鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

カテゴリ: 34 日本経済

おそらく毎日新聞の特ダネだろうが、17日付の東芝関連記事で、「WH社から撤退するなら違約金8000億円」という裏契約があったと報道された。(「撤退なら違約金8000億円」米原発やめられない東芝

それが、「ウェスチングハウスに対する親会社保証」という文書だ。これは14日に公表された東芝の資料の一番最後にあったものだ。

記事によると、概要は以下の通り

東芝は購入時契約で「ウェスチングハウスに対する親会社保証」を織り込んでいる。

それが偶発債務及び保証類似行為というものだ。 

そこには新型原子炉AP1000 の支払保証が約8千億円あると記載されている。

支払保証というのは、WH社が納入契約を履行できなかった場合に、納入先に払う損害賠償を東芝が保証するということらしい。

いまWH社は米国の原発4基の建設を受注している。もしこれが完成できなかった場合、そしてWH社が頬被りした場合、東芝は電力会社に8千億円の違約金を払わなければならなくなる。

ということだ。

毎日新聞はこう書いている。

東芝はこの2年間でほぼ1兆円という莫大な損失を計上した。しかし、いまここで退けば(マイナス8千億円という)さらなる地獄が待っている。

いまや毎日新聞の見出しはどぎつい言葉が連打される。

決算延期で信用消滅 東芝 “暗黒のバレンタインデー”

東芝債務超過で解体カウントダウン

東芝半導体新会社に群がるファンドの百鬼夜行

しかしもっと恐ろしいのは、東芝が潰れてWH社の行方が宙に浮いたとき、WH社とその奥にいる米軍・米政府がどういう態度に出てくるかだ。

「俺達は日本政府の紹介と仲介があったからWH社を日本の企業に委ねたのだ。これでWH社を潰されたのでは俺達の顔が立たない。それなりの落とし前は着けてもらわなくてはならない」と凄んでくることは容易に予想される。

その時、日本政府は連帯保証責任を回避できるのだろうか。ここがこれからの最大の問題であろう。

「内部留保論」の混乱について

いま日本では巨大な内部留保が積み上がる一方、国民の暮らしはますます悪化し、将来不安が増大しつつある。

このような状況を打開するためには、内部留保の過剰な積み上げをやめ、内需の拡大に向けて財を移さなければなりません。

これは社会・経済的な視点から見れば当然の視点です。しかもこの2つが一つのトレンド(新自由主義)というコインの両面をなしていること、両者にはトレードオフの関係があることも明らかです。

しかし、この間大企業側からの執拗な論争により、これらの当然の主張が途方もない妄想であるかのような雰囲気が形成されてきています。

とくにそれが「因果関係論」であるような論点のはぐらかし、企業論理が社会の論理であるかのようなすり替え、定義をあいまいにした上で正反対の結論を導き出すような詭弁が相次いでいます。

そのスペクトルは、「必要悪」的な慎ましいものから「必要>>悪」になり、最悪の場合は「必要だから即ち善」と開き直るものまでさまざまです。

そして「論争」を公正に判断する第三者のふりをした、事実上の内部留保弁護論という変化球も投げつけられています。

もちろん、肝心なのは内部留保そのものではなく、野放図に内部留保が積み上がっていく仕掛けなのであって、これにメスを入れない限り、問題は解決しません。

しかし、そのためには、国民経済的に見て内部留保の異常な積み増しが決して良いことではない、「必要<<悪」という、当たり前のことから出発しなければならないでしょう。

論争にあたっては内部留保の中核をなす当座預金・普通預金から出発するべきです。マネーゲーム的な投資である株、債券、不動産についても基本的には同様の判断をとるべきです。ファンド的展開については具体的・個別的な判断が必要でしょう。

海外資産については、租税回避問題と絡んでくるので、今後の理論展開が待たれるところです。私はこの点に関してはリバタリアン的・原理主義的な所得税・直接税論者なので、納得できる主張を期待しています。


明日の東証では株価暴落は必至だ。政府系ファンドは必死で買い支えるだろうが、怒涛の売りにはかなうわけがない。
前から言っていたが、株価1万4千円がギリギリだ。ここを切ると株価は崩壊する。
「こういう時こそ自民党」と言っているバカが居る。
「こういうふうにした」のは自民党ではないか。アベノミクスこそ最大戦犯だ。
株価が崩壊するのは別に構わない。それで損するのは富裕層だ。ドル建てでケイマンに溜め込んでいる連中も莫大な為替損を被るだろう。それも知ったことではない。「ザマァ見ろ」の世界だ。
しかし一番泣きを見るのは、年金を相場に突っ込まれてパァになった草の根の日本国民だ。「年金モラトリアム」もありえない話ではない。
いっぽうで、内需に焦点を当ててコツコツとやってきた企業にはチャンスかもしれない。シャープも買い戻されるかもしれない。
いづれにせよ間近に迫った参議院選挙、日米同盟一辺倒、大企業本位の思考停止状態から一歩ぬけ出すチャンスとしなければならない。

本日の赤旗から、安倍首相就任以来の経済指標の変化がまとめてある。
この中で憶えておいたほうが良い数字を上げておく。
年をとると記憶力が落ちてしまうが、これくらいは憶えておいても良いのではないか。
1.内部留保 265兆から300兆へ。40兆円増加。
2.法人実効税率 37%から30%へ7%削減。
3.上位40人の資産合計 7兆円から15兆円へ2.1倍化。
4.金融資産ゼロ世帯 26%から31%に、5%の増加。
とくに3.はあまりにひどい。消費税の3%引きげ分を40人で食ってしまった計算だ。
これでは内需は落ち込む一方だ。アベノミクスの本質が逆噴射にあることが、これほどはっきりする数字はないだろう。

アメリカの資本主義とリーマン破綻 小島 秀樹 (実業界2009年1月号所収)

という文章がたいへん良い。

短い文章なので直接お読みいただきたい。以下は私の読後感。

1.グラス・スティーガル法の廃止の背景

この法律は32年、ルーズベルトの大統領就任直後のいわゆる「百日議会」で成立したものなので、ニューディールの一環と見られているが、実際にはフーバー政権末期に上院に提出されたものである。

正式には「銀行法」(Banking Act of 1933)と呼ばれる。①銀行と証券(投資銀行)の分離。②連邦預金保険公社の設立、を柱とする。

というのが私の予備知識。

小島さんによると、

1929年の大暴落を受けて米国議会が出した有名なペコラ委員会報告書に基づく。

フーバー大統領の要請で上院銀行 通貨委員会を設置した。ニューヨーク州検事ペコラはこの委員会の法律顧問として大恐慌の原因をなした不正、政策責任者の間違い、株価操縦、インサイダー取引などを1万2千頁に及ぶ調査報告書であぶり出した。

のだそうだ。

日本の戦後改革でも、この制度は受け継がれてきた。しかし99年に本家米国が規制撤廃すると、日本もこれに倣った。

そこで小島さんが指摘するのは、規制撤廃の是非ではなく、「横並びの競争にするならそのルールをしっかりさせるべきではなかったか」という点である。

2.脱法を恥じないモラル感覚の欠如

小島さんが何故ルールの必要性を強調するのは、自らの弁護士体験にも基づいている。

弁護士としてリーマンブラザーズと対決したり交渉したりして感じたことを一言で言えば、モラル感覚の欠如である。

と切り捨てる。

SOX法というのができて、経営者に財務書類の正確性について責任が求められるようになったが、彼らは実質的な脱法行為をますます強めたそうだ。

小島さんは、「弁護士としてかかる脱法行為に抗議して米大手IT 企業と一触即発の対決をし」たという。そして「SOX法なるものの欺瞞性」を痛感したそうだ。

小島さんの舌鋒は厳しい。

サブプライムローン問題は、そもそも証券化できないものを証券化してリスクを認識できなくしたものを売った。それはまさしくモラルに反する行為である。

米国経済はそうやって道義的に許せない金融ビジネスに走った。その成れの果てが、リーマン破綻である。さらにそれに続く米国発の世界金融不況である。

つまり小島さんの言いたいのは、モラルの破綻(経営の無法化)が経済の破綻をもたらしたということである。

「経営モラルの破綻」というのは客観的に言えば「経営の無法化」ということになるだろう。

3.経営の無法化はいかにもたらされたか

小島さんは、経営者の物づくりからの離脱が背景にあるという。

1960年代から80年代にわたって「日米貿易戦争」が繰り広げられた。しかし95年ころを境に「貿易戦争」は論議とならなくなった。

なぜか。

それは米国自身が物づくりから撤退してしまったからである。

米国経済はITや金融等サービス業に特化していった。デリバティブなどの複雑な証券ビジネスに多くの金融機関が参加するようになった。

この後、小島さんは証券ビジネスの実態を厳しく指弾する。

私が接したデリバティブ証券は、完全なマネーゲームの世界であった。あつかう商品の多くは、公序に反するバクチのようなものだった。

ビジネススクールで教えるのは ROE(株主資本利益率)優先の経営であった。そして「小さな自己資本で大きな利益を短期間にもたらす」のが優れた経営者であると教えた。

そうだとすると、どうなるか。

物づくりは原材料の仕入があり利 益率はどうしても低い。結果、彼らが選んだのは仕入がない金融を筆頭とするサービス業である。

こうして米国経済は益々物づくりから離れ、実体経済と何の関係もないバクチのようなマネーゲームに邁進していった。

4.結論

もう一度、小島さんは米国の金融資本主義を厳しく断罪する。

…、という意味でレベレッジ(一種の信用取引)とかの手法の問題以前に、実体経済との関係が希薄となったマネーゲームが醸成する、モラルを著しく欠いた米国の金融資本主義が問われるべき問題なのである。

ということで、私の感想としては、「ルール無き無法状態」を一刻も早く解決して金融資本を厳しく規制することが、混迷に陥った現在の世界経済を救う唯一の道だということである。

それは85年前のペコラ委員会の結論と同じだ。「85年前から進歩していないじゃないか」と言われそうだが、そうではない。

第二次世界大戦の惨禍をくぐり抜けて、人類はいったん進歩したのだが、一時的な退歩を今繰り返しているということだ。

道ははっきりしている、経験もある。今はただ、ふたたび進歩への道を歩み始めるのみだ

しばらくサボっていたが、経済の勉強。

23日から赤旗に「経済四季報」が連載されている。

かなりポイントを抑えた簡潔なレポートなので、紹介しておく。

1回めは「世界経済」

最初にポイントがまとめられている。

①米国経済に減速の兆し: 2015年12月の利上げの後、追加利上げは見送り。
②欧州経済は回復が鈍化: 追加金融緩和したものの、マイナス金利拡大には限界。
③新興国経済には資源価格低迷が打撃。中国の景気減速と連鎖し、貿易に悪循環。

ときれいにまとめられた。あまり迫力はないが…

①米国経済

15年第4四半期のGDPは前年比1.0%だった。これは二期連続の低下。

原因は金融市場の混乱とこれに伴う消費控え、ドル高と世界の景気減退に伴う輸出の低迷が挙げられている。(“金融市場の混乱”が何を指すのかは不明)

イエレン議長は「国際的な経済・金融情勢がリスクになっている」と語った。(これももう少し詳細が知りたい)

②欧州経済

EU全体のGDPはプラス0.3%、ユーロ圏では1.1%の伸びとなった。いずれも小幅鈍化となった。

原因は主として中国と新興国の景気減速の余波とされる。(つまりEUは世界経済を規定する主要経済域ではないということだ)

ECBは3つの景気対策をとっている。その一つがマイナス金利。その他に政策金利0%、量的金融緩和が行われている。

マイナス金利というのは、市中銀行の中銀預け入れ金利のこと。昨年12月以来始められているが、3月にはマイナス0.3%から0.4%へとさらに引き下げられた。

ドラギECB総裁は「マイナス金利を続ければ、銀行システムに悪影響が及ぶ」とし、長期とはならないことを示唆。

③新興国経済

ロシアはGDPが前年比マイナス3.7%となった。歳入の半分を占める原油の価格下落が響く。ブラジルのGDPもマイナス3.8%。こちらは鉄鉱石の価格低迷が寄与している。

これらの理由により世界の総輸入額の伸びが半減した(3.0→1.7%)。この結果中国の輸出が減り、その結果中国の輸入が減るという悪循環を形成している。(世銀の分析)

とここまでが1日目の記事。

2回めは「中国経済」

ポイントは以下のとおり

①中国経済は25年ぶりの低成長期となる。生産と貿易が同時に低下。
②中国の経済減速はアジアと世界の各国に波及し打撃を与えている。
③新5カ年計画で、技術革新と調和を目指す。

ということで、ポイントといえばポイントではあるが、ちょっとづつポイントを外している感じがする。とくに米日欧の経済対策が金融政策中心に動いているため、中国の景気減速が国際金融・通貨面でどのような影響をおよぼすかが関心の的であるが、この点について触れられていない。

より本質的には「社会主義的市場経済」というシステムが、最初の「恐慌」を迎えて機能できるのかが問われるわけで、まぁ四季報レベルでは無理な相談だが、念頭には置いておかなければならないだろう。

①生産の鈍化と輸出の減少

2015年GDPは前年比6.9%増。これは25年ぶりの低い伸び。純輸出はマイナス0.2%となった。

国内投資の総量を示す総資本形成は3.4→2.5%に低下した。これは生産能力の飽和を示す。

②最終消費が景気を下支えしている

このなかで最終消費は3.7→4.6%と伸びており、これが景気を下支えしている。これが消費バブルなのか社会生活の向上に根ざすものかは判断を保留。

③過剰生産能力

生産能力の飽和を示す直接指標として生産設備の稼働率があげられる。鉄鋼・アルミなどでは60%台、鉱工業生産は5.4%で7年ぶりの低い伸びであった。

過剰生産能力の解消には大規模なリストラを必要とし、それは大量の失業者を生み出す可能性がある。

④関係国への影響

中国の経済成長が1%減速すれば、アジアの経済成長率は0.33%、アジア以外の地域は0.17%下がる(IMF試算)

とくに中国製造業が不振に陥れば、資源輸出国に深刻な打撃となる。

⑤新五カ年計画

ということで、中国の景気後退は日米欧のような経済構造上の問題に根ざしているのではなく、基本的には景気循環上のリセッションとして捉えられる、ということだ。

それがたんなるリセッションの域を越えて深刻化しているのは、リーマン・ショック時の政府の過剰対応による。リーマン・ショック時、中国政府は日本円換算で53兆円の財政出動を行い、これが生産過剰を増強した。

こういう見方であれば、中国経済の先行きにはさほど悲観する必要はないということになる。

「しかし、本当にそれだけなのであろうか? 何か根本的な脆弱性に根ざしているのではないだろうか?」という漠然とした不安は残るが…

3回めは「国内景気」

ポイントは以下のとおり

①マイナス金利導入は、異次元金融緩和の破綻を示す。
②GDPはマイナス成長。消費低迷を脱却できないことが要因。
③春闘不発。大企業を支援しても賃上げはせず。

①マイナス金利

異次元緩和で民間銀行にお金を供給。しかし市中に回らず、日銀当座預金が積増しされる。これを拒否するためのマイナス金利。しかし貸出先がなければ問題解決にはならず。これは異次元緩和の行き詰まりを示す。

②マイナス成長

第三4半期GDPは年率換算でマイナス1.1%。企業の売上高・経常利益は揃って減少。

個人消費が0.9%減で、中国とは逆に個人消費が景気の足を引っ張っている。

③マイナス収入

毎月勤労統計で、実質賃金指数は4年連続でマイナス。


この連載がいつまで続くか分からないが、問題をとりあえず整理するのには役立つが、あくまでも自己学習のための足がかりだと考えておいたほうが良さそうだ。

マイナス金利効果は一時的(毎日新聞)

マイナス金利の中長期効果については前に触れたが、短期効果についてはもう結果が出た。

結局マイナス金利は一種の金融緩和政策であり、金利低下による刺激が効かなくなった後、量的緩和で刺激を図ったが、それが飽和状態となり、さらにマイナス金利で刺激しようとしたが、もう市場はうんともすんとも言わない。

むかし理科の実験でカエルの足をつるして電気刺激を与え収縮を観察する授業があった。だんだん刺激が効かなくなると、食塩水につけて少し賦活する。しばらくはまた活発に収縮するようになるが、また動かなくなる。

そうなると電気刺激を強めても反応しない。こういう状況がいま生まれつつある。

マイナス金利効果

2月初め、マイナス金利の発表直後に証券相場と為替相場は大きく動いた。いわばアベノミクスの「一の矢」の再現である。

しかしその効果は数日のうちに消失した。

黒田総裁は国会証言でマイナス金利の導入後も金融市場の動揺が続く理由を次のように述べている。

原油価格の下落、中国経済の減速や欧州の信用問題に対する懸念、米金融政策の先行き不透明感があげられる。総じて、リスク回避姿勢が過度に強まっている。

石原大臣の「暖冬で冬物が売れない」に比べればまだましだが、みんな人のせいだというのは同じだ。


残ったのは「異次元緩和はもうやめられない。死ぬまで続けるしかない」という現実のみである。

1月通貨供給量は2.5%増の1242兆円で、過去最高を更新した。

問題は「異次元緩和」がもう続けられない状況に達したときに、日本株売りと円買いが仕掛けられたらどうなるかということである。いろいろな論評でもこの問題はあまり触れられていない。考えるだけでも恐ろしいからであろう。

「投資の神様」と呼ばれるバフェットがこう言ったそうだ。

「いま一番確実な資金運用はベッドの下に現ナマを隠しておくことだ。ただし安心して任せておける管理人がいるとしての話だが」

まさに時代はそういう状況に飛び込みつつある。世界で最も安全とみられていたドイツ国債も、ドイツ銀行の経営に不安がささやかれるなど足元まで火が迫りつつある。

もはや代替案はない。金利をうんぬんする時代は終わった。為替相場がすべてを規定する日がやってきた。皮肉なことに、一番産業リスクの高い米国の通貨が最も安定した資産となる日がやってきた。

こういう国際状況の下で、円は風前の灯火となっている。

黒田総裁は円相場を鉄火場にしてしまった。持ち札は年金資産である、これで国際金融相場とさしの勝負をかけている。外国資本は何度となく日本に売り浴びせをかけた。もちろんこれで株価が維持されれば連中は大やけどを負う。

しかし日本株の持ち主は今や間違いなく外国資本である。だから仕掛けのポイントさえ合えば、相場はあっという間に数千円の下落を示す。このことは、彼らが何回か繰り出したジャブでかなり明らかになった。

日本政府は1万6千円までの間なら対応できる。そのことがはっきりした。売り浴びせをかけても1万6千円を割り込まないのなら、空売りは高いものにつく。しかしをれを割り込んだらどうなるだろう。日本政府・日銀は株価を維持できるだろうか。

我々は二つのニュースを持っている。売り攻勢で1万6千円を割らなければ、日本は勝てるしそれで大儲けする。彼らは大損する。

しかしそれが1万5千円くらいまで下がれば、日本は一致結束して対応できるだろうか。もし国内側で狼狽売りが始まれば、株価はたちまち激減するだろう。

以前にも書いたが株価が1万4千円を割り込めば、たちまちにして東京証券取引場は修羅場と化し、あちらこちらに首つり死体が発見されることになるだろう。

株価は一気に1万円を割り込み、年金の掛け金はたちまちゼロと化すであろう。

そうなった場合、デレバレッジが働き、円によって支えられるドルは一気に下落し、結果として円高状況が再び現れるだろう。つまり円高とGDPマイナス10%というリーマンショック後の状況がそこには再現されるのである。

アメリカはこの危機を回避できる。彼らには基軸通貨発行国という利点があるからだ。だからQE4でも5でも何でもやる。日本が日銀券という紙切れみたいなものを増発しても、それはドルではないから、ただたんに日銀券の目減りを引き起こすだけである。

衝撃のニュースだ。一番見たくないニュースだ。

年金財源の一つである年金積立金に一時、巨額の損失が発生した。その額は約8兆円という試算もある。

積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)は昨年来、運用益を増やそうと、株式での運用比率を高めてきたが、それが裏目に出た(毎日新聞 11月13日)

いつかは来るかとは思ったが、もう来てしまった。

残念ながら生命保険と違って年金は解約できない。ほとんど税金みたいなものだ。どうせもらえるわけのない「年金」だから、泡と消えても惜しくはない。しかし介護保険が潰れると、飯の種がなくなってしまうことは間違いない。年寄りの死体が街中にごろごろし始めることは間違いないだろう。

我々の年金を使って博打をやっている奴がいる。この博打は絶対勝ち目がない。買いしかないからだ、パーしか出せない人がじゃんけんで勝てるわけがない。敗けないためには掛け金をどんどん大きくしていくしかない。

こういうのを「カモ」という。

gpif


高株価の裏側には、税金や年金積立金がある。
そこを群馬大名誉教授の山田博文さんがやさしく解説してくれている。
株高は政府の買い支えが演出している。
さまざまな策が講じられているが、代表的なのが次の二つである。

A.株価指数連動型上場投資信託(ETF)
これは要するに日銀による投資信託の買い入れである。形容詞がたくさん付いているのは、株の組み合わせ(ポートフォリオ)のことであって、株を買っていることに違いはない。
うまくいけば、リターンは大きいし、下がれば日銀券を印刷して株価を買い支えすればいいのだから、結構だらけのようにも見える。
しかし問題が4つある。
①ひとつは、株価操作という犯罪に限りなく近いということである。
グローバル・スタンダードが厳しく問われるようになっている今日、どこかの国の誰かが国際機関に「恐れながら」と訴え出れば、結構やばいことになりかねない。
②ふたつ目は、買うのはできても売れない株になってしまうことである。
日銀が株を売れば、売られた会社はたちまち凹む。国債と違って、大量に売れば日本の企業が潰れてしまう。現金化できなければ、評価額がどれほど高くても換金はできない。
パチンコの出玉を抱えて途方に暮れる姿が容易に予想される。
③日銀が銀行である以上、無限に買えるものではない。
バランスシートにリスク資産(ETF)が積み上がれば、中央銀行と日本円に対する信任が毀損される。
国債の場合は、期限が来れば、政府が100%償還しますが、ETFの場合は、日銀が市場で売却しなくてはバランスシートからリスク資産を消すことができません。
日銀が大量のETFを売りに出せば、株価は大暴落してしまいます。
BISで規定された自己資本比率の上限に達すれば、その時点であとは確実に訪れる暴落の日を待ち続けるしかない。
④日本の大企業のための経済運営を迫られることになる。
ETFは低リスクの優良企業株を中心に構成される。そうすると日本銀行の運命は大企業に託されることになる。そうすると大企業に不利になることはできないし、大企業のためならば国民を犠牲にしてでも利益を確保しなければならなくなる。
何の事はない。日本という国は大企業のための打出の小槌の役を担わされることになるのだ。

B.年金積立金の運用
これは以前の記事で書いたので詳細は省く。これはETF買い入れ策が上記の如き経過で行き詰まったところに持ち込まれた。
まことにひどい話で、勝手に実印を持ちだして親の金を博打につぎ込んでいるようなものだ。限りなく犯罪に近い。
それでこの記事の肝心なところは、それでどうなったかということだ。
株式の運用割合を12%から25%に引き上げたのだが、そのわずか半年後、今年の3月末現在ですでに株式の割合は22%に達している。
つまりほとんど終わっている。
次に打つ手は決まっている。運用割合をさらに30%、40%と上げていくことだ。年金積立金が底をつくまで連中はつぎ込むつもりをしている。これだけは止めさせなければならない。

この後、付け足し風に書かれてある一節は初耳だ。

今のところ真偽の確かめようがない。

とりあえずコピペだけしておく。

年金積立金は1990年の株式バブル崩壊でも利用されたことがあります。この時は、不良債権を抱え込んだ銀行を救済するために利用されました。

日経平均株価(225の大企業の株価の平均)が1万8千円を下回ると、年金積立金が指し値でこれらの株を購入し、株価を買い支えます。そして株価が上昇すると、すかさず銀行が保有株を売却します。これによって銀行は売却益を獲得し、株式の含み益を実現しました。
この売却益が不良債権の償却に利用されました。

株価吊り上げに利用され価格変動のある株式を抱え込んだ年金は、株価が下落すると巨額の累積赤字を抱え込むことになりました。その額は02年度の2兆6千億円から08年度の9兆3千億円まで膨らんでいきます。

そのために保険料率が引き上げられ、支給開始年齢が先延ばしされました。こうして将来の老後の暮らしすら脅かされることになりました。

事実とすればひどい話だが、もう少し他の資料にもあたったうえでコメントしたい。



前の記事の元はこの表(産経

企業収益

10月16日、経済3団体の代表や企業経営者らが、政府から設備投資の拡大を求められた。首相を挟み、ズラリ着席した大物閣僚たちが、民間側に厳しく詰め寄った。

背景には、参院選を控えて、設備投資の鈍化が景気回復を足踏みさせているとの焦りがある。

財界側は、多少の誠意を示しつつ、その交換に法人税減税の前倒しをもとめるつもりだ。

「盗人にも三分の理」というが、確かに財界の言い分には一理ある。国内需要は設備投資できるような環境にはない。輸出環境も下り坂だ。

要するにトリクルダウンを期待して財界にサービスしたのに、見返りがないと政府がごねているわけだ。(ただしごねていると言っても、ごねているふりをしているだけで、選挙目当てのパフォーマンスであることは国民みんなが知っている)

で、そもそもトリクルダウンなどというセオリーがとうの昔に賞味期限が切れている。

以前バブルの時は余り金で土地やマンションを買ったのだが、いまはそれもやらず、ひたすら貯めこむのみだ。

法人税そのものは世界的な動向もあり、一朝一夕に変えられるものではないが、さまざまな優遇税制のダラダラ延長を止め、労働者への雇用責任(とくに社会保険負担)を果たさせるだけでも財源は湧いてくる。

これ以上老人福祉を後退させないと宣言するだけで、内需は一気に盛り上がるはずだ。内需の拡大が技術のイノベーションを生み、設備投資意欲を掻き立てる。財源がないというが、ここまでなら一文もかからずに実現できるはずだ。

赤旗を読んでいないわけではないが、ブログの記事にしていない。
「そのうち、調べて」と理由をつけているが、年寄りに「その内」はない。
今日は少しやっておこう。
「主張」から
麻生財相が発表した資料で、いくつかの数字があげられている。
安倍政権発足後、大企業の経常利益は16兆円増えた(14年度末現在)
これに対し設備投資は5兆円、賃金は0.3兆円の増加にとどまった。
一方、企業の内部留保は50兆円も増えた。手持ちの現金・預金だけでも20兆円増えている。
経常利益と内部留保が合わないのは、円安・株高の含み資産効果が絡んでいるからだろう。
これは財務省が経済財政諮問会議に提出したものだ。
「主張」では“マスメディアはあまり注目していないが”とコメントしている。
少し調べてからと思ったが、10分もすると忘れてしまうので、メモ代わりにアップしておく。

土曜日の赤旗から
海外投資家の東証での日本売りが9月に入って際立っているようだ。
9月の海外投資家の日本株売り越しは2兆6千億円にのぼった。
とくに1日と29日には、1日で700円の急落と、売り浴びせ攻撃ともいうべき様相を呈している。
日本株

海外投資家が「日本売り」を強めているのに、株価が乱高下を繰り返しつつも維持されているのはなぜか。
それは国内信託銀行からの買いである。信託銀行の9月買い越し総額は8千億円近くに達した。
それに個人投資家の4千億の買い越しを足す形で株価は維持されている。
信託銀行の背後には年金運用機構(GPIF) がいる。GPIFは昨年株式投資枠を25%に拡大したことにより、17兆円の資金を手に入れた。これが信託銀行を通じて日本株の買い支えに回っているのである。

おそらく株式相場をあいだに、海外投資家と日本政府が対話をしているのだろう。
「リーマンショックの時には7千円だった相場、円安を織り込んでもちょっと高いんじゃないの?」
「いや、今のリフレ政策が維持されれば、このくらいでも十分適正です」
「果たしてどちらが正しいか」だが、日本政府が足元を見られていることは間違いない。
年金機構の15兆円を使い果たしたあと何が残っているかだ。
売り攻撃を仕掛けた投機資本はかなりのやけどを負っただろうが、もう少し長期のトレンド判断から日本離れをしている投資家もいるだろう。公的資金を株式相場に突っ込むような政府が、果たしてどのくらい信用できるだろうか。
前にも言ったが、1万4千円あたりが崖になる可能性はある。個人投資家はそこまで下がるとパニックになる。
97年危機のとき、アメリカは日本支持に回ったが、今度もそう行くか。
最悪の場合、「円安・株安」を引き金とする日本発の世界不況もありうる。

そうすると、すべての謎はこの一点に集約する。

「なぜ東芝はWH社を買ったのか?」


1.ウェスティングハウスとはどんな会社なのか

まずウェスティングハウスとは何なのか少し勉強する。

<旧ウェスティングハウス・エレクトリック>

ウィキペディアによると、

ウェスティングハウス・エレクトリック(Westinghouse Electric 、WEC)は、1886年から1999年まで存在したアメリカ合衆国の総合電機メーカー。

電気、機械関係を中心に軍事用・民生用の双方で多岐に渡る事業を展開。1950年代以降は加圧水型原子炉(PWR)の開発・製造で独占的地位を占めた。

1997年にCBSコーポレーションと名を変え、1999年にバイアコムによって買収され消滅した。最後に残っていた製造部門である原子力部門も、英国核燃料会社 (BNFL)社に売却された。

社歴を見ると、とにかくすごい会社だ。なんでも作っている。しかもその多くが「世界初」だ。東芝など目ではない。20世紀を代表する企業と言っていいだろう。

そのなかで、今問題となっている原子力部門に絞ってみてみると、

一番は1953年に原子力潜水艦「ノーチラス」の原子炉を製造納入したことだ。

ノーチラスが進水するのは55年のことで、当時映画館のニュースで見た覚えがある。酸素補給せずに、潜ったまま世界一周できるという夢の潜水艦だった。戦争映画で、潜水艦乗組員が酸素不足でもがき苦しむシーンを覚えていたから、「それはいいことだ」と素直に喜んだものだ。
しかし原潜が世界戦争の形態を根本から変えてしまったことについては、ついぞ頭が行かなかった。

ついで1960年、原子力空母「エンタープライズ」用の原子炉A2W炉を製造・納入している。

そしてその翌年、商業用初の加圧水型原子炉としてヤンキーロー発電所が運転を開始している。

この辺りを挟んで50年から70年くらいまでがウェスティングハウスの最盛期だった。

「ウェスティングハウスなら大丈夫」"You Can Be Sure If It's Westinghouse"というのがCMの決まり文句だったらしい。

80年代に入ると明らかに下り坂に入り、90年代には身売りを繰り返しながら解体していく。

そして1988年、最後まで残っていた商業用原子力部門が英国核燃料会社(BNFL)に売却されたというのが経過である。

<ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー>(LLC)

で、これから後がややこしい。

まずウィキペディアの説明。

商業用原子力部門は、所有主が英国核燃料会社(BNFL)となったが、本部はアメリカのペンシルバニア州にそのまま残された。

社名も親会社の名がそのまま残された(後ろにカンパニーが付くところだけが違う)。

原子力関連の広範な製品の販売とその関連サービスを行う多国籍原子力関連企業として存続している。

ところが、英国核燃料会社(BNFL)はこの会社を持て余すようになった。そして2005年7月に売りに出した。最大の理由は「商業的リスクが税金で保有される企業としては大きすぎる」ということのようである。(まさにそのとおりだった)

幾つかの企業が関心を示したが、2006年2月6日、東芝が54億ドル(当時換算で4900億円)での購入を確認した。

LLCはその後も拡大を続けている。(なぜなら東芝がカネを流し込み続けているからだ)

とくに、第三世代+原子炉のAP1000型原子炉は、アメリカで6基、中国で4基が建設ないし受注されている。(ウィキペディアによる)

とここまでが基礎知識。

つまりこういうことだ。


2.WH社はただの原子炉製造・販売会社ではない

「WH社はただの原子炉製造・販売会社ではない」ということだ。

それは米国の世界戦略のカギを握る軍需産業である。原子力空母と原子力潜水艦なしに米国の戦略は成り立たない。

つまりWH社の原子力技術は米国の軍事力の心臓部をなしているのである。米国は絶対にこの会社を手放さないし、その核心技術も絶対に譲渡はしない。

戦後の最盛期にはWH社は巨大電機産業であった。だから原子力部門も支えることが出来た。しかしいまや本家は衰退・消滅し、それは原子力に特化した特殊な経営となっている。

つまり単体で支えるのは困難になってきているわけだ。

大げさに言えば、ここに米国資本主義の抱える矛盾が象徴的に表れていることになる。

3.米国はなぜWHを売ったのか


『人民の星』 5702号1面 2012年7月18日付 米日原子力推進体制 原発再稼働の背景 という記事がある。

ここにはこう書かれている。

この買収は通常の買収・子会社化とまったくことなった一面をもっている。東芝は、いわばカネをだしただけで、ウエスチングハウスは買収後も独立した企業のようにふるまっているからである。

東芝は「カネはだすが、経営には口をださない」とはっきりのべている。

アメリカ帝国主義は、ウエスチングハウスが経営破たんしても、そうした技術をもっている原子力部門を残し、最初はイギリスに、そして次には日本にカネをださせて維持してきたのである。

多分、憶測記事だろうが、そういう可能性は一応念頭に置いておく必要があるのではないか。

4.なぜ東芝がWH社を買ったのか? なぜ米国は東芝に売ったのか?

ここまで書いて来ても、未だに真相は良くわからない。「なぜ東芝か?」ということである。

この話は、まず「なぜ日本か?」という問題が片付かないと進まないかもしれない。

この点で、最近の週刊朝日に面白い情報があった。

買収が行われた06年当時、経産省は「原子力立国計画」として原発輸出などを官民一体となって推進する国策をぶち上げ、産業界の利害調整をしたという。

「ウェスチングハウス買収の入札では三菱が有利と目されていました。だが、ふたをあければ、東芝の逆転勝ち。当時の経産省幹部は東芝に買収させたのは自分たちだ、と周囲に豪語していました」(原発業界関係者)

つまり、アメリカの意を汲んでWH社の買い取りに動いたのは経産省だということだ。そのうえで、どの社にするかを決める時、「天の声」の特権をたっぷり享受したわけだ(一体誰だろう、こいつこそA級戦犯だが)。

東芝の側からはその判断の是非は別として(非に決まっているが)、買った理由は分からないではない。

沸騰水と加圧水の両方の原発を手に入れることができれば、日本中の原発を支配下に収めることができるかもしれない。その頃の日本の原発政策を見れば、その先は前途洋洋として見えたかもしれない。

週刊朝日には次のような記載もある。

元東芝原子炉技術者の証言。「(東芝の)事業部は必死でした。国が原発輸出というアドバルーンを上げるとそれに飛びつきました」

だが米国の側はどうだったのだろうか。日本に買わせるつもりだったのは間違いないとして、資産総額の3倍で売れるとなれば飛びつくつもりも分かるが、そういうアコギなことをして、会社がコケた際の対処法は考えられていたのだろうか。

アメリカにとって最悪のシナリオ

今アメリカにとって最悪のシナリオが展開しつつある。もし東芝が1兆円の評価損を抱えたまま沈没することになれば、WH社はどうなるのだろう。もし東芝が救済されないままに、苦し紛れにWH社を投げ売りすれば、それが例えば中国に流れでもしようものなら…

経過から見て、GE+日立は東芝に高値つかみさせるための当てウマだったとも考えられる。結局当初の本命であった三菱重工が引き受けさせられることになるのだろうか。WHの軍事ノウハウの不可侵性は守られるのだろうか。

東芝を押し込んだ日本政府(経産省)も、さぞや頭を抱えているだろう。三菱重工も2006年の件では相当へそを曲げているだろうし、東芝の二の舞いはゴメンだろうから、それ相当の手当をしなければならないが、果たしてそれは可能だろうか。

川内原発の再稼働、海外への原発売り込みとそれなりに必死のようだ。安倍首相がUAEやトルコ、ミャンマーなどを歴訪。原子力協定を結んだ際には、東芝本社や関連会社4社の幹部が同行して原発を売り込んでいる。

が、そんなことではとても足りないだろう。


2015年07月11日

2015年08月12日 

2015年08月12日 

2015年08月12日 

2015年08月12日 

2015年08月13日  

粉飾の可能性は去年の4月から分かっていた。週刊ダイヤモンドの記事を見れば明らかだ。まだこの頃は600億だから可愛い方だが、本質は同じだ。本文を見てもらえば明らかだが、ここでは要旨を紹介しておく。


1.週刊ダイヤモンドの2014年4月23日号 「原発投資で最大600億円規模 東芝を揺るがす減損リスク


東芝の担当者たちと居並ぶ会計士たちとの緊迫したやりとりが、水面下で何度も繰り返されてきた。

会計監査人の新日本監査法人は、「投資回収が可能というなら、新たな出資者が現れるという明確なエビデンスを示せ」と迫った。

東芝は、撤退した東電や追加投資を打ち切った米電力大手に代わる、新たな出資者を連れてこいと突き付けられた。さもなければ減損だ。

減損処理を迫る新日本に対して、東芝は反論材料をかき集めて必死の抵抗を試みていた。

減損となれば、現金の支出こそ伴わないがバランスシートが傷む。他の重電メーカーと比べて財務の健全性に劣る東芝にとっては大問題だ。

東日本大震災以降、国内では“原発ゼロ”の状況が長く続き、原発の定期検査という収益源がなくなったことで、国内部隊は赤字に陥った。一方、海外を主戦場とするウェスチングハウスも最近は苦戦が続いている

その状況にSTPの減損まで重なれば、社内での原子力部門の立場は一気に揺らぐ。

2.週刊ダイヤモンドの2014年5月09日号。「誤算が続く東芝の原子力事業は立ち直れるか 米国の原発新設案件が前進せず損失を計上

決算は好調そのものだ。…前期比47%もの増益は、驚異的な伸びといえるだろう。しかも事前の会社側予想数字2900億円とピタリと一致している。

いま読むと、まさに「ピタリと」一致している。そのはずだ、一致させたのだから。それこそが「粉飾」の動かぬ証拠だ。

一方、原子力事業。同事業だけで約600億円の一時的な評価損失を計上した。

とあるのは前の記事と一致する。つまり新日本監査法人の圧力を受けて、ひそかに600億円を織り込んだのだ。その上で、それを穴埋めするために全分野で粉飾を敢行したのだ。

「NINA社の件がなければ過去最高益だった」と東芝の久保誠副社長は悔しがる。

というくだりには思わず笑ってしまう。知っていたのなら名役者だ。

その「NINA社の件」について、

これはサウス・テキサス・プロジェクトに絡む問題だ。同プロジェクトは日本企業が海外で初めて取り組む原発新設案件。

東芝は2008年に同プロジェクトの主契約者となり、翌年にはプラントの建設を含めたプロジェクト全体を一括受注することに成功した。

だが、2011年3月11日以降、状況は急変した。米原子力規制委員会(NRC)は建設許可を保留。原発建設に出資する肝心の投資家も決まっていない。

東芝の爆弾は「のれん」料とウェスティングハウス

さまざまな記事を見ると、2つのキーワードがあることが分かる。

ひとつは「のれん」料問題であり、もうひとつはウェスティングハウス社(以下WH)問題である。

のれん料問題も元々はWH買収により発生したものだから根は一つということになる。

1.のれん料の問題

まずはのれん料問題から。(毎日新聞 「東芝問題リポート 第三者委報告書が明かさなかった謎」

7月の第三者委員会と社長の共同記者会見で二つの質問が飛び出した。

質問1.社長へ

ウェスチングハウス買収で、東芝の原子力事業の規模は15年に3倍になると言っていた。それが達成できないから、利益水増しを迫ったのではないか。

質問2.第三者委員会へ(youtubeで閲覧可能)

ウェスチングハウスの『のれん』料は、減損の懸念がある。第三者委の調査は、減損処理には関わらないということか。

この質問への第三者委員会の答え

棚卸し資産の評価、固定資産の減損、この中に『のれん』も入ると思うが、繰り延べ税金資産の処理、これらは我々の調査対象外。会社が検討して、監査法人と協議されることだ。

要するに、「損益計算書については調べるが、貸借対照表については知りません」ということだ。

2.貸借対照表の仕掛け

のれん料とか減損処理とか聞きなれない言葉が並ぶ。損益計算書はわかるが、貸借対照表というのはどうも苦手で、今ひとつわかったようなわからないようなところがある。

まずのれん料だが、以下のように説明されている。

『のれん』料: 企業を買収する場合、買収額はその時点の企業価値より高くなる。したがって企業価値だけを資産計上すると、買収額との差額が生じる。会計原則ではこの差額を「のれん」と名付けて、資産計上を認めている。

次に貸借対照表(B/S)について 「東芝の不適切会計問題、貸借対照表(B/S)を見ると理由が分かる?」というブログ記事から勉強させてもらう。

まずがこの表

14年3月期東芝の貸借対照表-min

ブログ主はこの表を見て下記のごとく指摘している。

パッと見て気付くのが「その他資産」の多さ。

総資産6.2兆円の内、約22%に達します。この「その他資産」は環境の変化があれば、一発で資産から消えてしまいます。

その内訳は、「のれん代及びその他無形資産」が1兆円、「長期繰延税金資産」が0.2兆円、「その他」が0.1兆円となっている。

ブログ主はのれん代が1兆円に達した経過をきれいにまとめてくれている。

・2006年3月期      0円
・2007年3月期  7,467億円 (ウェスティングハウスを買収)
・2008年3月期  6,539億円 (ウェスティングハウスの一部株式を売却)
・2009年3月期  6,298億円
・2010年3月期  6,187億円
・2011年3月期  5,592億円
・2012年3月期  7,116億円 (ランディスギア社を買収)
・2013年3月期  9,121億円 (ウェスティングハウス株を買い増し)
・2014年3月期  10,006億円

「のれん代」は、子会社が当初の計画通りの利益を上げられなくなったら減損の必要が生じます。

つまり「見かけだけの資産」であり、むしろ負の資産と考えるほうが正しいということになる。

3.繰延税金資産との連鎖

しかしそれだけなら「消える」だけだが、困るのは後に借金が残ることだ。それが「繰延税金資産」というもので、税金支払分を最初に計上してしまう。利益が出ないと税金支払はなくなるので、この資産は宙に浮いて不良資産化する。

計上している繰延税金資産を守るためには利益計画の達成が必須。利益計画が達成できず→繰延税金資産の取り崩し→債務超過転落→経営破綻、というのが最悪のシナリオです。

ということで、無理してでも利益を出さなければならないという悲惨な状況に追い込まれる。これが今回の粉飾を生んだというのが実相のようだ。

週刊朝日の試算によると最大で9千億円の“損失”になるという。

週刊朝日(7月22日) 「9千億円の“巨額損失”が新たに発生?

この計算は、(のれん代の減損が4千億円)+(繰延税金資産の減額が最大5千億円)=9千億円というもの。

ただ、5千億円というのは11年3月期決算に計上されていた総額で、まるまるということにはならないだろうが。

 

東芝問題で、赤旗の報道が異常に慎重だ。
今日からの連載でようやく「粉飾決算」の表現を取り入れた。
そしてウェスティングハウスの買収が、経営危機の根っこにあることを指摘した。
しかしこれはすでに1年以上も前から広く知られていることであり、第三者委員会報告はそのトバ口でストップしていることは明らかだ。
問題は「2006年の買収劇の際に何があったのか」だ。
とくにウェスティングハウス社の持つコア技術がどのように扱われているのかということだ。コア技術とは言うまでもなく軍事技術である。原潜の原子炉も原子力空母の原子炉もすべてWH社製である。それをアメリカが手放すことなどありえない。とすれば、東芝は買ったのではなく「賜った」のだ。もちろんおまけ付きではあったろうが。


原子力空母・原潜とWH原子炉の関係

軍事オタク情報が飛び交っている。分かる範囲でまとめておくと、以下のようになる。

ウェスティングハウスの記事

1996年、防衛産業部門のウェスティングハウス・エレクトロニック・システムズをノースロップ・グラマンに30億ドルで売却。同部門はノースロップ・グラマン・エレクトロニック・システムとなる。

1998年、最後まで残っていた商業用原子力部門を英国核燃料会社(BNFL)に売却。

ウィキペディアではこうなっており、この記載から言うと軍事用原子力部門はウェスティングハウス・エレクトロニック・システムズに移行したと考えられる。

原子力空母・原潜の記事

航空軍事用語辞典++

空母エンタープライズ: ウェスティングハウス A2W加圧水型原子炉×8基 (出力280,000hp)

空母ニミッツ(級): 1975年就役。同型艦最新艦は2009年就役の「ジョージ・ブッシュ」 ウェスティングハウス A4W加圧水型原子炉×2基 (出力65,000hp/48MW)

空母ジェラルド・フォード: 次世代空母。2015年に竣工・就役の予定。ウェスティングハウス A1B加圧水型原子炉×2基

空母に搭載している原子炉は、出力調整が可能な原子炉です。スロットルのように、「15パーセント臨界」、「50パーセント臨界」などの調整が可能で、必 要な電力量に応じて、出力を自由に変えられるのです。商業用原子炉とは、比較にならないほど、高度なテクノロジーが使われています。

五代富文 宇宙開発と原子力(4) 「原子力潜水艦ノーチラス号と商用原子力発電炉」 からの引用です。

リッコーバーが開発主導した原潜炉は基本的には現在に至るまで使われ、ノーチラス号の加圧水型核反応炉STRマーク2は正式名称をS2Wと改名され 原潜炉の原型となりました。

原潜の原子炉は当初はWHが独占していました。しかし1970年代末に、 GE社の開発した加圧水型動力炉Sシリーズが参入し、徐々に主流を占めるようになります。

そして1990年代に入ると、船体の大型化に対応できなくなったWH社製の原子炉は姿を消していきます。

第6世代の原子炉は、WH社製に代わってGE社製S6Gとなっています。


ということで、原子力空母はWH、原潜はGEという棲み分けになっているようだ。

ただしWHというのはノースロップ・グラマン傘下のウェスティングハウス・エレクトロニック・システムズを指す、ということになる。

もちろん原子炉の生産技術に大きな差があるわけではないから、98年まで同じ会社の同じ部門だったWH社にコアー技術が共有されていることは間違いない。

当然、そこは封印された上で売却されるのであろう。嫁にはやるが、あそこは見ることも触ることも許さぬ、という話だ。




東芝という会社

東芝という会社の歴史を調べてみた(主としてウィキペディア)。

初代田中久重(1799年 - 1881年)は、からくり人形「弓曳童子」や和時計「万年時計(万年自鳴鐘)」などを開発し、「からくり儀右衛門」として知られる。

その「からくり儀右衛門」が、明治8年に工場を創設する。ホオっという感じだ。出自は町工場みたいだ。

しかし、東芝の「会社概要」を見ると、決して純民間とはいえないことが分かる。

明治6年に田中久重は、工部省(当時の政府機関、産業の近代化を推進)から受注した電信機を開発していましたが、受注拡大に伴い、1875年(明治8年)東京・銀座に工場を創設しました。

この町工場が一気に姿を変えるのは、明治26年のことのようだ。まさに日清戦争たけなわだ。

工場は三井の傘下に入り、芝浦製作所と改称し、重電メーカーの道を歩み始める。

これがひとつの顔だ。

昭和14年、芝浦製作所はもうひとつの顔を持つようになる。それが家庭用電球の製造会社「白熱舎」との合併と東京芝浦電気への改称だ。子供の頃、電球といえばマツダと決まっていたが、それを作っていたのが白熱舎である。

つまり東芝には「からくり儀右衛門」以来の町工場的伝統、三井財閥の基幹企業としての強面の重電メーカーとしての顔、一般消費者を相手の弱電メーカーという三つの顔があることになる。

会社概要ではこう書かれている。

太平洋戦争などが激化する中、国家の要請に応え、軍事物資として無線機や真空管および動力源となる発電機など、急速に生産を伸ばしました。

つまり軍事産業として、戦争中に大儲けし急成長したたわけだ。


それで敗戦となって、財閥解体の波がやってくる。

しかし三井は解体されたが、どうも東芝の本体はこの波をうまくくぐり抜けたようだ。工場が一つ独立しただけで、本体は無傷で残された。

その結果、東芝は電機業界の最大手となり、石坂泰三・土光敏夫の黄金時代を築きあげる。これが昭和24年から昭和51年までの間続き、さらにその後も土光院制が続いた。

浜松町の駅の浜離宮側にどでかいビルが建ったのもこの頃(昭和59年)である。

きわめて間口の大きい経営体となり、高度成長の波にフラッグシップの一つとして乗った。家電部門は省略する。重電部門はあまり知らなかったので、いささか驚いている。

懐かしいところで言うと電気機関車EF58、EH10などが東芝製。

重電の目玉はなんといっても原子炉である。日本のトップメーカーとしてGEの沸騰水型原子炉をライセンス生産している。

ほかに地対空ミサイルを開発製造し、自衛隊の指揮システムの開発にも携わっている。

上位10社
       防衛省ホームページより

このあと、西暦に切り替える。(どうも平成には弱い)


その東芝が10年前、2005年からおかしくなる。つまり西田社長の就任からだ。「事業構造改革」で収益基盤を強化し、成長分野で新たな事業を立ち上げる「事業構造転換」を進めた。

レコード会社(EMI)を売却した。白熱灯の製造を中止し、HD/DVDからも撤退した。

銀座の東芝ビル、本社ビル(引き続きテナントとして入居)、梅田スカイビルを手放した。

携帯電話事業からも撤退し、半導体生産の主力工場も閉鎖した。ただハードディスクの生産は続けているようで、私もヨドバシの安売りで買った2テラの外付けハードディスクを持っている。

いっぽうで、「事業構造転換」の目玉として、世界有数の原発会社ウェスティングハウス社を買収した。


つまり、結果論としては「事業構造改革」と「事業構造転換」がみごとに裏目に出たことになる。その挙句の果てが「粉飾決算」ということになるわけで、それだけ見ていても事の本質はわからないだろう。


ニュース、からみ隊 というブログの東芝は三井財閥の中核企業 という記事が、ちょっと古いが(2011年10月)面白い。

要点だけ紹介しておくと、

東芝は三井財閥の中核企業。トヨタや新日鉄、三井造船やIHIなど、三井グループの中心を占めている。

国鉄がJRに移行した際に、東芝がJR貨物の電気機関車の…大量受注を獲得している。これには政治的配慮が大きく働いているのではないかと思う。それと言うのも、東芝の電気機関車は故障が多いから だ。
…今度は大規模貨物駅で使用される入換用電気式ディーゼル機関車の受注に成功した。 そもそも東芝には大型ディーゼルエンジン部門がない。それなのにJRで採用が決定したのは、どう考えてもおかしい。
郵政民営化でも、郵便物自動読み取り区分機を最も多く納入している。区分機に他社が参入するまでは、独占価格で納入していた。この東芝の区分機は故障が多く、しかも高い。
通信事業の自由化では、アメリカ方式の採用を迫り、実現した。東芝は通信機に弱い。そのためモトローラに参入させたが、ここの製品の性能は低い。(結局東芝は富士通に電話事業を譲り撤退した)

著者は最後にこうまとめている。

やはり最後は政治力ではない。製品を作るメーカーである以上、技術力が決め手になるのだ。

うちのテレビのレグザはそれほど悪くはないが…


ということでいくつかのことが分かった。ひとつは、東芝には表の顔と裏の顔があり、どうもことあるごとに裏の顔(官需タカリ)が透けて見えること。

殿様商売をやっていて、今ではかなり経営が傾いていて、「大胆な経営改革」をやったが、すべて裏目に出ているということ。

にもかかわらず、裏の商売がある以上、政府も潰す訳にはいかないだろうと、たかをくくっていること。

この期に及んで、まだメディアが「粉飾決算」と呼ぶのを回避しているのは、スポンサーとしての権威だけではない、裏の圧力があるのだろうと思う。

しかし、いずれ外圧が来る。それまで処理をもたついていれば、痛烈なしっぺ返しを食らうことは間違いないだろう。

東芝事件、まだ序の口だ

とりあえず経過表を作ってみたが、どうもとんでもない大事件になりそうな予感がする。

問題は企業ガバナンスとかいうレベルではない。日本という国の骨格が、骨格だと思っていたものが、たんなる虚妄に過ぎなかったという衝撃的事実である。

ソニー、松下が潰れても日本の屋台骨は揺るがない。しかし東芝はレベルが違う。経団連の中核であり、軍産複合体や原子力村と深く関わる、ある種の国策会社でもある。

斜陽の電機業界の中で、日立・東芝が好業績を維持していることは、日本の経済政策立案者にとってある種の救いであった。

しかし「勝ち組」だったはずの東芝が、実は「負け組」だったのだ。この事実は、ずっしりと効いてくる。

「大企業立国論」は、アベノミクスの根幹をなしているだけでなく、保守派に共通する信仰となっている。その根拠となる企業の一つが瓦解するとなると、残るはトヨタのみとなる。

さすがに「日本の産業政策はこのままでいいのか」という疑問が、澎湃として沸き起こってくるだろう。

アメリカの言うがまま、大企業の儲け主義、内需の軽視というのが、日本の経済政策の三本柱だった。それが、財界の先頭に立つ推進役の大企業、東芝の無残な転落によって、賞味期限切れを暴露された。

それが今回の事件ではないだろうか。

高齢化と人口減少が否応なしに迫ってきた現在、日本はすべての面でスケールダウンを迫られている。

その際に、大企業だけが抜け駆けをしようという魂胆は間違っている。それは結局、東芝の道を歩むことになる。

道を変更出来るだけの時間的余裕はあまりない。これを機に、根本的な変化を打ち出すことが求められているのではないか。

鍵となるイメージは「平和な中規模国家」ではないだろうか。これまで築き上げた技術力、平和国家の矜持を大事にしながら、ニッチを開拓し内需を中心にした国家づくりをおこなうのが一番だ。それには大企業中心思考を何処かで捨て去らなければならない。それが今だろう。


↑このページのトップヘ