はしたないアイヌだけれど日の本に生れ合せた幸福を知る滅び行くアイヌの為に起つアイヌ違星北斗の瞳輝く我はたゞアイヌであると自覚して正しき道を踏めばよいのだ
深々と更け行く夜半は我はしもウタリー思いて泣いてありけり
ガッチャキの薬屋さんのホヤホヤだ吠えて呉れるな黒はよい犬「ガッチャキの薬如何」と門に立てばせゝら笑って断られたり
よく云えば世渡り上手になって来た悪くは云えぬ俺の悲しさ空腹を抱えて雪の峠越す違星北斗を哀れと思う
「今頃は北斗は何処に居るだろう」噂して居る人もあろうに
めっきりと寒くなってもシャツはない薄着の俺は又も風邪ひく炭もなく石油さえなく米もなくなって了ったが仕事とてない
感情と理性といつも喧嘩して可笑しい様な俺の心だ支那蕎麦の立食をした東京の去年の今頃楽しかったね無くなったインクの瓶に水入れて使って居るよ少し淡いが
白老のアイヌはまたも見せ物に博覧会へ行った 咄! 咄!!見せ物に出る様なアイヌ 彼等こそ亡びるものの名によりて死ね子供等にからかわれては泣いて居るアイヌ乞食に顔をそむける病よし悲しみ苦しみそれもよしいっそ死んだがよしとも思う