鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

カテゴリ: 40 自然科学

もし光合成を工業に例えるならば、そこには4つのノーベル賞級の大発明がある。

1.マンガンを触媒として水から電子を取り出す発明。

2.電子をクロロフィルを使って、励起する発明。

3.電子伝達系を使って電子を陽電子エネルギー(水素イオン)に転換する発明。

4.水素イオンを炭素にくっつけて貯蔵・運搬可能な形態(糖)で保存する発明。

中でももっとも重要な発明はマンガン光触媒の発明である。これがなければ話は進まない。どういうわけか光合成屋さんはここを軽く見る。

さらに言えば、これらを光子の力だけで成し遂げるエネルギー技術も、大発明だ。これらの巨大な工程を繰り返し可能な形で構築するプラント技術もすごいものだと思う。

これらの「発明」は当初から一体のものとして発明されたわけではないだろう。

それぞれが単体としてなにがしかの意味を持って導き出されたものであり、それが後にインテグレートされたものであろう。

それがミトコンドリアであったり、リケッチアであったりして、それがM&Aで一体化するにしても、なぜミトコンドリアやリケッチアがそのような機能を持つに至ったかの説明にはならない。

そこまでセマンティクスを追求して、初めて光合成の意味がわかるのではないだろうか。

私としてはどうしても光合成の問題を一度詰めておきたかったわけがある。
ビッグバンがあって銀河系ができて、太陽系の一員として地球ができて、その地球が火の玉から固まるかか固まらないかのうちに生命体が誕生している。約40億年前のことだ。
その後10億年もしないうちに、生命体は光合成という技を身に着け大発展を遂げてきたことになる。それは主要には酸素と炭酸ガスのバランスで条件付けられてきた。地表温の低下で液相水が増加し、還元鉄が酸化されることで大気中の酸素(特にラジカル)が減った。そのことで、逆に酸素を生み出す代謝形式(生命の存在の仕方)が成立しうるようになった。
どちらがだいじだと決めつけるわけではないが、世上炭酸ガスがあまりにも一方的に悪者扱いされているのに皮肉が言いたくなっているのである。
膨大な生命連鎖の基礎に植物があり、その光合成を支えているのが炭酸ガスである以上、我々はもっと炭酸ガスをだいじにしなくてはならないのではないか。
酸素がいまよりも多かった時代、地球はひどい低温に見舞われ、生命はほとんど絶滅の危機にまで達した。炭酸ガスによる温暖化の効果を、我々現代人は享受しているのだ。
いま地球は温暖化の波及効果としての水分布の変化を経験している。原生林の乱伐により緑は失われ砂漠がすごい勢いで広がっている。
だがそれで地表の酸素が減っているわけではない。なぜか、それは植物が猛烈な勢いで光合成を展開しているからではないか。もし砂漠が緑の大地になったら、海洋中の海草や藻類が大繁殖したら、酸素はさらに満ち溢れ炭酸ガスはさらに減少してしまうことも考えられる。
肝心なことは地表の炭酸ガスと酸素のバランスを至適レベルに保つことだ。地球史のレベルで考えると、鉄の酸化がほぼ完了してからは、大気中の酸素分圧の上昇が最も危険な兆候である。炭酸ガスももし化石燃料を使用していなければ、危険なほどに低下してしまう危険がある。
もちろんそこには気候変化という自然のカウンター・バランスが働くことだろう。それまでの間、人類は自然の摂理に頼りながら、もう少しのあいだわがままさせてもらっても良いのではないかと、密かに思っている。

光合成 最終まとめ

インターネットの良いところは、わからなかったらその文章はパッと捨てて次の人のところに行けることだ。

もし一冊の教科書で勉強していたら、とっくの昔に挫折していたに違いない。

こういう「耳学問」的な勉強ができるのがありがたい。わからなくても恥じることはない。わかるように説明しないほうが悪いのである。


ということで話のあらすじ。

1.光合成は水のイオン化過程から始まる

水のイオン化が行われるのは「酸素発生複合体」である。これにはたくさんの名前があって、人によって言い方が違う。

酸素発生中心(oxygen evolving center)というのもある。マンガンクラスタという人もいる。水デヒドロゲナーゼ(OEC)というもっともらしい名前で呼ぶ人もいる。

しかし、私としてはクロロフィルと同様に、一種の光触媒だと考えるのが自然ではないかと思う。

ここでマンガンに抱かれた水(2分子)は4回にわたって登っては落ち、登っては落ちして、最終的に手持ちの水素をすべて放出して酸素になる。

酸素を手放したマンガンは、再び新たな水を探して抱きつく。

「登る」というのはマンガンがエネルギー準位を上げるということだ。エネルギー準位を上げるために光エネルギー(hv)が利用される。

ジェットコースターがカタカタと言いながら出発点まで登っていくのとそれは似ている。

登りきると、プロトンと電子はマンガンから離れて飛び出す。マンガンは励起状態から基底状態に戻る。これが4サイクル続くことになる。

2.使うのは電子だけ

こうして2分子の水から4H++O2+4e- が生成される。

「酸素発生複合体」というが、本当は「電子発生複合体」というべきだろう。酸素は副産物にすぎない。水素イオンもとりあえずは副産物だが、あとで再生利用される。

この電子は複合体の近くに待機したチロシンを運び屋として、反応中心に持ち込まれる。

3.「反応中心」における反応

反応中心というのは光合成装置のメインジェネレータである。何をジェネレート(加速)するかというと、チロシンから受け取った電子である。

今度はマンガンではなく葉緑素(クロロフィル)が光触媒となる。このクロロフィルは暗黒の世界で還元型のクロロフィルとして存在し、「P680」と名付けられている。

まずP680は電子を抱くことによりイオン化される。イオン化されたP80は光の中に入り、光エネルギーを受けることによりエネルギー準位を高めていく。

光の中と行っても、日差しの中というわけではない。パラボラアンテナのような集光器で集められた光子が色素間を伝達され、反応中心に集められた光エネルギーである。

電子の質量は限りなく小さい。したがってエネルギーのほとんどは、そのスピードによって規定されている。光エネルギーを吸収したP680上の電子はどんどんスピードを上げて外縁軌道へ飛び出していく。これを励起という。

そして最後にはP680から飛び出していく。残されたP680は還元型クロロフィルとして、ふたたび暗闇の世界に戻っていく。

4.その後の光合成の世界

ここまででわかるように光エネルギーは2度使われる。一度目はマンガンとの共同で電子を作るために、そして二度目はP680との共同で電子を励起するために。

励起された電子はクロロフィルを離れて反応中心内を移動し、最終的にはプラストキノンBに付着する。

プラストキノンは十分な電子を得ると光化学系Ⅱから離れ、電子伝達系へと移動する。

つまりプラストキノンは酸素発生複合体におけるチロシンと同じように電子の運び屋の役を果たしていることになる。

実際には、この間にシトクロムなんとか複合体という酸化還元成分を通り、さらに光化学系Ⅰでもう一度励起され、最終的にNADP+という物質に渡される。ほしいのは陽イオンだったのである。

そしてから本当の電子伝達系が始まる。

NADP+は水素イオンを抱いて炭化水素の生成回路に入り、炭酸ガスから酸素を飛ばして水素を押し付ける。

このときもう一つのエネルギー源が登場する。それがATPだ。これは光合成の最初の段階、酸素発生複合体に由来している。

水のイオン化の際にチラコイド内にはおびただしい量のH+が垂れ流された。これにより膜の両側に著しいイオン濃度差が生まれた。

これがプロトンポンプとなりATPを生み出している。ATPはNADP+を炭酸ガスにくっつけて水素イオンを伝達するためのエネルギーとなる。

ただしこの辺の知識は曖昧で、あとで訂正が必要になるかもしれない。

とまぁ、だいたいこんなところだ。

これなら素人にもよく分かるだろう。

ああ、つかれた。

P680と並んで、もう一つの宿題が水分解の駆動力だ。

光合成-2 に水分解の過程が示されている。

h2o3

チラコイド内腔の水の分解は、PSⅡ複合体に結合したマンガン結合たんぱく質マンガンクラスタ-によって触媒される。

「2H2O→4H++O2+4e- 」の反応は段階的に進む(S0→S1→S2→S3→S4)

最終的に遷移状態のS4を経てS0状態に戻る際に、水が酸化されて一挙に酸素を発生させる。

水を分解してできた水素イオンはチラコイド内腔に放出され、酸素は細胞外へ出されて気孔から出て行く。

そして電子がチロシンを運び手としてP680に手渡されるわけだ。

問題はS0→S1→S2→S3→S4と進むための駆動力だが、絵を見るとなにやら上の方からホエホエと茶色の波線が降りてくる。こいつは一体なんだろうか。


光合成(福岡大学のサイトらしい)には同じ過程が別の図で示されている。

ps_oxcom

何ということはない。水分解回路も光エネルギーで回っているのだ。茶色のホエホエは光線だったのだ。

酸素発生複合体(水デヒドロゲナーゼ, OEC)は,Mnイオンを4つもつ,金属タンパク質である。この酵素は光のエネルギーを利用して2分子のH2Oを4電子酸化し,酸素(O2)を生成する。光子8~10個当たり1分子のO2が生じる。

これで一応光合成の第一段階は落着したようだ。

なお付記しておくことがある。

一つは、PSⅡの方でも、同じくクロロフィルの励起が繰り返されること。このときはP680ではなくP700というクロロフィルが用いられるが、似たようなものだ。

つまり光エネルギーは三度用いられることになる。水分解の過程を4回と数えれば全6回ということになる。しかしこういうふうに書いてある教科書はなかった。

もう一つは、この過程でチラコイド内に吐き出された4H+の行方である。プロトンが膜の片側に増えれば著しいpH勾配が生じるが、これを利用してADPとリン酸から1分子のATPが合成される。いわば廃物利用みたいのものか。

これがわかったおかげで、カルビン回路にどこからともなくATPが出現してくる機序が見えてきた。

暗反応の方はやたらと固有名詞が登場するのが面倒だが、理解するのに本質的な苦労はない(と思う)。

P680に取り掛かろう。まずはP680 - 光合成事典 - 日本光合成学会から

 光化学系Ⅱの一次電子供与体クロロフィルaの名称.

光化学系Ⅱタンパク質複合体中のマンガンクラスターにおける水分解反応を可能にするため,約1.1 Vというきわめて高い酸化還元電位をもち,これが他の型の光化学反応中心の一次電子供与体とは著しく異なった特徴をなしている.

P680が光化学系Ⅱタンパク質中のどのクロロフィルに対応するかについては様々な議論がある.

電荷再結合によって生じる励起三重項状態は,二量体クロロフィルとは別のアクセサリークロロフィル上に主に存在することが明らかとなっている.

初期電荷分離ののち,正電荷はP680上に比較的安定に存在し,数十ナノ秒でチロシンZを酸化する.

ということで、さっぱりわからない。

最初の1行からわかるのは葉緑素の形態の一つで、光エネルギーを受けて電子を放出する働きがあるということだ。

「マンガンクラスターにおける水分解反応を可能にする」ということなので、本体の方ではなく「酸素発生中心」の方に関係するクロロフィルのようだ。

P680は最終的にはチロシンZを酸化することでその役割を終了するらしい。酸化するということは電子を付加するということだ。


つぎは光合成系構成要素 - 植物生態学講座から

クロロフィルが吸収したエネルギーは励起エネルギーとして次々に別のクロロフィルに伝達され、最終的に、コアに存在する反応中心P680に伝達されます。このP680が励起エネルギーを受け取ることで電子伝達が始まります。

…コアでは電子伝達が起こります。P680→フェオフィチン(Phe)→QA→QBとなります。フェオフィチンというのは。クロロフィルaからマグネシウムイオンが外れたものです。QA,QBはどちらも結合型のプラストキノンです。

…光エネルギーにより励起され、電子を渡してしまったP680には電子が補充されます。この電子は水を分解することで得られます。

…水はマンガンクラスタで分解され、取り出された電子はチロシンを経てP680に渡されます。

この分解過程はまだよくわかっていないが、酸素が出るまでには、4光量子が必要だそうだ。

…P680が酸化されるたびにマンガンクラスタが電子を渡し、4回電子を渡すごとに水の1分子を分解し、酸素を発生させているのだろうと考えられています。


これは光合成事典の記述と明らかに矛盾する。

というより、光化学系Ⅰのさまざまな記述がいつも矛盾しているところだ。

はたして光合成学会が言うように、「マンガンクラスターにおける水分解反応を可能にする」のがP680の役割なのだろうか。

他の文献を読むとどうもそうは思えない。むしろ水分解装置から電子をもらう側のようにしか思えない。そしてそのエネルギーは水分解のために使われるのではなく、電子伝達系へと流れていくのではないかと思う。

ps2-21

      PSⅡの電子伝達の反応式

光合成事典の記述は、少なくとも、事典としてはふさわしくない相当のアイマイさをふくんでいると言わざるをえないのではないか。

もう一回、光化学系Ⅱからやり直し。

最初は059: 光化学系II (Photosystem II) - 今月の分子 - PDBjというページ

PDBj というのは日本蛋白質構造データバンク(PDBj: Protein Data Bank Japan)の略称らしい。

光化学系II (photosystem II): 

光合成系において最初の入口となる部分である。光化学系IIは光子を捕らえ、そのエネルギーを水分子から電子を取り出すのに使う。

光化学系IIの要は反応中心(reaction center)で、ここでは光エネルギーが励起された電子の運動に変換される。

反応中心に存在するクロロフィルが光を吸収すると、クロロフィルが持つ電子のうちの1つが高エネルギー状態へ移る。

励起された電子はクロロフィルを離れて下に移動し、最終的にはプラストキノンBに付着する。

プラストキノンは十分な電子を得ると光化学系Ⅱから離れ、電子伝達系へと移動する。つまりプラストキノンは電子の運び屋の役を果たす。

残されたクロロフィルは陽性荷電した状態で残される。

これに対し酸素発生中心(oxygen evolving center)は水から電子をひきはがし、それをチロシンを運び屋としてクロロフィルに引き渡す。

電子を獲得したクロロフィルは、ふたたび別の光子を吸収する準備が整う。

RC

光の取り込み

このあと、光エネルギーの取り込みについて書かれているが、アンテナ系と集光性タンパク質(light harvesting protein)についてはこれまでの知識でとりあえず足りそうなので、ここでは省略する。

酸素発生中心(oxygen evolving center)

電子の発生に水は一切関係していない。水が関係するのはクロロフィルの再イオン化である。

再イオン化に必要なイオンは酸素発生中心から補給される。そしてイオンは水を分解することで発生する。

酸素発生中心の構造はマンガンイオン、カルシウムイオン、そして酸素原子でできた集合体(クラスター)である。

酸素発生中心は2分子の水分子を捕獲して4つの電子を除去し、酸素ガスと4つの水素イオンを作る。使うのは水素イオンではなく4つの電子だ。

酸素発生中心

著者は「この魅力的な分子を見る際、苦労することを覚悟して欲しい」と書いている。

極めて面倒な絵だが、大赤玉が酸素原子(実体としては炭酸水素イオン)、紫がマンガンイオン、水色がカルシウムイオンだそうである。小赤玉はイオン化されたチロシンでイオンの運び屋だ


ということで、初めてPSⅡの構造がスッキリとわかった。それと同時に多くの専門家が結構あやふやな知識のまま語っていることもわかった。

「その8」で書いた情報は間違いだった。

ただ、この説明では酸素発生中心を駆動している力が何なのかは示されていない。電子の発生過程に比べれば核心ではないが、問題は問題だ。

またこの文章では触れられていないが、クロロフィルの活性体であるp680についても確認して置かなければならない。

しかしそれにしても、我ながら、長いオディッセイだ。

とりあえず書き出しておく。


藍藻なくして動物なし


分子科学研究所の坂田忠良さんによる「光エネルギーによる水素製造」という解説を見つけた。 

…(前略)

2.植物の光合成と人工光合成 

…これらの反応はすべて水を還元剤としており,水の分解反応が基本になっていることがわかる。

…とくに水の分解によって製造される水素は,未来の水素エネルギーシステムを支えるものと期待される。

3.光触媒の原理

水・炭酸ガス・窒素などは、それ自身では太陽光を吸収しない。したがって、光化学反応を起こすためには仲介者が必要となる。これが光触媒である。

「おいおい、ちょっと待ってよ」という感じだ。いままでの論者はこんなことは一言も言ってなかった。それだけでも信用できなくなる。

植物における光触媒はクロロフィル(色素)である。色素の光励起で電子が生じる。

と書いてあって、その下の図で少しだけ納得が行った。

hikarishokubai

つまり電子供与体=水分子が、触媒である葉緑素の表面に接する。そうすると光エネルギー(hν)の力によってエネルギー準位を上げる。エネルギー準位を上げた水分子は、自己分裂してH+とOH-になる。このH+が電子伝達系の起動力となっていく、という構図である。

これは水の電気分解とはかなり異なる景色である。

それを最初に言ってくれれば、いままでの苦労はしなくて済んだものを。


この論文は、このあと光触媒の開発の話に移っていくので省略するが、正直な話、今のところそれほど大したものは出てきてないようだ。


光を吸収するとは?  というページからの抜書。

1.光の吸収 

光が物質と関わる第一段階は,物質が光を取り込む過程つまり光の吸収です。

物質はというエネルギーの塊である光(光量子)を吸収してエネルギー準位を上げます。質量を持たない光子はエネルギーを渡して消滅します。

「物質」と書いているが、図示されたものでは「電子」となっているから、電子が外側の軌道に移ることを指しているのだろうと思う。

物質がエネルギー的に取りうる状態のうち,エネルギー的に最低の状態を基底状態 ground state,それよりも高い状態を励起状態 excited stateといいます。

光吸収によって基底状態から励起状態に上がるとき,基底状態の電子が1個励起状態に上がります。電子はエネルギー的に不連続な状態間を,いわば川を飛び越えるように飛び上がるのです。これを遷移といいます。

プロトン

以下は「光電効果」の説明が続くが略(さっぱりわからない)

2. プロトンの形成

何か分からないなりに、光エネルギーが水分子を分解し、水素を取り出し、その水素を励起状態に置くという過程は見えてきた。

励起というのは電子軌道を一つ外側に遷移させるということらしい。

この励起された水素原子というのが、プロトン(H+)とどう違うのかがわからない。別にプロトンという言葉を使わなくても良いのだが、「それはプロトンとどう違うのですか」と聞かれると、言葉に詰まってしまう。

ただ、水素分子というのは陽子1個に電子1個の構造だから、励起されたら、もう一つ上の電子軌道などないはずだ。何処かにすっ飛んでいってしまうに違いない。

だから「結果としては水素の励起は裸の陽子(プロトン)の生成につながるのではないか」と、とりあえずは考えておく。

そこでまずはプロトンのお勉強。

ウィキペディアを見るといきなり困ってしまう。

物理学においてはハドロンの一種である陽子のことを指す。

化学においては水素イオン、特に軽水素の陽イオン(陽子に同じ)を指す。

要するに陽イオンのことで、陽子と同じらしいが、ハドロンてなんだ、軽水素ってなんだ? そもそも陽子がなぜ陽イオンなんだ。

ウィキにはこれしか書いてない。

プロトンってなに?-NPO法人プロトン医学研究所

というページが分りやすい。最終的には我が田に水を引く文章なので何処まで信じて良いものやら判断しかねるが、それは後から訂正していけば良い。

水分子が解離したOH-とH+に共通して存在する“ H+ ”の水素原子を「プロトン」とよんでいます。
プロトンは、この世の最初の物質(原子番号1)です。「プロトン」はギリシャ語で最初のものという意味で、あらゆる物質はプロトンを出発点として誕生しています。

ということで、とてもわかり易い。プロトンは物理学的には原子核が陽子1個でできている元素(すなわち水素)だということになるし、化学的には陽性荷電した(電子を失った)水素原子ということになる。

水分子がエネルギー反応によって素粒子化する現象を「解離」と言います。

宇宙誕生の137億年前、水分子はビッグバンのエネルギーを受け継いだ爆鳴気反応によって生成されました。
この時、電子放電を受けた水素原子は、プラスの電荷を持って水素イオン(H+)となり、マイナスの電荷を持った水酸基(OH-)とともに、電子(e-)を伴って放出され液体となりました。
その結果、水素原子は電子雲に囲まれてプロトン&電子(H++e-)となり、溶液中において物質性を失い反応性の高いエネルギー体になったと考えられます。

ということで、爆鳴気反応とか電子雲とか良く分からないが、なにか魅惑的な雰囲気。

水の構造

この絵は右端がよく分からないが、エネルギー次第でOH+Hになったり、O+H+Hになったりするのかもしれない。

水の諸相

この図はもっと分からない。

右側の四角で、水は温度によって個体・液体・気体になるが、エネルギー負荷の多少によって分子相・原子相・イオン相・素粒子相に構造を変えるということか。

以下がその説明。

「特殊な電場」として、高エネルギーを負荷された時空を考えてみましょう。
そこにおける水は、化学的な影響よりも電気化学的な影響を強く受けるようになります。
水素イオンであるプロトン(H+)は、電子雲に囲まれて独特な振る舞い見せるようになります。

これが図1の右端の二つの場合(特に下の場合)なのだろう。


ここからあとは「プロトン水」の宣伝になっていく。

なお、水を溶質と溶媒に分ける考えは、おそらく著者独自のものだろう。


それにしてもまだ分からないところがある。水にエネルギーを与えて酸素と水素に分ける、というのが光合成の第一段階の基本だ。

我々は中学の理科の実験で水の電気分解を習った。相当の電圧だったように覚えている。手を漬ければビリっとするくらいの圧だ。

それと同じ原理で光エネルギーを使って水を分解しようというのだが、光子のエネルギーというのは何ほどのものなのか。

ブクブクと湧いてくる酸素を象のおならとしたら、蚊のおならほどもないのではないかという疑問。

もう一つは、電気分解には必ず触媒が必要なのだが、光エネルギーによる水素の発生には触媒はいらないのか、というのも気になる。

結局、光エネルギーの吸収からH+の発生までの道はほとんど究明が進んでいないことになる。

光を吸収するとは?  というページからの抜書。

1.光の吸収 

光が物質と関わる第一段階は,物質が光を取り込む過程つまり光の吸収です。

物質はというエネルギーの塊である光(光量子)を吸収してエネルギー準位を上げます。質量を持たない光子はエネルギーを渡して消滅します。

「物質」と書いているが、図示されたものでは「電子」となっているから、電子が外側の軌道に移ることを指しているのだろうと思う。

物質がエネルギー的に取りうる状態のうち,エネルギー的に最低の状態を基底状態 ground state,それよりも高い状態を励起状態 excited stateといいます。

光吸収によって基底状態から励起状態に上がるとき,基底状態の電子が1個励起状態に上がります。電子はエネルギー的に不連続な状態間を,いわば川を飛び越えるように飛び上がるのです。これを遷移といいます。

プロトン

以下は「光電効果」の説明が続くが略(さっぱりわからない)

2. プロトンの形成

何か分からないなりに、光エネルギーが水分子を分解し、水素を取り出し、その水素を励起状態に置くという過程は見えてきた。

励起というのは電子軌道を一つ外側に遷移させるということらしい。

この励起された水素原子というのが、プロトンとどう違うのかがわからない。別にプロトンという言葉を使わなくても良いのだが、「それはプロトンとどう違うのですか」と聞かれると、言葉に詰まってしまう。

そこでまずはプロトンのお勉強。

ウィキペディアを見るといきなり困ってしまう。

物理学においてはハドロンの一種である陽子のことを指す。

化学においては水素イオン、特に軽水素の陽イオン(陽子に同じ)を指す。

要するに陽イオンのことで、陽子と同じらしいが、ハドロンてなんだ、軽水素ってなんだ? そもそも陽子がなぜ陽イオンなんだ。

ウィキにはこれしか書いてない。

物質の科学・反応と物性 土屋荘次・平川暁子

放送大学の講義録のようである。

この中の第14章 エネルギー変換の化学 4. 光エネルギーの変換

というところで光合成について触れられている。

●光合成

ここで話題を「光→化学エネルギー変換」に切り替え,植物の行っている光合成を化学の目で眺める.とくに,光合成プロセスが太陽光エネルギーをどのような効率で物質の化学エネルギーに変換しているかの理解を目指す.

●光合成の基礎反応

光は,波の性質とともに,粒子の性質(光電効果・コンプトン散乱など)ももつ.

「光化学反応」は,もっぱらエネルギー粒子としての光(光子=フォトン)が引き起こす.

1.クロロフィルによる光吸収

光合成では,太陽光をまずクロロフィルという色素分子が吸収する.

光が吸収されると、1個の光子が消え,1個の電子がエネルギーの高い状態(励起状態)に引き上げられる.

何か、鳩が飛び出すマジックを見せられたようで、説明にもなんにもなっていないが、単純なのが何よりもよい。

2.電子授受の開始

このことから二つの状況が導き出される。

引き上げられた電子は不安定で他の物質に移りやすくなる。電子が抜けたあとの抜け穴も不安定で、他の物質から電子が移りやすくなる。

これにより物質間の電子の授受のサイクルが始まる。

話はこれだけである。

園池さんの話が何故分かりにくいのか。それは初期過程(明反応)の話がほとんどされないまま、暗反応の話が微細に展開されるからである。
素人はまず以て光エネルギーが電子エネルギーに変換される仕組みを知りたいのである。暗反応については、我々に馴染みの深い解糖系(クレブス回路)の逆進行と考えておけば、とりあえず感じはつかめる。
仕方がないので、以前書いた (2015年05月15日)をもう一度引っ張り出すことにする。一部はその前日の記事 から持ってきたものである。どちらも基本的な出処はウィキペディアである。









光合成の仕組み

いよいよ、ということになるのだが、ご本人がおっしゃるとおり、“「さわり」を少しだけ”で、肝心なところはモザイクとボカシがバッチリでなんにも見えない。その割にはビラビラの小物が満載でイライラさせることうけあいである。

光合成の仕組み1:二酸化炭素を糖やデンプン(有機物)に変える

ということで、まず第二段階(炭酸固定反応)の説明から入る。いわゆる「暗反応」だ。

この説明が業界用語のオンパレードで、外国語を聞いているようだ。

1.PGAの作成

炭酸ガスを取り込んだあと、これをPGAという形で固定するのが第一段階のようです。

このPGAというのは、葉緑体が持っているRuBPという「担体」に炭酸ガスが吸着されてできるようだ。

2.トリオースリン酸の作成

PGAは何かしらの過程を経てトリオースリン酸という物質に変化する。これがどんなものかは説明はない。

3.NADPHとATP

それでトリオースリン酸の話は突然終わり、炭酸ガスの炭素についているO2を外してH20に置換する話になる。

炭素1個あたりでは、二酸化炭素から酸素を1個はずして、水素を2個くっつけると炭水化物になることになります。

まぁたしかにそういう計算だ。

この作業を担当するのがNADPHで、NADPHにエネルギーを与えて回転させるのがATPだという話になる。

ただ率直に言わせてもらえば、これはエネルギー伝達系の話で、“二酸化炭素から酸素を1個はずして、水素を2個くっつける”現場の話ではない。

そんなことで二酸化炭素を糖やデンプン(有機物)に変えることなんぞできやしないのである。

ということで、以上の説明は「おさわり」どころか「のぞき」にもなっていない。「入場料返せ!」の世界である。

光合成の仕組み2:光エネルギーの吸収と変換

しかし、まぁそちらはどうでも良い世界である。

光合成の話は光エネルギーを電気エネルギーに変換して、水素の発生という形でエネルギーにするところにあるのだから、そちらがはっきりすれば、あとはどう保存するかという話である。

1.光合成色素による光エネルギーの受け止め

光エネルギーを使うためには、まず光を吸収しなくてはなりません。それを行なうのが、光合成色素です。

その代表が葉緑素(クロロフィル)ということになる。

うん、よしよし、それで…

クロロフィルがたくさん集まってタンパク質に結合し、光を集めるアンテナを形成しています。

うん、そうだ。それで…

アンテナのどれかの色素分子が光を吸収すると、色素は励起されます。励起された色素は隣の色素にエネルギーを渡します。こうして最終的に反応中心 という特別の光合成色素にエネルギーが渡ると、そこで、酸化還元の反応が起こります。

えーと、どっちなの。酸化なの還元なの? まぁとにかく電子伝達系スイッチが入るんだ。

2.2種類の「反応中心」

高等植物では、この反応中心には二種類あり、それぞれ光化学系Ⅰ、光化学系Ⅱと呼ばれています。

前に聞いた話とはちょっと違うけど、とりあえずもう少し話を聞いてみよう。

始まりは、水が酸化されて電子を放出して酸素になる反応です。

ずいぶん荒っぽい言い方だが、二つのH2Oが壊れてO2ができるとき、4つの荷電されたHが生成されることを言うのだろう。

放出された電子は、光化学系Ⅱを通り、次にシトクロムb/f複合体という酸化還元成分を通り、さらに光化学系Ⅰを通って、最終的にNADP+という物質に渡されてNADPHが生成します。

これもずいぶんひどい言い方だ。

とりあえず、それで良いことにして電子の最終受け取り手はNADPHだというところに進もう。

光合成の仕組み3:ATPの合成

つまり、これまでのところせっせと書き込んできたのはNADPHが水素イオンを抱いて炭化水素の生成回路に入り、炭酸ガスから酸素を飛ばして水素を押し付けるということだ。

そしてNADPHが光エネルギーを源とし、ややこしい電子伝達系回路を経由して最終産物となることが、遡って説明される。

このパート3では、このNADPHを炭酸ガスにくっつけて水素イオンを伝達するためのエネルギーがATPと呼ばれ、これも光エネルギーを源としているということだ。


これで「光合成の仕組み」の話はおしまい。光合成の仕組みについてはほとんど書かれておらず、ひたすらカルビン回路の説明ばかりだ。カルビン回路について知りたければもっとまともな説明がたくさんある。電子伝達系の説明も恐ろしく下手くそだ。

私も医者の端くれとして、NADP→NADPHとADP→ATPの共役とか、プロトンポンプの話は一応は聞きかじっているが、これほど的外れの説明は見たことがない。


読んで損したというのが第一印象だ。

「端折って書いたので分かりにくいかもしれないが、もっと詳しく書いたものがあるのでそちらを見て欲しい」と書いているが、絶対に見ないぞ。



その前に、前項のまとめをしておく。

1.光合成の概念

ここではまだ光合成の仕組みはわからない。概念だけ教えてもらった。

それによると、光合成は二つの装置を通じて行われる。それは今のところブラックボックスだ。入っていくものは光エネルギーであり、出てくるものは炭水化物(炭素と水素の結合したもの)だ。

第一の装置はさらに二つの仕掛けからなっている。A段階では光エネルギーが電子エネルギー、すなわち電流に変えられる。B段階ではこの電流により水が電気分解され酸素と水素に変えられる。

酸素は放出され、荷電した水素がエネルギーとして第二装置に送り込まれる。

第二段階では空中から取り込まれた二酸化炭素が原料として用いられる。水素は二酸化炭素から酸素を取り外す還元力として働き、みずから炭素と結合して炭化水素(有機物)を形成する。

2.工学的発想から見た光合成

自然界では炭素は水素よりはるかに酸素との親和性が高いから、酸素があれば水素を離して酸素と結合する。この時引き離された水素からエネルギーが発生する。

いわば炭化水素は水素エネルギーの貯蔵形態の一つだということになる。

この過程については水素発電の原理と同じだから馴染み深い。

つまり光合成はエネルギーを持つ水素を単離したことで、基本的な任務を完了しているのだ。

なんとなれば、その水素を液体化してボンベに詰めて輸送してやれば済むことなのだ。

ただし自然界にはそのような装置はないから、常温・常圧でそのエネルギーを保存する方法を見つける必要がある。そして生物はその方法を見つけたのだ。それが「水素を炭化させる」という方法であり、それを可能にしたのが自然界に大量に存在する炭酸ガスという物質だったのだ。

3.光エネルギーの水素エネルギーへの転化

とすれば、光合成の本質は第1段階にある。第二段階は蓄電装置でしかない。

これについては、太陽光発電などの再生エネルギーと比較しながら検討していくのが分かりやすいだろう。

ということで、次の講義へ進むことにする。

以前、光化学系Ⅰの勉強をしたが、ちんぷんかんぷんだった。
それが何故か、いくらかのアクセスを頂いているので、やはりもう少し本格的に勉強しなければだめだなと思っていた。
なにせ、目の疲れが激しくて一冊の本がまともに読めない。
何かネットで読める文献がないかなと探しているうちに、このサイトに当たった。
早稲田の先生で園池公毅さんという方の浩瀚な文章だ。
それでは「光合成の森」に分け入るとするか。

光合成とは?

小中学校レベル:  光合成とは「植物が光によってデンプンなどを作る働き」である
高校レベル: 光合成とは「植物が光によって水を分解して酸素を発生し、二酸化炭素を有機物に固定する反応」である。
つまり、「光が電気になり水を電気分解する過程」と、「二酸化炭素を還元して炭素を有機物として固定する過程」の二つの過程の複合として理解することになる。
これで話は一気に難しくなる。なぜそうなのかが全く述べられていないからだ。大学受験のときは、仕方がないから「そういうものだ」と割り切って、暗記するしかない。
大学レベル: 光合成とは「光によって環境中の物質から還元力を取り出し、その還元力とエネルギーによって二酸化炭素を有機物に固定する反応」である。
1.高校レベルの理解ができないうちに、話はもう一段飛んでしまう。これで大抵の人は学習障害をきたし、逃げ出してしまうだろう。
肝心なことは、光合成が二つの段階から構成されていることを認識し続けることだ。
問題が東京・名古屋間で起きているのか名古屋・大阪間で起きているのかを把握することだ。
2.新たに出た話は光合成細菌の話で、「硫化水素H2Sを分解して硫黄Sを作ります」というのは東名間の話だ。そして東名間を東海道線ばかりでなく中央本線で行く方法もあるということだ。
3.そして名古屋駅で一旦乗り換えるとき、駅員に渡すのが酸素であったり、硫黄であったりするのだが、残された半券はH2という共通券だ。

「その還元力とエネルギーによって二酸化炭素を有機物に固定する反応」という言い方は不正確だ。
H2と言うのはまずもってエネルギーだ。そのエネルギーで二酸化炭素を還元し、よってもって炭素と水素の化合物を生成することだ。

この説明でよくわからないことがある。それは酸素の出処だ。水を電気分解しても酸素が生じる。さらに二酸化炭素から酸素を追い出し、そこに水素がくっつくときにもフリーの酸素が生成されることになる。
しかるに「高校レベル」の認識では後半の過程についての説明がない。実際には酸素は生じないのだろうか。炭素から切り離された酸素はどこへ行くのだろうか。
大学院レベル: 「光合成とは、光のエネルギーによって環境中から還元力を取り出し、その還元力とエネルギーを用いて行なう代謝系を全て含む反応」である
線路の話を続けるとわかりやすい。
「名古屋から先もいろんな行き方があるよ」ということだ。東海道線、関西本線、近鉄を使ってもよい。さらに言えば行く先は大阪だけではないということになる。
ただしこの定義には抵抗がある。やはり大阪行きだけを光合成と定義すべきではないだろうか。窒素固定などは、大阪から福岡へ行く話として論じるべきだと思う。
定義には実体論的定義と目的論的定義がある。形態的多様性を前提とする定義の場合は、目的論的な一致が定義の中核をなすことになる。
形態もバラバラなら、目的もバラバラというのでは、そもそも「定義」にならず、「開かれたままの定義」になってしまう。これでは論理が崩壊する。

光合成の仕組み
これについては稿を改める。


仲田崇志さんの生物の起源という解説を読ませてもらい、疑問のかなりが氷解した。最終更新が2016年12月29日であり、まさにアップトゥーデートである。

解説書にありがちな決めつけがなく、さまざまな主張を過不足なく紹介した上で、自分の見解をしっかり出してくれるので、大変読みやすい。(中身そのものは決して読みやすくはないが)

「アミノ酸…外来天体由来」というのが腑に落ちなかったのが、「アミノ酸がすべてじゃないよ、むしろそこから先が問題だよ」、ということでヌクレオチド、リン脂質、多糖類などのコンポーネントについてそれぞれ検討していく。

それにつれて、問題が「どうやってできたか」なのであって、どこから来たにせよその問題は避けられない、ということがあらためて実感される。

それにしてもアミノ酸から始まって生命に至る過程と、LUCAのあいだになお深い断絶があるのだ。

そしてLUCAに比肩する、あるいは先行する中間生物があって、天変地異の中でLUCAだけが生き延びてきたのだと思わずにはいられない。(ウィルスを除いて)

「一粒の麦もし死なずんば」の世界である。

笹子トンネル事故は接触事故による天井板損傷

の記事について西山豊さんから直接コメントをいただきました。私の非礼な「ゲスの勘ぐり」に対して、あらためてお詫びを申し上げるとともに、「公開された資料だけを頼りに、1年余りかけた熟考」の努力に心から敬意を払いたいと思います。

さて西山さんから紹介されたページに早速行ってみました。

ウィキペディアに浩瀚な総説が掲載されていることには驚きました。時代は進んでいるのですね。流石にいささか持て余しています。

また西山さんの原著にも接する機会を得ました。

多分、笹子トンネル崩落の新事実 (2) ―車両の接触事故が引き金か というレビューが元ネタかと思われます。アップロードの日付は2016年12月25日となっています。

詳しくはそちらを直接お読みいただければと思いますが、「公開された資料」についてだけ紹介させていただきます。

これは「国土交通省のトンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会」(事故調)の資料集の査読により発見されたとのことです。

この資料集の194~195ページに、「車両の接触等による天井板の損傷」という項目があるそうです。これは「中日本高速道路(株)報告資料」というレポートを転載したもののようです。

その要旨は以下のごとく紹介されています。

中日本高速道路会社が同社道路管制センター職員等に聞き取り調査をしたところでは、落下事故時に、天井板の損傷の直接的な原因となる事象(車両の天井板への接触等)は確認されていない。

過去には、①、②、③の天井板への車両の接触事故が確認されている…

ということで、それらの事故が紹介されているようです。

この「資料集」がリンクされているので、辿ってみました。

この資料は国土交通省のサイトの

ホーム >> 政策・仕事  >> 道路  >>  中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故関連情報  >> トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会  >> 資料集

というところに格納されています。

全体の構造はこうなっています。

表紙・目次

・1. 事故概要と調査・検討委員会の設置等の対応経緯

・2. 笹子トンネルの基本諸元・設計・施工・維持管理状況について

・3. 調査・試験結果

この中の第3章第2節 事故区間の観察 というのが164~196ページにわたり記載されており、その中の第7項 車両の接触等による天井板の損傷(中日本高速道路(株)報告資料) というのがこれに当たるようです。

該当ページには事故の態様、損傷程度、点検作業などが表示されており、自動車の写真も掲載されていました。

以上のことから、事故調はこれらの接触事件を認識はしていた ことがわかりました。

ただ、今回の事故に結びつく可能性については検討していなかった 可能性があります。

そうすると、論点は天井板への横方向の外力が天頂部接着系ボルトにどのような影響を与えうるか に絞られてくるわけです。

事故調は「影響は無視しうる」と判断したから無視したのでしょうが、はたして無視しうるのか、ここが事実上の争点になってくるようです。

赤旗としては、この所を事故調の委員に問いただすなどの「裏とり作業」が必要になるでしょう。

それにしてもよく見つけ出したものだと思います。西山さんをはじめとする会の皆様のご奮闘に心から敬意を払いたいと思います。

笹子トンネル事故からもう4年を経過したのだ。ずっと気にはなっていたのだが、何か事故原因がスッキリせぬまま時間が過ぎ去ってしまった。

やはり、アンカーボルト屋さんの「絶対に抜けない」という、必死とも思える訴えがどうしても耳に残ってしまうのである。

たしかに国土交通省の引抜き試験でも、工法そのものに「強度に問題はない」と結論付けられている。ということで、なんとなく迷宮入りしてしまった感がある。

7日の赤旗一面トップはその原因に関する記事。「おぉ、そうだったのか」と思わず膝を打ってしまう。名探偵ポアロの出現だ。

以下記事の概要を紹介する。

まず見出しを並べておく。

笹子トンネル天井板 トラック接触 事故前に2回

中日本高速 対応せず 崩落誘発か

技術者・学者グループが調査

この関連記事が15面にあって、こちらの見出しは

点検 12年の空白

中日本高速 笹子トンネル 天井板上部

見逃し、撤去引き伸ばし

ということで、だいたい見出しだけ見れば中身がわかるくらいしつこい。

結局、見出しのほとんどは調査グループの報告の要点であるから、まずはこの調査グループについて紹介しよう。

グループの名称は「笹子トンネルの真相を探る会」。詳細は不明だが、技術者や大学教授らで形成され、代表は大阪経済大学の西山豊教授。

会の趣旨は、事故の原因究明と、関係者の刑事告発をすすめること、いわゆる「中立機関」ではなく、行政から独立したものである。

当然、会社側の協力を得られる可能性はなく、公表された資料の分析・検討で得られた結論ということになる。そのことはあらかじめ念頭に置いておいたほうが良い。

報告の中核的事実は、崩落事故以前に起きた3回の事故。中日本高速の作成した資料の中から探し出したものである。

トラックが接触して上りトンネルの天井板を損傷させた事故は明らかになっているもので3回あった。このうち2回は大事故であった。

1回目は2000年。この時の事故の詳細は不明。

2回めの事故が発生(発覚?)したのは05年9月。発生現場は目撃されていないが、4地点で計540メートにわたって接触痕が見つかっている。

3回めは08年6月。このときは高さ25センチ、オーバーのトラックが進入し、3キロにわたって天井板と接触したまま走行した。

とうことで、ちょっと信じられない事故だ。それが1度ならず3回も起きているということだから、高さ制限ゲートも設けていなかったとしか思えない。それ自体が刑事罰に相当する大問題だ。

以上が第一の核心的事実

次が事故後の対応だ。

そもそも天井板は吊り下げ強度を基準にして設計されているはずで、横からぶつけられることなど想定していないだろう。

アンカーボルトの吊り下げ強度は一気に低下する可能性がある。そんなことはサルでも分かる。

だから想定外の状況に対して、しっかりと点検しなければならないはずだ。

それで次の表が、会社側資料に基づく点検実績。

ごちゃごちゃとして分かりにくいが、要するに1回目の事故の後を除けば、何にもしていないのである。

点検

ただ私には、こういった点検が行われたかどうかという以前の、技術屋としてのイロハが欠如しているところが決定的な問題だと思う。

高さ制限の遵守、接触事故の予防策と対応策、横ずれ負荷による引っ張り強度減弱の可能性、これらは道路屋として最低限頭において置かなければならない話なのではないだろうか。

医者なら三度やったら間違いなくクビだ。こいつらは反省さえしていない。

以前、私はこう書いた。

手抜き工事も、点検の手抜きも明らかだ。しかし、それはそれとして、調査の核心は技術的な問題がなかったかどうかだ。いかにして落ちたのかを明らかにしないと、なぜ落ちたのかという理由は見えてこない

反省を込めて書き直す。

なぜ落ちたのかという理由 が明らかになれば、いかにして落ちたのか はどうでも良くなる。落ちるべくして落ちたのだ。

以上が第二の核心的事実

そして最後の核心的事実。

すなわち、接触事故で損傷した部分が落ちたのだ、ということ。

崩落部

まさに落ちるべくして落ちたのだということだ。


「西山豊」で検索したら下記のレビューにヒットした。

笹子トンネル事故を考える 科学者の社会的責任から

「日本の科学者」(むかし読者だったことがある。いまでも続いているんだ)の2013年7月号の記事である。

西山さんの肩書は数学者であり、こちら方面はシロウトである。しかしよく調べている。残念ながら、この時点では結論としては「施工ミスではなく設計ミスだ」というところに留まっている。

ゲスの勘ぐりだが、ひょっとすると内部、あるいは調査委員会筋からの情報提供があったのではないか。

2013年01月09日

2013年01月09日

2013年01月09日

2013年01月10日

2013年01月10日

2013年03月17日


追記 西山さんからコメントをいただきました。コメントに対するリプライを下記に掲載しました。

今はもう10時。そろそろまとめに入ろう。

46億年前、太陽とともに地球ができた。最初は火の玉で、とても生命が存在する余地はない。

しかし意外と生命が誕生するのは早い。40億年前には生命の3条件を満たす最初の生命体が誕生した可能性がある。

最初はほとんど酸素がなく、嫌気性代謝を営んでいた。

「共通の祖先」が古細胞と真性細菌に分かれたのは比較的早期とされる。いずれも嫌気性代謝である。

時代を画するものとしてシアノバクテリアが登場した。シアノバクテリアは原核生物でありながら葉緑体(チラコイド)を内包することに成功し、糖(炭化水素)を合成する光合成を営んだ。

シアノバクテリアが葉緑体そのものだという意見があるが、目下のところ承服し難い。葉緑体そのものが明反応装置(を持つ生命体)と暗反応装置(を持つ生命体)との合体であるとされ、さらなる検討が必要であろう。

そして現在の生物と共通するエムデン・マイヤーホフ型の解糖経路でエネルギーを産生した。

その起源は、化石の吟味次第で動揺するが、遅くとも30億年前には活発な活動を開始していた。

彼らは大陸の渚を取り巻くように生育し、地球の酸素量を一気に増やし炭酸ガスを減らした。それは他の生物を酸素毒により死に追いやり、地表の温度を低下させ、オゾンの生成により紫外線量を減らした。

さらに悪いことに、生成される酸素の受け手となっていた地上の還元鉄がほぼ完全に酸化され、酸素の受け手がなくなってしまった。

このままではシアノバクテリアを含めた地球上の生命が死滅するかと思われたとき、真核生物が登場した。20億年前のことである。

真核生物の最大の意義は細胞内のコンパートメント化である。これにより細胞内での他生命との共生が可能となり、みずからをサイボーグ化することに成功した。

最小限確実な異種生命はミトコンドリアと葉緑体であり、ほかについてはさらなる検討が必要であろう。

もっとも重要なことはミトコンドリアの導入であり、これにより極めて効率の良い内燃機関を手に入れたことである。

真核生物はシアノバクテリアの作り出す酸素を利用しエネルギーを産生し、炭酸ガスを排出するようになった。

この結果地球上における酸素と炭酸ガスの動的平衡が保たれるようになり、安定した生物環境が創出された。

真核生物は古細胞から分化発展したとされる。これはRNA解析によるものであり、説得力のある見解ではあるが、他の研究方法によって追認・確立されたとは言い切れない。

その後真核生物のあるもの(植物)はみずから葉緑体のコンパートメント化に成功し、みずから光合成を行うようになった。

そうすると再び酸素の過負荷状態が出現することになるが、そのときにひたすら酸素を消費し炭酸ガスを排出するだけの存在、動物が一気に繁殖することになる。

最近の環境論者の意見に引きずられて、つい酸素=善、炭酸ガス=悪との見解を抱きがちであるが、生命史的にはむしろ逆の見方のほうが適切かもしれない。

動物は酸素を減少させ、炭酸ガスを生成する点において善である。しかも栄養的には植物に対して従属的であるから、動的バランスを越えて増えることはありえない。(はずである)

しかも自ら作った食物連鎖において個体数を自己調節している。実に可愛い存在である。

しかしこの自己調節過程は、人間という特殊な動物の出現によって崩れ始めている。

時々、世界大戦とか民族浄化とかいうナンセンスな集団的自殺行為を繰り返すことによって人口を調節してはいるが、それでも有史以来の人口の増加は凄まじい。

さらに動的バランスを越えた炭酸ガスの異常産生は、もはや植物やシアノバクテリアの酸素産生能力をもってしても追いつかないほどのレベルに達している。

ただし、炭酸ガス産生の増加に比して炭酸ガス分圧の上昇が著名でないこと、酸素が明確な減少傾向にないことは、植物や地衣類の光合成も高まっていることを示唆している可能性がある。

以前、中国の農業問題を勉強したとき感じたのであるが、農業の生産性は生産刺激さえあれば幾何級数的に上昇する可能性があるのだ。そしてその可能性こそが農村の貧困をもたらしているのだ。

農村が苦慮しているのは干ばつよりも雑草であり、漁民が苦慮しているのは乱獲ではなく海水の富栄養化である。

藍藻なくして動物なし


前の記事で、(真核化とミトコンドリア取り込みの順は逆かもしれない)と書いたが、よく考えてみると逆だろう。

真核細胞したからこそ、安んじてミトコンドリアも葉緑体も迎え入れることができたのだろう。

そうでなければ、これらは異物として排撃されるか消化されるかしてしまっただろう。

生化学で見ればたしかにいろいろな代謝経路はあるだろうが、マクロに見れば細胞というのは外部のものを取り込み、消化し、異化していくことで生命を保っているのだから、免疫もへったくれもない。

さびれた田舎の村が観光で村おこしして賑わいを取り戻そうとすれば、まずはそれなりの受け入れ体制を作らなければならない。

それにはまずインフラだ。宿泊施設を作って、街の人が不愉快な思いをしないように安全な居場所を確保しなくてはいけない。

それにはリゾチームが襲わないような居住地区を確保する。同時に細胞質内に浮遊していた原核を核膜で包んで、変な外人テロリストに襲われないようにしなければならない。

庇を貸して母屋を取られては元も子もない。日本の田舎の人はみんな気がいいから、東京資本に全部乗っ取られてしまった。


それではシアノバクテリアの場合、細胞内小器官のような隔壁なしにいかにして葉緑体との合体が可能だったのか、いろいろな説があるようだが、一言で言えば奇跡としか言いようがないのだ。

40億年の間にただ一度の奇跡が起こったのだ、としておこう。

それに比べれば、真核生物の場合、葉緑体の受け入れは法則的だ。おそらくはミトコンドリアを受け入れたのと同じ方法で葉緑体を受け入れたのであろう。とすればこの2つの他にもいろいろな機能を持つ生命体を受け容れた可能性はある。

進化した生命体の細胞には実にさまざまな細胞内小器官がある。それらの多くがフリーエージェントで入団してきたとしても不思議ではない。

そういう発展の仕方もあるのである。

やっていてふと思いついたのだが、ミトコンドリアの導入に基づくTCA回路の獲得は、古細菌のシアノバクテリアへの逆襲ではないかということだ。
その昔、35億年くらい前のこと、真正細菌と古細菌は覇権を争っていた。
ところがある日、真正細菌は光合成装置を獲得した。
光によって炭酸ガスから炭水化物の合成に成功し、これを解糖することでエネルギーを獲得するという代謝経路が出来上がった。炭酸ガスは当時地球に溢れかえっていたから、増殖の資源は無尽蔵だ。これで一気に生物界の覇権を握る。
これに対し、メタン菌などの嫌気性代謝を営む古細菌は数の上で劣勢に追い込まれる。さらに酸素を嫌う古細菌は増え続ける酸素の中でバッタバッタと討ち死にしていった。(酸素が毒だというのは経験上からも分かる。むかし植物状態で人工呼吸していたヒトの病理解剖を行ったとき、脳がどろどろに溶けていた)
もはやこれまでかと思われたとき、思いもかけぬ救いの手が差し伸べられる。それがミトコンドリアだ。酸素利用型燃焼装置はエムデン・マイヤーホフ型装置に比べ10倍以上の効率を持っている。
燃料となる酸素はシアノバクテリアがバンバン作ってくれる。かつて古細菌にとって毒ガスだった酸素が救いの神になる。
古細菌と真正細菌とのこの新たな関係は、ある意味でウィン・ウィンのところがある。シアノバクテリアはエネルギーの獲得にあたって酸素を消費し炭酸ガスを産生する。しかし代謝にあたっては嫌気性代謝(ピルビン酸生成の直前に多少の酸素を消費する)のままである。好気性代謝を営む古細菌の登場は、炭酸ガス→酸素という一方通行に陥っていた真正細菌にとっても歓迎するところであった。
かくして酸素対二酸化炭素の動的バランスが成立し、ミトコンドリアを獲得した古細菌は真核生物へとモデルチェンジし、動植物界の祖先となっていく。(真核化とミトコンドリア取り込みの順は逆かもしれない)
という筋書きは成り立たないだろうか。
ただし、その後真核生物の一部は光合成装置を体内に取り込み、みずから光合成を営むようになった。この結果、真性細菌は生物界の主役を奪われ、辺縁的・寄生的存在に貶められていくことになる。

↑このページのトップヘ