鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

13年4月、ぷらら・Broachより移行しました。 中身が雑多なので、カテゴリー(サイドバー)から入ることをおすめします。 過去記事の一覧表はhttp://www10.plala.or.jp/shosuzki/blogtable001.htm ホームページは http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」です。

カテゴリ:03 日本経済 > B 財政/消費税

以下が、今年度予算案における社会保障削減の内容だ。
社会保障削減
介護報酬の引き下げがもっとも高額になっているが、他も決して少なくない。
とくに年金のマクロ経済スライドは、これから先なんどでもやられるものだけに極めて厳しいといえる。
一つ一つの項目が老人にはズシッとのしかかってくる。老人を抱える家族も同様だ。
ところで去年4月の消費税引き上げ分の増収はどうなったのだろうか。高齢者の増加に伴う自然増分を差し引いても、しっかりお釣りはあるはずだ。
安部首相は引き上げのときこう言った。
増収分は全額、社会保障の充実・安定化に使う。
しかし共産党の小池晃議員の計算では増収分の16%しか回っていないという。
このことを問うと、安部首相は
給付と負担のバランスを取らないといけない
と答えたそうだ。
問題はバランスではない。あなたが嘘をついたかどうかということだ。



8日の赤旗の一面トップ記事。
トヨタの研究開発減税が1201億円(2013年度)だった。
これは赤旗記者が有価証券報告書の「財務諸表」と「税効果会計」から計算したものだという。
14年5月にトヨタの社長が「日本においても税金を収めることができるようになった」と述べて、衝撃を与えた事件を裏打ちした調査報道となっている。
ただしあくまでも推定である。
08年にリーマン・ショックのあと、トヨタの経営が一気に赤字に転落したのは記憶に新しいが、その年から5年間、トヨタは法人税を1円も払っていなかった。
それが13年度に過去最高となる2兆3千億の営業利益をあげた。その年に1201億円の減税を受けていたことになる。
話はそれだけだ。記事はそれにいろいろと尾ひれをつけているが、細かいところはなかなかあやふやだ。
まぁそのうちもう少し確度の高い情報が出てくるだろうから、それまで評価は待つことにしよう。

もう一つ谷垣幹事長の話。これは関西プレスクラブでの発言。
1.経済成長と財政再建の両立。景気回復はこの道しかない。
2.そのためにアベノミクス続行と消費税増税の先送りが必要。
最初からボタンを掛け違えている。現下の状況で、経済成長と財政再建は両立し得ない。まず経済成長、経済成長により財政再建という道か、まず財政再建、しかるのちに経済成長という道か、2つに1つだ。
ブレーキとアクセルを一緒に踏み込むのは愚の骨頂だ。エンジンが壊れる。
経済成長と財政再建はともに成し遂げなければならない。しかし、財政再建(増税と緊縮財政)を前面に立てれば必ず景気は後退する。少なくとも一時的には後退する。それは小学生でも分かる。
景気回復は「この道」以外の道でなければならない。
伺いたいが、この道以外にないのだとしたら、なぜ増税を先送りするのか。それは結局、「経済成長と財政再建」が両立し得ないからではないのか。それが4月以来の景気実績で証明されたからではないのか。

リーマン風邪という悪性の風邪にやられて、寝込んでいて、やっと床離れしたばかりの子に、乾布摩擦をやらせるようなものではないのか。

「別の道」について下記のごとく書いたが、それだけでは不足だ。

A) 応能負担を貫く、富裕層への優遇廃止

B) 法人の実質税率を引き上げる

C) 大企業の内部留保の活用 (法活用で雇用と中小企業への再配分)

D) 浪費型の公共事業の見直し、軍事費削減、原発関連予算の整理など

そのための財源を示さなければならないというので、共産党は財源提案も行っている。

A) 応能負担を貫く、富裕層への優遇廃止

①そもそも消費税で財源はどう変わったか

消費税創設以来26年間で、消費税収入の総額は282兆円。これに対し法人3税は254兆円、所得税・住民税は248兆円減少した。

後者は景気に左右される財源だが、大企業と富裕層への減税も大きく影響している。

これを元に戻すことが根本的な解決策である。

②法人税引き下げの中止

すでに実施した分でなく、今後の予定額が財界の要求に従えば5兆円に達する。消費税2%でも足りない計算だ。

③行き過ぎた大企業優遇税制の是正

トヨタは5年間1円の法人税も払っていなかった。法人税率は実効していない。

優遇税制には次のようなものがある。

研究開発減税(4千億)、連結納税(6千億)、配当益不算入(1兆4千億)、海外子会社益不算入(6千億)、

これらを廃止する。

③所得税、住民税、相続税の最高税率を元に戻す

これで影響をうけるのは、所得税では課税所得3千万円、相続税では一人あたり20億円以上の人たち。

④証券優遇税制をさらに見直す

株式配当については総合課税とする(小額配当は除く)。株式譲渡益の高額部分には30%の税率を適用する。

⑤資産課税の創設

相続税の評価基準で5億円を超える資産の部分に1~3%の累進課税(いわゆる富裕税)。対象となるのは0.1%の大資産家で、8千億の税収となる。

⑥被用者保険の保険料上限の見直し

⑦為替投機課税の新設

東京外為市場の取引額は年間100兆ドル近くに達している。その主要な部分は投機マネーによる取引である。

これに0.01%の課税をすると1兆円の税収となる。

財源

B) 大企業の内部留保の活用 (法活用で雇用と中小企業への再配分)

疲れたので、今日はここまで

その後も各方面の数字が発表されている。
内閣府の景気動向指数(一般指数)は12年以降一本調子に登り基調を示していたが、ついに低下に向きを変えた。基調判断は「足踏み」から「下方への局面変化」に変わった。

これは速報だが、中小企業の9月業況判断指数(日商)はマイナス24%で、8月よりさらに4%低下している。とくにひどいのが中小小売で、マイナス42%まで達している。

国際的にも消費税反動減への警戒感が出ている。IMF は7日の最新世界経済見通しの中で、「消費税増税後の国内需要の落ち込みは予想以上に大きい。低成長が長期化すると思われ、下振れリスクは春に比べ高まっている」と警告した。

8月統計が出揃ったところで、赤旗がコラム「危険水域 日本経済」で論評した。
論評はまず個人消費に眼をあてる。
総務省家計調査で、消費支出が5ヶ月連続のマイナス、8月でなおマイナス4.7%というのは、97年の0.5%と比べ格段に深刻だ。
「反動減が収束していない」というのは政府も認めている。
赤旗は、消費税にとどまらない、中長期的要因があるとみる。それは第一に国民所得の長期減少傾向、第二に円安に伴う物価の上昇傾向だ。
8月実質賃金指数は14ヶ月連続の低下を示した(毎月勤労統計)。名目は若干上がったが、それを物価上昇率が上回ったためだ。消費者物価指数(総合指数)は前年同月比3.1%に達している。
この所得低下は平均値でみるだけではダメだ。貧困層の増加と一層の貧困化に特徴があるからだ。年収200万以下のワーキング・プアーは1100万人、全労働者の24%に達している。また非正規が増え正規が減っていることも変わらない。

生産・貿易面はこれまですでに触れているので省略する。


消費税再引き上げ反対  5つの使えるグラフ

消費税引き上げに賛成する人は、

*社会保障が大事だから仕方がない。

*財政が大赤字だからしかたがない。

*国際競争力を守るために法人税の減税は仕方ない

と思っているのだろう。

それに対する有無をいわさないデータを示す必要がある。

1.引き上げやむなし論には根拠が無い その1

消費税増税は法人税減税へ。法人税を減らさなければ消費税を増やす必要なし

税収内訳推移

A) 平成元年の消費税導入後、税収は所得税に平行して下がっている。

B) 消費税導入、5%への引き上げはすべて法人税減税によって相殺されている。

C) 平成15~19年の税収増は、法人税増収によりもたらされている。

2.引き上げやむなし論には根拠が無い その2

財政バランス推移

プライマリー・バランス(対GDP比)の推移。97年の消費税導入後に、財政悪化が急速に進行した。03年7.2%が07年には2.1%まで改善している。リーマン・ショックがなければ2010年には財政赤字は解消されていたはず。

その間、消費税は上げられていない。景気の拡大があれば、財政赤字の克服は困難ではないということだ。しかし消費税は景気縮小にはたらく。

3.問題は歳入欠陥だ

世界の直接税

OECD諸国における租税負担率(2009年)において、日本は最下位。

4.所得税の減少に歯止めをかけなければならない

税率構造

税制について考えてみよう(財務省) より

5.事業主が責任を果たせば社会保障は維持できる

社会保障財源の推移

社会保障というものは、本来保険料によってすべて賄うのがたてまえ(国民保険・年金を別として)。しかし保険料が頭打ちとなる中、公費負担の割合がどんどん大きくなっている。

96年までの伸びが確保できていれば、公費負担はほぼゼロとなる。とくに事業主の負担が割合だけでなく実額でも減っていることは大問題だ。

今朝、NHKの「お茶の間フォーラム」みたいな番組で、「消費税増税実施すべきか否か」の話をしていた。増税推進論の代表として大和証券のアナリストが出てきた。
昨日大和総研を褒めたばかりなのに、とんでもないことをしゃべり散らしていて、かなり腹がたった。
司会者が「消費税、上げるべきと思いますか」という問いに、「上げざるをえないでしょう」と答える。しかもなぜ「上げざるを得ないのか」について満足な理由を上げられない。
問題なのは、その答えが答えになっておらず、はぐらかしでしかないということだ。議論に参加しているみんなは、必要かどうかという問題と、可能かどうかという問題を、それぞれに勘案した上で、「適切かどうか」という判断をしようとしているのだ。
結局、これは高村副総裁の「国際信用を失う」論につながっていく。
これは2つの点で間違っている。
まずこれは無責任な「撃ちてし止まん」論だということだ。日米開戦時の「やむを得ない」論と同じだ。
第二に、格付会社の幹部が言うように、「国の信用は経済のパフォーマンス次第だ」ということだ。消費税引き上げを実施すれば、破局に至るかどうかは別にしても、間違いなく経済は悪化する。そちらのほうが「国際的信用」にとってははるかに重大なのだ。アメリカの市場関係者や経済メディアは一致して、消費税引き上げ断行を憂慮している。


大和の想定グラフはなかなか面白いので別掲する。

空洞化と原発停止


空洞化と原発停止が貿易収支に与える影響を見たものである。2013 年時点で 11.5兆円ある貿易赤字のうち、約 7 兆円が空洞化、約 4 兆円が原発停止に伴う輸入増の影響によるものである。


というのが説明。「原発停止による」というのはちょっと不正確で、「原発停止に伴う石油・液化ガスの輸入増による」である。

絵の作り方も若干意図的で、空洞化の影響を下線にすれば、空洞化に比べ影響は少ないことが分かる。

つまり原発再開を願って作ったグラフが、はからずも空洞化の影響をさらけ出したことになる。

さらに言えば「円安」の影響というのも、円安にもかかわらず輸出が伸びないがための“影響”であり、広義の空洞化である。

結論から言えば、財政赤字の原因の殆どは大企業の海外逃避に伴うものなのだ、といえる。


政府の経済見通しが発表され、金融系の各シンクタンクがコメントを発表している。

まずは「みずほ」(9月9日)の見解

7~9月期には駆け込み需要の反動が徐々に薄れる、公共事業の執行が進む、ということで前期比年率+4.7%と強気の読み。

さらに年度後半は個人消費の持ち直しや設備投資の増加が続く、とし、通年で実質GDP成長率は+0.5%と予測する。

要するに政府見通しそのままだ。率直にいって、「みずほ」はやばいと見るべきだろう。

三菱UFJも同じ日に見解を発表

基調は同じだが、もう少し慎重な読みとなっている。

4~6月期の特徴を設備投資の下方修正と、在庫の増加とし、マイナス要因を先送りしていると指摘する。

いっぽう7~9月期についてはかなり大胆に予想しており、景気が後退期に入ることは回避できる、消費税率の10%への引き上げを決定する障害にはならないと断言する。

通年の実質GDP成長率は+0.2%と予測。下振れ要因として夏場の天候不順の影響、在庫を急速に調整する動き、海外経済の悪化により輸出が低迷する場合を上げている。

ただ両者ともに7,8月の動向を織り込んでいない。消費税増税に伴う悪影響がおおむね一巡し設備投資が増加に転しる、在庫整理にメトがつく、という織り込みはかなり狂っているはず。

さらに、実質賃金の低下や、空洞化と輸出の停滞という構造要因も織り込まれていない。

大和総研はもう少し踏み込んで分析している。

1.設備投資の減少は前期比▲5.1%と想定以上である。政府見通しは大きく下方修正された。

2.在庫の増加は、駆け込み需要によって減少した在庫の復元ということになっているが、内需の低迷に起因した部分もあるとみられる。

3.個人消費の5.1%減がどこまで駆け込みの反動か、どこまで実質所得の目減りによるものか。実質所得減による消費減は回復することはない。4~6月期では判断がつかない。

4.貿易赤字の二大要因は続いている。円安効果を空洞化が相殺している。貿易赤字11.5兆円のうち、約7兆円が空洞化、約4兆円が原発停止に伴う輸入増によるとされる。

第一生命は7月以降の動向も読み込んで、より厳しく見ている。

7月の個人消費関連指標や鉱工業指数は低調さが目立つ。とくに個人消費については予想以上に回復が鈍い。

4-6月期に積みあがった在庫を抑制する動きも下振れ要素だ。

7~9月GDPは前期比年率+4.0%と予想されているが、9月初め時点での感触ではそれを下回る可能性が高い。

消費税増税後の落ち込み

1.経済落ち込みの現況

A) GDPへの効果

日本のGDPはおよそ500兆円、その9割が内需になる。消費税を3%アップさせれば(増収分をすべて財政赤字補てんに回せば)、2.7%のGDP押し下げ効果になる。これをまず念頭に置こう。

4~6月期GDPは、実質で前期比1・7%減、年率換算では6・8%減。(駆け込みを織り込んだ予測では3.8%減と想定されていた。前期実績を二次速報値でとると7.5%減となる)

B) 民需御三家の総崩れ

内需は10.5%減で、そのうち民間需要は13.9%減。さらにそのうち、消費13.9%減、住宅投資35・3%減、企業設備投資9・7%減と全滅状態。

8月に入ってからも悪い数字が続く。新車販売台数は9・5%減。首都圏マンション発売戸数も49・1%減となった。

9月の政府月例経済報告で、消費税を増税したあとの落ち込みが、7月以降も長引いていることを認める。

C) 可処分所得の低下に拍車

円安物価高で、実質賃金は13カ月連続のマイナス。7月の家計調査で実質消費支出は5・9%の低下。

2.97年不況は再来するか

97年不況は生産過剰と金融危機の複合

金融を守ればものづくり産業が崩壊

外国資本の支配と外圧の強化

3.債務危機は来るのか

A) 歳入欠陥の拡大が最大のリスク、消費税の限界

7月に政府が20年までのプライマリー収支黒字化は不可能と宣言。

2013年度のプライマリー収支は約30兆円の赤字。これは名目GDPの6.2%にあたる。これは名目GDP成長2%を数年ほど続ければ、消費税増税なしに克服可能だ。

下図はプライマリー・バランス(対GDP比)の推移。97年の消費税導入後に、財政悪化が急速に進行した。03年7.2%が07年には2.1%まで改善している。リーマン・ショックがなければ2010年には財政赤字は解消されていたはず。

PB

B) 貿易赤字が続けば致命傷となる

年金・ゆうちょの不安定化

4.富の大移動と社会矛盾の激化

A) 円安はそれ自体が貧困化

雇用の危機の深刻化

社会保障システムの崩壊

あるブログにこういう記述がありました。

1000兆円を超える膨大な国債の残高や、少子高齢化に伴う社会保障財源増しを放置することは、対外的な国の信用の低下や国民の将来に対する不安感 を増幅するであろうことは想像に難くありません。消費税率を据え置いたがために、国債の暴落や金利上昇、将来への不安から生じる消費の落ち込みが企業の経済活動を停滞、もしくは悪化させるというシナリオも十分に考えられるのです。

景気の回復を待って税率を上げるという主張もありますが、引き伸ばしてきた結果が今日の財政悪化の原因でもあることは疑いようのない事実でもありま す。消費税率の引き上げの議論は、企業活動にとってのマイナスの側面がややもすると強調されがちですが、引き上げないことによるリスクや、将来に対する不安を回避するプラスの側面があることも考える必要があります。

何を言いたいのかよくわかりませんが、最近の消費税引き上げ論はここまで無茶苦茶になっているということを示す、ひとつの例といえるでしょう。

社会保障や“将来の不安”云々は付け足しです。消費税は社会保障財源ではありません。言っている本人も相当気恥ずかしく思っているでしょう。

そこを抜いて書き直すと、こうなります。

1.膨大な国債の残高を放置すると、対外的な国の信用の低下を招く。

2.消費税率を据え置くと、国債の暴落や金利上昇を来たし、企業の経済活動を停滞、もしくは悪化させる。

3.(消費税引き上げを)引き伸ばしてきた結果が、今日の財政悪化の原因でもあることは疑いない。

言っているのはこれだけです。

1,は当たり前の話です。だれも違うなどとは言っていません。

2.は「風が吹くと桶屋が儲かる」式の議論で、しかも「膨大な国債の残高を放置する」ことが、「消費税率を据え置くこと」にすり替えられています。

実は同じようなことを高村自民党副総裁が言っています。

増税しなければ市場の信認を失い、国債が暴落すれば打つ手がなくなる

まさに「撃ちてし止まん」、上げないと国が「ジェノバ化」し潰れてしまうかのごとき言い分です。ところがこれに対しては、ソブリン市場の格付けを行うS&P社の担当者が早速反論しています。

再増税がマクロ経済に悪影響を与える可能性があれば、必ずしもソブリン格付けにプラスではない

3.は明らかに事実と異なります。2000年代初頭にプライマリー赤字はGDP比6%近かったのが、リーマンショックの直前には1%ちょっとまで改善しています。その間に諸費税は引き上げられていません。そもそも膨大な財政赤字を作り出したのは、97年の「消費税ショック」によるものです。これは官庁筋もふくめ衆目の一致するところでしょう。

(ジェノバ化についてはをご参照ください)


エコノミストは口をつぐんでいますが、今回の消費税引き上げは、明らかに法人税を引き下げるための財源です。

誰が見たって、国家財政の歳入欄で、消費税の増収分が法人税の減税でチャラになっているのは一目瞭然でしょう。ここが見えないのは、「視野欠損」という病気です。視野欠損の患者がどう力説しても、それは病気の証明にしかなりません。

厚労省の勤労統計の6月分が発表になった。
実質賃金は前年同月比マイナス3.2%となった。賃金低下に歯止めが掛からない。
4月、5月より若干持ち直したが、きわめて悪い状況に変わりはない。年収400万の家庭で15万円ほどの減収になる。旦那の小遣い分が消えることになる。
とくに基本賃金と残業代を合わせた「決まって支給する賃金」がマイナス3.8%と著しく低下している。賃金が減っただけではなく、不安定さが増しているわけだ。
名目賃金は1%増だから、物価上昇が効いていることになる。言うまでもなく消費税の直接効果だ。
14salary

本日の赤旗は1,3,5面を使ってGDP大幅減の報道を行っている。
ソースは13日に発表された第2四半期のGDP速報値。
これが実質GDPで前年比マイナス1.7%減となっている。年率換算6.8%減だ。
この“消費税効果”が想定以上であることは内閣府も認めている。
問題はその中身だ。
個人消費は5.0%減、住宅投資が10.3%減、設備投資が2.5%減、この辺りは先日の報道とほぼ同様。
輸出が0.4%減、雇用者報酬が実質1.8%減とこれが最大の問題。
理由はきわめて単純明快だ。
これは1.海外移転路線、2.利益最大化路線、3.内部留保極大化路線のなせる業だ。さらに安倍内閣の国粋主義路線が中国シェアの減少に拍車をかけている。
そしてトドメの一発が消費税増税だ。
結局大企業に首を染め上げられる格好で、日本経済が失速し墜落局面に入りつつあることが示されている。
短期的には、個人消費と設備投資の乖離が今後在庫調整局面に入ることで、9月以降に不況が深刻化していく可能性がある。これは97年の引き上げ時の経過が示している。

民主党政権時代に、消費税引き上げを無理やり押し通したのだが、その時の最大のお題目が財政再建だった。
これは財務省サイドからの圧力だったようで、議論はある意味で消費税増税による歳入増加と、内需の冷え込みによる歳入減のどちらが効いてくるかというところに集中していたように思う。
一方で、財界の要求を飲んで法人税の減税をやるということの矛盾も、激しく衝かれたところだ。
ただ与謝野にしても、曲がりなりにも財政再建を錦の御旗に掲げていたから、それなりに真面目な政策論争ではあった。
それが、どういうことだ。
内閣府の試算は、「20年度にプライマリー・バランスを黒字化する」目標を投げ捨ててしまったようだ。
ということで、赤旗の主張が厳しく非難している。

とりあえずそこに示されたファクツをいくつかあげておく。

1.日本の財政の現状
歳入の4割が借入金。つまりプライマリーバランスはマイナス40%ということになる。
公債の発行残高は1千兆円。これはGDPの2倍。
2.中期財政計画
安倍政権発足時に策定されたもので、事実上の国際公約。
「20年度に国と地方の基礎的財政収支:プライマリー・バランスを黒字化する」ことを目標に掲げる。
3.内閣府の試算
今月、内閣府が経済財政諮問会議に示した中長期の経済財政試算。
20年度で財政赤字は11兆円残る。これはGDPの1.8%に相当。
4.さらなる消費税引き上げしかない
11兆円をすべて消費税で穴埋めし、かつ法人税をこれ以上引き下げない場合、税率アップは4%となる。

ということで、これ以上については勉強してみないとわからない。
ただ、論建ては多少おかしなところがある。
まず、現在の数字からどうやってマイナス11兆円のレベルまで持って行こうとするのか、そこが見えない。その際に公債の発行残高がどうなるのかもわからない。
いろんなレベルの数字がごっちゃになって提示されているため、どこがどうひどいのかが見えてこない。
私のような素人にも分かるよう、もう少し整理した提示をすべきだろう。

ついに内閣府も、消費税増税の影響が予想以上であることを認めた。
どういうことかというと、本年度のGDP成長率を下方修正したという話だ。
これは22日に発表された内閣府の修正見通し。

元々の予想成長率は1.4%、これは1月に閣議決定されたものだ。このとき、消費税引き上げに伴う影響は織り込み済みで、それをふくめて今年度のGDP成長率を1.4%と見通していた。(これは実質成長率で、名目は3.3%)

これが22日の発表では1.2%に下方修正された。つまり0.2%の読み間違いということになる。
内閣府が予想を外した最大の理由は、消費税の反動減が想定以上に大きいことだ。逆に言えば、甘く見ていたということだ。
ほかに輸出の不振もあげられている。不振の理由は明らかで、輸出企業がシェア拡大に動かなかったからだ。同一企業の現地法人とシェア争いをしても仕方ないわけで、これも明らかな政策の失敗だ。

消費税増税のマイナス効果は終わったわけではない。始まったばかりだ。これがどこまで進むのか、非常に恐ろしい思いがする。
景気の底が抜けて、歳入の減少がさらに進むようであれば、日本の財政は深刻な事態に陥ることになる。

日銀短観に関する報道では、赤旗はWSJに大きく水を開けられた。

赤旗の見出しは「景況感6期ぶり悪化  消費税増税の反動減響く」となっており、いささか緊迫感に乏しい。

記事もまとまりなく数字が並ぶだけで、インパクトは感じられない。

たしかに日銀短観というのはただのアンケート調査で企業マインドを知るだけのものだ.おそらく赤旗はあまりこのデータを重視していないのかもしれない。

以下は、日本版WSJ記事の要約

1.全国企業短期経済観測調査(短観)は、消費税引き上げを受けて日本企業が感じている逆風を最もよく示す調査とみられる。

2.6月の短観は、増税により企業の見通しが急激に悪化したことを示唆した。駆け込み需要の恩恵を最も受けた自動車メーカーの業況判断は特に大きく低下した。

3.増税で消費が抑制され、政府支出にも一服感が出てきており、輸出が低調ななか、設備投資は日本経済の数少ない好調な分野だった。大企業の設備投資計画は7.4%増に達した。この数字は2007年の6月調査以来の高さだ。

4.6月短観の数字は、増税にもかかわらず景気は総じて堅調との見方に疑問を投げかけた。今後、設備投資や雇用の改善の持続性に対する疑問が浮上する可能性がある。


ということで、経済成長のカギを握るのが、外需、内需、公共投資、設備投資の4本柱とすれば、目下唯一の頼みの綱が設備投資であるということだ。

そして、設備投資額を支配する「企業マインド」が、消費税増税後の個人消費の冷え込みをどう見るかということだ。

そして、それ次第では経済収縮に向かいかねないという状況になっているということだ。

それらを見ているからこそ、WSJは日銀短観の動向にきわめて神経質になっている。この辺りの感覚が赤旗の経済部には不足しているのかもしれない。

もう一つ、大変気分の悪いニュース。
トヨタが5年間のあいだ1文の法人税も払っていないという話。社長が自ら喋ったんだからこれ以上確かなことはない。
5年前にゼロになったのはリーマンショックのため。たしかに大幅な赤字を計上した。だから利益に課せられる法人税型だというのは納得できる。
しかしその後の業績は殆ど奇跡的と言っていいくらいで、世界で1千万台を売り上げるところまで伸ばしているのは周知の通り。
5年間の累積利益は2兆円(連結)に達している。
そこで腹が立つのが株主配当だ。なんと1兆円を超えているのだ。これは泥棒ではないか。税金逃れのからくりは別に考えるとして、これが税金泥棒でなくてなんなのだ。
計算してみよう。
1兆円の配当を受取る富裕層は、普通なら所得税で40%を超える税額になる。ところが配当でもらえば20%だ。つまり富裕層は1兆円の4割4千億円を支払うべきところ2割の2千億円で済ましていることになる。トヨタだけでこれだけなら、おそらくこの「合法的な脱税」額は1兆円を降らないだろう。

こういうどろぼう連中が日本の政治を握って、若者に「国のためだ、死んでこい」という政治をつくろうと企んでいると思うと、なおさらに腹が立つ。
「国民のためなら、考えなくもないが、お前らのために死ぬのはまっぴらだ。お前らが死んでくれれば、いっそそのほうがスッキリする」


収入源、物価上昇(消費税分も含めた)と並んでもう一つの重要な数字が4.6%である。
これは、97年の消費税引き上げ時と比べることで意味を持ってくる。ここは“あのNHK”がしっかりチェックしていた。
増税後の落ち込みとしては、消費税率が5%に引き上げられた平成9年4月のマイナス1%を大きく上回っていますNHK ニュースWEB)

同じ30日に同じ総務省が発表した4月の全国消費者物価指数


 総務省が30日発表した4月の全国消費者物価指数(2010年=100)は、値動きの大きい「生鮮食品を除く総合」が103・0と、前年同月に比べ3・2%上昇した。

 消費税率引き上げの影響が反映されており、上昇率はバブル経済期の1991年2月(3・2%)以来、23年2か月ぶりの高さとなった。

 消費者物価指数の上昇は11か月連続だ。日本銀行は消費税率引 き上げによる消費者物価指数への影響を1・7ポイントと試算している。この増税分を除くと、上昇率は1・5%程度となり、3月(1・3%上昇)より0・2 ポイント程度拡大したとみられる。増税分の価格転嫁に加え、物価の上昇基調も続いていることを示した形だ。

 3月に比べて上昇率が大きかったのは、ペットフードや冷蔵庫、チーズなど。燃料価格の上昇により、ガソリンや電気代の上昇も目立った。

 家計の実感に近い「生鮮食品を含む総合」は3・4%の上昇。物価の基調を見る上で重要な「食料・エネルギーを除く総合」は2・3%の上昇だった。(読売新聞)

阿修羅にはこんな投稿があった。「遂にスタグフレーション突入へ!

これがマイナス7.1%の根拠。


総務省は30日、4月の家計調査報告を発表した。2人以上の勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり46万3964円で、前年の同じ月と比べ、マイナス7.1%。昨年10月以来、7か月連続の実質減少となった。

同省の発表によると、勤労者世帯の収入は、昨年10月〜今年2月まで、前年同月比でマイナス1%程度で推移。しかし、3月は3.3%、4月は7.1%となり、減少率が拡大している。

一方、同じく2人以上の勤労者世帯の消費支出をみると、 4月は1世帯当たり30万2141円。3月と比べ実質13.3%も減少し、消費税率の引き上げで消費を控えた様子がうかがえた。


ウーム、何が起きているのだろう。

収入が7%減って消費税が3%増えれば、なんと1割も減ったことになる。正社員の給料がまさか1年で7%も減ることはないし、非正規の人の収入はこれ以上減らせないほど少ないのだから、正社員が減ったこと以外には考えられない。

解説したものを少し探してみよう。


とグーグルしてみたが、まったくない。これだけ衝撃的な数字なのに、何故1本もないのだ。






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