鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

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1週間いない間に世界は動いていた。

ドイツ銀行の経営危機の報道は目を疑った。それとともにメディアがこの情報をほとんど扱わないことにも驚いた。

ドイツ銀行といえば、以前より素行不良の噂が後を絶たず、いつかは何かが起こるだろうとは思っていたが、まずは状況がよく飲み込めない。

BLOGOSに以下の記事があったので斜め読みしてみる。

My Big Apple NY2016年10月02日 

バロンズ:ドイツ銀行問題は、リーマン・ショックの再来か

という恐ろしい見出し

A) 事件の顛末

1.ドイツ銀行の株価と債券価格は前週に急落した。すでにヘッジファンドはデリバティブの担保として預けていた資産を引き揚げた。

2.急落の原因は、米司法省が住宅ローン担保証券をめぐり140億ドルの和解金支払いをもとめたことだ。

3.ドイツ政府はドイツ銀行を救済しないとの報道が飛び出し、事態は深刻化した。

4.9月30日、ドイツ銀行経営者はヘッジファンドの資金引き揚げを認めた。そのうえで、その懸念には正当性がないと非難した。

5.同じ日、米司法省が和解金を54億ドルへ引き下げ、両者が合意したと報道された。これに市場は反応し、株価と債券価格は値を戻した。

というのが顛末。

B) 事件の背景

しかしその背景を見ると、決してめでたしめでたしではない。

1.ドイツ銀行の時価総額は200億ドルたらずで、身売りが囁かれているツイッターをやや上回る程度だ。

2.ドイツ銀行は60兆ドルものデリバティブを抱える。金融危機が発生すればカウンターバーティーが契約を履行できない恐れがある。

3.簿価の大幅な欠損によって必要な増資が困難となり、バランスシートを支えられない。

4.ドイツ政府は財政健全化を訴えてきただけに、大手銀行の救済には及び腰となるだろう。

C) 事件の波及効果

記事はアメリカと世界金融への影響についても触れている。

1.ヘッジファンドの欧州銀行からの資金引き揚げは、LIBOR(ドル3ヵ月物ロンドン銀行間取引金利)を押し上げるだろう

2.LIBORは米国内のローンの基準金利となり、住宅ローン金利を規定している。住宅建設にブレーキをかけるには十分だ。

3.金融市場に緊張が走れば、FOMC(米連邦公開市場委員会)の利上げペースにもブレーキが掛かるだろう。

D) 事件の裏側

記事は、以上のような背景を踏まえ、司法省が和解金を割り引いたのではないかと見ている。

逆に、140億ドルというのはブラフだったとも考えられる。EUのグーグル提訴への対抗措置だったとの観測もある。

それがヘッジファンドの素早い動きを見て、急激に方針転換した可能性もある。その背景としてはアメリカ大統領選があり、トランプを利するような情勢激変を避けたいとの判断が働いたのかもしれない。

というのがこの記事の骨子。

国際商業会議所(ICC)の日本委員会というのがあって、そのサイトに「仲裁手続に関するQ&A」というページがある。

目次を見ただけでげんなりするほどの説明がある。

一応さらっていこう。

調停と仲裁の違い

調停は、紛争解決の内容を決定する主体が当事者である。通常は、調停がうまくいった後、「和解契約」となる。(調停人などの第三者の協力はある)

仲裁は、判断の主体が第三者である仲裁人(仲裁廷)である。当事者は、仲裁に合意した以上、仲裁判断の内容に拘束される。

仲裁判断に従わない場合、仲裁判断を根拠として強制執行を行なうことができる。

これらの国際法的根拠として、「仲裁判断の承認と執行に関する条約」(ニューヨーク条約)がある。

仲裁の主体

仲裁裁判所(Court of Arbitration)自身は仲裁を行なわない。実際に仲裁手続を主宰し、仲裁判断を行なうのは、仲裁廷(Arbitration Tribunal)である。

仲裁廷を構成する仲裁人の人数は、1人又は3人のいずれか。当事者の合意によって単独仲裁人が指名されることもあるが、普通はICC仲裁裁判所が仲裁人を選定する。

仲裁の申立ては仲裁裁判所事務局(Secretariat)に対して行われ、事務局が具体的な運営にあたる。

仲裁のための準拠法

仲裁廷が適当と認める法規を適用する。仲裁廷は当事者間の契約条項及び関連する取引慣行を考慮する。

仲裁手続については仲裁裁判所の「仲裁規則」に従う。

欠席審問も可能

審問の開催にあたり、適切な呼出しがされたにもかかわらず、正当な理由なく当事者が出席しない場合には、仲裁廷は審問を進める権限を有する。

ということで、とくに最後の「欠席審問も可能」というのは、それだけでは詳細不明だが、ちょっと怖い項目だ。


結局、国際仲裁機関に関する階級的視点を明らかにする文献は見当たらなかった。

国際化に伴う新たな紛争をどう解決していくのかは、たしかに重要かつ緊急な問題だ。

これに国際ルールを付与し、場合によっては強制力をもたせることもたしかに必要だ。

力と力のぶつかり合いでは戦争になってしまう。これを平和的に話し合いで解決していくことは必要だ。

しかし、しかしだ。

民間機関が国家権力を超えるような強制力を持つというのはちょっとおかしいのではないか。

しかも三つの仲裁機関はアメリカとイギリスとフランスが占有している。(シンガポールには出先機関があるようだが)

それらはアメリカ流、IMF・世銀流の商慣行を押し付けることになる恐れはないのか。

もっと言えば、それらの機関はアメリカの世界商取引に対する支配を後押しする機関として機能する危険性はないのか。

私は最低限それらが国連の統制下にある半公的な機関として位置づけられるべきではないかと考えるが、いかがであろうか。

赤旗経済面で気になる記事があった。

スズキとVWが提携を解消したというもの。

この2社は2009年に資本・業務提携に至った。環境性能に優れた小型車の開発を目指すものだった。

しかしこの連携は同床異夢というか、思惑がすれ違ったまま走ってしまったようだ。

おそらくVW側はスズキを傘下に収めることで軽自動車までふくめたラインナップを広げることが目的であり、スズキ側はエコカー技術の供与を期待していたようだ。

ただ提携の進行経過を見ると、どうもスズキはエコカー技術の供与を契約書で確認していなかったように見える。VW はスズキ株の20%を保有するという形で資本投下した。増資ではなく発行済み株式を2千億円以上で買い取り、筆頭株主となっている。

しかしスズキの欲したのは2千億の資金ではなくエコカー技術だった。多分ここからすれ違いが始まっていくのだろう。規模の違う企業の提携では強者の意向が反映されるからしかたがない。

結局VWの技術をもらいそこねたスズキは、フィアットのディーゼルエンジンの調達に踏み切った。これを怒ったVWが国際仲裁裁判所に提訴した。

それで、国際仲裁裁判所が資本・業務提携の解消を認めたという経過になる。「結婚生活の継続は無理だ」と判断したわけだ。ただし、紛争の原因はスズキ側にあるということで、VW側の損害賠償請求を認めた。

そこで今回、スズキは提携解消と株式の買戻しを受け入れ、損害賠償については引き続き争うという姿勢を示した。

多分スズキ側にも言い分はあると思うが、口約束や雰囲気で契約書にサインした責任は負わざるをえないわけで、経営者のなんらかのトップの責任は免れ得ないだろう。

どうも東芝と言い日本企業は契約に関して脇が甘いように思えてならない。契約の中核部分は法律事務所任せにせず、こちらの意思をしっかり押し出すべきで、そこが確約が取れないなら契約は諦めるべきだ。それがガバナンスというものだろう。


というのがコトの顛末で(正しいかどうか分からないが)それはそれである。

しかし私が注目したのは、「国際仲裁裁判所」という機構である。

“ひとくちメモ”みたいな形で説明が載っている。なんとこれは民間機関なのだそうだ。

1.複数の国にまたがる企業などの紛争を解決することを目的にする。

2.この民間機関は紛争を審議し「仲裁判断」を出す。これは確定判決と同様の効力を持ち加盟国に強制執行される。

3.その権威は国家間の「ニューヨーク条約」に基づいており、加盟国は「仲裁判断」に基づく強制執行を甘受しなければならない。

4.国際仲裁裁判所にはパリ国際商業会議所(ICC)付属のもの、米国仲裁協会(AAA)、ロンドン国際仲裁裁判所などがある。

ということなので、要するにヤクザ組織の“仕切り役”みたいなものだ。そんなものが超国家権力を握っていることになる。

なかなか恐ろしい時代になっているのだということを初めて知った。

いずれにしても、ひとくちメモでは不足だ。もう少し勉強して置かなければならない。

リーマン・ショックから5年

―世界の証券市場は量的にどう変化したか

平成25 年9 月10 日

杉田浩治

(日本証券経済研究所)

という報告が読める。

これで市場の反応がだいたい分かった。この間のMITIのレポートで実体経済の方も見ることが出来た。

後は中銀と金融機関の動き、財政の変動だが、もうひと頑張りかな。

欧州危機の時はニュースだけ追いかけてたが、それでは何が起きているのか分からない。サミットである対策が議題になったから、そこに問題があるのだなということはわかるが、それがどう問題なのか、なぜ問題なのかは分からない。

リーマン・ショックは終わっていない。形を変えて広がっているという予感がある。そこを情緒的にではなく、二次処理されていないマクロの数字で明らかにする必要があると思う。

そしてそれを貨幣資本、利子生み資本の論理のなかに定位させて、初めて作業が終わるのだろうと思う。


07 年末を起点として12 年末に至る5 年間について、世界証券市場の変化を量的側面から概観した。

1.株式縮小、債券・デリバティブ拡大―証券別の市場規模の変化

証券市場推移

1.株式の時価総額

株式の時価総額は08年のショックで46%縮小した。一時回復の兆しを示したが、欧州危機等により再び縮小。12年末時点でも07年比82%である。

株式市場の取引規模は債券市場との比較で82%から55%に低下した。

株式の売買金額は08年の108兆ドルから12年の50兆ドルに半減した。

株式市場では、発信地であった米国がシェアを拡大し、欧州の地位低下が目立った。新興国時価総額の長期的シェアは09年をピークとし、その後下がり続けている。

2.債券発行残高

債券発行残高は23%増大した。政府債のシェアが11ポイント上昇し、債券の半分を占めるようになった。逆に金融機関債は10%以上減少している。

債券発行が増えているのは新興国であり。先進国は17%増にとどまっている。ただし新興国は元々の発行高が少ない。先進国でありながら58%も増加した日本は特異である。

3.デリバティブ市場

デリバティブ市場はヘッジ需要の高まりから56%拡大し、時価評価額25兆ドルに達した。ただし、123%増となった08年末より伸び幅は縮小している。

(想定元本残高では633兆ドル=6京円に達しているというが、「想定元本」は説明を読んでも理解不能)

08年に急増したCDSの時価評価額は6分の1に急減したが、これに代わり金利関連の比率が高まり76%に達している。

(CDSはクレジット・デフォルト・スワップの略で、元は債務不履行リスクに対する“保険もどき”だが、証券化され売買されている。債務危機になれば価格は急上昇する)

4.投資信託

投資信託は証券への間接投資手段であり、個人投資家の投資意欲を反映する。その残高は08年に72%まで急減したが、その後回復し、リーマンショック以前の26兆ドル水準を取り戻している。

とりわけ債券ファンドが急増している。株式ファンドが48%から40%(11兆ドル)に縮小し、債券ファンドが16%から26%へ拡大した。

株式ファンドの減少1.7兆ドルの殆どは資産時価の変動によるものである。つまり投資家がすったことになる。

一方、債券ファンドは金利低下により債券価格(割引債)上昇の恩恵をこうむった。

5.実体経済に対するマネー資本の肥大化は一段落

世界の資本市場規模は260兆ドル。その世界GDP に対する比率は、07 年末の440%から11 年末に369%へ低下した。

(世界資本市場はIMFの提唱するカテゴリーで、株式時価総額・債券発行残高・商業銀行資産額を足したもの。商業銀行資産には商業銀行が保有する債券・株式も含まれるため、過大評価の可能性がある)

6.これらの傾向は13年に入ってから様変わりしている

株式市場の時価総額、取引金額はともに上昇している。投資信託も増加に向かっている。

グローバル戦略研究所の小手川さんという方が

現在の経済危機について(2):リーマンショック後の世界的な経済危機発生の原因」という文章を書いている。(2012.01.25)

レポートというより読み物的なものだが、現場の当事者としての感想もふくまれていて面白い。

ちょっと抜書きしておく。

リーマンショックが世界経済恐慌をもたらした原因は…詳細な検討は全く行われていません。

(小手川さんとしては)、グラススティーガル法を廃止した当時のサマーズ財務長官、長期間金融緩和を続けたグリーンスパン連銀総裁の2人をA級戦犯と断じています。

その上で、リーマンショックが世界経済危機にまで発展した理由として、二つを上げている。

まず、リーマンの引受先としてバークレイズを指名したことだ。「リーマンの最大の株主であり、リーマンが破綻すると最大の損失を蒙る」からだ。

ところが本件を監督する英国の金融庁が拒否した。その先にはダーリング蔵相がいた。この辺はポールソン元財務相の回顧録の受け売りのようだ。

その上で小手川さんは英国の立場に立つ。

冷静に見れば、米国市場において間違いを犯したリーマンを、英国の会社であり規模的にもずっと小さいバークレイズが買収し、その結果破綻する場合には結局英国の納税者の税金で対応せざるを得ない。

ということで、米国側の根回し不足が理由の一つ。

もう一つが、いささか自慢話になるが、

1997年に、私が担当課長として山一證券の自主廃業を行った際に、我が国政府は11月22日から24日の3連休を利用して、山一證券の全ての海外取引を週末のうちに解消した上で山一の清算をしました。

リーマンは膨大な規模の国際取引を解消することなく破綻しました。このため、その影響は全世界に及び、世界恐慌を発生させてしまったのです。

ということで、結局ここに話しが落ち着く。若干、「竜頭蛇尾」の「我田引水」だな。

わかりやすく解説してくれている文章を見つけた。紹介しながらケチを付けるみたいだが、分かりやすいというのは若干バイアスが入るということなので、そのつもりで読むと良いと思う。


 リーマン・ショック後の世界金融市場と日本経済の未来

慶応義塾大学准教授 小幡 績

1.持続不可能な金融市場

金融市場の構造は大きく変わった。金融市場への資本流入の継続的拡大により金融商品の価格上昇トレンドを作り、それにより投資家が利益を上げるというスキームは不可能になった。

(金融市場は)新規の資本流入がなくなった代わりに、中央銀行からの資金供給を増加させることにより、価格上昇トレンドの維持を図ろうとしている。

普通に考えれば、それは維持可能なはずがない。中央銀行は自らの存在意義が危うくなってしまうからだ。

2.欧米金融資本対新興国産業資本

成熟国の金融資本が資金を引き揚げようとするスピードと、新興国の実体経済の成長から生まれたマネー資本が流入してくるスピードと、どちらが速いかが世界金融市場の未来を決めるだろう。

3.世界的低金利による市場崩壊

世界的な低金利が実現している。これは金融緩和政策を限界まで行った結果である。

すべてのリスク資産市場の急騰は、この金融政策の効果であった。急騰すれば高値感が出る。その結果、下落リスクに対して逃げ腰の投資家が多数を占めるようになった。

金利水準はゼロとなり、中央銀行はさらに量的緩和にまで踏み込むこととなり、それ以上の打つ手はなくなった。残されたのは下振れリスクのみである。

何かあれば皆が売りに回り、市場は一気に暴落するという条件がそろってしまった。

4.日本経済の未来

5.金融の本質とは何か

リーマン・ショックとは世界的な金融市場バブルの崩壊であり、とりわけリスクテイクバブルの崩壊である。

リスクテイクバブルをもたらす様々な仕掛けを生み出したのが、当時の金融イノベーションであった。

金融イノベーションは、リスク資産にリスク分散の機会や流動性を与え、投資を金融商品化し、投資資金の流入を拡大させた。

金融というのは本来、実体経済の補助として生まれたものだ。大量生産を支える枠組みが企業という組織と金融という仕組だった。

その金融をさらに効率的にしたのが金融市場である。金融市場は、金融機能を商品化することで、小口化と売却可能性を付加して、参加するプレーヤーを増やした。

金融市場は本質的にバブルであり、存在そのものがレバレッジとなっている。したがって、金融市場が暴落すれば、逆の方向にレバレッジが効いて少数の取引価格を元に大暴落することとなる。

6.今回の金融バブルの特異性

リーマン・ショックと、20 世紀までの金融市場と何が違うのか。

どちらも本質的にはバブルであるが、今回のバブルはバブル以外の要素が含まれない純粋なバブルだった。

一定量以上の資本が特定の金融商品に集中すれば、それは自然とバブルとなる。

たとえばIT バブルは、世界中の資金と人材が投入され実現したテクノロジーのブレイクスルーでもあった。

しかしリーマン・ショックで生み出されたものは何もなかった。サブプライムローンで貧困層が自宅を購入できた、というのは大きな間違いだ。彼らの得たものは住宅ではなく借金であり自己破産の道だった。

テクノロジーの進歩も、新しい人的資本もビジネスモデルも蓄積されなかった。

7.現在の欧州危機は財政危機ではなく銀行危機

現在、欧州は財政危機が勃発し、世界全体の金融危機への不安が広がっている。

しかし、現在進行中の危機は国債のデフォルト懸念ではない。本質的には銀行破綻への懸念だ。

リーマン・ショック後も、金融機関の財務整理が進んでいないために、連鎖のリスクが高いままだということにある。

欧州金融機関はリーマンショックのあとアジアなどの新興国からの資金引き揚げをおこなった。新興国の通貨は下落し、ブラジル、韓国などが通貨防衛に走らざるを得なかった。

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(ヨーロッパ、特にイギリスの銀行の海外貸し出しが異常に多いのが分かる)

欧州金融当局も、銀行の資本増強をどう行うかに議論を集中している。しかし、最も重要な改革は実現されていない。

それは資金投入量を拡大して金融商品の価格を上昇させ続け、その中で利益を上げるというスキームからの離脱だ。

当局の規制、監視により、リスクテイクが抑制され、リスクの高い商品を高度に加工してリスクを低く見せる商品は下火になった。

リスクの低い国債への投資が行われているが、スキームは同様である。国債だからリスクは小さいと言う前提で、担保も投資先も国債でやって行くから、レバレッジがかかる。

その結果として国債のリスクが顕在化し、一気に崩壊へ向かう危険を内包している。この状況で、国債の暴落が始まったのが欧州の債務危機である。

8.新しい金融モデル

9.流動性の行方

リーマンショックの巨大さを知る

通商白書 2011年版から、実体経済に関わるグラフをいくつか転載する。

まずは主要国の政策金利の推移。

政策金利

ほとんどの国が公定歩合を0%近くにまで下げている。金利操作でやれることはなくなった。国家の経済調整機能は半分失われたことになる。それが現在まで続いている。あとは量的緩和で、「毒を以て毒を制する」しかない。

その「毒」のまわり具合を示すのが財政収支ということになる。

財政収支

ばらつきはあるのだが、平均で-4%から-10%まで悪化し、12年に至っても-7%にとどまっている。それが誰にしわ寄せされるかは別の話として、国家の懐は大打撃を受けたままにとどまっているということだ。

もしもう一度リーマン・ショックが襲えば、国家という国家は枕を並べて討ち死にすることになる。これだけははっきりしている。

下の2枚は鉱工業生産指数をリーマンショックの発生時を100としてプロットしたものである。上が先進国、下が新興国である。

鉱工業生産

鉱工業生産指数2

落ち込みの谷は半年後に来ており、先進国では平均して15%の落ち込み。問題はさらにそれが遷延化しており、2年を経過しても95%にとどまっていることである。新興国も中国を除けば同様の落ち込みを経験しており、先進国に比べ軽微とは言っても程度の問題にすぎない。

日本の落ち込みが少なかったのは、ひとえに中国のおかげだ。

次の図は貿易量の推移。通産省がオランダの統計局から拾ってきたもののようだ。

貿易推移

 縦軸の数字の単位がわからないが、ピークの160に対して谷底が130だから18%の低下ということになる。鉱工業生産の低下を上回る低下だ。

投資性向の指標として株価の動きを見てみると、下の図になる。

株価推移

図形の処理が間違っていて、08年9月としたところは、実は09年9月だ。ピーク・ポイントがまさしく08年9月だ。谷底には09年11月に達している。

粗々見ると、60%の低下となる。ほとんど商いがなくなってしまったと考えてよい。しかもそれは2011年に至っても全く回復の兆しを見せていない。

鉱工業生産の回復は、遊休設備が再稼働したに過ぎず、新たな投資はなされていないことになる。ということはいずれ設備の摩耗に伴い第二の谷が来ることになる。

新興国への投資はさらに深刻である。

新興国投資

投資額はピークの1兆ドルから4千億ドル弱まで落下した。とくに目を引くのは商業銀行融資で、5千億ドルが一気にゼロになり、谷底の時期にはマイナス収支まで落ち込んでいる。

これが新興国にいかなるダメージを与えたかは想像に難くない。


世界恐慌の波の終着点は、地理的には新興国ということになる。階級的には雇用だろう。ただこの統計は通商白書のものだから、雇用の問題は明らかにされていない。金融出動や財政問題もほとんど触れられていない。

また資料を探すしかないだろう。


D) 米国におけるリーマン・ショックへの対応

08年9月以前 財務省や連邦準備制度理事会(FRB)が仲介し、HSBCホールディングスなどと売却交渉。アメリカ政府が公的資金の注入を拒否したこと、あまりに巨額で不透明な損失が見込まれるため交渉不成立に終わる。

9.29 米下院が緊急経済安定化法案を否決(4日後に可決)。法案否決を受けてダウ平均株価が史上最大の777ドル安となる。

10.03 緊急経済安定化法が成立。不良資産救済計画(買い取り)に7,000億ドルの資金を拠出。シティグループとJPモルガン・チェースへ250億ドル、モルガン・スタンレーが100億ドルなど。

10.03 カリフォルニア州財政危機表面化。シュワルツェネッガー知事が連邦政府に資金援助を要請。

10.06 FRB、9千億ドルの資金供給を決定。11月には8千億ドルの追加対策。AIGにはさらに総計1228億ドルの追加融資。

10.06 ダウ、さらに続落し1万ドル割れとなる。10日には8,500ドルを割り込む。その後は乱高下を繰り返す。

10.07 G7とG20財相・中銀会合(ワシントン)が開催される。合意に基づき日米欧5中銀はドル資金を無制限供給すると発表。

10.15 米政府、財政赤字が過去最大の4550億ドルに達したと発表。

11.04 大統領選挙で民主党のバラク・オバマが当選。

11.18 GM、フォード・モーター、クライスラーの各首脳が公的支援を求める。自家用ジェット機で来たことに対して議員から非難が集中。救済法案は事実上廃案となる。

11.25 FRB は、消費者金融と住宅ローン市場に向けて、8000 億ドル(約77 兆円)の金融支援策。

11月 米政府の財政出動は総額7兆ドルに達する。金融資産の買い入れで麻痺した市場の流動性を回復させようとする。

12月 証券取引委員会が信用格付け機関への監督強化策をうちだす。利益相反を含む「格付け過程の明らかな弱点」を指摘。

2009年

2.17 米国、史上最大規模の8千億ドルの景気対策。2 年間で350 万人の雇用創出を目指す。同時に4千億ドルの住宅ローン借り手救済策も出す。

3月 連邦公開市場委員会 (FOMC) は政府支援機関 (GSE) が所有する不動産担保証券1兆2,500億ドルを買い取り。

4.30 クライスラーが破産を申請。6月にはGMも破産申請。再建手続きに入る。

5.07 米財務省とFRB、バンク・オブ・アメリカやシティグループなど10社で総額746億ドルの資本不足と公表。

 

 

EU諸国の金融危機→債務危機


ネットにはかなり詳細なタイムテーブルがある。しかし記載事項の殆どは、政府がどう対応したかということである。

我々が最も知りたいのは、「何が起こったのか」である。同時に「なぜそれが起こったのか」ということだ。つまり、何でもリーマンのせいにするのではなくて、EU内部に元々存在したはずの脆弱性(€・バブル)を明らかにすることである。

第二に我々が知りたいのは、このEU金融危機が債務危機にどう結びついていったのかという具体的な動きである。いわば「政府が何を対処しなかったのか」ということになる。

そして第三に、金融危機に対する域内大国の身勝手な対処が、弱小国にしわ寄せされていく過程を明らかにすることである。いわば「政府がどんな“成すべきでなかった”対処をしたか」である。

これらについて明快に分析した文献はあまり見当たらない。ほとんどの文献は、2009年10月のギリシャの政権交代と、財政の不正処理の発覚からである。これでは原因の究明はできず、抜本的な対策には結びつかない。

ソブリン危機は金融危機のツケを国家が背負わされたということ、それが弱小国にしわ寄せされたという結果生じた二次的現象にすぎない。

金融界の利己主義と身勝手が暴走し自爆したことが事態の本質であるとすれば、それがいまどうなっているのか、彼らは反省しているのかいないのか、を知ることが一番肝心のところであろう。


以下の記事は、北海道AALAの「2000年版 これが世界だ」の文章の一部です。ジャンク債を使った利殖法の一つです。

投機資本の一つの典型:LTCM


 グローバリゼーションの中身を以上のように整理した上で,国際金融をめぐる問題についてもう少し分析したいと思います.投機資本がどういうものかを知る上で,LTCM破産事件は参考になります.

 LTCMは1994年創設されました.ロングターム・キャピタル・マネジメントというのが正式の名称です.この会社の商売はジャンク債と連邦債の利率変動を利用して,わずかな値動きを膨大な量で掻き集め,利益に結び付けようとする方法です.

 細かいやり方は省きますが(興味のある方は脚注を参照してください),これまでのヘッジファンドと違う特徴が二つあります.ひとつは,乗っ取りを図ったり仕手戦を挑んだりというまねはしないこと,もうひとつは「絶対に勝つ計算式」を持っていという点です.この「勝利の方程式」を生み出した人物はノーベル賞を獲得したそうです.

  この会社は株などを公開せず,ほんの一握りの大金持ちから預かった金を運用しました.そうすれば,大衆資金を扱う証券銀行とは違って,政府機関の監督を免れることができます.

 この密やかな金融機関は,創業以来2年続きで年利50%近い驚異的な運用配当を生み出しました.俄然この機関に注目が集まりました.多くの金融機関が資金の預託を行いました.資本金50億ドルのLTCMに,その20倍の資金が流れ込んだといわれます.

  しかしその栄華は長くは続きませんでした.投機が投機を呼んだ結果,98年には世界多発金融危機が発生しました.考えてみれば当たり前の話で,債券が売買 されるたびにお金が吸い取られ,一つ一つの額は小さくても年間5兆円も吸い取られてしまうのですから,経済が貧血症状を起こしてもおかしくありません.

 これに伴いアメリカの市場では,二つの事態が進行しました.一つは国際金融危機に伴い,世界中のお金がアメリカに集まり始めたことです.もう一つは,ジャンク債が値下がりを続けたことです.安全をもとめてアメリカに還流してきたドルは,ジャンク債や住宅ローン債など、比較的リスクの高い債券には見向きもしませんでした.

 LTCMが自明の前提としていた,国債とジャンク債の市場における均衡関係など,どこかに吹っ飛んでしまいました.その結果,LTCMは1千億ドルという巨額の負債を抱え破綻しました.

  はっきりしているのは,投機資本はその「最良の形態」においても,世界経済の寄生虫でしかないということです.もっとたちの悪いソロスのような寄生虫は, 宿主を食いちぎって殺してしまっても利益を求めます.LTCMのような運用会社は,見たところは大人しいものですが,静かに血を吸いつづけ,やがては宿主 を死に至らしめるという点では,何ら変わりありません.

 アメリカで盛んに開発されている金融商品は,いずれを見ても,このようなヘッジファンドと似たり寄ったりです.このような投機資本に大手を振って歩かせるような「金融自由化」は許すわけには行きません.

「リーマン・ブラザーズ」という会社

もう潰れた会社だし、悪いことばかりした会社だから、別に憶えておかなくてもいいのだが、メモ程度に説明しておこう。と言っても、ウィキペディアの抜き書きみたいなものだが。

1.この企業かなりデカイ

ウィキペディアによれば

資本金 224億9000万ドル
売上高 590億0300万ドル
総資産 6910億6300万ドル

倒産時の負債総額

6,130億ドル

円に換算すると、総資産70兆円ということになる。

銀行の信用というと総資産勝負みたいなところがある。日本の銀行は無理やり3つに統合したが、リーマンはその三大銀行に次ぐ位置に来る。

三菱UFJフィナンシャル・グループ 218.8兆円
みずほフィナンシャルグループ 160.8兆円
三井住友フィナンシャルグループ 143兆円
りそなホールディングス 42.7兆円
三井住友トラスト・ホールディングス 34.3兆円
ふくおかフィナンシャルグループ 12.9兆円
横浜銀行 12.8兆円
千葉銀行 10.9兆円
ほくほくフィナンシャルグループ 10.5兆円
静岡銀行 9.6兆円

ちなみに日本の大企業の総資産は、トップのトヨタ自動車で35兆円だから半分にすぎない。

会社名 総資産額
(百万円)
業種
1 トヨタ 35,483,317 自動車
2 NTT 19,653,689 通信
3 東電 14,989,130 電力
4 三菱商 14,410,665 商社
5 ソニー 14,206,292 電気機器
6 ホンダ 13,635,357 自動車
7 日産自 12,805,170 自動車
8 三井物 10,324,581 商社
9 日立 9,809,230 電気機器
10 オリックス 8,439,710

一企業の倒産にすぎないと書いたが、。それだけでも相当の余波があって当然なくらいの巨大さではある。

創業からの経過

1850年、ドイツ南部からアラバマ州モンゴメリーに移住したヘンリー、エマニュエル、マイヤーのリーマン3兄弟が店を開いたのが始まりだ。リーマン3兄弟は“Lehman”という名の通りユダヤ系だ。

2月革命の直後だから、ドイツでは住みにくかったのだろう。マルクスもこの頃亡命し、パリ、ベルギー、ロンドンと転々としている。その後ドイツには帰っていない。

その頃のアラバマといったらど田舎だ。北部では工業が発展し、黒船に乗って日本まで出向いていたが、南部は辺境地帯で、インディアン刈りで名を馳せた「将軍」たちが綿花農場主とグルになってボス支配していた時代だ。

彼らの開いた日用品店「H.リーマン商店」は農場主たちの御用達となった。彼らは現金で払う代わりに綿花を持ち込んだ。リーマン兄弟は綿花取引に経営の重点を移し大成功した。南北戦争を経て、1870年にはニューヨーク綿花取引所が開設された。リーマンもニューヨークに拠点を移した。何かと人種差別のある南部よりユダヤ人の一大集積地であるニューヨークのほうがはるかに商売はしやすかっただろう。

リーマン兄弟社はゴールドマン・サックスの支援を受けてニューヨーク証券取引所の会員にまで上りつめる。ここまでが成功のレジェンドだ。

リーマン兄弟社は綿花取引ばかりしていたわけではない。第一次大戦後のブームに乗って信用取引や投資コンサルティングにも進出していった。そして29年、大恐慌のさなかに投資業務を分社化し、リーマン・コーポレーションを設立した。後にこれが斜陽の綿花取引に代わりリーマン・ブラザーズ本体を担うようになる。

1984年になって、リーマン・ブラザーズに試練の時が訪れる。会社の内紛から営業不振に陥り、アメリカン・エキスプレスに吸収合併されてしまった。その後の10年間、アメリカン・エキスプレスの一部として存続したが、94年にふたたびリーマン・ブラザーズ・ホールディングスとして独立をはたした。

サブプライムローンの大ヒット

とはいうものの営業基盤は脆弱で、放置すればいずれふたたびM&Aの荒波に飲み込まれてしまう。そこで社運をかけたのがサブプライム・ローンの証券化だ。

ここがミソなので少し詳しく説明する。少し面倒くさいので、順番に説明していく。

アメリカでの住宅ローンは住宅ローン会社が行う。住宅ローン会社には二種類あって、ひとつは純民間、もう一つは政府が援助するローン会社だ。民間会社には違いないが住宅金融公庫と多少似ているところもある。

民間の住宅ローン会社は、日本のように銀行ローンを又貸しするだけの存在ではない。独自に融資資金を集めてくる。それが「モーゲージ証券」というものだ。住宅ローン会社が優良なローンから怪しげなローンまで多数のローンを束ねて、「証券」という形で商品化する。投資家は一定のリスクを取る形でその証券を購入することになる。もちろんその「投資家」の中に銀行もふくまれる。

 「モーゲージ証券」を組織したのは住宅ローン会社だが、機関投資家やヘッジファンドなども、その高い利回りを求めて、その「モーゲージ証券市場」に参加してきた。ここまではわかりやすい話で、リーマンに限らずどの銀行もやっていたことだ。

リーマンのすごいところは2つある。一つは一般の投資信託の中に 「モーゲージ証券」を混ぜあわせた金融商品を開発したことだ。「モーゲージ証券」は別名「ジャンク(屑)債」といって素人は決して手を出さない仕掛けのものだ。それを混ぜた上で「多少リスクが高い投資信託」のような装いを凝らして発売したわけで、これだけでも立派な詐欺だ。

(ジャンク債を利用したもう一つの利殖手段が、97年にLMTCの編み出した方法だ。これは高度な知的技術を駆使した本格派だが、リーマンの方は知性などおよそ感じられないチンピラ詐欺師の手法である。案外そちらのほうが騙しやすいのかもしれない)

もう一つ、さらにすごいのは、「モーゲージ証券」でもとびっきり危険なサブプライム層へのローンまでも組み込んだことだ。「サブプライム」という言葉自体が詐欺的な用語である。サブというのは、ふつうは“副”とか“準じる”とかいう意味だ。プライムというのは“優良”ということだから、すごく優良ではなないが、まずまずという意味にしか採れない。

ところがサブプライムの定義を具体的に見てみると

①所得に対する借り入れが50パーセント以上、

②過去1年間に30日間の延滞が2回以上、

③過去5年以内に破産経験

となっている。「準優良」どころではない、「最悪」だ。日本なら間違いなく自己破産だ。まさにJunkyとしか言いようがない。これならサラ金会社に投資したほうがまだましだ。

こんな連中にカネを貸したらどうなるか。それが下の表だ。

サブプライムローンの延滞率

04年第4Q

05年第4Q

06年第4Q

07年第1Q

08年第2Q

9.83%

11.61%

14.44%

15.75%

18.67%

そんなもの要らないという人の口にドル札を突っ込めば、結果はこうなる。

リーマンはこのような毒饅頭を混ぜ込んだ金融商品をハイリターン商品として売りだしたわけだ。それをスタンダード&プアーズやムーディーズが優良商品として保証したから、全世界で売れまくった。

破産の道へまっしぐら

起死回生を狙った詐欺まがいの戦略は大成功。リーマンは全米屈指の大銀行へと成長をとげる。しかしそれもつかの間、住宅需要がしぼむとあっという間に坂道を転げ落ちていく。

08年の第二Qには純損失が39億ドルに上った。株価は4ドル台にまで急落した。最後は韓国政府系の韓国産業銀行に身売りしようとしたがそれもかなわず、15日の破産・解体へと突き進んでいく。誰もそれを止めることは出来なかった。

最後にファルドCEOは個人のリーマン株をすべて売り抜けて逃げ去った。160年の歴史を持つ巨大金融機関がこの世から姿を消した。

トレーディング部門というのがわからない。投資銀行というのがそもそもわからない。

これはアメリカ独特の制度で、日本の証券会社に当たるのかと思ったが、どうも違うところもあるようだ。

アンテロープキャリアコンサルティング 

というサイトに投資銀行について説明がある。読んでもちんぷんかんぷんだが、一応分かる範囲で紹介する。(部分的にウィキペディアで補足してある)

投資銀行(Investment Bank)の定義

投資銀行は米国で生まれた金融業態です。

預金を受け入れ貸付を行う一般的な「銀行」ではありません。
日本の金融機関になぞらえるなら「リテール分野をそぎ落とした証券会社」と捉えると分かりやすいでしょう。
(分り易くない! 他の辞書で調べると、リテールと言うのは小売のことで、これに対する卸売はホールセールと呼ぶ。だから一般投資家を扱わない卸売専門の証券会社ということになる。)

極々単純化して言えばプロ向けの金融機関です。

業務は大きく2つに分かれる(らしい)

プライマリー業務: 資金を調達したい事業法人や政府機関が、株式市場や債券市場といった 資本市場にアクセスするのをサポートする。

セカンダリー業務: 機関投資家が発行済みの有価証券を売買するのを仲介する。

(ここも良く分からないが、とりあえず飛ばす)

投資銀行の歴史

1.発端

世界大恐慌後、商業銀行と投資銀行(証券)の兼業を禁止するグラス・スティーガル法が成立しました。

そこで、金融機関は銀行と証券に分かれ(銀証分離)、それぞれ独立することになりました。
J.P.モルガンの投資銀行部門はモルガン・スタンレーになり、ゴールドマン・サックスやリーマン・ブラザーズは投資銀行業務に特化しました。

2.業務拡大

初期の投資銀行はM&Aアドバイザリー、株式や債券の引受などを行っていたが、次第に証券流通市場におけるトレーディング業務やファンド運用、自己資本投資などビジネスの多角化を計った。

(これがプライマリー業務とセカンダリー業務の由来かな? それにしてもいちいち言葉が分からない)

3.コングロマリット化

1999年に、銀証分離が事実上廃止されました。その後、バンク・オブ・アメリカやJPモルガンが証券子会社を設立して投資銀行業務に進出するなど、金融機関の再編が行われました。

現在の投資銀行は、非常に多様なサービスを提供する金融プロフェッショナル集団となっています。

(そして大恐慌を引き起こしました!)

投資銀行の二つの部門

1.投資銀行部門

投資銀行部門は、株式や債券の発行による資金調などのサービスを、事業法人や金融機関に対して提供しています。

(良く分からないが、要は顧客サービスということらしい。とりあえず分かったことにしよう)

2.トレーディング部門

流通市場における有価証券の売買を取り扱います。
流通市場とは英語ではセカンダリーマーケットと呼ばれ、既に発行されている株式や債券などを取引する市場です。

自ら売り買いするということは、売り手・買い手の立場に立つことを意味する。これを“ポジションをとる”という。

伝統的な株式や債券の他にも、デリバティブを駆使した仕組債や、オプション、外国為替、コモディティなども扱います。

(つまり一言で言えば“投機”だ。サイコロ、花札、トランプ、何でもやります)

投資銀行内における大きな収益源の一つとなる部門です。

(実際には“大きな収益源の一つ”どころか、投資銀行の業務そのものになっている。本来の投資銀行部門は“いちじくの葉”に過ぎない)


ということで、機能的にはファンドと殆ど変わらない。日本の証券会社よりはるかにアグレッシブである。ただ日本の証券会社もリテールは“いちじくの葉”で、実質的には、もっと深く踏み込んでいるのかもしれない。

 

 

 

「ポジションをとる」ってどういう意味?

むかしは株屋とか相場師なんて言うものは、縁なき衆生であった。もちろん主要な理由はこちらにカネがないからであるが、証券市場などというものは鉄火場の如きものであり、そこで金の遣り取りをするのは命の遣り取りをするようなもので、素人が手を出してはいけないものと考えられていた。

まぁヤクザの親戚筋みたいなものである。堅気のお金持ちは信託銀行で国債とか社債を買うか、貯蓄型の生命保険を積み増すかという具合だった。

あとは飛行機の優待券が欲しくてJALの株をもったり、映画の優待券が欲しくて映画会社の株をもったりという話はあった。

おやじが死んだときに、製鉄会社や自動車会社の株が出てきて驚いた憶えがある。多少は上がっていたようだ。

しかし最近ではそうも行かなくなってきた。株屋が世界を動かすような時勢になってきたからである。

リーマンが良い例で、大げさに言えば株屋が一つ倒産しただけで、世界がひっくり返って、ギリシャやスペインでは若者の半分が失業という状態になってしまった。

だから自分で株をやらなくても、経済学の一分野として、イロイロと勉強しなければならない。


前置きが長くなったが、リーマン・ブラザーズという会社を調べるうちに、「ポジションをとる」という言葉が頻出する。これが良くわからない。

[i Finance」というサイトに「金融用語集」というページがあって、そこではこう書いてある。

ポジションは、マーケット取引において、投資家やディーラーなどがどのような「買い建て(買い越し)」または「売り建て(売り越し)」を行っているかという持ち高状況のことをいう。

さて分からない。

ポジションには3つあるそうで

・買い越し状態:買いポジション(ロングポジション)
・売り越し状態:売りポジション(ショートポジション)
・ポジションを取っていない状態:スクエア

なのだそうだ。

つまり、これは相場師にしか意味のない言葉だと分かる。普通の人は空売りなどに手を出さないからである。

それで、“ポジションをとる”というのは、新しく売り買いをすることなのだそうだ。つまり鉄火場に足を踏み入れて、どこに座るかという話だ。

大体が証券市場なんていうものは鉄火場みたいなものだから、博打に比べてみると分かりやすいのかもしれない。

Ⅰ. リーマン・ショックとは何だったのか

A) リーマン・ブラザーズの破綻

2001年 同時多発テロを受けて、世界的な株価の下落。FRBは4回にわたる緊急利下げを実行。これにより世界的な金余り現象発生。

2004年初め アメリカの住宅価格は新興国外資の流入を背景に124%上昇。消費者の貯蓄率は減少し、借り入れと消費は共に増大する。

ウォーレン・バフェットの証言、「あれは私が生涯見てきた中で最大のバブルだった。…アメリカ市民全体が、住宅価格が劇的に下がることは有り得ないという信仰に囚われていた」

6月 FRB、政策金利を4年ぶりに引き上げ、1.25%とする。金融が引き締め局面に入ったことで、住宅価格の上昇には歯止めがかかる。

2006年

この年、ウォール街の経営幹部が家に持ち帰ったボーナスは239億ドルに達した(ニューヨーク州会計監査官事務所)

7月 住宅価格が急速に値崩れを起こす。サブプライムローンの金利が引き上げられ、延滞率が13パーセントに達する。クレジット会社は貸し倒れと延滞により経営破綻。クレジット会社に貸し込んでいた大手銀行も貸し倒れ引当金が膨らむ。 

サブプライムローン: 住宅ローンの一種。一種の債権であるが、債権をあたかも資本と思い込ませ転売していた。
元々の意味は優良(プライム)貸付に対する“チョイやば”あるいは“ワケあり”貸し付けという意味。しかしその基準は“チョイやば”どころではない。①所得に対する借り入れが50パーセント以上、②過去1年間に30日間の延滞が2回以上、③過去5年以内に破産経験というもので、「ナニワ金融道」でさえ怖気をふるう“激やば”である。
そもそも大銀行が扱うような“債権”ではないのだが、住宅価格の上昇を背景に、格付け企業が高い評価を与えたことから、他の金融商品などと組み合わされ世界中に販売されるようになった。

2007年

2月 HSBCホールディングス(世界最大の銀行)が、所有していたサブプライム関連証券の評価額を105億ドル切り下げ。住宅金融専門会社への新規融資は事実上ストップ。

4月 サブプライムローン業界2位のニュー・センチュリー・ファイナンシャルが破綻。これに端を発し、サブプライム危機が発生。

サブプライムローンの延滞率

04年第4Q

05年第4Q

06年第4Q

07年第1Q

08年第2Q

9.83%

11.61%

14.44%

15.75%

18.67%

6月 大手証券ベアスターンズ傘下のヘッジファンドが、サブプライムローン関連証券の運用に失敗し倒産。多額の融資を行っていた大手金融機関に影響が波及する。

7月 格付け機関が住宅ローン担保証券を一気に格下げ。証券化商品そのものへの不信が広がる。これにより金融機関は資産価値が大幅に下落。株価下落を前提に新株発行。

7月 サブプライム関連証券、買い手不在のため値付け不能に陥る。

8月 フランス最大手の銀行BNPパリバが傘下の3ファンドを凍結。ドイツ中堅銀行のIKB産業銀行がサブプライム関連損失により破綻。サブプライム・ローンが、欧州をふくめた国際金融市場全体に広がっていることが明らかとなった。政府は流動性確保のため資金供給。

10月 投資銀行大手のメリルリンチで、CEOが経営悪化の責任を取り辞任。

10.09 NYダウが史上最高の14,164.53ドルに達する。

2008年

5月 ベアスターズが経営危機に陥り、JPモルガンが救済合併する。

5月 サブプライムローンの延滞率が25%に達する。

9.07 半公的な住宅購入支援機関(GSE)のファニーメイとフレディマック、担保証券の評価が急落。納税者負担によって国有化される。

両者のサブムライム証券の年間購入額は1,750億ドル、この時点での債務残高は5兆ドル。これに対し純資産は僅か1,140億ドルだった。

9月15日 投資銀行大手のリーマン・ブラザーズが破綻。連邦破産法第11章の適用を連邦裁判所に申請する。負債総額、約6000億ドルは史上最大であった。

5大投資銀行の負債の合計は4兆ドルに達した。そのうち、ベアー・スターンズとメリルリンチは他の銀行に捨値で売られた。残る2つ(モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックス)は政府による資本注入をうけ、商業銀行に転換した。

9.16 アメリカ政府とFRBが全米最大の保険会社AIGに850億ドルの融資を決定。事実上の国有化。

9.17 2日間で米国のMMFから1,690億ドルが引き出される。普段は50億ドル程度。

9月 連鎖倒産の恐れなどからアメリカ経済に対する不安が広がり、世界的な金融危機へと連鎖する。

リーマン・ショックの前後に、アメリカ人は純資産の1/4超を失った。米国の平均株価は45%下落した。住宅価格は20%下落し、先物市場は35%低下した。
家計資産である退職金基金の合計は、22%目減りした。貯蓄と投資資産は1.2兆ドル、年金基金は1.3兆ドルを失った。損失合計は8兆3千億ドルということになる。(Wikipedia)

2008年10月以降はこちらへ


時系列で並べてみると、リーマン・ショックそのものはたんなる不動産バブルの一つに過ぎなかったことが分かる。

ただその規模があまりに大きかったことと、アメリカという一極への、富の過度の集中が、世界恐慌をもたらしたということに特徴がある。

このあと、欧米諸国を中心とする金融危機が展開され、さらにその後始末としてのソブリン危機が続いていく。そして現在始まっているのは、その第4幕としての右翼の台頭と政治対立の先鋭化なのかもしれない。


今度の日曜日は北海道AALAの総会。高齢で、私が国際情勢をしゃべることになる。

最近世の中がギスギスしてきている。

その歴史的背景にあるのは、言うまでもなくリーマン・ショック後の世界経済だ。

なにかマルクスが資本論を書いた頃の、野蛮な資本家集団が復活しつつあるような気がする。

それに抗して、人倫的な、理性にもとづく社会をもう一度構築しなおさなければならない。

少なくとも、第三次世界大戦はまっぴらだ。

そんなことを背景にしながら、以下の如き内容をしゃべろうかと思う。


リーマン・ショックで世界はどう変わったか。

1.リーマン・ショックはグローバル資本主義が登場して以来、最初の激震だ。

2.「冷戦」期を支えた2つの社会構造が根本から揺らいでいる: 国家独占資本主義と軍事費を中心とする浪費体制

3.スーパーパワーのもとでの、グローバリゼーションと極私的ミーイズムの同時進行。人間社会の極大化と砂粒か。

4.リーマンショックの巨大さを知る

5.リーマン・ショックが生んだ経済システムの歪み 財政規律の消失で国家システムが奈落の底に、共通の価値観と連帯感の消失でむき出しの衝突へ、

6.世界のギリシャ化と「全般的危機」をいかに打開するか。博愛精神にもとづく新たな所得再分配システムの構築を求めて。

しかし今回の事件の仕掛けが、「無限振り出し」にあったとすると、話はおかしくなる。
金が引き出されたのは、みずほ銀行の口座なのだ。
とすればセキュリティーが破られたのは、マウント社の金庫ではなくてみずほ銀行なのではないか。

みずほ銀行は、金を送り込んだ時に相手口座から受領確認を取らないのだろうか。

2日付の朝日新聞(via 阿修羅)には次のような記事がある。

安全性が高い銀行口座からハッカーが直接現金を盗み出すのは「技術的には考えづらい」と、顧客の一人でIT関連会社の峰松浩樹社長は指摘する。「『紛失』したコインの穴を埋めるために、顧客の現金で別のコインを買ったのではないか」と疑う。


たしかに、そうも考えられる。
と言うより、そう考えないと、みずほ銀行にとっては大変なことになる。

新聞がこの事件の報道に及び腰なのは、そのせいがあるかもしれない。

まぁいちおう、みずほの対応に瑕疵がなかったとして、仕掛けとしては次のような三角ベースが考えられる。

みずほは金を送る、犯罪者は受領確認を発行する。ところがこの受領確認がマウント社に転送されない。

おそらくマウント社のコンピュータはみずほからの受領確認転送を待って、ビットコイン残高を減らす仕掛けになっていると思われる。

したがってこのフィードバック回路がやられてしまうと、ビットコインの残高は減らない、ということになってしまう。

ただこのフィードバック回路を全面遮断すればたちまち、パンクしてしまう。

犯罪者のIDのみ、フィードバックを免れることができるように細工してあるのだろう。

だからといってみずほの責任が全くないとはいえない。端的に言えば、フィードバック情報が送りっぱなしになっていなかったか、情報を受け取ったという確認を取っていなかったのか?

これはセキュリティ・ホールというよりはシステム設計の問題になるだろう。

これも大変なことだ。責任はフィフティ・リフティになる可能性がある。

残る可能性は、マウント社のCEOに悪意があった場合だが、これについてはカナダの訴訟で明らかになっていくだろう。

ビットコイン問題が最初分からなかったのは、マスコミの報道がビットコイン側に踊らされていたためだったようだ。

典型的なのが、例えば3月1日の産経新聞。

消失したのは85万ビットコインで約114億円相当と説明したが、最新の取引価格で約480億円相当に上る。

これはマウント社の説明そのまんまだ。

記者は不勉強の誹りを免れ得ないだろう。ただ事件の背景を知るために、ビットコインの専門家のところにいってしまったのかもしれない。我が身に置き換えてみると、分からないでもない。本当はネット犯罪の専門家のところに行くべきだったのだ。

はっきり言えば、ビットコインが何枚消えてなくなろうと、それがなんぼに相当しようと、そんなことはどうでもいいのである。

問題はキャッシュが消えたことなのだ。そしてそれがセキュリティの穴をかいくぐって盗みだされたらしいということなのだ。

つまりビットコインそのものの安全性とか、その仕組に絡んで起きた事件ではなく、ごく単純な窃盗事件だ。

 

セキュリティー会社の社長は「「秘密鍵を管理できるビットコインの『財布』のパスワードを盗めば、大量の不正引き出しも可能だ」と語っているが、そんなことはサルでも分かる。

「盗んだ人のアドレスは分かるはずだ」と書いてあるが、入会時の審査が甘ければ、勝手なアドレスで契約することは可能だろう。

もう少し高級な手口を使っている。

ネットの記事を総合すると、こういうことだ。

手持ちのコインを提示して、現金への引き換えを要求する。市場はこれに応じて口座に現金を振り込む。口座からは受領のサインが送り返される。ところが受領のサインが送られないように細工する。

そうすると、受け取りがもらえないから、市場側のコイン残高は減らない。

ここでまた引き出し請求をすれば、市場側は同じようにまた送金する。しかし受け取りはもらえない。

ということで、預金者は無限に金を引き出せるという仕掛けになる。

ただどんどん現金が減っていけば、市場側のコンピューターに安全装置が作動するはずだが、そこをいじられている可能性が高い。

さらに、受領サインをもらっていない送金件数が増えれば、これも警告が出るはずだが、ここもやられていたことになる。

ここが分かれば、「ビットコインとはなんぞや」などという話を仰々しく持ち出す必要は全くない。

何人かのブログ主が、実に懇切丁寧に説明してくれているが、見事に勘所を外しているから、読むといっそうわからなくなる。

アメリカでマウントゴックスへの損害賠償の訴えが出された。
それはいいのだが、原告側は訴状を修正して、みずほ銀行も被告に加える事にした。
みずほ銀行がマウント社の金融サービスを一手に引き受けていたからだ。

告訴内容は以下のとおり

1.みずほ銀行はマウント社の資金と同社顧客の資金と区別せず、金融サービスを行ってきた。

2.みずほ銀行はマウント社の不正行為を把握しながら、金融サービスの提供を続けた。

3.上記の結果、顧客の損失を拡大させた。

4.みずほ銀行みずからが不正行為から利益を得た。

正直言って、言いがかりに近い、めちゃめちゃな論理だ。これなら刑事告発したほうが早いと思う。

カナダからも同様の訴訟が起こされているが、こちらはちょっと違ったニュアンス

1.マウント社のセキュリティー違反の結果、多額の顧客のビットコインが盗まれる事態を招いた

2.ビットコイン以外のすべての通貨(現金)はみずほ銀行の口座に預けられていた。

ということで、現金が盗まれたことに対する責任を問うものとなっている。

これは相当ずっしり響くはずだ。大量の現金が一気に引き出されるのを放置した銀行の責任はある。少なくとも有責だ。

この間も書いたように、事件の全貌が見えず、本質も不明のままだ。真相を明らかにする上でも、訴訟には意義があると思う。
ポジティブに考えれば、今後の代用通貨システムの可能性を探る上でも、明らかにして置かなければならないポイントだ。

にも関わらず、日本の経済・金融メディアは明らかに猿轡を噛まされている。
フォロー(とくにカナダの訴訟)を期待する。


筆者の今宮さんは元々国際金融の研究者であり、当然金融面から経済を読もうとする傾向がある。

しかし、資本主義の到達段階から見て、現在の状況はどうなのかという視点、10年単位の景気循環から見てどういう局面にあるのかという評価、世界全体としてはますます生産力が増大し、社会・経済が発展しつつあるという大局観が必要だろうと思う。

したがって、「これだけ発達した生産力を受け止めることのできる受け皿が、今まさに求められている」と思う。これが情勢の基本だ。

そういう観点から現下の国際経済情勢を読み取るべきだろう。

資本主義の到達段階としてみれば、グローバル化の真っ最中であり、しかも歪んだ形での発展であり、しかも歪みがますますひどくなるという逆流現象を伴った一過程なのだろうと思う。

景気循環としてみれば、十年単位での調整期に入っているのだろうと思う。それは過剰生産と過小消費という二つの面から規定されており、その調整はさまざまな経済指標の乱高下として行われている。しかし真の調整のためには、政治的な介入と非市場的な協調がもとめられるはずだ。それは多国籍企業(グローバル・エンタープライズ)に対する人民の闘いとして調整されていくと思う。

より大局的に生産力の発展段階として読めば、世界のGDP総計は間違いなく増加している。リーマン・ショックは一時的例外であり、むしろ増加の速度は早まっている。これに応じて総所得も増えている。全体としてグローバリゼーションは人類の生産力向上にポジティブに働いている。これらの事実は十数年前にミレニアム談議の時に立証されている。

ますます巨大化しつつある生産力を受け止め、それを人々の生活向上につなげるシステムづくりがいよいよ差し迫った課題となっているということだ。おそらくそれは労働改革、労働のあり方を根本的に変更する改革をおいて他にないだろう。

このことによって人々の要求をさらに豊かにし、持続・発展の可能な「需要」を作り出すことが、生産の発展のためには必要なのである。それは物質的な生産にはとどまらない。なぜなら資本主義がすべてのモノや行為や事象に値段付けし、「価値」(の可能性)を与えたからである。

2日間連続で、今宮謙二さんの「2014年 経済の潮流」が掲載された。

1日目はヨーロッパと米国の経済について分析している。

ヨーロッパ経済は

底打ちかどうかは不透明、さらに一段の落ち込みもある。回復は先の話で、当分停滞が続く。

一言で言えば「偽りの夜明け」である。

とした上で、その理由として

1.国民生活の低下

2.失業率の高止まり

をあげている。

アメリカ経済は

ゆるやかな景気回復をたどりつつある。

ということで、ヨーロッパよりはいいようだ。

ただし高株価はバブル景気であり、実体を反映したものではない

としている。

そのうえで、アメリカ経済の問題点として、

1.個人消費は伸びているが、個人所得はむしろ減少しているという矛盾

2.住宅市場が限界に近づきつつある。住宅市場は個人消費を支えている一面で、投機バブルの反映という側面を持ち、急激な収縮を起こす危険をかかえている。

3.自動車以外の製造業で設備の過剰が解消されていない。

新興国経済は

格差問題など調整期を迎えていて、急激な回復は期待できない。


ここまでが1日目

次いで2日目は金融問題に絞って論じている。

文章はまず、リーマン・ショック後の5年間を振り返る。

結論は、5年間の過程が、リーマンショック前の経済システム(投機資本主義)の再現だったということだ。

したがって、リーマンショックを繰り返すリスクはそのまま再生されたということだ。

そしてさらに3つの歪みが付け加えられたという。

その3つとは

1.投機マネーが拡大したことで、株価などのバブルリスクが増大。

2.中央銀行(通貨発行機関)の変質

3.金融界のモラル低下と犯罪取引の拡大

としている。

(ただし、それ以上の説明はない。また下記の記述との整合性もない)


次に、もう少しショートレンジの具体的問題として3つを上げる。

1.大規模な金融緩和(QEⅠ~Ⅲ)による影響

中銀にとっては

①中銀の変質: 「最後の貸し手」から「金融資産の守護者」へ

②資産内容の劣化→中銀への信頼の低下(ソブリン危機のこと?)

の中で、「出口戦略」が困難さを増す

金融秩序にとっては、

投機マネーがさらに拡大し、

株価・国債・為替の3つの分野で不安定さが増す


2.投機マネーへの規制の具体化

金融取引税とボルカー・ルール

(ボルカー・ルールも取り上げるなら、BIS規制についても触れておくべきだろう)


3.銀行不安激化への対策

ヨーロッパにおける「銀行同盟」構想(ただし本格的な実現は困難だろうとのコメント)

ちょっと三本柱というには、展開不足

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