鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

13年4月、ぷらら・Broachより移行しました。 中身が雑多なので、カテゴリー(サイドバー)から入ることをおすめします。 過去記事の一覧表はhttp://www10.plala.or.jp/shosuzki/blogtable001.htm ホームページは http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」です。

カテゴリ:04 国内政治 > D 原発/代替エネルギー

以前、パタゴニアで風力発電をやって、それを水素にして日本に運ぶというプロジェクトを紹介した。

このプロジェクトは軍事産業の代表である三菱重工のものだったから、紹介をためらったが、あまりにも気宇壮大で痛快だったので度肝を抜かれた。

このプロジェクトの発案者が勝呂幸男さんという方で、三菱の社員であるとともに、日本風力エネルギー協会の会長も務めている。元々はタービン屋さんのようだ。

その後、石油もガスも安くなり、電力各社が原発に執念を燃やし続けるため、話題にはなりにくくなった。しかしいつも心の片隅には残っている。

風力が話題に上らなくなったのは外的環境のせいだけではない。日本での風力発電が極めて多くの問題を抱えているためだ。この点についても以前書いた。「日本では風力はお呼びではない」とまで書いた。

そんなとき、勝呂さんの文章が目に止まった。題名は「風車導入拡大へ向けて課題を克服しよう」というもの。

ある意味では、執念の一文だ。

勝呂さんによれば、風力発電の課題は風車の信頼性に尽きる。

まず風車の信頼性に関わる事件がいくつか紹介される。

1.カリフォルニア風車ブームの挫折

かつてPURPA法を適用した風車が所謂カリフォルニア風車ブームを起こした。しかし運転後に多くの故障が発生し評価は失墜した。

故障の原因は、つきるところ風力変化の評価が不十分だったためだ。

2.国際電機会議(IEC)の技術標準

カリフォルニアの総括の中から標準設計基準が提唱され、これがIEC技術標準として固められた。

3.宮古島の風車倒壊

日本では宮古島に立てた風力発電の風車が転倒した事件が衝撃を与えた。

宮古島は80m/secの強風番付一位の実績があり、IEC標準からは到底,標準風車を設置出来ない所である。

なのに建ててしまったという問題がひとつ。そして建てられた風車の最大耐強風設計が60m/secだったということ。

つまり建ててはいけないところに、建ててはいけないものを建ててしまったということである。

4.「日本製だから安全」と言われるように

勝呂さんは、「この話がわが国の風車導入の実際を象徴的に表している」と嘆く。

このような気象条件に対する無理解ばかりではなく、落雷への配慮もなされていない。

そもそもIEC標準の基礎データとなっているのはヨーロッパのもので、後から米国のデータも取り入られたが、日本やアジアのデータは反映されていない。

個別の気象条件に合わせた日本発の建築基準を作り上げることが、今後の課題だ。


とまぁ、こんな具合だ。

厳しい言い方をすれば、これまでの日本の風力発電はなんのデータもなしに、外国仕様の風車を建てているだけだ、ということになる。

つまり、「これからは基準を作ってやっていきましょう」ということだ。会長さんがそう言っているのだから間違いない。

そこには相次ぐ風車事故への深刻な反省は見られない。「とんでもないことをしてしまった。二度とこのような間違いを繰り返さないためにどうしたら良いのだろう」という発想が窺われない。

どうも勝呂さんという人、攻めのタイプのようだ。

勝呂さんの専門であるタービン・ボイラー技術の歴史というのは、安全性構築の歴史と言ってもよい。ものすごい威力はもっているが、そのぶん危険性も高く、それがネックとなって伸び悩んだ時期がある。産業革命の頃だ。それが内燃機関として発展するのは、まさに安全性問題が解決したからだ。ソロバン勘定はその後だ。パタゴニアの風力発電も、足元の安全が確保されなければ夢物語だ。

三菱といえばゼロ戦を作った会社。世界トップの性能を誇ったが、それは防御や安全性、居住性などを一切無視したものでもあった。軍事産業を主軸に成長したこの会社には、伝統的に安全軽視の風潮があるのかもしれない。

いずれにせよ日本では当分、安全性を最重要課題とする技術構築という視点は生まれそうにない。日本の気象条件に合わせた、安全で安定した風力発電は期待できないということだ。

石炭火発 やはり技術的に無理がある。

火力発電の進歩はボイラー・タービンと除染装置の両面から進化してきた。

しかしある程度の進歩に達すると、そこで停滞せざるを得なくなる。

その時ブレイク・スルーの鍵となったのは燃焼素材の転換である。最初は石炭、その後石油、そして天然ガスと素材革命が行われた。

いまさらながら、それらの進歩を振り返ってみれば、化学的には当然の過程とも言えよう。

燃焼というのは気体にまで分離した炭素分子が酸化することである。もちろん固体も液体も酸化はする。しかし鉄が錆びるのは厄介な出来事でしかない。液体が酸化するのもお酢を作る作業を除けばあまりいいことはない。開封して1週間もしたお酒は、飲めないことはないが、味は情けないほどに落ちる。

それは到底燃焼とはいえない。石炭が燃えるのも、その塊がバラバラの炭素になって、それが酸素と結合するからである。

つまりものが燃焼するのは液相・気相という前過程を踏んで初めて実現するのである。

現在の石炭火発は炭塊を微細粉粒化し、あらかじめかなり熱してから燃焼過程に突っ込む仕掛けになっているようだが、いくら微細と言っても固相状態であることに変わりはない。ムラとムダは必然的に生じる。

また除染についても、炭塊にしみこんだ有害物質を燃焼前に除染するのはきわめて困難である。


コストの問題として考えるなら、地球的に見て環境コストを上回るだけの経済コストを生み出すのは困難と言わざるをえない。

ただそこにはタイムラグがある。後の世代につけを回すのであれば、あるいは一時しのぎの便法として用いるのであれば、別の計算が成り立つだろう。しかしそれは正義とはいえない。

つまりコストとして石炭火発を考えるのは邪道だということである。

したがって、長期のベースロード電源として石炭火発を考えるのは正しいとはいえない。

資源の問題として考えるなら、とりあえずは「内部留保」とし、あまり使わないのが最良であろう。石炭中の炭素を液化、気化する技術が開発されれば、ふたたび脚光を浴びる日も来るかもしれない。

発電の歴史(火力発電を中心に)

1832年  フランスでピクシーが発電機(直流)を発明

1840 イギリスでアームストロングが水力発電機を発明

1878(明治11年) 日本初の電灯が点灯(3月25日=電気記念日)。これは今日の電球ではなくアーク灯。

1879 アメリカでエジソンが電球を発明

1881 アメリカでエジソンが石炭火力発電所を完成

1887年(明治20年) 日本橋茅場町に25kWの火力発電所が設置される。その他浅草火力発電所200kWや千住火力発電所77.5MWなど。

1892(明治25年) 京都に日本初の水力発電所完成。(東北の三居沢発電所が最初との説あり)

1893年 「日光第二発電所」(東京)が運転開始。

1898年 蒸気タービン発電機が実用化され、ピストン型蒸気機関に取って代わる。高圧高温の蒸気を発生して、蒸気タービンを回転させて電力を発生することから汽力発電と言う。

1912年 水力発電が233MWに達し、火力発電を上回る。

1912 横川~軽井沢で日本初の電気機関車が走行開始。

1918年 GEがガスタービンの本格製造を開始。燃焼排ガスを用いて直接タービン発電機を回転させる。発電効率は蒸気タービンより落ちる。

1939 電力会社が国策会社「日本発送電」に統合される。

1943 配電統制令により全国に9配電会社設立

1950年 電気事業が再編成される。民営の電力会社の「9電力体制」が出来上がる。(後に沖縄を入れて10電力と呼ばれる)

1954  世界初の原子力発電所完成

1955年 三重火力発電所が操業開始。大規模火発のハシリとなる。

1963年 「火主水従」の始まり。火力発電が9750MWに達し、水力発電を上回る。

1966年 原子力発電の最初の商用発電所として、東海発電所125MW(日本原子力発電)が運転を開始する。

1967年 初の超臨界圧の発電機が導入される。

1969年 燃料としてLNGが導入された。

1970年 最初の大規模原発として敦賀発電所が運転開始となる。

1974年 単機容量が1,000MWを超える発電機の導入。ボイラー性能は蒸気温度550℃、圧力24.1MPaに到達。(蒸気温度374.1℃以上、蒸気圧力22.1MPa以上を超臨界圧、593℃以上、24.1MPa以上を超々臨界圧と呼ぶ)

1974年 サンシャイン計画がスタート。オイルショックを機に、石油に代わるエネルギーの研究・開発がすすむ。

1980年代 LNGの安定供給が進んだことから、コンバインドサイクル発電が主流となる。高温の燃焼ガスをガスタービンで用い、ガスタービンから排気される低温ガスを蒸気タービンで利用する。

タービン翼の冷却技術の向上で燃焼ガス温度が1500℃まで可能となる。送電端の発電効率が50%を超える。

1986年 チェルノブイリ原子力発電所で事故発生

1989年 31MPaの超々臨界圧の蒸気圧力をもつプラントが導入される。タービンは1,600℃級が導入され、コンバインド・サイクルでは熱効率60%以上が可能となる。

1995年 電力自由化が始まる。新規参入者(PPS)には高額な送電線使用料やインバランス料金が壁となる。

2000年  大気汚染防止法が制定される。

①電気集塵機、②原油の「水素化脱硫」、排煙脱硫の導入により、環境特性が改善。③脱硝については燃料寄与NOxについて低NOx燃焼器、空気寄与NOxについて選択触媒還元脱硝装置(乾式アンモニア接触還元法)が導入されている。(石炭については入り口脱硫は行われていない?)

2008年 発電量に対する比率は、LNG 34%、石炭 18%、石油10%(オイルショック時75%)となる。

2011年3月11日 福島原発事故。

2016年4月 電気事業法改正。一般家庭等でもIPPから購入可能になる。ただし自由化で先行する英国やドイツでは電気料金が急激に上昇している。

Don’t go back to the 石炭〜石炭火力発電に反対 |石炭発電|石炭火力発電|反原発

というサイトを見つけた。ブログ形式で膨大な資料をアップしている。

その中から「なぜ石炭が問題なの?」というファイルを紹介させてもらう。ちょっと思い入れがある文章だが、事実問題を抜書きしておく。

石炭火発の流れ: 戦後復興期に石炭から石油への移行が進んだが、オイルショックで石炭が見直され、東日本大震災のあとはジワリと増えた。現在は発電の30%を石炭火発が担っている。

石炭火発の長所: ①化石燃料の中では安い。②石炭は埋蔵量が多く、価格も供給も安定。③主要輸入先であるオーストラリアやインドネシアの政治的安定。

ただし価格の面では楽観を許さない。世界各国で石炭火発の増設が相次ぎ、供給面のフアンは予想を超えて広がっているとされる。(具体的な数字は挙げられていない)

また採炭に伴う環境破壊について、現地での反対運動も活発化しつつあるという。

石炭火発の現状: 10電力の運営する石炭火発が45基、その他の事業者による石炭火発が49基、合わせて94基の事業用の大規模石炭火発が運用中。

さらに自家発電設備として石炭火力の自家発電設備を持つ事業者も相当数あるようだ。このサイトでも正確な数はつかめていないようだ。

政府の石炭火発政策: 日本のエネルギー政策は、「3E」原則を基本としている。3Eとは、安定供給(Energy Security)、経済性(Economic Efficiency)、環境適合性(Environment)である。

しかしこれは原発全盛時代の「原則」で、原発は実は環境不適合であることが明らかになった。その後は環境適合性は後回しにされたままである。

石炭火発の技術革新: たしかに最新の「超々臨界圧火力発電」(蒸気温度593℃以上、蒸気圧力24.1MPa以上)は以前の石炭火発に比べ、大気汚染物質(NOx、SOxなど)の約9割を除去できるようになっている。CO2排出もへっている。業界ではこれをもって「クリーン・コール」と呼んでいる。

しかし最新鋭の石炭火発でも、CO2排出量は天然ガスの2倍以上のレベルに留まっている。(LNG1500度の341g-CO2/kWhに対し、810)

石炭ガス化複合発電などの新技術

目下、エネルギー効率向上の切り札とされるのが「石炭ガス化複合発電」(IGCC)である。IGCCでは石炭をそのまま燃焼させるのではなく、いったんガス化させることになる。

ガス化の技術がキモであり、あとは天然ガスによる発電と同じだ。ただしこれはコスト面の課題が大きいと思う。

安定供給を至上命題とするなら(例えば石油封鎖を受けた戦時中のように)、石炭からガソリンを作るというプロジェクトも成立しうるが、いま石炭火発を成立させているのはローコストというだけだ。そんな手間をかけるなら天然ガスの確保に向かうほうがはるかに安上がりになる。


以上3つの記事を上げておく。一つにまとめれば良いのだが、今のところそこまでの気は起きない。ご容赦の程を。
もう一つ、感想にしか過ぎないが、石炭が存在する限り石炭火発の技術は生き延びるだろうと思う。原子力発電と同じ論法で「百害あって一利なし」とは断言できない。もちろん再生可能エネルギーの使用が優先するのではあるが。
仮定の話として、石油並み(9割位)の燃料効率とCO2排出量、環境汚染度が実現できれば、コストと供給の安定性の視点からはゴーサインが出る可能性もある。その分はむしろ電気の乱費をなくすことのほうが能率的かもしれない。
また、途上国が経済的な理由から石炭火発に固執せざるを得ないとするなら、せめて石炭火発の性能をよくしてやれば、それ自体は環境改善につながる。この辺は環境スワップでなんとかならないだろうか。
前門の虎(CO2)、後門の狼(コスト)という状況が続くだろうが、地球の歴史が残してくれた貴重な資源だ。なんとか活用の方法を考えたいものだと思う。

前の記事のポイントは2つだ。

一つは、いかなる新技術をもってしても石炭火発のクリーン度は低い、ということだ。

もう一つは、石炭火発の導入はひたすら電力業界の利益のためであり、日本の利益のためではないということだ。

ただいずれも、前回記事だけでは証明は不充分である。

とくに、ホンネは電力業界のためであるにせよ、それでは国際的に通用するものではない。公にはどういう理屈で石炭火発を合理化しているのかがはっきりしない。

フクシマを経験した国が「原発も推進します、石炭火発も推進します」というのでは、物笑いの種にしかならない。

もう少し他の記事を探すことにする。

JB Press というサイトの「 国際的批判を受ける日本の石炭火力 」という記事。副題は「石炭火力に強まる逆風、しわ寄せを受けるバイオマス発電」となっている。

著者は宇佐美典也さんという人。「パリ協定」成立直前の2015年11月の記事である。

1.石炭火発の新技術

たしかにエネルギー源として利用可能な石炭は、一つの魅力ではある。技術開発で無公害ないし低公害の利用法ができれば、産炭地である北海道の再生の可能性も出てくる。

石炭火発の新技術には大きく言って2つの方式がある。一つは「超々臨界圧方式」と、何やらすごい新技術のようだ。

もう一つが複合発電方式であ。石炭をガス化して、それを石炭燃焼によるエネルギーと混ぜて使うという、何やらインチキ臭い方式だ。

ところが、残念ながらこれらの技術は名前の割にはとんと大したことがないようだ。

 

発電効率(%)

CO2排出量(g/kWh)

現在の石炭火発

40

820

超々臨界圧方式

46

710

複合発電方式

50

650

現在のLNG火発

52

340

というのがあらあらの数字で、いずれにしても現在のところは使いようがない。

2.東日本大震災と発電コスト

発電コストにはランニングコストと環境コストがある。

東日本大震災のあと原発が停止し火力発電がフル稼働した。それは緊急避難的な色合いを持ち、その中に石炭火発もふくまれていた。

火発が全面稼働した結果、CO2排出量は大きく増加しランニングコストも大幅に上昇した。東日本大震災以降、20%以上も電気料金が上昇した。

その中で、発電コストを抑えるために、火発の中でも経済効率の良い石炭火力の新設・稼働という考えが浮上した。人の道から言えば邪道だが、経済学的には一つのオプションである。

ただしそれはあくまでも緊急避難であり、その先にどう石炭火発を削減していくかという展望が必ず語られなければならないであろう。

「CO2地下貯留技術と石炭火力発電を組み合わせる」という手段が語られているようであるが、これは本末転倒というほかない。第一それ自体がコストとなる。まずは削減ありきなのである。

3.小規模石炭火力発電という裏事情

この記事で初めて知ったのだが、電力10社の石炭火発への傾斜には、後発電力会社による小規模石炭火発の増設計画があるようだ。

電力自由化に伴い、電力10社は後発電力との競争を強いられることになった。後発会社が市場に参入しようとすれば、価格面での魅力が必要である。

そこでこれらの会社はコストの安い小規模石炭火発に目をつけた。そこには法の抜け穴があったのである。

これまで石炭火力発電に関しては「エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法)」による規制・指導が行われてきた。これは大手電気事業者の持つ大型の石炭火力発電のみを対象とするもので年間600万kWh 以下の発電設備についての規制はなかった。

そもそも法律そのものが「省エネ法」であって「CO2 排出規制法」ではないから、基本的にはザルだ。

そこを狙って小規模石炭火力発電の新増設計画が相次いだ。

環境省にせっつかれた経産省は規制の内容を厳格化しようとしている。まさに泥縄だ。

4.「超々臨界圧方式」の意味

経産省は一方で電力10社からも突き上げられる。そこで考えたのが規制の網を小規模石炭火発にも広げること、一つは規制基準を底上げすることである。

とくに後者が問題となる。経産省の目論見は電力10社の保護にあるのであり、石炭火発の削減にあるのではない。

そこで持ち込まれたのが「超々臨界圧方式」である。前の表をもう一度ご覧いただきたい。従来型石炭火発の発電効率が40%、「超々臨界圧方式」が46%だ。

そこで経産省は規制値を41%に設定したわけだ。これで後発電力会社の進出は抑えられる。それと同時に電力8社の石炭火発への道が開かれ、「低コスト・高排出量」型発電へのゴーサインが出ることになる。まさに「超々グッドアイデア」である。

「超々臨界圧方式」はCO2 排出量をたかだか100グラム削減するための技術ではなく、後発電力追い落としのための技術なのだ。

5.「バイオマス混焼」という裏技

だが、これでは新規参入組は枕を並べて討ち死にだ。流石にそれでは「電力自由化」の顔が立たない。

そこでさらに悪知恵の働く者がいて、「バイオマス混焼」という方式を考えだした。これは木材ペレットと石炭を一緒に炊くというものらしい。

木材は成長過程で光合成によりCO2を吸収している。だからCO2排出量は差し引きゼロだという理屈である。これを「カーボンオフセット」というのだそうだ。

例えば木材と石炭を同じ発熱量になるように混ぜれば、その火発のCO2排出量は半分になるという計算だ。

ただこの珍妙な方式は、さらに問題を複雑化するおそれがある。

そもそもがバイオマスをいちじくの葉っぱとする発想が歪んでいる。もし電力10社にもバイオマス混焼が許されるのなら、それは後発会社のメリットにはならない。結局、「超々臨界圧方式」など導入せずにバイオマス混焼で行くほうが安上がりだ。

第二に、バイオマスは質量ともに不安定な資源で、安定した供給が難しい。場合によっては資源価格が暴騰する恐れもある。そうなれば後発会社の死期を早めるだけの結果に終わるかもしれない。

第三に、主としてエコの観点からバイオマス専焼設備を運用する再エネ業者は息の根を止められるだろう。これでは本末転倒である。

というのが主な内容で、かなり話題が広範に扱われ、石炭火発問題の実態が見えてきたような気がする。

さらにもう少し学習を積み重ねたい。

「石炭火発推進」論への素朴な疑問。

石炭火発を増設しようという動きが強まっているようだが、目下のところあまり強い反対は起きていない。もちろん賛成か反対かといえば反対なのだが、原発をどうするかに比べれば二の次にされている。

たしかに原発をなくすことが最大の課題であるから、それに比べれば許容はされるかもしれない。それはそれで判断なのだが、どうも原発もあきらめず火発も推進するというのでは、理屈が立たないのではないかという気がしてならない。

かつて原発の最大の謳い文句だったのが「クリーン・エネルギー」である。だから今も変わらず原発を推進しようとする人が同じ口から「火発推進」を唱えるのは、天にツバをするようなものではないだろうか。

もうクリーンエネルギーなんて言うことをやめるのなら、原発もやめるべきだろう。いまや他に取り柄などないのだから。

と言っているうちに、計画はどんどん進行している。もう少し詳しく勉強しなければならないようだ。

ハーバー・ビジネス・オンラインというサイトの「日本だけ石炭火力発電所を増設」の謎(2016年2月) という記事を読んでみる。

1.石炭火発推進論の時代背景

まずは時代背景から

* 15年末にCOP21(気候変動枠組条約)、通称パリ条約が締結された。温室効果ガス(二酸化炭素)の削減について国際的合意が初めて成立した。

* 二酸化炭素産出の最大の元凶は石炭火発だ。すでに会議の前から火発の閉鎖は相次いでいる。日本においてもそれは同様だった。

* このなかで政府は先進国の中で唯一石炭火力を増設しようとしている。

これが建設計画の概要だ。

火発建設計画

             作成 気候ネットワーク 

2.なぜ政府は石炭火発を推進するのか

言うまでもなく、既存の9電力会社+電力村の強い後押しによるものだ。

では電力村はなぜ石炭火発なのか。ここの説明がこの記事ではちょっと不足している。

電力の小売自由化が進むと、発電事業だけでは利益が薄くても、安い石炭火力の電気を小売事業につなげることで競争に有利になる。

のだそうだ。もう少し他の記事で当たって見る必要がある。

3.「新型」石炭火発はクリーンか

推進側は「新型の発電所は汚染物質の排出が少ない」としている。しかし決して「クリーン」な電源とは言えない。

汚染物質の排出量は旧型に比べれば少ない、しかい天然ガスなど他の燃料に比べれば2倍である。

4.「新型」石炭火発は低コストか

日本では石炭火力によって犠牲になる環境コストが省かれているので、一見安く見えてしまう。これは原発のときと同じ論法である。

とりあえず、この発言に関連した記事を収集することにした。


まず経産省小委、板根委員長 というのを、明らかにする。

板根小委員長

長期エネルギー需給見通し小委員会と坂根正弘委員長

赤旗には経済産業省の「長期エネルギー見通し」小委員会となっている。報道によっては「有識者委員会」とされている。

ただし小委員会というからには大委員会があるはずで、これは「総合資源エネルギー調査会」という。この調査会の「基本政策分科会」(これも坂根氏が会長)というセッションのなかの小委員会だ。いかにもお役所です。

板根委員長というのは板根正弘氏である。この人は小松製作所の相談役という肩書を持っている。ウィキペディアで調べたのが下記の略歴である。

開戦の年、昭和16年の広島生まれ。島根に疎開していて原爆を免れた。多分親族の中には被爆者も少なくないと思われる。

大阪市立大の工学部を卒業して小松製作所に入った。ノンキャリのエンジニアだ。それが、どういうわけか1989年から突如出世の階段を駆け登り始めた。2001年に社長、2007年に会長となり、押しも押されぬコマツの顔となったわけだ。

ウィキペディアによると、2001年にコマツは800億円の赤字を計上し危機に陥った。それを2年後に黒字回復させ、世界第2位の建設機械メーカーに押し上げたというから、ただ者ではない。

こうした実績から週1回はどこかで講演をこなすという人気だそうだ。ただし発言の中身は「オレがオレが」というもので、あくまで「乱世の雄」なのではないだろうか。
 

この小委員会は「東洋経済」が系統的に追いかけている。

一連の記事は経産省の狙いを浮き彫りにしており、さらにその背景にも迫っている。これらの記事を中心に経過を追ってみたい。

1月 総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会の下に、長期エネルギー需給見通し小委員会を設置。委員は14人、分科会会長の坂根氏が委員長を兼任。原子力発電のウェート付けが議論の焦点となる。

大震災の前、2010年6月に、民主党政権の下で第3次エネルギー基本計画が策定された。この計画では2030年に、原子力が全電力の約50%、再生可能エネルギーが20%とされた。
しかし大震災を機に、民主党政権は30年代に原発ゼロを目指す方向を打ち出した。
12年末に政権に復帰した自民党は、原発ゼロを覆した。
14年4月の第4次エネルギー基本計画では、原子力を「エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置付けた。ただ、脱原発依存をどこまで進めるかは不透明のままだった。


1月30日 小委員会の第1回会合。経産省の事務局がブリーフィングを行う。
 

ブリーフィングの概要: ①エネルギー自給率の低さは重大、②震災以降、化石燃料への依存度が増大し、様々な悪影響、③原発停止に伴い電気料金が高騰、の三点をあげる。
さらに、ドイツでCO排出量が増えている、イタリアでは電気料が高いなどと余分なコメント。

1月30日 議長の坂根氏が締めの発言。「原発ゼロ、化石燃料90%という現状を国際社会は認めない。まずは省エネと再エネがどこまで実現できるのか、ここを議論の出発点にしてはどうか」と提案。(この人はこういう小手先のダマシが得意な人らしい。化石燃料9割は認められないが、原発ゼロが認められないはずはない)

2010年度には火力61%、原子力29%、再生可能エネルギー10%(うち水力9%)だった。大震災後の13年には、火力88%、原子力1%、再エネ11%(うち水力9%)となった。

3月10日 小委員会第4回会合。電力会社の接続可能量を機械的に計算して、発電量700億kWh、設備容量61GWという数値を提示。これによる不足分を原発に上乗せする。

3月30日 小委員会第5回会合。経産省が「各電源の特性と電源構成を考える上での視点」と題した資料を提出。「ベースロード電源」論を打ち出す。

「ベースロード電源比率6割を維持するには、原子力の比率を少なくとも25%前後にしなければならない」というもの。しかしこの発想は逆立ちしている。
ベースロード電源というのは、24時間連続稼働する「融通のきかない電源」のこと。コストを無視すれば、基本的には少なければ少ないほど良い。もしベースロード理論を用いるなら、その本来の適応対象は風力・太陽光である。
なお、経産省は地熱、水力、原子力、石炭火力を対象にしているが、地熱と水力は止められる。

3月30日 橘川武郎委員(一橋大教授)、「こんなことは言いたくないが、この委員会(の議論)を聞いていると、どうしても原子力の比率を上げたい、上げたいという雰囲気が伝わってくる」と発言。(橘川氏は反原発ではない)

3月30日 高村ゆかり委員(名大教授)は、「原発は3E+Sの原則に一致しない。そのことを明記すべき」と主張。

3E+S: 3Eは安定供給、経済効率性、環境適合、Sは安全性のこと。原発は事故が発生すると、出力が急速に低下し、長期停止してしまうため、安定の原則に背馳する。

4月28日、経産省、各電源の発電コストの試算結果を公表。原発が1キロワット時当たり 10.1円なのに対し、石炭火力12.9円、LNG火力13.4円、石油火力30~40円とされる。再エネは陸上風力15~20円、洋上風 力30円、地熱20円、一般水力11円、バイオマス(混焼)13円、太陽光(メガソーラー)15円、太陽光(住宅)14円などとされた。

4月28日、有識者委員会が開かれた。経済産業省が2030年の電源構成(エネルギーミックス)の案を提示した。原子力発電は20~22%、再生可能エネルギーは22~24%、火力発電は56%程度とした。委員会のメンバー14人のうち大半がこの案を妥当と評価。

5.01 吉岡斉・九州大学大学院教授(経産省の総合資源エネルギー調査会原子力小委員会の委員)が経産省案を批判。(東洋経済オンライン

1.「可能な限り原発比率を低減させる」という政府公約にも反する

2.原発比率20~22%は、稼働可能な43基と建設中の3基のすべてを稼働させ、運転期間を原則40年から60年に延長しなければ不可能。案には新増設、リプレースは書かれていないが、実現を狙っているとしか考えられない。

3.電力需要量を決める際の経済成長率の前提(年率1.7%)も過大評価だ。

4.データ自体の信頼性が低い。バックエンド費用(廃炉や廃棄物処理の費用)があんなに安く済むとは考えられない。

5.「ベースロード電源」は一昔前の概念である。それで、実質的に原子力と石炭火力を保護しようとする。これは時代遅れの発想であり、結論ありきの、為にする議論だ。

5月26日、第9回目の小委員会会合。「長期エネルギー需給見通し」の「たたき台」が示される。3委員が連盟で、「原発比率が過大で、再エネ比率が不十分」との意見書を提出。

3委員とは、橘川武郎委員(東京理科大学イノベーション研究科教授)、河野康子委員(全国消費者団体連絡会事務局長)、高村ゆかり委員(名古屋大学大学院環境学研究科教授)の3人。

6月1日、第10回目の小委員会会合。経産省が「たたき台」の文言の一部が修正された「長期エネルギー需給見通し」(案)を提出する。4月28日公表された電源構成案が、概ね了承された。

6月1日 構成案では太陽光の導入量に30年「64GW」という天井を設けた(現在は21GW)。事実上のFIT(固定価格買取制度)の変更。

赤旗経済面の囲み記事で、刺激的な見出しが飛び込んできた。

経産省小委、板根委員長 “原発否定愚か”と暴言

というもの。

「すべてを再生可能エネルギーで賄えれば理想だ。それが見えないなかで、原子力を完全否定するのは、国として全く愚かなことだ」

というのが発言内容。

現在の主力である水力・火力を無視する論理のすり替えはあるが、「暴言」というほどのものではない。

ちょっと前なら「現実が見えていない」と切り捨てたところを、「原発なしに何とか動いている現実」が目前にあるだけに、「未来が見えていない」と言い換えただけのことだ。

むしろ問題発言は、その後の一節にある。

板根委員長は、「原発に100%の安全を求めるのは“安全神話”だ」と主張。「エネルギー全体のバランスから見て20~22%が必要だ」と、まともな理屈抜きに原発に固執する姿勢を示しました。

ここに論理の途方も無いねじれがある。これを聞いた人は、一瞬、唖然として言葉を失ったに違いない。2回転3捻りみたいなもので、訳が分からない。初めて月面宙返りを見た時の、あのめまい感だ。

1.「原発に100%の安全を求めるのは“安全神話”だ」なら、「じゃあ、原発はやめよう」ということになる。

2.“安全神話”を語ってきたのはあなた方ではないか。まず一言謝ってから語れよ!

3.板根氏の言うことは、「危険だけれどやれ」ということになる。1%ならいいのか。人口1億の1%は100万人だ。ちょうど広島がそのくらいだ。家族や親戚が被爆しても、あなたは疎開するからいいのか。

ただ、この引用が発言を正確に写しとったものなのか、記者が要約したものなのか、どういう文脈における発言なのかがわからない。

ひどいとは聞いていたが、まさか経産省が平気でこんな数字を出すとは。
赤旗には立命館の大島さんのコメントが載っているが、それより前にまずグラフそのものを見てもらいたい。
cost
さすがに原発のコストを下げるのは気が引けたのか1.2%挙げている。しかしこのくらいで済むとは思えない。補強工事分だけでコストは跳ね上がる。保険料も(保険が効いたとしてだが)数倍になっているはずだ。稼働停止中の維持コストも半端ではないはずだ。
まずこれだけでもこのグラフは信じられない。
さらに、この1.2%のコスト引き上げに連動するかのように、他の電源コストも引き上げられているのだ。
LNGが2.5%、太陽光が2.6%、風力はなんと5.1%も引き上げられている。
お聞きしたい。太陽の値段が上がったのか、風の値段が上がったのか?

大島さんのコメントによると、再生可能エネルギーのコスト引き上げは固定価格買い入れによる差額分を上乗せしたものだそうだ。
それならそれで良いが、ではなぜ原発に関わる税投入分を上乗せしないのか。

経産官僚は国家のエリートだ。国家にとってもっとも良い道を選ぶべきだ。電力会社のために、ウソまでついて国家の道を誤らせるのは、利敵行為と見られても仕方ない。

きょうの赤旗に下記の記事が載っていて、勉強になった。というより勉強させられた。
「2030年の電源構成比率 どう考える」という題で、中身は関西大学の安田陽さんという人のインタビューだ。
紹介と言っても難しすぎて(多分佐久間記者の端折りすぎ)、要約のしようがないのだが、感想的にいくつかあげておきたい。

1.ベースロード電源とは

定義を聞いても良く分からないが、図を見ると需要の波の最小量と同じことらしい。必要最小限供給量ということになる。であれば、そういう値はあって当然と思う。

2.なぜベースロード電源(という枠組み)が必要か
電源構成は安定して低コストほど良いわけだが(安全であることが前提だが)、そういうものは得てして小回りがきかない。電気は貯められないから、安定していて低コストでしかも小回りの効かないものをベースロードに当てて、それ以外を適宜ミックスしながら電力を構成しようということになる。
そのベースロードにあたるものが原発、火発、水力、地熱なのだそうだ。(ただしダムは放流を止め、石油・LPG火発は元栓を止めれば良いので小回りが効かないとは言えない)

ということで、最初から話が二重三重になっていて、つまづいてしまうのだが、
①「ベースロード電源(ベース電源)」と書かれているが、本当にベースロード電源とベース電源は同じ意味なのか、
②なぜベースロード電源の比率が原発比率の根拠になるのか、
③4割とか6割とかいうが、何の何に対しての割合なのか、
これらが省略されて、一気に本論に突っ込んでいる。
これについては、あとで別途調べてみなくてはならないだろう。とりあえず前に進む。

3.ベースロード電源は何割くらいが必要か
1,2,を前提とすると、次に問題になるのは最大供給能力に対して何割くらいが必要なのか、あるいは適当なのかという話になる。
安田さんの話だと、この計算がめちゃくちゃなようなのだ。経産省が提出した数字ではカナダ、米国、フランス、オランダではベース電源の比率が80~100%になっているという。その上で、日本は4割しかないからこれを上げる必要があり、そのために原発が必要という論建てになっている。

ちょっと待ってよ。一体これはどういう数字なの。そんなに恣意的に、政治上の算術で出す数字じゃないでしょ。電力需要の振幅と最小需要量から自動的に出てくる数字じゃないんですか。ごく単純に言えばススキノのネオンが消える頃の消費電力量でしょう。
まぁ、とにかくここも保留にしておいて前に進もう。

4.ベース電源という考えそのものが時代遅れ

安田さんによると、ベース電源という考えそのものが、すでに時代遅れなのだそうだ。
答えは簡単で、「安定していて、低コストでしかも小回りの効かない」発電様式が衰退し、「安定していて、低コストでしかも小回りの効く」ものが主流になりつつあるからだ。
水力も夜間の揚水で電力供給にもメリハリが付き、火発も石油やLPGであれば出力の調整は容易だ。
「安定していて、低コストでしかも小回りの効かない」発電というのは原発と石炭火発のみだ。だからこの2つが時代遅れなら、ベース電源という考えも時代遅れということになる。

5.今の時代は「優先給電」
考えてみると、「安定していて、低コスト」をベースロードとして優先すれば、「不安定で高コスト」の再生可能エネルギーは立つ瀬がなくなる。
再生可能エネルギーが不安定なのは分かっている。空が晴れなければ、風が吹かなければ、電力は発生しない。雪が積もればアウトだし、強風で壊れた風車は枚挙に暇ない。
しかし高コストというのは必ずしも当たっていない。立ち上げコストを組み込んでしまうから高コストになる。理屈の上では原料コストはゼロなのだ。不安定さは風力・太陽光の組み合わせでかなり克服できる。
そこで打ち出されたのが「優先給電」の考え方だ。
これは、経産省とは真逆の発想で、再生可能エネルギーをいわばベースロード電源にしてしまう考えだ。
その上で、再生可能エネルギーの不安定さを「安定していて、低コストでしかも小回りの効く」LPG火発や揚水発電で補完しようということだ。

6.どっちにしても原発はお呼びでない
経産省のベースロード論の上にたっても、原発はお呼びではない。
「安定しているが小回りは効かない」という元からの弱点に加え、コスト比較でもLPGより優れているとはいえなくなった。しかもそこにはもっとも肝心な要素「安全性」という弱点がある。
原発はいかなる面から見てもベースロード電源としての資質を失ってしまった。
ましてこれを再生可能エネルギーと比べることなど、ナンセンスの極みであろう。

とりあえず、いったん項をとじるが、先ほどの基本的な事項についての勉強は、これからとりかかる。

そもそも国から税制面の優遇や補助金が出ても良いと思うのだが、あまり見当たらない。「エネポ」で見ると、いま生きている制度は次のものくらいだ。

H26  戦略的中心市街地エネルギー有効利用事業費補助金

福井市の商店街が「戦略的中心市街地」に該当するとはとても思えない。

税制はさっぱり分からないが、小額なら修繕費で落とせるが、それ以上になると減価償却の前倒しで対応するくらいで、手間を考えればかなりアホらしい。

グリーン税制というもっともらしい制度があるが、どちらかと言うと省エネに関する研究・開発への援助ということで、隠れ大企業支援策の一環のようだ。

結局地方自治体に期待する他ないが、実際に対応している自治体は数えるほど。

どうもここ、国の姿勢が一番の隘路ではないか。つまり「エネルギーが大変だ」というのは省エネを促すためではなく、原発再開のための脅しでしかなかったのではないか。

省エネの直接の結果はGDPの減少である。電力会社と経団連=大企業は、本当は省エネを歓迎していないのではないか。目先の価格に引きずられて、ひたすら安いエネルギーをふんだんに使うことに命をかけているのではないか。

本日の赤旗「家庭面」
話は、福井市の商店街がアーケードの照明をLEDに切り替えたということだが、その資金を融資したのが「福井市民共同節電所」という組織で、これは市民が出資して作ったファンドというのがミソ。

sikumi
福井新聞より

ここまでは、いかにもありそうな話だが、その額がすごい。下の表を見てほしい。
節電所

これまでは水銀灯108個で照らしていた。これをLEDに切り替えただけでなんと7割の削減につながった。
しかし、減ったのは使用量だけではない。消費量が減ると基本料金のランクも下がるそうで、効果はそれ以上という話だ。
多分、水銀灯に比べ寿命も伸びているから、もっとすごい。それで、肝心の見栄えだが、下記のごとし(朝日新聞より
LED
これが実施前
LED後
これがLED後
主催者が撮影した写真だから、痩せ薬の「使用前・使用後」みたいかもしれないが、水銀灯に比べ赤みがかった柔らかい光になったことは間違いなさそうだ。


ちょっとしたそろばん
これだけ効果がはっきりしているのに、いままで着手しなかったのは初期投資の額がかなりの高額だからということのようだが、その額は書かれていない。
朝日新聞にもう少し詳しく載っている。
昨年、1口15万円で42口分の出資者を集めた。それを元に今年2月、福井駅近くの商店街「ガレリア・モトマチ」と福井市内の6店舗がLED照明を導入した。
ということで、15x42=630万円だ。6店舗で130万として、残り500万くらいが投資されたことになる。
もう一つの疑問は、これだけ効果がはっきりしているのに金融機関が資金を提供しなかったのはなぜかということだが、これも記事からはわからない。
まぁとにかくそういうことで、市民ファンドが支援に乗り出した。契約では、事業者は負担ゼロで機器を導入し、下がった電気代(との差額)から3~5年かけて返済する。当然、利子もつくわけで、「分配金」と呼ばれる利子は年間1.5%となっている。
おそらく、考えるに、1.5%という金利がかなり安いのではないだろうか。今どき商店街の行く先など風前の灯だ。向こう5年の間に何件の店が潰れ、何件の店が生き残るだろう。潰れた店の分担金を生き残った店が肩代わりするのだろうか。ましてや、LEDへの交換のための500万円をためらうほどの貧乏商店街だ。
…などといろいろ考えると、金融機関筋は相当たじろぐだろうし、金利も5%は取りたいし、償還期限も3年位に圧縮したいところだ。
ただ、1.5%というのは出資者への配当であり、ファンド本体としてはリスクテイクの分を上乗せしなければならないから、借り手が支払う利子はその倍くらいになっているのかもしれない。

やはり家庭欄の記者の取材だから、ツメが甘いのかもしれない。

原発をなくす運動と再生エネとは直線的に結びつくものではない。むしろ温暖化効果と、輸入コストの増大を覚悟のうえで、火発に戻るかどうかという決断である。

原発がコスト的に見て論外であることは言うまでもないが、反原発イコール再生エネとはならないのである。

オイルシェールなども目下は夢物語と考えるべきである。

伝統的火発時代に戻ると決断した上で、

1.火発の技術革新が必要である。

おそらくこの半世紀、火発は過去のものと見られ技術革新や設備の更新は行われてきていないだろうと思う。

逆に言えば10%を超えるレベルで効率化、低公害化は可能と思う。マスコミもあぶくみたいな再生エネを追いかけるより、そちらの報道に力を入れるべきではないか。

2.電力価格が安価であり続けると、省エネへの意欲も薄れる。

こちらも現在の日本の技術力をもってすれば十分改善可能と思う。

また自然エネルギーは、省エネルギー・省電力の手段としてとらえればはるかに多様で柔軟な発想が出ると思う。

その上で、政策課題として

3.原発地域の振興

4.自然エネルギーやエネルギー転換技術の研究

という感じになるか。

日本のマス・メディアはまったくこのニュースを報道していない。

WSJの日本語版がかろうじて扱っている。

1.RWEというのはドイツの公益大手電力会社である。

2.13年度の通期純損益は28億ユーロの赤字(前年は13億ユーロの黒字)となった。(営業利益は59億ユーロの黒字)

3.再生可能エネルギーの過剰供給状態が、火力発電事業や卸売り電力価格を圧迫したためとされる。

4.欧州各地の石炭・ガス火力発電所から48億ユーロの減損損失が生じ、10億ユーロ前後のコスト削減にも関わらず減損分を吸収できなかった

5.減損は主として電力余剰から生まれている。RWEは赤字火発を整理し発電量を6.6ギガワットまで減らす方針。(2.3ギガワットの削減)


原発がコスト的に見て論外であることは言うまでもないが、反原発イコール再生エネとはならない。

安定供給をめぐる最大の問題は、再生エネ補助金が20年の時限付きであることだ。

補助金が切れたとき、再生エネ生産者は生産を続けるだろうか。それは可能だろうか、この辺りは今後突きつけられてくるだろう。

火発は原発廃止の受け皿としてはかなり長期に存続するであろうし、その経営がリーゾナブルな水準で維持できるような仕掛けが必要だろうと思う。


ベタの記事だが、注目すべき内容と思う。

ドイツの電力大手のRWE社が13年通期決算を発表。純損益が約4千億円の赤字となった。

これは1949年の西ドイツ建国以来初の通期決算赤字だとされる。

理由としてあげられているのが、再生エネによる電力が普及したための電力市価の下落だ。

ちょっと補助金のからくりがあって、市価の下落イコール電力コストの低下という訳にはいかないが、販売価格が下がったことは事実。

これにより、政府の補助金を受けられない火力発電所では投資額に見合う収益があげられなくなったそうだ。

おそらく電力各社が恐れているのもこういう状況であろう。

長期的な方針は別として、再生エネへの補助金をとりあえず調整する必要があるだろう。

価格、安全性、と並んで安定性は電力の必須条件である。そのために一定の火発の存在は不可欠である。

この辺りは発送電分離を前提にしないと話がややこしくなる。

いづれにせよ温暖化の問題も相まって再生エネへの転化は避けられない方向であろう。

まさにエネルギー革命だ。

電力各社も、ハラを決めるべきだ。

アルミ缶と苛性ソーダによる爆発

ケムステニュースというブログで詳しく解説してくれている。

まずはニュースから

20日午前0時15分頃、東京都文京区本郷の東京メトロ丸ノ内線本郷三丁目駅のホームに停車中の電車内で、都内に住む20歳代の飲食店アルバイト女性が持っていた業務用アルカリ性洗剤の入ったアルミ缶が突然、破裂した。

 警視庁や東京消防庁によると、缶を持っていた女性を含む乗客の20~40歳代の男女16人が手や顔にやけどのような症状を訴え、うち9人が病院に搬送されたが、いずれも軽傷だという。

 警視庁などによると、女性は「自分が飲み干したコーヒーの缶に、勤務先の店長からもらった強力な洗剤を入れていた」などと説明。洗剤は、蓋付きの アルミ缶(390ミリ・リットル)に蓋を閉めた状態で入れていた。同庁は、洗剤とアルミ缶が化学反応を起こして水素が発生し、破裂した可能性が高いとみて 調べている。

 女性は、千代田区内の飲食店での勤務を終え、御茶ノ水駅から荻窪発池袋行き電車(6両編成)の先頭から5両目に乗った。缶は、ビニール袋で包んだ うえで、紙袋に入れて持っていたという。負傷したのは男性6人、女性10人で、破裂した際に飛び散った液体がかかったという。終電間際で、5両目には約 150人の乗客がいて満員状態だった。

YOMIURI ONLINEより引用

再現実験の映像がこちら

これの機序について、下記のごとく説明されている。

2Al + 2NaOH + 6H2O→ 2Na[Al(OH)4] + 3H2

というなかなか複雑な過程をたどって、最終的に水素ガスが発生し、これが爆発したわけだ。

分子内に閉じ込められていた2gの水素がなんと22リットル以上の体積を持つのだそうだ。

この過程は、熱を発生し、しかも高温になると反応は加速されるそうだ。暴走した結果として、自然発火・自発燃焼もありうるのだろうか。

Gigazine に「水だけで発電しスパホを充電できる水素電池」という商品が載っていた。

商品名は myFC Power Charger という。

以下が前振り

どこでも発電可能なバッテリーとして、ハンドルを手回しすることで発電ができるモバイルバッテリーポータブルソーラー発電ユニット「Forty2」などを使いましたが、手回しが大変過ぎたり持ち運びが不便だったり。そんな中で、水を入れるだけで発電可能な水素燃料電池内蔵のポータブル充電器「myFC POWER CHARGER」を発見、実機を借りることができたので実際に発電してみることにしました。

EVERNEW Inc. という会社の製品。

基本はリチウム電池を内蔵したバッテリー・チャージャーで、どうということはないが、このリチウム電池を充電するのに「水素パック」という物を使うのがミソ。

形や大きさはアイスホッケーのパックを想像してもらえればよい。

このなかに、アルミ,プラ,Sodium Silicide(NaSi)粉末が素材として詰められている。

http://livedoor.blogimg.jp/shosuzki/imgs/d/3/d32c5219.jpg

この後上蓋を閉じると、粉末が加水分解して電気を発生するという仕組みらしい。

このパックが1個500円、使い捨てだがプリンターのカートリッジと同様使い回しはできそうだ。

多分実際の使い道はあまりないだろうが、この発想には大いに興味がある。

まさにカイロそのものだ。カイロは揉むと熱が出るが、このパックは水を入れると電気が出る。

この手軽さで電気が利用できるとなれば、蓄電池の展望は一気に広がる。

これまではNAS電池など大容量化・長期化に血道を上げていたのが、補充パックがあれば不必要になる。コストは大幅に削減されることになる。

24時間程度の蓄電池を数台設置し、交互に充電・発電を繰り返すなら、送電にかかる経費はほぼゼロとなる。

マンションやオフィスビル単位で設置すれば、非常に能率の良い電気設備となると思う。

素材はシリコンとナトリウムとアルミニウムだからほぼ無尽蔵だ。ただし、ナトリウムが爆発する問題はNAS電池でおなじみだ.移送や貯蔵には神経を使わなければならない。

爆発】約450gのナトリウムの塊を池に投げてみた - YouTube はかなり怖い

アルミ缶に苛性ソーダを入れて爆発したというニュースもあった。

風力や太陽光は供給が不安定という致命的な弱点がある。電気は使わなければ消えてしまうのだ。

これを安定したエネルギー源にするには大規模な蓄電装置が不可欠だ。これが粉末になって、いつでもどこでも使えるようになれば、送電装置も蓄電装置も不要になる。

水素をケイ素に結合させて閉じ込めるアイデアは以前にも紹介したが、現にここまで商品化され、1パック500円という数字が示されると、にわかに現実味を帯びてくる。

原発/代替エネルギー (37 items)をご参照ください。


雲仙でバイナリー発電。

雲仙の小浜温泉で、バイナリー発電の実験が行われている。

この温泉は湯温が高く105度と煮えたぎっている。湧出量も一日1万5千トンという膨大なもの。その7割が海に流されているという。

ここで去年の4月からバイナリー発電の実用試験が行われている。

バイナリーというのは、このお湯で直接タービンを回すのではなく、沸点の低い「代替フロン」を沸騰させてタービンを回して沸騰させるというもの。

正確にはこの間に「真水」の加温という過程が挿入されるようだ。

なかなか良さそうに聞こえるが、実際の発電量は840~1680KW時程度、出力は低く、ばらつきは大きい。

さらにお湯を送るのに管を通すのだが、「湯の花」のせいですぐに詰まってしまう。このためにお湯の量は想定より少ないという。

おそらく発電計画が率直に言ってずさんだったと思う。いったん真水を沸騰させるのなら、真水を送るべきであったろう。

さらに、3つの泉源の湯を1箇所に集めているというが、金額によってはむしろ泉源に1つづつ発電機を備え付けたほうが良いかもしれない。

地熱発電が環境問題をはらんでいる以上、このような「廃物利用」的な利用もありと思うが、レベルからすれば節電程度であろう。

むしろ本格的な地熱発電をした時に、その効率をさらに上げる技術として組み合わせるべきかもしれない。

 

 

以前にも原発の閉鎖の記事を書いたことがあったが、今度はかなりの大手だ。

米電力大手のデューク・エナジー社が、フロリダでの原発新設計画を断念すると発表した。

この計画は16年からの稼働を目指して08年に申請されたもの。
当時、中東産原油への依存脱却や地球温暖化対策の一環として、政府が原発を推進していた。

しかし、最近はLNGの火発とのコスト競争に敗れ、既存の原発も稼働停止に追い込まれており、新規の原発も展望がなくなっている。

ということだが、心配なのは核兵器用のプルトニウムの確保だ。
日本が頼りにされる時代になっているのかもしれない。

これはかなりのビッグニュースと思うが。
4月2日にドイツ連邦統計庁が発表したものによれば、

12年のドイツの電力輸出は大幅に増加し、11年の4倍に達した。

というもの。

同庁によると12年の輸出は666億KWで、輸入の438KWを差し引いた超過分は228億KW。これは11年の60億KWの約4倍。

事故直後の頃は、みんなが知らないのを良いことに、
欧州が地域ごとに電力を融通しあっていることを隠して、輸入額だけを取り出して、ドイツは電力輸入国だとデマを飛ばしていた人たちもいた。

もちろん、ドイツはまだ原発を使っている。やめることは決めたが、まだやめたわけではない。

しかしこの2年間で8基の原発が止まった。残りの11基もあと10年で稼働を止めるよていだ。つまり原発を減らしても電力生産は減らないどころか増えていることになる。

片岡記者は
①原発を廃止し再生可能エネルギーに切り替える政策の実効性が証明された。
②「原発をやめると電力輸入国になり、他国に電力を依存することになる」という議論の根拠の無さが証明された。
と書いています。
賛成です。ただ②についてはLNGの安定供給に見通しがつかないと、断言には至りません。

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