鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

カテゴリ: 35 社会問題(労働/福祉/人権など)

共産党がふたたび長時間労働に関する緊急提案を行っている。
今回の題名は「長時間労働を解消し、過労死を根絶するために」となっている。
特徴としては
前回(ブラック企業規制法案)が、悪質経営者を相手にした取り締まり中心の提案だったのに対し、今回は電通など大企業、「長時間労働を是とする社会風土」をも念頭に置いた、より包括的なものとなっている。
もう一つは過労死という事件を受けて、より労働内容の吟味に踏み込んだものとなっている。
第三には、ホワイトカラー・エグゼンプションへの断固たる拒否という視点を組み入れたものとなっている。

前回のブラック企業政策で打ち出した斬新な提案とキレの良さはそのまま残されており、至る所に「雇用のヨーコ」が顔をのぞかせている。若い人にも読んでもらえる政策となっている。
1.インターバル規制の導入。勤務と勤務の間に最低11時間の連続休息時間を確保する。
2.いちじるしい長時間労働は残業代を5割増しにする
3.違法なサービス残業が摘発されたら10割増しにする。つまり「倍返し」である。

政策はこれらの規制を実のあるものにするために、追加的に二つの政策を打ち出している。
一つは、長時間労働の最大の基盤となっている「職場でのパワハラ」を規制することである。まず長時間労働そのものをパワハラと位置づける。
その根拠は厚生労働省が示している「パワハラの6類型」という指針にあるらしい。志位さんの言葉を借りれば、企業社会は、人々を長時間労働に向けて「追い詰める」のである。
政策はこういう指針があるにも関わらず、現行の労働法制にそれを裏打ちをするものがないとして、立法化を要求している。
これは斬新な視点であるし、今後重要な視点でもある。
もう一つの政策が、労基署の抜本的強化である。これにはスタッフの大幅増など現場力の強化と、労働法令の整備による権限の強化がふくまれている。「悪いことをするとおまわりさんが来るよ」というのと同様に、「悪いことをすると労基署が来るよ」という社会を作らないといけないということだ。
「パワハラの6類型」についてはいずれ勉強して報告したい。

東洋経済ONLINE の 2013年05月23日付にアパホテルに関する記事が掲載されている。

1.急拡大を示す数字

グループが積極拡大路線に転じたのは、2000年代に入ってからだ。00年末に20件だったホテルは、2013年には219件へと膨張した。客室数も10倍になっている。

これは東横インの243件、ルートインの243件と肩を並べる数字である。

2.いつから急成長したのか

飛躍の転機になったのは、意外にも、08年秋に起こったリーマンショックだ。

元谷代表の言

他の不動産デベロッパーが物件を手放す中、われわれは積極的に買った。ウチは全部自己資金で賄った。

それなりの営業努力もあったようで、07年には売上げ287億円に対して利益3.8億円だったのが、12年には売上げ432億に対し利益が22億に達している。

これで見てもやはり急成長を支えた資金源が見えてこない。

3.現在の財務状況

今年1月のライブドアニュースによると、

元谷氏は取材に対して「(総資産は)2,000億円から2,500億円程度ある。借り入れは1,000億円程度だ」と語っている。

資産に比べれば借入額は比較的手堅いといえるが、キャッシュ・フローに限れば事情は違ってくる。

アパグループの売り上げは900億円なので、年間売り上げを大幅に上回る借入残高があることになる。

なお一部報道ではリーマンショック前のバブル期に不動産を処分して売り抜け、その後積極的に底値買いしたと書いているが、この手の話は信用できない。こういうギラギラした一匹狼は必ず大損しているはずだ。

4.一番怖いのは建築強度の手抜き

闇に葬られたままになっているが、一番の問題は、客観的に見ればとても高層ビルが建てられるとは思えないような半端な土地に、どんどこアパホテルが建てられていることだ。

本来、日本の建築規制はきわめて厳しい。それを利用して官庁の天下り構造が形成されている問題もあるが、ある程度の厳しさは絶対必要だ。

しかし官庁というのは利権にはとてもソフトにできているのも事実だ。だから何処かに抜け穴が作られているのでは?と疑ってしまう。

赤坂のホテルが焼けたときの横井社長の蝶ネクタイが、何故かまぶたに浮かんでしまうのは、私が高齢化したせいだろうか。

以前一、二度は泊まったことがあるアパホテル。そんな本がおいてあったかどうかは記憶に無い。

今回、中国政府の強硬な抗議にもどこ吹く風で、「イヤなら泊まって貰わなくていいよ」というふう。

「こういう客商売ってありなんだ」と、時代の変化を痛感している。もっともJR東海も「ウィッシュ」という反共雑誌を座席の網掛けに挟んでいるようだが、グリーン車に縁のない輩には関わりのないことであった。

ここのオーナーが元谷外志雄という人。このような人物は昔は世の片隅の特殊な世界に生きていたものだが、いまはなんと一国の首相の副後援会長だというから、イヤなご時世になったものだ。

ウィキペディアから経歴を拾ってみる。

1943年の生まれ。「慶応の通信制に入学するが中退」というから、まぁ高卒だ。(慶応大学卒業と書いてあるものがある)

地元の小松信金に入社するが、9年後に退社し不動産屋に転向した。その後はトントン拍子でアパート・マンションを次々と建設し、「現在、マンションやホテル、レストラン事業などを中核とする14の企業から成るアパグループの代表

となっている。

ということでウィキでは肝心のトントン拍子の中身が分からない。

アパグループのホームページに「沿革」が載っている。

1971年  石川県小松市において、アパ株式会社の前身である、信金開発株式会社を設立。

1972年 信開荒屋ホームプラザ〈全87区画〉造成。ついで73年にアパ建設株式会社を設立。74年にアパ住宅株式会社を設立。(誰が資金を提供したのか?)

1975年 金沢に進出し、金沢支店を開設。

1976年 マンション・ビル建設に進出。商業複合ビル・パオス〈小松〉、複合分譲マンション〈2+4〉などを竣工。

1978年 アパ総研株式会社を設立。福井・富山など県外にも進出。

1984年 ホテル事業も開始。第一号ホテル、アパホテル〈金沢片町〉がオープン。

1985年 東京支店を開設。

1990年 日本開発ファイナンス株式会社を設立。住宅金融部門にも進出。

1994年 アパホテル株式会社社長に妻の元谷芙美子が就任。派手な宣伝を展開。

1997年 社名をアパグループに変更。各地に開設。この年だけで富山、東京板橋、大阪天満、軽井沢にアパホテルを新規開業。その後年3店の割合で新規開業。

2001年 「私が社長です」を出版。4年後には「続・私が社長です。元谷芙美子の幸せ開運術!」を発売。自己宣伝を開始する。

2008年 右翼と接近。「メセナ活動」として歴史論文顕彰制度を創設。

2012年 アパホテル、3万室を達成。

2016年 アパホテル、6万室を達成。アパカード会員1,200万名達成。

アパホテルの推移

創業以来の連続黒字を重ね、売上高900億円、利益率が30%に達する。なんと非上場なのである。金繰りに困ったことはなさそうだ。

という経過で、資金調達面から見れば、2010年あたりを境に一気に潤沢化しているようだ。それまでは風変わりな「成功者」でしかないが、この数年間で「財界人」の一翼を担うまでになっている。どこか太いパイプと繋がったように思えるがいかがであろうか。


チラチラとスキャンダル絡みの報道があるが、深追いはされていない。

1.耐震偽装 疑惑 (東京新聞)

「イーホームズ」元社長が名指しで耐震偽装を指摘している。「姉歯事件」と類似している。

イーホームズはアパグループの3物件の偽装を確認し、国交省に通報してアパの物件を調査するように要請したが、アパは工事を止めず、国には「関知しない」と言われた。

元谷代表は「全く事実無根であり、弊社の社会的信用を著しく失墜させるものであり、同氏を名誉毀損で告訴することを検討」とコメントした。

メディアは取り上げず、ウヤムヤになったらしい。しかしこれだけのホテル群で耐震偽装があると、一発アウトであろう。

J-CASTニュース(2006年10月)が Livedoor News で読める。お早めに。

2.自衛隊との癒着疑惑 (朝日新聞

航空自衛隊小松基地が民間宿舎を借り上げたが、その1/3がアパグループであった。(石川県小松はアパグループ発祥の地)

田母神俊雄・前航空幕僚長は同基地トップの司令を98年から99年まで務め、本谷会長と顔見知りだった。

しかし知りたいのはそんな細かい話ではない。バブル崩壊もリーマンショックもどこ吹く風でどうやって成長したのか。上場せず融資だけでどうやって資金を調達できたのかということだ。

津久井やまゆり園での殺傷事件から半年、報道機関で特集が組まれている。

一方ネット(2ちゃん)では怒りを感じる不快発言が相次いでいる。


「障害があって家族や周囲も不幸だと思った。事件を起こしたのは不幸を減らすため」

「障害者は不幸を作ることしかできません」

「不幸を生み出す障害者を代わりに殺してあげた」

「突然のお別れをさせるようになってしまって遺族の方には心から謝罪したい」と言明する一方で、被害者に対する言葉はない。


というのが、犯人の供述。ただし「警察筋によると」の発言ばかりで、この発言を受け止めてよいのか、ためらう。

論理があまりに飛躍しており、どう手を付けてよいのか分からない。イラクの人質事件のときの「自己責任」論と同じだ。あの時もウンウン言いながら考えたのだが、うまい結論は出せなかった。

今回も、「障害者蔑視」や「差別」というある意味普遍的な「世間の風」というものに、真っ向から切り込む課題が重くのしかかる。

それは理論というよりも情緒であるから反論のしようがない。「あんたのいうことは分かるよ。だけどねぇ…」となると暖簾に腕押しで、お手上げのところがある。

やはり未来志向で、共通点を確認しつつ、それを一歩づつ積み上げながらやっていくしかないのだろう。

1.すべての人は生きなければならないし、生かされなければならない

原則として、すべての人は生きなければならない。自殺してはならない。すべての人は生かされなければならない。見殺しにしてはならない。人間は人類の誕生以来そうやって身を守ってきた。

これは原則(おきて)であるから、例外はあるだろう。我々の施設などけっこう「看取り」をやっていて、ご家族の同意を得て、積極的な治療を手控えることがある。

これは医療側の客観的指標に基づく判断が必須条件である。

この例外つきの原則については大方の同意は得られるのではないか。

2.障害者は例外になるだろうか

障害者というだけでは例外にはならない。しかし筋萎縮性側索硬化症など進行性の疾患で予後がきわめて不良の場合、最終盤で人工呼吸器をつけるかどうかなどの判断が迫られる場合がある。

進行癌でホスピス治療に切り替える場合もある。ただしこれらは障害というよりは病気なので、医療側の高い立場からの判断が前提となる。もちろん本人の意志も確認されなければならない。

この例外つきの原則についても大方の同意は得られるのではないか。

したがって、生命予後に不安がない場合、医療の側で是とする判断が下せない限り障害者は生きなければならないし、社会は生かさなければならない。

これは人情の話ではなく、「民主社会の原則」の話である。

3.なぜそれが原則なのだろうか

うんと消極的にいえば、人間には殺す権利はないからである。「生かそうとしない」ということは見殺しにすることだからである。たとえば「育児放棄」は立派な犯罪だし、結果、死に至らしめれば重罪だ。

ただしこれにも例外はある。独居老人、共倒れになりかねない介護状況、専門的介護を要する場合などは、個々人ではなく社会が介入しなければならない。

なぜなら他に方法はないからである。

4.障害者と家族が障害のゆえに不幸にならなければ、それが一番良い

ここまでは連帯精神の二つの基盤のうち、集団協力の観点から論じてみた。しかしもう一つの大事な要素、利他心が残っている。これについても、大げさな博愛心は必要ない。「みんなが不幸にならなければ、それが一番良い」ということだ。チンパンジーのような、ささやかな利他心だ。

障害だけでも不幸なことだが、障害のゆえに罵られ、排除され、日陰暮らしをしなければならないのも不幸なことだ。

障害者のほとんどは、元々は普通の人だ。いまでも障害を除けば普通の人だ。ハンディを背負いながらも、精一杯頑張って生きている人たちなのだ。

生活保護をもらって酒とパチンコに明け暮れている人たちではないのだ(複数の報道で、容疑者Aは「生活保護を受給しそれを遊興費として浪費していた」とされる)。死ななくても良いような仕組みをなんとか作ってあげられないだろうか。

* いわゆる「アファーマティブ・アクション」は、人種差別に絡んだ歴史的措置なので、障害者問題とは混同するべきではないと思う。あえてここでは触れない。


への追記です。


案の定、右翼が使い始めた。右翼の代表安倍晋三が国会の場でぬけぬけと語っている。
衆院本会議での志位委員長の代表質問に対する答弁。

相対的貧困率については、昨年公表された全国消費実態調査では、集計開始以来初めて低下しています。子供の相対的貧困率は5年前の9.9%から今回7.9%へと2ポイント改善しています。
これはアベノミクスの成果により雇用が大きく増加するなど経済が好転し、子育て世帯の収入が増加したことによるものです。
前段は数字のマジックによるものであり、後半はウソである。

OECDの相対的貧困率とはなんぞや?軽く調べて簡単に説明します

というページに分かりやすい例えが載っていました。(若干手を加えています)

例えば独裁国家のC国では、所得はすべて独裁階級に独占され、他の国民は全員貧乏。

所得の配分は「1ドル、1ドル、1ドル、1ドル、3兆ドル」だとします。

この場合、国民の総所得は3兆4ドルです。これを5で割ったのが国民一人あたりの平均所得で6千億ドルとなります。

ところが、あ~ら不思議、相対的貧困率の算出のもとになる「中央値」は1ドルです。その半分(貧困ライン)は0.5ドルとなります。

0.5ドル以下の収入の世代はさすがにありません…生きていけませんので。

従ってこの国の「相対的貧困率」はなんとゼロ…になるんだよね。

客観的にどう見ても全ての国民が貧困…、餓死する人が多い…だとしても、「相対的貧困率」という特定のインデックスで見たら、貧困層は1人もいなく、結構幸せ…という結論に至ってしまいます。

私の前の記事にも書いたように、所得の中央値そのものが十分に貧困の程度を語っているのです。だから子供の貧困を語るには何も手を加えない「中央値」そのものを提出すべきなのです。
相対的貧困を語るのなら平均値(6千億ドル)と中央値(1ドル)の乖離の程度を語るべきなのです。
いわゆる「相対的貧困率」は、富裕層など存在しないかのように見せかけるための「マジック」なのだということがわかります。


生活保護の不正受給

実態についてあまり良く知らないので、まず客観的な数字を見ておきたい。

まずはウィキペディアの「生活保護の不正受給」の記事

概説に数字がある。

2010年時点における不正受給は、件数ベースで見ると2万5355件で、全体に占める率は1.8%であり、金額ベースで見ると不正受給額は128億7425万円で、全体に占める率は0.38%であった。

内訳としては、「賃金の無申告」が不正の中で約45%を占め最も多く、次いで「年金の無申告」が約25%、「収入を少なく申告したケース」が約10%であった。

これは厚生労働省「社会・援護局関係主管課長会議資料に基づくもののようである。

以下、不正受給の実例が上げられている。見ていくと、それらのほとんどがマスコミによって大々的に報じられたものであり、けっこう覚えがある。

これらは不正受給という範疇を超えた明らかな刑法犯罪・詐欺罪である。

貧困が犯罪の温床である以上、生活保護をめぐる犯罪率が高いのは当然である。

しかし福祉事務所や、生活保護課がそのことに責任を取る必要はない。相手が騙すつもりで「虚偽申請」して来る以上、騙されるのはある程度仕方がない。それは「経営リスク」である。

事後的に警察に通報して、そちらの判断に委ねる他ない。

ただそもそも「憲法の生存権を保障する」という性格を持つ生活保護が、その運営を地方自治体に委ねることが適切かどうか、という問題は問われるのではないか。

名合わせとか前歴照会などは全国で統一すべきものと考える。いまのコンピュータシステムの力から見れば造作ないことと思えるが。

不正就労と賃金の無申告は一番煩わしい問題である。いずれ生活保護を外れて自活の道を取ろうとしたとき、一定の資金は必要である。なんとか貯金のような形で許容できないものだろうか。

パート従業員として月12万-13万円の収入がありながら、無収入であるように装って生活保護費を不正受給していた女性が捕まった。市生活福祉課の職員らが交代で約2週間に亘り張り込んで現場を捕まえた。(生活保護不正、執念の見破り…張り込み2週間 読売新聞 2012年10月3日

まさに「生活保護 なめんな」精神であるが、なぜかむなしい。

よく分からないのだけど、相対的貧困率というのでいろいろ検討がされているみたいだ。

それで相対的貧困率のもとめ方だけど、国民所得の中央値の2分の1以下というのが定義のようだ。

そうすると、中央値が下がってしまうと、相対的貧困率が見かけ上は下がってしまう可能性はないだろうか。

たしか以前赤旗で、所得格差が広がると平均所得は同じでも中央値は下がるという記事があった。

たしか引用した記憶があるのだが、いま思い出せない。

いずれにしても所得格差がどんどん広がっている社会で、相対的貧困率で勝負しても始まらないような気がする。

右翼あたりなら、「相対的貧困率は下がっているぞ」と宣伝の種にしかねない。


これですね
2013年07月10日


生活保護「なめんな」事件への感想

マスコミやネットでは職員バッシングか、「そうだそうだ」の右翼の対応が目立つが、どうもすっきりしない。

彼らの本音は「生活保護課をなめんなよ」ということではないのか。もちろんそれは歪んだ形の反映になっていることも間違いないので、決して褒められたものではないのだが。

むかし、(ひょっとすると今も)共産党系の人はいじめられた。有形無形の差別、嫌がらせが横行していた。

北大を卒業して、本来なら主任・課長と進むべき実績を持ちながら、ヒラのままだったり、地方や外局に飛ばされたりしたものだ。

その最たる部署が生活保護課だったりした。

そこで水を得た魚のように一生懸命やる人もいれば、「落伍者」として生きる人もいた。

生活保護課は本来、生活困窮者を救済し社会復帰の道を開くことが仕事だ。医者と同じ「人助け」の商売なのだ。だから誇りを持って当たるべき職であり、敬意をもって遇されるべき職業なのだ。しかし、現状はどちらかと言えば「人斬り稼業」のようになってしまった。

なぜなら、自治体が生活保護の増加を恥と考え、保護率を減らすように押し付ける傾向さえあるからだ。

それが積み重なると、生活保護課がその名とは裏腹に生活困窮者の切り捨てを目標に掲げるようになる。中には公然と「適正化」を旗印に掲げたところもあった。

そういう職場では、生活保護を受理すれば上司は顔をしかめ、拒否すれば上司の覚えはめでたくなる。ヤバ筋のケースでもつかもうものなら、泣きの涙となる。

だから生活保護課の職員は、一般職員から冷ややかな目で見られるのと同時に、本来の目的からかけ離れた業務を遂行されることで、ますますやる気を失っていくことになる。

いろいろな統計を見ても分かるように、この国では、本来受給対象となるべき人の数に比べて実際の受給者ははるかに少ないのである。「生保以下の生活」を余儀なくされている人は受給者の数倍にのぼる。

つまり対象者の多くが捕捉されていないのであり、それは行政の不作為であり怠慢である。この逆転現象が問題の根っこにはある。問題にされるべきは「不正受給」ではなく「不正不支給」なのだ。

行政は生活保護をなめている。憲法第25条をなめている。それは犯罪と言ってもよい。

「生活保護 なめんな」は、むしろ私たち市民の叫ぶべきスローガンなのだろう。

今回の事件で生活保護課が掲げたスローガンは、いかにも弱気で屈折している。それは受給者に向かってではなく市役所の本庁舎に向けて叫ぶべきスローガンであり、さらには政府・厚労省や世間に向けて叫ぶべきスローガンである。

それならきわめて正しいスローガンだと思う。

たしかに生活保護はアリ地獄的構造になっており、一度ハマると脱出は困難だ。だから滞留し、果てしなく増えていく可能性はある。しかし、ここだけははっきりさせておこう。アリ地獄的構造を変革するのは政治(それも中央政府)の責任であって、生活保護課の任務ではないのだ。


生活保護の総合情報(条件 申請 基準 他)サイト生活保護の捕捉率というページに、あらあらの数字が載っています。

国民生活基礎調査など各種の統計からの推計で9.9%~19.7%という数字が出されている。

最近、厚労省と総務省で別個に捕捉率調査が行われており、厚労省では32%、総務省調査では68%という結果になっている。

厚労省の統計が低値を示すのは、住宅ローンのある世帯が除外されていないためであり、それを調整すれば総務省並みの数字になると思われる。

各種統計からの推計と「実測」にかなりの開きがある原因は、この文章からは不明である。ただ同じ方法で各国の捕捉率を比較すると、ドイツやイギリスはいずれも85%以上となっている。したがって日本の官庁統計には相当の操作が加えられていると見るべきであろう。

とりあえず、一番高い数字を示した総務省の調査を基準とすると、3世帯に一つは、生活保護の受給権を放棄させられていることになる。これをしっかり補足することが生活保護課の業務の第一目的だろう。

これだけの文章をいちいちまとめていくのは大変なので、例によって年表形式を利用して、事項を整理していく。

2004年2月 最高裁、グレーゾーン金利が有効と認められる例外について「厳格に解釈すべきだ」との判断を示す。

金利の上限については、利息制限法(15〜20%)と出資法(29.2%)の2種類がある。貸金業法では20%以下だが、債務者が任意に支払うなら29%までの利息が可能であった。これがグレーゾーンである。

06年1月 最高裁、「明らかな強制だけでなく、事実上の強制があった場合も、上限を超えた分の利息の支払いは無効だ」とする判断。さらに過払い利息は過去10年に遡り返還請求が可能とする。

06年 新司法試験が導入。弁護士の合格者が大幅に増加し、失業弁護士が大量に出現。多くが過払い金案件に群がる。

この頃ホームロイヤーズ(現:弁護士法人MIRAIO)が登場。自己破産1件28万円という低価格を売りに,債務整理の「市場」に参入。事務職員を何十人も雇って、大量の事件処理を行わせるビジネスモデルを開発。

08年 日本貸金業協会、全国の業者が返還した過払い金は約1兆円に達したと発表。報酬金を20%とすると法曹界は2千億円を獲得したことになる。

09年7月 日弁連、債務整理事件の受任にあたっては、依頼者と直接面談することを義務化する指針を定める。

この他にも例えば、「過払い金のつまみ食い」などが現れた。依頼者の他の借金は無視して過払い金返還請求だけを行うやり口。

10年9月 業界大手の武富士が会社更生法の適用を申請。過払金の返還請求の急増で多くのサラ金の業績が悪化。

東京地裁では不当利得返還請求訴訟(過払金返還請求)が通常訴訟全体の半数を占める。

11年2月 日弁連、「債務整理事件処理の規律を定める規定」を制定。法曹界の自粛を促す。「つまみ食い」の禁止、個別面談義務、報酬の上限20%など。

12年11月 アディーレ法律事務所、過払い金回収案件が15万4219件、804億1781万円に達したとホームページ上で公表。報酬金を20%とすると160億円強の収入となる。

2016年 最高裁判決後10年を経て、過払い金返還請求バブルが終りを迎える。(筈ですが)

と、一通り経過を書きました。


まぁよくある話で、「悪徳」ではあるが、すれすれ違法とは言い切れないあたりで荒稼ぎしているようです。

一昔前は、医療でも儲け主義としか言いようのない、眉をひそめるような病院がゴロゴロしていましたから、弁護士だけを悪しざまに言うのも気が引けます。

ある記事では弁護士事務所を街場系とビジネス系に分けていましたが、いずれにしても本来の目的は債務者の救済にあるわけなので、過払い金返還にあるわけではありません。

その観点から見ると、債務者救済に親身になってくれる街場系の法律事務所にお願いするのが一番ではないでしょうか。

毎日通勤の車でラジオを流している。ほとんどが無駄話だが、その分、運転が疎かになることもないのでやめられない。

しかし、最近の法律事務所のCMには辟易する。ある種の貧困ビジネスなのだろうが、一体なぜこんなに流行るのか気になる。

いくつもの事務所がこれだけの宣伝コストを掛けて、かつ儲かっているのだからかなり割のいいビジネスなのだろう。しかし債務者=貧困者を相手にこれだけ儲けるということに、どうも胡散臭さを感ぜずにはいられない。

そこで「法律事務所 債務整理 ビジネス」のキーワードでグーグル検索してみた。山のように法律事務所のサイトが引っかかってくるが、それに混じって法律事務所に対する疑問を呈するページもかなりの量に達する。

一応挙げてみると

有名弁護士事務所まで非弁提携で市民を食い物に! | ビジネスジャーナル

債務整理事件の「市場」で起きていること - 黒猫のつぶやき

1億円以上の年収を得た弁護士が続出した、過払い金返還バブルをまとめ ...

過払い金のつまみ食いって何? - 教えて!債務整理

自己破産ビジネスの横行 “法の庭”徒然草 頼れる弁護士 白川勝彦の 白川 ...

よくある質問|依頼した弁護士・司法書士とのトラブル・セカンドオピニオン ...

債務整理のお話し(3)~弁護士とコマーシャル 法律事務所にテレビCMは ...

「債務整理ビジネスで増加する“違法弁護士”の実態(後編) 」 - livedoor Blog

という具合。少し小当りしてみるか。

その前に、幸いなことに債務で悩んだことがないので、債務整理という概念がさっぱりわからない。

そこで下記のページでお勉強。

北海道合同法律事務所(札幌) || 任意整理Q&A

11項目のQ&Aが載せられているが、まあ、「読めば分かる」と言えば分かるし、分からないといえば分からない。

Q0: 任意整理とはなんですか

答え 任意整理は、利息制限法を上回る金利で借りた人が、過払い利息を元本に組み入れて債務額を減らす手続です。

要は借金(違法金利分)の減額ですね。

Q1: 任意整理を弁護士に依頼する場合には、何に注意したらいいですか。

答え 全ての借金について正直に話すことが大切です。

そうでしょうね。

Q3: 任意整理の対象とならない債務もあるのでしょうか。

任意整理の対象となるのは、銀行やクレジット会社、サラ金、商工ローン等からの借り入れです。住宅ローンや自動車ローンは任意整理の対象とはなりません。

基本的には「住宅や自動車は売れ」ということでしょうね。

Q4: ヤミ金から借り入れてしまいましたが、その場合も相談に乗ってもらえますか。

答え 出資法に違反する高金利で貸付をするいわゆる「ヤミ金」から借り入れてしまった場合、弁護士が介入すれば早期解決につながります。 この場合にも正直にお話しください。

相談には乗るが、それは「任意整理」(利息制限法)とは別の話(出資法違反)ということになる。

Q7: 弁護士に任意整理を依頼した後も、債権者(貸主)に返済を続けなくてはいけないのですか。

答え 弁護士に任意整理を依頼した後は、債権者に返済する必要はありません。弁護士が債権者に「受任通知」を送ると、債権者は直接請求をすることができなくなります。

それだけでも有り難いことです。

Q9:    銀行のカードローンなどは、任意整理をしても意味がないのでしょうか。

答え 金利が利息制限法の範囲内であれば、債務額があまり減らず、任意整理のメリットが十分にない場合もあります。残債務額によっては、「個人再生」を利用した方が適している場合もあります。

個人再生というのは良く分からないが、いわゆる「自己破産」のことか。

合同法律事務所のサイトには「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」の3つが並べられている。良く分からないが「個人再生」というのは“隠れ自己破産”みたいな感じらしい。

Q10:   任意整理で、「逆にお金が返ってきた」という話は本当でしょうか。

取引期間が長い場合には、制限利息と過払い利息の差が元本を超える場合もありえます。この超えた部分が「過払い金」と呼ばれるものです。

過払い金があったとき、弁護士は債権者(貸主)と交渉をして返還を請求します。回収した過払い金は、他の債務や弁護士費用の支払いに充てますが、それでも余りが出た場合には、依頼者の方にお返しします。

これがCMでおなじみの「逆にお金が返ってきた」という宣伝だが、この説明を聞くと、宝くじ並みの確率のようだ。

ということで、まずは仕組みについてあらあら分かった。次に、それで法律事務所が儲かる仕組み。前掲の記事にあたっていくことにする。

「国沢 福岡 タクシー」でグーグルしてみると、もう一つの記事がある。

ほかならぬ国沢さんのブログで、2016年12月5日の発信。事故の翌日である。

題名は「福岡で高齢運転手のタクシーが暴走?(4日)」というもの。

急いで書いたものらしく、あまりまとまりはないが、それだけに率直な感想が伺える。

書き出しは

ニュース見てると何が本当で、何が間違いで、何がワザと危機感をアオっているのか解りにくい。

ということで、「わざと危機感をアオッている“何か”」をひしひしと感じているようだ。

もう一つがプリウス(の過去)にかこつけて、

また「プリウスなので暴走した」と根拠無いデマを流す輩も少なくない。

とプリウスを擁護する。

国沢さんによれば、「初期型プリウスのトラブルはブレーキ抜け」なのだそうだ。

「ブレーキ抜け」については国沢さんが別の記事で説明している。正直のところよく分からない。ただ対処法は分かっている。
「もしプリウスですっぽ抜けに遭遇したなら、そのままブレーキを踏み込むこと。瞬時に油圧は立ち上がります」ということだ。

そのうえで、国沢さんは事故原因を次のように想定している。

疑われるのは踏み間違えか、フロアマットにアクセル挟まったのか解らないけれど、機械的にアクセル全開になったということである。

つまり初動段階では国沢さんは踏み間違い説に立っていると考えられる。

いずれにしろ車載のEDR(イベントデータレコーダ)にエアバッグ展開した手前の状況が残されており、そいつを解析するだけで判明するだろう。

ここまでは自動車評論家として無難な記事だが、この後警察批判が始まる。

こういったデータ、警察が全て握りつぶしちゃってるあたりに問題ある。

そして、その典型例として「札幌で燃えたPHVの情報」を持ち出す。恥ずかしながら、札幌に住みながらこの事件は知らなかった。たしか他の三菱車炎上事件は記事にした覚えがあるが…。

三菱自動車に聞いてみたら「警察や消防から何の問い合わせも無く、こちらとしては調べようがなく困ってます」。200Vの普通充電中に燃えたことだけ伝わっているため、充電を必要とするクルマに乗ってる人はみんな不安。記者クラブに入ってないメディアは取材すら出来ないし。

と続く。

この最後の「記者クラブに入ってないメディアは取材すら出来ないし」というのがどうやらこの記事のキモのようだ。

このあたりが伏線になって、馴れ合い記者クラブのはしゃぎぶりに「頂門の一針」となったわけだ。

たしかに福岡県警の記者クラブは爪剥がし事件でも、警察の片棒担いでバッシングしたもんな。

三菱自動車の発火事件は以下の記事を

そこに一石を投じたのが 自動車評論家の国沢光宏さんが書いた「福岡の暴走事故、フロアマット2枚だけが原因ではない」である。12/10(土) 21:14の投稿となっているから、一通り報道が出回ったすぐ後に書かれたものと思われる。
国沢さんが真っ先に指摘するのは、「福岡県警に思い込みがあるのではないか」ということである。
そう言われると、北九州の病院での「爪剥ぎ事件」で、看護婦さんを1ヶ月も拘置所に閉じ込めて無理やり有罪に仕立てたのも福岡県警の「思い込み」だったね。
この後の話はかなり専門的になる。
1.ブレーキ・オーバーライド
プリウスには、「アクセルとブレーキを同時に踏んだらブレーキを優先させましょう」という仕組みが導入されている。 これが「ブレーキ・オーバーライド」と呼ばれるシステムだ。
だからアクセルペダルにマットがかぶさっていたとしても、ブレーキを踏めば止まるはずだ。
2.アクセルがマットに引っかかる確率は低い
アクセルを目一杯踏み込まない限りアクセルペダルがマットの下に挟み込まれることはない。事件の発端、すなわち公園で暴走が始まったときの状況からは、このような事態はきわめて考えにくい。
3.負圧に頼らない強力なブレーキシステム
プリウスには、負圧(アクセル戻した時にブレーキ力を高める装置)に頼らない強力なブレーキシステムが装備されている。マニュアル車におけるエンジンブレーキのことのようだ。
だから、どのような状況のもとでもブレーキを強く踏めば必ず止まる。「プリウスはそのくらい優れた車なのだ!」
ということで、国沢さんは警察のおかしな挙動にも触れている。
そもそも暴走事故の99%はアクセルとブレーキの踏み間違いか、フロアマットの引っかかりに起因する。自動車関係者ならどんなシロウトだってこの二つを疑う。なのに警察がフロアマットが2枚だったことを公表したのは本日。そしてブレーキ・オーバーライドの機能については未だ考慮に入れていない。
報道各社の動きは国沢さんの記事の後ばったりと止まってしまう。国沢さんの記事は正論だが、妖刀村正のようで、どちらにどう切れるのかが見て取れない。読みようによっては「プリウス、褒め殺し」ともなりかねない。だから途方にくれているのではないだろうか。
国沢さんは
いつまでも自動車ユーザーの不安を煽る情報ばかり流していないで、正しい事故原因の公表をお願いしたい。
と、警察にきついお灸をすえた上で、今後の原因解明に向けて以下の提言を行っている。
とにかくEDR(イベントデータレコーダー)の情報を開示すること。エアバッグが開いた事故は、必ずEDRに記録されている。
その中で重要な情報は
1)衝突時の速度。
2)アクセルの操作状況。
3)ブレーキの操作状況。
4)加速していたのか減速していたのか

という4種類の情報だ。
たしかに新聞でも「県警はEDRの解析を急いでいる」と書かれている。しかし、もし急ぐなら上記のデータはすぐにでも開示できるはずだ。あんたがたシロウトに「解析」しろとは頼んでいない。生データをそのまま公開しろということだ。それならすぐできる。
遅くなればなるほど、「何かを隠そうとしているのではないか」と勘ぐられることになる。福岡県警のためにも、それは好ましい事態ではないだろう。
*これとは別のデータもあるはずだ。
車両のセンサーが故障を 検知した際に車両の状態を記録する「フリーズフレームデータ」が 車内のコンピューターに残っている可能性もある。(毎日新聞 12/10(土) 3:00配信 )
ということだ。こちらはあくまで可能性だが…

あまりにも大きな「誤報」の可能性があるだけに、もう少し状況を見聞したい。

グーグルで「福岡 タクシー 二重マット」で検索してみる。

産経以外の報道はないかと調べてみると、日経新聞が同日に同内容の報道を行っている。

運転席の床に備え付けてあるマットの上に、市販のマットを重ねて置いていたことが10日、県警への取材で分かった。

運転席の足元には純正品のマットの上に市販のマットが重ねてあったという。

朝日新聞は同日に「病院突入のタクシー、マットずれペダル操作に影響か」という記事を掲載している。

運転手が「(運転席の)マットの上に、市販のマットを敷いていた」と供述していることが分かった。「上のマットは買った」と説明。固定されていない状態で、事故前にずれた可能性があるという。

と具体的である。

毎日もほぼ同様の記事を掲載していることがわかった。

【平川昌範、佐野格】 の署名入り記事で、12月11日 07時00分にアップされている。産経の報道から1日遅れの後追いである。

タクシーと同型車にはアクセルとブレーキを同時に踏むとブレーキが優先されるシステムが導入されている。

とも書き加えられている。

ということで、産経の勇み足ではないことが分かった。産経の記事を元にしたコメントが圧倒的に多いのは、ネットの世界で一番利用しやすいのが産経だからというのにすぎないようだ。

記事そのものは朝日のほうがはるかに具体的である。


ということで10日の時点で、二枚重ね説が圧倒的になった。とくに背景としてアメリカでの「暴走」問題で二枚重ねが原因の多くを占めていたことが、その印象を強めた。

コメントの中には明らかにトヨタ側に立って、トヨタ無罪説へと流し込むような記述もかなり目立つ。



いずれにせよ、この記事は少し自力で調べてみないと、確たることは言えない。

グーグルで “プリウス 福岡 タクシー” で検索してみたらものすごい数のヒット数だ。探偵気分で事故原因を追究する記事もてんこ盛りだ。どう手を付けたら良いのかわからないくらいだ。

目下、原因をめぐってはマット派と反マット派に二分されている。赤旗の記事はマット問題に触れていないが、触れていないということ自体が反マット派であることを意味するとみてよい。

ということで、マット説をまず調べてみよう。

マット説が浮上したのは12月9日。これは「捜査関係者のリーク」という形で明らかにされた。

報道(産経新聞)によると、

タクシーの運転席の足下には、備え付けのマットの上に別のマットが重ねて敷かれていた。2枚はメーカーの純正品と市販の社外品で、上に敷かれたマットは特に固定されていなかった

ただしこれは正式な発表ではない。しかも事故発生(3日)の6日後ということで、十分に怪しい。

その前の報道は車両の不具合が濃厚という方向で足を揃えていた。

それが、どうもこの記事以来、沈黙しているような気がする。

これだけ全国報道されたのだから、はたしてそれが事実なのか福岡県警に問い合わせるべきだろう。イエスかノーか、それともノーコメントか。その結果くらいは報道すべきではないか。

ただ、事実として他社はこの報道に追随していないようだ。

10日の朝日新聞

事故後に県警が運転席を調べたところ、ペダルを踏む支障になるような物は見つからなかった。

これが本当だとすると、なぜか6日後にマットが出現したことになる。

同じく10日の毎日新聞

アクセルとブレーキの踏み間違え事故を研究する立命館大の土田宣明教授は「踏み間違えは誰にでも起こりえる。しかし今回が踏み間違えだとしたら、300メートルも判断を切り替えずにアクセルを踏み続けたことになり不思議だ」と話す。

ここでもマットの話には触れられていない。

なお途中から車が加速したのは、ドライバーがエンジンブレーキをかけようとしてシフトダウンしたのが原因のようだ。

このほかNHK読売新聞と調べたが、二重マットについての言及はゼロ。面と向かっては否定しないが、完全に無視している。

ひょっとすると、この産経新聞の報道は“ガセネタ”の可能性もありそうだ。

プリウスがやばい

12月3日にプリウスのタクシーが病院に突っ込んだ事件。

「ブレーキとアクセルの踏み間違い」と考え、最近頻発する高齢ドライバー問題と同じだと思っていた。

しかしそれに疑問を呈する記事が赤旗に掲載された。遠藤記者の調査報道だ。

1.ペダルの踏み間違いが考えにくいわけ

まず、記者はヒューマン・ファクターが考えにくい理由を列挙する。

A) 運転手は64歳で高齢とはいえない。健康状態は問題なく、アルコールも検出されていない。個人タクシーで過労状態でもない。

B) 94年に個人タクシーの営業許可をとって22年、熟練ドライバーということができる。運転の技倆・経験ともに申し分ないといえる。

C) 車は「ブレーキが利かない」状態で、350メートルを暴走している。この間、および事故直後においても運転手の意識状態には明らかな異常はなく、体調の変化もない。

これらの点から、記者はきわめて慎重な言い方ながら、「プリウスの側に何らかの問題があったのではないか」と強く示唆している。

2.プリウスの側に問題があった可能性

そこで、記者はプリウスの側に問題があった可能性について調べている。

A) 関係者の証言

自動車業界関係者(匿名)は「運転技術があるタクシーの運転手が、20~30メートルならまだしも、300メートルも暴走して、その間何も手を打てなかったのは奇妙だ」と話します。

B) 国交省の「不具合情報」

国交省は01年以降、ユーザーの苦情を「自動車のリコール・不具合情報」で開示している。

「プリウス」で検索すると、「ブレーキの不具合」が128件あった。また「エンジンの急加速(吹け上がり)」が17件あった。

もちろんこれらすべてが製品の不具合に起因するものではないだろうが、実際にあるのだ。

3.緊急時の対処法がない

ここが一番の問題になる。今回の事件は、緊急時対応法が事実上なかった可能性を示唆している。プリウスのような高度に自動化された製品においては、フェールセーフ機構のあるなしは致命的なものとなる。

A) トヨタ側の説明

取説に「車両を緊急に停止するには」という項目が書かれている。

①ブレーキペダルを両足でしっかりと踏み続ける

②シフトをN(ニュートラル)にする

③パワースイッチを3秒以上押し続けて、ハイブリッドシステムを停止する

ただハイブリッドシステムが停止すると、パワーブレーキ、パワーステアリングなどが効かなくなるらしい。

「ブレーキの利きが悪くなり、ハンドルが重くなるため、車のコントロールがしにくくなり危険です」と警告されている。

B) トヨタのおすすめ

記者は取説を踏まえた上で、トヨタ自動車東京本社に問い合わせた。

答えは以下の通り。

(取説)は予期せぬ事態が起きたときに備えて、それに対処するために記載しているだけだ

お薦めしているわけではないということだ。

通常は暴走などの具体的な不具合は想定していない。

「なぜならプリウスは絶対安全だから」ということなのか。原発と同じ論理で、「安全神話」の上に「想定外」の言い訳が乗っかる構造だ。

フェールセイフの発想はそもそも存在しないのだ、ということになる。

4.私のささやかな経験 自動装置は壊れるものだ

20年前、エプソンのラップトップを使用中に突然ピンク色の煙が上がった。煙は5秒ほどの間猛烈に吹き上げた後自然鎮火した。もちろんエプソンはお陀仏となった。

15年前、ブラックアイスバーン状態でカペラを運転していた。スリップした途端にエンジンは切れ、ハンドルは固定され、車はそのまま進んだ。赤信号で停車中の車に追突して止まった。そもそも20キロ程度のノロノロだったから、幸いなことに先方は無傷だった。

半年前、レノボのパソコンが高熱を発しお釈迦になった。16万円の当時最新機だったが、修理に出したらCPI周りが溶けていて、修理不能と言われた。

1週間前、我が家の電気冷蔵庫が突然止まった。冷凍食品は全て解けてだめになった。日立のサービスマンが来て天板を開けてプリント基板をちょいといじったら元通りになった。

「最近は自動調整機能が極めて多いので、リレーが混線してしまう」という話だった。「よくあるのか」と聞くと返事を濁していたが、少なくはないようだ。

そういえば、20年近く前、近くの北広島の養護施設に自衛隊のジェット機から180発の機銃弾が撃ち込まれる事件があった。

あれも、パイロットが操縦桿を右旋回したら、自動発射装置が誤作動してしまったのが原因だった。

機械は壊れるものだ。しかも壊れたら対応不能だ。

装置の心臓部はブラックボックス化し、いざという時に手に負えなくなっている。


奨学金の改善をもとめる若者集会での発言。赤旗からの転載です。
平川さん

すみません。実情を知らなくて、利子がこんなに取られるとは知りませんでした。
どういう計算になるのか。
4年間で総額456万円を借りた。これを20年ローンで返済することになる。
例えば住宅ローンだと、住宅保証機構のサイトのシミュレーションに入れると。
500万円借り入れの20年償却で、均等割で返済すると返済総額は5,518,620円と出てくる。
利子は52万円だ。奨学金の利子の半分ということになる。
三菱UFJの住宅ローンの試算だと、約 5,702,420 円と出てくる。それでも利子は70万円どまり。
貸し倒れリスクが上乗せされているのだろうか。たしかに返済率は相当悪そうだが。
無償給付する本来の奨学金制度がすぐに実現できないのなら、まずは住宅ローン並み(できればその半分くらい)に金利を下げてやることが必要だろう。
そのうえで、「悪質滞納者」については、審査の上で、裁判に出るとか債権を競売にかけるなどの強硬手段も必要かもしれない。
とにかく景気の良かった時代とは違う。仕送りも親のスネもやせ細っている。ホンキで考えないと、この国の明日は真っ暗だ。

過労自殺に至る心的機転は雨宮さんの説明でよく分かる。

ただ、天下の大企業である電通の事件であり、東大卒の超エリート社員の話である。ある意味、私らごときが悩んでどうなるようなレベルではない。

ある程度の忙しさ・ストレスは承知の上で、彼女は就職したはずだ。それに、なんとなれば電通をやめたとて食うに困るような境遇ではないはずだ。

そこには、やりがいのなさ、給料の安さ、失業の恐怖に悩みながら働く居酒屋チェーン青年のストレスとは異質のストレスがあるはずだ。

しかもこの会社、以前にも同じような事件を起こしており、基本的に反省していないことが窺われる。

やはり業種・職種の特殊性とか、企業風土みたいなものを念頭に置かないと理解はできないのではないだろうか。

あるツイッターでどこかの大学教授(元ビジネスマン)が「月当たり残業時間が100時間を越えたくらいで過労死するのは情けない」と書き込んで大問題になったそうだ。さらに「自死はプロ意識の欠如だ」と追い打ちをかけている。(BLOGOSより重複引用)

時と所をわきまえない無神経な発言には腹が立つが、一番問題なのは「月100時間で自殺するとは変だ」と思わないことだ。その思考停止ぶりが非常に気になる。

「愛する部下」だったかもししれない人の自死に、これほど無頓着な人物には、管理職は務まるまい。だから大学教授になったのかもしれない。

まず月100時間という数字の怪しさだ。

月25日勤務として、超勤100時間は1日4時間になる。たしかに異常に多いとはいえないかもしれない。私も若手の頃には10時前に帰ったことはなかった。

おそらく実際はそれをはるかに超えていたろうと思われる。

本人のTwitterでは「誰もが朝の4時退勤とか徹夜とかしている中で新入社員が眠いとか疲れたとか言えない」と書かれている。

この言葉が実情であれば、うちわに見ても150時間は越える。

もし自殺するかしないかの分かれ目が某教授の言うように労働時間により規定されるのなら、たしかにこの女性の労働時間はその一線を越えていた可能性がある。某教授はまずそのことに気づくべきだった。

もう一つ。

この教授が「自殺するのはプロ意識の欠如」と断じている点である。前段が「思い違い」として許せるにしても、これはプロ意識の重大な履き違えがあり、教授としての資質が問われると思う。

むかし、稲尾という名投手がいた。日本シリーズでは7試合中6試合を投げ優勝に貢献した。「この時神様、仏様、稲尾様」と名付けられた。弱冠19歳のことだ。

その後も鉄腕稲尾の名をほしいままにしたが、結局10年で肩を壊し選手生命を絶たれた。

某教授はこういうのを「プロ意識」というのだろう。それはそのまま「特攻隊精神」だ。

これが「マイウエイ」だと、彼がこだわるのなら構わない。しかしそれを人に押し付けてその結果人が死んだとしたら、その死はあんたの責任である。


エリート社員と過労自殺とをつなぐものは「プロ意識」である。なぜなら「プロ意識」は「撃ちてしやまん」精神に置き換えられてしまっているからである。

しかし電通のような業界にあって、エリートとはどのようなものなのだろう。私たち世代にとってCMというのは三木トリローだったり柳原良平であったり、野坂昭如であったりする。どちらかと言えばアイデア勝負のヤクザな連中である。片足でそういう連中をうまいこと使いながら、もう片方の足で業界にはめ込んでいくのがエリートなのであろう。

であればその人には、片足ヤクザ的なキャラクターが求められるだろう。どっちにしても「特攻隊」にはそぐわない。そんな仕事からは良い作品は生まれない。良い作品を生み出せない人は「プロ」ではないのだ。




雨宮処凛さんが19日の日付で、ブログに書いている。

電通過労死認定から、この国の非常識な「普通」を考える という題だ。

たいへん良い文章で、いちいち納得してしまう。

ハラスメントは、過労死・過労自殺に必ずと言っていいほどつきまとう。

と切り出して、次のようなインタビューを紹介している。

本当は、はっきり言えば上司なんですよ。かならず過労死って3人くらい、上司がかかわっているんですよ。ダメな上司が3人いると死んじゃう。

もう一つは周囲が関わらないことだ。

私に投げかけられたのは、「正社員だったら今時それくらい普通だよ」という妙に冷たい言葉だった。

これで彼あるいは彼女は周囲から切り離され、自分を責めるしかなくなる。

雨宮さんは、ここでもう一つ追い打ちをかける。

ギリギリのところで踏ん張っているからこそ、「辛い」という人が許せない。弱音を吐く人が癪に障る。「ついていけない」とか「無理」なんて、一番の禁句だと信じ込まされているから。

そして生き留まった人は、その代償として心が「壊れて」行き、生贄を求めていくようになる。

こういう集団的な力動過程のもとで、「過労死」が生み出されていく。

おそらく雨宮さんの事例は、自殺した電通社員のことが念頭にあっての、パワハラ自殺にやや偏った過労死分析ではあろうが、実際にはその比率が圧倒的に高いことも事実である

雨宮さんによれば、15年度に過労死で労災認定された人は96人。未遂も含む過労自殺は93人となっている。

日本の過労死統計のほとんどは過労自殺が占めているのである。逆に言えば自殺以外の過労死はいまだ闇から闇へと流されていることになる。

とすれば、過労自殺を過労死に含めることが逆の意味で正しいかどうかも疑問になってくる。

過労自殺の本質は過労そのものより過労を強いているものにありそうで、そこへの対処が問題になりそうだ。

電通過労死問題は大変ずっしり来る課題である。

しかし、どう切っていったらいいのか、切り口の見えにくい問題だ。

根底にあるのは不況と就職難だろう。さらに労働規制の緩和も拍車をかけている。

景気のいいときにも過労死問題はあった。しかし、それは「やめりゃいいじゃん」の世界でもあった。いまの過労死は働きすぎるほど働いても、その先が見えない過労死だ。しかも簡単にドロップ・アウトする訳にはいかない状況のもとでの過労だ。

ただ、以前の過労死がクモ膜下出血だとか、心筋梗塞だとかいう病気だったのに、最近はほとんどがウツ→自殺という形態を取っていることに注意が必要だ。

ウツというのは何もなくてもなる病気で、だからうつ病なのだが、過労が引き金になってのウツというのは、正確にはウツではなく神経症ないし心因反応ではないか。

そしてその原因は過労という宙に浮いたような抽象的なものではなく、過労を強いていた周囲の圧力にあるのではないかと思う。

その辺の精神力動的状況をチェックすることが、医学的には必要かと思う。いささか過激な言葉を使うならば、彼もしくは彼女は「殺された」のであり、「殺した犯人」を見つけ出さなければならないのではないか。

時として過労やストレスは人を襲う。それは避けようがない。しかしそれが死に至る結末へとつながらないようにするには、「二次予防」が必要であろう。

昨日のテレビでパーボ・ヤルビと武満徹の娘が対談していた。といっても武満の娘が一方的に喋って、それをヤルヴィが一生懸命聞いているのだが、とても面白かった。
武満は作曲家=芸術家というより作曲屋さんで、とにかく朝起きてはせっせと曲作りをして、それが午前中で終わると後はフリータイム。あえて言えば「充電時間」に当てていたという。
こういうのが「勤勉」というのだろうな、と思った。
確かに「勤勉」は美徳だが、1日10時間以上も働くのが勤勉ではない。
野球のピッチャーなら成功しようが失敗しようが1週間に一度しか投げない。だからといって決して残りの6日間を遊んでいるのではない。脳ミソを絞って、体力を一気に発散できる時間はせいぜい4,5時間なのである。それがサステイナブルな生産スタイルなのである。
労働スタイルではない。労働なら1日10時間、それを週に5日間なら十分働ける。
労働と創造にはそれだけの違いがある。しかし逆に言うと週に50時間労働できる体力と経験なしに週に10時間の創造は維持できないのである。



 

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