ。

③ それぞれの組織が、組織内外の緊張関係を忌避することなく、不断に自己改革をすすめ、唯我独尊になることなく成長していく課題が欠かせない。

これらは日本での「共闘」実践から導き出された教訓であるが、各国でのリベラル・ウィングの形成にはさまざまな道筋がある。これらの道筋からは異なった教訓が得られるかもしれない。


今宮謙二さんが赤旗経済面に「経済の劣化示す消費低迷」という短評を書いている。
中身は中身として面白いのだが、この中で下記のような一節が心に残った。
基本は資本主義の行き詰まりです。
第一に、大企業や富裕層が自らに有利な流れを作っています。
第二に、その結果として格差が拡大し、国民の間に不安が広がっています。
第三に、その中でトランプ政権のようなむき出しのナショナリズムが広がっています。
第四に、平和と民主主義の危機に対する市民の運動が広がっています。
これらが世界的な新しい局面です。
たしかにこの4つの流れに分けて考えると、物事が整理されてくるような気がする。
その際に、対立軸が第一の流れと第四の流れとの対抗としてあることも、おさえておくべきだろう。同時にほかの3つの流れは嫌でも目に入ってくるが、第四の流れは調べて掘り起こしていかないと分からない。
この構図を踏まえながら、第四の流れ「平和と民主主義の危機に対する市民の運動」を少し肉付けしてみたいと思う。
その際、共産党の大会決定から国内の闘争の到達状況をピックアップしながら、それらの闘争は世界でどう闘われているかを探ってみたい。読者の共感をより得られるのではないかと考えている。

日本における諸闘争の到達状況

第27回共産党大会の決議では、第3章に諸課題での闘争の状況と課題が展開されている。(13)から(21)までの9節に分けられ記述されている。

(13) 安倍政権の危険と、それを打ち破る可能性

(14) 「戦争する国」づくりを許さない――日本共産党の平和の提案

(15) 格差と貧困をただす経済民主主義の改革を

(16) 原発再稼働を許さず、「原発ゼロの日本」を

(17) 沖縄をはじめとする米軍基地問題――全国の連帯を訴える

(18) 憲法改悪を許さず、憲法を生かした新しい日本を

(19) 侵略戦争を肯定・美化する歴史逆行、排外主義を許さない

(20) 日米安保条約、自衛隊――日本共産党の立場

(21) 統一戦線の画期的発展と今後の展望について

この内、(13)節は序論部分、(20)節は理論課題となるため、以下のように番号付けしておく。

1.反戦・平和構築のための闘争(核廃絶の課題をふくむ)

2.反貧困・生活防衛と経済民主主義を目指す闘争

3.反原発の闘争(地球環境課題もふくむ)

4.反基地の闘争(アメリカの軍事支配との闘争)

5.立憲主義と民主主義を守る闘争(人権尊重の闘い)

6.反ファシズム・反動思想との闘い

7.リベラル・ウィングの形成をめぐる試み

これらの闘いは現在進行形で、世界の様々な場所で闘われており、それらを知ることが国際連帯運動の第一歩につながるであろう。

ワタシが以前書いた記事で

がだいぶ読まれているようだ。
実は大した記事ではない。誰かのレポートをまとめただけのものだ。ただこの記事以外にも10本くらい記事を書いているので、書いた順にまとめて読んでいただけるとありがたい。最初の方とあとの方では認識レベルが違っているので、あとの記事のほうが正確だ。
言いたいのはFATCAとかCRSの具体的内容なのではなく、租税回避(BEPS)が諸国家の破壊行為であり、このまま進めば世界が崩壊しかねない危険な動きなのだということの認識だ。
そしてそれと対決していく決定的な方途としてはFATCAとかCRSの方向しかないということだ。FATCAは結局は米国本位のシステムであり、場合によっては悪用される危険すらある。しかしFATCAがCRSを産んだということは押さえておかなければならない。
一方でそのような経過も踏まえ、他方で依然として死んだわけではない「金融取引税」(トービン税)も踏まえつつ、グローバル社会の生き残りを目指すこの動きを重視していかなければならないと思う。
しかるに、日本国内では(少なくともネット社会レベルでは)、この動きを世界経済の重要な動きとして捉えようという動きはほとんど見られない。
英語でFATCAとかCRSを取り扱う文献が山ほど出現していることと考え合わせると、日本におけるこの無関心ぶりには唖然とする。
私ごとき素人が偉そうなことを言える立場にはないことは重々承知しているが、グーグル検索で私の書いた記事が上位に登場するような事態はできるだけ早く解消していただきたいものである。

世界の富豪たち

いつも、行き倒れとか介護疲れとか減免とかしけた話ばかりなので、今回は景気良くドーンとお金持ちの話をしましょう。

最初は金持ちが信長とか秀吉のように見えて、他人ごとながら楽しいのですが、そのうち腹が立ってきます。最後にはこんな世の中変えなきゃいけないと思うようになり、どうしたら金持ちをやっつけられるかと考えるようになってくれればと思います。

Ⅰ.世界の富豪たち

最初にフォーブス誌の今年のランキング。このランキングは個人の資産に加え、公的投資や民間企業への投資、不動産、ヨット、美術品、現金や負債も考慮に入れている。


第1位 ビル・ゲイツ(60)
資産額:750億ドル(8兆5680億円)マイクロソフト/米国

 

第2位 アマンシオ・オルテガ(79)
資産額:670億ドル(7兆6541億円)ZARA/スペイン

 
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第3位 ウォーレン・バフェット(85)
資産額:608億ドル(6兆9458億円)バークシャー・ハサウェイ/米国




第4位 カルロス・スリム・ヘル(76)
資産額:500億ドル(5兆7120億円)アメリカ・モービル(通信事業)/メキシコ

第5位 ジェフ・ベゾス(52)
452億ドル(5兆1636億円)アマゾン/米国

第6位 マーク・ザッカーバーグ(31)
446億ドル(5兆951億円)フェイスブック/米国

第7位 ラリー・エリソン(71)
436億ドル(4兆9808億円)オラクル/米国

第8位 マイケル・ブルームバーグ(74)
400億ドル(4兆5696億円)ブルームバーグ/米国

第9位 チャールズ・コック(80)
396億ドル(4兆5239億円)Koch Industries(複合企業)/米国

第9位 デイビット・コック(75)
396億ドル(4兆5239億円)Koch Industries(複合企業)/米国

ご同慶の至り、と、とりあえずは言っておこう。

Ⅱ.日本の富豪たち

順位名前(漢字)関連資産(億円)
1柳井正ファーストリテイリング(ユニクロ)17,930
2孫正義ソフトバンク16,390
3佐治信忠(一族)サントリー12,870
4滝崎武光キーエンス9,130
5三木谷浩史楽天6,270
6森章森トラスト5,280
7高原慶一朗ユニ・チャーム4,620
8毒島邦雄・秀行三共(SANKYO)4,510
9韓昌祐マルハン4,400
10伊藤雅俊セブン&アイ・ホールディングス4,290

Ⅲ.どれだけ増やしているか

と、ここまでは個人資産なので「ああそうですか」ということにしかならない。羨ましいとは思っても憎たらしいとは思わない。

しかし毎年の収入を見ていくとそうは行かない。オックスファム

このグラフを見ると、なんだかんだと言いつつも2010年まではウィン・ウィンの関係でみんな豊かになっている。それがこの5年間というもの、貧乏人の財産は大幅に目減りする一方、超お金持ちの財産は増え続けている。

つまり62人の連中は貧乏人を食い物にして肥え太っているわけだ。

Ⅳ.日本のお金持ちも同じだ

これは政府御用達、NHKの報道によるものだから間違いない。
資産の増加

アベノミクスの始まる前、2012年の8兆円に対し、15年に14兆円で差し引き6兆円増えたことになる。3年で6兆、毎年平均して2兆円が懐が膨らんだ計算だ。
これは財産(残高)であって収入ではない。収入だと、これに使った分(どのくらい使うんだろう?)がさらに上乗せされる。
これは企業の内部留保じゃありませんよ。まったくの個人資産なんです。 この守銭奴連中から14兆円全額巻き上げたって、日本経済にはなんの影響もないんです。ほっときゃまた溜まってくるんです。

ちなみに2014年に消費税が3%アップされた。これにより消費税収入は5兆円上がった。そして15年度にはさらに2兆円増えた。

合わせて12兆円。その半分が40人の超富裕層のポッポに入ったことになる。
消費税
 

むろん、財務省が耳を揃えて差し出したわけではないが、日本経済全体としてはそういうことになる。日本経済にはそういう「吸い込み構造」があるのだ、というしかない。

あとに残されたのは消費税不況と、デフレと、国民生活の悪化しかない。

財務省の責任ではない、と言われればそれまでだが、それでは国民のお財布のことは誰が考え誰が実行するのであろうか。

民主党の財政幹部で消費税の旗振りをした藤井裕久氏はこう言っていた。

消費税を広く浅く積み上げて、これを社会的弱者のために用いる。そうすれば内需は喚起され、結果として財政再建を成し遂げながら、所得の再配分を実現できることになる。

しかし、社会的弱者のためにそれが用いられることはなかった。藤井氏はそれを非難するが、率直に言ってその保証は何ら取り付けられていなかった。

アベノミクスは逆に経済を金融面から揺り動かすことで景気を回復し、もって弱者に滴り落ちる分配を増やし、内需を拡大しようとした。しかしそれも「吸い込み構造」への対応なく、弱者への再配分の保障なく行われ、結果として膨大な国債と膨大な日銀券を残したのみという結果に陥った。

それがこのグラフに示されている中身だ。
 もご参照ください。

総会準備ご苦労さまです。

民主的に討論するのもなかなか大変なことです。情勢報告というのはどうあるべきか、考えさせられました。

私も長年北海道AALAの総会で、情勢報告を担当していたので分るのですが、これは基本的には会員への情報提供サービスなのだと割り切るほうが良いのではないかと思います。

民医連総会の国際情勢だと、基本的には赤旗の記事のカットアンドペーストです。以前は私もAALAの立場からいろいろと突っ込んだこともありますが、うんざり顔で対応されるのが落ちでした。

しかしAALAの会員はそういう情報が知りたくて加入しているわけですから、要望に沿った構成で“赤旗に載らないけれどもだいじなニュース”を発信していくのが良いのではないでしょうか。

とくに各国人民の闘いの前進をピックアップしていくことが大切だと思います。

* 保守党支配を追い詰めている韓国の運動

* 南沙問題で中国の覇権主義的姿勢を追い詰めているASEAN諸国の協同

* タイの軍部独裁反対の闘い

* ネパールの民主主義の前進

* インドのケララ州での貴重な勝利

* エジプトの民主主義再建の闘い

* イランでの民主派の前進

* 中央アジア非核地帯の前進

* ギリシャ、イタリア、スペインでの左翼勢力の前進

* カナダでのリベラル派大統領の勝利

* アメリカ大統領選挙での画期的前進

* ニカラグアでのサンディニスタの前進

* チリ左翼の前進

もちろん細かく見ればいろいろ問題はあるのでしょうが、全体としてアラブの春からオキュパイ運動、全体としてのリベラル・左翼の前進はこの間の明らかな特徴だろうと思います。

会員の皆さんが期待しているのもそういう情報ではないでしょうか。

「世界政治(資料)」がなくなってから久しくなります。マルクス・レーニン主義の看板はもはや通用しませんが、一種の情報センター的な役割がAALAに要請されているかもしれません。

そんな感じの情報をAALAが発信していけたら良いなと思います。

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