ウイルスがどのようにして生まれたか、その起源については、1940年代にバーネットが3つの仮説を提唱しています。その後、議論はほとんどなく、1994年にモースがバーネット説について、あらためて詳細な解説を加えています。
一応ウィキで概要だけあたっておく。
なお武村は、「ウイルスだけが生物を進化させたわけでは決してなく、生物が多様な発展を遂げてきた仕組みのごく一部に、ウイルスによる影響があったというにすぎない」と強調している。
4.RNAワールド論についての感想
素人がいうのもなんだが、私はRNAワールド論にはきわめて懐疑的である。
まず第一に核酸が先か蛋白(酵素)が先かというのはタマゴとにわとりの議論であり、少なくとも「タマゴが先」論はありえない。ミラーの実験から見て、「タマゴがなくても子は育つ」ことについては決着済みである。
第二に私は染色体という言葉が嫌いだが、これは有性生殖に伴うシーンなのであって、三種の核酸(RNA)の本来の仕事は、自己複製と蛋白の生成という機能である。DNAはRNA機能のバックアップ媒体であり、DNAによる種の保存というのは核酸に付与された後づけ機能である。
そして自己複製機能の中心はRNAにあるのではなく、リボゾームというカードリーダー付きのアミノ酸チェーン製造機にあるのだ。