鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

カテゴリ: 34 日本経済

平成という区切りで日本の金融状況を追ってみましたが、「平成」という区切り方になんの思想性も区切りとしての合理性もないので、なんの意味もありません。
あったのは、規制緩和の名のもとにひたすら格差社会が広がっていただけ、それを誰も見咎めることなく呆然と見守っていただけ、それだけの30年でした。原発村の町会議員のごとく、全員共犯です。

1989年(平成元年)
4月 消費税3%導入
5月 日銀、バブルに対し金融引き締め開始。9年ぶりの公定歩合引き上げ
6月 天安門事件発
11月 独ベルリンの壁崩壊
12月 日経平均株価が3万8915円の史上最高値。
12月 土地基本法公布。金融機関の不動産融資を制限する総量規制を提示。

1990年(平成2年)
1月 株価の暴落。4月までに1万円を越す下げ。並行して円安も進行する。円安・株安・債券安のトリプル安と呼ばれる。地価の高騰だけは止まらず。
3月 大蔵省、不動産関連融資の総量規制を受け入れる。不動産向けの貸し出しを総貸し出しの伸び率以下に抑える。このあと一気に土地バブルが弾ける。
4月 三井銀行と太陽神戸銀行が合併し、太陽神戸三井銀行(後のさくら銀行)発足。
8月 第5次利上げで公定歩合6%に。

1991年(平成3年)
5月 地価税法公布
6月 四大証券による損失補?発覚。野村証券会長が辞任。
7月 景気後退に対応し、公定歩合引き下げ開始。 
4月 富士銀行で総額2570億円の架空預金証書が発覚。その後協和埼玉、東海銀行でも相次いで発覚。
8月 大阪の料亭女将が架空預金証書を担保に3400億円の詐欺。興銀グループからも2400円の融資を受ける。(尾上縫事件)
10月 東邦相互銀行(松山)が経営破綻。伊予銀行の救済合併に際し、預金保険機構が初の資金援助。
11月 宮澤喜一内閣発足
12月 ソビエト連邦消滅
91年 この年はバブル放火による金融スキャンダルが続出。イトマン疑惑で住友銀行会長が辞職。
91年 住専の経営破綻が表面化。住専7社の貸付金は4割が不良債権化。

1992年(平成4年)
1月 地価税実施
3月 東証平均株価2万円割れ。景気減退が止まらず。
3月 地価が公示される。91年の全国平均地価は17年ぶりの下落。この後急速に住宅バブルは崩落する。
3月 大手21行の不良債権は総額8兆円とされる。株価1万円がデッドラインとされ、それを切ると含み益ではカバーできなくなる。
6月 平均株価、1万6千円を割る。
7月 大蔵省の直轄の住宅ローン会社である住専の不良債権が表面化する。
この問題は膨大なので、別掲する。
8月 日銀、金融機関の不良債権が40兆円以上、総貸出残高の7%と試算。公的資金の投入を促す。大蔵省は含み益が尽きるまで公的資金は発動しないとする。
8月 宮沢首相は株価が1万4千を割れば東証一時閉鎖も考える。経団連や日経連は銀行バッシング継続を主張。
8月18日 平均株価が14,300円まで下落。大蔵省は「金融行政の当面の運営方針」を発表。株価対応、融資対応力の確保、不良資産処理の三本柱。公的資金には触れられず。
8月30日 宮沢首相の軽井沢講演。公的資金投入論を主張。「政府は銀行を救済するのではない。国民経済の血液たる金融システムを安定させるのは政府の責務だ」
9月 経済団体は宮沢講演に対して一斉反発。
11月 米大統領選でビル・クリントン勝利

1993年(平成5年)
2月 住専問題が公然化。住専7社の中で日住金の経営が申告となる。農林系金融機関の融資が4割を締めたことから、銀行局長と晨水省経済局長の間で「覚書」が交わされる。
5月 Jリーグ開幕。釜石信金か自主再建断念し、岩手銀行に営業譲渡
6月 皇太子ご成婚
7月 東京サミット開催
8月 非自民8会派による細川護熈内閣発足
9月 記録的冷夏でコメを緊急輸入。
公定歩合史上最低の1.75%に引き下げ

1994年(平成6年)
4月 羽田孜内閣発足
6月 北日本銀行、徳陽シティ・殖産銀行との3行合併を白紙撤
   回。
東京外為市場で1ドル= 100円突破。
自社さ3党連立による村山富市内閣発足
10月 流動性預金金利を自由化(金利自由化完了)
12月 東京協和・安全両信用組合破綻。受け皿銀行設立を発表。
   松下康雄日銀総裁就任

1995年(平成7年)
1月 阪神・淡路大震災
3月 地下鉄サリン事件。東京共同銀行が営業開始
4月 東京外為市場で1ドル= 79.75円と史上最高値。公定歩合
   1.0%に引き下げ
6月 大蔵省、「金融システムの機能回復について」を発表
7月 東京都、コスモ信用組合に業務停止命令
8月 大阪府、木津信用組合に業務停止命令。兵庫銀行破綻処理
9月 大和銀行ニューヨーク支店で巨額損失。公定歩合0.5%に
   引き下げ
11月 米銀行監督局が大和銀行に米国からの撤退命令
12月 住専処理策を決定。一般会計から6850億円支出

1996年(平成8年)
1月 橋本龍太郎内閣発足
3月 太平洋銀行破綻。受け皿にわかしお銀行新設
4月 東京三菱銀行発足
6月 住専処理法、金融三法成立
11月 米大統領選でビル・クリントン再選。橋本首相、「日本版
   ビッグバン」指示。大蔵省、阪和銀行に業務停止命令

1997年(平成9年)
4月 北海道拓殖銀行と北海道銀行が合併で合意。
日債銀「奉加帳」救済決定。
消費税率、5%に引き上げ。
大蔵省、日産生命保険に業務停止命令、戦後初の生保破綻
6月 改正日銀法、金融監督庁設置法成立
7月 タイ通貨パーツ暴落.アジア通貨危機
9月 拓銀と北海道銀行、合併延期を発表
10月 福徳銀行となにわ銀行が合併を発表。
京都共栄銀行か経営破綻し、幸福銀行に営業譲渡へ
11月 三洋証券、東京地裁に会社更生法の適用申請。
北海道拓殖銀行か経営破綻、北洋銀行への営業譲渡を発表。
山一証券か自主廃業、日銀特融発動。
徳陽シティ銀行が破綻、全国で取り付けらしき騒動。
財政構造改革法成立
12月 行政改革会議、1府12省庁への再編を最終報告。
自民党、金融システム安定化のための緊急対策(公的資金)決定

1998年(平成10年)
1月 東京地検か大蔵省金融証券検査官室長らを逮捕。三塚蔵相
   ら辞任
2月 改正預金保険法、金融機能安定化緊急措置法成立。長野オリンピック開催
3月 東京地検、大蔵省証券局総務課課長補佐らを収賄容疑で逮
捕。
金融危機管理審査委員会か大手21行への資本注入を決定。
東京地検、日銀営業局証券課長を収賄容疑で逮捕。松下日銀総裁辞任
4月 速水優総裁の下で改正日銀法施行。
6月 日本長期信用銀行の経営不安表面化。金融監督庁が発足。
   住友信託銀行と日本長期信用銀行が合併交渉入りで合意
7月 参院選で自民党大敗。小渕恵三内閣発足、蔵相に宮澤喜一
元首相
8月 ロシア経済危機、ルーブル切り下げ
9月 与野党が長銀の「特別公的管理」で合意
10月 金融再生法、金融機能早期健全化法等成立。長銀の一時
国有化決定
12月 日債銀の一時国有化決定。金融再生委員会か発足

1999年(平成11年)
1月 欧州単一通貨「ユーロ」導入。三井信託銀行と中央信託銀
   行が合併で合意
2月 日銀、ゼロ金利政策導入決定
3月 金融再生委員会、15行に公的資金注入
4月 整理回収機構発足。国民銀行が経営破綻、幸福銀行も6月
   に破綻
6月 東邦生命保険が自力再建を断念。東京地検が旧長銀経営陣
   3人を逮捕
7月 中央省庁等改革関連法成立。東京地検が旧日債銀経営陣3
   人を逮捕
8月 日本興業銀行、第一勧業銀行、富士銀行が経営統合で合意
10月 住友銀行とさくら銀行か対等合併で合意
12月 与党3党がペイオフ解禁延期を決定

2000年(平成12年)
3月 長銀の国有化終了、外資ファンドに売却
4月 小渕首相倒れる。森喜朗内閣発足
5月 第一火災海上保険に業務停止命令
6月 初の南北首脳会談
7月 金融庁発足。そごう破綻、民事再生法適用を申請。沖縄サ
   ミット開催
8月 日銀、ゼロ金利解除。 10年ぶりの利上げ
9月 日債銀国有化終了。みずほホールディングス誕生
10月 新潟中央銀行か経営破綻。
三和銀行、東海銀行、東洋信託銀行が経営統合発表。
千代田生命、更生特例法の適用申請
11月 米大統領選でジョージ・プッシュ勝利

2001年(平成13年)
1月 中央省庁再編、1府12省庁体制に
3月 政府、月例経済報告で初の「デフレ宣言」。
日銀か量的緩和政策の採用を決定
4月 三井住友銀行か誕生。小泉純一郎内閣発足
7月 参院選で自民党圧勝
9月 米同時多発テロ事件
10月 米国がアフガ二スタンに侵攻

2002年(平成14年)
1月 UFJ銀行発足
4月 ペイオフ一部解禁(定期預金)
5月 サッカーワールドカップ日韓大会
9月 小泉首相訪朝。
日銀、銀行保有株の買い取り決定。
内閣改造で金融担当相に竹中平蔵氏
10月 竹中大臣がペイオフ本格解禁の再延期を発表。「金融再生
   プログラム(竹中プラン)」決定

2003年(平成15年)
3月 福井俊彦日銀総裁就任。
イラク戦争開戦
5月 外為市場で大規模介入スタート、日銀の量的緩和拡大。
初の金融危機対応会議、りそな銀行への公的資金注入決定
11月 金融危機対応会議で足利銀行の一時国有化を決定

2004年(平成16年)
1月 陸上自衛隊イラク派遣
3月 円売り・ドル買いの大規模為替介入終7
6月 金融庁、検査忌避などでUFJに業務改善命令
8月 UFJと三菱東京か経営統合で合意
10月 新潟県中越地震
11月 米大統領選でジョージ・ブッシュ再選

2005年(平成17年)
4月 ペイオフ本格解禁。 JR福知山線脱線事故
9月 衆院選(郵政選挙)で自民党圧勝
10月 三菱UFJフィナンシャル・グループ発足


2006年(平成18年)
1月「ライブドア」粉飾決算事件
2月 グリーンスパンFRB議長退任、バーナンキ議長就任
3月 日銀が量的緩和の解除を決定
7月 日銀が短期金利の誘導目標引き上げ。 6年ぶり利上げ
8月 日銀、公定歩合の呼称をF基準割引率および基準貸付利
   率」に変更
9月 安倍晋三内閣発足

2007年(平成19年)
2月 日銀が短期金利を追加引き上げ
6月 米国などで初代iPhone発売
7月 参院選で民主党が勝利し、「ねじれ国会」に
9月 福田康夫内閣発足
10月 郵政民営化による「日本郵政グループ」発足

2008年(平成20年)
3月 FRBが米証券ベア・スターンズ救済。 
日銀総裁空席に。4月に白川方明総裁就任
7月 最高裁が長銀事件で旧経営陣3人に無罪判決
8月 北京オリンピック
9月 リーマン・ブラザーズ破綻で「リーマン・ショック」発生。
FRBが保険最大手AIGを救済。
麻生太郎内閣発足
10月 大和生命保険が経営破掟
11月 米大統領選でバラク・オバマ勝利
12月 FRBがゼロ金利導入、量的緩和第1弾(QE1)
12月 大企業の資金調達が途絶える。CP(コマーシャルペーパー、大企業の振り出す無担保の短期約束手形)の買い手がいないとことから、日本政策投資銀行が買い入れに動く。

2009年(平成21年)
1月 発行企業の信用力を表すスプレッド(国債に対する上乗せ金利)は急拡大し、企業の起債が困難になる。
3月 日経平均株価がバブル後最安値7054円
3月 日銀がCPと社債の買いオペを発動。スプレッドが縮小し、起債が容易となる。
8月 衆院選で民主党圧勝、鳩山由紀夫内閣発足へ
11月 政府が戦後2回目の「デフレ宣言」。中小企業金融円滑化法成立

2010年(平成22年)
1月 日本航空が会社更生法適用申請。欧州債務危機が広がる
3月 日銀による社債買い取りがいったん終了。
6月 鳩山首相退陣、菅直人内閣発足
7月 参院選で民主党が過半数割れ
9月 日本振興銀行が破綻、初のペイオフ発動
10月 日銀「包括緩和」導入。資産買入等基金を創設
11月 FRBが量的緩和策第2弾(QE2)
この年、中国がGDP世界2位、日本3位転落

2011年(平成23年)
2月 日銀、中長期的な物価安定の目途(当面1%)を導入
3月 東日本大震災、福島第一原発事故
8月 東京外為市場でIドル=75円95銭の戦後最高値更新。
東京高裁が日債銀事件で地裁判決を破棄し、3人の逆転無罪が確定
9月 野田佳彦内閣発足
10月 東京外為市場で1ドル=75円32銭の戦後最高値更新

2012年(平成24年)
1月 FRBが年2%をゴールとするインフレ目標を導入
5月 東京スカイツリー開業
8月 3党合意に基づく消費増税法案が成立
9月 FRBが量的緩和第3弾(QE3)
10月 政府・日銀が初の共同文書
n月 米大統領選でバラク・オバマ再選
12月 衆院選で自民党大勝。安倍晋三内閣発足

2013年(平成25年)
1月 2%物価目標を柱とする政府・日銀の共同声明
3月 黒田東彦日銀総裁就任
4月 異次元緩和(量的・質的金融緩和)スタート
7月 参院選で自公圧勝。[ねじれ国会]解消
8月 財務省、国の借金か1000兆円を超えたと発表
12月 訪日外国人が年間1000万人を突破

2014年(平成26年)
4月 消費税率、8%に引き上げ
6月 欧廾[中央銀行がマイナス金利導入
10月 FRB#量的緩和政策終了。 
日銀が量的・質的緩和を拡大
12月 安倍首相が消費税率引き上げの延期を表明。衆院選で自
   公圧勝

2015年(平成27年)
3月 欧州中央銀行か量的緩和導入
7月 東芝の不適切決算処理が発覚
12月 FRBが短期金利を引き上げ

2016年(平成28年)
1月 日銀がマイナス金利付き量的・質的金融緩和を決定
2月 長期金利が史上初のマイナスに
4月 熊本地震
5月 伊勢志摩サミット。安倍首相が消費税率引き上げの再延期
   を表明
6月 英国民投票でEU離脱が多数占める
7月 参院選で自公勝利。
日銀が「総括的検証」。
イールドカーブ・コントロール導入
8月 天皇が「お気持ち」表明、生前退位へ
11月 米大統領選でドナルド・トランプ勝利

2017年(平成29年)
7月 九州北部豪雨で40人超の死者・行方不明者。
北朝鮮が核ミサイル開発を加速
10月 衆院選で自公勝利。 
FRBが資産圧縮を開始

2018年(平成30年)
4月 黒田東彦日銀総裁再任。日銀か展望レポートから2%物価
   目標の達成時期を削除
6月 米朝首脳会談
7月 日銀「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」導入
9月 北海道胆振東部地震
11月 東京地検、日産自動車のカルロス・コーン会長を逮捕
12月 欧州中央銀行か量的緩和政策終了

2019年(平成31年)
1月 基幹統計である毎月勤労統計の不正調査か発覚
3月 みずほFGが19年3月期に6800億円の損失計上

本日の赤旗には投機マネーの最近の動向に関する注意喚起みたいな文章が載っている。

これも昨日の記事と同じで、どうも絞まりが悪くて何を言いたいのかよくわからない。学生のレポートのようだ。

見出しは
主見出し: 資産運用業で膨張
横見出し: 金融市場揺るがす投機マネー
中見出し: 規制と課税 両面から対策必要

ということになっていて2,3年前の記事の見出しのようだ。

見出しの意味は、こういうことのようです。

1.主見出し「資産運用業で膨張」の意味

巨額の投機マネーが、もともとあった資産運用業に流れ込んだ。
このために資産運用業の資金が膨れ上がり、投機的性格が強まった。

IMF報告書は、「資産運用業が本来は個人投資家や年金基金などから資金を預かり運用する金融業者である、つまり比較的硬い営業をしていたのが、最近は実態が不透明になってる」と指摘している。

これが主見出しの「資産運用業で膨張」という言葉の意味だ。

2.横見出し「金融市場揺るがす投機マネー」の意味

このあたりから論旨がフラフラして、話の筋道が見えなくなってくるが、要するに

* 資産運用会社が、膨れ上がった遊休資金を飲み込んだ。

* これらの運用会社が国際金融市場の主流を占めるようになった。

* 同時に彼らが“ちょいヤバ”の運用を始めた。

ということのようだ。

この間にブラックロック社の説明が入ったり、日本のメガバンクが資産運用会社への参画を目指しているという話が入ったり、ケイマン諸島に眠る資金の説明が入ったり、とにかく知ったかぶりの余分な説明が多すぎる。

もう一つ、この記者は資産運用業と投資ファンド、投機資本などの言葉をあまり規定せずに使っているが、これでは何が良くて何が悪いのやらわからない。

それで、金融市場をどのように揺るがしているのかという話だが、これについてはただの1行も触れられていない。

書き出しのところにこう書かれているのみだ。

2月半ばからの金融市場の動揺は、この資金の流れがコロナ危機で「逆流」したものです。

これではなんのことやらさっぱりわからない。説明すべき事柄を前提に話を進められても、こちらとしては返事のしようもない。

3.中見出し「規制と課税 両面から対策必要」の意味

ここでも規制と課税の意味があまり説明されていない。

規制というのは違法性の高い高速取引を発生現場で見つけ、それに課税することで違法取引を抑制しようというもの。

課税というのはタックスヘイブンを利用した税逃れをしっかり取り立てようということである。ある意味では事後的な手続きだ。

ただ両方とも課税手続きを介している手法なので、規制と課税という表現はやや紛らわしい。



2019年06月17日 資産運用の「3巨人」

を参照されたい。


拾った日経新聞日曜版

昨日医局のゴミ箱で捨てられた日経新聞日曜版を拾って読んだ。まさに拾い読みだ。誰も読んだ様子はない。

日曜版の良いのは相場面がないことで、全編読み物で、赤旗日曜版並みの情報量である。クォリティははるかに高い。

サラッと書き留めておく。

1.の「チャートは語る」という連載もの 資金吐き出す株式市場/ 自社株買いが増加/ 過去5年間で通算200兆円、調達額を上回る/
の3本見出し

世界の上場企業は株式発行による調達を減らす一方、市場から株式を買い上げる自社株買いを増やしている、18年には150兆円に達した。

株式発行との差額は5年間の累計で200兆円になった。この傾向は20年前から始まっている。

自社株買いについては3面に解説記事がある。

企業が自社株を買い取ると、この株は議決権がなく配当も支払われない。場合によっては償却されることもある。
これによって企業は配当金を節約でき、何よりも安全性を買うことができるようになる。投資家にとっても一株あたりの利益が改善し、それが配当増となって跳ね返ることになる。
株が金庫に塩漬になれば、それは株式交換などで「現金」化され、M&Aやマネーゲームのチップとなっていく。これはかなり犯罪に近い運用だ。

自社株買いという事態は株式市場にとって2つの意味を持っている。短期的には大量の買いが市場を支えているという側面、長期的には株式市場が徐々に収縮し意味を失いつつあるという側面だ。

ではこのような傾向がどうして生じたのか。

記事ではいくつかの要因を上げている。

① 企業が投資に慎重になり、余った金を還元しようとしている。株主も価値の希薄化につながる増資を嫌う傾向がある。

② 投資マネーが株式から債券へとシフトしている。株式による資金調達額は、この10年間で2割減少している。スタートアップ企業も未公開のままファンドから資金を調達できるようになった。

③ 産業構造の変化が進み、設備投資など多額の資金需要が減少している。



記事はこう結んでいる。

資本主義を支えてきた株式市場は、その存在意義を問われるようになっている。

ちょっと言い過ぎの気もするが…

ヤマト生命の項目では書ききれなくて、無理に突っ込んでも汚くなるので、別項にしました。
生命保険会社がこれだけ破綻していたとは知りませんでした。迂闊でした。
嫁さんの生命保険が意外に多かったのですが、昔は条件が良かったのだそうです。それだけ保険会社がつらい思いをしているのだということがわかりました。

1997年4月 日産生命が破綻。戦後初の生保破綻となる。超低金利から運用利回りが下がり、逆ざやが発生した。

1999年6月 東邦生命が破綻。債務超過額 は6,500億円。

2000年5月 第百生命が破綻。

2000年8月 大正生命が破綻。受け皿会社であるあざみ生命保険株式会社が設立された。

2000年10月 千代田生命が破綻。超過債務は 5,975億円。

2000年10月 協栄生命が破綻。超過債務は最大の 6,895億円。

2001年3月 東京生命が破綻。戦後7番目の生保破綻となる。その後金利、株価が上昇し、生保業界の財務内容が改善。

2002年4月 大和生命保険株式会社として出発した。株式会社の組織形態取得を目的とした操作。生保の株式会社化として話題になる。

株式会社は資金調達が容易で、M&Aが展開できるメリットがある。一方でハイリスク・ハイリターンな経営に向かう危険を持つ。

2002年 大同生命、2003年に太陽生命、2004年に三井生命が株式会社化。

2008年10月10日 中堅生保の大和生命が破綻。7年ぶり、8番目の生保破綻となる。サブプライムローンを抱え債務超過におちいる。

2010年4月 第一生命が株式会社化。株主数は137万1000人で、NTTの103万人を上回る。

経過を詳しく分析した研究として
が挙げられる。
ここではヤマト生命の資産運用の特徴として、
1.有価証券の割合が高く貸付金・不動産・動産の割合が低い
2.有価証券の中でも株式と外国証券の割合が高く、公社債の割合は低い。
3.株式の中でも株式投資信託や不動産投資信託、デリバティブや仕組み債などの比率が高い。
また人材としても、経営トップに異色の元大手証券会社の出身者をすえるなど型破りだった。

その上で、著者はこのままでは業界全体がジリ貧に陥る。経営の長期安定を考えれば株式会社化は必然である。そのうえで生保会社としてのモラルをどう担保するかを考えるべきだと主張している。

大和生命保険は、かつてあった生命保険会社である。
“だいわ”ではなく、“やまと”と読む。

1889年9月20日に創業。当初の社名は日本徴兵保険株式会社であった。

徴兵検査に合格して兵営に入営すると経済的不利益を生じる。安穏に家庭業務に従事しているものから一定の金額を醵出させるべきと考えた。こうして徴兵保険が考え出された。
大手は4大徴兵保険と呼ばれた。それは
第一徴兵保険→東邦生命、富国徴兵保険→富国生命保険、日本徴兵保険→大和生命、国華徴兵保険→第百生命である。

1945年終戦とともに、10月に日本徴兵保険が大和生命株式会社に改称。

1947年10月 大和生命保険相互会社に組織変更した。その後も「ヤマト生命」の通称は残された。

2000年8月、大正生命保険株式会社が破綻。大和生命はソフトバンクと組んで、大正生命の受け皿となる。

2001年2月21日 - ソフトバンク・ファイナンスと折半出資で、「あざみ生命保険株式会社」を設立。大正生命保険の受け皿会社となる

ここからはウルトラCの離れ業。ウィキペディアの記載では複雑すぎてよくわからない。

2001年7月1日、あざみ生命保険株式会社に、大和生命の営業を譲渡し、財産の管理を委託した。

2002年4月1日に、あざみ生命保険株式会社と合併。此処から先が小細工。
あざみ生命を存続会社とし、大和生命保険相互会社を消滅させる。同時にあざみ生命の商号を大和生命保険株式会社に変更する。結果として相互会社から株式会社への組織変更。

2008年

9月 リーマンショックの影響から114億円の債務超過となり、経営破綻。最終的に債務超過額は643億まで膨らんだ。リスクの高い投資が多かったとされる。

10月10日に、会社更生の手続きを開始。東京地方裁判所に更正特例法申請を提出した。

2009年

4月 米国プルデンシャル・グループのジブラルタ生命が69億円を出資することで合意。

ジブラルタは地中海のジブラルタル海峡にある岩山、「ジブラルタ・ロック」から命名されたもの。岩山のように安全というのが謳い文句。
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4月30日、更生計画の認可が決定。ジブラルタ生命の完全子会社となる。

6月1日 更生手続が終結。社名はプルデンシャル・ファイナンシャル・ジャパン生命保険株式会社へ変更される。この社名変更もきわめて複雑である。その理由は、持株会社であるプルデンシャル・ファイナンシャル・グループそのものが、きわめて複雑な構造になっているからなのだが、これ以上の解説はしない。

(日本)ジブラルタ生命とは別会社である。こちらの前身は2000年に経営破綻した協栄生命保険である。こちらは(本家の)ジブラルタ生命とは関係なく、プルデンシャル米国本社が買収し、事業を承継している。

2010年4月1日、プルデンシャル・ジブラルタ・ファイナンシャル生命保険(The Prudential Gibraltar Financial Life Insurance Co., Ltd)に商号変更する。ジブラルタ生命との資本関係を明確化することを目的とする。

2013年4月からは、「PGF生命」を社名の略称として使用している。銀行窓販チャネルに特化した営業を行い、ジブラルタ生命との棲み分けを行っている。


西野智彦 「平成金融史」がめちゃめちゃに面白い

わからない言葉だらけで、読んでいても意味はよくわからないのだが、おそらくは多少の想像やフィクションも織り交ぜた「関係者の発言」が散りばめられ、これが筋の運びを面白くしている。

西野さんの平成観は、次の言葉に尽くされている。
昭和の負の遺産にもがき苦しみ、痛みを散らしつつ、抜本的治療を令和に先送りしたのが平成だった気がします。
それが副題のごとく「バブル崩壊からアベノミクスまで」という言葉に込めた実感なのだろう。

私の読後感

とくに1997年の危機を消費税+アジア通貨危機の複合と見ていたのが、実は当時の日本の金融構造が本質的に持っていた弱点の爆発したものだということが実感できた。

また2001から02年の第二次金融危機が、97年危機よりはるかに深刻であったこともわかった。

資本主義における市場問題は新たなステージに

本そのものへの感想とは離れてしまうが、いま実感として思っていることがある。

それは、資本主義における「市場」構造が新たなステージに入っているということである。

マルクスが商品市場に対して、その上位に来るもう一つの市場、すなわち信用市場を示唆したことの重要性はつとに指摘されているが、現在ではすでに市場の決定権は信用市場に移っており、商品市場は従属的な機能を受け持つに過ぎなくなっている。

つまり商品の生産機能はすでに飽和状態に達しており、需要に対して(予備脳を含めた)供給のバランスは不可逆的に過剰化しているということだ。

株式市場・債券市場・為替市場と「信用市場複合体」

そして、マルクスが信用市場と呼んだ新たな市場は、今や金融市場=銀行資本の競争のレベルをはるかに超えている。

それが株式市場であり、債券市場であり、為替市場だ。この3つの市場がおたがいに絡み合いながら「信用市場複合体」を構成していると見るべきだろう。

多国間協調主義 vs 信用市場複合体

これら3つの市場に対して、人々は総力戦を挑まなくてはならない。その機能はほぼ国家の手に集中しつつある。

そのことが「平成金融史」でとても良くわかる。97年はまさに「金融史」にふさわしく銀行や金融機関の倒産や債務整理などが中心だが、後半に入れば主要な関心は日銀、通貨、株価へと移っていく。「金融」は気息奄奄となり、物価・賃金・財政赤字などはまったく背景と化している。

つまりある意味で帝国主義戦争の時代の再現とも言える。そういう時代に多国間協調路線(マルチラテラリズム)は今後の展望を切り開いていくことができるのであろうか。

国際連帯運動はその地平を切り開いていくことができるのであろうか。ここを大いに語り合っていきたいものである。

衆院予算委員会での志位委員長の質問は胸のすくものであった。
ところで
帰属家賃の問題で、茂木経済財政担当大臣がほぼほぼ横槍答弁といえる不規則発言を行っている。
おそらく志位質問でこの話が出てくるのを知って、事務方で準備したのであろう。
とくとくと喋って、野田委員長から注意を受けている。
中身はまったくの揚げ足取りだ。帰属家賃を家計消費支出から抜いたことについて、質問趣旨と関係ない反論をながながと語るだけだ。

帰属家賃はまったく架空の支出で、国際比較上入れているだけの数字だ。
国内で経年比較する際には、むしろ事実を捻じ曲げる可能性がある。だから入れないほうが良いのである。

世界百科事典ではこう書かれている。
ある財を生産するための費用は,その財を生産したために蒙ったこのような犠牲の大きさではかる。
たとえば自分の持家に住んでいる人は,自分の家を他人に貸した場合に得られるはずの家賃収入(帰属家賃)を犠牲にしているので,その分だけの住居費がかかっている,と考える。これが機会費用の概念である。…
つまり、不況下であっても住宅バブルになれば上がってくる数字なのだ。
したがって、家計支出が下がっているにもかかわらず帰属家賃があっているのなら、それは貧富の差が進み、住宅バブルが進行したことの表現なのだ。

だから質問の趣旨に真摯に答えようとするなら、茂木大臣はこう語るべきだった。もちろん語ろうとはしないだろうが…
家計消費支出が消費税引き上げ後も伸びているように見えるが、これは「帰属家賃」という架空の支出が増えただけであり、消費の実態としては志位さんの言うように縮小している。
「帰属家賃」が増えたのは、内需縮小の結果住宅バブルが進行し、家賃が上昇したからである。それは富の一部階層への集中が進んでいることの反映である。
このことについては一度、茂木大臣を糺しておくべきであろう。



2ヶ月前にアップされた技術戦略研究センターレポートからの要約である。とてつもない努力で、精一杯優しく書かれているから、なんとかジジーにもついていける。ありがたい話だ。

1. AI 技術の開発経緯

IoT(Internet of Things)
物事がデジタルデータとして情報化され、インターネットによって結びついてゆく技術
CPS(CyberPhysical Systems)
身の回りの実空間とこれに対応するデータによるサイバー空間とが連結したシステム

を中軸としたAI 技術の開発が進んでいる。中でも注目されるのがディープニューラルである。
2010年頃からディープニューラルネットワークが開発された。“隠れ層” をさらに増やし、ニューロン数を数百万以上にまで高めることで、高い能力を発揮している。

このネットワークによるディープラーニングは、あの「アルファGO」のように名人を打ち負かすほどの能力を持つようになった。

これを可能にしたのはGPU (画像処理チップ) であった。GPUは元々グラフィックス用の演算チップだが、その高並列演算機能が汎用計算にも適用できることが見つかり、応用・改良が進んでいる。

2. ニューロンモデルの説明

現在使われているコンピュータはノイマン型コンピュータと言われ、プロセッサとメモリに分かれている。
メモリ中にプログラムとデータが蓄えられ、プロセッサはそこからプログラムを逐次読み出す。ついでその命令コードにしたがってメモリ中のデータを処理する。

メモリとプロセッサは伝達経路である「バス」によって結合されているが、このバス結合が隘路となってコンピュータの実行速度を落としている。これを “ノイマン・ボトルネック” という。

このボトルネックをどう回避するかが問われてきた。
ニューラルネットワークはメモリ=プロセッサ構造を破棄することで、ボトルネックそのものをなくしてしまうという発想だ。

下の図が概念図で、上段が動物のニューロン、中段がこれを図式化したニューロンモデルだ。そしてこれをネットワークに編み上げたのか下段になる。
ニューラルネットワーク2
説明を読んでもさっぱりわからないが、絵を見ていると感じはつかめる。
「神経細胞はシナプスの結合強度を記憶する」と書いてあるから、むかしの伊東ゆかりの「小指の想い出」♭あなたが嚼んだ、小指が痛い~ ということなのだろう。

その後の経過は省略する。

それで脳型コンピュータへの転換は、一つのゴールなのかと思ったらそうではない。
下の図のように、そのお次には「量子コンピュータ」が控えている。
量子コンピュータは、計算単位として、0または1または量子力学的な重ね合せ状態を確率として持つ量子ビット(Qubit)を用いる。現在、量子コンピュータはその適用範囲を含めて各国で研究開発が進んでいる。
のだそうだが、そんなことは分かる必要はない。さすがに、そこまで生きていることはないだろう。

3.コンピュータの世代区分

歴史区分が何通りもある。西洋史年表と東洋史年表を重ね書きしたみたいなものだ。この図はそこら辺の関係がうまく書き分けられている。覚えておいたほうが良さそうだ。
AIを支えるコンピュータの分類
いまの先端研究の立ち位置は、ノイマン時代を越えて、非ノイマンに入ったところ、脳型コンピュータではあるが、古典ニューラルネットワークとニューロモーフィックの混在する時期にあるようだ。

4.技術開発競争の動向

AIを支えるハードウェアの市場規模は2020年以降から大幅に増加するだろうと言われている。予測では2025年の世界市場が約6.7兆円となるのだそうだ。まさに巨大市場であるが、それ以上に安全保障をふくめて国家の生死を決めるような技術となる可能性がある。
脳型コンピュータの特許
特許争いも熾烈となっており、目下はとくに脳型(ニューロモーフィック)コンピュータが主戦場となっている。2010年ごろから出願数が激増しているが、ただし日本はお呼びではない。
日本の産業トップと経産省がいかに日本をだめにしたかがよく分かる。対米従属と内部留保に血道を上げた結果がこのザマだ。

結果的には黒田総裁は正しく、財務省は間違っていたということになる。
しかし黒田総裁さえも異次元緩和すればインフレが来ると思っていたのだから、五十歩百歩というべきかも知れない。
日本の人口減は、高齢者へのいじめと脅しのキャンペーンを伴っているから、団塊世代は財布の紐を縫い付けてしまった。
1億持っていても、2億でも、もうびた一文も出さない。なぜなら、富裕層の意のままとなってしまった日本という国をもはや信頼していないからだ。
藤井財務相が、消費税引き上げのときに「かならず消費水準は戻る」と言ったが、まったくの誤りだった。消費マインドの冷え込みはもはや構造的なものとなっている。
藤井さんに同情していうなら、団塊の世代にとっては「そういう問題ではない」のだ。財務省幹部は土下座して、見通しの甘さを謝るべきだ。
おそらく団塊の世代が持っていた最大の資産は「欲望」であったろう。
今やその「欲望」は霧消した。団塊の世代が持つ莫大な資産は、致富欲以外の「欲望」を持たないゾンビ貨幣となり、成仏できずに世の中をさまよう。市場撹乱因子だ。
「高齢化社会論」で老後の生活に危機煽りした人間が、実は「欲望」の危機に対して一番鈍感だったということだ。
これをまっとうな資産として生き返らせる唯一かつ単純な方法は、社会保障の改善である。老後が保障されれば彼らは金を出す。少なくとも「リスクオン」のポジションをとるはずだ。「だって墓場まで金を持っていっても仕方ないじゃん」からである。

1.大企業と彼らの政府は「恐慌」には興味がない
リーマン・ショック後の10年を年表にしようと思ったが、とても難しい。ファクトが多すぎて取捨選択が困難である。
当初は金融危機の形をとったが、むしろ「2008年世界恐慌」というべきかも知れない。
だから、年表を作るに際しては戦前の「大恐慌」を念頭に置かなければならない。
あの大恐慌はブラックサーズデーに始まり、ファシズムの世界席巻へと発展し、1945年の枢軸国の無条件降伏をもって終わった。
その間に大量失業と飢餓、労働者の抵抗の増大と不寛容化、国際協定の破棄と国際秩序の崩壊が続いた。金融寡占層とその政府はこれらの動きに策を持たず、そもそも関心がなかった。

2.財務省のノーテンキぶり
いま読んで呆れるのが、財務省が2011年5月18日に発表した「国際金融システム改革の主要課題」というレポートで、およそ危機感がまったく感じられない文章である。
1.透明性の向上、国際的スタンダードの確立
2.金融監督の強化
3.国際的な資本移動への対応
4.安定的な為替相場制度の確立
など8本の課題が列挙されているが、どこが問題か、なぜそれが問題なのかは触れられない。
これが東北大震災の2か月後の財務省の状況である。欧州が金融危機のただ中にあり、アラブで民衆の抗議の声が巻き起こり、世界が羅針盤を失い漂流を始めた時点での財務省の認識段階だ。

前の記事の2つの図で11年5月を眺めてほしい。財政出動は何故か腰砕けに終わり、金利は不況下で高止まりし、要するにポジションがまったく感じられない。

3.国連の認識ははるかに深刻だった
同じ時期、国連に提出された「国際金融システム改革に関する報告書」(スティグリッツ報告 2009年9月)はリーマン・ショック後の世界に対するはるかに厳しい認識を示している。
抄出すると…

第二次大戦後最大の危機であった。
①金融市場の心臓部で発生し、世界に拡散した。
②金融危機として始まり、経済危機、社会危機へと拡散した。
③強者が救われ弱者が切り捨てられ、格差が拡大した。

経済主体の力の「非対称性」の拡大
①情報、技術、資金における圧倒的な格差
②その結果、悪しき「権力の集中」が発生
③ブレトン・ウッズ体制の制度疲労

それは市場原理主義の破綻であった。
①金融機関のガバナンス機能の崩壊
②国際金融組織によるフィードバックの欠如
③誤った政策発動
が被害を拡大した。

スティグリッツは当時を振り返りつつ以下のように述べている(2017.10)
リーマンショックに始まった金融危機・ソブリン危機は、その根底において「過剰生産恐慌」である。恐慌を生み出した原因は市場主義経済にある。
サマーズの「長期停滞論」は半分正しい。「先進国は過剰な設備や貯蓄を抱えており、投資機会が存在しない」というのは正しい。しかし「公共インフラ投資や規制緩和などが必要」というのは間違いだ。なぜなら、設備や貯蓄はそれ自体が過剰ではなく、過小消費がもたらした相対的なものだからである。そして過小消費は、所得格差の拡大により構造的に消費冷却がもたらされたために生じているのである。
標準的な市場経済はもはや不能に陥っている。それが社会にも悪影響を及ぼしている。
市場経済は、それ単独では効率的でもなく、安定したものでもないことが証明された。市場原理主義は、経済上の強者は交通信号を守らなくてもよいという主張にほかならない。(要旨)
これらの発言が資本論の中にあったとしても誰も驚かないだろうと思う。

以下は三井住友銀行の森谷亨さんの談話。森谷さんはリーマンショックをはさむ10年間、ニューヨーク拠点でエコノミストを務めた方である。

07年の初め、サブプライムローンを担保にした「不動産担保証券」と米国債の利回り格差が急拡大した。振り返ると、これがショックの予兆であった。
しかしFRBや米政府もふくめ、みんな事の重大さに気付いていなかった。サブプライムローンの市場規模は実体よりはるかに小さく見積もられていた。
08年3月 ベアー・スターンズが経営破綻。しかしまだ危険は認識されずリスクテイカーの破たんとしてスルーされた。
そして9月、リーマンショックが発生した。その直後、エコノミストはドルの資金繰りをどうするかに集中し、原因の分析は疎かにされた。

1990年代以降の金融資産はデリバティブにより複雑化されている。しかし、ふだんから注意深く眺めていれば必ず見つけられるはずだ。

例えば、問題の一つはサブプライムローンの大量証券化にも拘らず、リスクヘッジがAIGに独占的に集中していたことだ。
この脆弱性は、通常のエコノミストのマクロアプローチだけでは見つけることはできない。

どこで見つけるか。それが金融セクターの収益率だ。金融セクターがボロ儲けし、金融マンの羽振りが異常に良くなるとき、世間で過剰な投機が進んでいる可能性が疑われる。
それは対応するリスクヘッジが行われていないということだ。

リーマン・ショック以降、各国は金融システム規制を強めた。デリバティブ市場も成熟した。しかしこれからも、投資家や金融機関が、未知の世界で過剰なリスクをとる可能性はある。


ということで、リーマンショックの発生要因として、デリバティブ商品が急速に普及したが、隠された商品リスクが実はベラボウに高く、しかも投資家のリスクヘッジが不十分であったということだ。
それをエコノミストが見抜けなかったのは、従来型のマクロアプローチに頼ったからだ。

これらの問題は克服されつつあるが、投資家のリスク志向体質は変わりようがないから、形を変えて再現される危機はなくならない。
これに巻き込まれないようにするためには、賭場としての市場の生態に精通するしかない。

ということになろう。

おそらくその賭場としての生態を解析しているのが「資本論」の第三部なのだろうと思うが、まだそういう視点からは読み込めていない。

「空飛ぶタイヤ」が映画化され、話題になっているようだ。
三菱の事故隠しはまことに呆れたものであるが、最近この事故を技術的に克服するものとして幅広タイヤが開発されているようだ。
名称は会社ごとにいろいろあるようだが、先発メーカーであるミシェランの方ではワイドシングル(X Oneと呼んでいるらしい。後発のブリジストンはスーパーシングルタイヤと名付けたが、完全に腰が引けている。

大型トラックの後輪はダブルタイヤになっている。したがって一軸に4つの車輪がついている。
これを1輪づつ2輪にしてしまおうというのが発想だ。
元々はヨーロッパのトレーラー用タイヤとして採用されてきました。
日本ではここ数年採用するシャーシメーカーが増えてきます。(ワイドシングルタイヤより)
タイヤが減るとその分軽くなり、抵抗が減るから燃費も向上…といいことづくめのようだが、やはりパンク時のリスクが気になるということで普及が進まないという解説になっている。

私には、日本のトラック業界の意気地のなさの表れのように思える。
30年前だったら、こちらがいいとなったら業界全体が雪崩れを打ったものだ。
引っ張った感じは11Rを12本の今までのシャーシより動き出しが軽いです。…タイヤの持ちはかなりいいです。
自分が経営者ならトレーラーのタイヤは全部ワイドシングルにします。ワイドシングルタイヤより)
初期投資は多少かかるにしても、ランで取り返せる。技術革新が進めばコストは急速に下がるだろう。「地球にやさしい」という謳い文句は、クライアントにも宣伝効果を生む。
バーストの際のフェイルセーフが心配だというが、今どき後輪一軸の大型トラックなどないのだから、これは理由にならない。「空飛ぶタイヤ」のリスクはむしろ減少するはずだ。
昔からトレーラーは適当なタイヤで良い。という風潮があります。
トレーラーの方はトレーラーヘッドから外した中古タイヤという事が多いのです。
そういう考えの社長さんは割高なワイドシングルタイヤを履かせるのがもったいないと思うようです。ワイドシングルタイヤより)
何よりもタイヤの安全度を上げてパンクのリスクを減らせばいい。トータルコストはホイールのコストも考えれば原理的には抑えられるはずだ。その分仕業点検を厳しくすればよい。
1輪パンクしても良いからと、古いタイヤで済ますなど、そもそもが以ての外だ。

こういう「改善」は日本人の最も得意なところだ。世界のタイア生産シェアーをさらに増やすことになるだろう。それが未だにミシェランの後塵を拝しているとはまったくもって情けない。

どうして利潤第一主義になって、シェアーを争おうとしないのか、どうして新規投資でなく内部留保と自社株買いにばかり走るのか。どうしてそんな総務畑出資者ばかりを幹部に据えるのか。

どうして経産省は見て見ぬふりを続けているのか。もっとリスクテイクしろよ。

「省エネルック」キャンペーンはブサイクだがよく分かる
いま朝飯を食いながらテレビを見ていたら、
「省エネルック」というかつてのムーブメントを紹介していた。
実は私はあまり覚えていないのだが、大平首相の頃にオイルショックが襲って、街のネオンサインが消えて大変なことになったようだ。これは多分第一次ではなく、80年ころの第二次オイルショックだろうと思う。
そのときに大平首相が率先して「省エネルック」というモードを提唱したらしい。背広にネクタイで、袖が七分丈になり、当然ワイシャツも半袖になった。
翌年に大平首相が突然死してしまったので、この運動も頓挫してしまったらしい。
まぁ、どうでもよいことではあるのだが、キャンペーンを始めるにあたって大平首相が意義を述べたのだが、妙にそれが気になった。
正確には覚えていないのだが、多分こういったのだろう。
日本は資源に乏しい貧しい国です。石油も鉄も外国から買うしかないのです。
みんなが一生懸命働いて、資源を節約して、外国との貿易を盛んにしなければやっていけないのです。

大東亜共栄圏の戦後型バージョン

これは実は私達世代が子供の頃、学校でさんざん教え込まれたレトリックなのだ。
戦前はそれが朝鮮や満州を侵略して、中国に進出する理屈へと横滑りしていった。戦争に負けてしまって徒手空拳の小国になってしまったから、とにかく世界の国々と仲良くして行こうというのが国策になった。
国連に加盟し、ソ連と国交回復した頃は「東洋のスイス」という言葉が真剣に語られたものだ。私達は「世界中が仲よく、ほがらかに暮らしましょう」という呼びかけをなんの躊躇も感じずに信じて、なんのてらいもなく語っていた。多分、日本人がいちばん謙虚だった時代だろう。

それが、1980年(昭和55年)の日本国首相の口から語られていたということに、いささか感動を覚える。

受け継ぐべき「昭和イズム」

戦争を、というより戦後を当事者として知る世代は、20世紀の終わりくらいまではがんばり続けていたと思う。
いまさすがに「資源のない貧しい国」という日本イメージを墨守することは、アナクロであるかもしれない。

「刻苦精励」にすべての実践を落とし込むのは、「昭和イズム」の悪しき側面なのかもしれない。しかし、それと引き換えに謙虚さと平和主義まで流し去るのも、あまりに惜しいと言うべきではなかろうか。

今の安倍や麻生らボンクラ集団を見ていると、右と左とを問わず、残すべき共通のものを確認していくべきではないかと思う。

赤旗日曜版に載った藤井裕久さんのインタビューが面白い。

残念ながらネットでは読めない。ご購読をお勧めする。

昭和32年、岸内閣で「国防の基本方針」を定めました。

そこには国防の4本柱が打ち出されている。

1番目は国連だ。これには外交も含まれる。

2番めは民生の安定だ。これは国民生活が不安定で格差社会になると、一部の人たちが戦争、武力で事態打開をしようとするからだ。

3番めは自衛権としての自衛隊だ。

そして4番目が日米安保だ。

ということで、現在のアベ政治と順番が真逆になっている。

当時の官房長官、椎名悦三郎は大蔵官僚だった私に、こう言いました。

「この順番が正しいのだ」

平和のために一番大事なことは外交であり、国民生活が安定することだというのです。日米安保は補完で、最後だというのです。

藤井さんは、消費税だけはどうにもならない考えに取り憑かれているが、それ以外は非常に的確な人だと思う。

それにしても安倍晋三、まことに不肖の子・不肖の孫である。



おそらく毎日新聞の特ダネだろうが、17日付の東芝関連記事で、「WH社から撤退するなら違約金8000億円」という裏契約があったと報道された。(「撤退なら違約金8000億円」米原発やめられない東芝

それが、「ウェスチングハウスに対する親会社保証」という文書だ。これは14日に公表された東芝の資料の一番最後にあったものだ。

記事によると、概要は以下の通り

東芝は購入時契約で「ウェスチングハウスに対する親会社保証」を織り込んでいる。

それが偶発債務及び保証類似行為というものだ。 

そこには新型原子炉AP1000 の支払保証が約8千億円あると記載されている。

支払保証というのは、WH社が納入契約を履行できなかった場合に、納入先に払う損害賠償を東芝が保証するということらしい。

いまWH社は米国の原発4基の建設を受注している。もしこれが完成できなかった場合、そしてWH社が頬被りした場合、東芝は電力会社に8千億円の違約金を払わなければならなくなる。

ということだ。

毎日新聞はこう書いている。

東芝はこの2年間でほぼ1兆円という莫大な損失を計上した。しかし、いまここで退けば(マイナス8千億円という)さらなる地獄が待っている。

いまや毎日新聞の見出しはどぎつい言葉が連打される。

決算延期で信用消滅 東芝 “暗黒のバレンタインデー”

東芝債務超過で解体カウントダウン

東芝半導体新会社に群がるファンドの百鬼夜行

しかしもっと恐ろしいのは、東芝が潰れてWH社の行方が宙に浮いたとき、WH社とその奥にいる米軍・米政府がどういう態度に出てくるかだ。

「俺達は日本政府の紹介と仲介があったからWH社を日本の企業に委ねたのだ。これでWH社を潰されたのでは俺達の顔が立たない。それなりの落とし前は着けてもらわなくてはならない」と凄んでくることは容易に予想される。

その時、日本政府は連帯保証責任を回避できるのだろうか。ここがこれからの最大の問題であろう。

「内部留保論」の混乱について

いま日本では巨大な内部留保が積み上がる一方、国民の暮らしはますます悪化し、将来不安が増大しつつある。

このような状況を打開するためには、内部留保の過剰な積み上げをやめ、内需の拡大に向けて財を移さなければなりません。

これは社会・経済的な視点から見れば当然の視点です。しかもこの2つが一つのトレンド(新自由主義)というコインの両面をなしていること、両者にはトレードオフの関係があることも明らかです。

しかし、この間大企業側からの執拗な論争により、これらの当然の主張が途方もない妄想であるかのような雰囲気が形成されてきています。

とくにそれが「因果関係論」であるような論点のはぐらかし、企業論理が社会の論理であるかのようなすり替え、定義をあいまいにした上で正反対の結論を導き出すような詭弁が相次いでいます。

そのスペクトルは、「必要悪」的な慎ましいものから「必要>>悪」になり、最悪の場合は「必要だから即ち善」と開き直るものまでさまざまです。

そして「論争」を公正に判断する第三者のふりをした、事実上の内部留保弁護論という変化球も投げつけられています。

もちろん、肝心なのは内部留保そのものではなく、野放図に内部留保が積み上がっていく仕掛けなのであって、これにメスを入れない限り、問題は解決しません。

しかし、そのためには、国民経済的に見て内部留保の異常な積み増しが決して良いことではない、「必要<<悪」という、当たり前のことから出発しなければならないでしょう。

論争にあたっては内部留保の中核をなす当座預金・普通預金から出発するべきです。マネーゲーム的な投資である株、債券、不動産についても基本的には同様の判断をとるべきです。ファンド的展開については具体的・個別的な判断が必要でしょう。

海外資産については、租税回避問題と絡んでくるので、今後の理論展開が待たれるところです。私はこの点に関してはリバタリアン的・原理主義的な所得税・直接税論者なので、納得できる主張を期待しています。


明日の東証では株価暴落は必至だ。政府系ファンドは必死で買い支えるだろうが、怒涛の売りにはかなうわけがない。
前から言っていたが、株価1万4千円がギリギリだ。ここを切ると株価は崩壊する。
「こういう時こそ自民党」と言っているバカが居る。
「こういうふうにした」のは自民党ではないか。アベノミクスこそ最大戦犯だ。
株価が崩壊するのは別に構わない。それで損するのは富裕層だ。ドル建てでケイマンに溜め込んでいる連中も莫大な為替損を被るだろう。それも知ったことではない。「ザマァ見ろ」の世界だ。
しかし一番泣きを見るのは、年金を相場に突っ込まれてパァになった草の根の日本国民だ。「年金モラトリアム」もありえない話ではない。
いっぽうで、内需に焦点を当ててコツコツとやってきた企業にはチャンスかもしれない。シャープも買い戻されるかもしれない。
いづれにせよ間近に迫った参議院選挙、日米同盟一辺倒、大企業本位の思考停止状態から一歩ぬけ出すチャンスとしなければならない。

本日の赤旗から、安倍首相就任以来の経済指標の変化がまとめてある。
この中で憶えておいたほうが良い数字を上げておく。
年をとると記憶力が落ちてしまうが、これくらいは憶えておいても良いのではないか。
1.内部留保 265兆から300兆へ。40兆円増加。
2.法人実効税率 37%から30%へ7%削減。
3.上位40人の資産合計 7兆円から15兆円へ2.1倍化。
4.金融資産ゼロ世帯 26%から31%に、5%の増加。
とくに3.はあまりにひどい。消費税の3%引きげ分を40人で食ってしまった計算だ。
これでは内需は落ち込む一方だ。アベノミクスの本質が逆噴射にあることが、これほどはっきりする数字はないだろう。

アメリカの資本主義とリーマン破綻 小島 秀樹 (実業界2009年1月号所収)

という文章がたいへん良い。

短い文章なので直接お読みいただきたい。以下は私の読後感。

1.グラス・スティーガル法の廃止の背景

この法律は32年、ルーズベルトの大統領就任直後のいわゆる「百日議会」で成立したものなので、ニューディールの一環と見られているが、実際にはフーバー政権末期に上院に提出されたものである。

正式には「銀行法」(Banking Act of 1933)と呼ばれる。①銀行と証券(投資銀行)の分離。②連邦預金保険公社の設立、を柱とする。

というのが私の予備知識。

小島さんによると、

1929年の大暴落を受けて米国議会が出した有名なペコラ委員会報告書に基づく。

フーバー大統領の要請で上院銀行 通貨委員会を設置した。ニューヨーク州検事ペコラはこの委員会の法律顧問として大恐慌の原因をなした不正、政策責任者の間違い、株価操縦、インサイダー取引などを1万2千頁に及ぶ調査報告書であぶり出した。

のだそうだ。

日本の戦後改革でも、この制度は受け継がれてきた。しかし99年に本家米国が規制撤廃すると、日本もこれに倣った。

そこで小島さんが指摘するのは、規制撤廃の是非ではなく、「横並びの競争にするならそのルールをしっかりさせるべきではなかったか」という点である。

2.脱法を恥じないモラル感覚の欠如

小島さんが何故ルールの必要性を強調するのは、自らの弁護士体験にも基づいている。

弁護士としてリーマンブラザーズと対決したり交渉したりして感じたことを一言で言えば、モラル感覚の欠如である。

と切り捨てる。

SOX法というのができて、経営者に財務書類の正確性について責任が求められるようになったが、彼らは実質的な脱法行為をますます強めたそうだ。

小島さんは、「弁護士としてかかる脱法行為に抗議して米大手IT 企業と一触即発の対決をし」たという。そして「SOX法なるものの欺瞞性」を痛感したそうだ。

小島さんの舌鋒は厳しい。

サブプライムローン問題は、そもそも証券化できないものを証券化してリスクを認識できなくしたものを売った。それはまさしくモラルに反する行為である。

米国経済はそうやって道義的に許せない金融ビジネスに走った。その成れの果てが、リーマン破綻である。さらにそれに続く米国発の世界金融不況である。

つまり小島さんの言いたいのは、モラルの破綻(経営の無法化)が経済の破綻をもたらしたということである。

「経営モラルの破綻」というのは客観的に言えば「経営の無法化」ということになるだろう。

3.経営の無法化はいかにもたらされたか

小島さんは、経営者の物づくりからの離脱が背景にあるという。

1960年代から80年代にわたって「日米貿易戦争」が繰り広げられた。しかし95年ころを境に「貿易戦争」は論議とならなくなった。

なぜか。

それは米国自身が物づくりから撤退してしまったからである。

米国経済はITや金融等サービス業に特化していった。デリバティブなどの複雑な証券ビジネスに多くの金融機関が参加するようになった。

この後、小島さんは証券ビジネスの実態を厳しく指弾する。

私が接したデリバティブ証券は、完全なマネーゲームの世界であった。あつかう商品の多くは、公序に反するバクチのようなものだった。

ビジネススクールで教えるのは ROE(株主資本利益率)優先の経営であった。そして「小さな自己資本で大きな利益を短期間にもたらす」のが優れた経営者であると教えた。

そうだとすると、どうなるか。

物づくりは原材料の仕入があり利 益率はどうしても低い。結果、彼らが選んだのは仕入がない金融を筆頭とするサービス業である。

こうして米国経済は益々物づくりから離れ、実体経済と何の関係もないバクチのようなマネーゲームに邁進していった。

4.結論

もう一度、小島さんは米国の金融資本主義を厳しく断罪する。

…、という意味でレベレッジ(一種の信用取引)とかの手法の問題以前に、実体経済との関係が希薄となったマネーゲームが醸成する、モラルを著しく欠いた米国の金融資本主義が問われるべき問題なのである。

ということで、私の感想としては、「ルール無き無法状態」を一刻も早く解決して金融資本を厳しく規制することが、混迷に陥った現在の世界経済を救う唯一の道だということである。

それは85年前のペコラ委員会の結論と同じだ。「85年前から進歩していないじゃないか」と言われそうだが、そうではない。

第二次世界大戦の惨禍をくぐり抜けて、人類はいったん進歩したのだが、一時的な退歩を今繰り返しているということだ。

道ははっきりしている、経験もある。今はただ、ふたたび進歩への道を歩み始めるのみだ

しばらくサボっていたが、経済の勉強。

23日から赤旗に「経済四季報」が連載されている。

かなりポイントを抑えた簡潔なレポートなので、紹介しておく。

1回めは「世界経済」

最初にポイントがまとめられている。

①米国経済に減速の兆し: 2015年12月の利上げの後、追加利上げは見送り。
②欧州経済は回復が鈍化: 追加金融緩和したものの、マイナス金利拡大には限界。
③新興国経済には資源価格低迷が打撃。中国の景気減速と連鎖し、貿易に悪循環。

ときれいにまとめられた。あまり迫力はないが…

①米国経済

15年第4四半期のGDPは前年比1.0%だった。これは二期連続の低下。

原因は金融市場の混乱とこれに伴う消費控え、ドル高と世界の景気減退に伴う輸出の低迷が挙げられている。(“金融市場の混乱”が何を指すのかは不明)

イエレン議長は「国際的な経済・金融情勢がリスクになっている」と語った。(これももう少し詳細が知りたい)

②欧州経済

EU全体のGDPはプラス0.3%、ユーロ圏では1.1%の伸びとなった。いずれも小幅鈍化となった。

原因は主として中国と新興国の景気減速の余波とされる。(つまりEUは世界経済を規定する主要経済域ではないということだ)

ECBは3つの景気対策をとっている。その一つがマイナス金利。その他に政策金利0%、量的金融緩和が行われている。

マイナス金利というのは、市中銀行の中銀預け入れ金利のこと。昨年12月以来始められているが、3月にはマイナス0.3%から0.4%へとさらに引き下げられた。

ドラギECB総裁は「マイナス金利を続ければ、銀行システムに悪影響が及ぶ」とし、長期とはならないことを示唆。

③新興国経済

ロシアはGDPが前年比マイナス3.7%となった。歳入の半分を占める原油の価格下落が響く。ブラジルのGDPもマイナス3.8%。こちらは鉄鉱石の価格低迷が寄与している。

これらの理由により世界の総輸入額の伸びが半減した(3.0→1.7%)。この結果中国の輸出が減り、その結果中国の輸入が減るという悪循環を形成している。(世銀の分析)

とここまでが1日目の記事。

2回めは「中国経済」

ポイントは以下のとおり

①中国経済は25年ぶりの低成長期となる。生産と貿易が同時に低下。
②中国の経済減速はアジアと世界の各国に波及し打撃を与えている。
③新5カ年計画で、技術革新と調和を目指す。

ということで、ポイントといえばポイントではあるが、ちょっとづつポイントを外している感じがする。とくに米日欧の経済対策が金融政策中心に動いているため、中国の景気減速が国際金融・通貨面でどのような影響をおよぼすかが関心の的であるが、この点について触れられていない。

より本質的には「社会主義的市場経済」というシステムが、最初の「恐慌」を迎えて機能できるのかが問われるわけで、まぁ四季報レベルでは無理な相談だが、念頭には置いておかなければならないだろう。

①生産の鈍化と輸出の減少

2015年GDPは前年比6.9%増。これは25年ぶりの低い伸び。純輸出はマイナス0.2%となった。

国内投資の総量を示す総資本形成は3.4→2.5%に低下した。これは生産能力の飽和を示す。

②最終消費が景気を下支えしている

このなかで最終消費は3.7→4.6%と伸びており、これが景気を下支えしている。これが消費バブルなのか社会生活の向上に根ざすものかは判断を保留。

③過剰生産能力

生産能力の飽和を示す直接指標として生産設備の稼働率があげられる。鉄鋼・アルミなどでは60%台、鉱工業生産は5.4%で7年ぶりの低い伸びであった。

過剰生産能力の解消には大規模なリストラを必要とし、それは大量の失業者を生み出す可能性がある。

④関係国への影響

中国の経済成長が1%減速すれば、アジアの経済成長率は0.33%、アジア以外の地域は0.17%下がる(IMF試算)

とくに中国製造業が不振に陥れば、資源輸出国に深刻な打撃となる。

⑤新五カ年計画

ということで、中国の景気後退は日米欧のような経済構造上の問題に根ざしているのではなく、基本的には景気循環上のリセッションとして捉えられる、ということだ。

それがたんなるリセッションの域を越えて深刻化しているのは、リーマン・ショック時の政府の過剰対応による。リーマン・ショック時、中国政府は日本円換算で53兆円の財政出動を行い、これが生産過剰を増強した。

こういう見方であれば、中国経済の先行きにはさほど悲観する必要はないということになる。

「しかし、本当にそれだけなのであろうか? 何か根本的な脆弱性に根ざしているのではないだろうか?」という漠然とした不安は残るが…

3回めは「国内景気」

ポイントは以下のとおり

①マイナス金利導入は、異次元金融緩和の破綻を示す。
②GDPはマイナス成長。消費低迷を脱却できないことが要因。
③春闘不発。大企業を支援しても賃上げはせず。

①マイナス金利

異次元緩和で民間銀行にお金を供給。しかし市中に回らず、日銀当座預金が積増しされる。これを拒否するためのマイナス金利。しかし貸出先がなければ問題解決にはならず。これは異次元緩和の行き詰まりを示す。

②マイナス成長

第三4半期GDPは年率換算でマイナス1.1%。企業の売上高・経常利益は揃って減少。

個人消費が0.9%減で、中国とは逆に個人消費が景気の足を引っ張っている。

③マイナス収入

毎月勤労統計で、実質賃金指数は4年連続でマイナス。


この連載がいつまで続くか分からないが、問題をとりあえず整理するのには役立つが、あくまでも自己学習のための足がかりだと考えておいたほうが良さそうだ。

マイナス金利効果は一時的(毎日新聞)

マイナス金利の中長期効果については前に触れたが、短期効果についてはもう結果が出た。

結局マイナス金利は一種の金融緩和政策であり、金利低下による刺激が効かなくなった後、量的緩和で刺激を図ったが、それが飽和状態となり、さらにマイナス金利で刺激しようとしたが、もう市場はうんともすんとも言わない。

むかし理科の実験でカエルの足をつるして電気刺激を与え収縮を観察する授業があった。だんだん刺激が効かなくなると、食塩水につけて少し賦活する。しばらくはまた活発に収縮するようになるが、また動かなくなる。

そうなると電気刺激を強めても反応しない。こういう状況がいま生まれつつある。

マイナス金利効果

2月初め、マイナス金利の発表直後に証券相場と為替相場は大きく動いた。いわばアベノミクスの「一の矢」の再現である。

しかしその効果は数日のうちに消失した。

黒田総裁は国会証言でマイナス金利の導入後も金融市場の動揺が続く理由を次のように述べている。

原油価格の下落、中国経済の減速や欧州の信用問題に対する懸念、米金融政策の先行き不透明感があげられる。総じて、リスク回避姿勢が過度に強まっている。

石原大臣の「暖冬で冬物が売れない」に比べればまだましだが、みんな人のせいだというのは同じだ。


残ったのは「異次元緩和はもうやめられない。死ぬまで続けるしかない」という現実のみである。

1月通貨供給量は2.5%増の1242兆円で、過去最高を更新した。

問題は「異次元緩和」がもう続けられない状況に達したときに、日本株売りと円買いが仕掛けられたらどうなるかということである。いろいろな論評でもこの問題はあまり触れられていない。考えるだけでも恐ろしいからであろう。

「投資の神様」と呼ばれるバフェットがこう言ったそうだ。

「いま一番確実な資金運用はベッドの下に現ナマを隠しておくことだ。ただし安心して任せておける管理人がいるとしての話だが」

まさに時代はそういう状況に飛び込みつつある。世界で最も安全とみられていたドイツ国債も、ドイツ銀行の経営に不安がささやかれるなど足元まで火が迫りつつある。

もはや代替案はない。金利をうんぬんする時代は終わった。為替相場がすべてを規定する日がやってきた。皮肉なことに、一番産業リスクの高い米国の通貨が最も安定した資産となる日がやってきた。

こういう国際状況の下で、円は風前の灯火となっている。

黒田総裁は円相場を鉄火場にしてしまった。持ち札は年金資産である、これで国際金融相場とさしの勝負をかけている。外国資本は何度となく日本に売り浴びせをかけた。もちろんこれで株価が維持されれば連中は大やけどを負う。

しかし日本株の持ち主は今や間違いなく外国資本である。だから仕掛けのポイントさえ合えば、相場はあっという間に数千円の下落を示す。このことは、彼らが何回か繰り出したジャブでかなり明らかになった。

日本政府は1万6千円までの間なら対応できる。そのことがはっきりした。売り浴びせをかけても1万6千円を割り込まないのなら、空売りは高いものにつく。しかしをれを割り込んだらどうなるだろう。日本政府・日銀は株価を維持できるだろうか。

我々は二つのニュースを持っている。売り攻勢で1万6千円を割らなければ、日本は勝てるしそれで大儲けする。彼らは大損する。

しかしそれが1万5千円くらいまで下がれば、日本は一致結束して対応できるだろうか。もし国内側で狼狽売りが始まれば、株価はたちまち激減するだろう。

以前にも書いたが株価が1万4千円を割り込めば、たちまちにして東京証券取引場は修羅場と化し、あちらこちらに首つり死体が発見されることになるだろう。

株価は一気に1万円を割り込み、年金の掛け金はたちまちゼロと化すであろう。

そうなった場合、デレバレッジが働き、円によって支えられるドルは一気に下落し、結果として円高状況が再び現れるだろう。つまり円高とGDPマイナス10%というリーマンショック後の状況がそこには再現されるのである。

アメリカはこの危機を回避できる。彼らには基軸通貨発行国という利点があるからだ。だからQE4でも5でも何でもやる。日本が日銀券という紙切れみたいなものを増発しても、それはドルではないから、ただたんに日銀券の目減りを引き起こすだけである。

衝撃のニュースだ。一番見たくないニュースだ。

年金財源の一つである年金積立金に一時、巨額の損失が発生した。その額は約8兆円という試算もある。

積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)は昨年来、運用益を増やそうと、株式での運用比率を高めてきたが、それが裏目に出た(毎日新聞 11月13日)

いつかは来るかとは思ったが、もう来てしまった。

残念ながら生命保険と違って年金は解約できない。ほとんど税金みたいなものだ。どうせもらえるわけのない「年金」だから、泡と消えても惜しくはない。しかし介護保険が潰れると、飯の種がなくなってしまうことは間違いない。年寄りの死体が街中にごろごろし始めることは間違いないだろう。

我々の年金を使って博打をやっている奴がいる。この博打は絶対勝ち目がない。買いしかないからだ、パーしか出せない人がじゃんけんで勝てるわけがない。敗けないためには掛け金をどんどん大きくしていくしかない。

こういうのを「カモ」という。

gpif


高株価の裏側には、税金や年金積立金がある。
そこを群馬大名誉教授の山田博文さんがやさしく解説してくれている。
株高は政府の買い支えが演出している。
さまざまな策が講じられているが、代表的なのが次の二つである。

A.株価指数連動型上場投資信託(ETF)
これは要するに日銀による投資信託の買い入れである。形容詞がたくさん付いているのは、株の組み合わせ(ポートフォリオ)のことであって、株を買っていることに違いはない。
うまくいけば、リターンは大きいし、下がれば日銀券を印刷して株価を買い支えすればいいのだから、結構だらけのようにも見える。
しかし問題が4つある。
①ひとつは、株価操作という犯罪に限りなく近いということである。
グローバル・スタンダードが厳しく問われるようになっている今日、どこかの国の誰かが国際機関に「恐れながら」と訴え出れば、結構やばいことになりかねない。
②ふたつ目は、買うのはできても売れない株になってしまうことである。
日銀が株を売れば、売られた会社はたちまち凹む。国債と違って、大量に売れば日本の企業が潰れてしまう。現金化できなければ、評価額がどれほど高くても換金はできない。
パチンコの出玉を抱えて途方に暮れる姿が容易に予想される。
③日銀が銀行である以上、無限に買えるものではない。
バランスシートにリスク資産(ETF)が積み上がれば、中央銀行と日本円に対する信任が毀損される。
国債の場合は、期限が来れば、政府が100%償還しますが、ETFの場合は、日銀が市場で売却しなくてはバランスシートからリスク資産を消すことができません。
日銀が大量のETFを売りに出せば、株価は大暴落してしまいます。
BISで規定された自己資本比率の上限に達すれば、その時点であとは確実に訪れる暴落の日を待ち続けるしかない。
④日本の大企業のための経済運営を迫られることになる。
ETFは低リスクの優良企業株を中心に構成される。そうすると日本銀行の運命は大企業に託されることになる。そうすると大企業に不利になることはできないし、大企業のためならば国民を犠牲にしてでも利益を確保しなければならなくなる。
何の事はない。日本という国は大企業のための打出の小槌の役を担わされることになるのだ。

B.年金積立金の運用
これは以前の記事で書いたので詳細は省く。これはETF買い入れ策が上記の如き経過で行き詰まったところに持ち込まれた。
まことにひどい話で、勝手に実印を持ちだして親の金を博打につぎ込んでいるようなものだ。限りなく犯罪に近い。
それでこの記事の肝心なところは、それでどうなったかということだ。
株式の運用割合を12%から25%に引き上げたのだが、そのわずか半年後、今年の3月末現在ですでに株式の割合は22%に達している。
つまりほとんど終わっている。
次に打つ手は決まっている。運用割合をさらに30%、40%と上げていくことだ。年金積立金が底をつくまで連中はつぎ込むつもりをしている。これだけは止めさせなければならない。

この後、付け足し風に書かれてある一節は初耳だ。

今のところ真偽の確かめようがない。

とりあえずコピペだけしておく。

年金積立金は1990年の株式バブル崩壊でも利用されたことがあります。この時は、不良債権を抱え込んだ銀行を救済するために利用されました。

日経平均株価(225の大企業の株価の平均)が1万8千円を下回ると、年金積立金が指し値でこれらの株を購入し、株価を買い支えます。そして株価が上昇すると、すかさず銀行が保有株を売却します。これによって銀行は売却益を獲得し、株式の含み益を実現しました。
この売却益が不良債権の償却に利用されました。

株価吊り上げに利用され価格変動のある株式を抱え込んだ年金は、株価が下落すると巨額の累積赤字を抱え込むことになりました。その額は02年度の2兆6千億円から08年度の9兆3千億円まで膨らんでいきます。

そのために保険料率が引き上げられ、支給開始年齢が先延ばしされました。こうして将来の老後の暮らしすら脅かされることになりました。

事実とすればひどい話だが、もう少し他の資料にもあたったうえでコメントしたい。



前の記事の元はこの表(産経

企業収益

10月16日、経済3団体の代表や企業経営者らが、政府から設備投資の拡大を求められた。首相を挟み、ズラリ着席した大物閣僚たちが、民間側に厳しく詰め寄った。

背景には、参院選を控えて、設備投資の鈍化が景気回復を足踏みさせているとの焦りがある。

財界側は、多少の誠意を示しつつ、その交換に法人税減税の前倒しをもとめるつもりだ。

「盗人にも三分の理」というが、確かに財界の言い分には一理ある。国内需要は設備投資できるような環境にはない。輸出環境も下り坂だ。

要するにトリクルダウンを期待して財界にサービスしたのに、見返りがないと政府がごねているわけだ。(ただしごねていると言っても、ごねているふりをしているだけで、選挙目当てのパフォーマンスであることは国民みんなが知っている)

で、そもそもトリクルダウンなどというセオリーがとうの昔に賞味期限が切れている。

以前バブルの時は余り金で土地やマンションを買ったのだが、いまはそれもやらず、ひたすら貯めこむのみだ。

法人税そのものは世界的な動向もあり、一朝一夕に変えられるものではないが、さまざまな優遇税制のダラダラ延長を止め、労働者への雇用責任(とくに社会保険負担)を果たさせるだけでも財源は湧いてくる。

これ以上老人福祉を後退させないと宣言するだけで、内需は一気に盛り上がるはずだ。内需の拡大が技術のイノベーションを生み、設備投資意欲を掻き立てる。財源がないというが、ここまでなら一文もかからずに実現できるはずだ。

赤旗を読んでいないわけではないが、ブログの記事にしていない。
「そのうち、調べて」と理由をつけているが、年寄りに「その内」はない。
今日は少しやっておこう。
「主張」から
麻生財相が発表した資料で、いくつかの数字があげられている。
安倍政権発足後、大企業の経常利益は16兆円増えた(14年度末現在)
これに対し設備投資は5兆円、賃金は0.3兆円の増加にとどまった。
一方、企業の内部留保は50兆円も増えた。手持ちの現金・預金だけでも20兆円増えている。
経常利益と内部留保が合わないのは、円安・株高の含み資産効果が絡んでいるからだろう。
これは財務省が経済財政諮問会議に提出したものだ。
「主張」では“マスメディアはあまり注目していないが”とコメントしている。
少し調べてからと思ったが、10分もすると忘れてしまうので、メモ代わりにアップしておく。

土曜日の赤旗から
海外投資家の東証での日本売りが9月に入って際立っているようだ。
9月の海外投資家の日本株売り越しは2兆6千億円にのぼった。
とくに1日と29日には、1日で700円の急落と、売り浴びせ攻撃ともいうべき様相を呈している。
日本株

海外投資家が「日本売り」を強めているのに、株価が乱高下を繰り返しつつも維持されているのはなぜか。
それは国内信託銀行からの買いである。信託銀行の9月買い越し総額は8千億円近くに達した。
それに個人投資家の4千億の買い越しを足す形で株価は維持されている。
信託銀行の背後には年金運用機構(GPIF) がいる。GPIFは昨年株式投資枠を25%に拡大したことにより、17兆円の資金を手に入れた。これが信託銀行を通じて日本株の買い支えに回っているのである。

おそらく株式相場をあいだに、海外投資家と日本政府が対話をしているのだろう。
「リーマンショックの時には7千円だった相場、円安を織り込んでもちょっと高いんじゃないの?」
「いや、今のリフレ政策が維持されれば、このくらいでも十分適正です」
「果たしてどちらが正しいか」だが、日本政府が足元を見られていることは間違いない。
年金機構の15兆円を使い果たしたあと何が残っているかだ。
売り攻撃を仕掛けた投機資本はかなりのやけどを負っただろうが、もう少し長期のトレンド判断から日本離れをしている投資家もいるだろう。公的資金を株式相場に突っ込むような政府が、果たしてどのくらい信用できるだろうか。
前にも言ったが、1万4千円あたりが崖になる可能性はある。個人投資家はそこまで下がるとパニックになる。
97年危機のとき、アメリカは日本支持に回ったが、今度もそう行くか。
最悪の場合、「円安・株安」を引き金とする日本発の世界不況もありうる。

そうすると、すべての謎はこの一点に集約する。

「なぜ東芝はWH社を買ったのか?」


1.ウェスティングハウスとはどんな会社なのか

まずウェスティングハウスとは何なのか少し勉強する。

<旧ウェスティングハウス・エレクトリック>

ウィキペディアによると、

ウェスティングハウス・エレクトリック(Westinghouse Electric 、WEC)は、1886年から1999年まで存在したアメリカ合衆国の総合電機メーカー。

電気、機械関係を中心に軍事用・民生用の双方で多岐に渡る事業を展開。1950年代以降は加圧水型原子炉(PWR)の開発・製造で独占的地位を占めた。

1997年にCBSコーポレーションと名を変え、1999年にバイアコムによって買収され消滅した。最後に残っていた製造部門である原子力部門も、英国核燃料会社 (BNFL)社に売却された。

社歴を見ると、とにかくすごい会社だ。なんでも作っている。しかもその多くが「世界初」だ。東芝など目ではない。20世紀を代表する企業と言っていいだろう。

そのなかで、今問題となっている原子力部門に絞ってみてみると、

一番は1953年に原子力潜水艦「ノーチラス」の原子炉を製造納入したことだ。

ノーチラスが進水するのは55年のことで、当時映画館のニュースで見た覚えがある。酸素補給せずに、潜ったまま世界一周できるという夢の潜水艦だった。戦争映画で、潜水艦乗組員が酸素不足でもがき苦しむシーンを覚えていたから、「それはいいことだ」と素直に喜んだものだ。
しかし原潜が世界戦争の形態を根本から変えてしまったことについては、ついぞ頭が行かなかった。

ついで1960年、原子力空母「エンタープライズ」用の原子炉A2W炉を製造・納入している。

そしてその翌年、商業用初の加圧水型原子炉としてヤンキーロー発電所が運転を開始している。

この辺りを挟んで50年から70年くらいまでがウェスティングハウスの最盛期だった。

「ウェスティングハウスなら大丈夫」"You Can Be Sure If It's Westinghouse"というのがCMの決まり文句だったらしい。

80年代に入ると明らかに下り坂に入り、90年代には身売りを繰り返しながら解体していく。

そして1988年、最後まで残っていた商業用原子力部門が英国核燃料会社(BNFL)に売却されたというのが経過である。

<ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー>(LLC)

で、これから後がややこしい。

まずウィキペディアの説明。

商業用原子力部門は、所有主が英国核燃料会社(BNFL)となったが、本部はアメリカのペンシルバニア州にそのまま残された。

社名も親会社の名がそのまま残された(後ろにカンパニーが付くところだけが違う)。

原子力関連の広範な製品の販売とその関連サービスを行う多国籍原子力関連企業として存続している。

ところが、英国核燃料会社(BNFL)はこの会社を持て余すようになった。そして2005年7月に売りに出した。最大の理由は「商業的リスクが税金で保有される企業としては大きすぎる」ということのようである。(まさにそのとおりだった)

幾つかの企業が関心を示したが、2006年2月6日、東芝が54億ドル(当時換算で4900億円)での購入を確認した。

LLCはその後も拡大を続けている。(なぜなら東芝がカネを流し込み続けているからだ)

とくに、第三世代+原子炉のAP1000型原子炉は、アメリカで6基、中国で4基が建設ないし受注されている。(ウィキペディアによる)

とここまでが基礎知識。

つまりこういうことだ。


2.WH社はただの原子炉製造・販売会社ではない

「WH社はただの原子炉製造・販売会社ではない」ということだ。

それは米国の世界戦略のカギを握る軍需産業である。原子力空母と原子力潜水艦なしに米国の戦略は成り立たない。

つまりWH社の原子力技術は米国の軍事力の心臓部をなしているのである。米国は絶対にこの会社を手放さないし、その核心技術も絶対に譲渡はしない。

戦後の最盛期にはWH社は巨大電機産業であった。だから原子力部門も支えることが出来た。しかしいまや本家は衰退・消滅し、それは原子力に特化した特殊な経営となっている。

つまり単体で支えるのは困難になってきているわけだ。

大げさに言えば、ここに米国資本主義の抱える矛盾が象徴的に表れていることになる。

3.米国はなぜWHを売ったのか


『人民の星』 5702号1面 2012年7月18日付 米日原子力推進体制 原発再稼働の背景 という記事がある。

ここにはこう書かれている。

この買収は通常の買収・子会社化とまったくことなった一面をもっている。東芝は、いわばカネをだしただけで、ウエスチングハウスは買収後も独立した企業のようにふるまっているからである。

東芝は「カネはだすが、経営には口をださない」とはっきりのべている。

アメリカ帝国主義は、ウエスチングハウスが経営破たんしても、そうした技術をもっている原子力部門を残し、最初はイギリスに、そして次には日本にカネをださせて維持してきたのである。

多分、憶測記事だろうが、そういう可能性は一応念頭に置いておく必要があるのではないか。

4.なぜ東芝がWH社を買ったのか? なぜ米国は東芝に売ったのか?

ここまで書いて来ても、未だに真相は良くわからない。「なぜ東芝か?」ということである。

この話は、まず「なぜ日本か?」という問題が片付かないと進まないかもしれない。

この点で、最近の週刊朝日に面白い情報があった。

買収が行われた06年当時、経産省は「原子力立国計画」として原発輸出などを官民一体となって推進する国策をぶち上げ、産業界の利害調整をしたという。

「ウェスチングハウス買収の入札では三菱が有利と目されていました。だが、ふたをあければ、東芝の逆転勝ち。当時の経産省幹部は東芝に買収させたのは自分たちだ、と周囲に豪語していました」(原発業界関係者)

つまり、アメリカの意を汲んでWH社の買い取りに動いたのは経産省だということだ。そのうえで、どの社にするかを決める時、「天の声」の特権をたっぷり享受したわけだ(一体誰だろう、こいつこそA級戦犯だが)。

東芝の側からはその判断の是非は別として(非に決まっているが)、買った理由は分からないではない。

沸騰水と加圧水の両方の原発を手に入れることができれば、日本中の原発を支配下に収めることができるかもしれない。その頃の日本の原発政策を見れば、その先は前途洋洋として見えたかもしれない。

週刊朝日には次のような記載もある。

元東芝原子炉技術者の証言。「(東芝の)事業部は必死でした。国が原発輸出というアドバルーンを上げるとそれに飛びつきました」

だが米国の側はどうだったのだろうか。日本に買わせるつもりだったのは間違いないとして、資産総額の3倍で売れるとなれば飛びつくつもりも分かるが、そういうアコギなことをして、会社がコケた際の対処法は考えられていたのだろうか。

アメリカにとって最悪のシナリオ

今アメリカにとって最悪のシナリオが展開しつつある。もし東芝が1兆円の評価損を抱えたまま沈没することになれば、WH社はどうなるのだろう。もし東芝が救済されないままに、苦し紛れにWH社を投げ売りすれば、それが例えば中国に流れでもしようものなら…

経過から見て、GE+日立は東芝に高値つかみさせるための当てウマだったとも考えられる。結局当初の本命であった三菱重工が引き受けさせられることになるのだろうか。WHの軍事ノウハウの不可侵性は守られるのだろうか。

東芝を押し込んだ日本政府(経産省)も、さぞや頭を抱えているだろう。三菱重工も2006年の件では相当へそを曲げているだろうし、東芝の二の舞いはゴメンだろうから、それ相当の手当をしなければならないが、果たしてそれは可能だろうか。

川内原発の再稼働、海外への原発売り込みとそれなりに必死のようだ。安倍首相がUAEやトルコ、ミャンマーなどを歴訪。原子力協定を結んだ際には、東芝本社や関連会社4社の幹部が同行して原発を売り込んでいる。

が、そんなことではとても足りないだろう。


2015年07月11日

2015年08月12日 

2015年08月12日 

2015年08月12日 

2015年08月12日 

2015年08月13日  

粉飾の可能性は去年の4月から分かっていた。週刊ダイヤモンドの記事を見れば明らかだ。まだこの頃は600億だから可愛い方だが、本質は同じだ。本文を見てもらえば明らかだが、ここでは要旨を紹介しておく。


1.週刊ダイヤモンドの2014年4月23日号 「原発投資で最大600億円規模 東芝を揺るがす減損リスク


東芝の担当者たちと居並ぶ会計士たちとの緊迫したやりとりが、水面下で何度も繰り返されてきた。

会計監査人の新日本監査法人は、「投資回収が可能というなら、新たな出資者が現れるという明確なエビデンスを示せ」と迫った。

東芝は、撤退した東電や追加投資を打ち切った米電力大手に代わる、新たな出資者を連れてこいと突き付けられた。さもなければ減損だ。

減損処理を迫る新日本に対して、東芝は反論材料をかき集めて必死の抵抗を試みていた。

減損となれば、現金の支出こそ伴わないがバランスシートが傷む。他の重電メーカーと比べて財務の健全性に劣る東芝にとっては大問題だ。

東日本大震災以降、国内では“原発ゼロ”の状況が長く続き、原発の定期検査という収益源がなくなったことで、国内部隊は赤字に陥った。一方、海外を主戦場とするウェスチングハウスも最近は苦戦が続いている

その状況にSTPの減損まで重なれば、社内での原子力部門の立場は一気に揺らぐ。

2.週刊ダイヤモンドの2014年5月09日号。「誤算が続く東芝の原子力事業は立ち直れるか 米国の原発新設案件が前進せず損失を計上

決算は好調そのものだ。…前期比47%もの増益は、驚異的な伸びといえるだろう。しかも事前の会社側予想数字2900億円とピタリと一致している。

いま読むと、まさに「ピタリと」一致している。そのはずだ、一致させたのだから。それこそが「粉飾」の動かぬ証拠だ。

一方、原子力事業。同事業だけで約600億円の一時的な評価損失を計上した。

とあるのは前の記事と一致する。つまり新日本監査法人の圧力を受けて、ひそかに600億円を織り込んだのだ。その上で、それを穴埋めするために全分野で粉飾を敢行したのだ。

「NINA社の件がなければ過去最高益だった」と東芝の久保誠副社長は悔しがる。

というくだりには思わず笑ってしまう。知っていたのなら名役者だ。

その「NINA社の件」について、

これはサウス・テキサス・プロジェクトに絡む問題だ。同プロジェクトは日本企業が海外で初めて取り組む原発新設案件。

東芝は2008年に同プロジェクトの主契約者となり、翌年にはプラントの建設を含めたプロジェクト全体を一括受注することに成功した。

だが、2011年3月11日以降、状況は急変した。米原子力規制委員会(NRC)は建設許可を保留。原発建設に出資する肝心の投資家も決まっていない。

東芝の爆弾は「のれん」料とウェスティングハウス

さまざまな記事を見ると、2つのキーワードがあることが分かる。

ひとつは「のれん」料問題であり、もうひとつはウェスティングハウス社(以下WH)問題である。

のれん料問題も元々はWH買収により発生したものだから根は一つということになる。

1.のれん料の問題

まずはのれん料問題から。(毎日新聞 「東芝問題リポート 第三者委報告書が明かさなかった謎」

7月の第三者委員会と社長の共同記者会見で二つの質問が飛び出した。

質問1.社長へ

ウェスチングハウス買収で、東芝の原子力事業の規模は15年に3倍になると言っていた。それが達成できないから、利益水増しを迫ったのではないか。

質問2.第三者委員会へ(youtubeで閲覧可能)

ウェスチングハウスの『のれん』料は、減損の懸念がある。第三者委の調査は、減損処理には関わらないということか。

この質問への第三者委員会の答え

棚卸し資産の評価、固定資産の減損、この中に『のれん』も入ると思うが、繰り延べ税金資産の処理、これらは我々の調査対象外。会社が検討して、監査法人と協議されることだ。

要するに、「損益計算書については調べるが、貸借対照表については知りません」ということだ。

2.貸借対照表の仕掛け

のれん料とか減損処理とか聞きなれない言葉が並ぶ。損益計算書はわかるが、貸借対照表というのはどうも苦手で、今ひとつわかったようなわからないようなところがある。

まずのれん料だが、以下のように説明されている。

『のれん』料: 企業を買収する場合、買収額はその時点の企業価値より高くなる。したがって企業価値だけを資産計上すると、買収額との差額が生じる。会計原則ではこの差額を「のれん」と名付けて、資産計上を認めている。

次に貸借対照表(B/S)について 「東芝の不適切会計問題、貸借対照表(B/S)を見ると理由が分かる?」というブログ記事から勉強させてもらう。

まずがこの表

14年3月期東芝の貸借対照表-min

ブログ主はこの表を見て下記のごとく指摘している。

パッと見て気付くのが「その他資産」の多さ。

総資産6.2兆円の内、約22%に達します。この「その他資産」は環境の変化があれば、一発で資産から消えてしまいます。

その内訳は、「のれん代及びその他無形資産」が1兆円、「長期繰延税金資産」が0.2兆円、「その他」が0.1兆円となっている。

ブログ主はのれん代が1兆円に達した経過をきれいにまとめてくれている。

・2006年3月期      0円
・2007年3月期  7,467億円 (ウェスティングハウスを買収)
・2008年3月期  6,539億円 (ウェスティングハウスの一部株式を売却)
・2009年3月期  6,298億円
・2010年3月期  6,187億円
・2011年3月期  5,592億円
・2012年3月期  7,116億円 (ランディスギア社を買収)
・2013年3月期  9,121億円 (ウェスティングハウス株を買い増し)
・2014年3月期  10,006億円

「のれん代」は、子会社が当初の計画通りの利益を上げられなくなったら減損の必要が生じます。

つまり「見かけだけの資産」であり、むしろ負の資産と考えるほうが正しいということになる。

3.繰延税金資産との連鎖

しかしそれだけなら「消える」だけだが、困るのは後に借金が残ることだ。それが「繰延税金資産」というもので、税金支払分を最初に計上してしまう。利益が出ないと税金支払はなくなるので、この資産は宙に浮いて不良資産化する。

計上している繰延税金資産を守るためには利益計画の達成が必須。利益計画が達成できず→繰延税金資産の取り崩し→債務超過転落→経営破綻、というのが最悪のシナリオです。

ということで、無理してでも利益を出さなければならないという悲惨な状況に追い込まれる。これが今回の粉飾を生んだというのが実相のようだ。

週刊朝日の試算によると最大で9千億円の“損失”になるという。

週刊朝日(7月22日) 「9千億円の“巨額損失”が新たに発生?

この計算は、(のれん代の減損が4千億円)+(繰延税金資産の減額が最大5千億円)=9千億円というもの。

ただ、5千億円というのは11年3月期決算に計上されていた総額で、まるまるということにはならないだろうが。

 

東芝問題で、赤旗の報道が異常に慎重だ。
今日からの連載でようやく「粉飾決算」の表現を取り入れた。
そしてウェスティングハウスの買収が、経営危機の根っこにあることを指摘した。
しかしこれはすでに1年以上も前から広く知られていることであり、第三者委員会報告はそのトバ口でストップしていることは明らかだ。
問題は「2006年の買収劇の際に何があったのか」だ。
とくにウェスティングハウス社の持つコア技術がどのように扱われているのかということだ。コア技術とは言うまでもなく軍事技術である。原潜の原子炉も原子力空母の原子炉もすべてWH社製である。それをアメリカが手放すことなどありえない。とすれば、東芝は買ったのではなく「賜った」のだ。もちろんおまけ付きではあったろうが。


原子力空母・原潜とWH原子炉の関係

軍事オタク情報が飛び交っている。分かる範囲でまとめておくと、以下のようになる。

ウェスティングハウスの記事

1996年、防衛産業部門のウェスティングハウス・エレクトロニック・システムズをノースロップ・グラマンに30億ドルで売却。同部門はノースロップ・グラマン・エレクトロニック・システムとなる。

1998年、最後まで残っていた商業用原子力部門を英国核燃料会社(BNFL)に売却。

ウィキペディアではこうなっており、この記載から言うと軍事用原子力部門はウェスティングハウス・エレクトロニック・システムズに移行したと考えられる。

原子力空母・原潜の記事

航空軍事用語辞典++

空母エンタープライズ: ウェスティングハウス A2W加圧水型原子炉×8基 (出力280,000hp)

空母ニミッツ(級): 1975年就役。同型艦最新艦は2009年就役の「ジョージ・ブッシュ」 ウェスティングハウス A4W加圧水型原子炉×2基 (出力65,000hp/48MW)

空母ジェラルド・フォード: 次世代空母。2015年に竣工・就役の予定。ウェスティングハウス A1B加圧水型原子炉×2基

空母に搭載している原子炉は、出力調整が可能な原子炉です。スロットルのように、「15パーセント臨界」、「50パーセント臨界」などの調整が可能で、必 要な電力量に応じて、出力を自由に変えられるのです。商業用原子炉とは、比較にならないほど、高度なテクノロジーが使われています。

五代富文 宇宙開発と原子力(4) 「原子力潜水艦ノーチラス号と商用原子力発電炉」 からの引用です。

リッコーバーが開発主導した原潜炉は基本的には現在に至るまで使われ、ノーチラス号の加圧水型核反応炉STRマーク2は正式名称をS2Wと改名され 原潜炉の原型となりました。

原潜の原子炉は当初はWHが独占していました。しかし1970年代末に、 GE社の開発した加圧水型動力炉Sシリーズが参入し、徐々に主流を占めるようになります。

そして1990年代に入ると、船体の大型化に対応できなくなったWH社製の原子炉は姿を消していきます。

第6世代の原子炉は、WH社製に代わってGE社製S6Gとなっています。


ということで、原子力空母はWH、原潜はGEという棲み分けになっているようだ。

ただしWHというのはノースロップ・グラマン傘下のウェスティングハウス・エレクトロニック・システムズを指す、ということになる。

もちろん原子炉の生産技術に大きな差があるわけではないから、98年まで同じ会社の同じ部門だったWH社にコアー技術が共有されていることは間違いない。

当然、そこは封印された上で売却されるのであろう。嫁にはやるが、あそこは見ることも触ることも許さぬ、という話だ。




東芝という会社

東芝という会社の歴史を調べてみた(主としてウィキペディア)。

初代田中久重(1799年 - 1881年)は、からくり人形「弓曳童子」や和時計「万年時計(万年自鳴鐘)」などを開発し、「からくり儀右衛門」として知られる。

その「からくり儀右衛門」が、明治8年に工場を創設する。ホオっという感じだ。出自は町工場みたいだ。

しかし、東芝の「会社概要」を見ると、決して純民間とはいえないことが分かる。

明治6年に田中久重は、工部省(当時の政府機関、産業の近代化を推進)から受注した電信機を開発していましたが、受注拡大に伴い、1875年(明治8年)東京・銀座に工場を創設しました。

この町工場が一気に姿を変えるのは、明治26年のことのようだ。まさに日清戦争たけなわだ。

工場は三井の傘下に入り、芝浦製作所と改称し、重電メーカーの道を歩み始める。

これがひとつの顔だ。

昭和14年、芝浦製作所はもうひとつの顔を持つようになる。それが家庭用電球の製造会社「白熱舎」との合併と東京芝浦電気への改称だ。子供の頃、電球といえばマツダと決まっていたが、それを作っていたのが白熱舎である。

つまり東芝には「からくり儀右衛門」以来の町工場的伝統、三井財閥の基幹企業としての強面の重電メーカーとしての顔、一般消費者を相手の弱電メーカーという三つの顔があることになる。

会社概要ではこう書かれている。

太平洋戦争などが激化する中、国家の要請に応え、軍事物資として無線機や真空管および動力源となる発電機など、急速に生産を伸ばしました。

つまり軍事産業として、戦争中に大儲けし急成長したたわけだ。


それで敗戦となって、財閥解体の波がやってくる。

しかし三井は解体されたが、どうも東芝の本体はこの波をうまくくぐり抜けたようだ。工場が一つ独立しただけで、本体は無傷で残された。

その結果、東芝は電機業界の最大手となり、石坂泰三・土光敏夫の黄金時代を築きあげる。これが昭和24年から昭和51年までの間続き、さらにその後も土光院制が続いた。

浜松町の駅の浜離宮側にどでかいビルが建ったのもこの頃(昭和59年)である。

きわめて間口の大きい経営体となり、高度成長の波にフラッグシップの一つとして乗った。家電部門は省略する。重電部門はあまり知らなかったので、いささか驚いている。

懐かしいところで言うと電気機関車EF58、EH10などが東芝製。

重電の目玉はなんといっても原子炉である。日本のトップメーカーとしてGEの沸騰水型原子炉をライセンス生産している。

ほかに地対空ミサイルを開発製造し、自衛隊の指揮システムの開発にも携わっている。

上位10社
       防衛省ホームページより

このあと、西暦に切り替える。(どうも平成には弱い)


その東芝が10年前、2005年からおかしくなる。つまり西田社長の就任からだ。「事業構造改革」で収益基盤を強化し、成長分野で新たな事業を立ち上げる「事業構造転換」を進めた。

レコード会社(EMI)を売却した。白熱灯の製造を中止し、HD/DVDからも撤退した。

銀座の東芝ビル、本社ビル(引き続きテナントとして入居)、梅田スカイビルを手放した。

携帯電話事業からも撤退し、半導体生産の主力工場も閉鎖した。ただハードディスクの生産は続けているようで、私もヨドバシの安売りで買った2テラの外付けハードディスクを持っている。

いっぽうで、「事業構造転換」の目玉として、世界有数の原発会社ウェスティングハウス社を買収した。


つまり、結果論としては「事業構造改革」と「事業構造転換」がみごとに裏目に出たことになる。その挙句の果てが「粉飾決算」ということになるわけで、それだけ見ていても事の本質はわからないだろう。


ニュース、からみ隊 というブログの東芝は三井財閥の中核企業 という記事が、ちょっと古いが(2011年10月)面白い。

要点だけ紹介しておくと、

東芝は三井財閥の中核企業。トヨタや新日鉄、三井造船やIHIなど、三井グループの中心を占めている。

国鉄がJRに移行した際に、東芝がJR貨物の電気機関車の…大量受注を獲得している。これには政治的配慮が大きく働いているのではないかと思う。それと言うのも、東芝の電気機関車は故障が多いから だ。
…今度は大規模貨物駅で使用される入換用電気式ディーゼル機関車の受注に成功した。 そもそも東芝には大型ディーゼルエンジン部門がない。それなのにJRで採用が決定したのは、どう考えてもおかしい。
郵政民営化でも、郵便物自動読み取り区分機を最も多く納入している。区分機に他社が参入するまでは、独占価格で納入していた。この東芝の区分機は故障が多く、しかも高い。
通信事業の自由化では、アメリカ方式の採用を迫り、実現した。東芝は通信機に弱い。そのためモトローラに参入させたが、ここの製品の性能は低い。(結局東芝は富士通に電話事業を譲り撤退した)

著者は最後にこうまとめている。

やはり最後は政治力ではない。製品を作るメーカーである以上、技術力が決め手になるのだ。

うちのテレビのレグザはそれほど悪くはないが…


ということでいくつかのことが分かった。ひとつは、東芝には表の顔と裏の顔があり、どうもことあるごとに裏の顔(官需タカリ)が透けて見えること。

殿様商売をやっていて、今ではかなり経営が傾いていて、「大胆な経営改革」をやったが、すべて裏目に出ているということ。

にもかかわらず、裏の商売がある以上、政府も潰す訳にはいかないだろうと、たかをくくっていること。

この期に及んで、まだメディアが「粉飾決算」と呼ぶのを回避しているのは、スポンサーとしての権威だけではない、裏の圧力があるのだろうと思う。

しかし、いずれ外圧が来る。それまで処理をもたついていれば、痛烈なしっぺ返しを食らうことは間違いないだろう。

東芝事件、まだ序の口だ

とりあえず経過表を作ってみたが、どうもとんでもない大事件になりそうな予感がする。

問題は企業ガバナンスとかいうレベルではない。日本という国の骨格が、骨格だと思っていたものが、たんなる虚妄に過ぎなかったという衝撃的事実である。

ソニー、松下が潰れても日本の屋台骨は揺るがない。しかし東芝はレベルが違う。経団連の中核であり、軍産複合体や原子力村と深く関わる、ある種の国策会社でもある。

斜陽の電機業界の中で、日立・東芝が好業績を維持していることは、日本の経済政策立案者にとってある種の救いであった。

しかし「勝ち組」だったはずの東芝が、実は「負け組」だったのだ。この事実は、ずっしりと効いてくる。

「大企業立国論」は、アベノミクスの根幹をなしているだけでなく、保守派に共通する信仰となっている。その根拠となる企業の一つが瓦解するとなると、残るはトヨタのみとなる。

さすがに「日本の産業政策はこのままでいいのか」という疑問が、澎湃として沸き起こってくるだろう。

アメリカの言うがまま、大企業の儲け主義、内需の軽視というのが、日本の経済政策の三本柱だった。それが、財界の先頭に立つ推進役の大企業、東芝の無残な転落によって、賞味期限切れを暴露された。

それが今回の事件ではないだろうか。

高齢化と人口減少が否応なしに迫ってきた現在、日本はすべての面でスケールダウンを迫られている。

その際に、大企業だけが抜け駆けをしようという魂胆は間違っている。それは結局、東芝の道を歩むことになる。

道を変更出来るだけの時間的余裕はあまりない。これを機に、根本的な変化を打ち出すことが求められているのではないか。

鍵となるイメージは「平和な中規模国家」ではないだろうか。これまで築き上げた技術力、平和国家の矜持を大事にしながら、ニッチを開拓し内需を中心にした国家づくりをおこなうのが一番だ。それには大企業中心思考を何処かで捨て去らなければならない。それが今だろう。


2009年

3月 東芝、リーマン・ショックで2500億円の営業赤字に転落。

6月 佐々木則夫氏が原子力部門から社長に就任。携帯電話や中小型液晶の不振事業を売却する一方で、原子力発電事業と半導体の2本柱に力を集中。

2011年

3月 東日本大震災と福島原発事故。佐々木社長の出身母体の原子力部門が大きな打撃を受ける。佐々木社長は高水準のコスト削減で経営改善を目指す。

2013年

6月 田中久雄氏が社長に就任。西田会長は佐々木前社長を副会長に棚上げし、自ら会長にとどまる。佐々木前社長は経団連副会長に就任。

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左から西田厚聡相談役、田中久雄社長、佐々木則夫副会長

2014年

6月25日 西田会長が相談役に退く。後任会長には室町正志取締役が昇格し、佐々木副会長はそのまま副会長に留まる。


2015年

1月 証券取引監視委員会(SESC)に、不適切な会計処理の内部通報。

「佐々木前社長時代に、インフラ関連事業で不正な会計処理があった」という内容の電話が、情報提供窓口に掛かってきたとされる。

2月12日 証券取引監視委員会、東芝に対し会計処理の精査・報告を命令。

4月3日 東芝、「不適切会計」の疑いで精査中と発表。「当社の2013年度における一部インフラ関連の工事進行基準に係る会計処理について、調査を必要とする事項が判明いたしました」

4月3日 社内で室町正志会長をトップとする特別調査委員会を設置。日本弁護士連合会のガイドラインに基づく「第三者委員会」の形態は採用せず。

調査対象は『電力システム社』『社会インフラシステム社』『コミュニティ・ソリューション社』の社内カンパニー3社だったが、調査開始後「不適切会計」が湧くように噴出した。

東芝カンパニー

5つの事業グループ、7つの社内カンパニーがある。各カンパニーに総務・人事・経理スタッフが在籍し、経営指標や決算書などを作成、本社に報告している。カンパニーのトップは経営の権限が与えられ、専業・独立企業化が図られている。


2015年5月

5月8日 東芝、3月期連結決算の公表を6月以降に延期すると発表。期末配当は見送りとなる。

東証の規定では、6月末までに有価証券報告書が提出されないと、「監理銘柄」に指定される。7月末まで提出できなければ上場廃止になる。

5月8日 特別調査委員会、インフラ関連事業の工事進行基準案件で、「原価総額が過小に見積もられていた」ことを明らかにする。

5月8日 東芝、特別調査委員会の報告を受け、2015年3月期業績予想を取り下げ、3月期連結決算の発表を延期。あわせて期末無配を発表。

5月11日 東芝株は取引開始直後から売り注文が殺到し、ストップ安となる。(最終的に513円から375円に下落し、東芝が失った株式時価総額は約2700億円に達する)

5月13日 東芝、特別調査委員会の中間結果を発表。社内3社の9件の工事案件で、原価の過少見積が総額500億円強に上っていると明らかにする。

2012年3月期から14年3月期までの3年間にわたる過年度修正(減額)が見込まれる。また不正の原因として「予算達成目標の位置づけが高かった」ことを挙げる。 「週刊東洋経済」2015年6月13日号より

朝日新聞より

9部門
5月15日 田中社長が深夜に緊急記者会見。不適切会計の件数が9件に及んだと公表。財務報告内部統制の訂正報告書を提出する方向を示す。役員報酬の一部返上を表明するが、 「財務報告の内部統制が機能していなかった」と述べ、意図性は認めず。

5月15日 東芝、「第三者委員会…に関するお知らせ」を発表。特別調査委員会は5月中に調査結果を第三者委に報告し、資料などを引き継いで解散することとなる。

5月15日 社内中心の特別調査委員会に代わり、第三者委員会(委員長・上田広一元東京高検検事長)による調査が開始される。(第三者委員会メンバーの中立性については疑問の声あり)

5月22日 東芝、第三者委員会の調査対象を、テレビ・パソコン・半導体などほぼ全事業に拡大すると発表。不正会計審査の期間は2011年3月期からの5年間に拡大する。

5月29日 田中社長の記者会見。金融商品取引法が定める有価証券報告書の提出期限の2カ月延長を関東財務局に申請すると表明。第三者委員会の調査結果を待って、9月に臨時株主総会を開くと発表。

5月30日 財務当局と東証、提出期限の2カ月延長を承認。8月末を新たな期限に設定する。これにより「上場維持」が認められ、株価下落に歯止めが掛かる。

2015年6月

6月1日 東京証券取引所の上場企業で、社外取締役2人以上の選任が義務付けられる。コーポレートガバナンス(企業統治)の透明性と健全性を高める狙い。

6月初め 米有力法律事務所(複数)が、今回の「不適切会計」問題発覚後の株価下落で損害を被った株主に損害賠償訴訟への参加を呼びかける。

6月12日 東芝、特別調査委員会の調査結果(「自主チェック結果、特別調査委員会の調査概要及び第三者委員会への委嘱事項との関係についてのお知らせ」)を発表。これまでの9件に加え、新たに12件(総額36億円)の不正処理が明らかになる。販売促進費などの計上の先送り、在庫の評価減、棚卸資産に関する不適切処理、委託先との取引の不適切処理などがありうるとし、第三者委員会に精査を委託。

週刊東洋経済より

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6月25日 東芝の株主総会。田中久雄社長は証券取引等監視委員会の検査を受けていたことを明らかにする。3月期決算は保留され、期末配当は無配となる。取締役16人の残留、9月の臨時株主総会開催で了解をもとめる。

財務責任者報告で明らかにされた数字: かさ上げ額は合計548億円。インフラ関連工事9件で原価総額を低く見積もることで、営業利益を512億円かさ上げ。広告費や在庫の費用・損失計上の先送りで36億円の利益かさ上げ。

2015年7月

7月4日 第三者委員会の調査で、過大に計上した利益が、1500億円規模に達することが明らかになる。

7月8日 第三者委員会の調査で、営業利益のかさ上げ額が最大2000億円規模に膨らむことが判明。

不適切処理の具体的手口: (1)納入業者への支払いを翌期に付け替えし、利益を先取りする。(2)部品を委託先に一度売って、完成品を買い入れ、完成品 在庫を増やす。これにより一時的に部品を売った利益が上乗せされる。(3)半導体の原価が下落しても、コストに反映させず、利益を過大に計上する。
またテレビの費用計上、半導体の在庫評価、パソコンの部品取引などすべての分野でかさ上げ。損失に備えた引当金の未計上、具体的な裏付けがないコスト削減策のくりこみ、販促費や広告費の経常先送りなど、意図的な会計操作が疑われる。

7月8日 東芝、主要取引銀行に対し最大6千億円の融資枠設定を打診する。

7月9日 第三者委員会、佐々木前社長の指示・関与を認定。佐々木前社長は退任の意向を明らかにする。
佐々木前社長は、予定通りの利益を上げられない部署に、会議の場やメールで「工夫しろ」と指示していた。社員らは、発言を「会計を操作しろ」という趣旨だと受け止めた。

7月9日 東京証券取引所で、東芝株は一時365円80銭まで下げ、年初来安値を更新する。


7月10日 第三者委員会の調査で、田中久雄社長が業績改善を強く促していたことが判明。

田中社長は各事業幹部に対し、早朝に電話をかけて「何で予算を達成できないんだ」と迫ったり、メールで「売上高をもう少し上げろ」「利益を早く上げろ」などと要求した。月々の利益が計画に達していない担当者を強い口調で「工夫しろ」と指示した。


毎日新聞解説記事より「東芝の営業損益の推移と歴代社長」

毎日 東芝

7月11日 東京証券取引所が、東芝を管理体制の改善を求める「特設注意市場銘柄」に指定する見通し(読売新聞)



それで、報道各社の表現だが、

NHK 今日のお昼のニュース: 東芝が、不適切な会計処理の発覚でことし3月期の決算が発表できない異例の事態となっている問題。

えらく持って回った言い方です。

TBS 4日のニュース: 不適切な会計処理問題、営業利益水増し。

日本経済新聞 5月25日づけ: 不適切な会計処理問題、インフラ、半導体、パソコンに加えてテレビ事業でも不適切と懸念される案件。

産経新聞 6月14日: 新たな不適切会計の事案が見つかる。粉飾や会社ぐるみの会計操作の疑惑も。

東洋経済オンライン 6月17日: 東芝は、今回の不適切会計問題を乗り越えられるのか。

ハフィントン・ポスト 6月11日: 証券取引等監視委員会(SESC)への内部通報で発覚したインフラや半導体分野の「不適切な会計処理」…

毎日新聞 6月21日: 不適切な会計処理をめぐって東芝が大きく揺れている。


ネットで情報あさりしていたら、ホリエモンのツイッターにあたった。
誰も粉飾ってワード使わないところが超笑える。日本のマスコミってマスゴミだって言われても仕方ねーな。

まだ不適切会計って言葉を使うところが最高にコミカルですわー。使ってて気持ち悪いって思わんのかね?

たしかにホリエモンには笑う資格がある。彼も証券取引法違反でパクられ、臭い飯を食ってきたからだ。

東芝の「不適切会計」というのが良くわからない。聞いている限りでは損失隠しを行い利益をかさ上げしたとのことだ。

それって、粉飾決算じゃないの。

「粉飾決算」の定義ってよくわからないけど、どう厳密に狭く解釈しても、粉飾決算そのものではないかと思うが。

本日の赤旗は、きわめて控えめな報道に終始している。

見出しは以下のとおり

東芝 不適切会計 倍に ―― 利益かさ上げ2千億円

1.過去に行われた営業利益のかさ上げ額が最大2千億円規模に膨らむ可能性がある。

2.6月には500億円としていたが、見直しで他部門にも問題が発見された。

3.過去5年間での連結営業利益は1兆500億円であり、その2割が水増しだったことになる。

中国株とギリシア問題で経済部はてんてこ舞いなのだろう。ただ重みはケタ違いだ。ギリシアは長い駆け引きの一つの段階にすぎない。中国株はもう少し状況を見極めないとなんとも言えない。

しかしこちらは「犯罪」だ。日本を代表する企業の、信じられないほど巨額の粉飾だ。(とは言っても、たかが国立競技場1個分だが)


とりあえず、赤旗が頼りにならないので、ネットで情報あさりする。

まずは「粉飾決算」の定義(はてなキーワード)。

不正に会計を操作することで、収支を偽装した虚偽の決算報告のこと。定められた法律に抵触した場合、刑事責任、民事責任が問われることも。過去の有名な事件として、オリンパス、ライブドア、山一證券など。

これではちょっと物足りない。

粉飾決算と法律責任

というそのものズバリの論文が見つかった。著者は輪田忠種さんという方。

東京オリンピック前後の高度成長の時代に、過剰な設備投資から粉飾決算を行い、ついには倒産という事態が相次いだ。

このため昭和46年に証券取引法が改正され、会計監査法人の賠償責任が法制化された。昭和49年には商法が改正され、監査役の地位強化が図られた。

賠償責任

商法および証券取引法では損害賠償が規定されているが、会社には無過失責任がある。担当取締役は(過剰配当額を)会社に弁済する責任がある。

商法・証券取引法上の刑事責任

商法489条では違法配当罪が規定され、5年以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられる。

違法配当が悪意を持って行われた場合は、特別背任罪が成立する。商法486条に基づき7年以下の懲役または50万円以下の罰金。

さらに株式・社債の募集に虚偽があったので、不実文書行使罪(懲役5年以下)という罪も生じる。証券取引法上も虚偽文書提出罪が成立する。

また、本来公務員に科せられる収賄罪・贈賄罪が適用されることもある。


続きは次の記事で


ブログ記事一覧表

2015年6月現在

03 日本経済

まだリンクを貼るところまで至りません。申し訳ありませんが、題名を検索語にしてグーグル検索してください

2015-05-28

石原慎太郎、生涯の汚点

2015-04-23

日銀破綻のシナリオ

2015-04-10

3年で1兆円儲けた人がいる

2015-04-03

「増収分は全額、社会保障に使う」のではなかったか

2015-03-18

思わず泣けてくる「日本再興戦略」

2015-03-18

「日本再興戦略」の目指すものがわからない

2015-03-16

貯めこみは悪しき性(さが)

2015-03-12

トヨタの研究開発減税

2015-03-12

「経済ペシミズム」の打破が必要だ

2015-03-03

農業つぶし、農民つぶし、農村つぶしの3点セット

2015-02-27

第3四半期 景気戻らず、二番底へ?

2015-02-25

安部首相答弁のウソとまやかし

2015-02-16

全中問題の核心は独禁法の恣意的適用にある

2015-01-27

「岩盤規制の見直しは成長戦略の柱となる」か?

2015-01-27

岩盤規制 言葉を厳密に使わないと議論にならない

2015-01-26

コンビニの凋落と百貨店の復興

2015-01-21

問題は格差拡大を伴う絶対的貧困化だ

2015-01-20

「労働分配率の国際比較」の図表を復活させました

2014-12-22

カジノを強要する在日米国商工会議所の愚劣さ

2014-12-12

あなたは国を去りますか?

2014-12-12

国債 GPIFが種まきゃ、日銀が掘ぢくる

2014-12-12

「私が最強のTPP推進役」

2014-12-11

大企業の実質税負担率 5つのグラフ

2014-12-11

「経済成長と財政再建が両立」できないから延期したのだろう

2014-12-08

「金融緩和は内需型産業に悪影響」 日銀少数派の意見

2014-12-06

「別の道」のための財源 早わかり

2014-12-06

共産党の選挙政策 早わかり

2014-12-05

国民所得6%減、大企業6%増、これがアベノミクスだ

2014-12-04

輸出が伸びない円安・インフレは有害無益だ

2014-12-03

志位さんの「二段構え」論

2014-12-03

景気回復を目指す唯一の出口は雇用の質の改善

2014-11-01

日銀の追加緩和 NHK報道がひどい

2014-10-16

鉱工業生産 底の見えない落ち込み

2014-10-11

「『日本型経営』が危い」がなつかしい

2014-10-10

海外進出の行き着く先

2014-10-09

どういう状況のもとで「反動減」が遷延しているのか

2014-10-01

8月経済統計 暗澹たる結果

2014-09-27

消費税再引き上げ反対  5つの使えるグラフ

2014-09-27

消費税引き上げ論は日米開戦「やむを得ず」論と同じ

2014-09-26

財政赤字の最大の原因は大企業の海外逃避

2014-09-26

各シンクタンクの経済見通しを眺める

2014-09-24

酪農経営は拡大しなければアウト

2014-09-24

ウソつかない TPP断固反対 自民党

2014-09-23

消費税増税後の落ち込み

2014-09-23

視野欠損者の“病気の証明”

2014-09-18

若者の「学力低下」は少子化問題なのだ

2014-09-13

有機テレビはもう終わり

2014-08-28

海外進出 通信産業は置いてきぼり

2014-08-19

株価高と金利低下が併存する矛盾

2014-08-19

6月実質賃金が3%減

2014-08-18

GDPイコール国力なのか?

2014-08-16

年金がパアになる日は近い

2014-08-14

GDP大幅減の意味するもの

2014-08-06

マクドナルド、最期の日は近いか

2014-08-05

日産自動車の見通しが暗い

2014-07-28

「財政再建」はどこへ行った

2014-07-23

消費税の影響は想定以上 内閣府が認める

2014-07-11

世界におけるカジノの動向

2014-07-03

政府から門前払いされた主流エコノミスト提言

2014-07-02

6月日銀短観を見る姿勢 赤旗とWSJの違い

2014-07-02

実質賃金は3.5%減(前年比)

2014-07-01

消費支出が激減している

2014-06-09

「狼生きろ、豚は死ね」と叫ぶ「豚」

2014-06-03

トヨタ 税金逃れで儲けを山分け

2014-06-03

実質消費支出4.6%減の意味

2014-06-03

消費者物価指数は3・2%上昇

2014-06-03

収入7.1%減は間違いない

2014-06-03

勤労世帯の収入が7.1%減!?

2014-05-20

円安でも輸出価格が下がらない

2014-05-20

円安でも輸出価格を下げない大企業

2014-05-07

小売業、4月は4割悪化 (日商調査)

2014-04-30

連結法人の法人税は13.3%

2014-04-21

非正規の生涯賃金の試算

2014-04-19

グーグル・パブリック・データがすごい

2014-04-16

国債取引不成立は想定内、しかしその先は想定外

2014-04-16

国債売買が成立しなかった

2014-04-14

4月早々、経済見通しは暗い

2014-04-11

異次元緩和1年 日銀の脆弱化

2014-04-10

異次元緩和は中小企業の一人負け

2014-04-09

異次元緩和の目的は何だったのか

2014-04-08

異次元緩和から1年

2014-04-05

学生の仕送り 1日937円

2014-04-04

インド・トヨタ、誓約書が社会問題に

2014-03-31

インド・トヨタ争議 各紙の論調

2014-03-31

大人げないインド・トヨタ

2013-10-15

財政健全化と法人税

2013-10-10

みずほ頭取を追い詰めた人物“x”

2012-04-20

消費税と社会保障拡充の関係

2012-04-11

税収はいかに減ったか


鳥畑与一さんが「異次元緩和」の行く先を、あらあらの形でシナリオ化している。

この通りになるかどうかは別として、一応紹介しておく。

1.日銀はいつまでも国債買いを続けられない

市中に国債は枯渇しており、年金運用機構からの放出を促している。しかし新規国債発行との調整はいずれ破綻する。

2.バーゼルの国際決済銀行(BIS)が自己資本規定の第4弾を出す

この新規制は国債保有リスクも算入することになる。日本銀行の格付けが下がればすべてのフィクションは破綻する。

3.インフレがリフレの枠を超えて進行する

このとき、金融の引き締め策はほとんど不可能になる。なぜなら引き締めは国債購入の抑制を通じて行うことになるから、たちまち国債は市中に溢れ、暴落(利回りの急騰)を引き起こすからだ。

そこに超大型のギリシャ型破産国家が誕生する。


鳥畑さんは3つ並べたが、私が考えるには1.と2.はどうにでも切り抜けられるのではないかと思う。1.については年金という打出の小槌はまだまだ相当使い出があると思う。2.については、場合によっては知らんぷりしてしまうこともありうる。

やはり決定的な問題は、インフレが政策インフレの枠を超えてスタグフレーションへと移行し、暴走を開始することだろう。

インフレは、国民の余力があるうちは吸収しうる。しかしこれは時限立法だ。大量の通貨発行で名目賃金はわずかに上がったが、実質賃金は確実に低下している。すでに限界は近づきつつある。

どこかで下方への柔軟性が失われるポイントがある。その時一気に危機は顕在化するだろう。

政策インフレのもう一つの側面は、資本輸出の低下だ。貿易収支は、輸出産業を除けば赤字基調が続くだろう。これを補うのが貿易外収支だが、円安とインフレは、長期的には、ますます輸出資本(ドル)の目減りをもたらすだろう。

これにより国際収支が恒常赤字化するポイントがかならず来る。その時はっきりするのは、「円はドルではない」ということだ。日本の地力が落ちれば、円は紙くずになる。

インフレ政策は諸刃の刃であり、負の側面が必ず露呈する。インフレ政策はありうるオプションであるとしても、それはテンポラリーなものだ。必ず期限を切ること、必ずそこからの脱出計画を持つことが必要だ。

要するにそれは、麻薬であり、ズルズルとハマれば末路は廃人でしかない。

大門議員が株で大儲けした富豪の番付を発表した。
これはアベノミクス開始以来の株高で儲けた額で、純資産による番付ではないが同じようなものだ。つまり超富裕層がひたすら富を増やしているのだ。日銀がばらまいているカネは、全部この連中のもとに吸い込まれているのだ。

sisanzouka
名前をイニシャルだけにしているところが「かわいい!」
単位は億円だ。
一位のソフトバンクのS氏は1兆円儲けた。ありえない話だがあるのだ。
儲けたのが1兆円で、その結果としての現在の株の時価総額は1兆6千億なのだ。
しかもこれは株だけの話で、他の資産は含まれていいないのだ。
しかしユニクロの社長は家族に資産を分散しているから、もっとすごい。時価総額の合計は2兆円を優に越す。
全体では保有株式の時価総額が100億円以上増えた株主は220人、その総額は11兆円を超えたそうだ。

それなりにリスクテイクして儲けた金だから、とやかく言いたくはないが、余りにも額が巨額に過ぎる。これだけ富の偏在が進んでいくと、経済のしかけがいずれ壊れてしまうのは目に見えている。

以下が、今年度予算案における社会保障削減の内容だ。
社会保障削減
介護報酬の引き下げがもっとも高額になっているが、他も決して少なくない。
とくに年金のマクロ経済スライドは、これから先なんどでもやられるものだけに極めて厳しいといえる。
一つ一つの項目が老人にはズシッとのしかかってくる。老人を抱える家族も同様だ。
ところで去年4月の消費税引き上げ分の増収はどうなったのだろうか。高齢者の増加に伴う自然増分を差し引いても、しっかりお釣りはあるはずだ。
安部首相は引き上げのときこう言った。
増収分は全額、社会保障の充実・安定化に使う。
しかし共産党の小池晃議員の計算では増収分の16%しか回っていないという。
このことを問うと、安部首相は
給付と負担のバランスを取らないといけない
と答えたそうだ。
問題はバランスではない。あなたが嘘をついたかどうかということだ。



「日本再興戦略」改訂2014の概要という資料がある。 1枚のペラに概要を表示したものだ。一度ご覧になっていただきたい。唖然とすること うけ合いだ。
これは「戦略」ではない。なぜなら戦略目標がないからだ。 なぜ戦略目標がないか。これは大企業の自己利益増大のための戦略を、国家のた めの戦略であるかのように装って書いただけのものだからだ。
言葉遣いが下品なだけでなく、内容そのものも下品極まりない。

まず「基本的考え方」、これは3点があげられる。
1. この1年間、「3本の矢」によってもたらされた変化を一過性のものに終わらせず 、経済の好循環を引き続き回転させていく。
2. そのため、日本の「稼ぐ力=収益力」を強化。同時に、「日本再興戦略」で残され た課題(働き方、医療、農業等)にも対応。
3. デフレ状況から脱却しつつある今こそがラストチャンス。企業経営者や国民一人 一人に、具体的な行動を促していく。
つまり、「日本再興」の鍵は収益力アップにあるということだ。いいか、「日本の収益力 アップ」だぞ。つまり輸出の振興と貿易黒字の拡大ということだぞ。 それが正しいかどうかではなく、あんたたちの言っていることはそういうことだぞ、とい うことだ。
つぎに、そのための「10の挑戦」というのがあげられる。
「10の挑戦」といっても、3つ のプラン群に分けられていて、本質的な部分は 1.日本の「稼ぐ力」を取り戻す  という プラン群に絞り込まれる。
1.日本の「稼ぐ力」を取り戻す
の構成は
A 「企業が変わる」~「稼ぐ力」の強化
B 「国を変える」
となっており、ここの挑戦に成功すれば「日本再興」が成就されるという仕掛けだ。
実はこれだけではダメで、雇用の量と質の改善、中小企業をふくめた経済のボトムアッ プが不可欠なのだが、それについてはとりあえず置いておく。
中身に入る前に、まず作業仮説として考えてみよう。
輸出の振興と貿易黒字の拡大を実現するために、日本の産業構成をどう変化させなければならないか。
答えは小学生でも分かることだ。輸出型産業・企業の振興だ。
そこには、既存企業の 中で輸出プロパーへの支援を行うこともふくまれるだろう。

と前振りをしたところで、彼らの戦略の5つの柱を紹介する。
1.コーポレートガバナンスの強化
  コーポレートガバナンス・コードの策定
2.公的・準公的資金の運用の在り方の見直し
  GPIFの基本ポートフォリオ、ガバナンス体制の見直し
3.産業の新陳代謝とベンチャーの加速、成長資金の供給促進
  大企業を巻き込んだ支援、政府調達への参入促進、エクイティ等の供給
4.成長志向型の法人税改革
 数年で法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指す
5.イノベーションの推進とロボット革命
 革新的な技術からビジネスを生み出すナショナルシステム、 ロボットによる社会的課題の解決と新たな産業革命
 正邪を云々する以前の問題だ。とにかく「輸出の振興と貿易黒字の拡大を実現するために、日本の産業構成をどう変化させなければならないか」という自らの問いに対する答えになっていない。
その知的退廃ぶりに は思わず目を覆ってしまう。
若干の注釈をしておくと、
1.コーポレートガバナンスというのは経営の透明性のことであるが、実際には日本型 経営を捨てて株主重視のアメリカ型経営へ移行せよという主張である。
2.GPIF はこのあいだも書いたが、年金運用機構のことで、ポートフォリオというのは 資金配分。つまり、もっと株式市場に資金を入れろ、運用係に自由度を与えろということだ。
3.エクイティというのは銀行から融資してもらうのではなく、株式を発行して資金を調 達するようにしろという主張だ。1.とつながる主張である。
 4.説明不要
5.バカバカしい夢物語

要するに、小学生でも分かるような解答はまったく準備されていない、ということだ。 皆さん、泣けてきませんか? これが日本の“叡智”を集めて出した結論なんです。

最近どうもよくわからないのだが、大企業減税による成長戦略というのが、どうして「日本再興」につながるのか、その理屈はどうなっているのだろうかということがひとつ。
もう一つは、政策立案者なり実行主体なりがその「理屈」を本当に信じているのかということだ。
さらに言うなら、「トヨタ栄えて国滅ぶ」という結末にならないのか、説得力をもって説明できていないし、する気もないことも気がかりだ。
本日の赤旗には、去年6月に出された「日本再興戦略」が紹介されている。これは安倍政権がアベノミクスの第3の矢として打ち出したものだ。
前から、この第3の矢は方向が逆だと思っていたが、それが消費税増税でモロに出たことはご承知の通り。
というのも、第1の矢である大胆な金融緩和と、第二の矢である赤字国債による公共投資の拡大はある意味で古典的な景気刺激策であり、その方向で成長を実現し内需を喚起し、もって財政の改善を図るというものだ。
ことの是非や実現可能性はともかくとして、理屈そのものはよく分かる。
しかしこの第3の矢は第1,第2の矢の方向と真っ向から対立してしまうのではないか。企業減税はいいとしても、その財源を大衆収奪の強化にもとめるのでは、成長どころか水かけになってしまう。政策的な一貫性がないのである。
学校の試験でこのような答えを書いたら、落第まちがいなしではないか。

とくに財務省の考えが見えない。そもそも財務省は財政再建を至上命題としてやってきたはずだ。そのためには景気後退が長引こうとも引き締め政策を堅持しようと突き進んできたはずだ。
しかし政策主導で金融緩和と大型公共投資が行われ、そのやり方は頓挫した。であれば根本の考えは保留するとしても、とりあえず積極財政にふさわしい財政のあり方にかじを切るべきではないか。ブレーキとアクセルを両方とも力いっぱい踏み込んでいたのではエンジンがぶっ壊れてしまう。
この辺りをどう考えるのか、さっぱり見えてこないのである。

一番肝心なこと、国民はもう我慢できないところまで追い詰められてきていること、それを見ているのか、見えているのか、そのあたりが全く見えてこないところに、最大の危機感を感じてしまうのである。

酒が入っているから話はとりとめない。

なんで内部留保が積み上がるのか。不安感がそうさせるのか、

私は「人間、貯めるのが好きだから」というのがあると思う。

人間というが、人間ばかりじゃない。犬だって下駄とかボールだとかなにか訳のわからないものを床下に集めるものだ。そういえば、猫はあまり貯めないかな。

私も子供の頃から考えると、ずいぶんの収集マニアだ。まずはお定まりの野球選手のブロマイド。集めたブロマイドをグループ分けしたりしたものだ。欲しければ人のものまでくすねた。それがバレてボコボコにされたこともある。

次が切手、これはさすがに金券だからそうは集まらない。親戚の土蔵に忍び込んで、昔の手紙から切手を剥がしたこともある。これもおやじからしこたま殴られた。

記念切手の販売日は郵便局の前に並んだ。どういうわけか買ってから10分位走り続けると、学校に間に合った。あれは「ご成婚記念」だったかな。たまに遅れることもあるから、先生からげんこつを頂戴することになるが、「知ってるぞ、あんたも切手マニアだろう」と腹の中でつぶやいていた。たしかにいつものげんこつよりちょっとソフトだった。

月と雁もあった。ビードロは2枚もあった。切手のカタログ本を見て、何時間も過ごした。子供ができたのでくれてやろうと思って、実家の本棚や机を引っ掻き回したが出てこない。時価何万円かなぁと思うが結局パァだ。

これは実に教訓的だ。やっているうちに、集めることが自己目的になるのだ。そこから先がない。

お金も収集対象としては実に魅力的だ。実際コインも集めたことがある。しかしこれは趣味としてはちょっと卑しいところがあり、あまりのめり込むところまでは行かなかった。

貯金通帳に貯まるお金が趣味という事にはならなかった。ただ収集家というのは基本的にはけちであるから、それを使うことには身を切られるような痛みを感じる。


それでもって、内部留保の話に戻るのだが、こういう貯めこみ根性は企業家精神とは著しく背馳するのである。

経営というのはゲームみたいなものだから、お金は回していかなければならないのである。もちろん倹約精神も大事だが、それは家政の問題だ。旺盛な企業精神とは別の世界である。

麻雀だってトランプだって、引いたら捨てなければならない。誰か一人が貯めこんだら、ゲームが成り立たなくなる.

人間社会というのも、ゲゼルシャフトリッヒに見れば、ゲームの世界みたいなもので、二つの掟があるのだ。ひとつはカードは回っていなければならなということであり、ひとつは一人勝ちになってはいけないということだ。

いまはこのゲームが回らなくなってきている。完全に回らなくなった時、ゲームは終了し、この世は暗転するのではないだろうか。

それを防ぐには、みんなが収集癖を自制しなければダメだろう。ましてや収集癖が高じて社会的理性を失うようになってはいけない。

そこを、もう一度考えてみる必要があるのではないだろうか。

8日の赤旗の一面トップ記事。
トヨタの研究開発減税が1201億円(2013年度)だった。
これは赤旗記者が有価証券報告書の「財務諸表」と「税効果会計」から計算したものだという。
14年5月にトヨタの社長が「日本においても税金を収めることができるようになった」と述べて、衝撃を与えた事件を裏打ちした調査報道となっている。
ただしあくまでも推定である。
08年にリーマン・ショックのあと、トヨタの経営が一気に赤字に転落したのは記憶に新しいが、その年から5年間、トヨタは法人税を1円も払っていなかった。
それが13年度に過去最高となる2兆3千億の営業利益をあげた。その年に1201億円の減税を受けていたことになる。
話はそれだけだ。記事はそれにいろいろと尾ひれをつけているが、細かいところはなかなかあやふやだ。
まぁそのうちもう少し確度の高い情報が出てくるだろうから、それまで評価は待つことにしよう。

元銀行マン、つまりは老健の事務局長なのだが、と話していると、ある種のペシミズムとニヒリズムが根底にあることがはっきりする。これはなかなか打ち破るのが難しい。

「異次元の金融緩和」でジャブジャブにして、そのカネで国債を買いまくり、年金機構に国債から株式証券へのシフトを促す。これによって株価を維持して企業と金融が安定すれば、その内に景気の循環局面が好転するだろう、という筋書きだが、その先に未来はない。

それどころか、その先には奈落の底が待ち構えている、といえば反論はしない。「しかしいまの日本にはそれしかないのだ」ということになる。

通貨をどんどん発行すれば、インフレが現象するはずだが、企業がすべて内部留保に回しているから物価騰貴としては出てこない。しかし国民の総資産に対して通貨量が爆発的に増えているわけだから,庶民の所得は間違いなく減価している。

それが需要の減退から経済の縮小再生産へと至ることは自明であるが、これも「しかしいまの日本にはそれしかないのだ」ということになる。

その先に窮乏化革命論をくっつければ話は簡単なのだが、さらにその先には未来はない。

やはり「計画経済」とか「経済の社会化」という議論を積み上げていかないと本当の前進的議論はできないのではないかと思う。

ただ「計画経済」という言葉にはあまりにもスターリニズムの汚濁が染み付いてしまっている。

だから旺盛にスターリン批判を転回している不破さんも、なかなかそこには踏み込まない。

だから「計画経済か市場経済か」という不毛の議論が、ソ連崩壊後の一世を風靡し、民医連の幹部さえとくとくと語り、はては「計画でも市場でもない第三の道」として非営利・共同の路線が堂々と打ち出されたのである。


私は、「計画経済」とか「経済の社会化」というのは、究極的には、資本主義という経済システムを飼い慣らすこと、家畜化することを目指す議論なのだろうと思う。

そしてそのことによって「ジャングルの掟」から抜け出すことを目指しているのだと思う。

もちろんそのすべてを家畜化するのは不可能だろうし、経済はそのような試みに手荒く立ち向かってくるだろうと思う。

ただ人間は自然に翻弄されるだけの状態から始まって、ある程度自然をコントロールし、上手に利用する方法を身につけたのだから、経済という社会現象もやがてはコントロールできるようになるに違いないと思う。

それが、段階として、あるいはアプローチの方法してさまざまな形態をとるにせよ、なんとかこの荒馬を飼いならして乗りこなすという目的に沿った努力だろうと思う。

例えば投機資本に対する規制だったり、租税回避への規制だったりするし、より積極的には生産・事業の計画化だったりするわけだ。

そして根本的にはユニバーサルな経済秩序の形成に行き着く。それは強力な金融的裏付けを持つ、決済機能にとどまらない、国際通貨の創設がひとつのメルクマールとなるのではないか。

所有形態の問題はたしかに重要だが、グローバルな観点から見れば、それは決してメインではない。生産と分配を社会的な合意の下に行うようになれば、生産と分配に関する組織は自ずから社会化され、解決していくだろう。

共産主義は、産を共にするという意味ではなく、共に産み出すという意味だ。

ただし移行期(全体の流れに逆らおうとするものとの闘争の時期)においては、それは一国内の個別の形態においては、激しい論争のもとに置かれるだろう。


ペシミストという点ではピケティも同じだ。

彼はマルクスの貧困化理論を過去200年の銀行統計を使って立証した。そして世界大戦後の貧富の差の縮小を一過性のものと見ている。そしてそれが可能となった原因をさまざまに検索している。

だが果たしてそうであろうか。それは純粋に経済的な事象であったのか。

私は、戦後のITCを中核的概念とする革新的システムこそが現実に世界を変えたし、経済成長とともに格差の縮小をもたらすという“奇跡”をもたらしたのだと思う。

それは一方におけるアメリカ帝国主義の横暴、一方におけるスターリニズムの跋扈という政治的事情により歪められ、大量生産・大量消費という奇形的成長により挫折した。

しかしそれに変わって登場した新自由主義は、わずか40年足らずでその無能ぶりを暴露している。

一過性なのは戦後体制ではなく、新自由主義なのではないか。


2011/10/17  通貨問題は貿易問題だ バンコールと国際貿易機関ITO

2011/10/20 – ITO国際貿易機構)の遺したもの その1 
2011/10/27 – ITO国際貿易機構)の遺したもの その2 

本日の赤旗に掲載された、帯広での志位委員長の演説「TPP、農協つぶしストップ―この願いを日本共産党に」は、わざわざ一面を使って報道しただけあって、とても内容豊富である。
とくに注目されるのが、「農協つぶしの3点セット」という分析。
これは現在の全中つぶしが究極の目的ではなく、その次に3点セットが用意されているということだ。
3点セットとは、
1.全農つぶし(農業つぶし)
これまで農産物の共同販売を行ってきた全農を株式会社化する。これは例の “独禁法例外規定” 外しだ*。農業は仲買人の買い叩きにさらされることになる。
2.JAバンク・JA共済つぶし(農民つぶし)
現在単位農協が行っている金融事業と共済事業を分離する。農協から切り離されて生きていけるわけはないから、結局これらは潰れることになる。一般金融機関が農民に融資するわけはない。
3.准組合員外し(農村つぶし)
兼業農家を農協から排除し、農村での一般利用者を排除する。これで中小農協の息の根は止まり、辺縁部や高齢化農村は無人化する。
ということで、真の狙いは農協つぶしではなく、農業つぶし、農民つぶし、農村つぶしの3点セットだということだ。
ただこの辺はほとんどが初耳の話なので、少し知識の裏打ちが必要だ。

*2015年02月16日
中国の「三農問題」については,「農民は本当に貧しい、農村は本当に苦しい、農業は本当に危ない」(李昌平)との訴えを参照されたい。

第3四半期の経済統計が出揃った。
景気はまったく戻る動きを見せず、金融の緩和にもかかわらず株価だけが好調を維持する傾向がますます顕著になった。
daisansihanki
赤旗で各シンクタンクの評価を紹介しているので、転載しておく。
第一生命経済研究所
GDPが大幅に落ち込んだあとにしては戻りが弱く、物足りなさは否めない。個人消費や設備投資といった内需の持ち直しが緩慢なものにとどまっている。
消費税増税による負担増の悪影響が未だに消費を大きく下押ししていることがうかがえる。
みずほ総合研究所
(増税後の)個人消費の持ち直しが依然として緩慢なペースである。
とくに耐久消費財で反動減の影響が長引いている。
(実質所得の低下は)所定内給与が伸び悩んでいることに加え、年末賞与の伸びが夏季賞与を下回ったためだ。
三菱UFJ R&C
実質雇用者報酬が伸び悩んでいることが、実質個人消費の伸びを抑制している。
企業が潤沢な手元キャッシュ・フローをどの程度、国内の設備投資に振り向けるかがポイントになるだろう。


これらのシンクタンクの評価を見ていると、まさに「四半期資本主義」の発想そのままである。
上の図を見てみれば、第1四半期の駆け込み、第2の暴落、第3~第4の鈍い回復と見て、トータルで消費税がどんな影響を与えたかに思いを致さなければならないはずだ。そして消費税増税など決してやってはならないと決意を新たにすべきなのだ。
ところで、私が考えるには、「キャッシュフローを設備投資に回せ」と主張する三菱UFJ R&C は間違っていると思う。第4四半期ではGDPの伸びが個人消費を上回っている。ということは、企業の個人消費回復に関する見込みが楽観的に過ぎたということだ。それは同時に、これから二番底が来る危険を示唆している。私が経営者なら、この時期、絶対に新規投資はしない。現有勢力で利益の極大化を計る。
要するに個別企業に取って選択はないのだ。これは蟻地獄だろう。資本主義の限界だ。ここから脱出するには政治の力が必要だ。大企業の懐から強引にカネを抜き取って、社会保障と最賃引き上げに回すしかない。労働法規の厳格な適用も必要だ。さらなる改悪などもっての外だ。
ただ、それだけでは行かないことも事実だ。一国で強引に改革を進めれば、産業空洞化、雇用危機、ソブリン危機を招きかねない。まずは多国籍企業の国境なき資金移動と租税回避を国際協調で防がなくてはならない。
両方必要なのだ。しかも遠くない将来にそれを実現しなくてはならない。そうしないと、思わぬ形での第3次世界大戦が来る。


安部首相答弁のウソとまやかし

20日の衆院予算委員会での志井さんの基本質疑がまだまとめられないでいる。

衆議院議員が21人に増えて最大の問題は、質問時間が大幅に伸びたことだ。今までは赤旗の2面で読み切れたのだが、今回はなんと5面に達している。もうごめんなさいという感じだ。

まずは、安倍首相の最初の答弁が気に食わない。

質問は、「非正規が増えたことが労働者全体の賃金低下の主要な要因だ」という認識があるかというもの。これはなかなか「ハイ」とは答えにくい質問だ。そこで副次要因をるる説明をして「ハイ」とは言わない。それは分からないでもないが、その中にかなりウソとまやかしが入っている。

1.賃金の下がった理由

97年をピークとして賃金が下がった理由として、給与の抑制、デフレ経済、高金利下での投資の抑制の3つをあげている。

これらは局面、局面では賃金低下の要因をなしていた可能性はあるにしても、97年以降18年間の長期傾向を説明するものではない。給与の抑制だけは間違いないが、デフレを景気後退・生産過剰と捉えるなら、2001年からリーマン・ショックまで続いた好況局面は無視されることになる。デフレを円高と捉えても、それは200年前後とリーマン・ショック後の数年間に限られており、全局面を説明できるものではない。高金利時代はこの間まったく存在していない。「実質高金利」は円高の一面をとらえたものに過ぎず、枝葉末梢である。

18年間一貫した傾向を説明するにはもっと構造的な条件を検討しなければならない。すなわち賃金構造(労働分配率)と雇用構造である。景気の動向は18年のあいだに浮き沈みがあった。その中から都合の良い所だけを取り出して説明するのは真面目な議論とはいえない。

2.内部留保の増えた理由

安倍首相の言わんとしていることは、要するに景気が軟弱だったからということに尽きる。それらをすべて呑んだとしても、賃金が低下する一方で内部留保が激増した理由は説明がつかない。国民が並べて貧しくなったのなら、「分かち合え」という話も分からないではない。しかし大企業は空前の大儲けをしているのだ。「給与の抑制、デフレ経済、高金利下での投資の抑制」が賃金低下をもたらしたのなら、なぜそれが利益の巨大な溜め込みを可能にしたのか。それは説明できないだろう。

3.97年問題に関する認識は重大だ

「(97年のピークのあと)消費税が3%から5%に上がり、かつ社会保険料も上がり、その後アジアの経済危機があって、ここからずっと日本がデフレ下に入っていくわけです」と説明している。97年不況がこれらの複合危機であることを認めているわけだ。それではこの度の消費税引き上げと社会保障のさらなる切り捨ては何なのか。

97年初頭、諸指標は「バブル後不況」からの回復を示していた。安倍首相の言う「3つの過剰」とかデフレマインドはいったんは治まっていたのだ。当時の橋本首相は「バブル後不況は克服され、上げても大丈夫と思ってやったが、失敗した」と謝っている。

しかし今度は試され済みの結論で、さらなる不況を招くことが本人にもわかっていながら断行したということになる。この論理矛盾は深刻だ。

紙智子さんが全中問題について語っている。
2つのねらいがある。一つはTPPを巡って「お上に楯突く奴は許さない」という逆上的発想だ。これを見た業界団体は震え上がるだろう。産業報国会の復活への第一歩だ.
もう一つは、以前からの、とりわけアメリカ筋からの要求だろうが、岩盤規制の打破だ。ずるい奴は安倍の感情激発を見て「待ってました」とばかりに話を持ちだしたのだろう。
まぁ傍から見ていてもひでぇなと思う
農協といえば保守の岩盤だった。自民党にとっては糟糠の妻のようなもので、どんな苦境にあっても最後は救ってくれた恩ある組織だ。霞ヶ関の方針を農村に広げる装置としても機能してきた。
しかしいまは見る影もなくやせ細ってしまった。それでも操を尽くしている。安倍首相にこそ反感を抱いても、自民党への忠誠は微塵も揺らいでいない。
紙さんは、長いこと農政畑をやってきた人だから、農民への思いが農協への態度に出てくるのだろうが、正直、農協が自民党の集票マシーンとして政治の革新を妨げてきたことも間違いない。
そういう農協を切って捨てようというのだ。櫻井よしこは農協を「寄生虫」と罵倒している。しかもその後ろには、切って捨てた死体を切り刻んで食ってしまおうというハイエナまがいの連中がうごめいている。

独禁法の乱用ではないか
ただ、一歩退いたところから紙さんの意見を聞いていると、国民全体に関わらざるをえない最大の問題は、独占禁止法の恣意的適用にあるのではないかという気がする。
人を殺すのはいけないが、違法な手段で殺すのは、もっといけない。それは経済民主主義という国の制度の根幹にかかわる。
独占禁止法そのものの是非について言っているのではない。これまでさんざん政府が風穴を開けてきたことについて言っているのでもない。
いまある法律は法の目的を踏まえて厳密に運用しなければならないのである。
農協がいかなる組織なのかもここでは問わない。そもそも協同組合がどのような理念を持ち、どのような法的枠組みのなかで活動しているのかも、ここでは問わない。
ただ現在の農協と全中の活動が経営体的な側面を持っていることは間違いない。そこにしほって、一経営体として全中を見てみよう。
農協は経済強者なのか
はたしてそれは独占禁止法の対象となるのか。問題は資産の額とかシェアーとかではない。そこに独占禁止法で禁止されているような不正があるかどうかだ。
たしかに農協は政治的には時の権力となあなあの関係を保つなかで、政治的には影響力を発揮してきた。しかし独占大資本のような経済的な強者とはいえない。
そしてもうひとつは、現在すでに合法化されている持株会社の活動の規制枠に比べ、違法性が高いか(売買に強制が伴っているか、不当に利益率が高いか)どうかだ。ここが法に照らしあわして厳密に適用されないと、恣意的適用というしかなくなる。
ことは農協にとどまらない
当然生協もかかわってくる。独禁法適用が共同購入を狙い撃ちしているからだ
日刊ゲンダイには次のような意見が掲載されている。
独禁法は消費者保護の観点から、不当な取引制限や不公正な取引を禁じた法律ですが、相互扶助のための『組合』は 除外しています。農協も経済弱者の農家を守るために農協法で規定されている。仮に農協に独禁法が適用されれば、農薬や肥料、農機具など、共同購入している 資材について価格交渉権を失う。経済事業は成り立たなくなり、農協は壊滅的な影響を受けるでしょう
今のところ、独禁法の適用(適用除外の廃止)はそれ自体が目的ではなく、脅しの手段として使われている。ヤクザの脅しで「いうこと聞かないと、可愛い娘が泣きを見ることになるぜ」というセリフである。
こういう脅しがまかり通ることになれば、生協や民医連など共同購入を進める自主的組織は、すべて脅しの対象になる。


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