鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

13年4月、ぷらら・Broachより移行しました。 中身が雑多なので、カテゴリー(サイドバー)から入ることをおすめします。 過去記事の一覧表はhttp://www10.plala.or.jp/shosuzki/blogtable001.htm ホームページは http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」です。

カテゴリ:04 国内政治 > C 労働/貧困/人権

これだけの文章をいちいちまとめていくのは大変なので、例によって年表形式を利用して、事項を整理していく。

2004年2月 最高裁、グレーゾーン金利が有効と認められる例外について「厳格に解釈すべきだ」との判断を示す。

金利の上限については、利息制限法(15〜20%)と出資法(29.2%)の2種類がある。貸金業法では20%以下だが、債務者が任意に支払うなら29%までの利息が可能であった。これがグレーゾーンである。

06年1月 最高裁、「明らかな強制だけでなく、事実上の強制があった場合も、上限を超えた分の利息の支払いは無効だ」とする判断。さらに過払い利息は過去10年に遡り返還請求が可能とする。

06年 新司法試験が導入。弁護士の合格者が大幅に増加し、失業弁護士が大量に出現。多くが過払い金案件に群がる。

この頃ホームロイヤーズ(現:弁護士法人MIRAIO)が登場。自己破産1件28万円という低価格を売りに,債務整理の「市場」に参入。事務職員を何十人も雇って、大量の事件処理を行わせるビジネスモデルを開発。

08年 日本貸金業協会、全国の業者が返還した過払い金は約1兆円に達したと発表。報酬金を20%とすると法曹界は2千億円を獲得したことになる。

09年7月 日弁連、債務整理事件の受任にあたっては、依頼者と直接面談することを義務化する指針を定める。

この他にも例えば、「過払い金のつまみ食い」などが現れた。依頼者の他の借金は無視して過払い金返還請求だけを行うやり口。

10年9月 業界大手の武富士が会社更生法の適用を申請。過払金の返還請求の急増で多くのサラ金の業績が悪化。

東京地裁では不当利得返還請求訴訟(過払金返還請求)が通常訴訟全体の半数を占める。

11年2月 日弁連、「債務整理事件処理の規律を定める規定」を制定。法曹界の自粛を促す。「つまみ食い」の禁止、個別面談義務、報酬の上限20%など。

12年11月 アディーレ法律事務所、過払い金回収案件が15万4219件、804億1781万円に達したとホームページ上で公表。報酬金を20%とすると160億円強の収入となる。

2016年 最高裁判決後10年を経て、過払い金返還請求バブルが終りを迎える。(筈ですが)

と、一通り経過を書きました。


まぁよくある話で、「悪徳」ではあるが、すれすれ違法とは言い切れないあたりで荒稼ぎしているようです。

一昔前は、医療でも儲け主義としか言いようのない、眉をひそめるような病院がゴロゴロしていましたから、弁護士だけを悪しざまに言うのも気が引けます。

ある記事では弁護士事務所を街場系とビジネス系に分けていましたが、いずれにしても本来の目的は債務者の救済にあるわけなので、過払い金返還にあるわけではありません。

その観点から見ると、債務者救済に親身になってくれる街場系の法律事務所にお願いするのが一番ではないでしょうか。

毎日通勤の車でラジオを流している。ほとんどが無駄話だが、その分、運転が疎かになることもないのでやめられない。

しかし、最近の法律事務所のCMには辟易する。ある種の貧困ビジネスなのだろうが、一体なぜこんなに流行るのか気になる。

いくつもの事務所がこれだけの宣伝コストを掛けて、かつ儲かっているのだからかなり割のいいビジネスなのだろう。しかし債務者=貧困者を相手にこれだけ儲けるということに、どうも胡散臭さを感ぜずにはいられない。

そこで「法律事務所 債務整理 ビジネス」のキーワードでグーグル検索してみた。山のように法律事務所のサイトが引っかかってくるが、それに混じって法律事務所に対する疑問を呈するページもかなりの量に達する。

一応挙げてみると

有名弁護士事務所まで非弁提携で市民を食い物に! | ビジネスジャーナル

債務整理事件の「市場」で起きていること - 黒猫のつぶやき

1億円以上の年収を得た弁護士が続出した、過払い金返還バブルをまとめ ...

過払い金のつまみ食いって何? - 教えて!債務整理

自己破産ビジネスの横行 “法の庭”徒然草 頼れる弁護士 白川勝彦の 白川 ...

よくある質問|依頼した弁護士・司法書士とのトラブル・セカンドオピニオン ...

債務整理のお話し(3)~弁護士とコマーシャル 法律事務所にテレビCMは ...

「債務整理ビジネスで増加する“違法弁護士”の実態(後編) 」 - livedoor Blog

という具合。少し小当りしてみるか。

その前に、幸いなことに債務で悩んだことがないので、債務整理という概念がさっぱりわからない。

そこで下記のページでお勉強。

北海道合同法律事務所(札幌) || 任意整理Q&A

11項目のQ&Aが載せられているが、まあ、「読めば分かる」と言えば分かるし、分からないといえば分からない。

Q0: 任意整理とはなんですか

答え 任意整理は、利息制限法を上回る金利で借りた人が、過払い利息を元本に組み入れて債務額を減らす手続です。

要は借金(違法金利分)の減額ですね。

Q1: 任意整理を弁護士に依頼する場合には、何に注意したらいいですか。

答え 全ての借金について正直に話すことが大切です。

そうでしょうね。

Q3: 任意整理の対象とならない債務もあるのでしょうか。

任意整理の対象となるのは、銀行やクレジット会社、サラ金、商工ローン等からの借り入れです。住宅ローンや自動車ローンは任意整理の対象とはなりません。

基本的には「住宅や自動車は売れ」ということでしょうね。

Q4: ヤミ金から借り入れてしまいましたが、その場合も相談に乗ってもらえますか。

答え 出資法に違反する高金利で貸付をするいわゆる「ヤミ金」から借り入れてしまった場合、弁護士が介入すれば早期解決につながります。 この場合にも正直にお話しください。

相談には乗るが、それは「任意整理」(利息制限法)とは別の話(出資法違反)ということになる。

Q7: 弁護士に任意整理を依頼した後も、債権者(貸主)に返済を続けなくてはいけないのですか。

答え 弁護士に任意整理を依頼した後は、債権者に返済する必要はありません。弁護士が債権者に「受任通知」を送ると、債権者は直接請求をすることができなくなります。

それだけでも有り難いことです。

Q9:    銀行のカードローンなどは、任意整理をしても意味がないのでしょうか。

答え 金利が利息制限法の範囲内であれば、債務額があまり減らず、任意整理のメリットが十分にない場合もあります。残債務額によっては、「個人再生」を利用した方が適している場合もあります。

個人再生というのは良く分からないが、いわゆる「自己破産」のことか。

合同法律事務所のサイトには「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」の3つが並べられている。良く分からないが「個人再生」というのは“隠れ自己破産”みたいな感じらしい。

Q10:   任意整理で、「逆にお金が返ってきた」という話は本当でしょうか。

取引期間が長い場合には、制限利息と過払い利息の差が元本を超える場合もありえます。この超えた部分が「過払い金」と呼ばれるものです。

過払い金があったとき、弁護士は債権者(貸主)と交渉をして返還を請求します。回収した過払い金は、他の債務や弁護士費用の支払いに充てますが、それでも余りが出た場合には、依頼者の方にお返しします。

これがCMでおなじみの「逆にお金が返ってきた」という宣伝だが、この説明を聞くと、宝くじ並みの確率のようだ。

ということで、まずは仕組みについてあらあら分かった。次に、それで法律事務所が儲かる仕組み。前掲の記事にあたっていくことにする。

奨学金の改善をもとめる若者集会での発言。赤旗からの転載です。
平川さん

すみません。実情を知らなくて、利子がこんなに取られるとは知りませんでした。
どういう計算になるのか。
4年間で総額456万円を借りた。これを20年ローンで返済することになる。
例えば住宅ローンだと、住宅保証機構のサイトのシミュレーションに入れると。
500万円借り入れの20年償却で、均等割で返済すると返済総額は5,518,620円と出てくる。
利子は52万円だ。奨学金の利子の半分ということになる。
三菱UFJの住宅ローンの試算だと、約 5,702,420 円と出てくる。それでも利子は70万円どまり。
貸し倒れリスクが上乗せされているのだろうか。たしかに返済率は相当悪そうだが。
無償給付する本来の奨学金制度がすぐに実現できないのなら、まずは住宅ローン並み(できればその半分くらい)に金利を下げてやることが必要だろう。
そのうえで、「悪質滞納者」については、審査の上で、裁判に出るとか債権を競売にかけるなどの強硬手段も必要かもしれない。
とにかく景気の良かった時代とは違う。仕送りも親のスネもやせ細っている。ホンキで考えないと、この国の明日は真っ暗だ。

過労自殺に至る心的機転は雨宮さんの説明でよく分かる。

ただ、天下の大企業である電通の事件であり、東大卒の超エリート社員の話である。ある意味、私らごときが悩んでどうなるようなレベルではない。

ある程度の忙しさ・ストレスは承知の上で、彼女は就職したはずだ。それに、なんとなれば電通をやめたとて食うに困るような境遇ではないはずだ。

そこには、やりがいのなさ、給料の安さ、失業の恐怖に悩みながら働く居酒屋チェーン青年のストレスとは異質のストレスがあるはずだ。

しかもこの会社、以前にも同じような事件を起こしており、基本的に反省していないことが窺われる。

やはり業種・職種の特殊性とか、企業風土みたいなものを念頭に置かないと理解はできないのではないだろうか。

あるツイッターでどこかの大学教授(元ビジネスマン)が「月当たり残業時間が100時間を越えたくらいで過労死するのは情けない」と書き込んで大問題になったそうだ。さらに「自死はプロ意識の欠如だ」と追い打ちをかけている。(BLOGOSより重複引用)

時と所をわきまえない無神経な発言には腹が立つが、一番問題なのは「月100時間で自殺するとは変だ」と思わないことだ。その思考停止ぶりが非常に気になる。

「愛する部下」だったかもししれない人の自死に、これほど無頓着な人物には、管理職は務まるまい。だから大学教授になったのかもしれない。

まず月100時間という数字の怪しさだ。

月25日勤務として、超勤100時間は1日4時間になる。たしかに異常に多いとはいえないかもしれない。私も若手の頃には10時前に帰ったことはなかった。

おそらく実際はそれをはるかに超えていたろうと思われる。

本人のTwitterでは「誰もが朝の4時退勤とか徹夜とかしている中で新入社員が眠いとか疲れたとか言えない」と書かれている。

この言葉が実情であれば、うちわに見ても150時間は越える。

もし自殺するかしないかの分かれ目が某教授の言うように労働時間により規定されるのなら、たしかにこの女性の労働時間はその一線を越えていた可能性がある。某教授はまずそのことに気づくべきだった。

もう一つ。

この教授が「自殺するのはプロ意識の欠如」と断じている点である。前段が「思い違い」として許せるにしても、これはプロ意識の重大な履き違えがあり、教授としての資質が問われると思う。

むかし、稲尾という名投手がいた。日本シリーズでは7試合中6試合を投げ優勝に貢献した。「この時神様、仏様、稲尾様」と名付けられた。弱冠19歳のことだ。

その後も鉄腕稲尾の名をほしいままにしたが、結局10年で肩を壊し選手生命を絶たれた。

某教授はこういうのを「プロ意識」というのだろう。それはそのまま「特攻隊精神」だ。

これが「マイウエイ」だと、彼がこだわるのなら構わない。しかしそれを人に押し付けてその結果人が死んだとしたら、その死はあんたの責任である。


エリート社員と過労自殺とをつなぐものは「プロ意識」である。なぜなら「プロ意識」は「撃ちてしやまん」精神に置き換えられてしまっているからである。

しかし電通のような業界にあって、エリートとはどのようなものなのだろう。私たち世代にとってCMというのは三木トリローだったり柳原良平であったり、野坂昭如であったりする。どちらかと言えばアイデア勝負のヤクザな連中である。片足でそういう連中をうまいこと使いながら、もう片方の足で業界にはめ込んでいくのがエリートなのであろう。

であればその人には、片足ヤクザ的なキャラクターが求められるだろう。どっちにしても「特攻隊」にはそぐわない。そんな仕事からは良い作品は生まれない。良い作品を生み出せない人は「プロ」ではないのだ。




雨宮処凛さんが19日の日付で、ブログに書いている。

電通過労死認定から、この国の非常識な「普通」を考える という題だ。

たいへん良い文章で、いちいち納得してしまう。

ハラスメントは、過労死・過労自殺に必ずと言っていいほどつきまとう。

と切り出して、次のようなインタビューを紹介している。

本当は、はっきり言えば上司なんですよ。かならず過労死って3人くらい、上司がかかわっているんですよ。ダメな上司が3人いると死んじゃう。

もう一つは周囲が関わらないことだ。

私に投げかけられたのは、「正社員だったら今時それくらい普通だよ」という妙に冷たい言葉だった。

これで彼あるいは彼女は周囲から切り離され、自分を責めるしかなくなる。

雨宮さんは、ここでもう一つ追い打ちをかける。

ギリギリのところで踏ん張っているからこそ、「辛い」という人が許せない。弱音を吐く人が癪に障る。「ついていけない」とか「無理」なんて、一番の禁句だと信じ込まされているから。

そして生き留まった人は、その代償として心が「壊れて」行き、生贄を求めていくようになる。

こういう集団的な力動過程のもとで、「過労死」が生み出されていく。

おそらく雨宮さんの事例は、自殺した電通社員のことが念頭にあっての、パワハラ自殺にやや偏った過労死分析ではあろうが、実際にはその比率が圧倒的に高いことも事実である

雨宮さんによれば、15年度に過労死で労災認定された人は96人。未遂も含む過労自殺は93人となっている。

日本の過労死統計のほとんどは過労自殺が占めているのである。逆に言えば自殺以外の過労死はいまだ闇から闇へと流されていることになる。

とすれば、過労自殺を過労死に含めることが逆の意味で正しいかどうかも疑問になってくる。

過労自殺の本質は過労そのものより過労を強いているものにありそうで、そこへの対処が問題になりそうだ。

電通過労死問題は大変ずっしり来る課題である。

しかし、どう切っていったらいいのか、切り口の見えにくい問題だ。

根底にあるのは不況と就職難だろう。さらに労働規制の緩和も拍車をかけている。

景気のいいときにも過労死問題はあった。しかし、それは「やめりゃいいじゃん」の世界でもあった。いまの過労死は働きすぎるほど働いても、その先が見えない過労死だ。しかも簡単にドロップ・アウトする訳にはいかない状況のもとでの過労だ。

ただ、以前の過労死がクモ膜下出血だとか、心筋梗塞だとかいう病気だったのに、最近はほとんどがウツ→自殺という形態を取っていることに注意が必要だ。

ウツというのは何もなくてもなる病気で、だからうつ病なのだが、過労が引き金になってのウツというのは、正確にはウツではなく神経症ないし心因反応ではないか。

そしてその原因は過労という宙に浮いたような抽象的なものではなく、過労を強いていた周囲の圧力にあるのではないかと思う。

その辺の精神力動的状況をチェックすることが、医学的には必要かと思う。いささか過激な言葉を使うならば、彼もしくは彼女は「殺された」のであり、「殺した犯人」を見つけ出さなければならないのではないか。

時として過労やストレスは人を襲う。それは避けようがない。しかしそれが死に至る結末へとつながらないようにするには、「二次予防」が必要であろう。

昨日のテレビでパーボ・ヤルビと武満徹の娘が対談していた。といっても武満の娘が一方的に喋って、それをヤルヴィが一生懸命聞いているのだが、とても面白かった。
武満は作曲家=芸術家というより作曲屋さんで、とにかく朝起きてはせっせと曲作りをして、それが午前中で終わると後はフリータイム。あえて言えば「充電時間」に当てていたという。
こういうのが「勤勉」というのだろうな、と思った。
確かに「勤勉」は美徳だが、1日10時間以上も働くのが勤勉ではない。
野球のピッチャーなら成功しようが失敗しようが1週間に一度しか投げない。だからといって決して残りの6日間を遊んでいるのではない。脳ミソを絞って、体力を一気に発散できる時間はせいぜい4,5時間なのである。それがサステイナブルな生産スタイルなのである。
労働スタイルではない。労働なら1日10時間、それを週に5日間なら十分働ける。
労働と創造にはそれだけの違いがある。しかし逆に言うと週に50時間労働できる体力と経験なしに週に10時間の創造は維持できないのである。



 

「広義の失業率」統計が始まる

昨日の赤旗の記事。

例によって読みにくい記事だが、整理して紹介する。

これまでの失業率は完全失業率で、さまざまな問題が指摘されてきた。

これに対し米国では、「広義の失業率」が用いられてきた。

今回は、内閣府が米国の「広義の失業率」を元に試算した結果である。

というのが、記事のホネ。

1.計算の方法

完全失業率では、失業者のうち①仕事があってもすぐに就業できない人、②求職活動をしなかった人や断念した人、③1ヶ月に何日かでも仕事をした人、④正社員になれず、やむなく非正規として就職した人、は除外されている。

「広義の失業率」はある程度これらを取り込んだものとなっている。

とくに④の人が問題とされている。

安倍首相は就業者数が増加したと強調するが、実際には低賃金の非正規ばかりが増えているからである。

2.試算の結果

今年の1~3月期で8.4%。同期で完全失業率は3.2%だった。

計算方法の細部はよく分からず、前後の比較もできず、国際比較も困難であるが、とにかく政府の試算でも8.4÷3.2=2.6倍の顕在+潜在失業者がいることが分かった。

一応、この2.6倍という数字は憶えておいたほうが良いだろう。

すみません。気分が悪くなることうけ合いの写真を載せます。
難民
以下が第一報
難民を中傷するイラストを日本人の漫画家がフェイスブック(FB)に投稿し、「極めて差別的」などと国内外から批判が集中した。イラストは、実在するシリア難民の少女の写真と酷似しており、英国在住の写真家からの要請を受け、7日に削除された。
以下がその写真
難民2
国際支援団体「セーブ・ザ・チルドレンUK」の職員で写真家のジョナサン・ハイアムズ氏が、シリア国境に近いレバノンの難民キャンプで撮影した6歳の少女の写真と、構図や表情がそっくりだった。ハイアムズ氏はツイッターで「無垢(むく)な子供の写真がゆがんだ偏見を表現するために使われたことにショックと深い悲しみを覚える。シリアの人々の苦境をゆがめて伝えており、恥を知るべきだ」とコメント。
それで、この漫画家だが、堂々と実名で投稿しているのだ。
蓮見都志子氏。FBで「安倍総理を支える会」の管理人を自称している。自分の写真まで掲載している。
毎日新聞によると、蓮見氏は騒動が起きた後も「“なりすまし難民”ではないかと考えています」と投稿している。ハイアムズ氏がもとめる「恥の回路」が完全に破壊されているようだ。
以前、テレビのワイドショーで生活保護バッシングをやって、総スカンを食らうと「私の言論の自由が侵された」とさめざめと泣いた女性議員がいた。こういうのを「ワニの涙」という。
ところがテレビはこの議員を繰り返し登場させ、目一杯持ち上げた。批判した人たちは口をつぐんだ。
こういう漫画家がいること自体恐ろしいことだが、それをもてはやす環境が恐ろしい。いまや彼らは暗闇から人を刺すネトウヨではない。堂々と本名を名乗り、大手を振って表街道を闊歩している。まともな人間は陰で縮こまっている。インナー・サークルの体制化の過程が目前に現出しているのだ。

このままでは、今に甘粕少尉がもてはやされる時代がやってくる。
「国民連合政府」は、我々まともな人間の命綱だ。

アメリカ軍の占領史に関する研究の第一人者であった、竹前栄治さんがなくなった。ネットでは10年ほど前に東京経済大学で行った最終講義がアップされている。
読んでいるうちに面白い記述に出会った。さわりだけコピーさせていただく。

以前、在日外国人の指紋押捺事件というものがありました。
外国人だけ指紋押捺させられ、外国人登録証を常時携行しなければならないことに、外国人が反発した事件です。
この法的根拠は外国人登録法ですが、この法は日米政府の合作でした。
そのことが、ロバート・リケット教授らの研究で明らかになりました。
さらにこの外国人登録法の基礎になったのが憲法です。
実は憲法で、「外国人も日本人と同じように平等に法的保護を受ける」という憲法草案が、GHQによってつくられていました。
それにもかかわらず、そこの部分が日本の司法官僚によって削除されてしまったのです。
この事実は古川純教授によって明らかにされました。

鳥飼基地問題について少し追いかけてみた。

毎日新聞 2014年07月29日 大阪朝刊から

見出しは下記の通り

東海道新幹線鳥飼車両基地:JR東海、合意の抜け穴 大阪・茨木側で井戸計画 摂津市反発「環境保全協定に違反」

いくつか赤旗に記載されていない事実がある。

1.鳥飼車両基地は敷地(約37ヘクタール)の9割を摂津市域が占める。

2.車両の洗浄などに大量の水が必要で、JR東海によると、上水道の使用量は年間22万トン。(1日あたりにすると600トン)

3.1964年に新幹線が開業した当初は1日当たり2千トン以上の地下水をくみ上げていた。

4.これにより周辺の住宅地で地盤沈下が発生。特に新在家地域では46.05cmも沈下した。基地内でも約20センチの沈下が確認された。

5.環境保全協定は数次にわたり更新されている。99年には、摂津市が市内全域で井戸の掘削を原則禁止する条例を制定した。

6.2014年、JR東海は年間1億円を超えるとみられる水道代の節約や災害時の断水に備える目的で井戸2基(取水量1日750トン)の掘削を計画。理由は年間1億円を超えるとみられる水道代の節約および災害時の断水に備えることであった。

7.摂津市は計画の撤回を求めた。JR東海側は「予定地は茨木市域であり、摂津市の条例や協定は適用されない」などとして拒否した。

8.JR東海の迫田俊明・関西広報室長は「掘削は検討段階だが、地盤沈下など環境への影響は少ないと考えている。地元に懸念があればよく説明したい」と話した。(しかし話しあう“システム”はない!)

9.茨木市は「JR東海から説明は受けたが、『まずは摂津市としっかり話をしてほしい』と要望」した。

アジアプレス・ネットワーク というネット・ニュースの12月号には、上下2回にわたり詳報が掲載されている。

10.9月30日、JR東海は井戸掘削工事に着手した。摂津市は11月に提訴に踏み切った。森山市長は「争いは避けたかったが、8万5000人の市民の安心・安全を守るためにも裁判という道しかなかった」と語った。

11.14年6月、JR東海は、工業用水法上の井戸使用許可申請に向けた事前協議書を大阪府に提出した。摂津市はJR東海から通知を受けず、府から連絡を受け計画を知った。

12.摂津市の質問に対しJR東海から回答が寄せられた。回答書の内容は以下のとおり

目的は、災害時の新幹線の安定的な遂行に必要な水を、水道水と地下水の両方から調達できるようにすることである。これは「官民挙げて取り組むべき災害対策」だ。

震災時には1日も早く国民の足を復旧しなければならないという使命を担っている。そのために水は必要不可欠だ。(JR東海の計画は、緊急用用水の確保ではなく、恒常的な汲み上げとなっている)
茨木市域での掘削なので摂津市の行政上の管理区域を超えている。協定の適用を受けるものではない

13.「経費1億円節減」の根拠。JR東海が車両洗浄などのための水道代は月2000万円かかり、摂津市に払っているのはその3分の1の750万円だ。これに12をかければ約1億円になる(JR東海労働組合新幹線関西地方本部)

やめてえな

摂津市のホームページには、概略が掲載されている。このなかで、JR東海が意図的に摂津市への連絡を行わなかった事実が明らかになっている。

平成26年3月17日神奈川県に本社のある浄水機メーカーA社が来庁され、鳥飼地域で井戸を掘りたいとの相談あり。市条例で原則地下水汲み上げ禁止を説明。
6月4日大阪府環境管理室から連絡あり。A社が来庁され、鳥飼基地で地下水を汲み上げたいとの相談があったとの事
6月16日市からJR東海に連絡を取り、説明を受ける。災害時の対応、コスト削減のための計画との事。
*井戸の深さ 200m、計画揚水量 750t/日
7月29日市長からJR東海関西支社長に対し要請書提出。
「東海道新幹線鳥飼基地における環境保全協定書の遵守について」
8月19日JR東海関西支社長から市長へ要請書回答。
「東海道新幹線鳥飼車両基地における井水活用にかかる摂津市からの要請書に対するご回答」
*井水システムの設置場所は茨木市域(敷地の約3%)であり、摂津市の行政上の管理区域を超えており、協定の適用は受けない。
9月10日JR東海関西支社長から市長へ文書にて下記の報告。
「東海道新幹線鳥飼車両基地における井水活用計画にかかる大阪府への『井戸使用許可事前協議書』提出について」
9月11日市長からJR東海関西支社長に対し「通告書」郵送。
*JR東海の協定の解釈は認められない。工事に着工されれば法的措置も辞さない。
9月18日大阪府環境保全課から「事前協議書」の審査が完了し、JR東海にその旨通知をしたとの事。
9月24日自治連合会役員会において経過を説明。
9月26日JR東海関西支社長から市長へ文書にて「通告書」対する回答。
*主張は変わらず、工事着手を9月30日からとの報告。
9月26日幹事長会開催。仮処分命令申立てについて説明。
9月29日鳥飼地区自治連合会、鳥飼地区老人クラブ連合会、鴻池勝彦氏から市長宛に要請書の提出あり。
9月29日大阪地方裁判所へ「工事等仮処分命令申立書」を提出。
9月30日報道機関から情報提供。JR東海に工事着手を確認したとの事。
10月1日JR東海に対し、環境保全協定に基づく立入調査申入れるが、拒否。

さすがに産経新聞はJR東海擁護の論陣を張っている。

1.摂津市では上水道用に1日約1万2千トンの地下水が取水されており、JR東海の日量750トンが加わっても地盤沈下の恐れはない。

2.大阪府では現在、地下水の水位が上昇し、液状化の危険性が高まっている。1日750トン取水することで、問題となるような大きな地盤沈下は起こらないだろう(大阪市立大の大島昭彦教授がそう言っているそうだ。大阪には液状化と地盤沈下を一体で語る「学者」がいるようだ)

3.昭和53年、新幹線博多総合車両所(福岡県)で渇水により車両に給水ができず、複数の停車駅で給水をしてダイヤが大混乱した。(これについては反論になっていない)

地方ネタといえば地方ネタだが、現場の市長さんが面会を求めたのを、「そんなシステムがない」と門前払いしたのにはびっくりだ。

面会を求めたのは大阪の摂津市長、「おととい来やがれ」と足蹴にしたのはJR東海だ。

そもそもどうして摂津市長がJR東海に面会を求めたか。それは摂津市内の新幹線車両基地での地下水汲み上げに反対するからだ。

鳥飼車両基地
        鳥飼車両基地(ウィキペディア)

そもそも、地下水の汲み上げは摂津市とJR東海との協定により禁止されていた。今回それをJR東海側が一方的に破った。ここに摂津市長の問題意識がある。

事件の背景

摂津市には国鉄時代から車両基地があった。「東海道新幹線鳥飼車両基地」という。広さは甲子園球場9個分、淀川の支流である安威川沿いに帯状に伸びている。

新幹線が開業した1964年から操業を開始しているが、その後の10年に30センチもの地盤沈下が発生した。洗車用に大量の地下水を組み上げたためである。

30センチ下がれば、家は傾くだろう。下手をすれば水道管は破裂し、ガス管は断裂し、下水は逆流する。

そこで摂津市は地下水汲み上げの中止を要請した。国鉄もこれに応じ、77年に市と国鉄の間に「環境保全協定」が締結された。これにより地下水の汲み上げは中止された。

地盤沈下

その結果、地盤沈下はほぼ止まった。ここまでならめでたしめでたしである。

ところが去年の9月、突然JR東海が井戸の掘削を開始したのだから、住民が怒るのも当然だ。

しかもやり方がえげつない。下の地図を見て欲しい。

鳥飼地図

おそらく安威川の旧河道であろう、茨木市が現安威川を越えて鳥飼車両基地にちょっとだけ食い込んでいる。ここに井戸を掘ったのだ。「悪い冗談だ」と思うが、本当の話だ。

「摂津市とは協定を結んでいるが、これは茨木の話であなた方とは関係ない」とでも言うのであろうか。むかしの江川事件を思い出す、まことにえげつない行動である。

なぜこのような事態がまかり通るのか

井戸の掘削は「災害などによる断水に備える目的」と説明されている。しかし、この件について国会で質問した辰巳議員はこう述べている。

あらゆるところでコストカットしていくというのがJR東海の方針だ。井戸水汲み上げで年間1億円の経費削減ができると試算されている。

しかし考えても見よ。地盤沈下で家が住めなくなれば、1戸2千万円50戸としてざっと10億円の被害が出る。宅地価格も暴落するだろう。「それは知りません」ではすまない。

しかしJR東海にはまったく恥じらう気配はない。

市は建設を制止した。JR東海はこの制止を無視した。

市は2ヶ月後に大阪地裁に提訴した。これに市民が呼応した。市議会は全会一致で、「JR東海に対し環境保全協定の順守を求める決議」を採択した。住民署名は3万5千人分を集めた(茨木の人口は8万5千人)。

一言で言って、JR東海と葛西社長は摂津市と摂津市民をなめている。コスト節減というがそれは人さまの資産を抜き取るに等しいわけで、強盗だ。

ヤクザの経営する悪徳土建会社と同じ企業論理が、JR東海にも貫かれていることになる。公共性の強い独占的事業が私的に運営されるとこうなるという悪しき見本だ。

選挙関連の報道のために圧迫されているが、下記のニュースが報じられている。

ユニクロの敗訴が確定 -「過酷労働本」訴訟-

要旨は以下のとおり

1.文藝春秋が「ユニクロの店長らは過酷な労働環境にある」とする本を出版した。

2.ユニクロは出版差し止めや損害賠償をもとめ訴訟を起こした。

3.裁判では一審、二審でともにユニクロ側の訴えは退けられてが、ユニクロは最高裁に上告していた。

4.最高裁は「(本の)重要部分は真実と認められる」と判断した。

5.最高裁は上記判断から、上告を受理しなかった。これにより判決が確定した。

これだけでは事件の背景がさっぱりわからないので、ネットにあたってみた。

1.本の内容

週刊文春「ユニクロ中国『秘密工場』に潜入した!」(2010年4月)と単行本「ユニクロ帝国の光と影」(11年3月出版)

執筆者はいずれもジャーナリストの横田増生氏。出版されたのはユニクロが「ブラック企業ではないか」と世間から疑いをかけられる以前の話である。

国内店舗や中国工場で、店長や従業員が過酷な労働をさせられている。長時間労働が常態化している

現役店長らの話では、月300時間を超えるサービス残業をさせられている。タイムカードを押していったん退社したように装い、その後サービス残業をしている。それを会社側が黙認している

2.訴訟の内容

ユニクロを展開するファーストリテイリングなどが、文芸春秋に書籍の発行差し止めと回収、謝罪広告及び約2億2000万円の損害賠償を求めた。

ユニクロは「真摯に時間外長時間労働の防止に努めている。中国の生産委託工場においても、労働条件を恒常的に監視してきた」と主張した。

3.下級審判決の要旨

東京地裁および高裁判決は「記者の取材内容や経緯からみて、記事は真実か、真実と信じた相当の理由がある」と判断した。そして賠償請求を棄却した。

「真実か、真実と信じた相当の理由」と紛らわしい書き方になっているが、これは国内については真実、国外については“真実相当”と書いてあるのを短縮したものだ。こういう短縮の仕方は良くない。

* 『月300時間以上、働いている』と本で証言した店長の話の信用性は高く、国内店に関する重要な部分は真実。

* 中国工場についても現地取材などから真実と判断した理由がある

というのが地裁の判決文。

最高裁はこの判決を支持した。

『週刊東洋経済』によるレビュー

この記事はさらに生々しい。

* 店長から顔面に頭突きされるなど暴行を受けた。本部の管理部長からも「ぶち殺そうか、おまえ」と言われた。(これは08年に名古屋高裁で争われ、1000万円近い損害額が認められた)

* 社内資料によれば、昨年2月と3月にも部下への「辞めれば、死ねば」「バカ、死ね、使えない奴」といった暴言による懲戒処分が複数下されている

* とにかく業務量が半端じゃないんです。すごいスピード感。仕事がどんどん降ってきて、どんどん動いて、改善を日々繰り返さないといけない。


まぁ上辺だけ見れば、一昔前のモーレツ社員ですね。しかし、むかしは愛社精神という精神的バックボーンがあって、それを基盤にした社員同士の助け合いがあったが、それなしで成果主義だけではキツイでしょう。助け合いの代わりに罵り合いじゃ身がもたない。

多分こけたら一発アウトでしょうね。堅気の商売じゃない。


共産党の女性政策

共産党が「女性への差別を解決し、男女がともに活躍できる社会を」という政策を発表した。

その特徴を一言で言えば、男女差別問題にとどまらず、女性問題の全体を見通した重厚な主張となっている。

大きな柱は三つある。

1.ひとつは職場における男女差別の是正

2.二番目は子育て支援

3.三番目が女性の貧困問題の解決だ

4.このほかに個別課題ではあるが重要な課題として

選択的夫婦別姓、自営業・農業女性の労働評価、女性への暴力の廃絶だ。

5.最後に政治分野での女性の進出支援のアジェンダが示される。

職場の男女差別は民主的労組の婦人部で積み上げてきたものだろう。子育て問題は新婦人などが長年手がけてきた問題だ。女性の貧困問題は福祉畑の活動家が心を痛めてきた問題でもあるし、女性地方議員の活動の大きな分野を占めてきたものだ。

それだけに、短いが要を得た論調となっている。


その上で、「すべての間接差別の禁止」については、割り切れないものがある。

転勤、とくに地方勤務がキャリアーとして認められないのはきわめて辛いことである。

根本的に、会社勤務がジョブであり、雇用契約に基づくものと割り切られているのであれば、そのような問題は起きないであろう。

つまり地方勤務の要請があっても、バンバン断っていけば良いのであって、その結果、地方勤務希望者がいなくなれば地方勤務手当は否応なしに上がっていくのであろう。それでどこかで釣り合いが取れればよろしいのである。

つまりそういう社会、企業のあり方へのモード変更が行われないと、この問題は尾を引くと思う。

いま医者の世界がそうなっている。医局の縛りがなくなったから誰も地方に行かない。技術研修という一点に絞れば、地方勤務は暗黒である。

これはおそらくまったく別の問題であって、「会社社会」、「企業社会」を打破していくための別の解決法を探さなければならないのだろう。それはよく分かるのだが…

とりあえず、妥協案として

1.地方勤務を行わないことをキャリア上のハンディとはしない

2.しかし、地方勤務の実績は、キャリアではない形態で上積み評価する

ということはできないのだろうか、隠された差別と言われればそれまでだが…

若者に100万円持たせろ
若者が100万円持ったら、たちまち日本は変わるだろう。
日本人の工夫好きはたちまちにしてハイテク製品の革命的変化をもたらすだろう。
アップルなんて、革命的技術はなにもない。既存の技術を組み合わせて一つの商品に仕立てるだけだ。
それこそ日本のお家芸だ。
企業の開発部が売れ筋を一生懸命考えてもたかが知れている。その国の若者の文化そのものが開発力なのだ。
いまの日本は若者を貶めている。成長しようとする力を徹底して無視して、目前の利益に走っている。
若者に100万円を与えろ。彼らはアイフォンをいじくり返し、たちまち新機能を付与するだろう。
電話とカメラと音楽プレーヤーとパソコンを一本化するなど、ものぐさのすることで、ふたたび機能は専門分化するだろう。それぞれの機能にはそれぞれの文化がある。なぜなら文化というものは、刺激を頭頂葉、前頭葉の回路を通して、言語化し価値付けることで生まれてくるものなのだから。
彼らはyoutubeよりはるかに品質の高い動画配信ネットを作り上げるだろう。4畳半をコンサートホールにしてしまうようなオーディオシステムを開発するだろう。もっと簡単な命令で、痒いところに手の届くようなナビを開発するだろう。
何よりも、ものがなくても自由な生き方をしようとする若者が復活するだろう。
それを実現するのは若者の文化力と、ちょっとした小遣いだ。
時給が200円上がれば、200x6x300=36万円だ。これに超勤手当、住宅・交通費、家族手当、各種保険、年金をきちっとつければ、50万円などあっという間だ。あとは企業の業績次第だが、若者は50万円あれば綺麗さっぱり使うはずだから、絶大な波及効果を伴うに違いない。

山田記者が「経済アングル」で提起している。
残念ながら、着想は面白いが“実証不足”である。

私は基本は需要(実需)と供給のミスマッチだたと思う。
労働市場の構造が様変わりしていることが根っこだ.産業空洞化で製造業が大幅に縮小したが、労働市場がそれに対応していない。
短期的には、この間の景気回復により製造業も人で不足になっているが、これまでの激しい人減らしで年齢構造が中抜きになってしまっている。このため労働者はいても使いこなせない状況になっている。要するに企業が劣化してしまっているために人手不足に対応できないのである。
サービス産業ではこれまで労基法違反もなんのその、極悪非道で成り立ってきた商売が世の指弾に会いやっていけなくなった、それだけのはなしである。
超短期的には、消費税を当て込んだ公共事業が横並びでスタートして、建設・土木関係に仕事が集中しているためである。これは予算を使い切ったら終わりの世界だ。これは本来なら福祉目的に使われるべきであった金であり、そうすればより継続的に需要を生む可能性があった金である。

実際のところ、現在も就職難は相変わらずである。

 奨学金の返済状況に関するデータ

共産党が「奨学金返済への不安と負担を軽減するために」という政策を発表した。

そのなかで奨学金の返済状況がいくつか示されている。

一般に科学研究では95%というのが信頼限界とされる。つまり5%以下の不揃い分は無視しうるものとされている。

奨学金の返済焦げ付きも、5%以下であれば事務的ミスとか、不心得の範囲に留まるだろう。

これが現在は「8人に1人」が滞納や返済猶予になっているそうだ。率で言うと12、3%というところか。これは明らかに問題だ。

1.奨学金受給者は20年間で4倍に

奨学金の受給率はこの間に急速に増大している。1998年と2014年の比較で、3.7倍にまで達した。粗々で言えば20年で4倍となる。

これはすごい数字だ。知らなかった。

「いまや学生の2人に1人が奨学金を借りています」という時代になっているのだ。

二つの見方ができる。ひとつはそれだけ世の中厳しくなっているという見方。もう一つはそれだけ大学教育が大衆化して、昔行けなかった人まで行くようになったという見方だ。

どちらにしても、学生が全体に貧困化し、学生生活が全体としてみすぼらしくなっていることは間違いないようだ。

2.学生の貧困化の原因

同じ時期の比較で親からの月の仕送りが10万円から7万円に減ったというデータが有る(大学生協連による下宿生調査)

その一方で学費は上がっている(ここには比較した数字は載っていない)

学生の貧困化の原因はあまりにも単純明白だ。

そして学生の対応も単純だ。奨学金かアルバイトしか方法はない。どちらが良いかといえば奨学金に決まっている。だから学生は奨学金に雪崩れ込んでいるのだ。

3.奨学金という名の借金

いまや奨学金の主流は有利子だそうだ。卒業後は返済していかなければならない。これがいくらになるのか。

…平均的なケースで、卒業時300万円、大学院に進学すると1千万円だそうだ。

医者や看護師の場合は、何年かお礼奉公するとただになる場合が多いが、普通はそうは行かない。返していくしかないのである。

利率は不明だが、20年で倍返しとなると、年額30万の返済となる。

最近の大学卒賃金については以下のように記載されている。

…大学・短大卒で30歳から50歳の人の3分の1以上が年収300万以下(総務省就業構造基本調査)で働いています。

だとすると、この3分の1の人の平均年収は250万程度と想像される。この中で、返済が滞る人が8人に1人程度というのは、ある意味で驚異的だ。

4.滞納するとどうなるか

記事から引用すると

…期日から一日でも遅れると5%の延滞金利息が上乗せされ、滞納が3ヶ月以上続けば、金融の「ブラックリスト」に載せられます。

ということだ。

借りた金を踏み倒すのは世間的には許されないし、厳しくあってしかるべきだ。しかし現下の事情を鑑みるなら、制度自体に条件を守られるような柔軟性が求められる。そうでなければ、たんなる厳罰主義であって、事態の解決には役立たない。

借金は返さなければならないと、歯を食いしばって頑張っている人たちに、せめて温かい気配りが必要ではないか。

5.共産党の提案

ということで、そもそも論もさることながら、奨学金併催の滞納者となることによって「社会的失格者」の烙印を押すようなアコギなことはやめよう、というのが共産党の提案だ。

詳細は本文に譲るとして政策の柱を箇条書きにしておく。

①既卒者の奨学金返済の減免制度を作り、生活が困窮する場合の救済措置を講ずる

②延滞金、連帯保証人、保証料を廃止し、返済困難者への相談窓口を充実する

③すべての貸与奨学金を所得に応じた返済制度にする

もちろんこれは当座の措置であって、抜本的には奨学金を貸与制から給付制に戻すことが必要であり、さらには世界の物笑いとなっている低文教費政策を改めることが必要であろう。


赤旗に「若手弁護士の会」が急拡大しているニュースが載っていた。

略称を「あすわか」というのだそうだ。正式名称は「明日の自由を守る若手弁護士の会」だ。

まことに失礼ながら、「あすわか」と聞いて「明日がわからない若手弁護士の会」かと思った。若手弁護士による一種のユニオンが結成されたのかと、一瞬間違えてしまった。

さほどに若手弁護士をめぐる状況は過酷と聞いている。

とりあえず、ネット文献をあたってみることにする。

第66期司法修習生への修習実態アンケート資料 - 日本弁護士連合会

という文献がある。1年前の8/9月に実施されたものである。その一部を紹介する。

①就職活動の状況

93%の修習生が就職活動を行った。履歴書の送付件数の平均は12.3ヶ所で、ほとんどばらまき状態だ。訪問回数も平均9.2回に及んでいる。

②採用内定状況

この時点で採用内定を受けられなかったものが30%であった。就職状況の厳しさがうかがえる。

③修習辞退の意向

修習生の19%が修習辞退を考えたことがある。その多くは就職難、弁護士の経済的困難を理由としている。

④経済的状況について

不安がある/やや不安があるを合わせ69%。

コメントには以下のものがあった。

法科大学院時代(年間学費200万円)の奨学金だけで借金が1千万を越える。返済できるかどうか不安。

借金を返すために、カネになる仕事しかしなくなるのではないかと不安。

収入がないのに、健康保険が親の扶養から外される。

本人だけでは部屋が借りられない。クレジットカードも作れない。


「今井家の10年」を考える

AALAの例会で「ファルージャ」という映画の上映会を行った。映画の題名はそれ自体がメタファーだ。

つまりイラクのファルージャを描いた映画ではなく、2004年4月にファルージャで人質となった若者の、その後の10年を描いたものだ。

例会には今井くんのお母さんが来てくれて、今井家の家族の歩みを物語ってくれた。それは圧巻だった。誰かが録音したようなので、いずれ起こせたらと思っている。

事柄の性格上、あまり細部にわたって語ることは出来ないが、私の着目したのは家族の一人ひとりの立ち直りの心的経過だった。

今井くん本人の自立への経過は、映画を見ればわかるので省略する。ただお母さんの話では、在日コリアンの青年との交流がとても大きな影響を与えたそうだ。なんとなく分かる気がする。

お母さんの場合は、NHKの番組作成にあたって、長時間・数次にわたるインタビューがあり、そこで徹底して過去を振り返ることで、気持ちが整理できてスッキリしたのだそうだ。

(こういうスタッフも居るのだから、簡単に「受信料拒否」などと言ってはいけないだろう)

他のご家族の話も伺い、それぞれの立ち直り方に非常に感銘をうけたのだが、今ここでは語れない。

結論として、今井家のすべてのメンバーは、それぞれのやり方で立ち直り、今井家は立派に一つの家族として弥栄である。


ここから先は私の感想だが、想像を絶するな災難が飛び込んできた時、それが邪悪な意思の塊としてぶつけられた時、人間はどう対応すべきものなのかということだ。

短期的には、気を失う、逆に無きもののように振る舞う、ウツになって閉じこもるなどの対応が考えられる。

しかし中長期には、それだけでは済まない。忘れること、状況からトンズラすること、慣れることの3つの選択肢しかない。みずからの存在を物理的に否定する選択はあってはならない。

忘れることはいかなる状況においても有効な心理的機転だ。しかしフラッシュバックという厄介な現象を伴う不完全な機転だ。しかも歪められた人間関係や信頼関係がそのまま固定されてしまう危険をはらむ。

状況を離脱するのは、それが可能であれば根治療法となる。しかし完全な形での離脱はほとんどの場合不可能だし、そこには異邦人として新たな葛藤が生まれる危険もある。また、歪められた人間関係や信頼関係は、そのままの形で凍りついてしまう。

したがって、対応の基本としては“慣れる”ことしかない。では、“慣れる”とはどういうことなのか。

1.状況を把握すること

2.状況に順応し行動と生活のスタイルを変えること

3.新しい生き方を確立すること

これに“正しく”という副詞をつけなくてはならない。そうしないと誤作動してしまう。1.の過程抜きでも2.は可能だが、それでは3.は達成できない。

1.の作業には、状況がどう変化したかということと、変化により生まれた新たな状況とはどういうものかの、二つの認識過程がふくまれる。それには、苦しいことだが「振り返り」の作業が不可欠である。

変化が不条理なものであればあるほど、気分に流されない把握が必要になる。多分それは“行きつ戻りつ”の過程になるのだろうが。

時間(忘却作用)の助けを借りながら、時によっては長短の小離脱をはさみながら、それを生活化することと、それをも織り込みながら新たな生活を作り上げていく…、これが慣れるということの一般的な意味である。


ただし、今回のような憎しみと、恨みの応酬という関係はこれだけでは収まらない。

私には、「人類愛の獲得」という過程が不可欠であるように思う。“人間への信頼感”と言っても良いのだが、もう少し強い感情だ。「人間ていいものだ、人生ってなかなかのものだ」という感慨である。

ききかじりで申し訳ないのだが、昔トマス・アキナスという神学者がこう言ったそうだ。

神の愛(アガペー)とは、「事物」に対する「存在」の無償の付与にある。愛のもとでは、存在すること自体が「善」であり、事物における「存在の欠如」は「無」である。最悪の悪は「無」である。

トマスが言う「存在」というのは意味、あるいは意義ということだろう。

トマスは善と邪悪なるものの対立という図式を退けている。

私が思うには、時間軸上のゼロ点を災難の発生時に持って来なさいということだろう。そこからの出発だ。そうすると災難は邪悪なものではなく、生活を構築していく上でじゃまになる事物にしかならない。

それらの事物には「意味」は無いのだから、避けて通るか、邪魔なところだけ取り除ければいいということになる。私たちの目標は私たちの生活に意味を持たせることであり、それは人々との間に見晴らしのいい、生き生きとした関係を結ぶことにあるのだから。

「言うはやすく、行うは難い」ことではあるが、そういう人との交わりをどう形成していくかが問われていくのであろう。

*映画鑑賞をご希望の方は北海道AALAへ(Tel 011 747 0977)


インド・スズキ自動車 「暴動」はでっち上げ

経済面の「変貌する経済」という連載で、かなりのスペースを使ってインド・スズキ自動車の「暴動」を告発している。

本来なら、独立した記事として取り上げるべきだが、まだしっかりとしたウラが取れていないのかもしれない。

とりあえず要旨を紹介しておく。

まず会社側の発表はこういう風になっている。

暴徒は鉄パイプをもって行動した。これは計画的だ。先頭に立って抑えようとした人事部長は足を折られ、そして(建物に)火をつけられた。誰がどう考えたって殺人だ。これは組合運動じゃなくて暴動だ。

(6月の株主総会での鈴木修会長の発言)

これに対して有力な反論が出されている。「労働者の権利を目指す国際委員会」(ICLR)の国際調査団報告だ。

「暴動」が起きたのは2012年7月18日。以下は報告書の抜粋。


午前8時半、ある現場監督が1人の労働者にカーストの差別的な言葉を投げつけた。

口答えをしたその労働者は停職処分を科された。

労働組合は、停職処分の撤回を求め経営側と数度にわたり話し合いを持った。

そのさなかに、経営側は警察に警官隊の配備を要求した。

午後2時、大量の警官が工場の門前に集結した。

この日、工場内には多くの見慣れない男たちの姿があった。作業服は着ているものの名札はなかった。彼らは「自分たちは新入りだ」と名乗った。

午後7時、組合と経営側は討議を再開した。

この頃から、「新入り」と名乗る男たちが労働者への挑発を始めた。それは次第にエスカレートし、ついには乱闘騒ぎとなり、完全な混乱状態に陥った。

交渉のテーブルについていた組合幹部は、騒ぎに気づき部屋を飛び出した。

その直後に、いままで交渉をしていた部屋から火の手が上がった。

工場内のプラントの労働者はプラントの外に飛び出した。

これを見た警官隊は、工場内に突入し、労働者を手当たり次第に捕まえ出した。

火災が起きた事務所内ではアバニッシュ・デヴ人事部副部長が死亡していた。死因は煙を吸い込んだことによる窒息死だったが、両足には鈍器による外傷が残されていた。

デヴ氏は経営側の人物であったが、労働組合設立に積極的に関与するなど、組合の強力な支援者と見られていた。

ついで労使紛争の背景説明

日本では1分に1台の割合で生産ラインに自動車が流れてくるのに対し、マネサールでは45秒に1台の割合で流れてくる。

勤務途中の休憩時間は日本が10分程度なのに対し、マネサールは7分間しかない。

1日の生産台数の目標が決められ、目標に達するまで時間外労働を強いられる。平均2時間のただばたらき残業になっている。

理由にかかわらず、1ヶ月に1日休むと「生産性」連動部分の賃金が削られ、3日休むと全てなくなる。(この賃金部分は賃金全体の半分に相当する)

工場労働者のうち75%が不安定雇用で、賃金は正規労働者の4分の1程度しかない。


ここまでが報告書の抜粋。

以下は地の文になっているが、おそらく調査団のメンバーからの聞き取りによるものと思われる。

スズキ自動車側は一貫して労働問題が背景にあると認めません。しかし事件は、労働者が様々な妨害をはねのけ、自主的な労働組合を結成した直後に起きました。

この労組が州の労働部に登録されたのが12年3月。その後、労組はすべての契約労働者の正規化などを求める「要求憲章」を発表した。

3ヶ月で10数回に及ぶ団交が行われたが、7月中旬、経営側は交渉打ち切りを一方的に宣言した。これに対し、労組は不払い残業拒否を表明した。

7月18日の事件の後、多くの労働組合幹部が逮捕され、労働者2300人が解雇された。


ということで、インド・トヨタのロックアウトも相当非常識な行動と思ったが、こちらはほとんどむちゃくちゃだ。

ただ、スズキはインドにとっては外国企業だということを忘れていないのだろうか。ナショナリズムに火をつけると、このての話は致命傷になる。


なお、この報告についての詳細は

静岡県労働研究所のホームページに掲載された

インド・マルチスズキ社の「組合つぶしの暴力事件」について
2014 年5 月6 日

というレポートに述べられているので、そちらを参照されたい。

インド・トヨタのロックアウトについては

を参照されたい。



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