鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

13年4月、ぷらら・Broachより移行しました。 中身が雑多なので、カテゴリー(サイドバー)から入ることをおすめします。 過去記事の一覧表はhttp://www10.plala.or.jp/shosuzki/blogtable001.htm ホームページは http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」です。

カテゴリ:03 日本経済 > B 日本経済/アベノミクス

本日の赤旗から、安倍首相就任以来の経済指標の変化がまとめてある。
この中で憶えておいたほうが良い数字を上げておく。
年をとると記憶力が落ちてしまうが、これくらいは憶えておいても良いのではないか。
1.内部留保 265兆から300兆へ。40兆円増加。
2.法人実効税率 37%から30%へ7%削減。
3.上位40人の資産合計 7兆円から15兆円へ2.1倍化。
4.金融資産ゼロ世帯 26%から31%に、5%の増加。
とくに3.はあまりにひどい。消費税の3%引きげ分を40人で食ってしまった計算だ。
これでは内需は落ち込む一方だ。アベノミクスの本質が逆噴射にあることが、これほどはっきりする数字はないだろう。

赤旗労働面に面白い記事があった。

「最賃アップ 俗説 退治  米労働省HP」というもの。

外信の紹介ではなく、自社記事のようだが署名はない。

これは米国の労働省の公式ホームページの記事を紹介したもので、元の題名は「最低賃金伝説バスターズ」となっている。見出しとしてはこちらのほうがキャッチーである。(元ネタは日弁連貧困問題対策本部の訪米調査団が米労働省で発掘してきたパンフレットらしい)


とりあえず記事の紹介。

米国の労働省はオバマ政権の最低賃金引き上げ政策を支援している。運動をすすめるために、最賃の引き上げに反対する「俗説」(デマ宣伝)を否定する解説を掲載している。これが「最低賃金伝説バスターズ」というコーナーだ。

一問一答形式になっているようで、そのいくつかが引用されている。

最賃引き上げは10代の若者だけの利益になる?

事実ではない。最賃引き上げで利益を得る人の9割は20歳以上だ。

最賃を上げると人々が失業する?

事実ではない。最賃が上がっても、雇用には全くマイナス影響はない。事実は需要が増え、雇用が成長し収益が増えることを示している。

中小企業には最賃引き上げの余裕が無い?

事実ではない。最賃引き上げは商品やサービスの需要増加に役立ち、ビジネスチャンスを作る。

最賃引き上げは失業を増やす?

事実ではない。カリフォルニア州では最賃を引き上げたが、カリフォルニアのレストランの売上高はほとんどの数を上回っている。

サンフランシスコでは最賃を時給1360円に引き上げたが、サービス業の雇用は伸びている。

最賃引き上げは企業にとって良くない?

事実ではない。より高い賃金により離職率が激減する。その結果採用と教育訓練のコストが削減される。これは企業に好結果をもたらす。

最賃引き上げは経済に悪影響になる?

事実ではない。この80年間で最賃は25セントから7ドルまで引き上げられた。しかしその間に一人あたりGDPは着実に増加している。

というところ。

一番肝心なところ、それは日本の政府とは逆の宣伝を行っていることだ。


とりあえず、記事の紹介は以上のとおり。

ということで現物を見に行こう。

Department of Labor のサイトにMinimum Wage Mythbustersというページがある。ディスカバリーチャンネルで放送されている番組『怪しい伝説』(MythBusters)をもじったものらしい。

“Myth”が15項目並べられていて、これに対する回答はすべてNot true: で始まる。

解答はきわめて簡潔なもので、これを読んで使用者との交渉に臨めば勝利は疑いなし、という虎の巻だ。

しばらくサボっていたが、経済の勉強。

23日から赤旗に「経済四季報」が連載されている。

かなりポイントを抑えた簡潔なレポートなので、紹介しておく。

1回めは「世界経済」

最初にポイントがまとめられている。

①米国経済に減速の兆し: 2015年12月の利上げの後、追加利上げは見送り。
②欧州経済は回復が鈍化: 追加金融緩和したものの、マイナス金利拡大には限界。
③新興国経済には資源価格低迷が打撃。中国の景気減速と連鎖し、貿易に悪循環。

ときれいにまとめられた。あまり迫力はないが…

①米国経済

15年第4四半期のGDPは前年比1.0%だった。これは二期連続の低下。

原因は金融市場の混乱とこれに伴う消費控え、ドル高と世界の景気減退に伴う輸出の低迷が挙げられている。(“金融市場の混乱”が何を指すのかは不明)

イエレン議長は「国際的な経済・金融情勢がリスクになっている」と語った。(これももう少し詳細が知りたい)

②欧州経済

EU全体のGDPはプラス0.3%、ユーロ圏では1.1%の伸びとなった。いずれも小幅鈍化となった。

原因は主として中国と新興国の景気減速の余波とされる。(つまりEUは世界経済を規定する主要経済域ではないということだ)

ECBは3つの景気対策をとっている。その一つがマイナス金利。その他に政策金利0%、量的金融緩和が行われている。

マイナス金利というのは、市中銀行の中銀預け入れ金利のこと。昨年12月以来始められているが、3月にはマイナス0.3%から0.4%へとさらに引き下げられた。

ドラギECB総裁は「マイナス金利を続ければ、銀行システムに悪影響が及ぶ」とし、長期とはならないことを示唆。

③新興国経済

ロシアはGDPが前年比マイナス3.7%となった。歳入の半分を占める原油の価格下落が響く。ブラジルのGDPもマイナス3.8%。こちらは鉄鉱石の価格低迷が寄与している。

これらの理由により世界の総輸入額の伸びが半減した(3.0→1.7%)。この結果中国の輸出が減り、その結果中国の輸入が減るという悪循環を形成している。(世銀の分析)

とここまでが1日目の記事。

2回めは「中国経済」

ポイントは以下のとおり

①中国経済は25年ぶりの低成長期となる。生産と貿易が同時に低下。
②中国の経済減速はアジアと世界の各国に波及し打撃を与えている。
③新5カ年計画で、技術革新と調和を目指す。

ということで、ポイントといえばポイントではあるが、ちょっとづつポイントを外している感じがする。とくに米日欧の経済対策が金融政策中心に動いているため、中国の景気減速が国際金融・通貨面でどのような影響をおよぼすかが関心の的であるが、この点について触れられていない。

より本質的には「社会主義的市場経済」というシステムが、最初の「恐慌」を迎えて機能できるのかが問われるわけで、まぁ四季報レベルでは無理な相談だが、念頭には置いておかなければならないだろう。

①生産の鈍化と輸出の減少

2015年GDPは前年比6.9%増。これは25年ぶりの低い伸び。純輸出はマイナス0.2%となった。

国内投資の総量を示す総資本形成は3.4→2.5%に低下した。これは生産能力の飽和を示す。

②最終消費が景気を下支えしている

このなかで最終消費は3.7→4.6%と伸びており、これが景気を下支えしている。これが消費バブルなのか社会生活の向上に根ざすものかは判断を保留。

③過剰生産能力

生産能力の飽和を示す直接指標として生産設備の稼働率があげられる。鉄鋼・アルミなどでは60%台、鉱工業生産は5.4%で7年ぶりの低い伸びであった。

過剰生産能力の解消には大規模なリストラを必要とし、それは大量の失業者を生み出す可能性がある。

④関係国への影響

中国の経済成長が1%減速すれば、アジアの経済成長率は0.33%、アジア以外の地域は0.17%下がる(IMF試算)

とくに中国製造業が不振に陥れば、資源輸出国に深刻な打撃となる。

⑤新五カ年計画

ということで、中国の景気後退は日米欧のような経済構造上の問題に根ざしているのではなく、基本的には景気循環上のリセッションとして捉えられる、ということだ。

それがたんなるリセッションの域を越えて深刻化しているのは、リーマン・ショック時の政府の過剰対応による。リーマン・ショック時、中国政府は日本円換算で53兆円の財政出動を行い、これが生産過剰を増強した。

こういう見方であれば、中国経済の先行きにはさほど悲観する必要はないということになる。

「しかし、本当にそれだけなのであろうか? 何か根本的な脆弱性に根ざしているのではないだろうか?」という漠然とした不安は残るが…

3回めは「国内景気」

ポイントは以下のとおり

①マイナス金利導入は、異次元金融緩和の破綻を示す。
②GDPはマイナス成長。消費低迷を脱却できないことが要因。
③春闘不発。大企業を支援しても賃上げはせず。

①マイナス金利

異次元緩和で民間銀行にお金を供給。しかし市中に回らず、日銀当座預金が積増しされる。これを拒否するためのマイナス金利。しかし貸出先がなければ問題解決にはならず。これは異次元緩和の行き詰まりを示す。

②マイナス成長

第三4半期GDPは年率換算でマイナス1.1%。企業の売上高・経常利益は揃って減少。

個人消費が0.9%減で、中国とは逆に個人消費が景気の足を引っ張っている。

③マイナス収入

毎月勤労統計で、実質賃金指数は4年連続でマイナス。


この連載がいつまで続くか分からないが、問題をとりあえず整理するのには役立つが、あくまでも自己学習のための足がかりだと考えておいたほうが良さそうだ。

マイナス金利効果は一時的(毎日新聞)

マイナス金利の中長期効果については前に触れたが、短期効果についてはもう結果が出た。

結局マイナス金利は一種の金融緩和政策であり、金利低下による刺激が効かなくなった後、量的緩和で刺激を図ったが、それが飽和状態となり、さらにマイナス金利で刺激しようとしたが、もう市場はうんともすんとも言わない。

むかし理科の実験でカエルの足をつるして電気刺激を与え収縮を観察する授業があった。だんだん刺激が効かなくなると、食塩水につけて少し賦活する。しばらくはまた活発に収縮するようになるが、また動かなくなる。

そうなると電気刺激を強めても反応しない。こういう状況がいま生まれつつある。

マイナス金利効果

2月初め、マイナス金利の発表直後に証券相場と為替相場は大きく動いた。いわばアベノミクスの「一の矢」の再現である。

しかしその効果は数日のうちに消失した。

黒田総裁は国会証言でマイナス金利の導入後も金融市場の動揺が続く理由を次のように述べている。

原油価格の下落、中国経済の減速や欧州の信用問題に対する懸念、米金融政策の先行き不透明感があげられる。総じて、リスク回避姿勢が過度に強まっている。

石原大臣の「暖冬で冬物が売れない」に比べればまだましだが、みんな人のせいだというのは同じだ。


残ったのは「異次元緩和はもうやめられない。死ぬまで続けるしかない」という現実のみである。

1月通貨供給量は2.5%増の1242兆円で、過去最高を更新した。

問題は「異次元緩和」がもう続けられない状況に達したときに、日本株売りと円買いが仕掛けられたらどうなるかということである。いろいろな論評でもこの問題はあまり触れられていない。考えるだけでも恐ろしいからであろう。

「投資の神様」と呼ばれるバフェットがこう言ったそうだ。

「いま一番確実な資金運用はベッドの下に現ナマを隠しておくことだ。ただし安心して任せておける管理人がいるとしての話だが」

まさに時代はそういう状況に飛び込みつつある。世界で最も安全とみられていたドイツ国債も、ドイツ銀行の経営に不安がささやかれるなど足元まで火が迫りつつある。

もはや代替案はない。金利をうんぬんする時代は終わった。為替相場がすべてを規定する日がやってきた。皮肉なことに、一番産業リスクの高い米国の通貨が最も安定した資産となる日がやってきた。

こういう国際状況の下で、円は風前の灯火となっている。

黒田総裁は円相場を鉄火場にしてしまった。持ち札は年金資産である、これで国際金融相場とさしの勝負をかけている。外国資本は何度となく日本に売り浴びせをかけた。もちろんこれで株価が維持されれば連中は大やけどを負う。

しかし日本株の持ち主は今や間違いなく外国資本である。だから仕掛けのポイントさえ合えば、相場はあっという間に数千円の下落を示す。このことは、彼らが何回か繰り出したジャブでかなり明らかになった。

日本政府は1万6千円までの間なら対応できる。そのことがはっきりした。売り浴びせをかけても1万6千円を割り込まないのなら、空売りは高いものにつく。しかしをれを割り込んだらどうなるだろう。日本政府・日銀は株価を維持できるだろうか。

我々は二つのニュースを持っている。売り攻勢で1万6千円を割らなければ、日本は勝てるしそれで大儲けする。彼らは大損する。

しかしそれが1万5千円くらいまで下がれば、日本は一致結束して対応できるだろうか。もし国内側で狼狽売りが始まれば、株価はたちまち激減するだろう。

以前にも書いたが株価が1万4千円を割り込めば、たちまちにして東京証券取引場は修羅場と化し、あちらこちらに首つり死体が発見されることになるだろう。

株価は一気に1万円を割り込み、年金の掛け金はたちまちゼロと化すであろう。

そうなった場合、デレバレッジが働き、円によって支えられるドルは一気に下落し、結果として円高状況が再び現れるだろう。つまり円高とGDPマイナス10%というリーマンショック後の状況がそこには再現されるのである。

アメリカはこの危機を回避できる。彼らには基軸通貨発行国という利点があるからだ。だからQE4でも5でも何でもやる。日本が日銀券という紙切れみたいなものを増発しても、それはドルではないから、ただたんに日銀券の目減りを引き起こすだけである。

赤旗を読んでいないわけではないが、ブログの記事にしていない。
「そのうち、調べて」と理由をつけているが、年寄りに「その内」はない。
今日は少しやっておこう。
「主張」から
麻生財相が発表した資料で、いくつかの数字があげられている。
安倍政権発足後、大企業の経常利益は16兆円増えた(14年度末現在)
これに対し設備投資は5兆円、賃金は0.3兆円の増加にとどまった。
一方、企業の内部留保は50兆円も増えた。手持ちの現金・預金だけでも20兆円増えている。
経常利益と内部留保が合わないのは、円安・株高の含み資産効果が絡んでいるからだろう。
これは財務省が経済財政諮問会議に提出したものだ。
「主張」では“マスメディアはあまり注目していないが”とコメントしている。
少し調べてからと思ったが、10分もすると忘れてしまうので、メモ代わりにアップしておく。

土曜日の赤旗から
海外投資家の東証での日本売りが9月に入って際立っているようだ。
9月の海外投資家の日本株売り越しは2兆6千億円にのぼった。
とくに1日と29日には、1日で700円の急落と、売り浴びせ攻撃ともいうべき様相を呈している。
日本株

海外投資家が「日本売り」を強めているのに、株価が乱高下を繰り返しつつも維持されているのはなぜか。
それは国内信託銀行からの買いである。信託銀行の9月買い越し総額は8千億円近くに達した。
それに個人投資家の4千億の買い越しを足す形で株価は維持されている。
信託銀行の背後には年金運用機構(GPIF) がいる。GPIFは昨年株式投資枠を25%に拡大したことにより、17兆円の資金を手に入れた。これが信託銀行を通じて日本株の買い支えに回っているのである。

おそらく株式相場をあいだに、海外投資家と日本政府が対話をしているのだろう。
「リーマンショックの時には7千円だった相場、円安を織り込んでもちょっと高いんじゃないの?」
「いや、今のリフレ政策が維持されれば、このくらいでも十分適正です」
「果たしてどちらが正しいか」だが、日本政府が足元を見られていることは間違いない。
年金機構の15兆円を使い果たしたあと何が残っているかだ。
売り攻撃を仕掛けた投機資本はかなりのやけどを負っただろうが、もう少し長期のトレンド判断から日本離れをしている投資家もいるだろう。公的資金を株式相場に突っ込むような政府が、果たしてどのくらい信用できるだろうか。
前にも言ったが、1万4千円あたりが崖になる可能性はある。個人投資家はそこまで下がるとパニックになる。
97年危機のとき、アメリカは日本支持に回ったが、今度もそう行くか。
最悪の場合、「円安・株安」を引き金とする日本発の世界不況もありうる。

鳥畑与一さんが「異次元緩和」の行く先を、あらあらの形でシナリオ化している。

この通りになるかどうかは別として、一応紹介しておく。

1.日銀はいつまでも国債買いを続けられない

市中に国債は枯渇しており、年金運用機構からの放出を促している。しかし新規国債発行との調整はいずれ破綻する。

2.バーゼルの国際決済銀行(BIS)が自己資本規定の第4弾を出す

この新規制は国債保有リスクも算入することになる。日本銀行の格付けが下がればすべてのフィクションは破綻する。

3.インフレがリフレの枠を超えて進行する

このとき、金融の引き締め策はほとんど不可能になる。なぜなら引き締めは国債購入の抑制を通じて行うことになるから、たちまち国債は市中に溢れ、暴落(利回りの急騰)を引き起こすからだ。

そこに超大型のギリシャ型破産国家が誕生する。


鳥畑さんは3つ並べたが、私が考えるには1.と2.はどうにでも切り抜けられるのではないかと思う。1.については年金という打出の小槌はまだまだ相当使い出があると思う。2.については、場合によっては知らんぷりしてしまうこともありうる。

やはり決定的な問題は、インフレが政策インフレの枠を超えてスタグフレーションへと移行し、暴走を開始することだろう。

インフレは、国民の余力があるうちは吸収しうる。しかしこれは時限立法だ。大量の通貨発行で名目賃金はわずかに上がったが、実質賃金は確実に低下している。すでに限界は近づきつつある。

どこかで下方への柔軟性が失われるポイントがある。その時一気に危機は顕在化するだろう。

政策インフレのもう一つの側面は、資本輸出の低下だ。貿易収支は、輸出産業を除けば赤字基調が続くだろう。これを補うのが貿易外収支だが、円安とインフレは、長期的には、ますます輸出資本(ドル)の目減りをもたらすだろう。

これにより国際収支が恒常赤字化するポイントがかならず来る。その時はっきりするのは、「円はドルではない」ということだ。日本の地力が落ちれば、円は紙くずになる。

インフレ政策は諸刃の刃であり、負の側面が必ず露呈する。インフレ政策はありうるオプションであるとしても、それはテンポラリーなものだ。必ず期限を切ること、必ずそこからの脱出計画を持つことが必要だ。

要するにそれは、麻薬であり、ズルズルとハマれば末路は廃人でしかない。

「日本再興戦略」改訂2014の概要という資料がある。 1枚のペラに概要を表示したものだ。一度ご覧になっていただきたい。唖然とすること うけ合いだ。
これは「戦略」ではない。なぜなら戦略目標がないからだ。 なぜ戦略目標がないか。これは大企業の自己利益増大のための戦略を、国家のた めの戦略であるかのように装って書いただけのものだからだ。
言葉遣いが下品なだけでなく、内容そのものも下品極まりない。

まず「基本的考え方」、これは3点があげられる。
1. この1年間、「3本の矢」によってもたらされた変化を一過性のものに終わらせず 、経済の好循環を引き続き回転させていく。
2. そのため、日本の「稼ぐ力=収益力」を強化。同時に、「日本再興戦略」で残され た課題(働き方、医療、農業等)にも対応。
3. デフレ状況から脱却しつつある今こそがラストチャンス。企業経営者や国民一人 一人に、具体的な行動を促していく。
つまり、「日本再興」の鍵は収益力アップにあるということだ。いいか、「日本の収益力 アップ」だぞ。つまり輸出の振興と貿易黒字の拡大ということだぞ。 それが正しいかどうかではなく、あんたたちの言っていることはそういうことだぞ、とい うことだ。
つぎに、そのための「10の挑戦」というのがあげられる。
「10の挑戦」といっても、3つ のプラン群に分けられていて、本質的な部分は 1.日本の「稼ぐ力」を取り戻す  という プラン群に絞り込まれる。
1.日本の「稼ぐ力」を取り戻す
の構成は
A 「企業が変わる」~「稼ぐ力」の強化
B 「国を変える」
となっており、ここの挑戦に成功すれば「日本再興」が成就されるという仕掛けだ。
実はこれだけではダメで、雇用の量と質の改善、中小企業をふくめた経済のボトムアッ プが不可欠なのだが、それについてはとりあえず置いておく。
中身に入る前に、まず作業仮説として考えてみよう。
輸出の振興と貿易黒字の拡大を実現するために、日本の産業構成をどう変化させなければならないか。
答えは小学生でも分かることだ。輸出型産業・企業の振興だ。
そこには、既存企業の 中で輸出プロパーへの支援を行うこともふくまれるだろう。

と前振りをしたところで、彼らの戦略の5つの柱を紹介する。
1.コーポレートガバナンスの強化
  コーポレートガバナンス・コードの策定
2.公的・準公的資金の運用の在り方の見直し
  GPIFの基本ポートフォリオ、ガバナンス体制の見直し
3.産業の新陳代謝とベンチャーの加速、成長資金の供給促進
  大企業を巻き込んだ支援、政府調達への参入促進、エクイティ等の供給
4.成長志向型の法人税改革
 数年で法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指す
5.イノベーションの推進とロボット革命
 革新的な技術からビジネスを生み出すナショナルシステム、 ロボットによる社会的課題の解決と新たな産業革命
 正邪を云々する以前の問題だ。とにかく「輸出の振興と貿易黒字の拡大を実現するために、日本の産業構成をどう変化させなければならないか」という自らの問いに対する答えになっていない。
その知的退廃ぶりに は思わず目を覆ってしまう。
若干の注釈をしておくと、
1.コーポレートガバナンスというのは経営の透明性のことであるが、実際には日本型 経営を捨てて株主重視のアメリカ型経営へ移行せよという主張である。
2.GPIF はこのあいだも書いたが、年金運用機構のことで、ポートフォリオというのは 資金配分。つまり、もっと株式市場に資金を入れろ、運用係に自由度を与えろということだ。
3.エクイティというのは銀行から融資してもらうのではなく、株式を発行して資金を調 達するようにしろという主張だ。1.とつながる主張である。
 4.説明不要
5.バカバカしい夢物語

要するに、小学生でも分かるような解答はまったく準備されていない、ということだ。 皆さん、泣けてきませんか? これが日本の“叡智”を集めて出した結論なんです。

最近どうもよくわからないのだが、大企業減税による成長戦略というのが、どうして「日本再興」につながるのか、その理屈はどうなっているのだろうかということがひとつ。
もう一つは、政策立案者なり実行主体なりがその「理屈」を本当に信じているのかということだ。
さらに言うなら、「トヨタ栄えて国滅ぶ」という結末にならないのか、説得力をもって説明できていないし、する気もないことも気がかりだ。
本日の赤旗には、去年6月に出された「日本再興戦略」が紹介されている。これは安倍政権がアベノミクスの第3の矢として打ち出したものだ。
前から、この第3の矢は方向が逆だと思っていたが、それが消費税増税でモロに出たことはご承知の通り。
というのも、第1の矢である大胆な金融緩和と、第二の矢である赤字国債による公共投資の拡大はある意味で古典的な景気刺激策であり、その方向で成長を実現し内需を喚起し、もって財政の改善を図るというものだ。
ことの是非や実現可能性はともかくとして、理屈そのものはよく分かる。
しかしこの第3の矢は第1,第2の矢の方向と真っ向から対立してしまうのではないか。企業減税はいいとしても、その財源を大衆収奪の強化にもとめるのでは、成長どころか水かけになってしまう。政策的な一貫性がないのである。
学校の試験でこのような答えを書いたら、落第まちがいなしではないか。

とくに財務省の考えが見えない。そもそも財務省は財政再建を至上命題としてやってきたはずだ。そのためには景気後退が長引こうとも引き締め政策を堅持しようと突き進んできたはずだ。
しかし政策主導で金融緩和と大型公共投資が行われ、そのやり方は頓挫した。であれば根本の考えは保留するとしても、とりあえず積極財政にふさわしい財政のあり方にかじを切るべきではないか。ブレーキとアクセルを両方とも力いっぱい踏み込んでいたのではエンジンがぶっ壊れてしまう。
この辺りをどう考えるのか、さっぱり見えてこないのである。

一番肝心なこと、国民はもう我慢できないところまで追い詰められてきていること、それを見ているのか、見えているのか、そのあたりが全く見えてこないところに、最大の危機感を感じてしまうのである。

元銀行マン、つまりは老健の事務局長なのだが、と話していると、ある種のペシミズムとニヒリズムが根底にあることがはっきりする。これはなかなか打ち破るのが難しい。

「異次元の金融緩和」でジャブジャブにして、そのカネで国債を買いまくり、年金機構に国債から株式証券へのシフトを促す。これによって株価を維持して企業と金融が安定すれば、その内に景気の循環局面が好転するだろう、という筋書きだが、その先に未来はない。

それどころか、その先には奈落の底が待ち構えている、といえば反論はしない。「しかしいまの日本にはそれしかないのだ」ということになる。

通貨をどんどん発行すれば、インフレが現象するはずだが、企業がすべて内部留保に回しているから物価騰貴としては出てこない。しかし国民の総資産に対して通貨量が爆発的に増えているわけだから,庶民の所得は間違いなく減価している。

それが需要の減退から経済の縮小再生産へと至ることは自明であるが、これも「しかしいまの日本にはそれしかないのだ」ということになる。

その先に窮乏化革命論をくっつければ話は簡単なのだが、さらにその先には未来はない。

やはり「計画経済」とか「経済の社会化」という議論を積み上げていかないと本当の前進的議論はできないのではないかと思う。

ただ「計画経済」という言葉にはあまりにもスターリニズムの汚濁が染み付いてしまっている。

だから旺盛にスターリン批判を転回している不破さんも、なかなかそこには踏み込まない。

だから「計画経済か市場経済か」という不毛の議論が、ソ連崩壊後の一世を風靡し、民医連の幹部さえとくとくと語り、はては「計画でも市場でもない第三の道」として非営利・共同の路線が堂々と打ち出されたのである。


私は、「計画経済」とか「経済の社会化」というのは、究極的には、資本主義という経済システムを飼い慣らすこと、家畜化することを目指す議論なのだろうと思う。

そしてそのことによって「ジャングルの掟」から抜け出すことを目指しているのだと思う。

もちろんそのすべてを家畜化するのは不可能だろうし、経済はそのような試みに手荒く立ち向かってくるだろうと思う。

ただ人間は自然に翻弄されるだけの状態から始まって、ある程度自然をコントロールし、上手に利用する方法を身につけたのだから、経済という社会現象もやがてはコントロールできるようになるに違いないと思う。

それが、段階として、あるいはアプローチの方法してさまざまな形態をとるにせよ、なんとかこの荒馬を飼いならして乗りこなすという目的に沿った努力だろうと思う。

例えば投機資本に対する規制だったり、租税回避への規制だったりするし、より積極的には生産・事業の計画化だったりするわけだ。

そして根本的にはユニバーサルな経済秩序の形成に行き着く。それは強力な金融的裏付けを持つ、決済機能にとどまらない、国際通貨の創設がひとつのメルクマールとなるのではないか。

所有形態の問題はたしかに重要だが、グローバルな観点から見れば、それは決してメインではない。生産と分配を社会的な合意の下に行うようになれば、生産と分配に関する組織は自ずから社会化され、解決していくだろう。

共産主義は、産を共にするという意味ではなく、共に産み出すという意味だ。

ただし移行期(全体の流れに逆らおうとするものとの闘争の時期)においては、それは一国内の個別の形態においては、激しい論争のもとに置かれるだろう。


ペシミストという点ではピケティも同じだ。

彼はマルクスの貧困化理論を過去200年の銀行統計を使って立証した。そして世界大戦後の貧富の差の縮小を一過性のものと見ている。そしてそれが可能となった原因をさまざまに検索している。

だが果たしてそうであろうか。それは純粋に経済的な事象であったのか。

私は、戦後のITCを中核的概念とする革新的システムこそが現実に世界を変えたし、経済成長とともに格差の縮小をもたらすという“奇跡”をもたらしたのだと思う。

それは一方におけるアメリカ帝国主義の横暴、一方におけるスターリニズムの跋扈という政治的事情により歪められ、大量生産・大量消費という奇形的成長により挫折した。

しかしそれに変わって登場した新自由主義は、わずか40年足らずでその無能ぶりを暴露している。

一過性なのは戦後体制ではなく、新自由主義なのではないか。


2011/10/17  通貨問題は貿易問題だ バンコールと国際貿易機関ITO

2011/10/20 – ITO国際貿易機構)の遺したもの その1 
2011/10/27 – ITO国際貿易機構)の遺したもの その2 

安部首相答弁のウソとまやかし

20日の衆院予算委員会での志井さんの基本質疑がまだまとめられないでいる。

衆議院議員が21人に増えて最大の問題は、質問時間が大幅に伸びたことだ。今までは赤旗の2面で読み切れたのだが、今回はなんと5面に達している。もうごめんなさいという感じだ。

まずは、安倍首相の最初の答弁が気に食わない。

質問は、「非正規が増えたことが労働者全体の賃金低下の主要な要因だ」という認識があるかというもの。これはなかなか「ハイ」とは答えにくい質問だ。そこで副次要因をるる説明をして「ハイ」とは言わない。それは分からないでもないが、その中にかなりウソとまやかしが入っている。

1.賃金の下がった理由

97年をピークとして賃金が下がった理由として、給与の抑制、デフレ経済、高金利下での投資の抑制の3つをあげている。

これらは局面、局面では賃金低下の要因をなしていた可能性はあるにしても、97年以降18年間の長期傾向を説明するものではない。給与の抑制だけは間違いないが、デフレを景気後退・生産過剰と捉えるなら、2001年からリーマン・ショックまで続いた好況局面は無視されることになる。デフレを円高と捉えても、それは200年前後とリーマン・ショック後の数年間に限られており、全局面を説明できるものではない。高金利時代はこの間まったく存在していない。「実質高金利」は円高の一面をとらえたものに過ぎず、枝葉末梢である。

18年間一貫した傾向を説明するにはもっと構造的な条件を検討しなければならない。すなわち賃金構造(労働分配率)と雇用構造である。景気の動向は18年のあいだに浮き沈みがあった。その中から都合の良い所だけを取り出して説明するのは真面目な議論とはいえない。

2.内部留保の増えた理由

安倍首相の言わんとしていることは、要するに景気が軟弱だったからということに尽きる。それらをすべて呑んだとしても、賃金が低下する一方で内部留保が激増した理由は説明がつかない。国民が並べて貧しくなったのなら、「分かち合え」という話も分からないではない。しかし大企業は空前の大儲けをしているのだ。「給与の抑制、デフレ経済、高金利下での投資の抑制」が賃金低下をもたらしたのなら、なぜそれが利益の巨大な溜め込みを可能にしたのか。それは説明できないだろう。

3.97年問題に関する認識は重大だ

「(97年のピークのあと)消費税が3%から5%に上がり、かつ社会保険料も上がり、その後アジアの経済危機があって、ここからずっと日本がデフレ下に入っていくわけです」と説明している。97年不況がこれらの複合危機であることを認めているわけだ。それではこの度の消費税引き上げと社会保障のさらなる切り捨ては何なのか。

97年初頭、諸指標は「バブル後不況」からの回復を示していた。安倍首相の言う「3つの過剰」とかデフレマインドはいったんは治まっていたのだ。当時の橋本首相は「バブル後不況は克服され、上げても大丈夫と思ってやったが、失敗した」と謝っている。

しかし今度は試され済みの結論で、さらなる不況を招くことが本人にもわかっていながら断行したということになる。この論理矛盾は深刻だ。

赤旗に内橋克人さんの発言が掲載されている。
そのなかで、「なるほど」と思ったことがある。
GPIF(公的年金の資金を運用する独立行政法人)が、国債による運用を減らして株式による運用比率を50%に増やすと発表しました。
GPIFが売る国債を日銀が買う。見え透いたことです。
「なるほど、そういうこともあるのだな」と思った。
現在日銀は異次元緩和で日銀券を垂れ流しているが、それは何かの「金融商品」と引き換えでなければならない。
当面買うのは国債なのだが、もう全部買い占めてしまって、市場に国債はない。仕方がないから投資信託や不動産証券などヤバいものにも手を出さざるを得なくなっている。これはさすがに評判が悪い。すると、日銀としては次に緩和策をとろうとしても、手立てがなくなってしまう。
担保がなければ、貸したくても貸せないわけだ。
そこで年金運用機構が持っている国債に目をつけた。
年金運用機構が持っている莫大な国債を吐き出させれば、ほとんど無尽蔵だ。そのためには年金運用機構にリスクを負わせれば良い、という寸法だ。
うーむ、知恵者がいる。日銀の第二次緩和と運用機構の株式運用比率引き上げが同日に発表されたというのもそういう意味だったのか。
ひとつ利口になりました。

日銀の追加緩和が5対4の際どい差で決定されていたことが明らかになった。
これは10月30日の金融政策決定会合の議事要旨が公表されたことで明らかになったもの。
安部首相と「異次元の金融緩和」政策がかなり追い詰められているということが、これからも分かる。
この事について、金子記者の署名入り解説記事。
まず、10月30日の日銀金融政策決定会合で決まったことのおさらい。
1.長期国債の年間買い入れ額を50兆円から80兆円に引き上げる。
2.株式投資信託(ETF)の購入を3倍に増やし、年間3兆円づつ増やす。
3.不動産投資信託(Jリート)の購入も3倍化し、年間900億円づつ増やす。
この方針に対して反対意見が出されたが、金子記者によればそれは二つにまとめられる。
1.金融緩和は円安をもたらし、内需型中小企業に悪影響を与える。
2.実質的な財政ファイナンス(政府予算への財政支援)となってしまう。(正確に言うと、“財政ファイナンスとみなされるリスクが高くなる”という表現)
金子記者はこのうち、2.に焦点をあてて解説している。
金子記者によれば「財政ファイナンス」の問題として下記をあげている。
1.財政ファイナンスは、二重の意味で財政法違反である。ひとつは赤字国債の発効が原則的に禁止されている(財政法第4条)からであり、もう一つは国債の日銀引き受けが原則的に禁止されている(財政法第6条)からである。
2.ただし財政法第4条には抜け穴があり、有名無実化されている。それはひとつは赤字国債発行法であり、条件を決めた上で例外が認められることになった。さらに2012年の公債特例法によって、事実上ザル法となった。
3.財政ファイナンスは、憲法にも違反している。憲法は国の財政処理に国会の議決をもとめている(憲法第83条)が、「異次元の金融緩和」と国債買い入れはこれに違反している。また公債特例法に定められた年度をまたぐ国債の発行は、予算の単年度主義を定めた憲法第86条に違反している。
ということで、今回の解説は「財政ファイナンス」の批判というより公債特例法批判になってしまっている。
この続きがあるかどうか分からないが、この記事だけでは「羊頭を掲げて狗肉を売る」の趣がある、と言わざるをえない。
日銀内部の批判派の趣旨は、「1.内需型中小企業への悪影響」の方にあるのだろうと思うので、そちらをもう少し敷衍してほしいと思う。
内需型中小企業は悪政により三重に痛めつけられている。
長期の不況の中で物が売れない、金融緩和による円安で原料コストが高騰、消費税で利益幅の圧縮だ。
さらにこれで消費税不況が上乗せされれば目も当てられない様となる。
ところで内需型中小企業というのは我が国産業の根幹だ。雇用の9割以上を生み出している。
ここが深刻な打撃を受けるということがどのような意味を持つのか、政府・大企業は考えたことがあるのだろうか。

共産党の選挙政策はかなり長いので、関係者以外はあまり読まずに終わってしまうかもしれない。

かいつまんで紹介しておこう。

はじめに

今度の選挙の三つの特徴は

1.政治を変えるチャンス

2.主要な争点は憲法9条だ

3.対決、対案、共同がだいじなポイントだ

Ⅰ 消費税はきっぱり中止、「消費税に頼らない別の道」を

A) 応能負担を貫く、富裕層への優遇廃止

B) 法人の実質税率を引き上げる

C) 大企業の内部留保の活用 (法活用で雇用と中小企業への再配分)

D) 浪費型の公共事業の見直し、軍事費削減、原発関連予算の整理など

Ⅱ 大企業応援から暮らし第一に経済政策の軸足を移す

三つの改革(雇用のルール、社会保障、中小企業)で需要を喚起し、経済を底上げ。

震災の復興支援の継続

Ⅲ 憲法9条の精神に基づく外交戦略

1.集団自衛権と9条の実質廃棄は絶対認めない

2.北東アジア平和協力構想を提唱する

①「友好協力条約」で紛争の平和解決のルールづくり、

②6カ国協議で北朝鮮問題の解決

③「行動規範」で領土問題暴走の規制

④河野・村山談話の尊重で友好の土台作り

Ⅳ 原発ゼロの日本を

1.節電・省エネ

なぜ電力不足が起きないのか。最大の理由はこの間の節電・省エネである。それは原発13基分に相当する。

2.自然エネルギーのミックスの比率を増やす

火発から5年~10年で低エネルギー社会と再生可能エネルギー中心へ

山家さんの「アベノミクスがもたらしたもの」という記事から。

安部首相は春闘でベースアップがあり、賃金増の好循環が生まれつつあると主張する。これはごく一部の大企業の、正規職員のアップだ。

日本全体ではどうだ。中小・零細企業も含めた勤労者の、正規職員ばかりでなく非正規、パートも含めた全勤労者の収入はどうなのだ。

2013年(去年)の勤労者家計の収入は名目で前年比1%の増加だった。しかし物価値上げを差し引いた実質増加率は0.5%だった。

今年の7~9月期(直近)では、収入は名目で2.1%、実質で5.9%減となっている。

いっぽう、大企業の経常利益はこの間に前年比6%増となっている。

何の事はない国民と大企業がパイの奪い合いを行い、国民の分を自分の懐にいれているということだ。

これがアベノミクスだ。

赤旗の論題時評で、「アベノミクスはこのままでは崩壊する」と題する対談(文藝春秋)が紹介されている。浜田宏一と本田悦朗という安倍首相のブレーンの対談であり、注目される。

両氏は「大胆な金融緩和」や「機動的な財政対策」を「うまく行った」と自画自賛しつつ、「予想外」の輸出不振などに懸念を示し、消費税が増税されれば需要不足で日本経済は「低成長」に入る危険があると主張している。

評者はこれを、

アベノミクス継続を叫び、17年4月に必ず増税すると訴えた安倍首相の解散表明演説の“ひな形”と言えます。

と観測している。

両者ともに間違っているのだが、結局大企業の輸出の動きを読み間違えたところに最大の問題があることが分かる。

この読み違いは、実は私もふくめてみんな読み違えたと思う。だからこの間違いをいち早く直視して、急速な政策転換を図らなければならないのだろう。

問題は大企業の論理と国家の論理が想像以上に乖離してしまっていることである。「大企業は予想以上に悪い。想像以上に腐っている」ということを肝に銘じなければならない。

ここを改めずにアベノミクスを継続するのは危険きわまりない。取り返しの付かないことになる。

これからはアップルやグーグルを見るのと同じ目線で大企業を見据えていかなければならない。

彼らとの距離感を早く体得することが急務だろう。


共産党の第2回中央委員会総会で、志位さんがこの辺りをうまくまとめている。
…第二に、経済論戦では、消費税増税問題と「アベノミクス」問題を二段構えで訴えることです。
消費税問題は経済問題の一つではなく、それ自身を一大争点として押し出さなければならない。そして8%増税強行で「増税不況」をもたらした自民、公明、民主の責任を厳しく問わなければならない。
そして「消費税10%の“先送り”か、中止をもとめるのか」が鋭い争点となります。
「アベノミクス」問題では、この政策が格差をもたらしたことは誰もが否定出来ない事実となっています。
…その破綻が明瞭になる中で、「大企業応援から暮らし第一へ、経済政策の軸足の転換」を訴えていかなければなりません。
ただ、「二段構え」とは巧いことを言ったものだが、わかりやすく言えば安倍首相を、その無定見において批判しなければならないということだ。
1.安部首相は、消費税引き上げについて主犯でないような顔をしているが、まちがいなく共同正犯だ。
2.しかも消費税引き上げは、アベノミクスという自らの主張に背く法律ではないか。なぜそのような法律の実施の責任をとったのか。
3.その矛盾した行為によって、自らのアベノミクスを破綻させ、内需をさらに冷え込ませた。その責任をどう取るのか。
我々はアベノミクスを認めるわけではないが、アクセルとブレーキを同時に踏むような無定見は、それ以前の問題として許せない。

経済政策の選択が今回の選挙の最大の争点であることは言うまでもない。
その中でアベノミクスがどう位置づけられ、どう克服されるべきかの方向性が問われている。
民主党政権、とくに最後の野田内閣の政策はまさに大企業の利益をむき出しにしたものであった。
その典型が消費税増税と法人税減税であった。
消費税増税については、世紀の無法であったことがまさに今明らかにされつつあるので、ここでは語らない。法人税減税はそれ自体ではなくこれまでに行われてきた、さまざまな税軽減策とセットにして語られなければならない。つまり実効税率の不当な削減が問われなければならない。
法人税を海外並みに引き下げるのなら、実効税率を海外並みに引き上げなければならない。これで初めて大企業は海外と肩を並べうるのである。

アベノミクスは、彼らなりに、大企業優位の政策一辺倒では内需が先細り経済が行き詰まると意識している。とくに金融の流動性の低下が深刻なデフレをもたらすと意識している。
サプライサイドからこの状況を打開しようという考えはあってしかるべきだし、ひとつの選択ではあろう。しかしそれ開けでは銀行の救済にはなっても、景気の回復にはつながらない。その資金が内需の拡大につながらなければふたたび金庫へと戻っていくだであろう。
アベノミクスの第二の矢は公共事業に向けられた。とくに震災復興関係では膨大な投資が積み上げられている。しかしインフラを中心とする従来型公共投資の有効性はすでに失われている。それは二次需要を喚起しない。

問題は日本がいま使いこなせる資金をどう使えば、有効需要を生み出し、内需を喚起し投資意欲を掻き立てることができるか否かにかかっている。
それには内需の冷え込みが何によってもたらされているかを考えればよい。最大の原因は勤労者の所得の減少である。高齢者、子育て家庭、学生の生活不安である。
だからここにスポットを当てて財政支援をしていくのがもっとも重要な政策となる。

といっても、社会政策を広範に実施してカネをばらまけば良いというのではない。国庫にそれ程の余裕はない。もっとも手っ取り早く有効なのは、現在働いている人々に支給を厚くし、雇用を安定させることである。これは既存の金回り構造を壊すことなく行えるので、新たなルートを作り上げる必要はない。新たな利権も生まれない。

政府としては二つの行動が取りうる。ひとつは、労働法制の厳格な適用である。それをやると企業が人を雇えなくなりますます失業が増えるというが、逆である。労働法制の厳格な適用は人手不足をもたらし、求人市場は活性化せざるをえないのである。
もう一つが最賃の引き上げである。できればユニバーサルであることが望ましいが、できるところから直ちに着手すべきである。できないところでも生保基準以下は憲法違反の犯罪行為であることを明示しなければならない。健保、失保、労災、厚生年金の条件も厳格に適用しなければならない。

これらの観点から見て、消費税増税は論外であり、この際増税論者は徹底的に叩かなければならない。さらに安部首相には、いまさらながらなぜ消費税増税を行ったのかを徹底追求しなければならない。そして実施の先送りではなく撤回をもとめなければならない。なくなぜならそれはそもそも、アベノミクスの発想の対極にある経済観だからである。

日銀の追加緩和 NHK報道がひどい

NHKは本当にひどいことになっている。

きわめて穏健に考えたとしても、量的緩和は諸刃の刃だと分かる。第一、日銀券を大量に発行して何を買おうというのだ。

もう市中に国債や、優良債はない。ハイリスクの物件を買い込めば、日銀そのものの信用が落ちていく。

しかも日銀の経営論理からではなく、消費税再引き上げのための緩和だとすれば、あとはもう底なしである。

現に黒田総裁は「必要があればちゅうちょなく調整する」と言っているから、自分がクビになるまでは垂れ流すつもりだ。

前にも書いたが、今の日本は株高の含み益で成り立っている。1万4千円が生命線だ。もしこれを割るようなことがあれば、ヘッジファンドがなだれ込んで、たちまち相場は崩壊するだろう。9月には1万4千円台まで値を下げた。年金の投信運用を急かすサインだ。

黒田総裁は表向きの理由を「2%物価目標」を達成するためだと言っている。しかしなぜ2%が達成できなかったかの説明はない。

なぜか、

説明できないからである。円安で輸入価格が上昇し、電力各社が相次いで値上げを発表し、さらに消費税関連で物価が押し上げられたにも拘らず2%が達成できないのは、消費の落ち込み以外に説明しようがない。

消費の落ち込みは勤労者所得の低下以外に説明のしようがない。説明のしようがないから説明しないのである。


せめて報道は量的緩和に功罪二面があることを報道すべきだ。2%目標についても、過去の経過を踏まえて報道すべきだ。

これまでNHKニュースを見ていて、安倍首相の顔が出てきたら、その瞬間にチャンネルを切り替えていた。そのためにリモコンを握って離さなかった。

しかしこれからはNHKニュースが流れ始めたら、即チャンネルを切り替えなければならなくなりそうだ。


見出しとリードだけ紹介しておく

日銀 追加の金融緩和を決定

これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがあるとして、追加の金融緩和に踏み切った。

…こうした効果をより強めてデフレからの脱却を進め、2%の物価目標の実現により万全を期す ねらいがあります。

アホか?

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