11月末に、「ミスター6ヵ国協議」と呼ばれる王毅外交部長(外相に相当)が訪日し、首相・外相などとの一連の会議が持たれたようです。
会談後に発表された「王毅メモ」により、尖閣問題にも解決の糸口が見えてきそうな雰囲気が生まれてきました。そこで編集部で動きをまとめてみました。
Ⅰ.王毅外交部長の訪日の意味
26日、菅義偉首相は訪日中の王毅外交部長の表敬訪問を受けた。日中両国が、ともに責任ある大国として、こうした国際社会の諸課題に取り組んで貢献していくことを確認した。
5、来月、新たな中日高級事務レベル海洋協議を行い、両国外交主管部門と海上法執行部門間の意思疎通と交流を強化する。6、年内に両国防衛部門海空連絡メカニズムのホットライン開設を目指し、リスク管理コントロールを一段と強化し、安全保障面の相互信頼を増進する。
尖閣諸島週域の漁船操業問題については、まず日中漁業協定の合意に立ち戻ることが出発点となる。その上で、97年漁業協定の線上に、王毅メモの第5,第6合意の方向での解決が見えてくる。
「共通の庭」論は2016年8月、中国南海研究院院長の呉士存氏によって提唱されました。肩書きは学者みたいですが、フィリピン大統領特使との会談でこの提案を行った人です。日本でいうと竹中風のヤバい人です。
南シナ海の海域の先住民は「マレー・ポリネシア系住民」です。かれらはボルネオやフィリピンに住むだけでなく、ベトナムや中国にも少数民族として住んでいます。
南シナ海は、このような「マレー・ポリネシア系住民」全体のものであるとすべきだ、というのが「共通の庭」論の骨子のようです。
呉士存はこうした理念に基づき、運命共同体的紐帯のもとに新たな関係を構築していこうと提案しています。そのためには「中国の側も抑制が必要」とまで踏み込んでいます。
複数国の思惑が絡むだけに一筋縄で行く話ではありませんが、ACEAN主導のRCEP成立などを見ると、ASEAN側にも南シナ海問題を踏み絵にはしないという合意が形成されているようです。