鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

13年4月、ぷらら・Broachより移行しました。 中身が雑多なので、カテゴリー(サイドバー)から入ることをおすめします。 過去記事の一覧表はhttp://www10.plala.or.jp/shosuzki/blogtable001.htm ホームページは http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」です。

カテゴリ:01 国際政治/経済 > A 国際政治/アメリカ

トランプを押し上げたティーパーティー

トランプとティーパーティーの関係を取り上げた記事は意外に少ない。

中では

2016/09/23 米保守派ティーパーティー、トランプ氏支持を表明 - WSJ を紹介する。

ティーパーティー運動の有力団体である「ティーパーティー・パトリオッツ」が、トランプのために、激戦州に資源を投入すると発表した。

団体代表の発言

ヒラリー・クリントンはティーパーティーが象徴する全てのことと対立している。一方、ドナルド・トランプはわれわれが核としている価値観を守るために戦うと約束した。われわれはトランプを選ぶ。

上下院で共和党が多数派を占め、トランプがホワイトハウスに入れば、ティーパーティーの政策が法制化される可能性がはるかに高まる。

ただしWSJは「今年5月までは、ティーパーティー系はトランプを冷ややかに受け止めていた」とあるが、地下ではいくつかのティーパーティー系組織が動いていたとの報道もある。いずれにしても9月の正式見解発表よりはるかに前からトランプ支持で動いていたことは確実である。


ところで、日本ではティーパーティーは既に過去のものという見方が広がっていた。冷泉彰彦 トランプ「大統領選撤退」に見るティーパーティーの凋落

しかしブームとしてのティーパーティーは終わっても、思想としてのティーパーティーはその勢力を拡大させていた。

思想としてのティーパーティー

ウィキによればTEA は「もう税金はたくさんだ」(Taxed Enough Already)の頭文字だそうだ。彼らの旗には「俺を踏みつけるな」と書かれてる。

ペイリンをアイドルとする組織から、今ではさまざまな潮流に分かれ、それぞれが運動を積み上げている。ただそれが地方で草の根で展開されていたために見逃されていただけだ。

中西部の町はどこも日本の地方都市と同じだ。職がない。商店街はシャッター通りだ。

労働者はいまやいない。残るのは公務員ばかりだ。だから公務員に非難の眼差しが注がれる。

教師、看護婦、警官、消防士エトセトラだ。

彼らは税金泥棒だ。給料を下げろ、年金を下げろ、組合も政治活動も禁止しろ、病院も学校も民営化しろ、黒人やヒスパニックに対する援助などまっぴらだ…という具合に話は進んでいく。

火事や泥棒などは自分で自衛する。スラムは放っとけばよい。当然、社会保障や医療保険など問題外ということになる。

これは本来大金持ちのリバタリアンの主張だ。弱者は共同体の中で助け合わなければならないのだ。

こうやって金持ちにうまいこと乗せられて、自分で自分の首を絞めているということがわからない、自分が弱者だということがわからなくなってしまっているのだ。

一通り、ニュースとしては出回った。
抜けているのは、トランプ当選を支えた地方の保守原理主義運動の実態である。この運動がかつて基幹産業で栄えた北部にも拡大し、力関係を逆転させてきたという経過だ。
これからいろいろ評価が出てくるだろう。
全体としてトランプ見直し色が強まるだろう。
庶民の声を反映しているのだという捉え方も、運動の視点としてはだいじだと思う。
そこまで切羽詰まってしまった世の中の矛盾の表現だ、という見方も出るかもしれない。
経済、外交、軍事では、公約そのままでは到底やっていけないから、何らかの手直しはされるだろう。
それを見て「トランプも案外常識人だ」などと考える向きも出てくるかもしれない。
しかしそれで評価を見誤ってはいけないと思う。
だからこれからの新政権を見ていく上で、評価の基準をはっきりと定めて置かなければならない。
① 白人優位主義と異人種排斥→民族浄化の動き
② 医療保険と最低賃金制度への攻撃→新自由主義のさらなる徹底
③ 反対派への逆襲→言論の自由への攻撃
とくに③については、地方でこれまでもティーパーティにより反リベラル・反労働者行動が展開されてきた。これがオハイオやウィスコンシンなどから全国に拡大し、一層強化される危険がある。国際ニュースにはなかなか載らないので、注意深く見守る必要がある。

下記の記事をご参照ください
2011年11月14日

2011年11月11日

2011年11月10日


トイレの男女別がなくなる?

別に差別主義者ではないと思っている私だが、流石にこのニュースには驚いた。

単独のトイレ、男女の区別は禁止-NYが制度化 2016 年 6 月 22 日のWSJ

というもの。

ニューヨーク市では来年1月1日から、共有スペースのないトイレはすべて「ジェンダーニュートラル(性別不問)」にすることが義務づけられることになった。市議会が21日、共有スペースのないトイレに男女別の表示を禁止する条例を47対2の賛成多数で可決したためだ。

デブラシオ市長は“自己の性認識に基づいた公衆トイレ利用”のため、2200カ所の公衆トイレに対して必要な対応を行うことを義務付けた。

「からだと心の性が一致しないトランスジェンダーの人たちにとって好ましい環境を作る簡単な方法だ」とされているが、ポリティカル・コレクトネス(政治的・社会的に差別や偏見がないこと)が度を超した一例だとの批判の声も出ている。

これだけでは良く分からないが、WSJは相当気合を入れてこの問題を報道している。

例えばノースカロライナ州では、出生証明書に記載された性別に応じて公衆トイレを使うよう義務付けるという「反動」的な法律が、成立している。

何故この法律が成立したかというと、この州法に先立って、同州最大の都市シャーロットの議会が、男性用あるいは女性用を自己の性認識に基づいて利用できるとする条例を可決したからである。

一方で明らかに憲法に違反すると思われるような例も出てきた。

テキサス州ヒューストン市の住民投票では、性別による差別の禁止をゲイ(同性愛者)やトランスジェンダーにも広げる条例を圧倒的多数の反対で否決している。

言い方はややこしいが、つまるところ、ゲイやトランスジェンダーに対する差別は許される、差別しても構わないということだ。この論理を拡大していけばリベラルもムスリムにも差別が許されることになる。

しかしこれは、そもそも住民投票にかけること自身がおかしいので、これでは下からの民主主義破壊になってしまう。

また、いくつかの州では「宗教の自由」法の制定が検討されている。これは宗教の自由を口実にして、企業が宗教上の観点から同性愛者と働くのを拒否することを可能にしようというもので、もはや憲法もへったくれもない。

学生の頃、学校には女子トイレが圧倒的に少なく、女子トイレを作れという女子学生の運動が盛んだった。

トランスジェンダーの選択の自由は、その先の段階にある話なのだろうが、やはりピンと来ないところはある。

むくつけき男が「私は女よ」と言って女子トイレに入ってきたとき、他の女性にはそれを拒む権利はないのか。

答えは「ない」ということだ。そもそも女子トイレという概念がなくなってしまうからだ(ただし共有スペースのないトイレの場合)。

こういう独善と押し付け倫理の傾向はアングロサクソンに特有なもので、かつての禁酒法、いまが盛りの禁煙運動などと軌を一にするものだ。(と、密かに私は思う)


サンダースとニューディール政策

サンダースのルーズベルトに寄せる強い親近感については、ピケティも注目している。

朝日新聞の「ピケティコラム@ルモンド」という記事にそのことが触れられている。いずれ消える可能性がある記事なので、要点だけ紹介しておく。

1.ルーズベルトのやったこと

ルーズベルトの時代、米国は不平等の是正のため、野心的な政策を進めた。

高い累進性を兼ね備えた所得税と相続税とを生みだした。

また米国は、30年代にはすでに最低賃金を定めている。現在のドルに換算すると、その額は60年代末に時給10ドルを超えていた。

2.戦後のアメリカ

年収100万ドルを超える層に課された最高税率は、ケネディ大統領までの時代は91%だった。相続税にも70~80%の高い累進税率が課された。

ドイツやフランスで最高税率が30~40%を超えたことはほとんどない。

高い生産性と教育体制のおかげで、失業はほとんど生まれなかった。

南部でまだ合法的に続いていた人種差別に終止符を打ち、新しい社会政策を打ち出したのもこの時期だ。

3.レーガンのやったこと

この一連の政策は白人有権者のうち少数の反動的な人たちと、金融エリートの間で大きな反発を生んだ。

レーガンは、こうしたあらゆる不満の波に乗り、当時すでに神話と化していた原初の資本主義を復活させた。

86年の税制改革では最高税率を28%まで引き下げた。

クリントンやオバマも本当の意味でこの決定を見直さなかった。

格差は爆発的に拡大した。しかも経済成長は低調で、大多数の人たちの所得は停滞した。

レーガンはまた、最低賃金の水準を抑え続けた。80年代以降、最低賃金はゆっくりと、しかし確実に、インフレによって目減りした。69年は時給11ドル近かったが、2016年は7ドル程度だ。

その後の民主党政権も、レーガンのイデオロギー(レーガノミクス)を根本的に変えることはなかった。

4.ピケティの結論

現在のサンダース氏の成功から分かるのは、米国のかなりの数の人たちが、不平等の増大と見せかけの政権交代とにうんざりし、革新的な政策で平等を目指す米国の伝統 と和解しようとしているということだ。


正直のところ、ピケティの上げた数字については、別の資料での確認が必要かと考えている。

また、コラムという性格上踏み込んでいないのだが、何故そのような改革が可能だったのかという背景には踏み込んでいない。しかしそれがないと、何故アメリカ国民はやすやすとレーガノミクスを受け入れてしまったのか、ということも見えてこない。

いずれにしても、時代背景をも踏まえたニューディールの全面的な検討(ケインジアンとの交錯もふくめ)が必要だろう。

それは日本の戦後改革や日本国憲法の形成過程とも関わっているはずだ。従って、日本国民が直面する民主主義と国民生活防衛の運動とも根っこを一つにしているはずだ。

バーニー・サンダースの闘いは我々(日米両国人民)の闘いなのかもしれない。


ということで、ネットでサンダースの演説を探したが、日本語ではろくな記事はない。

仕方ないので赤旗の記事を要約紹介する。これは去年11月19日、ワシントンDCのジョージタウン大学での演説だ。この演説はルモンド・ディプロマティークでも重要演説として引用されている。

1.ルーズベルトの思想と行動

* ルーズベルトの就任演説(1937年1月20日)

ルーズベルトは米国を見渡し、目にしたものを語った。それは国民の悲惨な生活である。

ルーズベルトは行動した。数百万人を職場に戻し、民衆を貧困から救いた。そして政府への信頼を確立した。

当時の支配階級はこれに激しく抵抗した。ルーズベルトは彼らを「経済反動主義」と糾弾した。

それが今日、我々のやらなければならないことだ。

これは彼の2期目の就任演説だ。この時米国は依然として大恐慌の余波の中にあった。しかも欧州ではナチスがひたひたと侵略の歩みを始めていた。

すでに前年7月からスペイン内戦が始まっている。この演説からまもなくの4月にはゲルニカ爆撃が行われている。7月には第二次上海事変が始まり、そのまま泥沼の日中戦争へと移行する。

* ルーズベルトの「社会主義」

その頃、ルーズベルトの提案したことのほとんどは「社会主義的」と非難された。

社会保障年金、最低賃金制、失業保険、児童労働の廃止、週40時間労働、団体交渉権、強力な金融規制、預金保証などはすべて「社会主義的」と称された。

しかしこれらの事業こそが米国を形作り、中産階級の基礎となっている。

2.支配階級に挑む運動を

* 「覚悟のある運動」が生み出されなければならない

いま、現実の米国は過去40年の間に偉大な中産階級は没落した。そして政治制度への信頼はきわめて低い。

米国を本気で変えようと思うなら、政治活動を生み出す必要がある。私たちの国を破壊する貪欲な支配階級に挑み、打ち負かす覚悟のある運動だ。

* 不平等を維持する権力構造

今日、米国には巨大な富と所得の不平等がある。しかし肝心なことは、それだけではない。米国にはその不平等を維持する権力構造があるということだ。

だから我々は、今の政府を変えるだけではなくこの国の階級制度を変えなければならない。それが民主的社会主義だ。

3.民主的社会主義とは何か

* 新たな経済の仕組みを生み出すこと、そのために政治制度そのものを変えること

民主的社会主義とは何か。それは富裕者だけではなく、全ての人に役立つ経済の仕組みを生み出すということだ。

ウォール街や億万長者、大企業だけでなく、労働者世帯のために民主的社会主義を実現すべき時だ。

第二に、そのためには今日の米国の政治制度そのものを改革せねばならないということだ。

それは全体として不公平なだけでなく、多くの面で腐敗している。

* 社会主義者は国営化も私企業の収奪もしない

私は政府が生産手段を所有すべきだとは考えていない。しかし米国の富を生み出す中産階級と労働者には相応の配分をすべきだ。

私は私企業を収奪するつもりはない。しかし雇用を海外に移出し利益を上げる企業は信じない。米国内で努力し、投資し、成長するような私企業を信じる。

私が大統領に立候補しているのは、一部の人ではなくなく、すべての人に希望とチャンスがある、そういう国に住む私たちすべての出番だからだ。


この主張は、この間勉強したばかりのジェームズ・ミルの主張と瓜二つです。これは社会主義どころか、ベンサム、ジェームズ・ミル、リカードウと続く初期資本主義の本流の考えでしょう。

赤旗にバーニー・サンダースの演説の要旨が掲載されていて、いくつか分かったことがあった。
とくに、彼がなぜあえて、自らを民主的社会主義者と呼び、その立場を貫いて来たかという理由が見えてきた。
彼はフランクリン・D・ルーズベルト(以下FDR)の崇拝者だ。FDRの採用した個々の施策というより、FDRが勤労者・中間層を擁護すべく、大企業やそのイデオローグと対決する姿勢を貫いたことに共感している。
いわば、「遅れてきたニューディーラー」なのだ。
FDRは最低賃金制や、独占資本の規制策により「社会主義」のレッテルを貼られ攻撃された。しかし今ではその基本構想は米国社会に根付いている。それをもう一度無きものにしようとするのが今の支配層だ。
であれば、今あえて、自らを社会主義者と呼ぼうではないか、というのが彼の一貫した思いだ。
別に旧ソ連や中国型の国家づくりを目指すわけではない。むしろFDRとニューディーラーが思い描いた「良き社会」を取り戻そうと言うのが、彼の目指す方向だ。それが資本主義であるか否かは問わない。
彼が社会主義者を標榜するのは、それによって退路を自ら絶とうという決意の現れなのだろう。
かつてFDRが社会主義者呼ばわりにひるまずに、改革を成し遂げたように、バーニーも社会改革を目指す。
「それを社会主義というなら、よかろう。俺はまぎれもなく社会主義者だ!」

BuzzFeed News というサイトに

「社会主義者がアメリカ大統領候補に? バーニー・サンダースってこんな人――大統領選の注目は、ドナルド・トランプだけじゃない」

という記事があった。溝呂木佐季さんという方が書いたものだ。

非常に親切な記事なので一読をおすすめする。

そこにリンクされたChicago Tribuneをたどると、下記の写真(63年)があった。直接あたってもらえれば良いと思うが、著作権を無視して転載する。クレームあればただちに消します。

ct-bernie-sanders-arrested-20160219
63年にシカゴ南部の黒人地区で公民権を要求して座り込み、警官に排除される髪ふさふさのバーニー。


ルモンド・ディプロマティーク国際版に簡単なバイオがある。

1941年 ブルックリンの生まれ。両親はポーランドからのユダヤ系移民。

1960年ころ、バーニーはシカゴ大学で社会主義青年同盟(YPSL)に参加し、公民権運動、ベトナム反戦運動を担っている。

その後バーモント州で小さな政治結社「自由統一党」の候補として活動を続け、80年に州都バーリントンの市長に当選。市街地の再開発に敏腕を発揮した。

地元週刊紙ヴァーモント・ヴァンガー ド・プレスは、「バーリントン人民共和国」という特別号を発行して敬意を表した。

90年に連邦下院議員に当選。唯一の無所属議員として活動。2006年には上院議員に当選。2010年には高所得者層への減税措置に反対し、8時間にわたるフィリバスター演説を敢行した。

1年前に民主党に入党。大統領候補になるためだ。気楽に受けた民主党幹部はさぞかし臍を噛んでいることだろう。

ルモンドによれば、彼は革命の信奉者ではないし、英国労働党左派のジェレミー・コービンのような急進派でもない。サンダースが重視しているのは、所有と支配ではなく、再分配をめぐる闘いだ。



日航争議団長の山口宏弥さんには申し訳ないが、やはりパンナムは潰れるべくして潰れたと思う。
反論するからには、財務内容の経過とか示さないとダメなのだろうが、そこまでやらなくともパンナムの経営悪化の原因は明らかである。パイロットやスチュワーデスはハリウッド・スターではないのだ。
パンナムを狙い撃ちしたテロは確かにあったし、そのためにパンナムが大きな被害を被ったことも間違いない。しかしそれがなくてもパンナムはダメだっただろう。テロは崖っぷちに立ったパンナムの背中をひと押ししたにすぎない。かつてパンナムに乗った乗客の一人としてそう思う。
航空業界の競争はたしかに熾烈だ。しかしそれは、業界全体としては空前の規模拡大を遂げていることと表裏一体だ。平たく言えば、儲かるからどんどん新規参入があるし、そのために競争が厳しくなるのだ。
パンナムという偉大なノレンがあるのだから、棲み分けして、ニッチ化すれば生きる道はある。帝国ホテルになるかビジネスホテルに徹するかだ。
日航争議団としては、パンナムと串刺しにされて議論されては困るだろう。それは分かる。だからといってパンナムを弁護する必要はない。日航はちゃんと黒字を出し優良経営に転化している。パンナムとは違うのだ。
その辺は、乗っている客にはちゃんと分かるのだ。
ただ住み分けは必ず必要だ。高価格路線を取るなら、それなりの根拠を示さなければならない。有機野菜と同じで、納得すれば乗客は必ず日航を選ぶはずだ。

本日の赤旗に日航争議団長の山口宏弥さんが談話を寄せている。
見出しは「航空機がテロの対象に」というのだが、パンナム破産についての話が面白い。というより、初めて知った。
そのまま引用させてもらう。
米国のパンアメリカン航空(通称・パンナム)はかつて世界の航空界のリーダーとして、世界中に路線網を巡らせていました。
しかし、1991年に運航停止。その後、98年にふたたび経営破綻をして、会社そのものが消滅してしまいました。
米国の象徴として、軍事報復テロの標的となったことが原因の一つです。
82年、パンナム機内で爆弾が爆発する事件がありました。86年にはテログループにハイジャックされ、機内で銃撃戦となり、乗員乗客20人が死亡しました。
88年、イギリスのスコットランド上空でリビアのテロに爆破されて、乗客乗員259人が死亡し、墜落現場の住民11人も巻き添えとなりました。
パンナムは「テロの標的」というイメージが定着しました。利用客が激減し、遺族への補償金支払いなど致命的な打撃を受けました。
(以下略)
まあ、それだけではないのだろうが、少し調べてみるか。

共和党は長期低落しつつある。
赤旗に掲載された米国の政党支持率の推移。
ピューリッツァー・リサーチ・センターの調査を元に赤旗がグラフ化したもの。
米世論調査
共和党、民主党、無党派が1/3づつという構成、それがえんえん4半世紀にわたり続くという事実は、想像の範囲を超えるが、そうなんだから受け入れるしかない。
このなかで共和党のアップダウンが目につく。ブッシュ二世の時は景気はいいし対テロで狂っていた時代だから共和党が伸びた。それがブッシュ政権の末期から落ち始め、91年に比べ8%も支持を落としている。
だとすると、威勢のよいティーパーティー組はどうなっているのだ。選挙では常に共和党の圧勝だが理由は一体何なのか。この投票行動の乖離は民主党支持者の選挙離れということになるが、どんな理由なのか。
民主党はオバマ人気で浮かび上がったものの、その後は漸減状態だ。
面白いのは無党派の内訳で、どちらかと言えば民主党というのが48%で、どちらかといえば共和党というのは35%を占める。
だから純粋な無党派ではない。
グラフを見ると、共和党の減少に合わせて無党派が増えているように見えるが、実は民主党から無党派への移動が多いわけだ。
そうなると結論は二段構えになる。共和党支持者が民主党にシフトし、民主党支持者が無党派にシフトしていることになる。その結果民主党はプラマイゼロとなる。
ただこの長期傾向は投票行動と結びついていない。いつそれが明らかになるのか、もうしばらく辛抱が必要なようだ。


2月19日、ウォルマート・ストアーズが、時間給の従業員約50万人に賃上げを約束した。しかもかなりの引き上げ幅である。

時給を年内に少なくとも9ドル(約1070円)、来年2月1日までに10ドルに引き上げると言うのだ。このために新たに10億ドルを投資するそうだ.

対象は、ウォルマートとサムズクラブ(会員制倉庫型店舗)の約50万人の従業員。米国で雇用する140万人の従業員の約3分の1に相当する。

波及効果は少なくないと予想される。最低賃金に近い水準で労働者を雇用している小売業や外食業などが対応を迫られるだろう。

とくに最賃が低い地方では一般企業との格差が広がる。

ウォルマートは業績好調

ウォルマートの米国内従業員は約130万人にのぼり、民間企業としては全米最大の雇用主だが、これまで従業員の賃金水準をめぐり長らく批判されてきていた。従業員の調査によれば、その多くが公的支援に頼らなければ生活できない状況だったという。

第4四半期ではガソリン価格安を追い風に消費が拡大し、利益が予算に対し12%上回った。

しかし賃上げを発表した日、年間配当を1株当たり4セント引き上げたにもかかわらず、ウォルマートの株価は約2.7%下落した。

浅野秀二のアメリカ寄稿」にはこう書かれている。
 ウォルマートの年間利益は1兆6000億円。そのほとんどは株主配当されている。創業者であるサム・ウォルトンの富は、アメリカの労働者すべての富を上回っている。赤旗報道では、創業者一族の総資産は18兆円に達しているという。利率2%として、利子だけで年間3600億円だ。どうやっても使い切れない。

米国の最賃事情

この1年間で小売業の労働者の平均時給はすでに3%上昇している。同じく低賃金セクターである介護・外食業では3.4%上昇した。

とは言うものの、民間セクターの労働者の平均時給が24.75ドルなのにたいし、小売業の労働者は17.29ドルにとどまっている。

背景にあるのは労働力不足だ。1月の失業率は5.7%で前年同月比マイナス0.9%となっている。このため企業間の労働者獲得競争は厳しさを増している。スターバックスは、全従業員の賃金が最低水準を上回ることを宣伝している。

アパレル大手ギャップは勤務開始時の時給を10ドルに引き上げた。一方で通常店舗を200店閉鎖するなど、人件費高騰に対応し戦線整理を図っている。

「アパレル大手ギャップ」の画像検索結果

政府・自治体の対応

連邦法の下での最低賃金は時給7.25ドル。これは2009年以降、変わっていない。

しかし半数を超える州政府が、独自に最賃水準を定めている。カリフォルニアやコネティカット、マサチューセッツを含む7州の最低賃金が時給9ドルを越えている。

オバマ米大統領はこの動きを歓迎しさらに加速せようと動いている.

前に、赤旗の記事を転載したが、詳細が不明だった(2014年09月08日)。本日の記事でグラフが載せられ一目瞭然なので再掲する。


FRBの「消費者の所得・資産・債務などに関する調査」の結果である。
beikakusa

真ん中のカラムの「階層」というのが所得階層別の人口分布だろう。
1.年間所得の推移
これが左の「所得」カラムだ。総所得の分け前別分布だ。
トップ3%の高所得世帯の年間所得は、13年度で30.5%(2.8%増)に達した。
2.「富」の推移
これが右側の「資産」カラムだ
トップ3%の保有する「富」は、54.4%(9.6%増)に達した。
これと逆に、低位90%の「富」は24.7%(9.5%減)に低下した。
図で示されると、あらためて90%の人々の没落ぶりが実感される。
3.平均所得と中央値の乖離
平均所得は4%増加したが、所得中央値は5%減少した。

これは経済面ではなく、外信面の記事。
FRBの「消費者の所得・資産・債務などに関する調査」の結果である。
きじをそのまま書くと、
1.年間所得の推移
トップ3%の高所得世帯の年間所得は、13年度で30.5%(2.8%増)に達した。
2.「富」の推移
トップ3%の保有する「富」は、54.4%(9.6%増)に達した。
これと逆に、低位90%の「富」は24.7%(9.5%減)に低下した。
3.平均所得と中央値の乖離
平均所得は4%増加したが、所得中央値は5%減少した。
ただし
1.2.3.はそれぞれ比較対象が異なっている。
1.と3.は3年前との比較、2.は14年前との比較となっている。
「富」の中身が分からないが、おそらく「資産」をベースとした数字であろう。

ただし、この「富」というのは、そのほとんどが商品流通や生産的投資に回されないデッド・ストックであろう。大幅金融緩和で発行されたマネーが、そのままデッドストックとなって積み上がっていく構造は、いかなる観点から見ても健全とはいえない。
ここまで行くと、直接税の捕捉もさることながら、資産課税の議論が避けて通れなくなるのではないだろうか。

国際政治/アメリカ のアーカイブ 一覧表 (全42本)

米マックは賃金泥棒 2014-04-04 10:50:15

エドワード・スノーデンからみなさんへ 2013-11-29 00:01:47

失業率より就労率 2013-09-17 11:25:19

ガーディアン紙のハードディスクを破壊 2013-08-26 11:28:11

米国人は議会を信じない 2013-06-18 14:27:29

米多国籍企業は自国経済の足を引っ張っている 2013-06-05 17:53:15

シティズンズ・ユナイテッド判決を打破せよ 2012-11-14 15:46:21

財政の崖は富裕層の崖 2012-11-12 16:51:10

シティズンズ・ユナイテッド判決への反撃が始まった 2012-11-12 13:36:03

「接戦」はマスコミの陰謀 2012-11-07 09:07:04

共和党大会はどんな会議だったのか 2012-09-03 13:48:38

CNN黒人女性カメラマンのコメント 2012-09-01 12:18:06

共和党大会での黒人女性侮辱事件 2012-09-01 11:38:48

9.11ヒステリーは依然残っている 2012-07-27 10:21:51

米兵が毎日1人自殺 2012-06-25 11:14:06

モンローとエラ・フィッツジェラルド 2012-05-14 16:45:58

胸のすくオバマ演説 2012-01-26 10:57:37

キリスト教国アメリカ 2011-11-22 17:38:45

"occupy"は「乗っ取る」こと 2011-11-15 09:59:02

オハイオ: 現場の教師たちの勝利 2011-11-14 17:43:58

オハイオ州公務員法の要点 2011-11-14 15:07:04

大阪はオハイオに学べ 2011-11-11 12:18:01

オハイオ州民投票で労働者の勝利 2011-11-10 12:28:16

オークランド、市民ゼネストの詳報 2011-11-07 22:41:45

オークランドで1万人デモ 2011-11-04 17:43:52

米下院への支持が失われつつある 2011-11-04 16:08:25

占拠運動の最初の成果 2011-11-04 13:40:54

ロスの労・青連帯がすごい 2011-10-27 10:15:17

ウォール街行動1ヶ月 2011-10-21 10:37:58

ウォール街占拠闘争を考える 2011-10-13 23:09:13

ウォール街占拠闘争 その3 2011-10-13 17:11:42

ウォール街占拠闘争 その2 2011-10-13 17:10:23

ウォール街占拠闘争 その1 2011-10-13 17:07:49

「階級闘争」って素敵だ 2011-10-05 13:00:02

垣内亮さんの計算 2011-09-24 11:44:12

オバマが「階級闘争」を始めた 2011-09-21 17:41:46

バフェット発言の背景 2011-09-18 20:56:25

アメリカの飢餓社会化が進む 2011-09-16 10:41:12

9月8日 オバマ大統領の議会演説 2011-09-10 11:49:12

ウォールストリート・ジャーナルがオバマ非難 2011-08-11 17:21:54

フードスタンプ受給者が15%に達した 2011-08-09 16:49:31

アメリカは未だやれる。しかし… 2011-08-03 12:40:02


この間米国のマックの話が載っていたが、本日はそのフォロー記事が掲載されている。

これは元店長(複数)の告白記事で、「賃金窃盗」と非難している。

これによると、手口は以下のとおり。

1.勤務記録の改ざん
 実際には取っていない休憩時間を勤務時間に書き込む。コンピュータ操作によって可能なんだということで、そのやり方は上の人から店長に教えられるそうだ。

2.出勤前や退勤後だったとして、ただ働きにする。
 実際には勤務であるにもかかわらず、「自発的に行ったお手伝いだった」と解釈し、足切する手口。
 1時間以上に及ぶ場合もあったという。

元店長によると、マクドナルド社からフランチャイズ加盟店に対し、絶え間ない人件費抑制の圧力があり、それは労働法を守りながらでは不可能なレベルだそうだ。

シンクタンクの「経済政策研究所」の試算では、雇用主による「賃金窃盗」額は2億8千万ドル(取り返した分のみ)、低賃金労働者の3分の2以上が被害にあっているという。


スノーデンからみなさんへの挨拶」を紹介しておく

これはちょっと古いが、7月12日、モスクワのシュレメチェボ空港でのもの。

「機密」とは何なのか、我々はそれにどう向き合うべきなのか、スノーデンはそれを教えてくれます。そして彼は、みなさんがスノーデンになるべきだと訴えています。


どうも。私の名前はエド・スノーデンです。

ひと月少し前までは、私には家族があり、とても快適な天国のような家庭がありました。
おまけに、誰の許可を得る必要もなく、他人の通信を読むことができました。それはその人の運命を変えることもできる力でした。

それは、まぎれもなくわが国の憲法修正条項第4条と5条に違反し、世界人権宣言第12条を侵すものでした。
にもかかわらず、私の政府は、これらの違法行為はある種の方法によって合法化されていると主張しています。

しかしこの判断は、基本的な正義の概念を損なうだけでしょう。不道徳が何かの法律を使って、道徳的なものに変わるということはできないので す。

1945年にニュルンベルクで宣言が発表されました。

人類にたいする国際的な義務は、その国のなかで強いられる義務を超越する。なぜなら、平和や人道にたいする犯罪を防ぐことには、より高い価値があるからである。人類に対する義務を果たすためには、人はその国の法律を侵す義務がある

私はニュルンベルク宣言に従って、正しいと考える決定をおこない、悪を正すキャンペーンを始めたのです。

私はいかなるときも、米国の秘密を売って利益を得ようとしたことはありません。
私の身の安全をはかるために、いかなる国と密約を結んだこともありません。
私がしようとしたのはそれとは反対のことです。私の知っていること、私たちに有害な事実を明らかにすることです。
それによって、すべての有害な事実を白日のもとで議論しようとしたのです。
それによって、世界中に向かって、正義を実現するように求めたのです。

わたしたち人類に害を与えているスパイ行為を明らかにすることは、ひとつの道徳的な決定であり決意でした。それは私に犠牲を強いるものでした。
しかし私は正しいことをしたと確信しており、後悔はしていません。

私はある「政治的な態度表明」を行いました。

そのときから米国政府と情報機関は、私を見せしめにしようと考えました。私がやったのと同じことをしようとするものにたいする見せしめです。

その結果として、私は追い回されるようになりました。そして沈黙することを強いられました。

米国政府は私を旅行させてはならないもののリストに載せました。香港では、香港政府に対し私を送還させるようもとめました。それは明らかに強制連行を禁止する国際原則にもとるものであり、諸国家の法律に反したものであり、香港政府の法律にも反するものでした。

米国政府の暴挙はさらに続きました。

米国政府は政治亡命についての国連の原則を侵そうとしました。私の人権を守ろうとした国々は制裁の脅迫を受けました。

そして、NATOの軍事同盟国に要求して、政治亡命者である私を捜索するために、ラテンアメリカの大統領(ボリビアのエボ・モラレス大統領)の乗った飛行機を強制着陸させるという、前代未聞の行動が起きたのです。

この事件の危険性は、ラテンアメリカの尊厳にたいする危険だけではありません。それはすべての人が持っている普遍的な権利、すなわちすべての迫害から自由に生きる権利、亡命を申請しそれを享受する権利にたいする危険でもあるのです。

このような理不尽で歴史的な攻撃に反対して、世界中のいくつもの国が、私にたいして支援と亡命を申し出てくれまし た。これらのなかには、最初から変わることなく、大国の人権侵害に反対した 国々、ロシア、ベネズエラ、ボリビア、ニカラグア、エクアドルがふくまれています。私はありったけの感謝と、これらの国民への尊敬の念を表明したい思います。

これらの国は、脅しをまえにしても自らの原則を曲げることがありませんでした。そのゆえに、これらの国は世界から称賛を獲得しました。

私はすべての国を訪れたいです。そしてそれぞれの国で、国民と指導者のみささんに私の個人的な感謝の気持ちを表明したいと思っています。

今日、私は、私に提供された亡命許可、これから提供されるであろう亡命許可を、正式に受け入れることを表明します。

ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の亡命受け入れの提案をいただいて、私は亡命を申請することにしました。私の立場はすでに正式なものです。

私がラテンアメリカに到着することを保障するためには、通過国の通過許可が必要です。それらの国の「トランジット許可証」が取得できるよう、みなさんの支援を求めます。

そして私がベネズエラまで無事に旅行できるようになるまで、ロシアに一時的な亡命を求めるものです。今日私はロシアへの亡命申請を提出し、これが好意的に受け入れられることを期待します。

大国の法に反した行動はすべてのものへの脅威となっています。私たちはこれが成功することを許しはしないでしょう。

もし何か質問があれば、喜んでお答えします。

ありがとうございました。

まだ実物には当たっていないが、赤旗の紹介の紹介。
ブルームバーグの9月9日付電子版。

8月の米国内失業率は7.3%となり、前月よりわずかに下がった。
しかし失業率が下がっても実際の就労者は増えていない。就労率はさらに低下し、63.2%となっている。これは1978年以来の水準である。

就労率は正確にいうと、“実際の就労者+求職中の人” の “就労可能人口” に占める比率。

「失業率の低下は、労働人口の収縮の結果であり、より多くの人が職を得たからではない」

「重要問題は、就労率の低下の原因が構造的で長期にわたるものなのか、循環的あるいは一時的なものなのかを見極めることだ」


なんという時代錯誤

英当局がガーディアン紙のハードディスクを破壊したそうだ。

ガーディアンの編集長がコラムで明らかにしている。

これによると、英情報機関・政府通信本部(GCHQ)の専門家2人が、同新聞社を訪れ、地下室で関連資料をふくむハードディスクが壊されるのを見届けたそうだ。

編集長は「デジタル時代を理解しない無意味な行為」と皮肉っている。

まぁ、英当局も米当局の意向を汲んでやった象徴的な行為と思うが、わざわざ地下でやるところなど、考えようによってはイギリス人らしいブラック・ユーモアでもある。

この表は今月ギャラップが行った世論調査で、公的機関16機関について「あなたは信頼しますか?」という質問の答だ。
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議会はケタ違いの信頼度、ほとんどクソだ。
やらずぶったくりの保険会社のさらに半分だから、いかにひどいか分かる。

それでも73年(ウォーターゲート事件の頃)には42%あったのだが、この10年間でガタ落ちしたのだそうだ。

古金さんという方の書いた「企業の海外進出が雇用に及ぼす影響について~米国の経験からみた空洞化問題の一考察~」という論文(共済総合研究 第64号)からの転載です。

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米国は海外移転の先進国である。国内の製造業雇用者数は、79年の1,943万人をピークに減少傾向を辿っている。とくに00年以降は急減し、10年間で3分の2まで減っている。

実は製造業はそれよりはるかに先んじて減少している。製造業GDPが米国の全GDPに占める比率は60年には約30%だった。それが現在では半分以下の13%へと低落している。

この時期に製造業雇用者の比率は28%から9%にまで低下している。雇用者数はGDP減少に応じて減ったのではなく、それ以上に減らされたのである。(無論、一定の技術革新はあるのだろうが)

2.多国籍企業は成長にも雇用にも貢献しない

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多国籍企業の米国内親会社は01年以降減少を続け、10年間で3.5%減少している。同期間で米国全体の雇用は1.4%増加しており、雇用への影響はマイナスとなっている。

一方、在外子会社の雇用は36.2%増加した。労働力の投入は海外子会社中心になされていることが明らかである。

設備投資についても同様の傾向が示されている。米国内親会社の設備投資は0.9

%減少した。同時期の米国全体の設備投資は17%増加しており、多国籍企業が足を引っ張っていることは明らかである。一方、海外子会社への設備投資は49%の増となっている。

著者の結論

(非常にスッキリした良い文章なので、長めに引用させて頂きます)

企業の海外進出が加速しても、高付加価値産業の住み分けにより国内は空洞化しない。国民所得は投資収益増加によって増加し、本社機能の拡充などによって雇用も増加するといった見方があるが、楽観的すぎるように思われる。

今や状況は一変している。アジア経済が急速に発展し、日本との格差が縮小している。このため、企業も従来のようなすみ分けを行う意味がなくなっている。実際、研究開発など高付加価値部門の海外進出も増えている。

海外投資による収益増加が国民所得を増加させ、それがサービス業の雇用を増加させるいわれるが、実際には、多くの仕事が海外にアウトソーシングされ、国内に残るのは生産性上昇の見込みにくい、対人サービスが中心になるであろう。

最近の米多国籍企業の活動は、在外子会社において雇用や設備投資を増やす一方で、米国内親会社の雇用や設備投資は削減した。その活動は米国経済の足を引っ張っている。

比較優位部門を含めた最近の企業の海外進出増加は、国内の雇用などにも大きな悪影響を及ぼしかねないと思われる


どこかで雇用の崖がある。それを最初の図のリーマン・ショック後の急低下が示しています。それがいつ来るか、その時国民はいかに対応するだろうか。事態はきわめて深刻です。

以下に紹介するのは、メイン州選出の下院議員で女性のChellie Pingree さんという人が、地元紙の Huffington Post に寄稿したものである。

題名は“Recovering democracy after Citizens United”となっている。連邦最高裁判決で壊された民主主義をどう回復して行くのかという意味であろう。

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憲法がこのように修正されるのはクレイジーだ。つまり、アメリカ人の大多数にとってあまりにも明白な意見、「企業は人民ではない」という見解を明らかにする条項を付け加えることである。

しかし、そういうクレイジーな状況を、今日我々は眼のあたりにしている。

連邦最高裁が「シティズンズ・ユナイテッド」を支持する判決を下してからたった2年だというのに、我々はすでに破壊的な影響をひしひしと感じている。それは財政改革計画の深刻な後退となって現れている。

2010年の中間選挙は、これまでの歴史において最も高価な選挙であった。企業はありあまる利益を数億ドルも費やし、彼らを利するような人々を当選させようとした。そして大企業の懐をさらに膨らまそうとした。

「市民連合」はドアを開けた。さらにビッグ・マネーをつぎ込むことが許された。そこには企業の政治への影響力を強める目論見がある。いまや企業は豊富な選挙資金を無制限に寄付できるようになった。顧客や株主の金を同意なしに、制限なしに使うことが許されることになったからである。

私の故郷のメイン州では、匿名のドナーに支えられた州外のグループが、何百万ドルもの政治資金を使ってキャンペーンを行ってきた。そうやって連中の目論見に反対する動きを潰そうとした。我々はそれを見てきた。

メイン州では我々は幸運にも Clean Elections システムを持っていた。それは(最高裁判決に逆らって)、議員が企業の特別利益金を拒否することを認めるものだ。国家のレベルでもメイン州のやり方に従うべきだと思う。議会は小額のドナーの声を勇気づけるべきだ。

私は法案を作成した。超党派で提案することになる。その「Fair Elections Now Act」は、メイン州で行っているシステムを全国レベルで実施しようというものだ。

このシステムは少額ドナーを優遇した政治資金計画だ。これによって市民が選挙に主体的に参加できるようになる。「少額ドナー」システムは、それだけで全国レベルのすべての問題を解決するわけではないが、大きな力にはなるだろう。

すでにワシントンはビッグビジネスによって支配されているが、シティズンズ・ユナイテッド判決はさらに市民の敷居を高くした。普通の人々が声を上げても、その声はいくつものハードルによってさえぎられている。

我々の民主主義の中核は、誰でも平等に声を上げることだ。語り、聞くことだ。シティズンズ・ユナイテッド判決はその鍵となる価値を蝕んでいる。それは企業がたっぷりと金を使って彼らのスピーチを行ない、他のすべての人々の声を掻き消すのを認めている。

企業はそれなりに重要な目的をもって活動している。しかし人々に投票の仕方を教えることは企業の目的ではない。

私は彼らとともに働きたい。経済成長を維持し、社会の健康を増進させたい。だから私の政策について彼らの考えを聞きたい。そうすればもっとよくなるだろう。

しかし、彼らのものの見かたは労働者や雇用者のそれとバランスをとらなくてはいけない。彼らの顧客ともバランスがとれていなければならない。そして、彼らの決定が良かれ悪しかれ影響を与えるであろう多くの人々と、考えをすり合わせなければならない。

我々はこれ以上彼らに金を使わせてはならない。それは政策を彼らに都合の良いようにゆがめさせる為の金だ。

ミット・ロムニーは会社が人民であると思っている。私はそうは思わない。会社に人権手続きを行うといったって、第一、“straight-face test”にパスできないではないか。

悲しいことに、我々は憲法修正第一条を書き直さなければならないようである。すなわち「憲法により保護される権利とは人間の権利であって、企業の権利ではない」と。

これまでにも増して、ワシントンは政治活動へのビッグ・マネーの流れを止める必要に迫られている。強力なロビイストの地位を揺るがす必要がある。しかし「市民連合」はそうするための我々の能力を著しく弱めた。

下院議員の一人としての私の視線は、厳しい経済の時代に何とか生活を持ちこたえようとしている家族に注がれている。大企業ではない。彼らは議員に影響力を行使し、より多くの利益を搾り取ろうとしているだけだ。

我々は「市民連合」判決を無力化させる必要がある。そうすることで、ふたたび本業に戻ることができるのだ。

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