鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

カテゴリ: 10 国際政治/経済

リーマン・ショック後の動き 金融政策を中心に

2008年

08年9月
9月 AIG国有化。AIGは大量のCDS(倒産保険)を扱っており、破綻すればリーマンとは比べものにならない位の大混乱が起きるところだった。
9月 日欧の中央銀行がFRBとのスワップ協定によりドル資金を供給
9月 米下院、共和党の反対で金融安定化法案を否決。誰もが予期しなかった事で。株式市場が大暴落!
08年10月
10月 欧米当局が金融機関への資本注入,銀行間取引の保証,預金保護の拡大等を実施。欧米主要中銀が協調利下げを実施する。
10月 米議会、共和党の賛成を得て「金融安定化法」が成立
11月 金融サミット(G20緊急首脳会合)の開催
11月 米FRB,事実上のゼロ金利を実施し量的緩和第1弾(QE1)を導入(2010年6月まで)

2009年
3月 10日、日経平均がバブル後最安値を更新(7054円)
4月 米クライスラー、GMが破たん
12月 ギリシャの財政悪化が判明,ギリシャ国債が格下げ

2010年
3月 欧州債務危機が勃発。EUとIMF,ギリシャに金融支援。
5月 欧州中銀,ユーロ圏内の国債買入れを実施。
ギリシャの債務隠し発覚を発端に、スペインやポルトガルやイタリアなどユーロ圏諸国の財務危機へと発展。ユーロの為替レートが暴落する。
7月 米,「金融規制改革法」(ドッド・フランク法)が成立
11月 米FRB,量的緩和第2弾(QE2)を導入
11月 EUとIMF,アイルランド、ポルトガルに金融支援

2011年
3月 東日本大震災が発生
3月 G7が円高阻止で協調介入を実施
4月 欧州中銀,2回にわたり金利引き上げ。1→1.5%に
10月 円相場,対ドルで史上最高値(75円32銭)
12月 欧州中銀が利下げし年初の1%に戻す。

2012年

3月 ギリシャ,事実上の債務不履行
6月 LIBORの不正操作問題が発覚
8月 「消費税増税法」が成立
9月 米FRB,量的緩和第3弾(QE3)を導入
12月 安倍内閣が成立。アベノミクスが開始される。

2013年
3月 キプロスで預金封鎖が勃発
3月 黒田日銀総裁が就任。インフレ目標(前年比2%)を立て、大規模な金融緩和策を発表。長期国債の大量購入に動く。
5月 円が4年ぶりに100円を割り込む。
6月 ユーロ圏、大量資本注入で合意。欧州中銀は0.25%まで利下げ。
2013年 サマーズ元米国財務長官、「長期停滞論」を提唱。世界的な需要不足と貯蓄余剰によって、潜在成長率が低下したと説明。

2014年
1月 新興国で通貨危機
シャドーバンキングの破綻懸念が高まった中国や、政権崩壊のタイ、経済不安のアルゼンチンやトルコなど、新興国の通貨が暴落。
2月 米FRB議長が交代(バーナンキからイエレンへ)。景気回復に伴い、量的緩和を縮小の方向へ
4月 日本で消費税を増税(5%から8%へ)
6月 欧州中銀,預金ファシリティ金利を△0.1%へ切り下げ。主要国では初のマイナス金利となる。
10月 FRBが量的緩和政策を終了。リーマンショック以降続いた金融緩和が終わる
10月 日銀,追加金融緩和を実施。国債購入を30兆円増加
11月 ロシアルーブルが変動相場制へ移行。経済の低迷でルーブルを支えきれなくなり、通貨バスケット制を放棄。

2015年
1月 ECBが量的緩和政策を開始。月額600億ユーロ相当の国債の買い入れを行っていくと宣言。
8月 中国ショック。当局は景気低迷や上海株式市場の暴落を受けて元安誘導へ転換。
12月 FRB、リーマンショック以降、初めて政策金利を利上げ。
12月 アジアインフラ投資銀行(AIIB)が設立される

2016年

1月 日銀、インフレ目標の達成困難なためマイナス金利導入を決定。
2月 原油安,中国のバブル崩壊,米国の景気減速懸念などから世界同時株安。
3月 中国と欧州中銀が追加緩和。
6月 消費税の10%への引上げを再延期
7月 英国でEU離脱の国民投票が可決。英ポンドは大暴落
12月 FRBが第1回目の利上げ。その後3回にわたり小幅引き上げ。

2017年 米国の成長率は名目で4.1%に回復。

ポピュリズムという言い方はやめよう

一部ジャーナリズムで盛んに使い始めたことから、今ではすっかりポピュリズムという言い方が浸透している。

それは社会学的用語としては正しいかも知れない。(それが社会学の弱点であり限界である)

しかし同じ大衆・庶民を基盤とし、その自発性に依拠し、彼らが抱える不満や怒りを代弁している点は似ているが、似ているのはあくまでそこまでである。

政治的スタンスもその最終目標もまったく逆の政治集団を、社会的同質性を根拠にひとくるめにするのは、政治的対決点がどこにあるのかをあいまいにするためのレトリックでしかない。

さらに悪いことはそれが上から目線であり、彼らの要求に対し冷淡で無関心であることの象徴となっている表現だからである。おそらく彼らの目は我々をもポピュリストとして眺めているだろう。

例えば、共産党と公明党・創価学会が底辺層の声を代表すると主張し支持者を奪い合ってきた状況が日本にある。
それをもって「共産党も公明党も貧困層を土台にしたポピュリスト政党だ」と、一絡げにすることは、まともな政治学者にとって自殺行為であると思われる。

ナチスもファシストもみな「社会主義者」を自称した。現在の言葉の使用法からすれば彼らこそ「ポピュリスト」の名にふさわしい。

政治学はさまざまな政治集団の性格を、その目的から規定し分類し評価しなければならない。それが政治学の使命である。

そしていま国民大衆の運動の進歩性を規定するのは、民主主義、平和主義、人権第一主義、立憲主義の4基準である。一言で言えば「リベラル民主派」である。

この4基準のいずれかに反する政治勢力はたとえ民衆に支えられた組織であろうと、反政府的組織であろうと支持することはできない。
社会学的に見て共感する余地があったとしても、政治学的には一線を画さなければならないし、場合によっては対抗関係に立たなければならないのである。

そう得心したとき、ポピュリズムという言葉がいかに民主派を見下して虚しく響くことか…

結局、リーマンショックのあとの10年間というのは、通貨対策と債務対策の10年であった。
それは目下のところ、成功したとは言えない。通貨は落ち着き危機は去ったように見えるが、見えないところでは、そのすべてが債務となって積み上がっているのである。

1.切り札は「量的緩和」だった
日米欧の金融政策 - JA共済総合研究所
古金さんという方のレポートだが、リーマン後の10年というタイムスパンを念頭に置いて分析されているところが参考になる。
2つの図で時間軸がずれていることに注意。
金融政策推移
いづれのエリアに置いても、量的緩和が最後の切り札になっていることがわかる。
3つのエリアを対照すると、ユーロ圏の特異性が目につく。
ECBの政策スタンスは今なお強力な金融緩和になっている。マネタリーベースの伸び率は高水準で、一方、実質政策金利は日米に比べ低くなっている。
古金さんはやりすぎだというが、10年間のマネタリベースで見れば、むしろ証文の出し遅れという感がある。
ユーロ危機のときにECBのPIGGS対応は遅く、助けること自体を躊躇していた。その結果、対応が遅れ、その分過剰な対応を迫られたのではないか。ドイツでの反対世論が強かったことも関係しているが、寄り合い所帯の弱点が露呈したのではないだろうか。
しかし助けると決めてからの判断は果敢である。守るべきものとしてのEU、ユーロ圏というコンセンサスがそれなりに存在しているものと思う。
日本の対応は当初は無策で、相対的金利高も放置されていた。13年から金利低下と量的緩和が同時に施行され、危機を脱出した形になっている。これがアベノミクスだ。

2.そして債務は残った
以下の図はいずれも東洋経済オンラインから拝借したものである。
債務推移
08年9月を境に世界は変わったと言える。それまでは債務は増えていたが、債務の対GDP比は不変であった。つまり、債務の増加は生産規模の増大の枠内で増加していたのである。
ところがその後の10年はGDPの増加なしに債務だけが増えているのである。
これは富の絶対的増加なしに富の偏在だけが進んだということを意味する。債務の増加は二次的なものだということがわかる。
政府債務の推移
政府債務の動向を見ると3つのことが言える。
①先進国では金融危機への対処のため一気に1.5倍ほどの財政出動をしたということ。
②しかし13年以降はほぼ蛇口を締めたこと。減らすところまでは行っていないが…
③新興国では「無い袖は触れない」から民衆に直接被害をかぶせたこと。
民間債務の推移

というブルームバーグの記事が面白い。
これは Four Big Risks to Watch 10 Years After Lehman: Sony Kapoor 
という文章の抄出・和訳らしい。


リーマン・ショック前夜に比べて、世界経済はもっと危険な世界になっているのか、4つのエリアで検証してみた。

1.過去最高の債務水準と質の劣化
世界の債務は過去最高に積み上がっている。質の劣化もある。
ソブリン・民間合わせた債務総額は237兆ドル(約2京6200兆円)となっている。これはリーマン前を70兆ドル上回る。
米国の公的債務は2008年にGDP比65%だったが、今では105%を超える。ユーロ圏の対GDP債務比率も上昇している。
AAA格付けはソブリン11カ国、米企業2社のみで、信用の質は低下を続けている。
各国の財政には景気を下支えする財政投入の余地がほとんどなくなっている。
今後予想される金融政策の正常化が債務コストを押し上げる可能性もある。

2.狭まる金融政策の対応余地
主要各国で量的緩和政策が取られた。それは中央銀行のバランスシートを前代未聞の水準に膨張させた。
政策金利はいまだ過去最低に近い。
ショック再来の場合、金融政策で積極的に対応する余地は限られている。この間取られた“大胆な金融政策”は、もう繰り返すことはできない。
それどころか、金融政策が波乱の原因になる可能性さえある。

3.政治的な混乱
2008年には強固だった政治的安定は、ほとんどの主要国で著しい混乱に陥った。
失われた10年に実質賃金は伸びず、経済面などで不安が強まった。
これまで脇役だった弱小政党が議会で存在感を増し、極右と極左の両方でポピュリズムが台頭した。

4.弱まる国際秩序と信頼の欠如
この10年間に国際的な秩序が弱まり、信頼が失われつつある。
G7やG20といった仕組みが崩れつつある。トランプ政権は、危機対応の枠組みを積極的に破壊しつつある。
常識ある政治センターの存在感が薄れている。とくにEUの求心力低下は深刻だ。


ということで、きれいにまとめられている。
実体経済への影響、失業率の高止まり、途上国経済の失速などは視野の外に置くのか、ポストリーマンの主役となったユーロ危機と円高不況はどう区分けされていくのか、などさらに検討すべき問題がある。
それと量的緩和が当初からとられていたかのような記述には、若干疑問が残る。オーソドックスな対策が成果をあげず、デレバレッジに歯止めがかからない状況の中で、否応なくQEに移行していったように見えるが…
何れにしてもリーマンショックを機に経済漂流の時代が始まり、それは10年を経た現在も着陸することなく続いている。
いわばリーマンショックは漂流元年となっていると言えるだろう。


スティグリッツがビットコインは匿名性が高いのでだめだと言ったそうだ。そうしたらビットコインの相場が見る間に下がってえらいことになっているらしい。
所詮縁なき世界ではあるが、経済学に倫理学を持ち込むのにもなんとなく違和感を感じる。
勉強もしないで言うのもなんだが、紙幣というのはもともと金の代用みたいなものだが、金はまったく匿名の商品であり、「純度X重さ」はどこの国が発行しようと同じはずだ。
汗水流して獲得したお金であろうと、麻薬を売って稼いだ金であろうと金の色に違いはない、まったくユニバーサルなものだ。
ところが現代における貨幣は不換で、その国の信用いかんにより決まる。さらにその信用は為替相場という形で日夜瀬踏みされる。金に比べればフィクションではあるが、逆に色々な規制に熟されて不自由になっている。
そして米ドルが兌換を停止して、世界のほとんどの国が変動相場制になってからは、むしろ為替相場が貨幣の形と働きを規定するようになっている。
であればいっそのこと、国家信用などというものを一切捨てて、相場にすべてを委ねようということになっても不思議はない。
その延長線上にあるのがビットコインではないか。これにより貨幣は匿名性と普遍性を“回復”することになる。
ただしその場合、貨幣の持つ2つの意味が失われる。一つは一定の機関による信用の裏打ちである。もう一つは金が労働により生み出された商品であるのに対し、生産物としての独自性の喪失である。
ただし後者はすでに失われているのだから、いまさら云々すべきものではない。
前者については少し吟味が必要だろうが、一番の問題は信用の裏打ちがなくても持続可能な流通手段となるだろうか。結局はドルという決済手段とどこかでリンクせざるを得ないのではないだろうか。
それは賭場という場所で通用するコインでしかないのだろうと思うが。

現在、問題となっているのはむしろ、取引のたびに常にドル決済を迫られる現在のシステムにあるのではないだろうか。
とくにトランプのような狂人がアメリカの大統領になると、世界の通商・貿易・投資がアメリカの恣意に翻弄されることになる。
その典型がベネズエラで、なんの罪もないのに経済制裁というペナルティーを科され、ドル決済を禁止された。「ドルを持ってこられても、ベネズエラの方とは取引できません。あしからず」という状況が現出されているのだ。同じようなやり方で1年前にアルゼンチンが攻撃され、おかげで政権が転覆されてしまった。
世界で一番米ドルが信頼できるから、みんなが使っているのに、「あんたは気に入らないから使わせません」ということが平気で行われるようになっては困るのだ。
もちろん国際通貨とビットコインとは目的も性格も違う。
しかしビットコインにはドル支配体制に対する風穴という側面もあるのではないか、こんなことも念頭に置きながら、もう少し勉強してみたい。

2018年1月14-15日、カイロでAAPSOの記念集会が開かれた。

参加者の構成
中東からはバーレーン、イラク、レバノン、モロッコ、パキスタン、パレスチナ、チュニジアの各国代表が参加した。アジアからはインド、ネパール、スリランカが参加しベトナムAALA連帯員会のグエン・ティビン会長がメッセージを寄せた。ヨーロッパからはギリシャとキプロスにとどまった。
ほとんどの国が1,2人の代表であるのに対し、主催国エジプトは書記局含め30人を送り込んだ。ロシアからも4人の代表が送り込まれているのは、会議の性格を予感させるものであった。
中国は代表は送らなかったが駐エジプト中国大使が挨拶を行った。文革時代の経緯を知る者にとっては、それだけでも注目されるものであろうが、内容もかなり踏み込んだものだった(田中)らしい。

議長の開会挨拶
60周年の意義を語るべき主催者挨拶だが、そのような骨太な話はなかったようだ。
一応植民地主義の克服、経済の持続可能な発展、社会正義の実現をあげ、一方で世界経済の危機とともに新たな課題が登場したとする。具体的にはテロと暴力の拡大、地域紛争、国家の解体などが列挙されている。
今後取り組むべきものとして10項目が挙げられたが、そのなかで最後の二項目。⑨組織が消滅した国での委員会の再建と⑩非同盟運動への積極的な参加が組織課題として提起されている。結構泣けるものがある。

中国大使の挨拶
カイロ駐在中国大使の挨拶はバンドン会議以来の中国とAA諸国との連帯の歴史に始まり、中国共産党19回党大会で打ち出されたAA諸国との関係強化の方針で結ぶなど、むしろ主催者挨拶より総括的だったようだ。
なお中国のAA諸国重視の政策は一貫したものであるが、湖錦湯時代には一時弱まった。また南沙問題を巡ってはASEANに対し高圧的な態度で臨むなど方針の揺らぎを感じさせたが、19大会で何らかの修復がなされているのかもしれない。少し勉強してみたい。

書記長の基調報告
「討論資料」が事前配布されていたようだが、これについては省略。
60年間を3つの時期に分けて総括している。
第一は創設以来の反帝、反植民地主義、AA独立運動に中心的役割を果たした時期である。
第二はソ連崩壊後、米国の一国覇権主義の下での闘いの時期とされる。
第三は中国やロシア、BRICSの台頭により新しい情勢が生まれつつある現在ということになる。
そのうえで書記長は現在の課題として、第一にトランプ政権の人種差別的な覇権主義とのたたかいをあげた。国際テロの拡大とエルサレム問題、北朝鮮危機はトランプ覇権主義の象徴とされた。そして無責任なトランプ政権の言動で不測の事態が起こる危険があると警告した。
第二の課題は富の集中と格差の拡大にいかに立ち向かうかということで、世界の人民のたたかいが求められるとした。

集会での討論における注目点
アメリカのベネズエラ干渉について議論になった。討論の議長は、ラテンアメリカが外国干渉に苦しむ事態は、AA諸国の現状と重なるとのべ、連帯を強化しようとのべた。
パレスチナに関しては力のこもった議論が展開されていた。とくにAAPSOがモロッコにパレスチナ人民支援委員会を結成したことが報告され、注目を集めた。

田中さんの発言
1.北朝鮮による挑発と米国による核脅迫の応酬は危険をもたらしている。我々は軍事解決に絶対反対で、対話による解決を求める。
2.憲法9条を守る戦いは北東アジアの平和にとっても重要だと考えている。
3.沖縄における反基地闘争は、いまなお重要な闘争である。
4.平和の課題での提起だが、核兵器禁止条約の批准運動に各国で力を入れるべきだと思う。
5.パレスチナ問題については、なかなか国民の理解が得られず苦戦している。
みたいなことが語られた。(すみません。うまくまとめられません)

AAPSOの最近の動向について

読んだきりにしてあったのですがもったいないので要約して掲載します。

AAPSOの説明をしようと思ったらえらく長くなってしまったので、独立した記事にして掲載します。

AAPSOというのは、アジア・アフリカ人民連帯機構の頭文字をとったもので、非同盟運動を非政府レベルで支える組織です。カイロに本部と書記局が常設されています。
AAPSOはその名のごとくアジア・アフリカ諸国を対象としたもので、ラテンアメリカの組織は加入していません。
別にラテンアメリカを排除したのではなく、第二次大戦後にアジアアフリカ諸国が独立を果たした際にその独立をどう守っていくのかを考えたからです。
ラテンアメリカの諸国はすでに19世紀のはじめにスペインやポルトガルからの独立を果たしており、形式的には民族自決権は問題になりませんでした。
1960年代の後半から、新植民地主義の攻撃が強まり、形式的には独立していても、事実上の植民地に逆戻りする例が多く見られるようになりました。
それはアジア・アフリカの新興独立国ばかりではなく、「アメリカの裏庭」となったラテンアメリカの諸国でも同様でした。
そのためにキューバが音頭を取る形でアジア・アフリカ・ラテンアメリカ人民連帯機構が結成されました。スペイン語の頭文字をとって、OSPAAALと呼ばれます。物品販売のコーヒーを「オスパール」というのはここから来ています。
日本のアジア・アフリカ連帯委員会は、新興国が社会体制の違いを乗り越えて相互に連帯することを謳ったバンドン会議の後に、アジア・アフリカの新興国の運動と連帯するということで結成されました。
日本は新興独立国でもなく、非同盟の国でもないので非同盟運動の参加国ではありませんが、日本のアジア・アフリカ連帯委員会はAAPSOの正式オブザーバーとして、当初より関わっています。
また1966年にOSPAAALが設立されると、連帯委員会はハバナの創立大会に二人の代表を送っています。
つまり日本AALA連帯委員会は、2つの組織を通じて非同盟諸国の運動とつながっていることになります。
ただし、OSPAAALは最近は開店休業状態となっており、日本の連帯委員会は個別に関係国の外交機関や非政府組織と連絡をとって連帯を図っているのが実情です。AAPSOについても事情は似たようなものなのですが、今年の1月に「AAPSO創立60周年記年集会」が開かれ、新しい動きがでてきました。
その集会に参加した田中靖宏さんが報告してくれた文章を、このあと要約していきます。


経済の仕組みとその変化をしっかりと整理している文章がなかなか見当たらない。

というより私がこのところ経済の勉強をサボっているのが一番主要な問題なのだが。

私の勉強がストップしたのは、欧州金融危機の後半のあたり。

スティグリッツらが日本の金融緩和策を支持したあたりから、筋道が見えなくなっている。

そこまでのレベルで一応議論を整理しておくと、

リーマンショックから欧州金融危機への移行というのは、基本的には資金の流動性の低下によるものであった。
1.デレバレッジ(逆テコ)が金融弱者を痛めつけた

これは直接の引き金としてはデレバレッジ(逆テコ)による極度の信用収縮であった。商品経済とは直接の関係がない金融不況だった。

2000年代前半の好況局面を通じて信用が極端に拡大し、通貨供給量を大きく上回る信用が形成された。それは見かけ上膨らまされた金融商品、簿価として計上された含み資産などである。

これら通貨の裏付けのない資金はリーマンの破産後、一気に店じまいをかけたが、通貨への還元力の弱い信用、逃げ足の遅い資金ほど大きな犠牲を受けることになった。

その通貨、決済通貨というのはドルである。とりあえずの金融危機が収束したあと、ドルは各国中央銀行に相対的に集中した。

ドルは札束で持っているのが一番強い。しかしそうはいっても、ハダカでさらすわけにも行かないから、どこかの金庫におさまっていなくてはならない。
2.預金の引き出し権が物を言う

そうすると手持ちの資金量は名目の預金量というよりは、その預金の引き出し権の多寡ということになる。怪しげな銀行の当座預金に100万ドル持っていたとしても、その100万ドルが引き出せないのなら意味がない。

では一番確実な銀行(預金先)はどこか、それは米連邦銀行を置いてほかはない。なぜなら彼らは輪転機を持っているからである。次に確実な銀行はどこか。それは日銀である。米連銀内に大量のドル預金を持っているからである。だから商品経済ではなにも円高になる理由などないのに円高になってしまったのである。

話が脇にそれたが、欧州金融危機は各国財務当局や、中銀の体力コンテストになった。そして弱者が敗者となり、勝者も著しく体力を消耗したのである。
3.量的緩和が決め手

この状況を打開するには、とにかく米連銀の輪転機を回すしかない。失われた信用の何割がドルの裏付けを得て復活すれば、経済がふたたび回り始めるのか、どこに資金を注入すればより効率的な回復が望めるのか、このへんはよく分からない。

とにかくバーナンキはグリーンバックスを刷りまくった。8年の任期のうち6年間、量的緩和QE1~3を続けたのである。

結果的に言えば、これは「流動性の罠」を抜け出すのに有効な方法だった。変な言い方だが、異端であり排斥されてきた方法であるにも関わらず成功したのである。

それは方法的にはサプライサイドの調整策であるが、需要創出という側面からはケインジアン的性格の濃いものである。
4.商品市場とは全く別の論理

私の印象としては、これは商品市場とは全く別の論理で動く、もう一つの市場経済世界である。

どうもこれを一緒にして語ってきたから話が混乱しているのではないだろうか。

我々がこれまで語ってきた市場の需要・供給曲線というのは商品世界のバランスだった。しかし今我々が目の前にしたのは商品を中心として動く世界ではなく、貨幣を中心として形成される需要・供給曲線の世界なのではないか。

このあたりはマルクスが資本論第3部で端緒的に触れたところであるが、彼の時代の信用システムはまだ十分に開花されたものではなかったから、理論も展開されたものではない。

むしろ究極的には商品と貨幣により形成される市場経済に規定されるものだという側面が強調された。

しかし信用制度が発達してくれば貨幣と信用により形成される市場が新たに出来上がり、その経済規模が実体経済の十倍以上に拡大すれば、信用市場を管理するためのノウハウは別個のものとして体系化されなければならないだろう。
5.国際決済通貨(ドル)市場の論理
それに加えてグローバル経済では、信用市場の主役は貨幣一般ではなく「国際決済通貨とその引き出し権」を真の貨幣=供給された決済力として考えていくべきであろう。といっても、どこが違うのか自分には何の答えもないが。
今はそういう時期を迎えているのではないだろうか。



人との待ち合わせのちょっとした隙に本屋に入り、ふらっと買ってしまった本がある。

題名に惹かれての衝動買い。

荻原博子「投資なんかおやめなさい」というものだ。

別に私は株なんかやらないし、どうでも良いみたいなものだが、ふんどしの文句が気になる「銀行・証券・生保 激怒必至」と書いてある。

さほど安い本ではないが、喫茶店でパラパラとめくるには格好のネタかもしれない。

まず「はじめに」から

過激な言葉が並ぶが、ようするに「投資ブーム」が作られたもので、仕掛け人が銀行・証券・生保だということ。こういう儲け話に乗ると大損するからやめときなさい。

ということで、これだけならむかしからのお話。

現代風の味付けはどこにあるかというと、

アベノミクス→金融緩和→金融機関の収益悪化→金融機関の株屋化

ということで、これもさほどの新味はない。

結局、今の「好景気」が金融バブルでありいずれ弾ける。荻原さんは東京オリンピック後にそれが来るだろうと言っている。

その際、「好況局面に入ったにも関わらず、金融緩和を続けているのは日本だけだから、不況になったときに世界のしわ寄せが日本に来るだろう」というのがミソといえばミソ。

それでどうするかというと、荻原さんのご託宣は「タンス預金」だ。

これはどうもいただけない。

年寄りはお金を増やそうとは思っていない。とにかく安全にしたいのだ。ところがいまの世の中安全な方法などというものはないのだ。

まず昔ながらのインフレリスクはある。これだけ金融緩和したのだから、いつ来てもおかしくはない。

もう一つは金融が自由化された以上、為替リスクはいつでもある。

この2つの資産リスクをヘッジしようとすれば、資産を貨幣形態資産と不動産形態資産に分散しなければならない。

もう一つは貨幣資産を邦貨と外貨に分散しなければならない。

この2つのリスク回避は、見た目には投資である。だから投資=資産の形態変化をそのままリスクと考えるのは間違っている。

問題は「儲け気分」をふくらませるかどうかだ。つまリは主観の問題だ。貪らなけければタンス預金よりリスクを回避できる確率は高い。

そういうわけで、20年前なら私は間違いなく荻原さんに全面賛成しただろうが、今は部分賛成にとどまる。

ここまでは結論部分について、その不正確さを指摘したのだが、論立て部分にも相当のあやふやさがある。

とくにインフレとデフレの問題、金融不況と実体経済の不況の問題、通貨問題については混乱状態である。

これらについては、いづれ別に記事を起こして行こうと思う。


いくつかのレビューでも明らかにされているように、ベネズエラの目下の経済的苦境はアメリカの経済封鎖、とりわけ金融封鎖によるものであって、政府の失策とか「社会主義の失敗」によるものではない。
ただ、それだけではなく、石油依存国家で実体経済をどう運営していくかという特殊なノウハウの問題も含んでいる。したがって下記の問題を留意しながら、分析を進めなければならない。
2012年08月12日 エコノミストはベネズエラを評価している より一部引用
何度も強調するのだが、この国の経済運営はオーソドックスな手法ではやっていけない。
この国の実体経済の規模をはるかに上回るすごい勢いでドルが行き来している。
しかもこいつは“オイルダラー”と言って、世の中で最も流動性が最も高く、投機性がもっとも強く、たちの悪い資金だ。いざとなれば瞬きするあいだに目の前から消えてなくなる。
この投機資本と国内経済と実体貿易はどこかで遮断しなければならない。収支は短期の資本収支も合わせて評価しなければならない。サウジのように貧困者を徹底して無視し、反抗者を徹底的に押さえつければ経済は安定する。
しかしチャベスのごとく貧困者の生活水準を引き上げれば、インフレは必至であり、放置すれば経済を破壊する。
さりとて、輸入自由化で物価を安定させようとすれば、たちまち巷には失業者があふれることになる。
こういう中で経済運営をした経験は日本人にはない。だから我々は個々の失敗について四の五の言うのではなく、こうした経験から虚心坦懐に学ぶべきであろう。
私は以前から、連帯運動というのは「学ぶ運動」だと考えている。与える運動ではなく、与えられる運動なのである。

さて、今日から気分を入れ替えて勉強再開しよう。グダグダぐらしにも少々飽きた。
今年はどんな年なのだろうかと、考えてみる。そうだ今年はリーマンから10年なのだ。
たぶん、リーマン・ショックを機に世の中相当変わっていると思う。
一番大きいのは、リーマン・ショックを機に世の中がふるいにかけられ、貧富の差が一段と進行したことだろう。
そしてこの格差がそろそろ究極的な所まで来て、世界中からWin-Winの関係がなくなってしまったことだろう。
世界の経済システムは、1980年のレーガノミクスの出現からネオリベラリズムが席巻し、第二次大戦後の民主的経済システムの崩壊が始まった。それにともなって巨大資本への富の集中が進み、ついに行き着くところまで行き着いた。
次の経済システムへの移行が本格的に求められるようになっている。それを実現するのも実のところ政治システムの変化を通じてしかありえない。
それが経済民主主義ということになるが、その場合、民主主義のあり方が鋭く問われることになってくる。
この間の世界の動きの中で、自由主義と民主主義を二つの柱とする近代政治システムは、二つのチャレンジを受けてきた。一つは権力の側からの「自由」をもとめるネオリベラリズムの動きであり、ひとつは「自由」の基盤の上に立たないポピュリズムの動きである。
これらの動きは、人類史を引き戻そうとする歴史的反動の流れにとって、車の両輪となる危険がある。同時に、これらとの闘いは社会を新たな人類史的段階へと推し進める変革の闘いと直接結びついている。
そういうわけで、今年は以上のような観点から「リーマン後の10年」をあと付け、とりわけ正統リベラリズムの観点から意味づける作業の年にしていきたいと思う。

リーマン・ショック後の10年(主な動き)


経済的出来事

政治的出来事

2008

リーマンショックが発生

オバマが大統領に初当選、変革を唱える。

2009

円高が進行、84円に。

民主党が勝利。鳩山政権が成立する

2010

ギリシャ債務が表面化
アメリカでFATCAが成立(外国口座税務規制)
中国GDPが日本を抜く。

ティーパーティー運動の躍進

2011

東北大震災+原発事故→GDP低下と貿易赤字。円高75円が相殺。

チュニジアから「アラブの春」→シリアで泥沼化
ウォール街占拠運動、2ヶ月にわたる

2012

欧州経済危機がスペイン、イタリアにも波及(PIIGS)、ユーロ95円まで下落

原発稼働ゼロに
英国がスターバックスの租税回避を非難。独・仏も英支援に回る

2013

アベノミクスの実施(異次元緩和)→円安・株高
デトロイト、自動車産業空洞化により財政破綻

習近平が国家主席になり、訪米・会談
米政府機関による盗聴が発覚
中国のPM2.5汚染が日本にも波及

2014

OPEC破綻、バレル100→40ドルへ
アイルランドが「ダブルアイリッシュ」を廃止(20年まで猶予)

消費税が8%となり、ふたたび不況へ

2015

東芝で粉飾決算が発覚
COP21でパリ協定
OECDがFATCAの双方向性を強めたCRSを提示
米財務省、欧州委員会のBEPS対策、とくにアップルへの追徴金課税について非難。
中国が一帯一路やアジアインフラ投資銀行などを打ち出す
日本の貿易収支黒字化

戦争法反対運動+野党共闘
ギリシャ選挙で反緊縮派が勝利。
ポルトガルで社会党を中心とする左派連合が政権に
ヨーロッパで難民問題が顕在化

2016

パナマ文書が暴露される。
ドイツ銀行が住宅ローンで経営危機に

英国民投票でEU離脱を決定
トランプの大統領当選+ポピュリズムの台頭

2017

トランプ、TPPとパリ協定離脱を決定

核兵器禁止条約が採択される。
サンダース・コービン・メランション現象



2000年に書いた金融グローバリゼーションの行方の一部です。北海道AALAの2000年版情勢報告から抜粋しています。
金融危機のもとでは、変動相場制絶対論でヘッジファンドのなすがままにされるのではなく、条件的に固定相場制の採用もありうるという経験です。

マハティールの「勝利」

 おおかたの東アジア諸国がIMFの指導に従うなかで,マレーシアはこれとは逆の方向に出ました.

 それまでマレーシアを支配してきたマハティール首相は,腹心のアンワルに(私のパソコンは「案悪」という素晴らしい宛て字を用意した)経済運営を委ねていました.マレーシアを金融危機が襲ったとき、アンワルはIMFの政策を導入して危機の乗り切りを計ろうとしました.
このやり方を不満とするマハティールは,強引にアンワルを更迭し、自ら危機対策に乗り出しました.

 マハティールの対応は「ヘッジファンドの行き過ぎた活動を規制すること」でした.彼は国際投機家ジョージ・ソロスを名指しで批判し、ソロスとアメリカ当局が裏でつながって、アジアを危機におとしめていると主張しました.

 当時,この非難は荒唐無稽と思われましたが,その後ブラジル金融危機に際し,IMFとアメリカ財務省,ソロスが一心同体であることが立証されました.
ブラジルの金融危機に際し,IMFはソロスの大番頭を経済相に就けるよう推薦し,その就任を待って融資を開始したのです.マハティールに言わせれば、「泥棒を金庫番に就けた」ようなものです。

 マハティールはまず為替取引きを停止しました。ついで株式・債権の短期売買を禁止しました.マレーシアの通貨リンギットは国外での取引きを禁止され、海外持ち出しを制限されることになりました.国内では1ドル=3.8リンギットの固定相場となりました.

 これらの政策はIMFの指導と真っ向から対決するものでした.

 マスコミの多くはマハティールのやり方を痛烈に批判しました。そして強引なアンワル下ろしと相まって,その独裁ぶりが書き立てられました.「マハティールはインドネシアのスハルト前大統領と同様、国民の怒りを受けて失脚するだろう」と噂されるようになりました.

 しかし大方の予想を裏切って,98年度のGDPは1%前後のマイナスにとどまりました.さらにその後は大幅なプラス成長に転じたのです.相場師たちはマレーシアを離れましたが,逆に半導体と家電関係の新規投資は急激に増加しました.

 99年9月1日,この措置の1年間の期限が切れました.世界が固唾を呑んで見守りました.マレーシア政府は50億~60億米ドルの流出を覚悟していました。しかし実際に国外に流出した資金は10億ドルに留まったのです.マハティールの大バクチは成功したと見ることができるでしょう.

 その後もマレーシア経済は順調な足どりを続けています.GDPは前年比で二桁を上回る増加を記録しています.外貨準備高は15億ドル前後増え、ビジネスも順調に伸びています。外国からの直接投資にも悪影響はみられません。

 マハティールは「先進国を中心とする国際社会は,経済の混乱がアジア各国の国内に波及するのを食い止めることができなかった」(それができたのは私だけだった)と胸を張りました.

「私の選ぶ今年の十大ニュース」と言いつつそれは一番最後。まず世間の選んだ十大ニュースから紹介する。

what's @DIME

1000人が選んだ「2017年の重大ニュース」ランキング(2017.12.12)

【1】スポーツ編ランキング

2位 横綱・日馬富士が弟子力士に暴行 傷害容疑で捜査(40.3%)

5位 プロ野球 大谷翔平が日本ラスト登板、来年からメジャーへ(22.6%)

7位 プロ野球ドラフト会議 清宮幸太郎内野手との交渉権を日本ハムが獲得(21.7%)

【2】芸能編ランキング

3位 元SMAP 香取、草なぎ、稲垣がジャニーズ退社(47.8%)

4位 松居一代と船越英一郎の泥沼離婚騒動(31.0%)

【3】政治編ランキング

1位 豊田真由子議員による騒動。「このハゲーーーー!!!」(64.4%)

2位 北朝鮮が弾道ミサイル発射、日本上空を通過、Jアラート発令(44.8%)

3位 森友学園、加計学園問題(44.4%)

7位 第48回衆院選、自民党が圧勝(22.5%)

8位 小池都知事が「都民ファーストの会」代表に就任(20.2%)

【4】海外編ランキング

1位 トランプ大統領就任(67.5%)

2位 金正男氏殺害事件(64.9%)

5位 ラスベガスで史上最悪規模の銃乱射事件、死傷者500人以上(31.0%)

6位 朴前大統領を逮捕(24.7%)

9位 カタルーニャ独立騒動(9.8%)

10位 トランプ大統領がメキシコ国境への壁建造の大統領令(8.8%)

【5】明るいニュース編ランキング

1位 将棋 藤井4段が29連勝、最多連勝記録を30年ぶりに更新(56.1%)

5位 「インスタ映え」が流行(19.3%)

【6】悲しいニュース編ランキング

1位 フリーアナウンサー 小林麻央さん 死去(55.3%)

2位 座間市9人バラバラ遺体事件で、白石容疑者逮捕(46.8%)

5位 横綱・日馬富士が弟子力士に暴行 傷害容疑で捜査(24.4%)

7位 九州北部豪雨(23.2%)

【7】怒りのニュース編ランキング

1位 座間市9人バラバラ遺体事件で、白石容疑者逮捕(51.1%)

5位 森友学園、加計学園問題(29.5%)

10位 神戸製鋼でデータ偽装(17.6%)
全部書くと大変なことになるので、私でも知ってそうなニュースだけ選んだ。全文はwhat's @DIMEへ

Yomiuri Online

こちらは読売新聞の「読者が選ぶ10大ニュース」投票のための資料情報なので使いやすい。しかし記事の選択にはいかにも読売新聞的なバイアスがかかっている。(もちろん前川さんのマの字も触れていない)

国内編

【1月】

韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦を象徴する少女像が設置る。政府は長嶺安政・駐韓大使と森本康敬・釜山日本総領事を一時帰国させた。

【2月】

安倍首相は10日、トランプ米大統領とワシントンで初の首脳会談を行った。沖縄県の尖閣諸島が日米安全保障条約5条の適用対象であることなどを共同声明に明記し、同盟強化の方針を確認した。

東芝、連結決算が4999億円の赤字になったと発表。8月に17年3月期の連結決算を公表し、最終赤字が9656億円に達したことが分かった。

【4月】

名護市辺野古沿岸部で埋め立て区域を囲む護岸の建設に着手した。県は7月、移設工事の差し止めを求め、国を相手取って提訴した。

宅配便最大手のヤマト運輸、個人向け宅配便の基本運賃を荷物一つあたり140~180円(税抜き)値上げすると発表。

【5月】

安倍首相、読売新聞紙上のインタビューで、自民党総裁として憲法改正を実現し、2020年の施行を目指す方針を表明した。

【6月】

テロ等準備罪創設を柱とした改正組織犯罪処罰法が15日、参院本会議で可決、成立した。

安倍内閣の支持率が前月比12ポイント減の49%に急落した。学校法人「森友学園」や「加計かけ学園」を巡る問題が響いた。

【7月】

東京都議選、「都民ファーストの会」が55議席を獲得し、都議会第1党となった。自民党は過去最低の23議席となり、歴史的惨敗を喫した。

稲田朋美防衛相、南スーダンPKOに派遣された陸上自衛隊部隊の日報を巡る問題の監督責任を取り、辞任した。

森友学園前理事長と妻を逮捕。補助金詐取容疑

【9月】

日産で無資格社員が検査。その後、スバル、神戸製鋼所、三菱マテリアルの子会社、東レの子会社で検査データの改ざんも次々と明らかになった。

【10月】

原子力規制委員会、柏崎原子力発電所6、7号機が新規制基準に適合していると判断し、事実上の合格証となる「審査書案」を了承した。

衆院選が22日投開票され、自民党が圧勝した。自民、公明の与党では計313議席となり、憲法改正の国会発議に必要な3分の2以上の議席を維持した。解散直前、小池百合子・東京都知事が希望の党を結成し、民進党は希望への合流を決定。小池氏が「排除」しようとした民進党内のリベラル系を中心に立憲民主党が結成され、民進党は分裂した。衆院選で立憲民主が野党第1党となり、小池氏は11月に希望の党代表を辞任した。

神奈川・座間のアパートで切断9遺体

【11月】

トランプ米大統領が初めて来日した。トランプ氏は安倍首相との会談で、北朝鮮への圧力を最大限まで高めることで一致。対日貿易赤字の是正に強い意欲を示した。

内閣府が9月の景気動向指数を発表。2012年12月に始まった景気の拡大期間が58か月になる。これは戦後2番目の「いざなぎ景気」(1965年11月~70年7月)の57か月を抜くもの。

みずほフィナンシャルグループ、26年度末までに従業員数を約1万9000人減らすなどの構造改革案を発表した。三菱東京UFJ銀行や三井住友FGも業務量を減らす方針。



国際編

【1月】

ドナルド・トランプ氏が第45代米大統領に就任した。環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱、イスラム圏7か国からの入国制限の大統領令に署名。2月にフリン大統領補佐官が辞任するなど政権幹部の辞任も相次いた。

ニューヨーク株式市場でダウ平均株価(30種)の終値が、史上初めて2万ドルを突破した。

【2月】

北朝鮮の金正恩委員長の異母兄、キムジョンナム氏がクアラルンプール国際空港で、神経剤VXで殺害された。

【3月】

韓国憲法裁判所、朴槿恵大統領の罷免を決定。韓国検察は31日、朴容疑者を収賄などの容疑で逮捕した。朴容疑者側への贈賄容疑などでサムスン電子のイジェヨン副会長が逮捕された。

英政府は欧州連合(EU)離脱を正式通知した。離脱日時は「2019年3月29日午後11時」と発表した。

【5月】

仏大統領選で、中道のエマニュエル・マクロン前経済相が、極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏を破り当選。6月の国民議会(下院)選もマクロン新党が圧勝した。

韓国大統領選で左派の最大野党「共に民主党」のムンジェインが勝利した。9年ぶりに保守から左派に政権交代した。

トランプがFBIのコミー長官を解任。コミー氏はトランプからロシア疑惑の捜査中止を指示されたと述べる。米司法省はモラー元連邦捜査局(FBI)長官を特別検察官に任命した。

英中部マンチェスターのコンサート会場で「イスラム国」による自爆テロ。ロンドン中心部では車が歩行者に突っ込むテロが相次ぎ、3月には英議会議事堂付近で5人が死亡、6月にはロンドン橋で8人が犠牲となった。

【6月】

トランプ米大統領は1日、中国などに有利な内容で「不公平」だとして、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から離脱すると表明した。

英国の下院選が8日、投開票され、メイ首相率いる与党・保守党が過半数割れし、事実上の敗北となった。

ロンドン西部の24階建て高層公営住宅で火災が発生し、死者は71人に達した。

【7月】

核兵器の使用や開発などを初めて法的に禁じた「核兵器禁止条約」が採択された。122か国が賛成、米英仏中露の核保有国や日本などは採決に不参加。採択に貢献した「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」は10月、ノーベル平和賞の受賞が決まった。

【8月】

ベネズエラでマドゥロ政権が新憲法制定に向けて立法機関の制憲議会を発足させた。7月末の制憲議会選は野党勢力が棄権し、マドゥロ氏派が全議席を独占。国会から立法権を奪った

ミャンマー西部ラカイン州で、バングラから流入したロヒンギャ人問題、難民60万人超に達する。ロヒンギャの過激派集団が警察拠点を襲撃したことが発端となる。

【9月】

北朝鮮が6回目の核実験。弾道ミサイル発射も相次ぎ強行

【10月】

米ラスベガスで銃乱射、58人死亡

米がユネスコ脱退方針通知。ユネスコの「反イスラエル的な姿勢」などを理由とする。

米軍が支援するシリアの民兵組織「シリア民主軍」が、「イスラム国」が「首都」とするラッカを完全制圧した。7月10日にはイラク政府軍がモスルの奪還を宣言した。

【11月】

ジンバブエで事実上のクーデター。37年「独裁」を続けたムガペ大統領が辞任
………………………………………………………………………………………………………………………


それで私の選ぶ十大ニュース(というよりトレンド)は

1.トランプの大統領就任 イギリスのEU離脱などポピュリズムの伸長

2.サンダース・コービン・メランション現象

3.耐え抜いた野党共闘路線 連合の策動の失敗

4.東京都議選での怒り 政治劣化の進行 

5.「好景気」の下、相対的貧困化と絶対的貧困化の同時進行

6.神戸製鋼などものづくり産業のモラル低下

7.内部留保の際限のない積み上げと租税回避への怒り

8.資源価格の低下と途上国の苦境

9.原子力規制委員会の堕落

10.核兵器禁止条約の採択






の作成中に、何度か国際人権規約の条文に関連して発言してきた。「三つの権利」に即した運動として世界の流れを把握する以上、その拠り所としての世界人権宣言と国際人権規約にも触れなければならない。
まずはその形成過程を具体的に振り返ることから、その分析を開始したい。そして国際連帯の中心的理論課題に据えた日本国憲法、すなわち憲法25条の形成過程とその歴史的意義、国際的貢献の可能性についても探っていきたい。

まず年表であるが、主として下記論文により作成した。
まず、あらあらのターミノロジー
国連で定められた人権に関する法体系は国際人権章典(International Bill of Human Rights)とよばれる。これは世界人権宣言2つの国際人権規約、市民的、政治的権利に関する国際規約への第一及び二選択議定書より構成する。
さらに人種差別撤廃条約、国際人権規約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約など23の人権関連条約が人権体系を構成する


1941年 ルーズベルト大統領、年頭教書で「4つの自由」を主張。言論の自由・信教の自由・欠乏からの自由・恐怖からの自由の四つ。大西洋憲章・国際連合憲章の基礎となった。第2次大戦に参戦するための論理建てとなる。
1944 大西洋憲章が締結される。1.全体主義国家における人権の抑圧が戦争に繋がったとの反省に立ち、2.「恐怖及び欠乏からの解放」と「生命を全うできる平和の確立」をうたう。
1945  国際連合が発足。同時に発効した国連憲章は、前文と第1条で基本的人権および基本的自由をうたう。

前文: 「われらの一生のうちに二度までの言語に絶する悲哀」を前提に、基本的人権と人間の尊厳及び価値と、男女の同権…をあらためて確認

第1条: 人種、性、言語、宗教による差別なく、すべての者の人権および基本的自由を尊重する
1946 国連経済社会理事会内に人権委員会が設立される。国連憲章の具体化のため、単一の国際人権章典の作成を目指す。
1947年 第 4 回経済社会理事会、国際人権章典起草のための委員会を設け、5大国+豪、チリ、蘭を委員国に選出。
1948.12.10 国連第3回総会で「世界人権宣言」(Universal Declaration of Human Rights)が先行・採択される。条約ではなく,「人権に関し諸国家が達成すべき共通の基準」を示したもので、法的拘束力を持たない。東側諸国とサウジ、南アが棄権。

 「すべての人間は、生まれながらにして尊厳と権利とについて平等である」(第1条)

「人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治その他の意見、国民的もしくは社会的出身、財産、門地その他の地位によるいかなる差別」も認められない(第2条)
3条~21条: 市民的、政治的権利
22条~27条: 経済的、社会的、文化的権利

1950年 第5回国連総会、規約草案には市民的及び政治的権利に加え社会権と男女平等の規定を含めることを決定する。また「世界人権宣言」の発表された12月10日を国際人権デーに指定する。
1951年 第6回国連総会、人権規約内容の膨大化に対応するため、A規約(経済的、社会的及び文化的権利)とB規約(自由権)に分割することで合意。ソ連などの諸国は、社会権と自由権に分けず1つの条約とするよう主張。
1954 第10回人権委員会、A、B両規約からなる第一次案の起草を終える。草案は国連第10回総会に提出される。その後国連総会第3委員会での逐条審議が続く。
1959年 児童の権利宣言が採択される。
1961年 世界人権宣言の趣旨を広げる国際民間団体としてアムネスティ・インタナショナルが結成される。
1965年 「人種差別撤廃条約」が締結される。
1966年12.16 第21回国連総会、国際人権規約を採択。

規約は

(1) 経済的社会的及び文化的権利に関する国際規約,
(2) 市民的及び政治的権利に関する国際規約,
からなる。
(1) はA規約、あるいは社会権規約と略される。
(2) はB規約、あるいは自由権規約と略される。
第1条は両規約共通で「人民の自決権」規定を置く。
自由権規約に関連する選択議定書がある。
1976年 国際人権規約が発効。
1979年 女性差別撤廃条約が締結される。
1979年 日本、国際人権規約を批准。ただしA規約中、公休日の給与支払い、スト権、高等教育の無償化の3点を留保。自由権規約の個人通報制度を定めた第1議定書を先進国で唯一批准していない。
1989年 子どもの権利条約が採択される。

第6条: すべての子どもは、生きる権利をもっています。国はその権利を守るために、できるかぎりのことをしなければなりません。

1989年 死刑廃止を目指す第2選択議定書が採択される。
2006年 国連人権委員会が人権理事会に改組される。
2012年 社会権規約第13条「中等教育及び高等教育の漸進的無償化について」の留保の撤回を閣議決定。(この時点で留保国は日本、マダガスカル、ルワンダの3カ国)


参考
1) 人権宣言(1948)の社会権(第22条から27条まで)の一覧
社会保障を受ける権利
働く権利、同等の勤労に対し同等の報酬を受ける権利、労働組合を組織し、これに参加する権利
休息および余暇を持つ権利
健康と福祉に十分な生活水準を保持する権利
教育を受ける権利
社会の文化生活に参加する権利
2) A規約(社会権)の第6条から15条
①労働に関する権利 第6条~第8条
②社会保障などに関する権利 第9条~12条
③教育・文化に関する権利 第13条~15条
この中の第11条が「相当な生活水準の享受に関する権利」となっている。
社会権には生存権(より基本的な)はふくまれない。市民的権利(自由権)のトップに「生存、自由、身体の安全に対する権利」が掲げられているが、ここでは生存権は自由権としてあつかわれる。

3) ワイマール憲法第151条第1項(1919年)「経済生活の秩序、経済的自由」
経済生活の秩序は、すべての人に、人たるに値する生存を保障することを目指す正義の諸原則に適合するものでなければならない。各人の経済的自由は、この限界内においてこれを確保するものとする。
4)憲法草案 GHQ案(46年2月)第24条 
法律は、生活のすべての面につき、社会の福祉並びに自由、正義および民主主義の増進と伸張を目指すべきである
5)憲法草案 政府案 第23条
法律は、すべての生活部面について、社会の福祉、生活の保障、及び公衆衛生の向上及び増進のために立案されなければならない

 

スライド1
チラシ

  

本日は発言の機会をいただきまことにありがとうございます。

この講演会の主催は「憲法を考える札幌市民集会実行委員会」です。その連続講演会の4回目の会議として本日の話が位置づけられております。」

これが本日の講演会のチラシです。立派なものを作っていただきありがとうございます。


スライド2

チラシの文脈では

Ⅰ 世界の平和の流れと憲法9条

Ⅱ 北朝鮮の核開発をどう見るか

Ⅲ 平和と安全に関する法体系のあり方

Ⅳ ラテンアメリカの平和への動き

…北朝鮮問題への国際的な視点を考察し、平和と安全の問題を考える…

 


 

チラシの文句を並べるとこういうことになります。

チラシの中味だとけっこう話が拡散しています。

どうしたら聴衆の皆さんの興味を拡散させずに話をまとめることができるかどうか、考えあぐねているところもあります。

とりあえずは、国際情勢をめぐるさまざまな話題を、究極的には日本国憲法に引きつけて、整理して行くようにと考えています。

これでは広すぎる、とりあえず一点に絞る


国際的な連帯運動の到達を踏まえ、憲法(とりわけ9条)の意味を考える

一応、このような方向で話しさせていただくということで、あらかじめご承知の上で聞いていただけるとありがたいと思います。

これはある意味で学ぶ活動だといえます。

もう一つだいじなのは、日本の護憲平和の運動を国際的に意味づけし、世界につなげる活動ですが、これは後で考えていきます。

皆さんのご期待と少し外れるかもしれませんが、ご容赦願います。

 


スライド3

21世紀型連帯運動の特徴

「国際的な連帯運動の到達」の意味するもの

1.すべての国際連帯の課題が、わたしたち自身の闘いと分かちがたく結びついている

中東・アフリカの平和の問題は、日本の憲法改悪の問題と結びついている。

わたしたちの運動は世界の運動と結びついたときに大きく発展する。

2.平和の課題だけではなくすべての闘いが連帯抜きに語れなくなっている

反TPP・反原発の闘い、超国家企業・投機資本との闘い、反共ポピュリズムとの闘い

響き合う各国の闘い(特にこの問題に触れたい)

 


 

スライド4

003年 イラク反戦ウエーブ

 

 2月14日~15日の24時間で世界で1千万人がデモに参加した。その多くはインターネットによるものだった。

オーストラリア(人口1千8百万人)では、2月14日にメルボルンで25万人、16日にシドニーで25万人のほか、アデレイド、ブリスベンでそれぞれ10万人など、総計75万人がイラク反戦集会・デモに参加した。

翌15日、ヨーロッパ諸国で空前の巨大な規模の闘いが爆発した。イタリアのローマでは300万人、1都市としては最大の反戦デモが行われた。
スペインでは全国で総計4百万とも5百万とも言われる人びとが街頭を埋め尽くした。マドリードで200万人、バルセロナで150万人、全スペイン国民の10人に1人が反戦闘争に参加したのだ。
ロンドンで200万人、パリで80万人、ベルリンで50万人など、かつてない規模の反戦集会・デモが開催された。

最後の大ウエーブは戒厳態勢下のニューヨークで巻き起こった。デモが禁止されたが75万人が参加した。最後のサンフランシスコでは25万人、市民の3分の1が参加した。

 

写真省略

 


 

スライド5

21世紀型連帯運動の三つの分野

21世紀型連帯運動は3つの分野に広がっている

Ⅰ 反軍事主義・平和構築のための闘争と連帯

Ⅱ 反貧困・反格差・経済民主主義を目指す闘争と連帯

Ⅲ 反ファシズム・立憲主義と民主主義を守る闘いと連帯

この3つの課題は

Ⅰ 平和に生きる権利

Ⅱ 人間らしく生きる権利

Ⅲ 自由に生きる権利

をめぐる課題、と言いかえることもできる。

(これは私の自慢の表です) 

 


スライド6

第Ⅰ分野 反軍事主義・平和構築のための闘争と連帯

21世紀の戦争は、大小の覇権思想とこれに対する報復が軍事主義の悪循環を形成して拡大してきた。

軍事主義とは何か

紛争の解決を国際法・国際的道義と国際機関を通じた合意によらず、軍事力(脅迫)で解決しようとする政治手法である。

覇権思想と軍事主義の2つを食い止める。とくに軍事主義の手を縛ることで平和の構築に向けて歩みださなければならない。

A) 中東における大小の覇権思想と軍事主義

B) 「新しい北東アジア」の構想を推進する

C) ラテンアメリカにおけるアメリカ覇権主義の危険な動向

D) 核兵器禁止条約の締結がもたらしたもの

E) 日本の平和主義国家から軍事主義国家への変貌を許さない

A) ~ E) それぞれが広範な内容をふくんでいるので、ここでは触れない。(「新しい北東アジア」の構想は後で触れる)

 


スライド7

国際テロリズムとの闘い

21世紀の戦争は、大小の覇権思想とこれに対する報復が軍事主義の悪循環を形成して拡大してきた。

国際テロリズムとは何か

大量破壊、暗殺、略取誘拐により政府の行動に影響を与える行動。とくに民間人(ソフトターゲット)に対する無差別攻撃が問題となる。

多くの場合、民族的迫害に対する歪んだ(絶望的)報復行動となっていることが多く、異端的宗教活動を背景とする狂信に支えられている。

土台となる闘い

軍事的報復思想の発生母体を崩し、平和の構築に向けて歩みださなければならない。この課題は反貧困・反格差の課題と、ある程度重複することになるだろう。

1.資源問題などでの富裕層の国際的な横暴を抑えること

2.領土問題などを利用する大小の覇権主義の芽を摘み取ること

3.民族差別を煽る極右・反動勢力の台頭と闘うこと

当面の対応

当面、国連などの国際協力を通じて、

1.異文化理解の強化 

2.貧困の削減と飢餓の根絶 

3.難民の受け入れと支援 

4.非軍事支援の強化

を推進していかなければならない


スライド8

第Ⅱ分野 反貧困・反格差・経済民主主義を目指す闘争と連帯

A) グローバリズムと経済問題の深刻化

1.ビッグバン 金融自由化: 投機資本の市場撹乱

2.リーマンショック: レバレッジの仕掛けが世界を壊す

3.租税侵食: 超国家企業の出現と国家財政の破綻

基層をなすのは先進国における産業空洞化、労働の不安定化、マーケットの狭小化

B) 格差問題は世界で深刻化している

1.アントニオ・ネグリ「帝国」 2003年

途上国国民の貧困化と流民化

2.ピケティ「21世紀の資本」 2013年

先進国の空洞化と格差拡大。

C) 人間らしく生きる権利が侵害されている

生存権とは、もっとも簡潔に言うと、人間が人間らしく生きる権利のことである。それは「人間らしく生きる」ことを可能にする国家の義務である。

国際的には、国際人権規約のうち、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(A規約)が相当する。(A規約については別途検討)


スライド9

欧米の社会変革の動きとの響き合い

A) 2011年 反失業青年行動 

リーマンショック→欧州金融危機→PIGSの債務危機→財政引き締め

チュニジア青年失業者の自殺→アラブの春→スペイン、ギリシャの青年行動→ウォール街占拠闘争→アメリカでの最低賃金引き上げ運動

日本では東北大震災のため連動しなかったが、反原発闘争、非正規就業反対・ブラック企業告発で盛り上がる。

B) 2016年 各種選挙での躍進

ギリシャでの反緊縮政党(元共産党)の勝利→スペインでのPODEMOSの前進→サンダース現象→イギリス総選挙でのコービン現象→フランスでのメランション現象

日本でも野党共闘が大いに盛り上がった。さらに揺るぎないものにするためには、青年・学生・若ママ・非正規の要求を組み上げることがだいじだ。


スライド10

格差問題是正のために何をなすべきか

1.税制改革、財政改革、働き方改革の「3つの矢」

1.税制改革: 税制を改革し、所得再配分をすすめる。「能力に応じて負担する、公正・公平な税制」の原則。

①間接税から直接税へのシフト、②大企業優遇税制の抑制、③租税回避を許さない、④世界的な「法人税引き下げ競争」の見直し。

2.財政改革: 積極的な公的社会支出(社会保障、教育・研究、子育て)で格差と貧困を是正する。

3.働き方改革: ①労働規制の強化、②非正規から正規へ、「均等待遇」「同一労働同一賃金」の原則を打ち立てる。③大幅賃上げと最賃引き上げなどによりワーキングプアをなくす。


2. 富裕層は強大だ

わずか1%で99%の人たちを支配できる。そのくらい富裕層は強力なのだ。だから99%が本当に力を合わせなければ、この仕組みを打ち破ることはできない



スライド11

21世紀型連帯運動の三つの分野

そのⅢ 自由に生きる権利を守る闘いと連帯

1.立憲制とリベラリズム

政治的自由は、国家における民主主義の根幹をなすものである。政治的自由を支えるものとしての「立憲主義」の根幹性は、この間の運動の中で明らかになっている。

1.支配者の恣意による専制支配: 人治政治

2.法による支配: 法治主義(法定主義)

3.立憲主義政治: 国家原則(憲法)に権原を由来する政治

4.共和制国家による支配: 主権在民を前提とした民主主義のシステム

1→4の順に国民の自由度は高まる。これは人間の歴史の中で築き上げられてきたものである。

2.民主主義はリベラルでなければならない

シェリ・バーマンはポピュリズムは反リベラルではあるが、反民主主義ではないという。

これは明らかに誤りだ。ポピュリズムには多数決主義はあっても、自由権(批判的・異端的)を恣意に委ねない保障はない。それは近代的民主主義ではない。

3.立憲政治を民主主義の基礎としたのは戦争法反対闘争の成果

まだいろいろ議論が必要だが、「立憲主義」とリベラリズムを民主主義の前提条件と位置づけたのは、日本の護憲闘争の理論的成果である。

  


スライド12

国際的な連帯運動の到達を踏まえ、憲法(とりわけ9条)の意味を考える

Ⅰ 反軍事主義・平和構築のための闘争

憲法前文と憲法9条 非戦条項の実効性を証明した功績

平和国家としてのプレステージ(まったく生かされていないが)

Ⅱ 反貧困・反格差・経済民主主義を目指す闘争

憲法25条の先進性

Ⅲ 反ファシズム・立憲主義と民主主義を守る闘い

「憲法は、個人の尊重が目的とされ、人間らしい生活を保障するもの」という教訓

憲法擁護はリベラリズムの核心であり、近代民主主義の第一歩

 

最後にもう一度

「国際的な連帯運動の到達」の意味するもの

1.すべての国際連帯の課題が、わたしたち自身の闘いと分かちがたく結びついている

中東・アフリカの平和の問題は、日本の憲法改悪の問題と結びついている。

わたしたちの運動は世界の運動と結びついたときに大きく発展する。

2.平和の課題だけではなく、すべての闘いが連帯抜きに語れなくなっている

反TPP・反原発の闘い、超国家企業・投機資本との闘い、反共ポピュリズムとの闘い

響き合う各国の闘い(特にこの問題に触れたい) 

前の記事
2017年11月18日 

 とあわせお読みください。



を書き始めたのだが、どうにもまとまらない。書くための材料が何か決定的に欠けているような気がして仕方がない。

1週間悩みに悩んで得た結論が二つある。
A)憲法25条の「生存権」は、胸を張って生きていく権利
一つは「生存権」が意味のある生き方をおくる権利だとすれば、それが拒否するのは貧困一般ではなく貧富の差であり、貧富の差が生み出す「差別を伴う格差」だということだ。
貧富の差そのものが差別を生み出す。これは倫理を介在するものではない。月給10万の人は、誇りを傷つけられずに月給100万の人とともに暮らすことは不可能であろう。
格差そのものが生存権の侵害であり、これは慈善ではいかんともしがたいことだ。そういうものとして「生存権」を捉えなければならないということだ。
それで、そこまで踏み込んで条文化したのが日本国憲法の25条だということだ。これは「人を餓死させてはならない」という条文ではない。人口の少なくとも過半数を占めているのは相対的な貧困層なのだから、その人達が胸を張って生きていける社会を作らなくてはならないというのが法律の趣旨だ。
少し調べてみたが、ここまで明確に人間が人間らしく生きていく権利の権利性を文章化した条文はないように思える。国連人権規約が登場するまでは、世界でもっとも進歩的な条文ではなかったか、と思っている。

B) 日本型立憲主義の主張と「自由主義思想」の再評価
もう一つは、近代民主主義の基層をなすものとしての自由主義思想の受け止めである。
これは、一昨年の戦争法反対運動の中でにわかに巻き起こり、いわば「民主主義的立憲主義」という形で民主運動の中に定着しつつある。
この立憲主義の思想的裏付けとなっているのが自由主義思想(リベラリズム)である。リベラリズムは産業資本主義のバックボーンとなってきた思想である。ところがこれが冷戦体制の中で資本主義諸国のブランドマークとして利用され、反動政策を覆い隠すために利用されてきたため、進歩的運動野では比較的軽視されてきた。
冷戦体制が崩壊し、資本主義対社会主義、民主主義対自由主義というレッテルの張り合いが無意味になったいま、もう一度自由主義思想を民主主義の基層に位置づけ直すことが運動論の形成の上で不可欠になっている。
それは安倍政権の対米依存強化と軍事力主義への傾斜を食い止める上でも不可欠の思想となっている。またトランプを筆頭とするデマと民衆扇動によるポピュリズム(ニセ民主主義)の論理を打碎くためにも必須の論理である。
率直に言えば、諸外国では日本ほど徹底したソ連型政治システムへの批判が行われていない。したがってリベラリズムを偉大な正統な歴史遺産として受け止める雰囲気は形成されていない。
しかしリベラリズムの伝統の上にデモクラシーを構築しなければ、近代民主主義は語れないのである。逆説的に言えば、日本の憲法を守る運動はそういう理論的地平を切り開いたのであり、このことは大いに確信を持つべきだろうと思う。

この2つは、憲法9条を守る運動に勝るとも劣らない、日本の民主運動の世界的功績であろうと思う。

国際連帯の課題と現状

数年前から痛感しているのだが、あれこれの闘いを取り上げてもそれだけで連帯の課題は見えてこない。

すべての国際連帯の課題が、わたしたち自身の闘いと分かちがたく結びついている

これが21世紀型連帯運動の特徴なのではないか。

そう思って書いたのが、今年2月の総会への情勢報告だった。


国際連帯の三つの課題

(国際連帯の課題と現状  続き)

報告の構成は以下のようになっている。

Ⅰ 反軍事主義・平和構築のための闘争と連帯

Ⅱ 反貧困・反格差・経済民主主義を目指す闘争と連帯

Ⅲ 反ファシズム・立憲主義と民主主義を守る闘いと連帯

この3つの課題は

Ⅰ 平和に生きる権利

Ⅱ 人間らしく生きる権利

Ⅲ 自由に生きる権利

をめぐる課題、と言いかえることもできる。

 


Ⅰ 反軍事主義・平和構築のための闘争と連帯

21世紀の戦争は、大小の軍事主義とこれに対する報復が悪循環を形成して拡大してきた。

この2つを食い止める、とくに軍事主義の足を縛ることで平和の構築に向けて歩みださなければならない。

A) 日本の平和主義国家から軍事主義国家への変貌を許さない

B) 「新しい北東アジア」の構想を推進する

C) 核兵器禁止条約の締結がもたらしたもの

D) 平和のための4つの方向と4つの実践課題 

A) B) C) それぞれが広範な内容をふくんでいるので、ここでは触れない。

D) についてのみ、触れておく。


Ⅰ 反軍事主義・平和構築のための闘争と連帯

(続き)

A) 日本の平和主義国家から軍事主義国家への変貌を許さない

B) 「新しい北東アジア」の構想を推進する

C) 核兵器禁止条約の締結がもたらしたもの

D) 平和のための4つの方向と4つの実践課題 それぞれが広範な内容をふくんでいるので、ここでは触れない。

A) B) C)

D) についてのみ、触れておく。

 


 

反軍事・平和擁護の闘い(続きの続き)

21世紀の戦争は、大小の軍事主義とこれに対する報復が悪循環を形成して拡大してきた。

この2つを食い止める、とくに軍事主義の発生母体を崩し、足を縛ることで平和の構築に向けて歩みださなければならない。

この課題は反貧困・反格差の課題と、ある程度重複することになるだろう。

1.資源問題などでの富裕層の国際的な横暴を抑えること

2.領土問題などを利用する大小の覇権主義の芽を摘み取ること

3.民族差別を煽る極右・反動勢力の台頭と闘うこと

を土台としつつ

当面、国連などの国際協力を通じて、

1.異文化理解の強化 

2.貧困の削減と飢餓の根絶 

3.難民の受け入れと支援 

4.非軍事支援の強化

を推進していかなければならない

 


Ⅱ 反貧困・反格差・経済民主主義を目指す闘争と連帯

A) 格差問題は世界で深刻化している

B) 欧米の社会変革の動きとの響き合い

C) 格差問題是正のために何をなすべきか

1.税制改革: 税制を改革し、所得再配分をすすめる。「能力に応じて負担する、公正・公平な税制」の原則。①間接税から直接税へのシフト、②大企業優遇税制の抑制、③租税回避を許さない、④世界的な「法人税引き下げ競争」の見直し。

2.財政改革: 積極的な公的社会支出(社会保障、教育・研究、子育て)で格差と貧困を是正する。

3.働き方改革: ①労働規制の強化、②非正規から正規へ、「均等待遇」「同一労働同一賃金」の原則を打ち立てる。③大幅賃上げと最賃引き上げなどによりワーキングプアをなくす。

D) 貿易と投資のルール作り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


Ⅰ 三人の老政治家が注目される理由

この1年の間にアメリカ大統領選挙、イギリス総選挙、フランス大統領選挙という注目すべき選挙戦が展開された。

この3つの選挙で、3人の老政治家が大活躍して注目を受けた。それはアメリカのサンダース、イギリスのコービン、そしてフランスのメランションである。

それぞれの個別の特徴は別にして、眼につく共通点は、彼らが一貫して左派リベラルの立場を守ってきたこと、彼ら自身は老人であるにも関わらず、若者の熱狂的支持を受けたことである。

彼らを支えたのは左派連合であると同時に老青連合でもあった。とくに青年のイニシアチブが際立っている。

青年層が老政治家を支えて立ち上がった理由には大きく言って3つあると思う。

A) 貧困化と格差拡大

「格差問題」は、富裕層への富の集中、中間層の疲弊、貧困層の拡大という3つの状況の複合である。さらに「板子一枚下は地獄」という不安感が社会的緊張(ゆとりのなさ)を招いている。

これは決して昔からのものではない。80年代にレーガン大統領が独占資本優位の経済政策を取り始めたからだ。最高税率を28%まで引き下げられた。最低賃金を抑え続けた。最低賃金はインフレによって目減りした。「69年は時給11ドル近かったが、2016年は7ドルだ」(ピケティ)

新自由主義は決して経済の必然ではない。アメリカの独占資本が利益を上げるために、国内外の人々に押し付けたルールの結果なのだ。だから変更することは可能なのだ。

B) 青少年の未来の喪失

格差問題が政治化する最大の理由は、中間層の疲弊と没落である。それは能力がある多くの青少年から未来を奪っている。

高すぎる奨学金、高学歴でも就職できない悩みが青年のあいだに広がっている。

「人口の1%の最富裕層のための政治ではなく、99%のための政治」はウォール街占拠運動のスローガンであるが、いまや世界の青年の共通のスローガンとなっている。

C) 民主主義の危機

格差の拡大の中で、政治的平等、法のもとでの平等の原則は大きく揺らぎつつある。その結果、民主主義に対する信頼が損なわれ、言論に訴えるよりも一過性の情緒に流される傾向が強まっている。

ヨーロッパでは深刻な経済危機のもとで、移民排斥を主張する極右派の台頭という事態も起こっている。

これに対し、民主主義を守る闘いが格差問題と結びつ来つつある。それは今回のフランス大統領選挙でもっとも典型的に示された。メランションは言う。「どんな問題でも解決策はある。それは民主主義だ」

すなわち格差問題も貧困問題も、「民主主義」を通じてしか解決できない。だから民主主義は何よりも大切なのだということを示している。

これらの論点について、三人の老政治家の認識は共通すると言ってよい。


Ⅱ なぜ老政治家が若者の心を捉えたか

A) 今の世の間違いが分かる世代

とはいえ、若者の心を政治に反映させるのには、若者自身が立候補するのが一番良いはずだ。なぜ老いぼれ政治家に自分たちの夢を託すのか。

率直に言えばよく分からない。例えばスペインやギリシャではみずからの世代の代表を議会や政府に送り込んでいるからだ。

ただ若者たちだけで戦えば、勢いだけで行けるあいだはいいが、高齢者や組織労働者などへの食い込みは難しい。ただ戦闘的なだけでなく安心感を与えることも必要だ。
選挙戦が白熱すれば、他党派との切り結びや戦略的思考が不可欠となるが、若者にはそれだけの修羅場経験がない。

そういう色々なことがあって戦略的に判断したのではないかと思われる。逆に言えば、青年の政治意識がそこまで熟度を増しているということだと思う。

その際の最大の選択基準が「ぶれない政治家」ということだろう。

B) 老青連合がお互い必要という事情

その他にも特徴がある。非エリートであること、党派性が薄いことなど、いずれも若者にとって「お神輿として担ぎやすい」要素を持っている。コービンの場合は2大政党の一つである労働党の党首ではあるが、議会内では少数派であり、一般労働党員の力のみが頼りである。これは逆に言えば政策的フリーハンドを握りやすいという利点にもなっている。

こういった戦略はおそらくサンダース陣営に乗り込んだ若者たちの発想であろうと思われる。しかしそれは巧まずして、世の中の空気にぴったりマッチした。

老青連合路線は教訓化され、それがイギリスにも持ち込まれた。そしてコービンの成功は、教訓としてフランスにも持ち込まれたのであろう。

日本においても、老青連合の凄まじい推進力とc破壊力はこの間試されずみの教訓となっている。


最近ポピュリストないしポピュリスムという言葉をよく耳にする。
ルペンまでふくめてポピュリストと一括する表現は、ラテンアメリカの歴史をやってきた人間としては、ひどい違和感を覚える。
20世紀の前半、ラテンアメリカをポプリスモが席巻した。それはカリスマによって歪められているとは言え、民衆の要求と抗議を反映したものだった。そこには激しい階級闘争があった。それがドイツ、イタリアではニセのポピュリスト=ファシストによって騙し取られたのだ。
その違いは言っていることにあるのではなく、「やっていること」にある。というより「やろうとしないこと」にある。それは、激しい言葉を使えば、「収奪者を収奪すること」である。
所得の再分配なしに財源を生み出すことはできない。内需が拡大しなければ再投資→経済成長へのインセンティブも生まれない。それを行わずにばら撒き経済を行えば、やがて財政は破綻し経済成長は停滞し雇用は失われる。
その時彼らは、海外市場への強引な進出と経済の軍事化(浪費の構造化)へとスイッチを入れ替えるのである。
ポピュリズムは、個別には破綻すればそれで一巻の終わりだが、ファシズムには財界がついている。必要とあれば暴力を使ってでも反抗勢力を押さえ込む。ファシズムにとっては独裁制が必然の帰結となる。
ポピュリスムは空文句で煽るだけだが、ファシズムは思想を押し付ける。カラ文句にだまされない人を排除し抹殺する。こうしてファシズムは愛国思想と選良思想、好戦思想を柱とする「原理主義」となる。

これがファシズムである。

なぜファシストをファシストと呼ばないのか。なぜ「極左」と並列するのか。そこには民主主義への軽蔑と、ファシズムへの警戒感の鈍化があるのではないか。自戒せよ。

フランスの大統領選挙は、結局白か黒かの決着なので、その意味を探るのは難しい。だからポピュリスト対リベラルみたいな括りも出てきてしまうのだが、議会選挙の結果と合わせて読むともう少し分かってくる。
フランス議会選挙の総括はもう少し勉強してからのことにして、アメリカ、イギリス、フランスの選挙を通じて見えてくる世界の動きについて、感想を述べておきたい。
1.“国栄え、民栄える”思考の後退
最大のトレンドは、“国栄え、民栄える”思考の明らかな後退だ。
19世紀後半から、世界中が“国栄え、民栄える”思考の中にズッポリはまってきた。その結果として二度にわたる世界大戦がもたらされ、その副産物として原水爆という悪魔的兵器が生み出された。
第二次大戦後に作られた自由貿易体制は、本来は世界は平等なひとつの家族という考えを表現したものである。
そこで“世界栄え、民栄える”という画期的な考えが初めて打ち出された。
しかしそれはアメリカの圧倒的な経済的・軍事的な優位を背景にもたらされたものであった。だから表面的には世界平等主義であっても、アメリカの許す範囲での世界主義であった。
この矛盾は当初より緊張をはらんだものであったが、ベトナム戦争を経てアメリカの全一的支配が破綻すると、複雑でぎくしゃくとしたものとなった。
アメリカ自身が「強いアメリカ」を主張するようになると各国もそれに倣い、“国栄え、民栄える”思考が復活しつつあるようにみえる。
2.“国栄え、民栄える”思考のもたらしたもの
しかしこの時代遅れの思考は、それを主張する国家(アメリカをふくめ)にとって利益を生み出さなかった。そしてますますその弊害が誰の眼にも明らかになっている。国が栄えて栄えるのは超富裕層であり、民はますます衰えるのが現実の姿だからだ。
“世界栄え、民栄える”という考えが、あらためて見直されている。
世界中の人々は国がどうであろうと、世界がどうであろうと、民が栄えることを望んでいる。同時に民を不幸におとしいれるような国も、世界も望んでいない。
人々は、国が栄えることを前提とした民の繁栄という路線に疑問をいだき始めている。そして民が栄えるような国の、別のあり方を求めている。それは“世界栄え、民栄える”型の国家への移行だ。
3.“超富裕層栄えて民栄える”か?
いま超国家的な超富裕層が国を屈服させ、民を不幸へと追いやっている。国家はかつての植民地の現地機構のように、超富裕層に隷属し国民収奪の道具となっている。
「強いアメリカ」、「強いイギリス」、「強いフランス」のスローガンはもはや人々の心に響かない。それらは、国家よりもっと強い超国家企業・超富裕層をどうするかという問題に答えていないからである。
この21世紀的枠組みに立ち向かっていく政府が、民を栄えさせる政府(いまは可能態にすぎないが)である。それが世界で同時多発的に立ち上げられる必要がある。
そしてその可能性がこの3つの選挙でしめされた。ここに最大の意義があると、私は思う。

今世紀の初頭、世界の人々が高らかに宣言した「もう一つの世界は可能だ」のスローガンを、我々は想起すべきだ。そして共通する目標として、“世界栄え、民栄える”を掲げるべきだ 

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