鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

13年4月、ぷらら・Broachより移行しました。 中身が雑多なので、カテゴリー(サイドバー)から入ることをおすめします。 過去記事の一覧表はhttp://www10.plala.or.jp/shosuzki/blogtable001.htm ホームページは http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」です。

カテゴリ: 03 日本経済

カジノ法がひどいことになっているのだが、反対論の中にアメリカからの圧力を指摘した文章が少ない。
下記は赤旗からの引用だが、だいじな情報と思われるので紹介しておく。
要するにカジノとTPPは同根なのだ。その上にトランプの登場があって、ますます激しく尻尾を振っているわけだ。実に見苦しい。

これはTPP、とりわけISDS(投資家対国家紛争解決条項)の解釈をめぐっては死活的な課題となる。
この点に関して共産党の山添参院議員が鋭い質問を行っている。
TPP ISDS訴訟・損害賠償の実例  山添拓
11月16日でやり取りが視聴できる。(ただし、このYou Tubeには下記のやり取りはない)
条約だから、国内の司法を越える部分があるのは当然ではあるが、利害が真っ向からガチンコしたときどうなるか。
これが大問題になっているのがエクアドルで起きた出来事。
エクアドルで石油採掘を行っていたシェブロン社が不採算を理由に撤退した。それまでアマゾンのジャングル地帯で原油を垂れ流し続けていた。いまも環境汚染は続いている。これに対しエクアドルの地方裁判所が損害賠償を命じる判決をくだした。
シェブロンはこれを不服として国際仲裁裁判所に提訴した。仲裁裁判所はシェブロンの訴えを認めエクアドルの地裁判決を無効とし、効力の停止を命じた。これが認められると、エクアドル政府はシェブロンの撒き散らした環境汚染の尻拭いをしなければならなくなる。それどころか、シェブロンは不当に訴えられたことに対する高額の賠償金をエクアドル政府に要求している。
なんとも理不尽な話だ。
山添議員は日本において同様の事態が起きた場合、政府としてどうするのかを問いただした。
石原TPP担当相の答弁は明確だ。
条約を遵守する立場から、仲裁判断に従う
ということだ。つまり日本の司法権は国際仲裁裁判所の判断に対して劣位に位置づけられるということだ。これが最高裁の判決であっても原則は変わらない。
金田法務大臣は、異なる見解を、控えめに述べた。
日本政府が仲裁判断に従わず、投資家が強制執行をもとめた場合、国内裁判所が「公序良俗違反」などを理由に仲裁判断を覆すこともありうる。
間に立った岸田外相は次のような見解を述べた。
国際仲裁裁判所の仲裁裁定の趣旨と、国内裁判所の判断の双方を踏まえた代替的な対応を図る。これにより、ISDS手続きを無意味にしないようにする。
一見、中立的な意見のようだが、最後の結論は「ISDS手続きを無意味にしない」ことであり、そのために「代替的な対応を図る」ということだ。つまり石原担当相と基本的な立場は変わらないことになる。

この見解がもたらすのは多国籍企業の乱訴だ。現に世界中で起きている。そのうちのいくつかは彼らの勝利に終わっている。
これに対して国内の司法判断は無視され、国家の独立の柱である司法の独立は否定されることになる。
きわめて重大な発言であり、しかも閣内不一致である。統一見解が必要だ。

「内部留保論」の混乱について

いま日本では巨大な内部留保が積み上がる一方、国民の暮らしはますます悪化し、将来不安が増大しつつある。

このような状況を打開するためには、内部留保の過剰な積み上げをやめ、内需の拡大に向けて財を移さなければなりません。

これは社会・経済的な視点から見れば当然の視点です。しかもこの2つが一つのトレンド(新自由主義)というコインの両面をなしていること、両者にはトレードオフの関係があることも明らかです。

しかし、この間大企業側からの執拗な論争により、これらの当然の主張が途方もない妄想であるかのような雰囲気が形成されてきています。

とくにそれが「因果関係論」であるような論点のはぐらかし、企業論理が社会の論理であるかのようなすり替え、定義をあいまいにした上で正反対の結論を導き出すような詭弁が相次いでいます。

そのスペクトルは、「必要悪」的な慎ましいものから「必要>>悪」になり、最悪の場合は「必要だから即ち善」と開き直るものまでさまざまです。

そして「論争」を公正に判断する第三者のふりをした、事実上の内部留保弁護論という変化球も投げつけられています。

もちろん、肝心なのは内部留保そのものではなく、野放図に内部留保が積み上がっていく仕掛けなのであって、これにメスを入れない限り、問題は解決しません。

しかし、そのためには、国民経済的に見て内部留保の異常な積み増しが決して良いことではない、「必要<<悪」という、当たり前のことから出発しなければならないでしょう。

論争にあたっては内部留保の中核をなす当座預金・普通預金から出発するべきです。マネーゲーム的な投資である株、債券、不動産についても基本的には同様の判断をとるべきです。ファンド的展開については具体的・個別的な判断が必要でしょう。

海外資産については、租税回避問題と絡んでくるので、今後の理論展開が待たれるところです。私はこの点に関してはリバタリアン的・原理主義的な所得税・直接税論者なので、納得できる主張を期待しています。


本日の赤旗から、安倍首相就任以来の経済指標の変化がまとめてある。
この中で憶えておいたほうが良い数字を上げておく。
年をとると記憶力が落ちてしまうが、これくらいは憶えておいても良いのではないか。
1.内部留保 265兆から300兆へ。40兆円増加。
2.法人実効税率 37%から30%へ7%削減。
3.上位40人の資産合計 7兆円から15兆円へ2.1倍化。
4.金融資産ゼロ世帯 26%から31%に、5%の増加。
とくに3.はあまりにひどい。消費税の3%引きげ分を40人で食ってしまった計算だ。
これでは内需は落ち込む一方だ。アベノミクスの本質が逆噴射にあることが、これほどはっきりする数字はないだろう。

赤旗労働面に面白い記事があった。

「最賃アップ 俗説 退治  米労働省HP」というもの。

外信の紹介ではなく、自社記事のようだが署名はない。

これは米国の労働省の公式ホームページの記事を紹介したもので、元の題名は「最低賃金伝説バスターズ」となっている。見出しとしてはこちらのほうがキャッチーである。(元ネタは日弁連貧困問題対策本部の訪米調査団が米労働省で発掘してきたパンフレットらしい)


とりあえず記事の紹介。

米国の労働省はオバマ政権の最低賃金引き上げ政策を支援している。運動をすすめるために、最賃の引き上げに反対する「俗説」(デマ宣伝)を否定する解説を掲載している。これが「最低賃金伝説バスターズ」というコーナーだ。

一問一答形式になっているようで、そのいくつかが引用されている。

最賃引き上げは10代の若者だけの利益になる?

事実ではない。最賃引き上げで利益を得る人の9割は20歳以上だ。

最賃を上げると人々が失業する?

事実ではない。最賃が上がっても、雇用には全くマイナス影響はない。事実は需要が増え、雇用が成長し収益が増えることを示している。

中小企業には最賃引き上げの余裕が無い?

事実ではない。最賃引き上げは商品やサービスの需要増加に役立ち、ビジネスチャンスを作る。

最賃引き上げは失業を増やす?

事実ではない。カリフォルニア州では最賃を引き上げたが、カリフォルニアのレストランの売上高はほとんどの数を上回っている。

サンフランシスコでは最賃を時給1360円に引き上げたが、サービス業の雇用は伸びている。

最賃引き上げは企業にとって良くない?

事実ではない。より高い賃金により離職率が激減する。その結果採用と教育訓練のコストが削減される。これは企業に好結果をもたらす。

最賃引き上げは経済に悪影響になる?

事実ではない。この80年間で最賃は25セントから7ドルまで引き上げられた。しかしその間に一人あたりGDPは着実に増加している。

というところ。

一番肝心なところ、それは日本の政府とは逆の宣伝を行っていることだ。


とりあえず、記事の紹介は以上のとおり。

ということで現物を見に行こう。

Department of Labor のサイトにMinimum Wage Mythbustersというページがある。ディスカバリーチャンネルで放送されている番組『怪しい伝説』(MythBusters)をもじったものらしい。

“Myth”が15項目並べられていて、これに対する回答はすべてNot true: で始まる。

解答はきわめて簡潔なもので、これを読んで使用者との交渉に臨めば勝利は疑いなし、という虎の巻だ。

アメリカの資本主義とリーマン破綻 小島 秀樹 (実業界2009年1月号所収)

という文章がたいへん良い。

短い文章なので直接お読みいただきたい。以下は私の読後感。

1.グラス・スティーガル法の廃止の背景

この法律は32年、ルーズベルトの大統領就任直後のいわゆる「百日議会」で成立したものなので、ニューディールの一環と見られているが、実際にはフーバー政権末期に上院に提出されたものである。

正式には「銀行法」(Banking Act of 1933)と呼ばれる。①銀行と証券(投資銀行)の分離。②連邦預金保険公社の設立、を柱とする。

というのが私の予備知識。

小島さんによると、

1929年の大暴落を受けて米国議会が出した有名なペコラ委員会報告書に基づく。

フーバー大統領の要請で上院銀行 通貨委員会を設置した。ニューヨーク州検事ペコラはこの委員会の法律顧問として大恐慌の原因をなした不正、政策責任者の間違い、株価操縦、インサイダー取引などを1万2千頁に及ぶ調査報告書であぶり出した。

のだそうだ。

日本の戦後改革でも、この制度は受け継がれてきた。しかし99年に本家米国が規制撤廃すると、日本もこれに倣った。

そこで小島さんが指摘するのは、規制撤廃の是非ではなく、「横並びの競争にするならそのルールをしっかりさせるべきではなかったか」という点である。

2.脱法を恥じないモラル感覚の欠如

小島さんが何故ルールの必要性を強調するのは、自らの弁護士体験にも基づいている。

弁護士としてリーマンブラザーズと対決したり交渉したりして感じたことを一言で言えば、モラル感覚の欠如である。

と切り捨てる。

SOX法というのができて、経営者に財務書類の正確性について責任が求められるようになったが、彼らは実質的な脱法行為をますます強めたそうだ。

小島さんは、「弁護士としてかかる脱法行為に抗議して米大手IT 企業と一触即発の対決をし」たという。そして「SOX法なるものの欺瞞性」を痛感したそうだ。

小島さんの舌鋒は厳しい。

サブプライムローン問題は、そもそも証券化できないものを証券化してリスクを認識できなくしたものを売った。それはまさしくモラルに反する行為である。

米国経済はそうやって道義的に許せない金融ビジネスに走った。その成れの果てが、リーマン破綻である。さらにそれに続く米国発の世界金融不況である。

つまり小島さんの言いたいのは、モラルの破綻(経営の無法化)が経済の破綻をもたらしたということである。

「経営モラルの破綻」というのは客観的に言えば「経営の無法化」ということになるだろう。

3.経営の無法化はいかにもたらされたか

小島さんは、経営者の物づくりからの離脱が背景にあるという。

1960年代から80年代にわたって「日米貿易戦争」が繰り広げられた。しかし95年ころを境に「貿易戦争」は論議とならなくなった。

なぜか。

それは米国自身が物づくりから撤退してしまったからである。

米国経済はITや金融等サービス業に特化していった。デリバティブなどの複雑な証券ビジネスに多くの金融機関が参加するようになった。

この後、小島さんは証券ビジネスの実態を厳しく指弾する。

私が接したデリバティブ証券は、完全なマネーゲームの世界であった。あつかう商品の多くは、公序に反するバクチのようなものだった。

ビジネススクールで教えるのは ROE(株主資本利益率)優先の経営であった。そして「小さな自己資本で大きな利益を短期間にもたらす」のが優れた経営者であると教えた。

そうだとすると、どうなるか。

物づくりは原材料の仕入があり利 益率はどうしても低い。結果、彼らが選んだのは仕入がない金融を筆頭とするサービス業である。

こうして米国経済は益々物づくりから離れ、実体経済と何の関係もないバクチのようなマネーゲームに邁進していった。

4.結論

もう一度、小島さんは米国の金融資本主義を厳しく断罪する。

…、という意味でレベレッジ(一種の信用取引)とかの手法の問題以前に、実体経済との関係が希薄となったマネーゲームが醸成する、モラルを著しく欠いた米国の金融資本主義が問われるべき問題なのである。

ということで、私の感想としては、「ルール無き無法状態」を一刻も早く解決して金融資本を厳しく規制することが、混迷に陥った現在の世界経済を救う唯一の道だということである。

それは85年前のペコラ委員会の結論と同じだ。「85年前から進歩していないじゃないか」と言われそうだが、そうではない。

第二次世界大戦の惨禍をくぐり抜けて、人類はいったん進歩したのだが、一時的な退歩を今繰り返しているということだ。

道ははっきりしている、経験もある。今はただ、ふたたび進歩への道を歩み始めるのみだ

しばらくサボっていたが、経済の勉強。

23日から赤旗に「経済四季報」が連載されている。

かなりポイントを抑えた簡潔なレポートなので、紹介しておく。

1回めは「世界経済」

最初にポイントがまとめられている。

①米国経済に減速の兆し: 2015年12月の利上げの後、追加利上げは見送り。
②欧州経済は回復が鈍化: 追加金融緩和したものの、マイナス金利拡大には限界。
③新興国経済には資源価格低迷が打撃。中国の景気減速と連鎖し、貿易に悪循環。

ときれいにまとめられた。あまり迫力はないが…

①米国経済

15年第4四半期のGDPは前年比1.0%だった。これは二期連続の低下。

原因は金融市場の混乱とこれに伴う消費控え、ドル高と世界の景気減退に伴う輸出の低迷が挙げられている。(“金融市場の混乱”が何を指すのかは不明)

イエレン議長は「国際的な経済・金融情勢がリスクになっている」と語った。(これももう少し詳細が知りたい)

②欧州経済

EU全体のGDPはプラス0.3%、ユーロ圏では1.1%の伸びとなった。いずれも小幅鈍化となった。

原因は主として中国と新興国の景気減速の余波とされる。(つまりEUは世界経済を規定する主要経済域ではないということだ)

ECBは3つの景気対策をとっている。その一つがマイナス金利。その他に政策金利0%、量的金融緩和が行われている。

マイナス金利というのは、市中銀行の中銀預け入れ金利のこと。昨年12月以来始められているが、3月にはマイナス0.3%から0.4%へとさらに引き下げられた。

ドラギECB総裁は「マイナス金利を続ければ、銀行システムに悪影響が及ぶ」とし、長期とはならないことを示唆。

③新興国経済

ロシアはGDPが前年比マイナス3.7%となった。歳入の半分を占める原油の価格下落が響く。ブラジルのGDPもマイナス3.8%。こちらは鉄鉱石の価格低迷が寄与している。

これらの理由により世界の総輸入額の伸びが半減した(3.0→1.7%)。この結果中国の輸出が減り、その結果中国の輸入が減るという悪循環を形成している。(世銀の分析)

とここまでが1日目の記事。

2回めは「中国経済」

ポイントは以下のとおり

①中国経済は25年ぶりの低成長期となる。生産と貿易が同時に低下。
②中国の経済減速はアジアと世界の各国に波及し打撃を与えている。
③新5カ年計画で、技術革新と調和を目指す。

ということで、ポイントといえばポイントではあるが、ちょっとづつポイントを外している感じがする。とくに米日欧の経済対策が金融政策中心に動いているため、中国の景気減速が国際金融・通貨面でどのような影響をおよぼすかが関心の的であるが、この点について触れられていない。

より本質的には「社会主義的市場経済」というシステムが、最初の「恐慌」を迎えて機能できるのかが問われるわけで、まぁ四季報レベルでは無理な相談だが、念頭には置いておかなければならないだろう。

①生産の鈍化と輸出の減少

2015年GDPは前年比6.9%増。これは25年ぶりの低い伸び。純輸出はマイナス0.2%となった。

国内投資の総量を示す総資本形成は3.4→2.5%に低下した。これは生産能力の飽和を示す。

②最終消費が景気を下支えしている

このなかで最終消費は3.7→4.6%と伸びており、これが景気を下支えしている。これが消費バブルなのか社会生活の向上に根ざすものかは判断を保留。

③過剰生産能力

生産能力の飽和を示す直接指標として生産設備の稼働率があげられる。鉄鋼・アルミなどでは60%台、鉱工業生産は5.4%で7年ぶりの低い伸びであった。

過剰生産能力の解消には大規模なリストラを必要とし、それは大量の失業者を生み出す可能性がある。

④関係国への影響

中国の経済成長が1%減速すれば、アジアの経済成長率は0.33%、アジア以外の地域は0.17%下がる(IMF試算)

とくに中国製造業が不振に陥れば、資源輸出国に深刻な打撃となる。

⑤新五カ年計画

ということで、中国の景気後退は日米欧のような経済構造上の問題に根ざしているのではなく、基本的には景気循環上のリセッションとして捉えられる、ということだ。

それがたんなるリセッションの域を越えて深刻化しているのは、リーマン・ショック時の政府の過剰対応による。リーマン・ショック時、中国政府は日本円換算で53兆円の財政出動を行い、これが生産過剰を増強した。

こういう見方であれば、中国経済の先行きにはさほど悲観する必要はないということになる。

「しかし、本当にそれだけなのであろうか? 何か根本的な脆弱性に根ざしているのではないだろうか?」という漠然とした不安は残るが…

3回めは「国内景気」

ポイントは以下のとおり

①マイナス金利導入は、異次元金融緩和の破綻を示す。
②GDPはマイナス成長。消費低迷を脱却できないことが要因。
③春闘不発。大企業を支援しても賃上げはせず。

①マイナス金利

異次元緩和で民間銀行にお金を供給。しかし市中に回らず、日銀当座預金が積増しされる。これを拒否するためのマイナス金利。しかし貸出先がなければ問題解決にはならず。これは異次元緩和の行き詰まりを示す。

②マイナス成長

第三4半期GDPは年率換算でマイナス1.1%。企業の売上高・経常利益は揃って減少。

個人消費が0.9%減で、中国とは逆に個人消費が景気の足を引っ張っている。

③マイナス収入

毎月勤労統計で、実質賃金指数は4年連続でマイナス。


この連載がいつまで続くか分からないが、問題をとりあえず整理するのには役立つが、あくまでも自己学習のための足がかりだと考えておいたほうが良さそうだ。

マイナス金利効果は一時的(毎日新聞)

マイナス金利の中長期効果については前に触れたが、短期効果についてはもう結果が出た。

結局マイナス金利は一種の金融緩和政策であり、金利低下による刺激が効かなくなった後、量的緩和で刺激を図ったが、それが飽和状態となり、さらにマイナス金利で刺激しようとしたが、もう市場はうんともすんとも言わない。

むかし理科の実験でカエルの足をつるして電気刺激を与え収縮を観察する授業があった。だんだん刺激が効かなくなると、食塩水につけて少し賦活する。しばらくはまた活発に収縮するようになるが、また動かなくなる。

そうなると電気刺激を強めても反応しない。こういう状況がいま生まれつつある。

マイナス金利効果

2月初め、マイナス金利の発表直後に証券相場と為替相場は大きく動いた。いわばアベノミクスの「一の矢」の再現である。

しかしその効果は数日のうちに消失した。

黒田総裁は国会証言でマイナス金利の導入後も金融市場の動揺が続く理由を次のように述べている。

原油価格の下落、中国経済の減速や欧州の信用問題に対する懸念、米金融政策の先行き不透明感があげられる。総じて、リスク回避姿勢が過度に強まっている。

石原大臣の「暖冬で冬物が売れない」に比べればまだましだが、みんな人のせいだというのは同じだ。


残ったのは「異次元緩和はもうやめられない。死ぬまで続けるしかない」という現実のみである。

1月通貨供給量は2.5%増の1242兆円で、過去最高を更新した。

問題は「異次元緩和」がもう続けられない状況に達したときに、日本株売りと円買いが仕掛けられたらどうなるかということである。いろいろな論評でもこの問題はあまり触れられていない。考えるだけでも恐ろしいからであろう。

「投資の神様」と呼ばれるバフェットがこう言ったそうだ。

「いま一番確実な資金運用はベッドの下に現ナマを隠しておくことだ。ただし安心して任せておける管理人がいるとしての話だが」

まさに時代はそういう状況に飛び込みつつある。世界で最も安全とみられていたドイツ国債も、ドイツ銀行の経営に不安がささやかれるなど足元まで火が迫りつつある。

もはや代替案はない。金利をうんぬんする時代は終わった。為替相場がすべてを規定する日がやってきた。皮肉なことに、一番産業リスクの高い米国の通貨が最も安定した資産となる日がやってきた。

こういう国際状況の下で、円は風前の灯火となっている。

黒田総裁は円相場を鉄火場にしてしまった。持ち札は年金資産である、これで国際金融相場とさしの勝負をかけている。外国資本は何度となく日本に売り浴びせをかけた。もちろんこれで株価が維持されれば連中は大やけどを負う。

しかし日本株の持ち主は今や間違いなく外国資本である。だから仕掛けのポイントさえ合えば、相場はあっという間に数千円の下落を示す。このことは、彼らが何回か繰り出したジャブでかなり明らかになった。

日本政府は1万6千円までの間なら対応できる。そのことがはっきりした。売り浴びせをかけても1万6千円を割り込まないのなら、空売りは高いものにつく。しかしをれを割り込んだらどうなるだろう。日本政府・日銀は株価を維持できるだろうか。

我々は二つのニュースを持っている。売り攻勢で1万6千円を割らなければ、日本は勝てるしそれで大儲けする。彼らは大損する。

しかしそれが1万5千円くらいまで下がれば、日本は一致結束して対応できるだろうか。もし国内側で狼狽売りが始まれば、株価はたちまち激減するだろう。

以前にも書いたが株価が1万4千円を割り込めば、たちまちにして東京証券取引場は修羅場と化し、あちらこちらに首つり死体が発見されることになるだろう。

株価は一気に1万円を割り込み、年金の掛け金はたちまちゼロと化すであろう。

そうなった場合、デレバレッジが働き、円によって支えられるドルは一気に下落し、結果として円高状況が再び現れるだろう。つまり円高とGDPマイナス10%というリーマンショック後の状況がそこには再現されるのである。

アメリカはこの危機を回避できる。彼らには基軸通貨発行国という利点があるからだ。だからQE4でも5でも何でもやる。日本が日銀券という紙切れみたいなものを増発しても、それはドルではないから、ただたんに日銀券の目減りを引き起こすだけである。

東芝 粉飾決算 その後の動き

2015年07月11日

を書いて以来数ヶ月が経過した。この間あまりまじめにフォローしてなかったので、かなり分からなくなってきた。

8月12日に下記の記事をまとめてアップした。

2015年08月12日 

2015年08月12日 

2015年08月12日 

2015年08月12日 

2015年08月13日  

結局、WH社との関係が一番の問題であることが分かった。もう一つはこの明らかな粉飾決算事件がどこまで指弾されるのか、どこからウヤムヤにされるのか、誰がもみ消そうとしているのか、あたりが今後の問題だろうと考えた。

その後戦争法反対の運動の中で、ちょっと頭が回らなくなった経過もある。

ということで、気を取り直して再チャレンジ。7月12日以降の動きをフォローしようと思う。

残念ながら前回最終日の7月12日よりかなり事実が経過してしまったため、かなりニュースが削除されてしまった。日時についても発生日時と掲載日時が微妙にぶれており、このため重複記載もあるかもしれない。

後で訂正・補充できるものについては補充していきたいと思う。

15年7月

7.20 第三者委員会、自主チェックと合わせ1560億円の利益水増しがあったことを確認。「経営トップの過度な当期利益重視の姿勢に原因があった」と指摘。

1560億円という数字は、08年度以降の累積利益である約5,700億円の1/4に当たる。

5月時点で判明していた「工事進行基準の処理に関わる」粉飾に加え、「PC事業部の部品の押し込み販売」や「半導体事業部の在庫評価」でも粉飾が明らかになった。(粉飾の手口については近日出荷さんのブログに詳しい)

7.21 東芝が記者会見。取締役8人の辞任が発表される。前田CFOより「WHは安定的な収益をきっちりと上げており、買収当時に比べ利益は大幅に拡大している」との回答が行われる。

7.24 経済産業省、会社法の運用指針を公表。社外取締役の役割を明確にし、監督機能の強化を促す。(まことにとぼけた話です)

15年8月

8.19 第三者委員会の調査に追加した調査で570億円が追加される。(粉飾発覚にもとづく固定資産の減額分)

8.31 15年3月期の決算(および金融商品取引法に定められた有価証券報告書)の発表を再度延期する。新たに10件の不適切会計が発覚したためとされる。金融庁(関東財務局)は、9月7日まで再延期することを承認。

15年9月

9.07 東芝が15年3月期決算を発表。連結税引き後利益は378億円の赤字となる。

9.07 東芝、有価証券報告書を提出。過去7年間通算で、利益を2250億円以上かさ上げしていたとされる。これは第三者委員会の調査における1560億円から700億円。8月の追加調査から120億円増えている。これは累積利益報告の40%に達する。

9.15 東証、投資家に注意を促す「特設注意市場銘柄」に東芝株を指定。企業統治などの管理体制に深刻な問題があるとする。

9.30 臨時株主総会。取締役の過半数を社外取締役にするなど、経営陣を一新。

WHを含む原子力事業で5156億円の「のれん及び無形資産」を計上。一方でWHの売上高や利益、資産状況は明らかにせず。

15年10月

10.24 東芝、事業売却による本格リストラに着手。スマホ用画像センサーや赤字が続く白色LED事業からの撤退を検討。

10月 貸借対照表(B/S)に関して触れなかった第三者委員会に隠蔽共犯の疑い。さらに役員交代後も事実を隠蔽し続けた室町現社長が同罪である可能性も浮上。さらに沈黙を守る「社外取締役」の責任も問われることになる。

15年11月

11.07 4~9月期決算を発表。「サービスや燃料事業が着実で、福島第1原発事故以降は安全対策というビジネスが伸びている」とするが、数字は明らかにせず。

WH問題については、「この9月末でも減損の兆候は見当たらず、資産性があると判断した」と述べる。

11.09 東芝、「役員責任調査委員会」の調査報告書を公表(公表のお知らせと調査報告書:PDF)。歴代3社長と元最高財務責任者(CFO)計5人の責任を明確化する。しかし室町正志社長ら現執行部は免罪される。

役員責任調査委員会: 東芝の依頼を受け、弁護士を中心に構成される。新旧役員の法的責任の有無と、それに伴う東芝からの損害賠償請求の可能性を調査。

11.09 東芝は、「役員責任調査委員会」の報告を元に、旧経営陣5人への損害賠償請求訴訟を起こす。

11.12 日経、WHで1600億円の巨額減損が発生し赤字決算となっていたことを明らかにする。社内メールの漏洩から明らかになる。

11.13 東芝、ウェスチングハウス社単体の減損を開示。

11.16 東証、東芝は開示基準に違反する可能性があると指摘。12年度のWH単体決算で約762億円の「のれん代」の減損損失を計上したにもかかわらず、情報開示しなかったことが問題とされる。

11.17 東芝、東証の指摘を受け、WH単体の減損に至った経緯を開示。連結の減損処理を見送ったことについては、「公正価値は帳簿価格を上回っている」と強弁。

11.26 弁護士や大学教授らのグループの「第三者委員会報告書格付け委員会」、7月に東芝の第三者委が出した報告書を批判。東芝に頼まれた範囲に調査を絞ったことで「第三者性」が欠落したとする。

11.27 東芝社長が記者会見。内容は①ウエスチングハウスの減損の詳細。②あらたな「事業計画」に就いてである。

①減損の詳細: 06年の買収以降、WHの累積営業赤字は3億ドルに達していた。東芝はWHが計上した減損損失を、本体の連結決算(のれん料の減損)に反映しなかった。室町社長は、WHの経営状況を開示しなかったことを陳謝。

②「64基計画」と呼ばれる事業計画: “世界的に原子炉がどんどん建っていく”と予想し、“今後15年間で64基の原発受注”を骨子とし、“18年度以降は利益が3倍増”という荒唐無稽なもの。当面する経営苦境については、「売却できる事業は売却する」とのべる。

15年12月

12.01 証券取引等監視委員会、東芝に74億円前後の課徴金の納付をもとめる。旧幹部の刑事告発は見送られる。企業の統治がずさんなため誰1人全体像を把握できていなかった結果、個人の刑事責任を問えないとする。

12.04 東芝、富士通、VAIO(ソニー)の3社がパソコン事業を統合する検討に入る。

12.05 東芝、白物家電の分離でシャープとの統合案が浮上。

12.05 画像用半導体の大分工場をソニーに売却。従業員約1100人がソニーに転籍することとなる。他の半導体事業の従業員についても、配置転換や早期退職により約1200人を削減する計画。

 

東芝 粉飾決算 その後の動き

昨日の赤旗で、重い話題がふたつと書いたが、もう一つが東芝問題だ。

8月12日に下記の記事をまとめてアップした。

闇株新聞といういささか怪しげな名前のサイトがある。ダイヤモンド社がスポンサーで内容はしっかりしている

。その12月4日号に載った記事を引用しておく。

 それでも「名門企業だから刑事事件にならない」のか?

日経ビジネスの証拠(メール)は、入手方法によっては「証拠能力」がなくなります。しかし捜査当局があらためて令状をとって入手すれば、十分な証拠となるはずです。あくまで捜査当局が「そうすれば」の話ですが。

 第三者委員会や東京証券取引所や証券取引等監視委員会(SESC)らの責任問題まで飛び出してくれば、今度は東芝を「徹底的に悪者」に仕立て上げなければならなくなり、刑事事件化する可能性もなきにしもあらずです。

 しかし当局は予定通り、金融庁による73億円の課徴金処分だけで、何事もなかったように済ませようとするはずです。

衝撃のニュースだ。一番見たくないニュースだ。

年金財源の一つである年金積立金に一時、巨額の損失が発生した。その額は約8兆円という試算もある。

積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)は昨年来、運用益を増やそうと、株式での運用比率を高めてきたが、それが裏目に出た(毎日新聞 11月13日)

いつかは来るかとは思ったが、もう来てしまった。

残念ながら生命保険と違って年金は解約できない。ほとんど税金みたいなものだ。どうせもらえるわけのない「年金」だから、泡と消えても惜しくはない。しかし介護保険が潰れると、飯の種がなくなってしまうことは間違いない。年寄りの死体が街中にごろごろし始めることは間違いないだろう。

我々の年金を使って博打をやっている奴がいる。この博打は絶対勝ち目がない。買いしかないからだ、パーしか出せない人がじゃんけんで勝てるわけがない。敗けないためには掛け金をどんどん大きくしていくしかない。

こういうのを「カモ」という。

gpif


高株価の裏側には、税金や年金積立金がある。
そこを群馬大名誉教授の山田博文さんがやさしく解説してくれている。
株高は政府の買い支えが演出している。
さまざまな策が講じられているが、代表的なのが次の二つである。

A.株価指数連動型上場投資信託(ETF)
これは要するに日銀による投資信託の買い入れである。形容詞がたくさん付いているのは、株の組み合わせ(ポートフォリオ)のことであって、株を買っていることに違いはない。
うまくいけば、リターンは大きいし、下がれば日銀券を印刷して株価を買い支えすればいいのだから、結構だらけのようにも見える。
しかし問題が4つある。
①ひとつは、株価操作という犯罪に限りなく近いということである。
グローバル・スタンダードが厳しく問われるようになっている今日、どこかの国の誰かが国際機関に「恐れながら」と訴え出れば、結構やばいことになりかねない。
②ふたつ目は、買うのはできても売れない株になってしまうことである。
日銀が株を売れば、売られた会社はたちまち凹む。国債と違って、大量に売れば日本の企業が潰れてしまう。現金化できなければ、評価額がどれほど高くても換金はできない。
パチンコの出玉を抱えて途方に暮れる姿が容易に予想される。
③日銀が銀行である以上、無限に買えるものではない。
バランスシートにリスク資産(ETF)が積み上がれば、中央銀行と日本円に対する信任が毀損される。
国債の場合は、期限が来れば、政府が100%償還しますが、ETFの場合は、日銀が市場で売却しなくてはバランスシートからリスク資産を消すことができません。
日銀が大量のETFを売りに出せば、株価は大暴落してしまいます。
BISで規定された自己資本比率の上限に達すれば、その時点であとは確実に訪れる暴落の日を待ち続けるしかない。
④日本の大企業のための経済運営を迫られることになる。
ETFは低リスクの優良企業株を中心に構成される。そうすると日本銀行の運命は大企業に託されることになる。そうすると大企業に不利になることはできないし、大企業のためならば国民を犠牲にしてでも利益を確保しなければならなくなる。
何の事はない。日本という国は大企業のための打出の小槌の役を担わされることになるのだ。

B.年金積立金の運用
これは以前の記事で書いたので詳細は省く。これはETF買い入れ策が上記の如き経過で行き詰まったところに持ち込まれた。
まことにひどい話で、勝手に実印を持ちだして親の金を博打につぎ込んでいるようなものだ。限りなく犯罪に近い。
それでこの記事の肝心なところは、それでどうなったかということだ。
株式の運用割合を12%から25%に引き上げたのだが、そのわずか半年後、今年の3月末現在ですでに株式の割合は22%に達している。
つまりほとんど終わっている。
次に打つ手は決まっている。運用割合をさらに30%、40%と上げていくことだ。年金積立金が底をつくまで連中はつぎ込むつもりをしている。これだけは止めさせなければならない。

この後、付け足し風に書かれてある一節は初耳だ。

今のところ真偽の確かめようがない。

とりあえずコピペだけしておく。

年金積立金は1990年の株式バブル崩壊でも利用されたことがあります。この時は、不良債権を抱え込んだ銀行を救済するために利用されました。

日経平均株価(225の大企業の株価の平均)が1万8千円を下回ると、年金積立金が指し値でこれらの株を購入し、株価を買い支えます。そして株価が上昇すると、すかさず銀行が保有株を売却します。これによって銀行は売却益を獲得し、株式の含み益を実現しました。
この売却益が不良債権の償却に利用されました。

株価吊り上げに利用され価格変動のある株式を抱え込んだ年金は、株価が下落すると巨額の累積赤字を抱え込むことになりました。その額は02年度の2兆6千億円から08年度の9兆3千億円まで膨らんでいきます。

そのために保険料率が引き上げられ、支給開始年齢が先延ばしされました。こうして将来の老後の暮らしすら脅かされることになりました。

事実とすればひどい話だが、もう少し他の資料にもあたったうえでコメントしたい。



前の記事の元はこの表(産経

企業収益

10月16日、経済3団体の代表や企業経営者らが、政府から設備投資の拡大を求められた。首相を挟み、ズラリ着席した大物閣僚たちが、民間側に厳しく詰め寄った。

背景には、参院選を控えて、設備投資の鈍化が景気回復を足踏みさせているとの焦りがある。

財界側は、多少の誠意を示しつつ、その交換に法人税減税の前倒しをもとめるつもりだ。

「盗人にも三分の理」というが、確かに財界の言い分には一理ある。国内需要は設備投資できるような環境にはない。輸出環境も下り坂だ。

要するにトリクルダウンを期待して財界にサービスしたのに、見返りがないと政府がごねているわけだ。(ただしごねていると言っても、ごねているふりをしているだけで、選挙目当てのパフォーマンスであることは国民みんなが知っている)

で、そもそもトリクルダウンなどというセオリーがとうの昔に賞味期限が切れている。

以前バブルの時は余り金で土地やマンションを買ったのだが、いまはそれもやらず、ひたすら貯めこむのみだ。

法人税そのものは世界的な動向もあり、一朝一夕に変えられるものではないが、さまざまな優遇税制のダラダラ延長を止め、労働者への雇用責任(とくに社会保険負担)を果たさせるだけでも財源は湧いてくる。

これ以上老人福祉を後退させないと宣言するだけで、内需は一気に盛り上がるはずだ。内需の拡大が技術のイノベーションを生み、設備投資意欲を掻き立てる。財源がないというが、ここまでなら一文もかからずに実現できるはずだ。

赤旗を読んでいないわけではないが、ブログの記事にしていない。
「そのうち、調べて」と理由をつけているが、年寄りに「その内」はない。
今日は少しやっておこう。
「主張」から
麻生財相が発表した資料で、いくつかの数字があげられている。
安倍政権発足後、大企業の経常利益は16兆円増えた(14年度末現在)
これに対し設備投資は5兆円、賃金は0.3兆円の増加にとどまった。
一方、企業の内部留保は50兆円も増えた。手持ちの現金・預金だけでも20兆円増えている。
経常利益と内部留保が合わないのは、円安・株高の含み資産効果が絡んでいるからだろう。
これは財務省が経済財政諮問会議に提出したものだ。
「主張」では“マスメディアはあまり注目していないが”とコメントしている。
少し調べてからと思ったが、10分もすると忘れてしまうので、メモ代わりにアップしておく。

土曜日の赤旗から
海外投資家の東証での日本売りが9月に入って際立っているようだ。
9月の海外投資家の日本株売り越しは2兆6千億円にのぼった。
とくに1日と29日には、1日で700円の急落と、売り浴びせ攻撃ともいうべき様相を呈している。
日本株

海外投資家が「日本売り」を強めているのに、株価が乱高下を繰り返しつつも維持されているのはなぜか。
それは国内信託銀行からの買いである。信託銀行の9月買い越し総額は8千億円近くに達した。
それに個人投資家の4千億の買い越しを足す形で株価は維持されている。
信託銀行の背後には年金運用機構(GPIF) がいる。GPIFは昨年株式投資枠を25%に拡大したことにより、17兆円の資金を手に入れた。これが信託銀行を通じて日本株の買い支えに回っているのである。

おそらく株式相場をあいだに、海外投資家と日本政府が対話をしているのだろう。
「リーマンショックの時には7千円だった相場、円安を織り込んでもちょっと高いんじゃないの?」
「いや、今のリフレ政策が維持されれば、このくらいでも十分適正です」
「果たしてどちらが正しいか」だが、日本政府が足元を見られていることは間違いない。
年金機構の15兆円を使い果たしたあと何が残っているかだ。
売り攻撃を仕掛けた投機資本はかなりのやけどを負っただろうが、もう少し長期のトレンド判断から日本離れをしている投資家もいるだろう。公的資金を株式相場に突っ込むような政府が、果たしてどのくらい信用できるだろうか。
前にも言ったが、1万4千円あたりが崖になる可能性はある。個人投資家はそこまで下がるとパニックになる。
97年危機のとき、アメリカは日本支持に回ったが、今度もそう行くか。
最悪の場合、「円安・株安」を引き金とする日本発の世界不況もありうる。

参考までに東芝のWH社買収に至る経過をおさらいしておく。

2005年6月 BNFL社がWH売却を決める。

7月 「ウエスティングハウスを三菱重工が買収か?」の情報が流される。これはこれとして、素直な流れだ。沸騰水型は三菱重工のオハコだということ もあるが、何よりも三菱重工が日本を代表する軍事産業であり防衛省と一体関係にあるからだ。アメリカが押し付ける相手としては最高だ。

にもかかわらず、BNFL取締役会の直前、奇妙な動きが出てくる。

2006年1月20日 GEが応札すると発表。これに日立製作所も組んで参加の意向を表明した。最終選定が予定されたBNFL取締役会のわずか1週間前である。まぁ率直に言えばジェスチャーだ。

1月22日 ブッシュ米大統領が米企業の支援をブレア英首相に表明した。米商務長官も「ブッシュ政権はGEを支援している」とする書簡を英貿易産業相に送った。

1月23日 イギリスのフィナンシャル・タイムズが「東芝が勝利した」と報道した。買収額は当初予想の2倍以上の50億ドル。どう考えても米・英政府が一体となった「アオリ」行為だ。

1月26日 BNFL取締役会が東芝売却を正式決定した。東芝はWH社の方針には干渉しないと発表した。この間に何があったかは想像に難くない。アメリカは三菱重工の態度を警戒したのだ。そして東芝に売るためにGEとつるんで一芝居うったのだ。

日本の三大重電企業である三菱重工、日立、東芝は米英両国に翻弄され、東芝が高値でジョーカーを掴まされたのだ。

東芝はそれでも「社長の愛人を名義だけ引き取れば余録がある」と踏んだから買ったのだろうが、その結果が今の体たらくである。御三方が頭に来て、べらべらと喋ってくれると有り難いが、そんなことをしたら命がいくつあっても足りないだろう。


あとから気づいたのだが、どうも最後の1週間の経過が変だ。

「どう考えても米・英政府が一体となった“アオリ”行為だ」と書いたのだが、値段を吊り上げるだけのためにそこまでするだろうか?

GEが突如応札の意向を表明し、日立が参加の意向を表明し、ブッシュ大統領が動き、商務長官も動いた。

これだけの駒が動いたら、もうひっくり返ったも同じだ。東芝が逆立ちしたって勝てっこない。

にもかかわらず、その翌日には「東芝が勝利」と報道された。

にもかかわらず、アメリカ政府は何の反応も示さなかった。

一体これはなんだろう。東芝と経産省がなにか重大な一札を入れたのだろうか?

そもそもGEが買えばアメリカにとっては何の問題もない。ところが、そこには独禁法抵触という問題が生じる。

したがって、GEは実質傘下の東芝に買わせようとした。これなら三菱を相手に東芝がしゃしゃり出てきた経過が説明できる。

とすれば、GEは土壇場になってなぜ東芝に回し蹴りを入れたのか? しかも同じ沸騰水型の日立をダシにして…

もう少し調べてみなければならない。

そうすると、すべての謎はこの一点に集約する。

「なぜ東芝はWH社を買ったのか?」


1.ウェスティングハウスとはどんな会社なのか

まずウェスティングハウスとは何なのか少し勉強する。

<旧ウェスティングハウス・エレクトリック>

ウィキペディアによると、

ウェスティングハウス・エレクトリック(Westinghouse Electric 、WEC)は、1886年から1999年まで存在したアメリカ合衆国の総合電機メーカー。

電気、機械関係を中心に軍事用・民生用の双方で多岐に渡る事業を展開。1950年代以降は加圧水型原子炉(PWR)の開発・製造で独占的地位を占めた。

1997年にCBSコーポレーションと名を変え、1999年にバイアコムによって買収され消滅した。最後に残っていた製造部門である原子力部門も、英国核燃料会社 (BNFL)社に売却された。

社歴を見ると、とにかくすごい会社だ。なんでも作っている。しかもその多くが「世界初」だ。東芝など目ではない。20世紀を代表する企業と言っていいだろう。

そのなかで、今問題となっている原子力部門に絞ってみてみると、

一番は1953年に原子力潜水艦「ノーチラス」の原子炉を製造納入したことだ。

ノーチラスが進水するのは55年のことで、当時映画館のニュースで見た覚えがある。酸素補給せずに、潜ったまま世界一周できるという夢の潜水艦だった。戦争映画で、潜水艦乗組員が酸素不足でもがき苦しむシーンを覚えていたから、「それはいいことだ」と素直に喜んだものだ。
しかし原潜が世界戦争の形態を根本から変えてしまったことについては、ついぞ頭が行かなかった。

ついで1960年、原子力空母「エンタープライズ」用の原子炉A2W炉を製造・納入している。

そしてその翌年、商業用初の加圧水型原子炉としてヤンキーロー発電所が運転を開始している。

この辺りを挟んで50年から70年くらいまでがウェスティングハウスの最盛期だった。

「ウェスティングハウスなら大丈夫」"You Can Be Sure If It's Westinghouse"というのがCMの決まり文句だったらしい。

80年代に入ると明らかに下り坂に入り、90年代には身売りを繰り返しながら解体していく。

そして1988年、最後まで残っていた商業用原子力部門が英国核燃料会社(BNFL)に売却されたというのが経過である。

<ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー>(LLC)

で、これから後がややこしい。

まずウィキペディアの説明。

商業用原子力部門は、所有主が英国核燃料会社(BNFL)となったが、本部はアメリカのペンシルバニア州にそのまま残された。

社名も親会社の名がそのまま残された(後ろにカンパニーが付くところだけが違う)。

原子力関連の広範な製品の販売とその関連サービスを行う多国籍原子力関連企業として存続している。

ところが、英国核燃料会社(BNFL)はこの会社を持て余すようになった。そして2005年7月に売りに出した。最大の理由は「商業的リスクが税金で保有される企業としては大きすぎる」ということのようである。(まさにそのとおりだった)

幾つかの企業が関心を示したが、2006年2月6日、東芝が54億ドル(当時換算で4900億円)での購入を確認した。

LLCはその後も拡大を続けている。(なぜなら東芝がカネを流し込み続けているからだ)

とくに、第三世代+原子炉のAP1000型原子炉は、アメリカで6基、中国で4基が建設ないし受注されている。(ウィキペディアによる)

とここまでが基礎知識。

つまりこういうことだ。


2.WH社はただの原子炉製造・販売会社ではない

「WH社はただの原子炉製造・販売会社ではない」ということだ。

それは米国の世界戦略のカギを握る軍需産業である。原子力空母と原子力潜水艦なしに米国の戦略は成り立たない。

つまりWH社の原子力技術は米国の軍事力の心臓部をなしているのである。米国は絶対にこの会社を手放さないし、その核心技術も絶対に譲渡はしない。

戦後の最盛期にはWH社は巨大電機産業であった。だから原子力部門も支えることが出来た。しかしいまや本家は衰退・消滅し、それは原子力に特化した特殊な経営となっている。

つまり単体で支えるのは困難になってきているわけだ。

大げさに言えば、ここに米国資本主義の抱える矛盾が象徴的に表れていることになる。

3.米国はなぜWHを売ったのか


『人民の星』 5702号1面 2012年7月18日付 米日原子力推進体制 原発再稼働の背景 という記事がある。

ここにはこう書かれている。

この買収は通常の買収・子会社化とまったくことなった一面をもっている。東芝は、いわばカネをだしただけで、ウエスチングハウスは買収後も独立した企業のようにふるまっているからである。

東芝は「カネはだすが、経営には口をださない」とはっきりのべている。

アメリカ帝国主義は、ウエスチングハウスが経営破たんしても、そうした技術をもっている原子力部門を残し、最初はイギリスに、そして次には日本にカネをださせて維持してきたのである。

多分、憶測記事だろうが、そういう可能性は一応念頭に置いておく必要があるのではないか。

4.なぜ東芝がWH社を買ったのか? なぜ米国は東芝に売ったのか?

ここまで書いて来ても、未だに真相は良くわからない。「なぜ東芝か?」ということである。

この話は、まず「なぜ日本か?」という問題が片付かないと進まないかもしれない。

この点で、最近の週刊朝日に面白い情報があった。

買収が行われた06年当時、経産省は「原子力立国計画」として原発輸出などを官民一体となって推進する国策をぶち上げ、産業界の利害調整をしたという。

「ウェスチングハウス買収の入札では三菱が有利と目されていました。だが、ふたをあければ、東芝の逆転勝ち。当時の経産省幹部は東芝に買収させたのは自分たちだ、と周囲に豪語していました」(原発業界関係者)

つまり、アメリカの意を汲んでWH社の買い取りに動いたのは経産省だということだ。そのうえで、どの社にするかを決める時、「天の声」の特権をたっぷり享受したわけだ(一体誰だろう、こいつこそA級戦犯だが)。

東芝の側からはその判断の是非は別として(非に決まっているが)、買った理由は分からないではない。

沸騰水と加圧水の両方の原発を手に入れることができれば、日本中の原発を支配下に収めることができるかもしれない。その頃の日本の原発政策を見れば、その先は前途洋洋として見えたかもしれない。

週刊朝日には次のような記載もある。

元東芝原子炉技術者の証言。「(東芝の)事業部は必死でした。国が原発輸出というアドバルーンを上げるとそれに飛びつきました」

だが米国の側はどうだったのだろうか。日本に買わせるつもりだったのは間違いないとして、資産総額の3倍で売れるとなれば飛びつくつもりも分かるが、そういうアコギなことをして、会社がコケた際の対処法は考えられていたのだろうか。

アメリカにとって最悪のシナリオ

今アメリカにとって最悪のシナリオが展開しつつある。もし東芝が1兆円の評価損を抱えたまま沈没することになれば、WH社はどうなるのだろう。もし東芝が救済されないままに、苦し紛れにWH社を投げ売りすれば、それが例えば中国に流れでもしようものなら…

経過から見て、GE+日立は東芝に高値つかみさせるための当てウマだったとも考えられる。結局当初の本命であった三菱重工が引き受けさせられることになるのだろうか。WHの軍事ノウハウの不可侵性は守られるのだろうか。

東芝を押し込んだ日本政府(経産省)も、さぞや頭を抱えているだろう。三菱重工も2006年の件では相当へそを曲げているだろうし、東芝の二の舞いはゴメンだろうから、それ相当の手当をしなければならないが、果たしてそれは可能だろうか。

川内原発の再稼働、海外への原発売り込みとそれなりに必死のようだ。安倍首相がUAEやトルコ、ミャンマーなどを歴訪。原子力協定を結んだ際には、東芝本社や関連会社4社の幹部が同行して原発を売り込んでいる。

が、そんなことではとても足りないだろう。


2015年07月11日

2015年08月12日 

2015年08月12日 

2015年08月12日 

2015年08月12日 

2015年08月13日  

粉飾の可能性は去年の4月から分かっていた。週刊ダイヤモンドの記事を見れば明らかだ。まだこの頃は600億だから可愛い方だが、本質は同じだ。本文を見てもらえば明らかだが、ここでは要旨を紹介しておく。


1.週刊ダイヤモンドの2014年4月23日号 「原発投資で最大600億円規模 東芝を揺るがす減損リスク


東芝の担当者たちと居並ぶ会計士たちとの緊迫したやりとりが、水面下で何度も繰り返されてきた。

会計監査人の新日本監査法人は、「投資回収が可能というなら、新たな出資者が現れるという明確なエビデンスを示せ」と迫った。

東芝は、撤退した東電や追加投資を打ち切った米電力大手に代わる、新たな出資者を連れてこいと突き付けられた。さもなければ減損だ。

減損処理を迫る新日本に対して、東芝は反論材料をかき集めて必死の抵抗を試みていた。

減損となれば、現金の支出こそ伴わないがバランスシートが傷む。他の重電メーカーと比べて財務の健全性に劣る東芝にとっては大問題だ。

東日本大震災以降、国内では“原発ゼロ”の状況が長く続き、原発の定期検査という収益源がなくなったことで、国内部隊は赤字に陥った。一方、海外を主戦場とするウェスチングハウスも最近は苦戦が続いている

その状況にSTPの減損まで重なれば、社内での原子力部門の立場は一気に揺らぐ。

2.週刊ダイヤモンドの2014年5月09日号。「誤算が続く東芝の原子力事業は立ち直れるか 米国の原発新設案件が前進せず損失を計上

決算は好調そのものだ。…前期比47%もの増益は、驚異的な伸びといえるだろう。しかも事前の会社側予想数字2900億円とピタリと一致している。

いま読むと、まさに「ピタリと」一致している。そのはずだ、一致させたのだから。それこそが「粉飾」の動かぬ証拠だ。

一方、原子力事業。同事業だけで約600億円の一時的な評価損失を計上した。

とあるのは前の記事と一致する。つまり新日本監査法人の圧力を受けて、ひそかに600億円を織り込んだのだ。その上で、それを穴埋めするために全分野で粉飾を敢行したのだ。

「NINA社の件がなければ過去最高益だった」と東芝の久保誠副社長は悔しがる。

というくだりには思わず笑ってしまう。知っていたのなら名役者だ。

その「NINA社の件」について、

これはサウス・テキサス・プロジェクトに絡む問題だ。同プロジェクトは日本企業が海外で初めて取り組む原発新設案件。

東芝は2008年に同プロジェクトの主契約者となり、翌年にはプラントの建設を含めたプロジェクト全体を一括受注することに成功した。

だが、2011年3月11日以降、状況は急変した。米原子力規制委員会(NRC)は建設許可を保留。原発建設に出資する肝心の投資家も決まっていない。

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