鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

13年4月、ぷらら・Broachより移行しました。 中身が雑多なので、カテゴリー(サイドバー)から入ることをおすめします。 過去記事の一覧表はhttp://www10.plala.or.jp/shosuzki/blogtable001.htm ホームページは http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」です。

カテゴリ:03 日本経済 > A 日本経済/構造問題

「内部留保論」の混乱について

いま日本では巨大な内部留保が積み上がる一方、国民の暮らしはますます悪化し、将来不安が増大しつつある。

このような状況を打開するためには、内部留保の過剰な積み上げをやめ、内需の拡大に向けて財を移さなければなりません。

これは社会・経済的な視点から見れば当然の視点です。しかもこの2つが一つのトレンド(新自由主義)というコインの両面をなしていること、両者にはトレードオフの関係があることも明らかです。

しかし、この間大企業側からの執拗な論争により、これらの当然の主張が途方もない妄想であるかのような雰囲気が形成されてきています。

とくにそれが「因果関係論」であるような論点のはぐらかし、企業論理が社会の論理であるかのようなすり替え、定義をあいまいにした上で正反対の結論を導き出すような詭弁が相次いでいます。

そのスペクトルは、「必要悪」的な慎ましいものから「必要>>悪」になり、最悪の場合は「必要だから即ち善」と開き直るものまでさまざまです。

そして「論争」を公正に判断する第三者のふりをした、事実上の内部留保弁護論という変化球も投げつけられています。

もちろん、肝心なのは内部留保そのものではなく、野放図に内部留保が積み上がっていく仕掛けなのであって、これにメスを入れない限り、問題は解決しません。

しかし、そのためには、国民経済的に見て内部留保の異常な積み増しが決して良いことではない、「必要<<悪」という、当たり前のことから出発しなければならないでしょう。

論争にあたっては内部留保の中核をなす当座預金・普通預金から出発するべきです。マネーゲーム的な投資である株、債券、不動産についても基本的には同様の判断をとるべきです。ファンド的展開については具体的・個別的な判断が必要でしょう。

海外資産については、租税回避問題と絡んでくるので、今後の理論展開が待たれるところです。私はこの点に関してはリバタリアン的・原理主義的な所得税・直接税論者なので、納得できる主張を期待しています。


参考までに東芝のWH社買収に至る経過をおさらいしておく。

2005年6月 BNFL社がWH売却を決める。

7月 「ウエスティングハウスを三菱重工が買収か?」の情報が流される。これはこれとして、素直な流れだ。沸騰水型は三菱重工のオハコだということ もあるが、何よりも三菱重工が日本を代表する軍事産業であり防衛省と一体関係にあるからだ。アメリカが押し付ける相手としては最高だ。

にもかかわらず、BNFL取締役会の直前、奇妙な動きが出てくる。

2006年1月20日 GEが応札すると発表。これに日立製作所も組んで参加の意向を表明した。最終選定が予定されたBNFL取締役会のわずか1週間前である。まぁ率直に言えばジェスチャーだ。

1月22日 ブッシュ米大統領が米企業の支援をブレア英首相に表明した。米商務長官も「ブッシュ政権はGEを支援している」とする書簡を英貿易産業相に送った。

1月23日 イギリスのフィナンシャル・タイムズが「東芝が勝利した」と報道した。買収額は当初予想の2倍以上の50億ドル。どう考えても米・英政府が一体となった「アオリ」行為だ。

1月26日 BNFL取締役会が東芝売却を正式決定した。東芝はWH社の方針には干渉しないと発表した。この間に何があったかは想像に難くない。アメリカは三菱重工の態度を警戒したのだ。そして東芝に売るためにGEとつるんで一芝居うったのだ。

日本の三大重電企業である三菱重工、日立、東芝は米英両国に翻弄され、東芝が高値でジョーカーを掴まされたのだ。

東芝はそれでも「社長の愛人を名義だけ引き取れば余録がある」と踏んだから買ったのだろうが、その結果が今の体たらくである。御三方が頭に来て、べらべらと喋ってくれると有り難いが、そんなことをしたら命がいくつあっても足りないだろう。


あとから気づいたのだが、どうも最後の1週間の経過が変だ。

「どう考えても米・英政府が一体となった“アオリ”行為だ」と書いたのだが、値段を吊り上げるだけのためにそこまでするだろうか?

GEが突如応札の意向を表明し、日立が参加の意向を表明し、ブッシュ大統領が動き、商務長官も動いた。

これだけの駒が動いたら、もうひっくり返ったも同じだ。東芝が逆立ちしたって勝てっこない。

にもかかわらず、その翌日には「東芝が勝利」と報道された。

にもかかわらず、アメリカ政府は何の反応も示さなかった。

一体これはなんだろう。東芝と経産省がなにか重大な一札を入れたのだろうか?

そもそもGEが買えばアメリカにとっては何の問題もない。ところが、そこには独禁法抵触という問題が生じる。

したがって、GEは実質傘下の東芝に買わせようとした。これなら三菱を相手に東芝がしゃしゃり出てきた経過が説明できる。

とすれば、GEは土壇場になってなぜ東芝に回し蹴りを入れたのか? しかも同じ沸騰水型の日立をダシにして…

もう少し調べてみなければならない。

そうすると、すべての謎はこの一点に集約する。

「なぜ東芝はWH社を買ったのか?」


1.ウェスティングハウスとはどんな会社なのか

まずウェスティングハウスとは何なのか少し勉強する。

<旧ウェスティングハウス・エレクトリック>

ウィキペディアによると、

ウェスティングハウス・エレクトリック(Westinghouse Electric 、WEC)は、1886年から1999年まで存在したアメリカ合衆国の総合電機メーカー。

電気、機械関係を中心に軍事用・民生用の双方で多岐に渡る事業を展開。1950年代以降は加圧水型原子炉(PWR)の開発・製造で独占的地位を占めた。

1997年にCBSコーポレーションと名を変え、1999年にバイアコムによって買収され消滅した。最後に残っていた製造部門である原子力部門も、英国核燃料会社 (BNFL)社に売却された。

社歴を見ると、とにかくすごい会社だ。なんでも作っている。しかもその多くが「世界初」だ。東芝など目ではない。20世紀を代表する企業と言っていいだろう。

そのなかで、今問題となっている原子力部門に絞ってみてみると、

一番は1953年に原子力潜水艦「ノーチラス」の原子炉を製造納入したことだ。

ノーチラスが進水するのは55年のことで、当時映画館のニュースで見た覚えがある。酸素補給せずに、潜ったまま世界一周できるという夢の潜水艦だった。戦争映画で、潜水艦乗組員が酸素不足でもがき苦しむシーンを覚えていたから、「それはいいことだ」と素直に喜んだものだ。
しかし原潜が世界戦争の形態を根本から変えてしまったことについては、ついぞ頭が行かなかった。

ついで1960年、原子力空母「エンタープライズ」用の原子炉A2W炉を製造・納入している。

そしてその翌年、商業用初の加圧水型原子炉としてヤンキーロー発電所が運転を開始している。

この辺りを挟んで50年から70年くらいまでがウェスティングハウスの最盛期だった。

「ウェスティングハウスなら大丈夫」"You Can Be Sure If It's Westinghouse"というのがCMの決まり文句だったらしい。

80年代に入ると明らかに下り坂に入り、90年代には身売りを繰り返しながら解体していく。

そして1988年、最後まで残っていた商業用原子力部門が英国核燃料会社(BNFL)に売却されたというのが経過である。

<ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー>(LLC)

で、これから後がややこしい。

まずウィキペディアの説明。

商業用原子力部門は、所有主が英国核燃料会社(BNFL)となったが、本部はアメリカのペンシルバニア州にそのまま残された。

社名も親会社の名がそのまま残された(後ろにカンパニーが付くところだけが違う)。

原子力関連の広範な製品の販売とその関連サービスを行う多国籍原子力関連企業として存続している。

ところが、英国核燃料会社(BNFL)はこの会社を持て余すようになった。そして2005年7月に売りに出した。最大の理由は「商業的リスクが税金で保有される企業としては大きすぎる」ということのようである。(まさにそのとおりだった)

幾つかの企業が関心を示したが、2006年2月6日、東芝が54億ドル(当時換算で4900億円)での購入を確認した。

LLCはその後も拡大を続けている。(なぜなら東芝がカネを流し込み続けているからだ)

とくに、第三世代+原子炉のAP1000型原子炉は、アメリカで6基、中国で4基が建設ないし受注されている。(ウィキペディアによる)

とここまでが基礎知識。

つまりこういうことだ。


2.WH社はただの原子炉製造・販売会社ではない

「WH社はただの原子炉製造・販売会社ではない」ということだ。

それは米国の世界戦略のカギを握る軍需産業である。原子力空母と原子力潜水艦なしに米国の戦略は成り立たない。

つまりWH社の原子力技術は米国の軍事力の心臓部をなしているのである。米国は絶対にこの会社を手放さないし、その核心技術も絶対に譲渡はしない。

戦後の最盛期にはWH社は巨大電機産業であった。だから原子力部門も支えることが出来た。しかしいまや本家は衰退・消滅し、それは原子力に特化した特殊な経営となっている。

つまり単体で支えるのは困難になってきているわけだ。

大げさに言えば、ここに米国資本主義の抱える矛盾が象徴的に表れていることになる。

3.米国はなぜWHを売ったのか


『人民の星』 5702号1面 2012年7月18日付 米日原子力推進体制 原発再稼働の背景 という記事がある。

ここにはこう書かれている。

この買収は通常の買収・子会社化とまったくことなった一面をもっている。東芝は、いわばカネをだしただけで、ウエスチングハウスは買収後も独立した企業のようにふるまっているからである。

東芝は「カネはだすが、経営には口をださない」とはっきりのべている。

アメリカ帝国主義は、ウエスチングハウスが経営破たんしても、そうした技術をもっている原子力部門を残し、最初はイギリスに、そして次には日本にカネをださせて維持してきたのである。

多分、憶測記事だろうが、そういう可能性は一応念頭に置いておく必要があるのではないか。

4.なぜ東芝がWH社を買ったのか? なぜ米国は東芝に売ったのか?

ここまで書いて来ても、未だに真相は良くわからない。「なぜ東芝か?」ということである。

この話は、まず「なぜ日本か?」という問題が片付かないと進まないかもしれない。

この点で、最近の週刊朝日に面白い情報があった。

買収が行われた06年当時、経産省は「原子力立国計画」として原発輸出などを官民一体となって推進する国策をぶち上げ、産業界の利害調整をしたという。

「ウェスチングハウス買収の入札では三菱が有利と目されていました。だが、ふたをあければ、東芝の逆転勝ち。当時の経産省幹部は東芝に買収させたのは自分たちだ、と周囲に豪語していました」(原発業界関係者)

つまり、アメリカの意を汲んでWH社の買い取りに動いたのは経産省だということだ。そのうえで、どの社にするかを決める時、「天の声」の特権をたっぷり享受したわけだ(一体誰だろう、こいつこそA級戦犯だが)。

東芝の側からはその判断の是非は別として(非に決まっているが)、買った理由は分からないではない。

沸騰水と加圧水の両方の原発を手に入れることができれば、日本中の原発を支配下に収めることができるかもしれない。その頃の日本の原発政策を見れば、その先は前途洋洋として見えたかもしれない。

週刊朝日には次のような記載もある。

元東芝原子炉技術者の証言。「(東芝の)事業部は必死でした。国が原発輸出というアドバルーンを上げるとそれに飛びつきました」

だが米国の側はどうだったのだろうか。日本に買わせるつもりだったのは間違いないとして、資産総額の3倍で売れるとなれば飛びつくつもりも分かるが、そういうアコギなことをして、会社がコケた際の対処法は考えられていたのだろうか。

アメリカにとって最悪のシナリオ

今アメリカにとって最悪のシナリオが展開しつつある。もし東芝が1兆円の評価損を抱えたまま沈没することになれば、WH社はどうなるのだろう。もし東芝が救済されないままに、苦し紛れにWH社を投げ売りすれば、それが例えば中国に流れでもしようものなら…

経過から見て、GE+日立は東芝に高値つかみさせるための当てウマだったとも考えられる。結局当初の本命であった三菱重工が引き受けさせられることになるのだろうか。WHの軍事ノウハウの不可侵性は守られるのだろうか。

東芝を押し込んだ日本政府(経産省)も、さぞや頭を抱えているだろう。三菱重工も2006年の件では相当へそを曲げているだろうし、東芝の二の舞いはゴメンだろうから、それ相当の手当をしなければならないが、果たしてそれは可能だろうか。

川内原発の再稼働、海外への原発売り込みとそれなりに必死のようだ。安倍首相がUAEやトルコ、ミャンマーなどを歴訪。原子力協定を結んだ際には、東芝本社や関連会社4社の幹部が同行して原発を売り込んでいる。

が、そんなことではとても足りないだろう。


2015年07月11日

2015年08月12日 

2015年08月12日 

2015年08月12日 

2015年08月12日 

2015年08月13日  

粉飾の可能性は去年の4月から分かっていた。週刊ダイヤモンドの記事を見れば明らかだ。まだこの頃は600億だから可愛い方だが、本質は同じだ。本文を見てもらえば明らかだが、ここでは要旨を紹介しておく。


1.週刊ダイヤモンドの2014年4月23日号 「原発投資で最大600億円規模 東芝を揺るがす減損リスク


東芝の担当者たちと居並ぶ会計士たちとの緊迫したやりとりが、水面下で何度も繰り返されてきた。

会計監査人の新日本監査法人は、「投資回収が可能というなら、新たな出資者が現れるという明確なエビデンスを示せ」と迫った。

東芝は、撤退した東電や追加投資を打ち切った米電力大手に代わる、新たな出資者を連れてこいと突き付けられた。さもなければ減損だ。

減損処理を迫る新日本に対して、東芝は反論材料をかき集めて必死の抵抗を試みていた。

減損となれば、現金の支出こそ伴わないがバランスシートが傷む。他の重電メーカーと比べて財務の健全性に劣る東芝にとっては大問題だ。

東日本大震災以降、国内では“原発ゼロ”の状況が長く続き、原発の定期検査という収益源がなくなったことで、国内部隊は赤字に陥った。一方、海外を主戦場とするウェスチングハウスも最近は苦戦が続いている

その状況にSTPの減損まで重なれば、社内での原子力部門の立場は一気に揺らぐ。

2.週刊ダイヤモンドの2014年5月09日号。「誤算が続く東芝の原子力事業は立ち直れるか 米国の原発新設案件が前進せず損失を計上

決算は好調そのものだ。…前期比47%もの増益は、驚異的な伸びといえるだろう。しかも事前の会社側予想数字2900億円とピタリと一致している。

いま読むと、まさに「ピタリと」一致している。そのはずだ、一致させたのだから。それこそが「粉飾」の動かぬ証拠だ。

一方、原子力事業。同事業だけで約600億円の一時的な評価損失を計上した。

とあるのは前の記事と一致する。つまり新日本監査法人の圧力を受けて、ひそかに600億円を織り込んだのだ。その上で、それを穴埋めするために全分野で粉飾を敢行したのだ。

「NINA社の件がなければ過去最高益だった」と東芝の久保誠副社長は悔しがる。

というくだりには思わず笑ってしまう。知っていたのなら名役者だ。

その「NINA社の件」について、

これはサウス・テキサス・プロジェクトに絡む問題だ。同プロジェクトは日本企業が海外で初めて取り組む原発新設案件。

東芝は2008年に同プロジェクトの主契約者となり、翌年にはプラントの建設を含めたプロジェクト全体を一括受注することに成功した。

だが、2011年3月11日以降、状況は急変した。米原子力規制委員会(NRC)は建設許可を保留。原発建設に出資する肝心の投資家も決まっていない。

東芝の爆弾は「のれん」料とウェスティングハウス

さまざまな記事を見ると、2つのキーワードがあることが分かる。

ひとつは「のれん」料問題であり、もうひとつはウェスティングハウス社(以下WH)問題である。

のれん料問題も元々はWH買収により発生したものだから根は一つということになる。

1.のれん料の問題

まずはのれん料問題から。(毎日新聞 「東芝問題リポート 第三者委報告書が明かさなかった謎」

7月の第三者委員会と社長の共同記者会見で二つの質問が飛び出した。

質問1.社長へ

ウェスチングハウス買収で、東芝の原子力事業の規模は15年に3倍になると言っていた。それが達成できないから、利益水増しを迫ったのではないか。

質問2.第三者委員会へ(youtubeで閲覧可能)

ウェスチングハウスの『のれん』料は、減損の懸念がある。第三者委の調査は、減損処理には関わらないということか。

この質問への第三者委員会の答え

棚卸し資産の評価、固定資産の減損、この中に『のれん』も入ると思うが、繰り延べ税金資産の処理、これらは我々の調査対象外。会社が検討して、監査法人と協議されることだ。

要するに、「損益計算書については調べるが、貸借対照表については知りません」ということだ。

2.貸借対照表の仕掛け

のれん料とか減損処理とか聞きなれない言葉が並ぶ。損益計算書はわかるが、貸借対照表というのはどうも苦手で、今ひとつわかったようなわからないようなところがある。

まずのれん料だが、以下のように説明されている。

『のれん』料: 企業を買収する場合、買収額はその時点の企業価値より高くなる。したがって企業価値だけを資産計上すると、買収額との差額が生じる。会計原則ではこの差額を「のれん」と名付けて、資産計上を認めている。

次に貸借対照表(B/S)について 「東芝の不適切会計問題、貸借対照表(B/S)を見ると理由が分かる?」というブログ記事から勉強させてもらう。

まずがこの表

14年3月期東芝の貸借対照表-min

ブログ主はこの表を見て下記のごとく指摘している。

パッと見て気付くのが「その他資産」の多さ。

総資産6.2兆円の内、約22%に達します。この「その他資産」は環境の変化があれば、一発で資産から消えてしまいます。

その内訳は、「のれん代及びその他無形資産」が1兆円、「長期繰延税金資産」が0.2兆円、「その他」が0.1兆円となっている。

ブログ主はのれん代が1兆円に達した経過をきれいにまとめてくれている。

・2006年3月期      0円
・2007年3月期  7,467億円 (ウェスティングハウスを買収)
・2008年3月期  6,539億円 (ウェスティングハウスの一部株式を売却)
・2009年3月期  6,298億円
・2010年3月期  6,187億円
・2011年3月期  5,592億円
・2012年3月期  7,116億円 (ランディスギア社を買収)
・2013年3月期  9,121億円 (ウェスティングハウス株を買い増し)
・2014年3月期  10,006億円

「のれん代」は、子会社が当初の計画通りの利益を上げられなくなったら減損の必要が生じます。

つまり「見かけだけの資産」であり、むしろ負の資産と考えるほうが正しいということになる。

3.繰延税金資産との連鎖

しかしそれだけなら「消える」だけだが、困るのは後に借金が残ることだ。それが「繰延税金資産」というもので、税金支払分を最初に計上してしまう。利益が出ないと税金支払はなくなるので、この資産は宙に浮いて不良資産化する。

計上している繰延税金資産を守るためには利益計画の達成が必須。利益計画が達成できず→繰延税金資産の取り崩し→債務超過転落→経営破綻、というのが最悪のシナリオです。

ということで、無理してでも利益を出さなければならないという悲惨な状況に追い込まれる。これが今回の粉飾を生んだというのが実相のようだ。

週刊朝日の試算によると最大で9千億円の“損失”になるという。

週刊朝日(7月22日) 「9千億円の“巨額損失”が新たに発生?

この計算は、(のれん代の減損が4千億円)+(繰延税金資産の減額が最大5千億円)=9千億円というもの。

ただ、5千億円というのは11年3月期決算に計上されていた総額で、まるまるということにはならないだろうが。

 

東芝問題で、赤旗の報道が異常に慎重だ。
今日からの連載でようやく「粉飾決算」の表現を取り入れた。
そしてウェスティングハウスの買収が、経営危機の根っこにあることを指摘した。
しかしこれはすでに1年以上も前から広く知られていることであり、第三者委員会報告はそのトバ口でストップしていることは明らかだ。
問題は「2006年の買収劇の際に何があったのか」だ。
とくにウェスティングハウス社の持つコア技術がどのように扱われているのかということだ。コア技術とは言うまでもなく軍事技術である。原潜の原子炉も原子力空母の原子炉もすべてWH社製である。それをアメリカが手放すことなどありえない。とすれば、東芝は買ったのではなく「賜った」のだ。もちろんおまけ付きではあったろうが。


原子力空母・原潜とWH原子炉の関係

軍事オタク情報が飛び交っている。分かる範囲でまとめておくと、以下のようになる。

ウェスティングハウスの記事

1996年、防衛産業部門のウェスティングハウス・エレクトロニック・システムズをノースロップ・グラマンに30億ドルで売却。同部門はノースロップ・グラマン・エレクトロニック・システムとなる。

1998年、最後まで残っていた商業用原子力部門を英国核燃料会社(BNFL)に売却。

ウィキペディアではこうなっており、この記載から言うと軍事用原子力部門はウェスティングハウス・エレクトロニック・システムズに移行したと考えられる。

原子力空母・原潜の記事

航空軍事用語辞典++

空母エンタープライズ: ウェスティングハウス A2W加圧水型原子炉×8基 (出力280,000hp)

空母ニミッツ(級): 1975年就役。同型艦最新艦は2009年就役の「ジョージ・ブッシュ」 ウェスティングハウス A4W加圧水型原子炉×2基 (出力65,000hp/48MW)

空母ジェラルド・フォード: 次世代空母。2015年に竣工・就役の予定。ウェスティングハウス A1B加圧水型原子炉×2基

空母に搭載している原子炉は、出力調整が可能な原子炉です。スロットルのように、「15パーセント臨界」、「50パーセント臨界」などの調整が可能で、必 要な電力量に応じて、出力を自由に変えられるのです。商業用原子炉とは、比較にならないほど、高度なテクノロジーが使われています。

五代富文 宇宙開発と原子力(4) 「原子力潜水艦ノーチラス号と商用原子力発電炉」 からの引用です。

リッコーバーが開発主導した原潜炉は基本的には現在に至るまで使われ、ノーチラス号の加圧水型核反応炉STRマーク2は正式名称をS2Wと改名され 原潜炉の原型となりました。

原潜の原子炉は当初はWHが独占していました。しかし1970年代末に、 GE社の開発した加圧水型動力炉Sシリーズが参入し、徐々に主流を占めるようになります。

そして1990年代に入ると、船体の大型化に対応できなくなったWH社製の原子炉は姿を消していきます。

第6世代の原子炉は、WH社製に代わってGE社製S6Gとなっています。


ということで、原子力空母はWH、原潜はGEという棲み分けになっているようだ。

ただしWHというのはノースロップ・グラマン傘下のウェスティングハウス・エレクトロニック・システムズを指す、ということになる。

もちろん原子炉の生産技術に大きな差があるわけではないから、98年まで同じ会社の同じ部門だったWH社にコアー技術が共有されていることは間違いない。

当然、そこは封印された上で売却されるのであろう。嫁にはやるが、あそこは見ることも触ることも許さぬ、という話だ。




佐々木則夫の名言 格言

というページがある(未だに)。

東京出身。早稲田大学理工学部機械工学科卒業後、東京芝浦電気(のちの東芝)に入社。主に原子力発電事業に従事し、原子力事業を東芝の主力事業に押し上げた人物。

というプロフィールの後、「名言」が載せられている。

*打ち合わせや会議は1日20件前後です。1件にかかる時間は長くても30分で、5分で終わる場合も少なくありません。

*どうして即断即決ができるのかという と、自分の中に公式のようなものができているからでしょう。マネジメントというのは工学に通じるものがあり、答えがだいたい決まっています。

*副社長のころまでは自分で資料を作成することも多かったのですが、トップは決断して指示を出すことが仕事の中心ですから携帯電話で十分です。

*電話は感情を伝えるのに効果的な手段ですが、ファクト(事実)を誤解なく伝えるという点ではメールに軍配が上がります。また、メールなら指示内容や回答がすべて残ります。

*私は1年間に1000通以上のメールを書くほどのメール魔です。メールで日常の注意点から具体的な仕事の内容にも言及すると、自分の思ったことに対する情報も集まり、自分の思いも直接伝わります。メールは単なる情報伝達以上の活用が可能なのです。

佐々木氏の秘密は下記にあるようだ

マネジメントというのは…答えがだいたい決まっています。

メール魔で…具体的な仕事の内容にも言及する

すなわち傲慢さと専制的手法だ。ゲームに参加するために不可欠な、ネガティブ・フィードバックのメカが取り外されている。

ちなみに私のメール観は以下の記事

この人はいずれ刑事被告人になる人だから、氏など付けたくないが、一応の礼儀として。
この人は三悪人の中でもとびきりの悪だ。
原発部門出身で原子力事業部長を務めた佐々木氏は、2006年ウェスチングハウスの買収の先頭に立ち、莫大な資金を投資した。そこで福島原発事故が起こり、結局稼働原発ゼロの事態に追い込まれた。
これは日本全体から見れば別に犯罪でもなんでもなく、たんなる一企業の経営上の失敗にすぎない。しかしもちろん経営者・佐々木則夫にしてみれば十分、致命傷だ。
このままいけば東芝もろとも海の藻屑と化す。
そこで粉飾決算をしまくりつつ、経団連に潜り込み、ひたすら原発再稼働に向けて策動を繰り返すことになる。
赤旗には以下のごとく記載されている。
安倍政権のもとで再開された経済財政諮問会議。この会議の民間議員に佐々木氏(当時社長)が任命されました。
会議のなかで佐々木氏は、原発の「利便性」について繰り返し発言していました。
例えば「いま、いろいろな意味で原子力に対する期待があり、…再稼働は非常に重要である」といった具合です。
記事は次のように結ばれている。
不正に手を染めることも厭わず、世論に挑戦し、再稼働を迫り続けた東芝のトップ。
原発利権の蜜の味は、人としての正常な感覚を狂わせるほどのものだったのでしょうか。

東芝という会社

東芝という会社の歴史を調べてみた(主としてウィキペディア)。

初代田中久重(1799年 - 1881年)は、からくり人形「弓曳童子」や和時計「万年時計(万年自鳴鐘)」などを開発し、「からくり儀右衛門」として知られる。

その「からくり儀右衛門」が、明治8年に工場を創設する。ホオっという感じだ。出自は町工場みたいだ。

しかし、東芝の「会社概要」を見ると、決して純民間とはいえないことが分かる。

明治6年に田中久重は、工部省(当時の政府機関、産業の近代化を推進)から受注した電信機を開発していましたが、受注拡大に伴い、1875年(明治8年)東京・銀座に工場を創設しました。

この町工場が一気に姿を変えるのは、明治26年のことのようだ。まさに日清戦争たけなわだ。

工場は三井の傘下に入り、芝浦製作所と改称し、重電メーカーの道を歩み始める。

これがひとつの顔だ。

昭和14年、芝浦製作所はもうひとつの顔を持つようになる。それが家庭用電球の製造会社「白熱舎」との合併と東京芝浦電気への改称だ。子供の頃、電球といえばマツダと決まっていたが、それを作っていたのが白熱舎である。

つまり東芝には「からくり儀右衛門」以来の町工場的伝統、三井財閥の基幹企業としての強面の重電メーカーとしての顔、一般消費者を相手の弱電メーカーという三つの顔があることになる。

会社概要ではこう書かれている。

太平洋戦争などが激化する中、国家の要請に応え、軍事物資として無線機や真空管および動力源となる発電機など、急速に生産を伸ばしました。

つまり軍事産業として、戦争中に大儲けし急成長したたわけだ。


それで敗戦となって、財閥解体の波がやってくる。

しかし三井は解体されたが、どうも東芝の本体はこの波をうまくくぐり抜けたようだ。工場が一つ独立しただけで、本体は無傷で残された。

その結果、東芝は電機業界の最大手となり、石坂泰三・土光敏夫の黄金時代を築きあげる。これが昭和24年から昭和51年までの間続き、さらにその後も土光院制が続いた。

浜松町の駅の浜離宮側にどでかいビルが建ったのもこの頃(昭和59年)である。

きわめて間口の大きい経営体となり、高度成長の波にフラッグシップの一つとして乗った。家電部門は省略する。重電部門はあまり知らなかったので、いささか驚いている。

懐かしいところで言うと電気機関車EF58、EH10などが東芝製。

重電の目玉はなんといっても原子炉である。日本のトップメーカーとしてGEの沸騰水型原子炉をライセンス生産している。

ほかに地対空ミサイルを開発製造し、自衛隊の指揮システムの開発にも携わっている。

上位10社
       防衛省ホームページより

このあと、西暦に切り替える。(どうも平成には弱い)


その東芝が10年前、2005年からおかしくなる。つまり西田社長の就任からだ。「事業構造改革」で収益基盤を強化し、成長分野で新たな事業を立ち上げる「事業構造転換」を進めた。

レコード会社(EMI)を売却した。白熱灯の製造を中止し、HD/DVDからも撤退した。

銀座の東芝ビル、本社ビル(引き続きテナントとして入居)、梅田スカイビルを手放した。

携帯電話事業からも撤退し、半導体生産の主力工場も閉鎖した。ただハードディスクの生産は続けているようで、私もヨドバシの安売りで買った2テラの外付けハードディスクを持っている。

いっぽうで、「事業構造転換」の目玉として、世界有数の原発会社ウェスティングハウス社を買収した。


つまり、結果論としては「事業構造改革」と「事業構造転換」がみごとに裏目に出たことになる。その挙句の果てが「粉飾決算」ということになるわけで、それだけ見ていても事の本質はわからないだろう。


ニュース、からみ隊 というブログの東芝は三井財閥の中核企業 という記事が、ちょっと古いが(2011年10月)面白い。

要点だけ紹介しておくと、

東芝は三井財閥の中核企業。トヨタや新日鉄、三井造船やIHIなど、三井グループの中心を占めている。

国鉄がJRに移行した際に、東芝がJR貨物の電気機関車の…大量受注を獲得している。これには政治的配慮が大きく働いているのではないかと思う。それと言うのも、東芝の電気機関車は故障が多いから だ。
…今度は大規模貨物駅で使用される入換用電気式ディーゼル機関車の受注に成功した。 そもそも東芝には大型ディーゼルエンジン部門がない。それなのにJRで採用が決定したのは、どう考えてもおかしい。
郵政民営化でも、郵便物自動読み取り区分機を最も多く納入している。区分機に他社が参入するまでは、独占価格で納入していた。この東芝の区分機は故障が多く、しかも高い。
通信事業の自由化では、アメリカ方式の採用を迫り、実現した。東芝は通信機に弱い。そのためモトローラに参入させたが、ここの製品の性能は低い。(結局東芝は富士通に電話事業を譲り撤退した)

著者は最後にこうまとめている。

やはり最後は政治力ではない。製品を作るメーカーである以上、技術力が決め手になるのだ。

うちのテレビのレグザはそれほど悪くはないが…


ということでいくつかのことが分かった。ひとつは、東芝には表の顔と裏の顔があり、どうもことあるごとに裏の顔(官需タカリ)が透けて見えること。

殿様商売をやっていて、今ではかなり経営が傾いていて、「大胆な経営改革」をやったが、すべて裏目に出ているということ。

にもかかわらず、裏の商売がある以上、政府も潰す訳にはいかないだろうと、たかをくくっていること。

この期に及んで、まだメディアが「粉飾決算」と呼ぶのを回避しているのは、スポンサーとしての権威だけではない、裏の圧力があるのだろうと思う。

しかし、いずれ外圧が来る。それまで処理をもたついていれば、痛烈なしっぺ返しを食らうことは間違いないだろう。

東芝事件、まだ序の口だ

とりあえず経過表を作ってみたが、どうもとんでもない大事件になりそうな予感がする。

問題は企業ガバナンスとかいうレベルではない。日本という国の骨格が、骨格だと思っていたものが、たんなる虚妄に過ぎなかったという衝撃的事実である。

ソニー、松下が潰れても日本の屋台骨は揺るがない。しかし東芝はレベルが違う。経団連の中核であり、軍産複合体や原子力村と深く関わる、ある種の国策会社でもある。

斜陽の電機業界の中で、日立・東芝が好業績を維持していることは、日本の経済政策立案者にとってある種の救いであった。

しかし「勝ち組」だったはずの東芝が、実は「負け組」だったのだ。この事実は、ずっしりと効いてくる。

「大企業立国論」は、アベノミクスの根幹をなしているだけでなく、保守派に共通する信仰となっている。その根拠となる企業の一つが瓦解するとなると、残るはトヨタのみとなる。

さすがに「日本の産業政策はこのままでいいのか」という疑問が、澎湃として沸き起こってくるだろう。

アメリカの言うがまま、大企業の儲け主義、内需の軽視というのが、日本の経済政策の三本柱だった。それが、財界の先頭に立つ推進役の大企業、東芝の無残な転落によって、賞味期限切れを暴露された。

それが今回の事件ではないだろうか。

高齢化と人口減少が否応なしに迫ってきた現在、日本はすべての面でスケールダウンを迫られている。

その際に、大企業だけが抜け駆けをしようという魂胆は間違っている。それは結局、東芝の道を歩むことになる。

道を変更出来るだけの時間的余裕はあまりない。これを機に、根本的な変化を打ち出すことが求められているのではないか。

鍵となるイメージは「平和な中規模国家」ではないだろうか。これまで築き上げた技術力、平和国家の矜持を大事にしながら、ニッチを開拓し内需を中心にした国家づくりをおこなうのが一番だ。それには大企業中心思考を何処かで捨て去らなければならない。それが今だろう。


2009年

3月 東芝、リーマン・ショックで2500億円の営業赤字に転落。

6月 佐々木則夫氏が原子力部門から社長に就任。携帯電話や中小型液晶の不振事業を売却する一方で、原子力発電事業と半導体の2本柱に力を集中。

2011年

3月 東日本大震災と福島原発事故。佐々木社長の出身母体の原子力部門が大きな打撃を受ける。佐々木社長は高水準のコスト削減で経営改善を目指す。

2013年

6月 田中久雄氏が社長に就任。西田会長は佐々木前社長を副会長に棚上げし、自ら会長にとどまる。佐々木前社長は経団連副会長に就任。

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左から西田厚聡相談役、田中久雄社長、佐々木則夫副会長

2014年

6月25日 西田会長が相談役に退く。後任会長には室町正志取締役が昇格し、佐々木副会長はそのまま副会長に留まる。


2015年

1月 証券取引監視委員会(SESC)に、不適切な会計処理の内部通報。

「佐々木前社長時代に、インフラ関連事業で不正な会計処理があった」という内容の電話が、情報提供窓口に掛かってきたとされる。

2月12日 証券取引監視委員会、東芝に対し会計処理の精査・報告を命令。

4月3日 東芝、「不適切会計」の疑いで精査中と発表。「当社の2013年度における一部インフラ関連の工事進行基準に係る会計処理について、調査を必要とする事項が判明いたしました」

4月3日 社内で室町正志会長をトップとする特別調査委員会を設置。日本弁護士連合会のガイドラインに基づく「第三者委員会」の形態は採用せず。

調査対象は『電力システム社』『社会インフラシステム社』『コミュニティ・ソリューション社』の社内カンパニー3社だったが、調査開始後「不適切会計」が湧くように噴出した。

東芝カンパニー

5つの事業グループ、7つの社内カンパニーがある。各カンパニーに総務・人事・経理スタッフが在籍し、経営指標や決算書などを作成、本社に報告している。カンパニーのトップは経営の権限が与えられ、専業・独立企業化が図られている。


2015年5月

5月8日 東芝、3月期連結決算の公表を6月以降に延期すると発表。期末配当は見送りとなる。

東証の規定では、6月末までに有価証券報告書が提出されないと、「監理銘柄」に指定される。7月末まで提出できなければ上場廃止になる。

5月8日 特別調査委員会、インフラ関連事業の工事進行基準案件で、「原価総額が過小に見積もられていた」ことを明らかにする。

5月8日 東芝、特別調査委員会の報告を受け、2015年3月期業績予想を取り下げ、3月期連結決算の発表を延期。あわせて期末無配を発表。

5月11日 東芝株は取引開始直後から売り注文が殺到し、ストップ安となる。(最終的に513円から375円に下落し、東芝が失った株式時価総額は約2700億円に達する)

5月13日 東芝、特別調査委員会の中間結果を発表。社内3社の9件の工事案件で、原価の過少見積が総額500億円強に上っていると明らかにする。

2012年3月期から14年3月期までの3年間にわたる過年度修正(減額)が見込まれる。また不正の原因として「予算達成目標の位置づけが高かった」ことを挙げる。 「週刊東洋経済」2015年6月13日号より

朝日新聞より

9部門
5月15日 田中社長が深夜に緊急記者会見。不適切会計の件数が9件に及んだと公表。財務報告内部統制の訂正報告書を提出する方向を示す。役員報酬の一部返上を表明するが、 「財務報告の内部統制が機能していなかった」と述べ、意図性は認めず。

5月15日 東芝、「第三者委員会…に関するお知らせ」を発表。特別調査委員会は5月中に調査結果を第三者委に報告し、資料などを引き継いで解散することとなる。

5月15日 社内中心の特別調査委員会に代わり、第三者委員会(委員長・上田広一元東京高検検事長)による調査が開始される。(第三者委員会メンバーの中立性については疑問の声あり)

5月22日 東芝、第三者委員会の調査対象を、テレビ・パソコン・半導体などほぼ全事業に拡大すると発表。不正会計審査の期間は2011年3月期からの5年間に拡大する。

5月29日 田中社長の記者会見。金融商品取引法が定める有価証券報告書の提出期限の2カ月延長を関東財務局に申請すると表明。第三者委員会の調査結果を待って、9月に臨時株主総会を開くと発表。

5月30日 財務当局と東証、提出期限の2カ月延長を承認。8月末を新たな期限に設定する。これにより「上場維持」が認められ、株価下落に歯止めが掛かる。

2015年6月

6月1日 東京証券取引所の上場企業で、社外取締役2人以上の選任が義務付けられる。コーポレートガバナンス(企業統治)の透明性と健全性を高める狙い。

6月初め 米有力法律事務所(複数)が、今回の「不適切会計」問題発覚後の株価下落で損害を被った株主に損害賠償訴訟への参加を呼びかける。

6月12日 東芝、特別調査委員会の調査結果(「自主チェック結果、特別調査委員会の調査概要及び第三者委員会への委嘱事項との関係についてのお知らせ」)を発表。これまでの9件に加え、新たに12件(総額36億円)の不正処理が明らかになる。販売促進費などの計上の先送り、在庫の評価減、棚卸資産に関する不適切処理、委託先との取引の不適切処理などがありうるとし、第三者委員会に精査を委託。

週刊東洋経済より

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6月25日 東芝の株主総会。田中久雄社長は証券取引等監視委員会の検査を受けていたことを明らかにする。3月期決算は保留され、期末配当は無配となる。取締役16人の残留、9月の臨時株主総会開催で了解をもとめる。

財務責任者報告で明らかにされた数字: かさ上げ額は合計548億円。インフラ関連工事9件で原価総額を低く見積もることで、営業利益を512億円かさ上げ。広告費や在庫の費用・損失計上の先送りで36億円の利益かさ上げ。

2015年7月

7月4日 第三者委員会の調査で、過大に計上した利益が、1500億円規模に達することが明らかになる。

7月8日 第三者委員会の調査で、営業利益のかさ上げ額が最大2000億円規模に膨らむことが判明。

不適切処理の具体的手口: (1)納入業者への支払いを翌期に付け替えし、利益を先取りする。(2)部品を委託先に一度売って、完成品を買い入れ、完成品 在庫を増やす。これにより一時的に部品を売った利益が上乗せされる。(3)半導体の原価が下落しても、コストに反映させず、利益を過大に計上する。
またテレビの費用計上、半導体の在庫評価、パソコンの部品取引などすべての分野でかさ上げ。損失に備えた引当金の未計上、具体的な裏付けがないコスト削減策のくりこみ、販促費や広告費の経常先送りなど、意図的な会計操作が疑われる。

7月8日 東芝、主要取引銀行に対し最大6千億円の融資枠設定を打診する。

7月9日 第三者委員会、佐々木前社長の指示・関与を認定。佐々木前社長は退任の意向を明らかにする。
佐々木前社長は、予定通りの利益を上げられない部署に、会議の場やメールで「工夫しろ」と指示していた。社員らは、発言を「会計を操作しろ」という趣旨だと受け止めた。

7月9日 東京証券取引所で、東芝株は一時365円80銭まで下げ、年初来安値を更新する。


7月10日 第三者委員会の調査で、田中久雄社長が業績改善を強く促していたことが判明。

田中社長は各事業幹部に対し、早朝に電話をかけて「何で予算を達成できないんだ」と迫ったり、メールで「売上高をもう少し上げろ」「利益を早く上げろ」などと要求した。月々の利益が計画に達していない担当者を強い口調で「工夫しろ」と指示した。


毎日新聞解説記事より「東芝の営業損益の推移と歴代社長」

毎日 東芝

7月11日 東京証券取引所が、東芝を管理体制の改善を求める「特設注意市場銘柄」に指定する見通し(読売新聞)



それで、報道各社の表現だが、

NHK 今日のお昼のニュース: 東芝が、不適切な会計処理の発覚でことし3月期の決算が発表できない異例の事態となっている問題。

えらく持って回った言い方です。

TBS 4日のニュース: 不適切な会計処理問題、営業利益水増し。

日本経済新聞 5月25日づけ: 不適切な会計処理問題、インフラ、半導体、パソコンに加えてテレビ事業でも不適切と懸念される案件。

産経新聞 6月14日: 新たな不適切会計の事案が見つかる。粉飾や会社ぐるみの会計操作の疑惑も。

東洋経済オンライン 6月17日: 東芝は、今回の不適切会計問題を乗り越えられるのか。

ハフィントン・ポスト 6月11日: 証券取引等監視委員会(SESC)への内部通報で発覚したインフラや半導体分野の「不適切な会計処理」…

毎日新聞 6月21日: 不適切な会計処理をめぐって東芝が大きく揺れている。


ネットで情報あさりしていたら、ホリエモンのツイッターにあたった。
誰も粉飾ってワード使わないところが超笑える。日本のマスコミってマスゴミだって言われても仕方ねーな。

まだ不適切会計って言葉を使うところが最高にコミカルですわー。使ってて気持ち悪いって思わんのかね?

たしかにホリエモンには笑う資格がある。彼も証券取引法違反でパクられ、臭い飯を食ってきたからだ。

東芝の「不適切会計」というのが良くわからない。聞いている限りでは損失隠しを行い利益をかさ上げしたとのことだ。

それって、粉飾決算じゃないの。

「粉飾決算」の定義ってよくわからないけど、どう厳密に狭く解釈しても、粉飾決算そのものではないかと思うが。

本日の赤旗は、きわめて控えめな報道に終始している。

見出しは以下のとおり

東芝 不適切会計 倍に ―― 利益かさ上げ2千億円

1.過去に行われた営業利益のかさ上げ額が最大2千億円規模に膨らむ可能性がある。

2.6月には500億円としていたが、見直しで他部門にも問題が発見された。

3.過去5年間での連結営業利益は1兆500億円であり、その2割が水増しだったことになる。

中国株とギリシア問題で経済部はてんてこ舞いなのだろう。ただ重みはケタ違いだ。ギリシアは長い駆け引きの一つの段階にすぎない。中国株はもう少し状況を見極めないとなんとも言えない。

しかしこちらは「犯罪」だ。日本を代表する企業の、信じられないほど巨額の粉飾だ。(とは言っても、たかが国立競技場1個分だが)


とりあえず、赤旗が頼りにならないので、ネットで情報あさりする。

まずは「粉飾決算」の定義(はてなキーワード)。

不正に会計を操作することで、収支を偽装した虚偽の決算報告のこと。定められた法律に抵触した場合、刑事責任、民事責任が問われることも。過去の有名な事件として、オリンパス、ライブドア、山一證券など。

これではちょっと物足りない。

粉飾決算と法律責任

というそのものズバリの論文が見つかった。著者は輪田忠種さんという方。

東京オリンピック前後の高度成長の時代に、過剰な設備投資から粉飾決算を行い、ついには倒産という事態が相次いだ。

このため昭和46年に証券取引法が改正され、会計監査法人の賠償責任が法制化された。昭和49年には商法が改正され、監査役の地位強化が図られた。

賠償責任

商法および証券取引法では損害賠償が規定されているが、会社には無過失責任がある。担当取締役は(過剰配当額を)会社に弁済する責任がある。

商法・証券取引法上の刑事責任

商法489条では違法配当罪が規定され、5年以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられる。

違法配当が悪意を持って行われた場合は、特別背任罪が成立する。商法486条に基づき7年以下の懲役または50万円以下の罰金。

さらに株式・社債の募集に虚偽があったので、不実文書行使罪(懲役5年以下)という罪も生じる。証券取引法上も虚偽文書提出罪が成立する。

また、本来公務員に科せられる収賄罪・贈賄罪が適用されることもある。


続きは次の記事で


「新銀行東京」(通称 石原銀行)がついに消滅するようだ。
東京TYフィナンシャル・グループ(Tは東京都民銀行、Yは八千代銀行)に吸収合併されるらしい。
ちょっと経過をおさらいしておこう。
「新銀行東京」は2004年に設立された。石原慎太郎の鶴の一声で決められた。即断で、既存の「BNP銀行」を公有化する手法で発足した。まさに「石原銀行」と呼ばれる所以である。
鶴の一声というと、鶴には失礼かもしれない。「今回出資する1千億円が、やがて数兆の値になる」と記者会見で豪語したのだが、これはほとんど詐欺師の口上に近い。全国銀行協会には非加盟で、ATMも接続していない。東京都の公金収納取扱金融機関にも指定されていない。
東京都が1千億円を拠出して、05年に営業を開始した。しかし中小企業向け融資が相次いで回収不能となり、わずか3年で累積損失が1260億円に達し(経常収益は260億円)破綻した。当たり前である。自治体が融資をやれば議員や有力者が群がる。これが無担保・無保証となれば、食い物にされるのは火を見るより明らかだ。

この時点で東京都の出資分のうち855億円が毀損された。1年あたり300億円である。金融庁は、元行員の不正融資事件を調査、審査管理体制に関する業務改善命令を行なった。

ここで第二の怪が起きた。「東京発の金融不安を封じ込める」「清算したら巨額の損失が発生する」と称して、都は400億を追加出資した。さらに日銀は独占禁止法を無視して、1千億の低利融資による支援をおこなった。

その後はこれらの資金をもっぱら国債・証券買いにあて、その配当金によりバランスシートの改善を計った。リストラが進められ、大手町の本店をふくむすべての店舗が閉鎖された。従前の新宿出張所のみが残され本店となった。ATMは廃止され、本店にはセブン銀行のATMが設置された。
「間口3間」の小商いに縮小して、ほぼ営業を停止したのだから、それなりにバランスは取れるようになった。しかし収益はたかだか年間60億円である。何もしていないのと同じだ。
Shinginko-tokyo
                まさに間口三間の「本店」
都の出資金(追加もふくめ)はそのまま残され、現在は470億円となっている。これがさらに焦げ付けば毀損総額は1千億をこすのではないだろうか。
都民一人あたり1万円だ。かつて美濃部都政の頃、自民党は「無駄遣いだ、バラマキだ」と攻撃したが、これほどの無駄遣いは許すのか。

不思議なのだが、世間一般の常識にあまりにも背馳していないか。弁済責任はないのか。現に東京都に対し、石原慎太郎と旧経営陣に都の出資金分を返還させるよう求める訴訟も起こされている。当然である。
どうして財界・金融界をふくめて石原指弾の声が上がらないのか。批判はしても結局は他人の金だからウヤムヤにするのだろうか。
メディアはなぜ沈黙を守るのか。私もあまりテレビ見ていないのでわからないのだが、石原慎太郎が「申し訳ございません」と言って頭を下げる場面を見たことがない。
ウィキペディアによると、石原は「設立理念は正しかったが、経営がまずかった」としゃあしゃあと言い抜けているそうだ。
経過については東洋経済オンライン08年4月号の「やはり、おかしい新銀行東京 都民は徹底追及を」が詳しい。


大門議員が株で大儲けした富豪の番付を発表した。
これはアベノミクス開始以来の株高で儲けた額で、純資産による番付ではないが同じようなものだ。つまり超富裕層がひたすら富を増やしているのだ。日銀がばらまいているカネは、全部この連中のもとに吸い込まれているのだ。

sisanzouka
名前をイニシャルだけにしているところが「かわいい!」
単位は億円だ。
一位のソフトバンクのS氏は1兆円儲けた。ありえない話だがあるのだ。
儲けたのが1兆円で、その結果としての現在の株の時価総額は1兆6千億なのだ。
しかもこれは株だけの話で、他の資産は含まれていいないのだ。
しかしユニクロの社長は家族に資産を分散しているから、もっとすごい。時価総額の合計は2兆円を優に越す。
全体では保有株式の時価総額が100億円以上増えた株主は220人、その総額は11兆円を超えたそうだ。

それなりにリスクテイクして儲けた金だから、とやかく言いたくはないが、余りにも額が巨額に過ぎる。これだけ富の偏在が進んでいくと、経済のしかけがいずれ壊れてしまうのは目に見えている。

酒が入っているから話はとりとめない。

なんで内部留保が積み上がるのか。不安感がそうさせるのか、

私は「人間、貯めるのが好きだから」というのがあると思う。

人間というが、人間ばかりじゃない。犬だって下駄とかボールだとかなにか訳のわからないものを床下に集めるものだ。そういえば、猫はあまり貯めないかな。

私も子供の頃から考えると、ずいぶんの収集マニアだ。まずはお定まりの野球選手のブロマイド。集めたブロマイドをグループ分けしたりしたものだ。欲しければ人のものまでくすねた。それがバレてボコボコにされたこともある。

次が切手、これはさすがに金券だからそうは集まらない。親戚の土蔵に忍び込んで、昔の手紙から切手を剥がしたこともある。これもおやじからしこたま殴られた。

記念切手の販売日は郵便局の前に並んだ。どういうわけか買ってから10分位走り続けると、学校に間に合った。あれは「ご成婚記念」だったかな。たまに遅れることもあるから、先生からげんこつを頂戴することになるが、「知ってるぞ、あんたも切手マニアだろう」と腹の中でつぶやいていた。たしかにいつものげんこつよりちょっとソフトだった。

月と雁もあった。ビードロは2枚もあった。切手のカタログ本を見て、何時間も過ごした。子供ができたのでくれてやろうと思って、実家の本棚や机を引っ掻き回したが出てこない。時価何万円かなぁと思うが結局パァだ。

これは実に教訓的だ。やっているうちに、集めることが自己目的になるのだ。そこから先がない。

お金も収集対象としては実に魅力的だ。実際コインも集めたことがある。しかしこれは趣味としてはちょっと卑しいところがあり、あまりのめり込むところまでは行かなかった。

貯金通帳に貯まるお金が趣味という事にはならなかった。ただ収集家というのは基本的にはけちであるから、それを使うことには身を切られるような痛みを感じる。


それでもって、内部留保の話に戻るのだが、こういう貯めこみ根性は企業家精神とは著しく背馳するのである。

経営というのはゲームみたいなものだから、お金は回していかなければならないのである。もちろん倹約精神も大事だが、それは家政の問題だ。旺盛な企業精神とは別の世界である。

麻雀だってトランプだって、引いたら捨てなければならない。誰か一人が貯めこんだら、ゲームが成り立たなくなる.

人間社会というのも、ゲゼルシャフトリッヒに見れば、ゲームの世界みたいなもので、二つの掟があるのだ。ひとつはカードは回っていなければならなということであり、ひとつは一人勝ちになってはいけないということだ。

いまはこのゲームが回らなくなってきている。完全に回らなくなった時、ゲームは終了し、この世は暗転するのではないだろうか。

それを防ぐには、みんなが収集癖を自制しなければダメだろう。ましてや収集癖が高じて社会的理性を失うようになってはいけない。

そこを、もう一度考えてみる必要があるのではないだろうか。

本日の赤旗に掲載された、帯広での志位委員長の演説「TPP、農協つぶしストップ―この願いを日本共産党に」は、わざわざ一面を使って報道しただけあって、とても内容豊富である。
とくに注目されるのが、「農協つぶしの3点セット」という分析。
これは現在の全中つぶしが究極の目的ではなく、その次に3点セットが用意されているということだ。
3点セットとは、
1.全農つぶし(農業つぶし)
これまで農産物の共同販売を行ってきた全農を株式会社化する。これは例の “独禁法例外規定” 外しだ*。農業は仲買人の買い叩きにさらされることになる。
2.JAバンク・JA共済つぶし(農民つぶし)
現在単位農協が行っている金融事業と共済事業を分離する。農協から切り離されて生きていけるわけはないから、結局これらは潰れることになる。一般金融機関が農民に融資するわけはない。
3.准組合員外し(農村つぶし)
兼業農家を農協から排除し、農村での一般利用者を排除する。これで中小農協の息の根は止まり、辺縁部や高齢化農村は無人化する。
ということで、真の狙いは農協つぶしではなく、農業つぶし、農民つぶし、農村つぶしの3点セットだということだ。
ただこの辺はほとんどが初耳の話なので、少し知識の裏打ちが必要だ。

*2015年02月16日
中国の「三農問題」については,「農民は本当に貧しい、農村は本当に苦しい、農業は本当に危ない」(李昌平)との訴えを参照されたい。

紙智子さんが全中問題について語っている。
2つのねらいがある。一つはTPPを巡って「お上に楯突く奴は許さない」という逆上的発想だ。これを見た業界団体は震え上がるだろう。産業報国会の復活への第一歩だ.
もう一つは、以前からの、とりわけアメリカ筋からの要求だろうが、岩盤規制の打破だ。ずるい奴は安倍の感情激発を見て「待ってました」とばかりに話を持ちだしたのだろう。
まぁ傍から見ていてもひでぇなと思う
農協といえば保守の岩盤だった。自民党にとっては糟糠の妻のようなもので、どんな苦境にあっても最後は救ってくれた恩ある組織だ。霞ヶ関の方針を農村に広げる装置としても機能してきた。
しかしいまは見る影もなくやせ細ってしまった。それでも操を尽くしている。安倍首相にこそ反感を抱いても、自民党への忠誠は微塵も揺らいでいない。
紙さんは、長いこと農政畑をやってきた人だから、農民への思いが農協への態度に出てくるのだろうが、正直、農協が自民党の集票マシーンとして政治の革新を妨げてきたことも間違いない。
そういう農協を切って捨てようというのだ。櫻井よしこは農協を「寄生虫」と罵倒している。しかもその後ろには、切って捨てた死体を切り刻んで食ってしまおうというハイエナまがいの連中がうごめいている。

独禁法の乱用ではないか
ただ、一歩退いたところから紙さんの意見を聞いていると、国民全体に関わらざるをえない最大の問題は、独占禁止法の恣意的適用にあるのではないかという気がする。
人を殺すのはいけないが、違法な手段で殺すのは、もっといけない。それは経済民主主義という国の制度の根幹にかかわる。
独占禁止法そのものの是非について言っているのではない。これまでさんざん政府が風穴を開けてきたことについて言っているのでもない。
いまある法律は法の目的を踏まえて厳密に運用しなければならないのである。
農協がいかなる組織なのかもここでは問わない。そもそも協同組合がどのような理念を持ち、どのような法的枠組みのなかで活動しているのかも、ここでは問わない。
ただ現在の農協と全中の活動が経営体的な側面を持っていることは間違いない。そこにしほって、一経営体として全中を見てみよう。
農協は経済強者なのか
はたしてそれは独占禁止法の対象となるのか。問題は資産の額とかシェアーとかではない。そこに独占禁止法で禁止されているような不正があるかどうかだ。
たしかに農協は政治的には時の権力となあなあの関係を保つなかで、政治的には影響力を発揮してきた。しかし独占大資本のような経済的な強者とはいえない。
そしてもうひとつは、現在すでに合法化されている持株会社の活動の規制枠に比べ、違法性が高いか(売買に強制が伴っているか、不当に利益率が高いか)どうかだ。ここが法に照らしあわして厳密に適用されないと、恣意的適用というしかなくなる。
ことは農協にとどまらない
当然生協もかかわってくる。独禁法適用が共同購入を狙い撃ちしているからだ
日刊ゲンダイには次のような意見が掲載されている。
独禁法は消費者保護の観点から、不当な取引制限や不公正な取引を禁じた法律ですが、相互扶助のための『組合』は 除外しています。農協も経済弱者の農家を守るために農協法で規定されている。仮に農協に独禁法が適用されれば、農薬や肥料、農機具など、共同購入している 資材について価格交渉権を失う。経済事業は成り立たなくなり、農協は壊滅的な影響を受けるでしょう
今のところ、独禁法の適用(適用除外の廃止)はそれ自体が目的ではなく、脅しの手段として使われている。ヤクザの脅しで「いうこと聞かないと、可愛い娘が泣きを見ることになるぜ」というセリフである。
こういう脅しがまかり通ることになれば、生協や民医連など共同購入を進める自主的組織は、すべて脅しの対象になる。


推進派の言い分のなかで、気になる点が一つあった。
既得権益に守られた「岩盤規制」の見直しは、成長戦略の柱となる
金融情報サイト > 金融経済用語集 > 日本経済用語集 > 岩盤規制の項にある。グーグルで二番目に出てくるサイトである。
前の記事でも書いたように、規制の変更はシステムの実態、あるいは将来予測に合わないところを調整し、システムが力を発揮できるようにすることに意味がある。これをしたから成長できるという仕掛けのものではない。
システムの駆動・展開が第一義の命題であり、規制方法の調整はそれに合わせて行うものである。
むかし病院にOAを導入するとき、管理部のメンバーはみんなこういったものだ。
「それでどのくらいスピードアップするの」、「どのくらい労力の節約になるの」、「どのくらい経営効果があるの」
コンピュータ会社の人はそのたびにこう答えたものだ。
「みなさんが期待するほどにスピードアップはしませんし、労力の節約にもなりませんし、コスト改善にもつながりません」
「これは将来のための投資なんです」
それを成長戦略の柱にしてはいけない。それは成長する時のためのものなのだ。
揚げ足取りをするわけではないが、かなりベーシックな問題だ。こういう連中の言うことはまともに聞かないほうがいい。

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