鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

カテゴリ: 15 国際政治/アメリカ(カナダ含む)

この表は今月ギャラップが行った世論調査で、公的機関16機関について「あなたは信頼しますか?」という質問の答だ。
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議会はケタ違いの信頼度、ほとんどクソだ。
やらずぶったくりの保険会社のさらに半分だから、いかにひどいか分かる。

それでも73年(ウォーターゲート事件の頃)には42%あったのだが、この10年間でガタ落ちしたのだそうだ。

古金さんという方の書いた「企業の海外進出が雇用に及ぼす影響について~米国の経験からみた空洞化問題の一考察~」という論文(共済総合研究 第64号)からの転載です。

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米国は海外移転の先進国である。国内の製造業雇用者数は、79年の1,943万人をピークに減少傾向を辿っている。とくに00年以降は急減し、10年間で3分の2まで減っている。

実は製造業はそれよりはるかに先んじて減少している。製造業GDPが米国の全GDPに占める比率は60年には約30%だった。それが現在では半分以下の13%へと低落している。

この時期に製造業雇用者の比率は28%から9%にまで低下している。雇用者数はGDP減少に応じて減ったのではなく、それ以上に減らされたのである。(無論、一定の技術革新はあるのだろうが)

2.多国籍企業は成長にも雇用にも貢献しない

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多国籍企業の米国内親会社は01年以降減少を続け、10年間で3.5%減少している。同期間で米国全体の雇用は1.4%増加しており、雇用への影響はマイナスとなっている。

一方、在外子会社の雇用は36.2%増加した。労働力の投入は海外子会社中心になされていることが明らかである。

設備投資についても同様の傾向が示されている。米国内親会社の設備投資は0.9

%減少した。同時期の米国全体の設備投資は17%増加しており、多国籍企業が足を引っ張っていることは明らかである。一方、海外子会社への設備投資は49%の増となっている。

著者の結論

(非常にスッキリした良い文章なので、長めに引用させて頂きます)

企業の海外進出が加速しても、高付加価値産業の住み分けにより国内は空洞化しない。国民所得は投資収益増加によって増加し、本社機能の拡充などによって雇用も増加するといった見方があるが、楽観的すぎるように思われる。

今や状況は一変している。アジア経済が急速に発展し、日本との格差が縮小している。このため、企業も従来のようなすみ分けを行う意味がなくなっている。実際、研究開発など高付加価値部門の海外進出も増えている。

海外投資による収益増加が国民所得を増加させ、それがサービス業の雇用を増加させるいわれるが、実際には、多くの仕事が海外にアウトソーシングされ、国内に残るのは生産性上昇の見込みにくい、対人サービスが中心になるであろう。

最近の米多国籍企業の活動は、在外子会社において雇用や設備投資を増やす一方で、米国内親会社の雇用や設備投資は削減した。その活動は米国経済の足を引っ張っている。

比較優位部門を含めた最近の企業の海外進出増加は、国内の雇用などにも大きな悪影響を及ぼしかねないと思われる


どこかで雇用の崖がある。それを最初の図のリーマン・ショック後の急低下が示しています。それがいつ来るか、その時国民はいかに対応するだろうか。事態はきわめて深刻です。

医療保険がいかにおいしい商売か

損保ジャパン総研クォータリーの2007年版に
米国における健康保険市場と保険会社のヘルスケア事業」というレポートがあって

その中に表があるのだが、ちょっと細かすぎてこのブログにそのまま載せられない。
興味のある人は、そちらに直接当たって欲しい。

アメリカの営利保険会社はメジャー12社がある。
その12社の合計額で示しておくと、

加入者総数は1億1600万人、保険料収入は2,227億ドルとなっている。

注目すべきなのは純利益が130億ドルに達してるということ、もう一つは損害率が81.6%にとどまるということである。掛け金の2割近くが会社の懐に入るというのは、日本ならパチンコ業界並みで、公取法違反の捜査対象だ。

メジャー12社と書いたが、実は上位4社の比重がきわめて高く、とくに純利益総額130億ドルのうち108億ドルを4社が占めている。
つまりこの業界は完全な寡占状態に入っており、自由主義経済の信奉者が説く“市場原理”は働く余地がない。自由競争とは正反対のものに変質してしまっている。

要するに、国民が医療費と考えて出した金の2割は保険会社の儲けになって消えてしまうのだ。シッコの世界は本当だった。「市場原理に基づく効率的な運営」というのは嘘だ。“独占企業の利益原理に基づく、やらずぼったくりの運営”が実態だ。



以下に紹介するのは、メイン州選出の下院議員で女性のChellie Pingree さんという人が、地元紙の Huffington Post に寄稿したものである。

題名は“Recovering democracy after Citizens United”となっている。連邦最高裁判決で壊された民主主義をどう回復して行くのかという意味であろう。

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憲法がこのように修正されるのはクレイジーだ。つまり、アメリカ人の大多数にとってあまりにも明白な意見、「企業は人民ではない」という見解を明らかにする条項を付け加えることである。

しかし、そういうクレイジーな状況を、今日我々は眼のあたりにしている。

連邦最高裁が「シティズンズ・ユナイテッド」を支持する判決を下してからたった2年だというのに、我々はすでに破壊的な影響をひしひしと感じている。それは財政改革計画の深刻な後退となって現れている。

2010年の中間選挙は、これまでの歴史において最も高価な選挙であった。企業はありあまる利益を数億ドルも費やし、彼らを利するような人々を当選させようとした。そして大企業の懐をさらに膨らまそうとした。

「市民連合」はドアを開けた。さらにビッグ・マネーをつぎ込むことが許された。そこには企業の政治への影響力を強める目論見がある。いまや企業は豊富な選挙資金を無制限に寄付できるようになった。顧客や株主の金を同意なしに、制限なしに使うことが許されることになったからである。

私の故郷のメイン州では、匿名のドナーに支えられた州外のグループが、何百万ドルもの政治資金を使ってキャンペーンを行ってきた。そうやって連中の目論見に反対する動きを潰そうとした。我々はそれを見てきた。

メイン州では我々は幸運にも Clean Elections システムを持っていた。それは(最高裁判決に逆らって)、議員が企業の特別利益金を拒否することを認めるものだ。国家のレベルでもメイン州のやり方に従うべきだと思う。議会は小額のドナーの声を勇気づけるべきだ。

私は法案を作成した。超党派で提案することになる。その「Fair Elections Now Act」は、メイン州で行っているシステムを全国レベルで実施しようというものだ。

このシステムは少額ドナーを優遇した政治資金計画だ。これによって市民が選挙に主体的に参加できるようになる。「少額ドナー」システムは、それだけで全国レベルのすべての問題を解決するわけではないが、大きな力にはなるだろう。

すでにワシントンはビッグビジネスによって支配されているが、シティズンズ・ユナイテッド判決はさらに市民の敷居を高くした。普通の人々が声を上げても、その声はいくつものハードルによってさえぎられている。

我々の民主主義の中核は、誰でも平等に声を上げることだ。語り、聞くことだ。シティズンズ・ユナイテッド判決はその鍵となる価値を蝕んでいる。それは企業がたっぷりと金を使って彼らのスピーチを行ない、他のすべての人々の声を掻き消すのを認めている。

企業はそれなりに重要な目的をもって活動している。しかし人々に投票の仕方を教えることは企業の目的ではない。

私は彼らとともに働きたい。経済成長を維持し、社会の健康を増進させたい。だから私の政策について彼らの考えを聞きたい。そうすればもっとよくなるだろう。

しかし、彼らのものの見かたは労働者や雇用者のそれとバランスをとらなくてはいけない。彼らの顧客ともバランスがとれていなければならない。そして、彼らの決定が良かれ悪しかれ影響を与えるであろう多くの人々と、考えをすり合わせなければならない。

我々はこれ以上彼らに金を使わせてはならない。それは政策を彼らに都合の良いようにゆがめさせる為の金だ。

ミット・ロムニーは会社が人民であると思っている。私はそうは思わない。会社に人権手続きを行うといったって、第一、“straight-face test”にパスできないではないか。

悲しいことに、我々は憲法修正第一条を書き直さなければならないようである。すなわち「憲法により保護される権利とは人間の権利であって、企業の権利ではない」と。

これまでにも増して、ワシントンは政治活動へのビッグ・マネーの流れを止める必要に迫られている。強力なロビイストの地位を揺るがす必要がある。しかし「市民連合」はそうするための我々の能力を著しく弱めた。

下院議員の一人としての私の視線は、厳しい経済の時代に何とか生活を持ちこたえようとしている家族に注がれている。大企業ではない。彼らは議員に影響力を行使し、より多くの利益を搾り取ろうとしているだけだ。

我々は「市民連合」判決を無力化させる必要がある。そうすることで、ふたたび本業に戻ることができるのだ。

「財政の崖」はたしかに存在する。しかしその崖は富裕層が作り上げているものだ。
それは、大統領選挙でオバマが勝利したことで、基本的には解決された。
一つは、歳出の自動削減を唱える共和党右派の敗北である。もちろん民主党が勝利したわけではないから、下院の壁は依然として残っている。しかし鉄壁ではなくなった。
もう一つは、今回の選挙が残した置き土産が、富裕層に対するいっそうの不信感だということである。4年前、自らの招いたリーマン・ショックで破産の危機に陥ったのを、オバマの財政出動で救われた。そのことを忘れて、極右の尻馬に乗って、ありあまる金を使って、ネガティブ・キャンペーンに奔走した富裕層の姿は、国民の目に焼き付けられた。

選挙後、これまで減税について中立的だった議会事務局(CBO)が、減税延長の経済効果について新たな試算を発表した。

赤旗の報道によると以下の通り。
①富裕層を含めて減税を延長した場合のGDP押し上げ効果は1.5%弱
②世帯年収25万ドル(2千万円)以上の層への減税を打ち切った場合の、押し上げ効果は1.25%
ということで、差し引き0.25%にしかならない。

歳出の自動削減が不可能となれば、共和党の矛先は医療保険に向かうことになるだろう。医療保険に対する国民の反感はたしかに根強い。日本における生活保護への反感と同じである。

富裕層から金を取るだけではダメだ。それが貧困層、社会的弱者に回されて初めてチェンジのうねりが始まる。ここが踏ん張りどころであろう。


以前にも、法人と個人の本質的な違いについて言及したが、法人の選挙運動を容認することがいかなる結果をもたらすかは、今回の大統領選挙を通じて明らかになった。
これを容認した連邦最高裁の「シティズンズ・ユナイテッド判決」への批判も強まりつつある。
アメリカが違うのは、ダメとなったら専門家や知識人の批判を待たずに住民が直接立ち上がることだ。
今度の大統領選挙で、コロラド州とモンタナ州ではこの判決の是非を問う住民投票が行われ、両州とも勝利した。

法律の話なので、少し解説を加えておかないと分かりにくい。

2010年1月に、シティズンズ・ユナイテッド(NPO)が選挙資金の企業献金の自由化を求めて裁判を起こした。
これに対し連邦最高裁は次のような判断を示した。
①政治献金に対する規制は、言論の自由を保障する憲法修正第1条に違反する。
②企業・団体も「自由人」として選挙への参加を認められるべきだ。

この辺の経過は英語版Wikipediaを参照のこと。

これに対してモンタナ州の住民投票は、「企業に自由人の資格はない」という主張をめぐり行われた。この主張は75%の支持を得て可決された。

コロラド州では、選挙への献金は制限されるべきだ。それは集や連邦の憲法に盛り込まれるべきだ。という主張が住民投票にかけられた。ここでも74%の支持で可決された。

カリフォルニア州では企業や労組の政治献金を禁止するという主張が住民投票にかけられた。さすがにこれは、正しくはあるが多少過激だったようで、55%が反対に回り否決された。

ということで、今回の大統領選挙は、企業の野放図の活動が許された最初で最後の選挙になるだろう(と期待する)。

カリフォルニアではこの投票は敗北したが、州知事の提案した富裕層の増税提案が住民投票にかけられ成立している。
州財務省によれば、これにより今後4年間で140億ドル(約1兆円)の増収が見込まれ、その全額が教育関連にまわされるという。
1兆円というのはすごいですね。これで富裕層がカリフォルニア州から逃げ出すか、そこが最大の見ものになりそうだ。


大統領選の投票が始まった。
おおかたの報道では、まれに見る接戦で、勝負の行方は混沌としているという。
しかし記事の中身を見れば、オバマ優位は明白である。
「大接戦」にして面白おかしく報道して、視聴率を稼ごうというのがマスコミの手口ではないか。
もう一つは両陣営の中傷合戦で、選挙民はうんざりしているという報道。これも選挙戦終盤にはよくある切り口だ。
本質的には中傷合戦ではなく、ロムニーが一方的にオバマを中傷しているに過ぎない。
我々もかつて威勢のいいときは経験したものだ。都庁に赤旗が立つ、とかソ連が攻め込んでくるとか、中国から金をもらっているとか、自由が失われるとか、半端でないアカ攻撃である。
これに対して必要な反論をすれば、マスコミは「みにくい中傷合戦」といって革新勢力を叩くのである。

今回の選挙の特徴は、ティーパーティーなど超保守白人勢力と、大富豪層が連合を組んだことにある。世界を牛耳るアメリカの金融独占は、自らの権利を守るためには悪魔とさえ手を組むことを示した。“Anyone but Obama”である。

彼らのオバマ攻撃は狂信的な右翼の主張と機を一にしている。そして前代未聞の選挙資金をもって、非常識なデマを大量に垂れ流していることにある。それが、本来であればゴールドウォーター並みの泡沫候補であるロムニーを押し上げている。

それはある意味で、彼らが追い詰められていることの裏返しでもある。世界的に投機資本の妄動に対する批判が高まり、規制の動きが強まっている。これは歴史の流れである。

選挙の結果如何にかかわらず、この大企業=狂信右翼連合がどういう方向に動いていくのか、これがアメリカの政治動向を決めるだろう。といってもこの連合が持続するとは思えないが。

共和党大会というのがどういうものか、日本にいるとなかなか雰囲気が伝わってこない。幸いなことに、デモクラシー・ナウの日本語版が、(見出しだけだが)様子を伝えてくれる。

この1週間の見出しから、共和党大会関係のものを書き出してみた。


2012/8/27(月)

共和党全国大会からのけ者に リバタリアンのロン・ポール議員、共和党全国大会での存在感と党の長期的な方向性への影響力確保をめざす

共和党全国大会の周辺でデモ開催へ  熱帯低気圧「アイザック」と厳重警備の中

 「本当のロムニー」: 共和党の右傾化を受け入れるミット・ロムニーについて

労組に非難され共和党で人気、組合つぶしのウィスコンシン州知事スコット・ウォーカーにタンパで抗議

ニュート・ギングリッチ元下院議長、エイキンの「本当のレイプ」発言にコメント拒否

共和党有力者ら、宗教票獲得ねらい原理主義者の世界観を称える

* ロン・ポールは変わり者の議員で、徹底した自由主義と不干渉(リバタリアニズム)を説く。イラク戦争にも反対した。

*エイキン議員は「本当のレイプなら女性の体に防御機能が働き妊娠しない」と発言し、大問題になった。

*大会を機に、一気に共和党が右傾化・人種差別化・狂信化していることが分かる。


2012/8/28(火)

パーティータイム:  企業とロビイストが資金援助したイベントであふれるかえる共和党全国大会

投票時ID提示法で懸念される選挙権喪失とティーパーティーによる「投票監視人」で高まる圧力。

マルコ・ルビオの台頭: ティーパーティー期待のラティーノの星

熱帯低気圧「アイザック」ニューオリンズ接近 「カトリーナ」から7年、再建された堤防に与えられた最大の試練

投票抑圧とロムニー候補へのアフリカ系アメリカ人の支持ゼロについて 

台風で延期された共和党大会1日目 タンパの雨風にも負けず共和党の公約に抗議した数百人

ベインキャピタル社の工場作業員 共和党全国大会に対し、アウトソーシングによる失業回避闘争を展開

*投票時ID提示法は共和党が各州議会で推進する法律。非白人系の投票参加を妨げる目的。実際は、このような不正投票の件数は極めて少数である。

*一般に非白人系は民主党の地盤となっている。マイノリティーの増加により、すでにコロラド州、ネバダ州、およびアリゾナ州が拮抗州に代わった。


2012/8/29(水)

共和党全国大会 ティーパーティのテッド・クルーズが演説。 カール・ローブが仕組んだ「We Built It」スキームを誇示

ロムニー夫妻 共和党極右へアピールするため 中絶や社会問題に関する過去の「穏健」業績には触れず

大統領候補ロッキー・アンダーソン:米国の第3党からの候補者への妨害で手を組む民主党と共和党

大会会議場に視線が集まる中 共和党の重要な決定は密室で裕福な資金提供者たちが決める

ハリケーン「アイザック」ルイジアナに上陸 ニューオリンズで大洪水の恐れ

共和党全国大会場内での混乱 座席規則を変更してまでロン・ポール代表団を妨害

共和党トップへ駆け上がったポール・ライアン議員 「金と迎合」で対キューバ通商禁止令反対を翻す

*ロッキー・アンダーソンは元ソルトレイクシティ市長。イラク反戦運動の支持、持続可能な環境・経済を訴えるなど、進歩的な市長として知られてきた。半年前に正義党を結成し、大統領選出馬を表明している。

*共和党は大企業と大金持ちが牛耳る政党であることも明らかになった。活動家の多くは金儲けの機会を狙うオポチュニストでもある。


2012/8/30(木)

共和党を支援する億万長者の娘 党全国大会でデモクラシー・ナウ!のスタッフのカメラ奪取

マット・タイビ 「ミット・ロムニーの蓄財の秘密は強欲、借金、責任転嫁」

リンカーンに扮したミズーリ州共和党代表:「暴力的なレイプ」と「酩酊した女性のレイプ」

ニューヨーク選出下院議員ピーター・キング「中絶手術を行う医師らは犯罪者」

共和党副大統領指名候補のポール・ライアン、親しみやすさ演出 自己の経歴や故郷の町については嘘

ウィスコンシン州知事、妊娠中絶問題の重要性を否定。会場周辺で数百人が性と生殖に関する権利を求めてデモ

ロサンゼルス市長のアントニオ・ビラライゴサと共和党ラティーノ・リーダーのマリオ・ロぺスが語る  2012選挙戦における移民法改革問題

*たしかにデモクラシー・ナウ!の取材は相当しつこい。

*経歴詐称はネガティブ・キャンペーンの最大の武器。オバマもコロンビア大学卒業の学歴を疑われている。

*キリスト教原理派にみんなが媚を売っている。

*アントニオ・ビラライゴサはマイノリティーの代表として、民主党からロス市長に当選した。マリオ・ロペスとは正反対の政策を実行している。


2012/8/31(金)

共和党全国大会 ロムニーが大統領選候補指名受諾演説。記録的な軍資金をバックに勝利を狙う。

共和党の筆頭軍師カール・ローブ 『ローブ親分』の著者クレイグ・アンガーの質問に冷静さを失う

クリント・イーストウッド 空席の「透明人間オバマ」を相手にとりとめのない一人芝居披露

「民主主義はビジネスじゃない」 コードピンクがロムニー演説の最中に届けた進歩的な声

共和党の最大の資金提供者デイビッド・コークに直撃:富の集中は民主主義を損なわないか?

ロムニーと大物寄付者 握手の瞬間:大統領候補と億万長者の興味深い瞬間を大手テレビ局は放送せず

フロリダ州の正当防衛法の大物支持者ビル・バンティングに トレイボン・マーティン殺害について質問

共和党全国大会参加者がCNN女性カメラマンへ嫌がらせ

テキサス州投票者ID提示法 を連邦裁判所が差し止め

*カール・ローブはブッシュ政権の高官時代に「影の大統領」、「カール国王」などと呼ばれていた。

*コードピンクはイラク侵攻に反対して結成されたおばさんグループ。ピンクの服を着てアピール活動を行なっている。抗議の歌がハモッていたり、賛美歌ぽかったりするのが評判らしい(労働相談・労働組合日記というブログより拝借)

*コーク兄弟は年収215億ドルの富豪。フォーブス番付では5位と6位を占める。ティーパーティー運動と他の何ダースもの右翼運動に資金を提供している。たこ足にひっかけてコクトパス(コークとオクトパス)と呼ばれる。(見つけた 犬としあわせより)

* トレイボン・マーティン殺害事件は今年2月にフロリダで起きた事件。黒人少年(17歳)が徒歩で帰宅途中、自警団のジョージ・ジマーマンに射殺された。オバマは「自分に息子がいたらトレイボンと似ていただろう」と哀悼の意を表した。当局は、正当防衛を主張するジマーマンを釈放した。


ということで、黒人女性侮辱は起こるべくして起きたということがわかる。

へんな言い方だが、これだけ偏った政党が、いまだに大統領選をたたかう大衆的基盤を保持しているということは、まさに白人政党に徹しているからではないか。キリスト教原理主義も、医療保険制度反対も、根っこはそこにあるのではないか。

共和党を支持する国民は、結局のところ、それが人種主義政党であるがゆえに共和党を支持しているのではないか。

そんな気もする今日この頃である。


black-voices

の31日の紙面ではA 'Wake-Up Call'という記事が載った。

この黒人女性カメラマンは Patricia Carrollという名前で、アラバマ生まれの芳紀34歳。本紙の質問に、「この行為は心痛めるものであると同時に、ブラック・ピープルに“目覚めよ”と呼びかけるものだ」と応えている。

事件は、まず二人の大会参加者が女性にピーナッツを投げつけ、係員に連れ出される際に、アニマル云々の捨て台詞をはいたようだ。大会事務局も、「許しがたく受け入れがたい行為」とするコメントを発している。

下記は、彼女の談話だが、公民権運動の時代を髣髴とさせる、土姓ッポネの座ったコメントだ。

かなりの意訳ですが…

私は起きてしまったことを憎む。しかし少しも驚かない。ここはフロリダだ。そして私はディープ・サウスの生まれだ。こんな場所に来たら、どうしなければならないかは分かっている。私は黒人がするべきでないことをした。連中は黒人がCNNのカメラマンなどするはずがないと思っていた。しかし連中は見てしまったのだ。

連中の心を変えることは、私には出来ない。気分は良いとはいえない。

しかし私は、私が誰かは分かっている。私は誇り高きブラック・ウーマン。たくさんのブラック・ピープルが立ち上がっている。これはブラック・ピープルにとって目覚めの呼びかけなのだ。人々はしばしの楽天にあるけど、「私たちはこれまでよりさらに進まなければならない」と考えるだろう。


記事の最後に訂正があった。シャスターはCNNではなくCurrent TVのアンカーで、たまたま事件を目撃したということのようだ。これでCNNの対応の異様なまでのちぐはぐさが理解できる。トゥイッターでばれなければ、ほおっ被りしていた可能性もある。

テークアクション・ニュースというリベラル系のサイトにさらに詳しい情報が載っている。
http://takeactionnews.com/2012/08/29/the-cnn-camera-woman-incident/
参照してください。

この手の話、写真があるないのでは大違い。探しました。
http://jeffwinbush.files.wordpress.com/2012/08/patricia-carroll.jpeg

CNN’s Patricia Carroll became the story instead of filming it.

と、気の利いたコメントが着けられています。
想像通り、たくましそうです。


David Shuster @DavidShuster

GOP attendee ejected for throwing nuts at African American CNN camera woman + saying "This is how we feed animals." 

とのトィッターが発端。シャスターという人はCNNの花形キャスターのようだ。このトゥイッターをKyle Leighton

この記事によると、
*この人物はその後、会場から連れ出された。
*CNN責任者は、取材に対してこの事件を確認したが、詳細については触れなかった。
*犯人が大会代議員なのか、一般参加者なのかは不明である。
*CNNはこの事件に関してコメントを発表したが、ほとんど詳細を明かしていない。
*共和党大会事務局はいまだ見解を明らかにしていない。

ということで、どうもうやむやにするつもりのようだ。
しかし、それではたして済むかな?

原田靖博の内外金融雑感 から

ボルカールールをめぐる米国内の論争の状況がまとめられているブログを見つけたので紹介する。かなり話は難しい。

ボルカールールの概要 

公的支援により経営が支えられている金融機関においては、「投機的取引」を禁止させることを骨子とする。

公的支援とは

①中央銀行から与信を受けている状況、②預金保険が不十分な状況、③経済困難のため公的資金を注入されている状況、などをさす。

投機的取引とは

①自己勘定での有価証券トレーディング(ただし連邦国債、米国内の公債は除く)、

②ヘッジファンドやプライベート・エクイティ・ファンドへの出資(スポンサー行為をふくむ)、

ただし②については三つの例外が設けられる。

a.本来のヘッジのための取引 

b.引受と値付けは短期間で、代行取引であれば認められる。

c.中核自己資本の3%までは少額取引として認める。

 

ボルカーの思い

ボルカー元連銀議長は金融事情に精通しているにもかかわらず、何故、金融界の大勢に抗して、ボルカールールの適用を主張するのであろうか。

ボルカーは1979年から新金融調整方式による金融引締政策を断行した。これはマネーサプライ指標を基準にドル発行高を決めるオーソドックスなドル本位制で、その際短期市場金利の上昇は無視された。

その結果、短期市場金利は、1979年の平均11.2%から、1981年には20%に達した。これにより米国のインフレ率は、1981年の13.5%から1983年には3.2%まで低下し、相当の出血を伴いつつもスタグフレーションは解決された。これが彼の確信となっている。

 

ボルカールール適用を巡る争点

ボルカールールに関して4つの反対意見が提起されている。

①商業銀行による自己勘定取引は、金融システムにとって重要なリスクではない

②自己勘定取引を制限すると、トレーディング市場での必要な流動性が損なわれる

③自己勘定取引を制限すると、米国を本拠とする商業銀行の競争上の地位に悪影響を及ぼす

④規制案はあまりに複雑で遵守のためのコストが大きい

金融界からは

①ボルカールールを厳しく運用すると、市場の流動性が低下し、資本コストが上昇するなど、資源配分が非効率化する。

② 規制の少ない市場(ファンド・ノンバンク等のシャドーバンキング)への資金が流出する。

③海外資本市場との競争が不利となる

④個別金融機関のリスク管理行動に制約を加えることになる。

⑤ボルカールール遵守のために、膨大な報告の作成および対応要員の確保等コスト負担が大きくなる。

 

金融庁および日銀の批判(カナダ、英国、および欧州委員会もほぼ同様の懸念を表明)

①ボルカールールの適用は、グローバルな金融市場の流動性に影響を与える

②外国債の取引が規制されるため、日本国債の市場に対して深刻な悪影響が生じ得る。

③短期の為替スワップ取引が規制されるため、米ドルの資金調達が困難になる惧れがある。

 

ボルカーの反論

「規制当局に対するコメントレター」(2012年2月13日付)ではこのような批判に対してボルカー自身の反論が展開されている。

①に対しては、

自己勘定取引は本質的に投機であり、重大なリスクを伴うことは明らかである。自己勘定取引だけが危機の原因ではないが、重要な金融機関の自己勘定取引における損失発生が要因の一つであることは事実である。

②に対して

トレーディング市場での流動性は必要を大幅に上回っており、高い流動性自体が投機的な取引を促進している可能性がある。過剰な流動性は抑制されるべきである。

③に対して、

自己勘定取引の制限は、利益相反のない体制を構築することとなる。そして銀行の目を本来の目的である顧客のニーズの方に向けさせる。このことにより米国の商業銀行の競争力はむしろ向上するだろう。

④に対して

複雑さと潜在的なコストの高さはボルカールールの責任ではない。それは現代の金融界における大きな課題である。ただし、大規模金融機関の既存のリスク管理実務には根本的な欠陥があることも間違いない。これらのコストはいずれにしても必要だ。

金融規制に際しては単純・明快であることが重要だ。そのためには、銀行業界の前向きな努力が必要だ。そもそも隠そうとするから複雑になるのではないか。具体的には、これまで以上の広範な内部管理と報告制度の整備が求められる。

カリフォルニア州でフォアグラが禁止されたと聞いても、別に痛痒は感じない。
しかしこれがTPPにまでおよんでくると話は違う。

禁止の理由は動物虐待の禁止であり、健康上の問題ではない。だからニューヨークのポテトチップス禁止とはニュアンスが異なっている。

しかし、家畜というのはある意味で虐待され、奇形化されながら出来上がった生物である。そもそも殺して食うというのは最大の虐待だし、生きている間も何らかの拘束をし続けるわけで、これも虐待だ。

和牛や養殖マグロは屠殺する前に「肥育」と呼ばれる過食を強いて、霜降りとか大トロを作らせる。これなぞ、フォアグラとまったく同じだ。鶏の飼い方などはまさに虐待そのものだ。

そうなると、誰かが虐待といえば、明日にはシーシェパードがやってきてもおかしくはない。

ところで、これはTPPに違反している疑いが濃厚だ。フォアグラ生産・販売業者はWTOに提訴することが可能だ。御本家フランスはいまのところ静観の構えだが…

逆切れの場合もある。アメリカはかつて、国内法のスーパー301条を日本の輸出に適用した。フォアグラ禁止が貿易にまで適用される可能性もある。

こういうダブルスタンダードが拡大していくとどうなるだろうか。

アメリカ大統領選が接戦だという。わたしは50年近く前、反共の狂信者ゴールドウォーターが惨敗を喫したように、ロムニーが候補になった時点で共和党は惨敗するだろうと踏んでいたが、どっこいそうは行かぬようだ。

あのアホのブッシュが圧倒的な大差で勝利したときと同じ極右ヒステリーが、米国民のあいだには抜きがたく残存しているようだ。

これはかなり恐ろしいことで、24日のロムニー演説をみると、憂慮すべき事態と考えなければならない。(ただ歴代大統領は実際に就任すると選挙中の論調をかなり緩めるのではあるが…)

1.世界情勢の認識
世界は危険であり、破壊的であり、混沌としている。

2.対ロシア政策
東欧へのミサイル基地建設を断念したことは、ロシアへの一方的な譲歩であり、「同盟国を突然に見捨てた」行為だ。

3.中東政策
イランによる核保有は「世界にこれ以上の危険はない」とし、うらん濃縮活動の停止のために「すべての必要な手段を行使する」と強調。
また、イスラエルを軽く扱ってはならないとし、現政策を破棄する方向を示す。

4.中国政策
「当局が許す自由も選択的で、自由の圧迫には容赦がない。米国との貿易では、特許や知的所有権の恥知らずな違反を行っており、通貨を操作している」
と口を極めて非難するが、具体的な対応には触れず。

5.南北アメリカ
チャベスの脅威を軽く見てはならない。「独裁者チャベスはヒズボラを西半球に招いている」

6.軍事力増強を主張
軍事費の抑制政策をやめると表明。
「私は米国の指導力を明け渡すようなことはしない」
「21世紀は米国の世紀となるべきだ」

これは相当ショッキングなニュースだ。

イラク戦争は終わったもののアフガン戦争は続いている。9.11から2ヵ月後にアフガン侵攻が始まった。すでに10年以上続いている戦争だ。
おそらく戦闘の激しさというより、この長さと永遠の繰り返しが絶望感をもたらしているのだろう。
それが10年を経て、ついに精神の限界に達したということだ。

赤旗によると

米兵の自殺は、今年に入って5ヶ月間ですでに130人を上回り、1日に1人のペースとなっています。
バネッタ国防長官は「繰り返される戦地派遣、絶えず戦闘にさらされること、戦争の悲劇などが軍にストレスをもたらしている」と述べました。

自殺の決行というのは精神の究極の爆発である。これは恐るべき数だ。少なくともその背後に10倍の重症のうつ状態(自傷・他傷をふくむ)、さらにその100倍の精神・神経障害がいると予想される。つまり派遣兵士全員である。

兵士というのは、少なくともリクルートされた時点では、大多数が「健康な青年男子」である。一般社会に比べれば、はるかに対応力の高い集団である。

このままでは米軍は崩壊する。もうアフガンでの戦争は続けられない。大統領選を控えてなかなか身動きが取れないかもしれないが、どんな形であろうと、一刻も早くやめるべきだ。
少なくともやめるという選択肢が残されているだけ米国は恵まれている。アフガンの人々にはそういう選択肢は残されていない。闘って死ぬか、黙って殺されるかの選択しかない。

http://smokingsection.uproxx.com/TSS/2012/01/how-marilyn-monroe-stood-up-for-ella-fitzgerald-civil-rights

マリリン・モンローは公民権を守った

デジタル・ニュース

By J. Tinsley on January 12, 2012

題名が Marilyn Monroe, The Civil Rights Movement Supporter とすごいもので、読まされたが、騙された気もする。要するに、まだ黒人差別の激しかった50年代、ロスの一流クラブでの公演を拒否されたエラ・フィッツジェラルドを、マリリン・モンローが助けてやって、出演できるようにしてあげたという美談。それを後年エラが思い出として語っているという寸法である。

実はトレイシー・チャップマンの文章を書いていて、進歩的黒人歌手の系譜にエラの名も載せたのだが、ネットで出典を固めようとしたら、そのような記載はどこにもない。うろうろしているうちにこの小コラムにたどり着いたというしだいである。たしか矢沢潔の書いた「ピート・シーガー」という本にエラのことが載っていた記憶があるのだが、記憶違いかもしれない。第一そんな本は本棚にはない。


もし誰かにマリリン・モンローを知っているかと聞いたら、ほとんどの人は彼女のセックス・シンボルとしてのイメージを答えるだろう。ジョー・ディマジオとの短い結婚生活、アメリカ史上で伝説となっている、ケネディ大統領誕生日パーティーでのパフォーマンス。あるいはスカートが突風に捲くれた不滅の写真。

しかし彼女が市民権運動を支援したことを誰か知っていただろうか?

普通なら視野に入らないような逸話を、私はインターネットの中の美しいスポットとして、そのことを書き記しておこうと思う。

1950年代、黒人の歴史上の日々への関心、あるいはアメリカ文化への本で読んだ知識というのはいったん脇におこう。

このころエラ・フィッツジェラルドの名声はすでに響き渡っていた。

彼女の才能がどれくらい優れていたかには関係なく、依然としてフィッツジェラルドは不正義に苦しめられていた。その不正義は、その時代に多くの少数民族がこうむったものと同じだった。

「Mocambo」はウェストハリウッドの最初のナイトクラブであった。そこは彼女の人種を問題にして公演を拒否した。

興奮して打ち明けるような口調でエラは語っている。

モンローは凄まじかった。彼女は本当に芯が強い。ついにクラブもそういうやり方が間違いだと認めたのよ。私は掛け値なくマリリン・モンローに借りがあると思っている。「Mocambo」は50年代の人気最高のナイトクラブだったし、そこに出られたのは彼女のおかげだわ。

モンローはモカンボのオーナーに直接電話したわ。そして「エラとすぐに契約してちょうだい」と話したの。「もしそうしてくれたら、私は毎晩正面のテーブルを予約するわ」

そしてそれは本当だった。マリリンはスーパースターだったから、メディアも本気になった。

「オーナーは言ったわ、イエスって。そしてマリリンはそれから毎晩、正面テーブルに座ったの」

それをプレスが追っかけた。

「だから、それからというもの、わたしはもう二度と小さいジャズ・クラブで歌わなくても良くなったの」

エラはこう結んでいる。

「彼女はただの普通の人じゃない。彼女の時代より少し先んじていたの。そして、彼女はそのことに気づかなかった」

 1337013938

24日のオバマの一般教書演説が赤旗で紹介されている。

国内経済に関する部分は、読んでいて胸がすく思いがする。どこかの国の首相の胸くそが悪くなるような美辞麗句とはえらい違いだ。

「少数が豊かで多くの国民が生活苦を強いられる国を選ぶのか、全国民が公平な機会を得て、公平な負担を背負い、同じルールに従う経済に復活させるかの選択だ。問われているのは民主党か共和党かではなく、アメリカの価値観だ」

そのとおり~

「アメリカ自らの製造業、技術力を持った労働者、アメリカの国に基盤を置いた持続可能な経済の構築へ向けた青写真を示す」

ええどお~

「海外に労働力を求める企業に税優遇は行わない。減税は国内にとどまり、国内で雇用を生む企業を対象とする。大企業の税金逃れを防止するため、多国籍企業に一定の税を課す」

しびれますねぇ

「国防費5千億ドルを節減する。戦費縮小で浮いた財源の半分は債務返済に、残りは国家建設のために使う」

かっこいい~

「大富豪の4分の1が中間層家庭よりも税率が低い。公正な税負担のため税制改革が必要だ。100万ドル以上の所得があるのなら、最低でも30%以上の税金は払うべきだ。減税措置の撤廃も必要だ」

30%ねぇ、あほブッシュの前は最高70%なんだけど…

「経済回復への動きがまだ弱いのに、1億6千万人の勤労者への増税を避けることこそ、最も差し迫った優先課題だ。アメリカ国民の98%をしめる年収25万ドル以下の家計の増税をしてはならない」

25万ドル=1900万円? ちょっと高過ぎ?

「こうした政策を“階級闘争”だと呼びたいのであれば、そう呼べばいい。億万長者に、少なくとも自分の秘書と同じ程度の税率で納税してもらう。ほとんどのアメリカ人はそれを“階級闘争”ではなく常識と呼ぶだろう」

わお~、言っちゃった。

「金融危機の引き金になった住宅担保証券に対し、不正調査にむけた特別チームを立ち上げる。庶民の金で危ない賭け事をすることはもう許さない」

日本でこれだけ啖呵切ったら、支持率80%だよね。

一部が下記で見られる。

http://www.cnn.co.jp/usa/30005397.html

日本語訳(抄訳)は下記で見られる。

必読!オバマ演説

英語全文はここで見られる。

http://jp.wsj.com/US/Politics/node_380666

アメリカのこれまでの訴訟では、普通なら、これで幕が引かれることになるようだ。現に最大手ゴールドマン・サックスも今月、5億5000万ドルの和解金の支払いで合意している。

赤旗では、「大手金融機関がかかわる同様の裁判では、事実関係の究明をせず、企業側が法律違反を認めることもなく、SEC側と和解に至ることが通例となってきました」と書かれている。

これは、法律違反が認められると金融機関が株主からの損害賠償請求を拒否できなくなるからという理由のようだ。つまりは一般投資家に泣き寝入りさせるための裏取引ということになる。

スロウ忍ブログ ではこう書かれている。

シティからすれば此の程度の和解金なら安いものである。
此の事件でシティグループは以前、最大40億ドル程度の損失を負う可能性があると云われていたわけだが、今回の和解でSEC側がかなり譲歩した様である。シティ側と米SEC側とで裏取引があったのではないかという疑念すら抱かせる幕引きである。

ところが今回の訴訟は、ここからどんでん返しが始まる。

この事例の担当判事となったニューヨーク南部地区連邦地裁のジェッド・ラコフ(Jed Rakoff)という判事が、シティが提訴内容の認否をしないまま合意した和解案の承認を拒否し、裁判での決着をもとめたのだ。

ラコフ判事は、「承認するための十分な事実が提供されていない」と主張している。つまり、法律違反・不正行為があったのか、あったとすればそれは犯罪行為と認定されるべきものなのかどうか、白黒はっきりさせよう、ということだ。

そのために双方が裁判所に十分な情報を提供すべきだ、ということである。

赤旗にラコフ知事の"強烈な批判”が掲載されている。

和解案は公正でも、合理的でも、適切でも、公衆の利益でもない"neither fair, nor reasonable, nor adequate, nor in the public interest.”
3億足らずの和解金は、シティグループのような巨大企業にとってはポケットの中の小銭同様だ。

ブルームバーグによれば、ラコフ判事はこれまでも、金融機関に責任を認めさせることなく和解を容認したとしてSECの慣行を批判してきたという。

 


こうして筋書きにはなかった第三幕が始まった。

赤旗ではワシントンポストとNYタイムズの記事を紹介している。両紙ともにラコフ支持だ。

ワシントンポスト: SECは米金融界と「近すぎる関係」にある。その背景にはSECから金融界への「天下り」がある。現に今回の裁判でも、SECの元高官がシティグループの弁護団に参加している。

NYタイムズ: ラコフ判事は激怒している。我々すべても激怒すべきだ。法律違反を認めない和解では、米金融界の将来の悪行を抑止する真の力にはなり得ない。

もちろんウォール街占拠運動の連中は大歓迎だ。これこそ彼らがほしがっていたものだ。

Independent Politicol News というブログには、ラコフのせりふが掲載されている。

His full statement is here:

もちろん、いかなる事実も認めずに和解を受け入れるという方針は、当事者間の狭い利害には合致しているのでしょう。

たとえばこのケースでは、まったく何も認めることなく、シティグループは和解について交渉できたのです。

彼らは不注意(negligence)だけを受け入れました。そして非常に軽い罰だけを受け入れました。そして法による救済(injunctive relief)の適用を強く求めました。

なぜならシティグループはこの手の常習犯(recidivist)であり、SECがこの10年間、どんな金融機関に対しても強制力を発揮したことがないと知っていたからです。

SECは、これから3年間、予防措置を講ずることを命じました。それと交換に、シティグループはSECの調査を逃れることができました。これはシティグループの経費をかなり軽減することにつながります。なぜならそれはシティグループの抵当証券の発行業務を4年間にわたり広範囲に調査することになっていたからです

それだけではありません。シティグループは、いかなる投資家がSECに損失の返済を求める仲裁裁定(Consent Judgment)を提訴しても、それを忌避できることになります。

原告の提訴理由が真実だとしたら、この合意はシティグループにとって非常に良い取引です。提訴理由が間違っていたとしたら、それでもこの合意はビジネスをするための軽度でささやかなコストにすぎないでしょう。

結構むずかしい英語です。たぶん、かなり誤訳があると思います。


大変良く出来た記事だが、まだ第一報であり、続報・詳報が期待される。

 

シティグループとSEC、和解は違法

NY連邦地裁が、サブプライムローンに関する損害賠償で、シティグループとSECとの和解案の承認を拒否した。

これだけでは、かなり分かりにくいので少し解説する。


サブプライム: サブプライムとは銀行のつけた呼称で、収入が少なく返済能力の低い階層の人々のこと。

サブプライム・ローン: 銀行はこの人たちに住宅ローンを貸し出した。これをサブプライムローンという。当然、貸し倒れリスクが高い分だけ利息も高くなる。

投資銀行の犯罪: 投資銀行は住宅ローンの債権を証券化し、「債務担保証券」(CDO)という紛らわしい名前で売り出した。このような"金融商品”はジャンク債(劣後債)と呼ばれ、普通は素人は手を出さないものである。

格付け会社の犯罪: しかし、投資銀行はこれを隠して優良債に紛れ込ませ、"利回りの良い優良債”として売り出した。一種の金融詐欺である。そして大手格付け会社はそれと知りつつ"毒入り債”に高格付けを与えた。これも一種の金融詐欺である。

その結果、世界中の投資家がこれを優良債として売買した。

しかしアメリカの住宅市場が低迷するとサブプライム層は次々と住宅を手放した。アメリカでは住宅を手放せば、住宅ローンは解消されるので、膨大な貸し倒れが出現した。

サブプライム・ローンを購入した投資家は膨大な損金を計上し、連鎖倒産することになった。

しかし投資銀行(リーマン・ブラザース以外)は政府資金の投入を受け、命をつないだ。格付け会社には何のお咎めもなかった。信用したほうが悪いのである。

米国政府は銀行を救済するためにドルの大量発行を行った。それは国債の発行と連銀による買い取り(QE2)を通して行われたが、それは膨大な債務として積み上がった。

アメリカ以外の国では、財務内容の悪化は国債の格付け低下と国債利回り上昇をもたらした。資金確保のためには外貨建て国債を発行するほかないので、対外債務の増加となり、債務危機を招いた。


事件がいったん落着した時点で、投資銀行の犯罪行為は追及されなければならない。

ということで、ここからが第二幕

アメリカでは証券取引委員会(SEC)が検事役となった。相手は米銀第3位のシティグループ。シティグループは巨額のサブプライム ローン関連の評価損を計上。3回に分けて総額450億ドルの公的資金の注入を受けている。

まずはSECが行政訴訟を起こした。訴えの内容は次のようなもの。

*シティグループは10億ドル相当のサブプライムローン関連証券を販売した。

*その際、投資家に開示すべきエクスポ-ジャに関する情報を開示しなかった。

*その結果7億ドルの損失を与えた。

しかしその後の交渉の結果、両者は和解案について合意した。そしてこの和解案の承認を裁判所に求めた。

和解案の内容は次のごとくである。

*シティグループはSECに対し2億8500万ドルを和解金として支払う。

*しかし法律違反を犯したことは認めない。ロイターによれば「投資家に誤解を与えたとの訴えの内容を否定も肯定もしない」ということだ。


to be continued

古屋安雄 「キリスト教国アメリカ再訪」 新教出版社 2005年
より抜書き

国民の大多数がキリスト教と自称する国を「キリスト教国」と定義するとすれば、アメリカは、いまなおキリスト教国である。
アメリカ人の85%はキリスト教の信者である。ヨーロッパ諸国と比べても、ずば抜けて教会員が多く65%を占める。さらに、毎日曜日の礼拝に出席する「信心深い」信者が40%に達する。
これに対しドイツ(旧西独)の信者は44%、イギリスは37%、フランスは35%、スエーデンは27%である。

アメリカのキリスト教は第二次大戦後に隆盛を迎え、ベトナム戦争で衰退し、レーガンの時代に保守化した。
保守化とは主流派の衰退と保守派の台頭の合成像である。

79年にJerry Falwell がモラル・マジョリティを創設。「国民道徳を守る上で、離婚、崩壊過程、妊娠中絶、青少年犯罪、乱交、麻薬中毒の罪を弾劾しなければならない」と宣言した。
これらのキリスト教右翼は、レーガン政権と結びながら勢力を拡大した。


これだけ"occupy"運動が拡大すると、訳語が欲しくなる。
お散歩英語」というページを見ると、以下のように説明されている。

”占有する,占める”という意味の英単語で、
語源はラテン語の ”oc(の方へ、上に),capere(つかむ,取る)”。
”空間や時間をがばっと取ってしまう”ってイメージでしょうか、
そこに他のものが入る余地があまりない感じ?
占有する,占領する という訳からも想像出来るように
、 本来自分のものではないこと、或いは一時的なことに対して
使われることが多いようです。

上述の説明からは、"乗っ取る"という言葉が一番近いようです。
be occupied という言葉も、自分自身が乗っ取られるという感じだとぴったり来るようです。


オハイオ教育協会のホームページが、闘いの内容を詳しく伝えている。訴えの力点は、「これは予算の問題ではない。オハイオ州民の権利に対する攻撃な のだ」という点にあった。

そして攻撃の対象となっている“公務員”が公務員一般ではなく、まして高級官僚や月給泥棒でもないこと。地域でともに暮らす「普通の人」(ミドル・クラス)であると同時に、現場の教師であり、消防士であり、看護婦であり、巡査であり、公共生活の担い手であり守り手である、という当たり前の事実を前面に押し出したことである。

そして、公務員法は「普通の人」の権利を侵害するものであり、公務員法を廃止する闘いは「普通の人」の権利を守る闘いなのだと訴えることで、「普通の人」支持を獲得したことだった。

闘いにこれといった秘訣はない。主戦場は州民投票(イシュー2)ではなく、州民投票を要求する署名行動だった。ボランティアが総がかりで戸別訪問を繰り広げ、130万の署名を集めた。1100万の人口の1割以上に署名させたのである。

署名行動は選挙と同じ位置づけで行われた。カンパも選挙並みに集められ、事務所が設置され、テレビでのスポット宣伝も有効に行われた。このCMは教職者協会のホームページで見ることが出来るが、きわめて印象的なものである。

これでもう州民投票は勝ったようなものだった。

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Pat Frost-Brooks, right, president of the Ohio Education Association, hugs Sue Taylor, of the Ohio Federation of Teachers, after Issue 2 was defeated handily Tuesday, Nov. 8, 2011. The two were at a We Are Ohio victory party at the Hyatt in Columbus.

3月にティーパーティ派知事が制定し、11月の州民投票で廃止されたオハイオ州公務員法の要点を紹介する。橋下前知事のやろうとしている中身と瓜二つである。

http://www.cleveland.com/politics/index.ssf/2011/11/issue_2_early_ohio_election_re.html

Here's what Senate Bill 5 does:

①団交権の否定

オハイオ州におけるおよそ36万人の公務員の団体交渉権を制限する。

それまでの労働組合法(団体交渉法)は、労働者に賃金、労働時間、労働条件などの広範な問題について交渉する権利を与えている。そして更新期限を迎えて雇用者側が変更を望む事項があれば、団体交渉で確認されなければならなかった。

SB 5の下で、労働者は以前の労働条件を変更するに当たって団体交渉する権利をもはや持たない。

たとえば医療保険の変更などは、これまで交渉の主要な議題だったが、もはや交渉にかけられることはない。

主要でないいくつかの話題は 経営陣が同意する場合だけ交渉の対象とすることが出来る。

②「管理権」の絶対化

「管理権」として知られるこれらの主張は、 従業員の資質(employee qualifications)を決定する権利、始業・終業時間、仕事の割り当て、昇進規則などをふくんでいる。

③スト権の否定

公務員がストライキをすることを禁止する。

④労使仲裁システムの拒否

労使の仲裁システムは排除される。労働組合と管理側の対立が行き詰まりに陥ったとき、第三者が介入して調停案を課すことは拒否される。

これに代わり行政体、たとえば市議会が、労組との契約における「最後の声」となる。

⑤非組合員からの協力金徴収禁止

「公平な割当料金」(Fair share fees)を排除する。「公平な割当料金」は組合に加入しないことを選択した労働者からも、組合の貢献に対して負担金を求める制度で、これまでは、雇用の条件として労使協定にふくむことが可能だった。

⑥休暇制限と、未消化休暇の買取

個人休暇(3日)、有給休暇(12日)が頭打ちとなった。使わなかった病気欠勤やバカンス休暇を退職時に清算することが可能になった。

⑦年功賃金制度から歩合制へ

年功に基づく自動的な賃上げは廃止され、歩合給システムを確立する。

労働者が解雇される時、年功を"考慮すべき唯一の要因"とすることは禁止される。

⑧医療、年金の自己負担拡大

公務員に要求する。医療コストの少なくとも15パーセントを払うこと、給料の少なくとも10パーセントを年金の掛け金として支払うこと。



Ohio Labor Movement Defeats Anti-Union Bill and Its Wealthy Supporters

by: Mike Ludwig, Truthout | Report

オハイオの労働運動は今日はお祝いだ。有権者が火曜日に共和党のジョンKasich知事に大掛かりの一撃を加えたからだ。Kasichは元リーマン・ブラザーズ社員で、フォックス・ニュース・パーソナリティという経歴を持つ。2010の共和党の地すべり勝利において選ばれた。

州の有権者はKasichが昨年提案した 反・団体交渉法を廃止することを圧倒的な差で票決した。Senate Bill 5 (SB 5)と呼ばれるこの州法は、61%対38%の大差で無効とされた。

SB 5は、オハイオの350,000人以上の公務員のための集団的交渉権を制限した。一部の労働者の医療費と年金コストを上げた。SB 5は一回の投票によって3月にオハイオ議会を通過した。10,000人の労働者ボランティアは、SB5をオハイオ法によって認められた州民投票にかけるために、ただちに動き始めた。

ボランティアは、6月までに先例のない130万の州民投票要請署名を集めた。巨大なボランティアの努力は、 労働組合の作戦を特徴づけるようになった。それは重要な振動州(key swing state)で草の根の労働運動を生き返らせた。

SB 5に関する州民投票は、より広い視野からはKasich知事に対する不信任投票とみなされた。

Kasichは言った。SB 5は行政当局が厳しい経済の時にお金を節約するのを援助すると。しかしウィスコンシン州マディソンで、そして他のswing statesで、抗議が荒れ狂った。SB 5は共和党の戦場州(battleground states)における公務員と団結に対するより幅広い攻撃を反映している。

彼らの選挙運動費はおよそ4000万ドルに及んだ。それは2010年の知事選に費やされた費用に匹敵する。キャンペーンは労働組合と中産階級の支持者から資金を集めた。それによって企業の秘密献金、富裕層、州外の利害関係者からの資金に対抗した。

労働者の結集体「We Are Ohio」は彼らの財源の全てを報道して、3000万ドルを集めた。その大部分はオハイオの労働組合と公立学校の教師グループからのものだった。

共和党にリンクされたグループはSB5を擁護する立場から「Building a Better Ohio」を結成した。金を集める非営利的な会社をセットして、彼らの財政を明らかにすることを避けた。しかし最近のTruthoutの調査により共和党の資金繰り計画が明らかになった。

「Building a Better Ohio」を結成するに当たりKasich知事は「Make Ohio Great」から支持を受けた。「Make Ohio Great」は共和党知事会 (RGA) のフロント組織である。この組織はKasichの2010年の選挙を支持することに1100万ドルを費やした。

Make Ohio Greatは、Better Ohioに与えたお金の量を現さなかった。SB5を守る宣伝に費やした費用も明らかにしなかった。しかし2010年の記録を見ると明らかだ。RGAは資金をmiddle-manを介して提供している。出所は民間の健康管理会社、コカ・コーラやウォルマートなどの企業だ。それは州外からの資金で、ひそかにKasich陣営に渡されている。

Make Ohio Greatは100万ドル以上を使って、Kasichを支持するテレビ広告を行った。莫大な州外資金がBuilding a Better Ohioの財源を形成した。

Building a Better Ohio は10月の遅くにその貢献者の名前を現した。しかし寄付額は明らかになっていない。

SB5支持のキャンペーンは、Make Ohio Greatを通じたオハイオ州の富裕層、大企業、オハイオ商工会議所とRGAの金で支えられた。

結局は、SB5支持のキャンペーンは廃止運動の勢いに拮抗することに失敗した。廃止運動への支持があまりにも巨大だったからである。

それは疲れを知らない何千ものボランティアの支援と中流階級の財政支援を受けた。彼らは、オハイオ州の警察官、消防士、教師の集団の声を無視しようとする態度を拒否したのである。


橋下らは日本版ティーパーティであることが分かる。大企業の手先であり、その中の野蛮な役割集団である。

この集団に対してどう戦えば勝利できるのか、オハイオの経験は教訓的である。彼らが何を言っているのではなく、彼らが何なのかを明らかにして闘うことが重要である。



11月4日の記事で、占拠運動の最初の成果として、ラピッドカード手数料徴収計画の撤回をあげたが、オハイオ州の住民投票はケタが違う。真っ向からの力勝負でティーパーティに勝利した大闘争だ。

この住民投票は、改悪された公務員法に対し、法律の廃止をもとめたもの。

対象となった法律は、去年の選挙で当選したティーパーティ派の知事が、公務員の団体交渉権を剥奪し、その上で医療保険給付や年金の引き下げを図ろうと提案したもの。この提案は州議会の賛成を経て、今年3月に成立した。

公務員組合は、労働者の基本的権利の剥奪だとして糾弾するとともに、以下のように訴えた。

①富裕層に富が集中する一方で、中間層の所得が停滞している。この中で公務員の権利を奪い生活を脅かすことは、中間層全体の活力をさらにそぐ結果となる。
②公務員の地位が不安定になれば、地域社会にも悪影響をもたらす。

なかなか一般市民には飲み込みにくい論理だが、この論点で、住民投票を求める署名を開始した。

オハイオ州はエリー湖に面し、クリーブランドを抱える大きな州、人口も1千万人を越える。北海道と東北を合わせた規模だ。ここで署名運動は130万人を結集することに成功した。

そして8日の住民投票では60%を越える支持を獲得し、改悪法を廃案に追い込んだ。

すさまじい底力だと思う。そしてティーパーティの躍進は一過性のものに過ぎなかったことが分かる。そしてウォールストリートの占拠運動が、いかにアメリカ国民の琴線に触れつつあるかが実感される。

この闘いから、私たちは多くのものを学び取る必要があるようだ。とくにスローガンの件では、赤旗報道ではいまひとつ不分明だ。フォローを期待したい。

2,3日前のブログでオークランドのストライキの記事を紹介した。

そのとき気になったのは、占拠運動の若者たちにストライキを決行するような才覚があるのか? ということと、なぜ1万人のデモ隊がオークランドの港に向かったのか? ということである。

そこでネットで調べて見たところ、以下のような動きが明らかになった。

日本語情報の多くは、中核系諸君のサイトを参考にさせていただいた。彼らはどういうわけかアメリカの港湾労組とコンタクトがあり、そこから情報を収集したようである。

以下、時系列で紹介する。


10月10日 青年たちが「オークランドを占拠せよ」行動を開始。その後10日あまりの間に市庁舎前の広場に150のテントが設営される。

10月25日 オークランド市警、市庁舎の前に張られていた占拠運動のテントを撤去。警察は、催涙ガス銃を人々に向けて至近距離から発射、抵抗する参加者90人を逮捕する。

10月26日 占拠運動の参加者グループ、港湾労働者の支援を受け市庁舎前広場を再び占拠。11月2日に市民ゼネストを決行すると宣言。

10月27日 デモ参加者に対する警官隊の攻撃。デモ参加者で帰還兵スコット・オルソンが頭蓋骨骨折で重態となる。オルソンは海兵隊員として二度にわたりイラクに派遣された経歴を持つ。

10月28日 港湾労働組合の幹部が連名で、1934年のゼネストの伝統を引き継ぎストライキを決行すると宣言。

10月29日 港湾労組、チームスターがストライキ突入。港湾機能がストップする。

11月01日 ストライキ前日までに教員組合、市役所労働組合、チームスターズ、建設労組、看護師組合、食品労連などがストライキ決議。アラメダ郡中央労組評議会(100労組、10万人)がストライキ支持の決議。

11月02日 市民ゼネストが決行される。港湾当局は安全が確認されるまで港湾を閉鎖する。


レーニンがどこかで「労働組合は活動家の最高の養成場所である」というようなことを書いていたが、今アメリカでそれが実証されているのは皮肉なことである。

アメリカのNPO「公正な課税を求める市民」が大企業の法人税を調査した。
対象はフォーチュン番付の全米上位280社。対象期間は08,09,10年の3年分。
その結果GE,デュポン、ボーイングなど30社が3年間法人税を払っていないことが明らかになった。これら30社の3年間の総利益は1600億ドルに達する。彼らだけで560億ドル(5兆円)も税金を免れた計算だ。日本で言うと消費税1%で2兆円とされるので、2.5%分に相当する。

ほかにも3年のうち法人税ゼロの年があった企業は78社に達する。

280社を合わせてみると、3年間の平均実効税率は18.5だった。法定税率は日本と同じ35%だが、実際には各種の優遇措置により半分に減らされていることになる。

国家の仕組みが、法定税率による税収が正常に存在していることを前提として運営されている以上、これでは財政赤字が増えるのは当然である。

まずは実効的に35%の法人税がかかる仕組みを整備することが必要であろう。研究開発など各種優遇が必要であれば、法人税は40%に引き上げた上で行われるべきではないか。

11月2日、西海岸の大学町オークランドで「オークランドを占拠せよ」の呼びかけたデモに1万人が参加したという。オークランドといえば、ベトナム反戦運動の発祥の地だ(正確に言えば隣のバークレイ)。50年ぶりに昔の友にあって、「元気でやってるぞ!」と声をかけられたような気分だ。
注目されるのは UC の反応。大学当局が職員1300人に自宅待機を指示したという。あのときの弾圧姿勢から見れば180度の転換だ。たぶんあの頃やられた連中が、いまは当局内部にいるのだろう。
それにしても1万人はすごいなぁ
たぶん「若者はどこにいるんだ?」くらい、おじさんたちが出張ってるんだろうな、と想像している。

米下院は前回選挙でティーパーティ派が躍進。反民衆派の牙城となっている。
この間、一貫して反オバマ、反改革で動いてきたことはご承知の通り。
とくに最近では、政府の打ち出した雇用対策法案に対して、富裕層増税に反対する立場から成立を妨害している。
ウォール・ストリート占拠運動も明らかにこの連中を標的としている。

したがって彼らへの支持率がどう動いて行くのかが、アメリカ政局の焦点となっている。
ギャラップ社の世論調査が発表されたが、議会を支持するという国民はわずか13%に下落した。

これを見たオバマは、これまでの融和的態度をやめ、対決姿勢を示すことにより自らの支持を拡大しようとしている。

こんな時期に、まだ馬鹿なことをしいることが明らかになった。「われらは神を信じる」という米国の公式標語を再確認するという決議を、数を頼みに成立させたのである。

オバマは演説でこう言ってこき下ろした。
記念コインのデザインについて議論しているわけじゃあるまいし、そんな決議で人々に職が戻るのか。雇用対策をやる時間がないといいながら、そんな決議を上げる時間はあるのか。

数ヶ月前の債務上限議論のときとは、ずいぶん雰囲気が変わった。もはや大方の国民にとって、ティーパーティは悪者・愚者になりつつあるようだ。これもウォール街占拠行動の賜物なのか。

バンカメが発行するデビット・カード。アメリカのようなカード社会では生活上不可欠なアイテムとなっている。これの利用時に手数料をとろうというのがバンカメの目論見だった。
赤旗の報道によると
計画発表から1ヶ月で、反対運動が巻き起こり、ボイコット運動も提起されていた。ウォール街占拠運動でもスローガンの一つになった。オバマ大統領は「利潤をもとめて消費者を虐待すべきではない」と発言した。
バンカメの撤回声明では次のように述べられている。
「我々は顧客の声を傾聴した結果」計画を撤回する。「顧客の声こそもっとも大事なものであり、手数料導入の計画はこれ以上進めない」
バンカメ以外にも、ウェルファーゴ、JPモルガンなどが計画を撤回した。
消費者運動団体は
「庶民が闘うなら、ウォール街を押し返せるということが示された」との声明を発表した。

これまで個別に闘っては跳ね返されてきた諸運動が、占拠運動というコアーを共有することで一つのうねりになる可能性が示された事件と思う。
成果は確信になる。エンゲルスの「イギリスにおける労働者階級の状態」で、それは鮮やかに示されている。世界の人民は200年前のところからやり直そうとしているのかもしれない。

ニューヨークでウォールストリートをシンボルとして始まった占拠運動だが、全米に拡大しつつある、ということは知っていた。
しかし情勢はそういうレベルではない。まさにこれは全国闘争になっている。
驚いたのが、ロスの市議会の支持決議。赤旗記事を紹介する。

「経済危機は、市民を混乱に陥れ、財政上の安定も生活の質も脅かしている」
こんな一節から始まる市議会決議は、上位1%の富裕層が米国の富の40%を支配している米社会の現実を告発。
言論や集会の自由を定めた米国憲法修正第1条を「平和的で力強く実践している“占拠運動”を市議会は支持する」とうたっている。

約50人で始まった行動は、今では広場で寝泊りする人が900人になるまで広がりました。ロスのAFL・CIO地域組織も支持を表明し、テントを張りピザなどの食糧支援を始めました。

ということで、もはや地域ぐるみの運動となりつつあるといえる。「王様は裸だ!」ということが大多数のひとたちに見えるようになって来た。

青年たちが掘った水路に、多くの国民が吸い寄せられ、奔流となって動き始めた。とくに労働運動の立ち上がりがきわめて注目される。これがあるから運動が浮かない

大統領選挙に無理やり収斂させられてきたアメリカの大衆の声が、労働者と青年の共同という形で下から積みあがっていくという、新しい政治行動のスタイル が生まれつつあるのではないか、そんな予感がする。

「ウォール街行動1ヶ月」と題して、赤旗が特集を行っている。
いくつか面白い内容があるので紹介する。
13日深夜 ニューヨーク市は清掃を口実とした宿泊者の追い出しを断念。NYタイムズによると、公園を所有する不動産会社が追い出しを計画。これを市当局も容認していたが、占拠行動を支持する議員が説得した結果、直前になって延期を決定したとされる。
17日 NYタイムズにクルーグマンが寄稿。「ウォール街の反応は“軽蔑した無視”から“泣き言”に変わりつつある。彼らの怒りは数百万の米国人の心を揺り動かしつつある。ウォール街の泣き言は、少しも不思議ではない」と述べる。
15日 サウジの「アラブ・ニュース」紙の論評が面白い。「現在も続く世界経済の低迷に関して金融機関が果たした役割について、人々の意識を覚醒させることが行動の動機であり、その目的は政府の腐敗と1%の人間の強欲に賛同しない人たちを先導していくことにある」
17日 コネティカットの大学による世論調査が発表された。抗議者の抗議の内容に対し、67%が同意すると答えている。しかし政党支持別に見ると、共和党支持者では同意するのは35%に過ぎない。まだ多くが幻想にとらわれていると見なければならない。
「経済低迷の責任は誰か」との質問に対しては、ブッシュ前政権、ウォール街、連邦議会のワーストスリーで合計80%。オバマ政権と答えたのはわずか11%で、敵は見破られている。
結局これからの運動で頑迷な共和党支持者の壁をどう崩して行くのかが見極めになりそうだ。

この闘争は遠からず終局を迎えるだろう。しかしその種子は全米、全世界に広がるだろう。
この闘争はいろいろな運動と似ている。日本で言えばテント村運動だ。かつての全共闘やべ平連とも似ている。運動に近づきすぎると全体像を見誤る危険がある。この運動はサーファーなので、肝心なのはサーファーを動かす巨大なうねりだ。つまり労働運動と青年運動の合流だ。
若者は闘いを求めている。文字通り一触即発だ。しかし本格的な闘いに参加するのはためらっている。それは当然だろう。
だから一種のお祭り騒ぎで、権力からも攻撃されないような最小抵抗線を選ぶ。スローガンも一見戦闘的で、実体としてはあいまいなものを選ぶ。本当に闘おうとすれば、一生を棒に振る覚悟をしなければならないからだ。
そこを労働者が後押ししている。後押しするということは、一面からいえば、「この道は一度信じたら逃げられない道なんだよ」という覚悟を迫ることでもある。だからあいまいなスローガンの割には闘いの基本線がぶれない。これが「ウォールストリート占拠闘争」の大きな特徴だ。
もうひとつの巨大な変化は、労働運動自身の階級意識の先鋭化だ。率直に言ってAFL・CIOが占拠運動を支持したことさえ信じられない。かつてのAFL・CIOといえば反動の手先、というより主柱のひとつだった。それが占拠行動の支援に参加するとは時代も変わったものだ。

しかし傘下の主力組合の名前を見て行くと、それもうなづける。大企業の労働者たちは労働運動から遠ざかり、いまや看護婦や教師やトラック運転手などの周辺産業労働者がAFL・CIOを支える時代となっている。労働運動の再生が問われる時代を迎えているのだ。
NYタイムズに紹介された内部討論の中身を見ると、慎重論者もふくめて、基本的にはやる気満々なのが分かる。「それは俺たちの課題だぜ!」という感じが伝わってくる。
何よりも、この労働者と青年の結びつきに注目しながら、事態を引き続きウォッチして行きたい。


1万人が大行進に参加

10月05日 ALF・CIOのトラムカ議長、「ウォール街に説明責任と雇用創出を求める彼らの決意を支持する」と表明。「若者の行動を横取りするつもりはない」、「われわれは全米でデモ参加者を支援し、今後も互いに協力し合っていく」と述べる。ALF・CIO(米労働総同盟産別会議)はアメリカ最大の労働センターで、1220万人の組合員を組織する。

ニュー ヨーク・タイムズが内部の議論を紹介している。
AFL・CIO幹部 は「今が具体化の時だ」と言い、多くの労組は運動への参加をコミットした。
一部幹部は、彼らは労組を「運動を取り込み運動を疎外する者」とみて反発するだろうと懸念した。
他の幹部は、政府糾弾を叫ぶ極左活動 家に悩まされるのを恐れた。
しかしある労組では、下部組合員から「我が労組はなぜウォール街にいないのか」と突き上げがあったという。

10月05日 占拠運動への連帯デモ行進。参加者は1万ないし2万人規模と推定される。ズコッティ公園(通称・自由広場)を出発し、約1キロ北の連邦ビル前までかねや太鼓を鳴らして「ウォール街を占拠せよ」などと訴えながら行進した。

10月05日 連邦ビル前での打ち上げ集会には運輸関係の労組や教職員組合、看護師の組合など約15の労組、ホームレス支援団体など20以上の市民団体のメンバーも参加した。

参加した労働者は、「若者が声をあげているのは、すばらしいことだ。彼らは大学に行くにも金がなく、学費を獲得するのに大きな借金を背負うが、卒業しても職がない」と連帯の気持ちを示す。

10月05日 夕方後に一部がバリケードを設置。バリケードを押し進もうとする約200人の参加者に対して警察は催涙スプレーで応戦する。この衝突で若者数名が逮捕される。

10.05 抗議活動の拠点になっているリバティスクエアには数百人のデモ隊が泊まり込む。支援の食料・物資が豊富に出回っている。(肥田美佐子のNYリポート

広場には市内や全米各地からの注文で届いたピザや水が常にある。組織はかなり確立されてきて おり、合議を導く「ファシリテーター班」、救急箱を持って歩く「医療班」、食料の寄付や調達を仕切る「フード班」がある。なかでも、メディア班は重要な役割を果たしている。広場の真ん中に発電機を備え、常に数人がパソコンに向かい、合議やデモの様子をほぼ24時間オンライ ンの動画で流すほか、ツイッターやウェブサイトの更新から、警察の暴力を撮影したビデオを動画共有サイト「ユーチューブ」に貼付ける作業をしている。

10.05 ガイトナー米財務長官、占拠運動を念頭に置きながら「市場が提供できない重要な経済機能がある。それは政府と政治が実行すべきだ」と強調。

政界の発言が相次ぐ

10月06日 オレゴン州ポートランドで占拠運動を支持する約4,000人のデモ行進。ほかにヒューストン、タンパ、サンフランシスコ、フィラデルフィア、シカゴ、シアトルなど全米十数カ所でもデモが発生する。

10月06日 オバマ大統領がデモ運動に対して最初の発言。

発言要旨: 米国民は20年代の世界恐慌以来最も深刻な金融危機を経験し、米国の各地、各業界が大きな損失を被った。
②にもかかわらず、金融業界は依然として無責任な行為がはびこっている。
③『ウォール街占拠」』をはじめとする抗議デモからも国民の不満は明らかだ。

10月07日 バイデン米副大統領も 「ウォール街を救うための駆け引きにより、国民に不和が生じている。国民は体制に不公平さ、不平等さを感じている」と語る。

10月07日 エリック・カンター共和党院内総務、「デモ参加者はいずれも暴徒だ」と発言。民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務は、カンターを批判し、「民主主義は表現の自由を認めている。デモの主張がウォール街や政治の場に届くように支援する」と発言。

10月07日 ブルームバーグ・ニューヨーク市長、「金融業は市の経済にとって重要な要素で、金融業がなくなれば、公務員に給料を払うことも、街を清掃することもできなくなる」と非難する。

10月07日 英フィナンシャル・タイムズが論評。「大手労働組合も参加したデモでは参加者に無邪気さがなくなり始めた。デモ隊の理想主義にどこか説得力があるだけに、左翼と結びつくのは残念だ」と警告し、「デモ隊はまもなく強制退去させられるだろう。しかし我々は彼らを忘れない」とおちゃらかす。

10月07日 AFL・CIO、占拠運動を支持することを決定。傘下の地方公務員組合連合(AFSCME)と通信労組(CWA)、合同運輸労組(ATU)、全米看護師組合(NNU)の4労組もデモに加わり始める。

10月07日 米民主党、「反企業ポピュリズム」がはらむ危険に対処しつつ、階級闘争の責任を負わされずにそのエネルギーを利用しようと動く。(肥田美佐子のNYリポート

10月07日 “富裕層”からも共感する意見が発せられるようになる。

①ダラス地区連邦準備銀行のフィッシャー総裁は「あまりに多くの人々が仕事を失い、その期間もあまりに長い」とし、デモをする若者たちに対し「不満は理解できる」と述べる。
②ゼネラル・エレクトリック(GE)の金融事業部門、GEキャピタルの最高経営責任者(CEO)を務めるマイケル・ニール氏もロイター通信に「人々は本当に怒っている。理解できる。私が今失業していれば、同じように怒るだろう」と語る。

10月08日 約1千人がズコッティ公園からワシントン・スクウェア・パークまでデモ行進。

10月09日 ワシントンでもホワイトハウス周辺で「人口の1%の富裕層の貪欲と腐敗」に抗議する集会。(参加者は100人程度で、この位は年中行事。あせった外国記者が手近のワシントン取材でお茶を濁そうとしたものか)

10月10日 数百人の大学生がボストン中心部をデモ行進。「企業ではなく教育に資金を」などと訴える。

10月11日 ボストン市内の公園で1週間以上にわたってテント生活をしていた占拠運動参加者が、住居侵入罪で一斉逮捕される。

10月12日 数百人のデモ隊が、JPモルガン・チェース本部前で抗議活動を行う。この行動で4人が逮捕された。

10月12日 ウォール街近くで事務所清掃員や警備員が経済的不平等に抗議するデモ行進。

10月12日 ブルームバーグ・ニューヨーク市長がズコッティ公園を訪れ、14日に同公園を清掃することをデモ参加者らに通告。同時に参加者が法を順守する限り使用継続を認めるとも表明。

10月12日 ロスアンゼルス市議会、「オキュパイ・ロスアンゼルス」運動を支持するとした決議を全会一致で可決。市議会による公的な支持の表明は初めて。

10月13日 占拠運動の全国連絡組織「オキュパイ・トゥゲザー」、最低でも全米118の地域でかつどうが行われ、計画中のものは1367に上ると発表。


 



労働組合の合流の動き

9月27日 労働者の合流が始まる。週5日制配達に反対する郵便労働者がリバティ・プラザで集会を開く。コーネル・ウェスト教授が演説し2千人の聴衆を集める。

9月28日 全米運輸労組(チームスター)に属するニューヨーク運輸業労働組合が占拠運動の支援を決議する。「ウォール街に集結した抗議者の声は、まさに労働者の家族の声である」との声明を発表。10月05日に大規模な集会と行進を予定し、参加を呼びかける。

9月29日 サンフランシスコで占拠運動に共鳴するグループが銀行への抗議行動を計画していると報道される。

9月30日 2回目の週末を迎え、労働組合の代表含む1,000人以上の参加者が、弾圧に抗議し警察本部までデモ行進を行う。

9月30日 ニューヨークのブルームバーグ市長、「抗議する権利はあるが、抗議に煩わされない権利もある」と述べ、運動を抑止する姿勢を示す。

9月30日 AFL‐CIOのリチャード・トラムカ会長、「労働組合は全国レベル、地方レベルの双方で『ウォール街占拠』に参加している」と発言。

9月30日 ボストンでは労働組合や市民団体など34組織でつくる活動団体が結成され、デモ行進などを実施。ロサンゼルスでは市内の広場から市庁舎までデモ行進。バンク・オブ・アメリカ(BOA)のビルのロビーからの退去を拒否したとして、参加者25人が警察に逮捕された。

9月30日 ニューヨーク市立大の歴史学教授ジェラルド・レニークが、占拠運動を支持するコメント。

今起こっている現象は、金融業とカジノ資本主義を基盤とする奇態な経済モデルの総決算だ。この運動が提起しているのは、“我々には新しい選択肢が必要である”ということだ。その選択肢は、「文明の新しいモデル」というべきものだ。

ブルックリン橋の大量逮捕事件

10月01日 雨模様にもかかわらず、若者など2000人以上がウォール街に集結。「富裕層に増税を!」「99%の米国人よ、声を上げよう!」などと訴えた。集会後ブルックリン橋方面にデモ行進を開始する。

10月01日 ブルックリン橋の大量逮捕事件。5千人のデモ隊を警察が襲い、700人が逮捕される。

10月02日 ブルックリン橋事件の動画が公開される。アップ主は「警察が“参加者が交通に支障をきたした容疑で逮捕するために、橋の車道を歩くよう誘導した」と主張する。

10月02日 昨日の大量逮捕に対する抗議行動に1千人が結集。コロンビア大学のジョゼフ・スティグリッツも抗議行動に参加し発言。

スティグリッツの発言: 2500万人が正規の雇用に就けない現状を考えれば、こうした運動が起きるのは自然で、むしろ遅すぎたくらいだ。現状を変えようという大きな運動の始まりなのだ。

10月02日 オキュパイ・ロスアンゼルスの市庁舎へのデモに3千人が参加。一部は市庁舎周辺で泊り込みを開始する。

10月02日 グーグルとツイッターが、ウォール街での抗議行動に関する記事の検閲に踏み切る。「ウォール街を占拠せよ」をグーグルで検索すると、「このブログは削除されており、ご利用できません」と表示されというもの。またツイッターもアクセス件数の多い、「ウォール街を占拠せよ」のタグの追加を阻止する。

10月03日 参加者数百人が「企業ゾンビ」に変装しウォール街を練り歩く。

10月03日 ニューヨーク市中央労働組合評議会の呼びかけで、全米運輸労組ローカル、介護・看護労働者労組、全米鉄鋼労組、教員連盟、米国通信労働者組合がシティーホールに結集。占拠運動の支援策を協議。

メディアがこぞって占拠運動を取り上げる

10月03日 CNNニュースが全国の占拠運動について報道。ウェブサイトには「革命が起きつつある。ただニュースにならないだけだ」とのスローガンが掲載される。そして全米に広がるこうした動きを「さまざまな人種、性別、政治理念を持った人々による指導者のいない抵抗運動」 と表現。唯一の共通点として「1%による腐敗と私利私欲をもはや容認できなくなった99%が我々だ」と述べ、米国の富裕層とそれ以外の層の間には深い溝があると指摘している。

10月03日 ヘッジファンドの元凶と目されてきたジョージ・ソロスがインタビューに応え、「アメリカでは多くの中小企業が倒産する一方、銀行の不良資産を事実上軽減するような決 定が銀行に巨利をもたらしている。率直に言って(デモ参加者の)気持ちはわかる」と表明した。

10月03日 オノ・ヨーコ、デモを称賛するネット発言。「英雄一人では事をなし得ない。我々一人ひとりが英雄にならなければ」と激励する。

10月03日 ニューヨーク日本総領事館は占拠運動に「興味本位で絶対に近づかない」よう呼びかける。

この日、“興味本位”でリバティスクエアを訪れたある日本人の感想: ほとんどの人に共有された問題意識があることは、リバティスクエアで何人かの人と話せばすぐに気づくことです。
それは雇用不安や借金づけの経済が限界に来て多数の人々が崖っぷちに立たされているということ、その原因は一握りの株主・企業経営者やそれ と癒着した政治家などの富裕層が政治経済を支配して自分勝手な政策をやってきたことにあるという考えです。強欲・利益が人間の尊厳よりも優先される現在の行き過ぎた資本主義を変えなければ明るい未来はない、といった思いです。
富裕層の進めてきた新自由主義政策(自由市場が何でも解決するという考え)は完全に誤りでした。 ミドルクラス幻想はもはや米国でも色あせていて、ほんの一握りの富裕層と虐げられた我らという階級感覚が生まれています。「私達が99%だ」という一番人気のあるスローガンがそのことを象徴的に示しています。この感覚が多くの人に共有されているからこそ、占拠運動への支持が広がっているのだと思います。

「ウォール街を占拠せよ」(Occupy Wall Street)運動の経過

 むかし、レーニンの創設した新聞が「イスクラ」といって、火花という意味だそうです。「一片の火花がたちまちのうちに燎原の炎となって燃え広がる」とうたった詩があって、これからとったそうです。そんな学生時代を思い出しました。

運動の引き金

7月13日 カナダのエコ・グループがウォール街での平和的なデモ運動を提案する。これにニューヨークの若者グループが合流。

さまざまなレポートを総合すると以下のようになる。
①カナダのバンクーバーにある環境問題を扱う雑誌「アドバスターズ」の編集者カレ・ラースンが、「アラブの春」革命に感動した。
②ラースンが感銘を受けたのは、ツイッターが若者を結び付け運動の発火点になったことである。彼は同じようにツィッターを出発点にした運動を始めようと思い立った。
③ラースンは、この雑誌が持つブログに、「9月17日にウォール街を占領しよう」との呼び掛けを発表した。
④「米国人の上位1%が、下位90%をあわせたものより、さらに多くの所得を上げている」、「銀行家らは景気のよい時は私腹を肥やし、破産寸前に追い込まれると、政府に借金だけ押し付け、国民を失業者に追い込んでいる」などと主張する。

8月23日 ハッカー集団「アノニマス」がこれに賛同し抗議運動への参加を呼びかける。

最初の占拠運動

9月17日 ウォール街占拠行動がはじまり、推定1,000人が集まる。「われわれは99%だ。強欲で腐敗した1%にはもう我慢できない」がメインスローガンとなる。警察は“リバティ・プラザ”でのテント設置の禁止とデモ規制を行う。このため参加者の多くはウォール街の歩道を歩き続ける。

初日のデモで掲げられたプラカードの内容(ウィキペディアによる): ①政府による金融機関救済への批判 ②富裕層への優遇措置への批判 ③「グラス・スティーガル法」の改正による金融規制の強化 ④高頻度取引の規制

9月19日 この日7人が逮捕される。ウィキペディアによれば、ビルに立ち入ろうとした二人が逮捕され、顔が見えないマスクをつけていた4人組が逮捕される。

9月18日 広場で「総会」が開かれる。5時間にわたる討論の後、翌日からウォール街でデモを展開することを決定。

逮捕につながるような行為はせず、ウォール街の通行人を妨害しないなどを議長団が提案。挙手による投票で満場一致で提案を承認。またデモに行く 「アクション班」と、今後の問題を考える「ディスカッション班」に分かれることでも合意。(「総会」に居合わせた津山恵子さんの貴重なレポート)

9月19日 広場に残った青年ら500人がニューヨーク証券取引所前を練り歩く。行動は午前9時半の株式市場 取引開始時と、午後4時の取引終了時の2回。段ボールのプラカードや太鼓・ラッパを持って歩道を歩くだけ。その後この行動が日課として定着する。

1.jpg

MikSの浅横日記より拝借

9月19日 カレントテレビがデモを取材。以後カレントテレビは連日抗議行動を報道。取材に当たったオルバーマン記者は、「なぜ主なニュース番組でこの抗議運動が取り上げられないのか? もしこれがティーパーティーの運動だったら、主要メディアは毎日トップで取り上げているだろう」と批判した。

9月19日 オバマ大統領、今後 10年で約3兆ドルの財政赤字を削減する計画を発表。その約半分を「ブッシュ減税」の廃止など、高所得の個人や企業に対する増税でまかなう計画。

9月22日 黒人人権運動のグループによる2千人のデモがウォール街占拠運動に合流。このとき行進参加者2人が逮捕される。

9月23日 ガーディアン紙やニューヨーク・タイムスが占拠運動を批判的に紹介。警察はリバティスクエア(正式にはズコッティ公園)の「占拠」については基本的に不介入の姿勢 をとる。(世間の注目と共感の高まりがリバティスクエアを支え守っているのは確かだと思います、とのコメントあり)

9月23日 「シカゴを占拠せよ」と呼びかけた連日デモが始まる。

9月23日 米Yahoo!、抗議行動のサイト名(occupywallst.org)をふくむメイルをブロッキング。ヤフーは事実を認めたうえで、スパムフィルターの誤動作によるものだとし謝罪。

最初の衝突 80名が逮捕

9月24日 週末に合わせ全米から参加者が結集。警察は「住宅地区への行進でいくつかの通りが混乱した」ことを理由に大量逮捕に乗り出す。この取締りで少なくとも80人が逮捕された。

9月24日 弾圧の模様がインターネット上でアップロードされ、「若い女性が警察官に催涙スプレーをかけられる」場面が注目を集める。

9月24日 津山さんのレポートによれば、1000人あまりの新手の参加者が自発的にデモ行進を敢行。このデモ隊がニューヨーク市警と衝突し、100人近い逮捕者が出たという経過のようだ。

「一網打尽」方式: 現場にいたスペイン人のマリウスさん(19)によると、警察は何もしていない女性2人に催涙ガスを使用し、動揺した通行人も含む90人あまりが、警察が 広げた赤い網の中に囲い込まれ、逮捕された。警察は、逮捕者を運ぶ車両が足りないため、通りかかったニューヨーク都市交通局のバスを止め、全員を警察署まで運んだという。

9月25日 「アノニマス」がYOUTUBEに動画をアップロード。警察に対し「36時間以内に残虐行為があれば、ニューヨーク市警をインターネット上から消去する」との“脅迫”を発表する。

9月26日 占拠運動、催涙スプレー事件の当該警察官の収監と警察委員長の辞任を要求。この日の夕方、映画監督のマイケル・ムーアがリバティ・プラザで演説を行う。またチョムスキーが運動を強く支持するとのメッセージを発表。(マイケル・ムーアは2009年製作の『キャピタリズム:マネーは踊る』の終場面、ウォール街を包囲するといって単身で金融機関のビルに突進する)

オバマ大統領が金持ち増税をふくむ財政再建策を打ち出した。共和党はこれに激しく反対している。そんな共和党議員の一人が「オバマの政策は階級闘争だ」と非難した。いまのところオバマは「階級闘争ではない。これは算術の問題だ」と切り返すに留まっている。
しかしことは明らかに金持ち階級に対する抗議に進んできている。ウォールストリートを埋め尽くした若者たちの群れは、明らかに「階級闘争」を闘っている。
19世紀、マルクス以前から存在した言葉が、なんと新鮮な響きをもっていま響くのだろう。「そうだ、これは階級闘争なのだ!」と世界中の人々がいま思い始めている。

リバイバルするのなら、もう一つリバイバルしてほしい言葉がある。それは「無産者」という言葉だ。元々はプロレタリアートの訳なんだろうが、プロレタリアートだって、もともとの英語やドイツ語ではないだろう。

共産主義を非難するときに「財産が取り上げられる」と攻撃するが、考えてみればたいていの国民は取り上げられるほどの財産なんてありはしないのだ。つまり「無産者」なのだ。
その誤った考えを取り除くのに、「無産者」というのはとてもいい言葉だと思う。

テント村運動は「支援する」運動だったが、ウォール街の運動は「無産青年」たちが自ら立ち上がった怒りの「階級闘争」なのだと思う。さらに注目していきたい。


共産党の政策委員会の垣内さんがバフェットの税金をいろいろ計算してくれた。
これだけの苦心はもっと広げないといけない。
以下引用する。

*バフェット氏の税負担を1ドル80円で計算すると、32億円の年間所得に対して5.5億円の連邦税を払った計算になる。

*連邦所得税の最高税率は35%だが、証券取引は最高15%に抑えられているため、税率が下がった。推計では所得の88%が証券取引によるものということになる。

*この収入構成を日本の税体系に当てはめると、税率は11%にまで低下する。所得税の最高税率は40%だが、証券取引への課税は7%(国税)に過ぎないからである。

*地方税を合わせれば日米間の格差はさらに広がる。トータルの負担率を試算すると、ネブラスカ州で25.7%、ニューヨークだと30.2%。これに対し日本では14.8%にしか達しない。

試算にはいろいろな仮定が入っているが、算定の根拠はしっかりしています。よく調べてくれました。ご苦労様でした。

オバマ大統領は19日、先日議会での演説で検討中としていた総額3兆ドルの赤字削減案を発表した。共和党幹部はこの提案を「階級闘争だ」と非難した。

1.5兆ドルを富裕層増税などの税制改革で削減。

①富裕層に対するブッシュ減税の打ち切りで0.9兆ドル削減。
②税の抜け穴や石油産業などの税優遇を撤廃。
③年収100万ドル以上の富裕層の税負担を引き上げ。

2.イラク・アフガン撤退で1.1兆ドルの削減。


3.公的医療保険の無駄な支出を抑制
ただし富裕層増税なしに、高齢者医療保険支出を抑制することは拒否。

というから、たしかにあからさまにけんか腰だ。これでは、いまの議会の力関係では通らない。通らないことを覚悟のけんかだ。そういう意味ではまさに「階級闘争」だ。

オバマは国際的世論が自分に味方し、共和党に批判的であることを感じているし、国内にも潜在的な支持層が分厚く存在していると感じているようだ。
そして勝負は議会での数だけではないことを感じているし、それを大衆の支持でひっくり返すことは可能だと革新しているのだろう。彼は大恐慌の後のF.D.ルーズベルトを意識しているのかもしれない。

バフェット発言について勉強すると書いたが、その結果を以下に記しておく。

バフェットの発言というのは、そもそも「ニューヨーク・タイムズ」紙への寄稿であり、それは8月15日の紙上に掲載されている。

題名は Stop Coddling the Rich  (金持ちを甘やかすのはやめろ)

各紙の報道を総合すると、バフェットは以下のように語っている。


 

私や私の友人は、億万長者に優しい議会によって、もう十分に甘やかされてきた。貧困層と中間層がアフガニスタンで我々のために戦い、大半の米国人がやりくりに苦しんでいるというのに、われわれ超富裕層には桁外れの税優遇が続けられている。

政治家たちは『痛みを分かち合うこと』を求めてきた。だが、そのなかに私は含まれていなかった。大富豪の友人らにも「どの程度の痛みを覚悟しているのか」と聞いてみたが、分かったのは、彼らも対象外だということだ。

わたし自身が昨年支払った所得税、給与税などの連邦税は693万8744ドルである。額だけなら高額に聞こえるかもしれないが、所得との比率で言えば課税所得の17.4%にすぎない。いっぽう、わたしの職場にいるスタッフ20人の税率は33~41%だ。平均で36%にも達する。私の税金は一番低い。

金持ちの中には、私よりもっと税率が低い人もいる。ある投資マネジャーは、何十億ドルも所得があるのに、その15%しか税金を払っていない。1992年には、トップ400人の高額所得者がIRSに対し、支払う税金の比率は、29.2%だった。2008年時、この比率は、21.5%まで落ち込んでしまっている。その一方で、中間層には最大25%の所得税が課されている。

収入に対する定率性が復活されなければならない。人口の99.7%は100万ドル以下の収入の人々である。その課税率は現状維持とすべきだ。その一方で、配当やキャピタルゲインなどで100万ドルを超える課税所得者24万人については、直ちに増税をすべきだ。さらに年収1000万ドルを超える8千人には、より高い税率を適用すべきだ。

増税が投資や雇用創出に影響することはない。富裕層に重税を課すと、投資意欲を削ぎ雇用にマイナスに働くと叫ぶ人がいる。しかしそれは嘘だ。20世紀末の20年間、私に対する課税率は、もっとずっと高かった。1976年にはキャピタルゲイン税率は39.9%だった。それでも4千万件の雇用が創出されている。

しかし富裕層減税の導入後には、雇用創出数は減少している。人々が投資するのはお金を増やすためだった。投資熱は、増税があるかもしれないというだけで冷え込むことはなかった。私や私の周囲の投資家は、意味のある投資に着手することをやめたことなどない。

議会は経済危機に対処する能力を持っているのか、米国人は議会に疑問を抱き、信頼を失いつつある。政治家は今こそ、犠牲の分かち合いについて真剣に考える時だ。

いま非常に多くの国民がほんとうに苦しんでいる。迅速かつ現実的で実のある内容を伴った行動が必要だ。そういうときなら、なおさら、富裕層の多くも増税をいとわないだろう。そうではないか。


ウォーレン・バフェットは今年80歳。いまも投資持株会社「バークシャー・ハサウェイ」(Berkshire Hathaway)最高経営責任者の地位にある。フォーブスによる世界長者番付で3位に入る大富豪である。

いっぽうでネブラスカ州オマハに住んでいることから、「オマハの賢人」とも称され、神託(Oracle)とも称される独特の発言によりカリスマ的人気を博している。日本でもほとんど信者と呼べるほどの熱狂的な支持者が大勢いる。たしかにスターウォーズのヨーダの風貌に似ていなくもない。

ロイターによれば、バフェットが富裕層への増税を訴えかけるのは今回が初めてではない。昨年11月にもABCニュースのインタビューで、高額所得者は「相当多く」の税金を負担する義務があると語っていた。そういう意味では新味はない。

したがって語った中身が問題ではなく、そのタイミングが問題なのだという。米連邦債務上限の引き上げなどで米国の財政問題に関心が集まっており、2012年の米大統領選挙でも財政問題や税制が大きな争点になるとみられていることが、この発言の意義だととらえる。

連邦債務上限引き上げ問題は民主、共和党双方の議員を巻き込んだ泥沼の攻防を招いた。8月2日の期限直前で債務不履行は回避されたが、議会への国民の信頼は大きく揺らいだ。

オバマ政権は財政難打開のため、ブッシュ前政権が導入した富裕層減税措置の停止を求めているが、共和党は財政赤字削減は歳出の削減を通じて行うべきだと主張し、富裕層減税を頑なに拒否している。

このロイターの記事のニュアンスは、バフェットの発言を時局がらみのエピソードとして描き出すことにより、その衝撃をできるだけ軽く見せたいという心理が働いているように思える。

 


さすがに日経はフォローした。バフェットの発言は無視できないからだろう。朝日、読売、毎日はロイター電を一度載せただけでおしまい。産経は記事をネットから削除した。一体改革を推進するのには都合が悪いと考えたのだろう。

長者番付3位バフェット氏「甘えた富裕層に増税」(産経新聞) - goo ニュース という9月6日付のニュースが閲覧不能になっている。未だ10日も経っていないから、抹消されたようだ。

ということで、「バフェット増税発言の波紋」(NY特急便) と題された藤田和明記者(米州総局編集委員)の署名記事が8月25日付で報道された。以下に紹介する。

米国内ではバフェットへの反論が噴出している。

アメリカン・エキスプレスの元経営トップは「既に毎年2兆ドル強集めている税金をまず賢く使 うべきだ」と主張した。「俺は出すつもりはないよ」ということだろう。一部にはバフェットを偽善者扱いする論調もある。「俺は慈善もしないが偽善もしないよ」との開き直りだ。「連邦政府への寄付制度があるのだから、難しいこと言わないでそうしたら」と忠告する向きもある。

ということで藤田記者の取材の範囲ではあまり好意的な意見はなさそうだ。これでは実も蓋もないと見たのか、藤田記者は「フランスでは、産業界の16人が連名で富裕層への一時課税を提案。財政赤字の削減へ貢献する意思を表明した」と付け加える。

これが「波紋」のすべてだ。藤田記者はバフェットに好意的なポジションはとっているが、その発言は軽い。

「バフェット発言は、自分たち富裕者の責任表明と同時に、税金を使うワシントンの政治家にも覚悟を求める意味で、重い問いかけとなっている」

こんな紋切り型の結論では、まったく発言の「重さ」が伝わらない。


過去20年の特別減税で、富裕層の税率は低下し続けてきた。 NYタイムズによれば、米国人トップ400人の税率は29.2%が21.5%へと低下した。いっぽう課税所得は169億ドルから909億ドルに急増している。しかも88人は労務所得がない。つまりなんにも働いていないのである。

ウォール・ストリート・ジャーナル(8月19日)には肥田美佐子さんがかなり長い文章を載せている。日本語で読める文章としては最も詳しく背景を説明している。そこには恐るべき数字が連打されている。

 

 政府債務上限引き上げ問題では共和党が増税阻止を死守した。その直後の8月2日、ムーディーズは米国債格付けに際して「金持ち減税」をマイナス材料と判断。減税継続なら格下げ判断の基準のひとつにすると警告した。

とにかく米国の「格差大国」度に拍車がかかっていることは確かである。米国トップ0.1%の超富裕層が約46兆ドルの富を抱えている。これだけでも驚嘆する額だが、一説ではこの富が2020年までにさらに225%アップし、87.11兆ドルに達すると言われている。オフショア資金のほ うは、今後10年間で100兆ドルを超える見込みだ。

ちなみにこの調査結果では、日本の富裕層が米国に続いており、現在、10兆ドルの資産は 2020年までに約19兆ドルに膨らむものと予想される。

経済誌『フォーブス』によると、米国の富豪トップ400人は、15年前に年収の30%を納税していたが、今では平均18%にダウンしている。主な理由は、03年のブッシュ減税導入によるものだ。長期キャピタルゲイ ン税率が20%から15%に、配当税率が35%から15%にカットされた。

1955年に連邦政府の歳入の27%以上を占めていた法人税は、昨年には9%以下に激減した。米会計検査院(GAO)によれば、米企業の3分の2が、1998年から2005年にかけて連邦所得税を納めていない。タックスヘイブンへの資本移転 や生産拠点の海外への移動などのせいである。

 翻って、米国の中流層や低所得層の苦境ぶりは鮮明だ。米民間世論調査機関ピュー・リサーチ・センターが7月26日に発表した調査結果では、米国の全世帯 の2割に当たる約6200万人が、資産ゼロか負債を抱えている。

米誌『ワークフォース』によれば、伸び悩む年収と物価高を乗り切るために「必要な物しか買わなくなった」米国人が70.5%、食費を抑える人も42%という高率に達している。

フードスタンプ(低所得者層向けの食料配給券)受給者は全米で約4580万人。これは今年5月の数字だが、前年同月比で 12.1%増となっている。6年前には2570万人だったから、2倍近くに増えたことになる。貧困化が急ピッチで進んでいることが分かる。

ニューヨーク州では、約302万人が、政府の援助なしには食事にも事欠く状況だ。8月2日に成立した財政赤字削減策の下で社会保障費がカットされる と、貧困率(09年時点で14.3%)が倍になるという調査結果も出ている。


下記のページにドイツの資産家の増税を求める動きが記録されている。2011年8月24日にドイツにて放映されたテレビ番組を起こしたものである。

Maskenfall ★Real Democracy Now★

ただし数字には信頼性が欠ける。



米国勢調査局が米国民生活調査を発表した。
一世帯の年収は4万9千ドルで、昨年に比べ2.3%の減というから相当なもの。円にすると78円換算で390万円、日本より大夫低くなる。日本の世帯あたり収入は400万円ちょっとだったはず。
ついで貧困者比率。
米国統計では4人家族で2万2千ドルを貧困ラインとしている。円で言うと170万円、月額14万円である。これは貧困ではなく飢餓ラインである。
貧困層人口は4600万人。15%である。生保基準を当てはめれば20%を軽く超えるだろう。
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Wikipediaより

エスニックの問題があるが、白人でも10%に達している。母子家庭の貧困率は32%に達している。ティーパーティの財政縮小の主張は、暴動覚悟の狂気の沙汰だということが分かる。

9月8日 オバマ大統領の議会演説

アメリカの経済は危機に直面している。低迷する経済を底上げするためにも、雇用を前進させる計画がもとめられており、この法案を即時通過させるよう議会に求める。

議会の経済に対する議論は迷走している。景気回復への支援に一丸となって取り組むべきだ。われわれが政治的な騒ぎを停止し、実際に経済を支援するために何かできるかが問われている。

この法律ですべての問題が解決できるとは主張しないが、対策が緊急に求められていることも間違いない。

最終的に、米景気回復をけん引するのはワシントンではなく、米国の企業や労働者だ。だが、われわれは支援できるし、変化をもたらすことができる。

演説の中で、オバマは共和党が富裕層増税に反対していることを非難。

「億万長者への減税を維持するのか、子供たちの大学進学や就職を援助する教職員を職に戻すことに使うのか、これこそ真の対決だ」と述べた。

オバマは4470億ドル(約35兆円)の雇用創出計画を打ち出した。当初予想は3千億ドルとされ、1.5倍化されたことになる。

①1千億ドルが社会基盤への支出。350億ドルが学校の近代化と交通プロジェクト、空き施設の復旧、教員28万人や臨時職員の雇用確保などを柱とする支出。

②給与税の減税。給与の10万6800ドルまでを対象とし、およそ半額にする。小規模企業を対象に雇用主負担の給与税半減と新規雇用への税優遇措置。

③失業者支援を620億ドルに拡充。

③財源としてメディケア(高齢者医療保険制度)費縮小などを含めた約2兆ドルの財政赤字削減。

ウォールストリート・ジャーナルの10日付社説は「米国債格下げで目を覚ます米国民」と題する社説を掲載している。結論から先に言うと、経済混乱をもたらしたのはオバマ政権の責任であり、財政支出の抑制が求められているというものである。「火災警報器を解除しようとするのはやめて火を消す努力を始めたほうがいい」と表現している。

まず、オバマの登場をもたらしたものは何かという点から触れている。

誰もが終わってほしくないと思っていた数年間にわたる信用拡大は2008年に突然、金融危機に発展した。当時、政権の座にあった共和党は何の説明もしなかったため、有権者は危機にあって一番冷静に見えた大統領候補を支持した。

つまり、08年に金融が危機状況にあったことは認める。そして共和党(すなわちWSJの党)が金融危機の発生に責任があること、そして拱手傍観したことも間接的に認めている。
しかし危機打開のためオバマが打った手についてはすべて否認している。

民間の信用バブルの影響からようやく脱しつつあった経済に対し、民主党は何兆ドルもの財政出動を行ない、債務を膨らませた。金融システムが混乱をきたすなか、民主党は金融パニックを引き起こしたとして銀行を厳しく非難し、2000ページにもわたる新たな規則を課した。

ようするに、経済は自らの力で「民間の信用バブルの影響」から抜け出しつつあったのに、オバマは余計なことをしてくれたというのが、議論の根本的な出発点である。

細かいことだが、ここでは論点のちょっとしたすり替えがなされている。前段でははっきりと危機、あるいは金融危機という言葉でリーマン・ショックを捉えている。しかし後段になると、危機という言葉は注意深く避けられている。

このことで株屋たちは自らの責任を糊塗し、茶会党の尻馬に乗って投機資本への規制や金持ち減税の廃止をつぶそうとしているのではないか。危機であれば財政出動は当然だ。銀行屋や株屋を助けたいわけではないが、波及効果を食い止めるためにはやむをえない。そうやって助けてもらったのは誰なのか、挙句に被告人の身で、「余分なことをしてくれた」と嘯くのか。
医療改革や雇用の問題は、それはそれでいろいろあるが、とりあえず関係はない。国債発行額が巨額に達したのは金融危機回避のためなのだから。それが危機だったのか、ちょっとした混乱に過ぎなかったのかの判断が一番のキーポイントだ。

なおことのついでに、日本にも触れている。

債務負担が増え続けても国民が何も言わず、政治家の決まり文句を受け入れている方がはるかに心配だ。日本はそんなふうに20年にもわたる停滞を甘受してきた。

これはまったく原因と結果を取り違えている。こう言うべきだ。
日本は財界と政治家の決まり文句を受け入れて、そんなふうに20年にもわたる停滞を何も言わずに甘受してきた。そのために債務負担が増え続けてきた。

こうやって見ると、連中の論理のトリックがよく分かる。

フードスタンプというのはSupplemental Nutrition Assistance Program (SNAP)のこと。
低所得者が食料品を購入するさいに、その一部が補助される制度である。
対象者は4人家族で月収2400ドル以下となっている。ほぼ日本の生保基準に近い。
農務省の発表で、受給者数が4600万人に達した。これは国民の約15%=7人に一人に相当する。
リーマンショックの08年で2800万人だったから、3年間で1.6倍に増えたことになる。まさに貧困大国だ。

アメリカのデフォルト危機はいくつかの要因の結果である。双子の赤字といわれる貿易赤字と財政赤字だが、これをGDPの上昇と資本収支の黒字(連邦債の発行)で補ってきた。リーマン・ショック後のGDP増加率の停滞が、財政赤字に火をつけた。それが連邦債の返済を困難にさせている。
ここまでは常識。
米政府の行政管理・予算局は財政赤字の直接的な原因を次の三つに求めている。すなわち、①富裕層減税による税収低下、②失業者の増加に伴う失業給付の増加、③アフガン戦争による戦費増大。
ということで、これらはすべてブッシュ共和党政府の責任。こういう点では原発事故と似ている。

アメリカはオバマ改革になお抵抗している。金持ち優遇税制は昨年10月で失効するはずだった。しかし中間選挙での共和党の躍進によりそれは不可能となった。
しかしオバマが好きか嫌いかを問わず、いやおうなしに、アメリカはアフガンから手を引かざるを得なくなるし、金持ち減税も廃止せざるを得なくなるだろう。三つの要因のうち二つが片付けば、未だアメリカはやれると思う。オバマにとっては花見劫だ。
しかし失業問題はオバマの足を引っ張るかもしれない。
再選を勝ち取るためには金持ち階級との対決姿勢を強める以外に手はないが、メディアを使った総攻撃に果たして耐えられるだろうか。
9.11後のアメリカ国民の狂気のような愛国心を経験した私たちからすれば、たしかに見通しはかなりきついと思う。アメリカの再生は、オバマを当選させた民衆がふたたび決起するか否かにかかってくるだろう。


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