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AALA関連記事は「aala_newsの編集日記」http://blog.livedoor.jp/aala_news/ に移りました(6Nov.2023) 中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 「ラテンアメリカの政治」(http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ )がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

カテゴリ: 33 気候・エネルギー・環境(原発)

17日付の共産党の提案

1.放射能で海を汚さない
汚染水を希釈して海に流せというのは、決して国内外から理解されない
2.非常事態の認識
現状把握、危険性に関する情報の遅滞なき公開、国際協力
3.人的・物的資源の集中
再稼働・原発輸出は問題外
5.東電の破綻処理
国が事故収束と賠償・除染に全面的責任を持つ

4点目については、破産処理自体は当然だが、緊急かどうかは分からない。国が全面責任を負うことについてはそのとおり。


数字というのはどんどん変わっていくものなので、適宜修正していかなければならない。
16日付の赤旗8面より

1.4月に地下貯水槽からの汚染水漏れが明らかになる。6月に建屋海側の地下水が汚染されていることが明らかになる。7月汚染水の海水内流出が明らかになる。

2.8月に汚染水貯蔵タンクからの漏洩が多発していることが明らかになる。漏洩タンク近くの地下水で汚染が明らかになる。

3.現在の汚染水の量は、地下貯水槽で9万トン、汚染水貯蔵タンクで34万トン。

4.汚染水は、現在なお一日あたり400トン増えている。これはメルトダウンした核燃料を隔離できるまで続く。

5.現在貯蔵タンクは80万トンまで増設する計画だが、これは3年しか持たない。(80万-34万)÷400÷365日=3.15









これは決定的な発言だ。
当事者(技術トップ)が、首相の全世界に向けての発言を「全面否定」したに等しい。
世論調査でも、日本人の半分以上が「安倍首相は嘘をついた」と認識しているとの結果が出ている。
それでも安倍首相を嘘つきと非難する声がサッパリ聞こえてこないのも不思議な話だが、これでは「日本人は目的のためには嘘をつくことに平気だ」と思われても仕方ない。

慰安婦問題がまじめに受け止められないことも含めて、当節、かなり日本人であることが恥ずかしくなる。

ところで東電本社の対応が面白い。

1.安倍首相の「コントロール発言」は正しい。なぜなら放射性物質は発電所の港湾内にとどまっているからだ。

2.しかし、タンクからの漏洩・汚染水の港湾内流出はコントロール出来ていない。山下フェローの発言はこのことを指している。

と、なんとかギリギリ安倍首相の顔を立てた。

しかし、1.そのものもきわめて怪しい。もしこれも嘘だということになると、恥の上塗りになる。刺を抜こうとして、かえって深く差し込んでしまった可能性がある。

「ネイチャー」誌といえば、泣く子も黙る自然科学分野の最高権威だ。

ノーベル賞の登竜門とも言われる。

その「ネーチャー」が、このところ福島原発への関与を強めている。

8月13日号ではFukushima: 'Ecolab' branding insensitive

8月29日号ではFukushima leaks 18 times worse than first thought

そして9月3日号では Nuclear error

とまで書いた。副題は

Japan should bring in international help to study and mitigate the Fukushima crisis.

となっている。福島の「危機」と、それをもたらした「エラー」は科学界のお墨付きをもらったことになる。その直後に、安倍首相の発言が飛び出したわけだ。


@yoko71さんによる日本語訳が読める
http://yokofurukawa.tumblr.com/post/60466011377/9-5-nuclear-error

1.原子力事故から2年半、TEPCO(東電)は、三機の破壊された原子炉での核燃料の貯蔵タンクで起こる問題の原因とその深刻さを、認識できていない

2.今回の漏洩で、この貯蔵システムは、管理の行き届いていない時限爆弾のようなものだ、ということがわかってきた。

3.日本政府の今までの対応や情報公開(のお粗末さ)の前例から考えると、日本政府がこの事態の収拾を、TEPCOよりも上手くやっていけるのか、疑問として残る。

4.漏洩しているタンクの周囲の放射線量は、当初の報告よりも18倍高かった。単なる「異常事態」として始まったはずの漏洩が、結果的には本物の危機となってしまった。

5.日本は、ここで海外の専門家に助けを求めるべきだ。世界中からの研究者がデータを集め、解析し、シェアできるように、サポート体制をととのえるべきだ。

少なくとも福島では、まだ遅くはありません。

韓国の中央日報日本語版が、抑制された、しかし真相をしっかりと衝いた良い記事を掲載している。  (2013年09月10日)


安倍晋三首相の“放射能汚染水完全統制”発言はオリンピックの東京招致に決定的な役割をはたした。

しかし一部の報道機関と専門家からは「果たしてそう断 定できる状況か」という疑問の声が出ている。

毎日新聞は「こうした無責任な発言をしてもよいのか」「閉炉までこれから数十年かかるはずだが、安倍首相の発言には違和 感を感じる」という福島原発勤労者の反応を紹介している。

共同通信も、京都大学の小出裕章氏の「何を根拠にコントロールされているというのか分からない。あきれる」という発言を紹介した。

最も大きな問題は「汚染水は0.3平方キロメートルの港湾内部で完全に遮断され ている」という発言だ。

1.8月8日 東京大学と日本海上技術安全研究所は「福島原発20キロ内の海底で40カ所にのぼるセシウム ホットスポットが発見された」と発表した。

2.8月末 東京電力は汚染水タンクから300トンの高濃度汚染水が流出したと明らかにした。汚染水は0.3平方キロメートルの広さの港湾ではなく、太平洋と直結する排水口を通じて外洋に流れた。
日本国内のすべての主要新聞もこれを1面に大々的に報じた。

法政大の水島宏氏は「港湾外20キロのアイナメから、基準値の258倍のセシウムが検出されている。それでも笑顔を浮かべて『私が安全を保証する』と断言した安倍首相の厚顔はなかなかのものだ」と述べている。

以下は中央日報独自の鋭い視点。

  安倍首相が8日、IOC委員の質問を受けて発言した内容も注目される。安倍首相は「新聞のヘッドラインではなく“事実”を見てほしい」と述べた。日本メディアの報道は事実でない、という論調だった。

自国の首相によって“国際的な恥”をかかされた日本メディアが今後どのような“真実” を暴き出すかも注目される。

メディアの皆さん、注目されていますよ!

安倍首相のディナー攻勢がこれほど霊験あらたかなものとは知らなかった。
グーグル検索したら、12時の時点で国内大手メディアの報道はこれだけだ。

1.安倍首相:汚染水「完全にブロック」発言、東電と食い違い
毎日新聞 - 1 日前

2.原発の汚染水 “完全ブロック”発言の真相
テレビ東京 - 4 時間前


テレビ東京のニュースはビデオで見ることができる。いい内容だ。

朝日、読売、日経、産経 一切報道していない。

ウォールストリート・ジャーナルとニューズウィークはしっかりと報道している。

要は、安倍首相と晩飯を食ったか食わなかったかが勝負の分かれ目だ。


これは相当深刻な問題だ。

本日の赤旗二面の囲み記事。菅官房長官の10日の記者会見

安倍首相の「汚染水は港湾内0.3キロの範囲で完全にブロックされている」発言について質問された。

菅官房長官は「水は当然、行き来している」と答えた。どことどこを? 当然0.3キロ以遠の外洋と汚染水だ。

これは単純な三段論法だ。

A 港湾内外の水の放射性物質濃度は国際基準を下回っている。(菅長官の言明)

B 港湾内に流れ出た汚染水は、ストロンチウムで10兆ベクレル、セシウムで20兆ベクレルにのぼる。(東電発表)

C ゆえに流出した汚染水の殆どは港湾外に拡散したと考えられる。

これで「完全にブロックされている」というのが嘘だということがはっきりした。

もう一つ、完全にブロックされているというのは、誰かが何らかの方法で完全にブロックしている からこそブロックされているということだろうが、誰がどんな方法でブロックしているのかが分らない。

菅長官の話だと「水は当然、行き来している」とうことだから、実のところ何もブロックしていないのではないか。

記者会見では東電の張った「水中カーテン」(シルトフェンス)完全ブロックの手段だと示唆されているようだが、その有効性の評価はさておくとしても、すくなくとも原理的には「完全なブロッケード」とは言えない。

言ってみれば、網戸で雨風を遮るようなものだ。

もし安倍首相が水中カーテンをさして「完全ブロッケード」と言っているのなら、怒りを通り越して、「完全な物笑い」の種だ。安倍首相は「お笑い」も輸出しようとしているのだろうか。

安倍首相の「コントロール発言」は憶えておいた方がいい

9月7日に安倍首相が IOC総会で行った原発発言は、思わず耳を疑うものだった。

お互い健忘症の気味があるので、しっかりメモしておいたほうが良い。この言葉にウソがあったら、我々はオリンピックを返上しなければならなくなる。

1.状況はコントロールされている。

2.健康問題については、今も将来もまったく問題ない。

3.すでに、わたしが責任をもって抜本的解決のプログラムを決定した。

とし、「コントロール」の技術的内容として、

汚染水は港湾内0.3平方キロの範囲内で完全にブロックされている

と断言した。


この3つとも、控えめに見て不正確、きつく言えば嘘っぱちだ。

1.水素爆発やメルトダウンの可能性は今のところ低いが、ゼロとはいえない。汚染水はまったくコントロールされていない。

2.A 健康問題は、住民が避難生活を続ける限り、今のところ深刻な問題ではない。しかし内部被曝による遅発性障害の危険は除去されたとはいえない。

B 事故処理に当たる作業員の被曝の可能性は依然高いままである。

C 汚染地域に将来とも人間が住む可能性が否定されている。

3.たしかに政府は責任を持つと言明したが、その内容は明らかではない

A これまで東電任せにしてきたのが、やっと政府が出てきたに過ぎず、それは事態の深刻さの表現でしかない。

とくに最後のIOC委員の質問に対する答え「0.3平方キロ」の数字は、かぎりなく虚偽に近い。一国の首相としてこのような数字を示すのは致命的となる可能性がある。

実際に汚染水はブロックはされていないし、そもそもブロックしていない。完全もヘチマもない。

外国のメディアは甘くはない。ディナーにお呼ばれもしていない。

汚染水が0.3キロを越えて確認されれば、「完全なブロック」が事実でないことがはっきりすれば(いずれはっきりするだろうが)、安倍首相と日本政府は世界中から嘘つき呼ばわりされることになる。東京五輪は「嘘つき五輪」と呼ばれるようになる。

共産党は書記局長談話を発表している。

国際的な場で述べた以上、それは国際公約になる。

“問題ない”というなら、その根拠を国際的にも、国民と国会の前にも明らかにして、責任を果たす必要がある。

たしかにそれが明らかにされるなら、オリンピックが決まったことよりもはるかに嬉しいニュースだ。


そのアメリカの原発賠償だが、3日付の「ビジネス・ジャーナル」に続報が出た。
事態はますます深刻化している。

6月の時点でSCEの親会社は、三菱重工に1億3900万ドルを請求している。さらに7月18日、SCEのロン・リッチンガー社長は「全面的な損害賠償 を求める」という声明を出した。

「全面的な損害賠償」の中身だが、米メディアによると、

原発の停止に伴う代替燃料費や、発電できないままになっている原発の維持費用などは数十億ドルに上る。
さらに廃炉に伴う経費の賠償を求めるとすると、天文学的な数字になる。
日本の原子力プラントメーカーの技術者は「請求額がどこまで膨らむか想像もつかない」と語る。
廃炉の経費の中には不要となったウラン燃料のコストも含まれることになりそうだ。

と、とんでもない話。
そもそも三菱重工は原子炉を作ったわけではない。蒸気発生器に関わっただけだ。
アメリカは日本をなめている。どんな無理難題をふっかけても、かならずイエスと答えてきたからだ。

原発の売り込みは、とりあえずこの紛争の行く末を見てからにしてはどうだろう、安倍さん。

それでも原子力の海外進出を目指す三菱重工

2012年度の三菱重工の原子力関係受注額は1700億円。
前年度の2500億円から800億円も減少した。
それでもめげることなく、今年4月には中長期で受注額5千億円を目指す計画を立てた。
狂気の沙汰という他ない。

国内での増収見込みは限りなくゼロに近い。とすれば海外進出しかないということになるが、正直、海外進出のリスクははるかに高い。はたしてリスクを肩代わりしてくれる保険会社があるだろうか。

アメリカでの賠償騒ぎのようなことが容易に予想される。しかしさすがにそこまで日本政府におねだりする訳にはいかない。

安倍首相は原発売り込みにやっきのようだが、はたして三菱の「5千億円受注計画」を知っているのだろうか。知っていれば、その無謀さに恐怖を覚えるはずだ。

売却先のほとんどは途上国だ。メジャーアクシデントの可能性は高い。人材、周辺のインフラは脆弱であり、資材の欠乏、停電など日常茶飯事だ。軽微な事故でも重大化する危険がある。

これらの国は日本と日本の首相を信用するから導入することになる。そうでなければ韓国製のほうがはるかに安い。

事故発生時、彼らは当然のように、売り込みの先頭に立った日本政府に賠償をもとめるだろう。それをいいコトに三菱重工は頬っかぶりするだろう。

途方に暮れる日本政府関係者の顔が目に浮かぶようだ。

それにしても、東電は東芝とGEに損害賠償をもとめないのだろうか?

政府はみずから汚染水対策に乗り出すのなら、その費用負担をもとめないのだろうか?

汚染水発覚の直後に「柏崎原発再開を急げ」と呼号した同友会の長谷川代表だが、直後に福島原発の見学に入った彼がマイクロバスのなかで示した表情は、テレビの画面を通してだが、「さすがに参った」というふうに見えた。
それから1ヶ月を置いて本日の記者会見になるのだが、多少は変化が現れたようだ。こちらの欲目かも知れないが…

経済同友会の長谷川閑史代表幹事は汚染水漏れ対策での国費投入について「この段階に至れば当然」と述べた。
その上で「原発廃炉や除染についても国の全面関与をもう一度真剣に検討する時期に来ている」とし、政府がさらに一歩踏み込んで原発対策に乗り出すべき だとの認識を示した。
一連の汚染水問題に関し長谷川氏は「こういう状況が起きたことは極めて遺憾。監視や(漏水の)早期発見など、より慎重にしていただくべきではなかったか」と東電の対応を批判した。


まぁずいぶん控えめな表現ではあるが、7月初めの記者会見と比べれば同じ人とは思えぬほどの変化である。

東京電力が柏崎刈羽原発の再稼働に向けた安全審査を申請することについは、「至極当然だ。選択の余地はない」と理解を示した。

そして再稼働を審査する原子力規制委員会に対し「粛々と迅速に調査をして回答してほし い」と要望した。

これを聞いたJR東海や東レの社長さん方はどう思うだろうか。「裏切り者め」と舌打ちしているかも知れない。

6月10日の記事で、原子炉事故を起こしたアメリカの原発会社が三菱重工に賠償請求したと書いたが、話はさらに大きくなっているようだ。

会社側は契約の上限1億4千万ドルを超え、損害全額の責任も負うべきだと主張しているそうだ。その理由は「欠陥があまりにも基本的かつ広範な場合、責任上限は無効」というもの。

これでは原発会社は「善意の第三者」みたいな言い方だ。アメリカの会社はつくづく面の皮が厚く出来ているようだ。「反省だけなら猿にもできる」というが、連中には通じそうもない。

しかしそんなことを言っていても始まらない。振りかかる火の粉は払わなければならない。

ネットでちょっと見ただけでも、この請求に関する大量の記事が発信されている。しばらく大仕事はやりたくないので、突っ込むのはご遠慮させていただく。

それはそれとして、この問題は福島にも飛び火する可能性がある。

共産党の吉井議員は、もしこれが認められるなら、福島の原子炉を製造したGEの製造責任も問われることになると指摘している。

日本政府は知らんぷりするかもしれないが、これをアメリカの裁判所に持ち込めばどうなるか、なかなか面白い話だ。

三菱重工さん、対抗訴訟やってみたらどうだろう。福島は東芝だからちょうどいいんじゃない?

汚染水流出に関する事実

こういう報道は、ぱっと出てぱっと消える。

しっかり核心的事実を抑えておかないと、後からの情報に流されてしまう。

覚書的に事実を羅列しておく。

最初に結論から言っておくと、今回の事象はこれまでとは性質が違う、本質的な問題をはらんでいる。

一つは根本的な対策を立てない限り解決できない問題だからだ。

もう一つは、これはもろに国際問題になるからだ。太平洋を隔てたアメリカが直接絡んでくる。アメリカ人は日本国民のように優しくはない。メディアは日本のように従順ではない。

ここを周知徹底させる必要がある。


最初は6月19日、東電の発表だ。

1 タービン建屋東側の海岸に掘削された観測用井戸の地下水から、高濃度の放射能が検出された。

2.検出された放射能レベルは、1リットルあたりで、トリチウム(三重水素)が50万ベクレル、ストロンチウム90が1000ベクレルだった。

3.「海洋への流出はない」とされた。

つまり、地下に汚染が拡散している。しかし海には出ていない、ということである。

この第3点目、「海には出ていない」という判断が、その後間違っていたことが証明される。むかしの「メルトダウンはしていない」というセリフが思い出される。

それが6月24日の記者会見だ。

1.港湾で採取された海水から、1リットルあたり1100ベクレルのトリチウムが検出された。

2.「汚染水の海洋流出」かどうかは、「判断する段階にはない」ということで保留された。

これは発表者が、「判断する地位にはないと判断した」と読むべきであろう。

それから、実に1ヶ月もの時間が経った。

そして、ようやく認めた。

それが7月22日の記者会見だ。

1.放射性物質で汚染された地下水が海に流出していると判断される。

2.判断の根拠は、地下水の水位が海岸の潮位に合わせて変動していることが確認されたためである。

この第2点目については説明が必要だろう。

2011年3月の事故直後に大量の放射性物質が海水中に流出した。したがって海水中の放射能が高くても、その時のものなのか、その後漏れ続けているかは判断できない。

地下水の水位と海岸の潮位の関係をある程度の期間、調べてみて、地下水と海がつながっているかどうかが分かる。

地下水の水位を調査し始めたのは今年1月からであった。

ということで、要するに東電は隠していたのではなく、分からなかったのだという言い訳なのだ。

ということで、第一幕が終わる。

しかし、汚染水がどこからどうやって流出したのかが問題だ。

ということで、

それが、7月29日の記者会見だ。

1.建屋と海岸のあいだで地下水の水位が上昇している。

2.遮水壁を乗り越えて汚染水が流出している可能性を「否定出来ない」。

これも少し説明が必要だ。遮水壁というのは地中に水ガラスを打ち込んで作った壁で、海岸線に沿って作られている。おそらく遮水機能は完璧だろうと思われる。

ただ、どういうわけか、壁の高さは地下1.8メートルなのだそうだ。

遮水機能が発揮されるに従い、行き場を失った地下水は推移を上げ始めた。そうするとダムに溜まった水が堰堤を越えるように、溢れてくる可能性がある。

その可能性を「否定出来ない」ということになると、話は深刻だ。

8月2日に規制委員会が動いた。

原子力規制委員会の汚染対策検討会は、地下水の組み上げを急げと、東電にもとめた。

ただねぇ。溢れてくる水を吸い取れというのでは、大変だと思う。

地下水の出処は二つある。

一つは天然のもので山の方から1日1千トン流れてくる。もう一つは原子炉建屋から流れてくる冷却水で、こちらが1日400トンだ。

吸い出しポンプは、1日2千トンくらいの処理能力がなければならない。吸いだしたとしてどこに保管するのか。1400x365=約50万トンだ。

私なら、三島の東レの工場と名古屋のJR東海本社に持って行く。少なくとも社長さんは歓迎してくれるだろう。「少量の放射能は体に良い」そうだから。

不破さんというのはすごい人で、原発事故からわずか3ヶ月後に、今日の事態を見通している。

11万トンたまった汚染水は、10万トンの大きな集中処理施設を作って、大部分移したはずなんですよ。しかし移しても減らないんですね。ということはそれが地下水とつながってもっと巨大な汚染水となっているのではないかと考えられるんです。
…放射能を原子炉の中に閉じ込められないで、水が担い手になってどんどん外に出つつあるというのが現状なのですね。


今が非常事態の瀬戸際だ 2011.6.29 記事

以前にも原発の閉鎖の記事を書いたことがあったが、今度はかなりの大手だ。

米電力大手のデューク・エナジー社が、フロリダでの原発新設計画を断念すると発表した。

この計画は16年からの稼働を目指して08年に申請されたもの。
当時、中東産原油への依存脱却や地球温暖化対策の一環として、政府が原発を推進していた。

しかし、最近はLNGの火発とのコスト競争に敗れ、既存の原発も稼働停止に追い込まれており、新規の原発も展望がなくなっている。

ということだが、心配なのは核兵器用のプルトニウムの確保だ。
日本が頼りにされる時代になっているのかもしれない。

スイスの首都はベルンです。私はチューリッヒだと思っていた。
その郊外にミューレベルクという原発がある。その排水は、厳しい基準をクリアした後、川に流されるが、その行く先がビール湖という湖。
https://livedoor.blogimg.jp/shosuzki/imgs/3/d/3da9ac7c.jpg

その湖底の堆積物を調べたらセシウム137が検出されたという話だ。
検出されたというのが、そもそも重大な問題だが、どうも原発側がこれを隠していた疑いが浮上してきた。

なぜかというと、この原発、72年の運転開始というロートル。
40年目の去年、連邦行政裁判所はNGOの訴えを受け運用停止を命じた。ところが今年3月、最高裁判所は行政裁の判断を覆し、稼働継続を認めた。

こういうドタバタのあいだ、原発側が垂れ流しを隠していたとすれば、これは一般的な隠蔽ではなく、司法を欺く行為と考えられる。

これはただでは済まない話だ。

原発事故を尻目に海外輸出に血道を上げる原発族に、このニュースは衝撃だろう。
カリフォルニア州サンディエゴ近郊の原発で“微量の放射性物質漏れ”事故が発生した。
運転中の蒸気発生器の配管の一部が損傷したもの。
発電会社は補修費などを考慮すると再稼働は経済的ではないと判断した。
廃炉に伴う損失は税引き前で約500億円とされる。
ここからが問題だ。
発電会社は、事故の原因は蒸気発生器の不良だとし、製造元の三菱重工に損害賠償を求めると発表した。

どうするか、三菱重工。もし払えば、これはグローバル・スタンダードとなる。

これが国内なら、政府におんぶにだっこで何とかなるかもしれないが、海外相手ではさすがにそうはいかないだろう。
おいそれと受けてくれるような保険会社があるとも思えない。
この際、原発輸出はあきらめたほうが良いと思うが…


さすがは産経新聞。はやくも規制委批判を開始した。

とは言っても、この記事、でっち上げるのに四苦八苦した様子が、ありありと見て取れる。

アップの時間が夜の10時半、最終版ぎりぎりの滑り込みだ。

内部の意思統一もでいないまま、「原子力取材班」なるものの名義で発表している。

他の記事は規制委の発表をほぼそのまま受け入れて報道しているだけに、異色ぶりが際立つ。

さらに見出しが羊頭を掲げて狗肉を売る類のものだ。「国際社会から批判も」という見出しだが、どこの国がどう批判したという事実がまったく記載されていない。

わずかに「国際社会から批判されかねない」、「国際社会から懸念を招く可能性がある」というくだりがあるのみだ。

ただ、問わず語りに大事なことを指摘している。

「日本は国内外で核分裂性プルトニウムを約26.5トン保有している。計算上、約4400発分の核兵器が造れる」

これまで「核兵器は作れない」と主張してきたことを思わず忘れてしまったようだ。それにしてもアメリカは喉から手が出るほど欲しいだろう。


文部科学省の原子力教育情報提供サイト「あとみん」は、

核兵器用と原子炉で生まれたプルトニウムには同位体の組成に違いがあります。原子力発電所で生まれたプルトニウムは原子爆弾に利用されることはありません。

と書いている。(手持ちのプルトニウムで原爆は作れる)


赤旗が、規制委での委員の発言を生々しく紹介している。

高速増殖炉「もんじゅ」の点検漏れ問題に対する処分が検討された15日の原子力規制員会では、日本原子力研究開発機構のずさんな対応に、委員から次々と非難の声が上がりました。

島崎委員長代理は「経営層と現場のコミュニケーション不足と言っていたのに、実際になされていない。作文をしてその場しのぎをしているとしか言いようがない」と怒りをあらわにし、「こういう組織の存続を許している事自体が問題だ」と切り捨てました。

中村委員も、「何ヶ月か前まで、もんじゅは専門家集団が運営していると信じていた。対応を見ていると、真剣に受け止めていると思えない」と批判。「専門家として恥ずべき行為。プライドにかけてもう一度原点に戻って反省してほしい」と述べました。

田中委員長は、原子力機構が過去にさまざまなトラブルで6回も「根本原因分析」を行ったことに触れ、「結局根本分析になっていない」と体質を問題視。
「工程優先ではなく、安全優先、安全文化を大事にすることを実現しないといけない」と述べました。

これを読んだだけでも、相当ひどいことがわかる。

きのう「もんじゅはアメリカのもの」と書いたばかりなのに、今朝の赤旗一面トップは

「もんじゅ再開中止指示  “違法状態是正せず” 規制委」

だ。

実は昨日テレビで、「敦賀原発、廃炉に」という報道を聞いて、「あぁ、ついに」と思ったばかりだったのだが、こちらのほうがはるかにビッグニュースなのではないか。さすがは赤旗だ、と思った。

ただし、敦賀原発は直接の判断は「活断層」という認定であり、それは廃炉に結びついて行くということで、方向性は明確なのだが、もんじゅの方はそうではない。

現時点での、再開に向けた準備は停止するということであり、再開が否定されたわけではない。今後、原子力機構側の巻き返しも十分予想される。


ということで、以下、記事の抜粋。
原子力規制委員会は、もんじゅの運転再開に向けた「準備の中止指示を命令する」ことを決めました。
①12年11月、もんじゅで、1万件に及ぶ点検期間の超過が発覚しました。
②このため、規制委員会が立入検査を行いました。
③その結果、「点検業務が担当者任せになっていて、現場で不適切な処理による点検の先送りが繰り返されていた」ことが判明しました。
④規制委員会は検査の結果に基づき、改善の指示を発しました。
⑤今回の再検査は改善の状況を点検するためのものでした。

その結果、今回の規制委員会の判断に至った。その判断とは、
「これまでの規制委の指示に対する対応は不十分であり」、「法令違反状態は改善されていない」との判断です。
決定後の記者会見で、田中委員長は「何度も繰り返されており、事態はかなり深刻だ」と述べました。

ついでその要因についての分析。
規制委は原子力機構の経営層、幹部に問題があると指摘する。
「(トップは)安全を最優先とする方針を明確に示していない」、「点検よりも試験工程を優先する考えを有している」と、厳しく批判。
このために組織全体に「安全文化の劣化が認められる」と指摘する。

そして、規制委の当面の対応として、
①原子力機構に対し、「機器の点検」の状況を管理できるシステムの構築を指示。
②原子力機構の対応を逐次報告させる。
③これらの進行状況を最終的に規制委で確認する。
④運転再開に向けた活動は、規制委の最終確認までは禁止する。

④を正確に言うと、
「規制委で確認するまでのあいだ、運転再開に向けた活動は行わないよう命じる」ということになる。

ただこの決定には、
「命令に先立ち、原子力機構には、文章による弁明の機会が与えられる」とされている。
1兆円をドブに捨てることになるかも知れないこの判断、アメリカの虎の尾を踏むことになるかもしれないこの判断、どうなることやら。


私の編集した脱原発年表を見てもらうとよくわかるのだが、アメリカのトップが闇の底から姿を現したところが一瞬あった。それが去年の9月のことである。
政府が「2030年代に原発稼働ゼロ」の方針を閣議決定しようとしたとき、エネルギー省のポネマン副長官が「このような措置をとれば意図せざる影響もありうる」と述べたのだ。これがやくざ並の脅迫でなくてなんだろうか。そして、これこそアメリカ支配層が公然と顔を出した「露頭」であった。
以後、半月のあいだに情勢はころりと変わり、閣議決定は断念されることとなった。方針変更にアメリカの圧力が働いたことは、米倉経団連会長の「日米同盟関係の維持も重要である」という発言に示されている。

と、ここまでが前書き。

それで、そこまでヤバい橋をわたってまで、どうして原発再稼働に固執するのか、という背景の説明が必要だ。

赤旗では概略以下のように説明している

1.日本の原発は米核兵器の生命線だ
アメリカは79年のスリーマイル島原発事故のあと、原発の新規建設ができない状況が続いている。今後老朽化した原発が廃炉になっていけば、アメリカはプルトニウムを生産できない国になってしまう。その際、日本の原発の製造するプルトニウムはアメリカ核戦略の生命線となる。

2.日本の原発技術は核兵器開発に不可欠だ
原発が、35年以上も前のプラントだとすれば、それに伴う技術も35年前から進んでいないことになる。その間にアメリカの核利用技術は致命的に立ち遅れており、日本の技術なしには核戦略は構築し得ない。

3.高純度プルトニウムが必要だ
原発からプルトニウムができても、そのままでは核兵器には使用しにくい(使えないことはない、ということは「手持ちのプルトニウムで原爆は作れる」で既述
高速増殖炉を使えば、きわめて純度の高いプルトニウムが獲得できる。
このためにアメリカは国際協力計画(GNEP)を打ち出し、もんじゅを日本に押し付けた。押し付けられた開発リスクが累計で約1兆円ということになる。
それでも建設をやめられないし、やめられない理由を語ることもできないのだ。
なぜなら、高速増殖炉「もんじゅ」はアメリカのものだからだ。

記事そのものは、ちょっと散漫なところがあるが、ファクツを整理すれば上記のようになる。


川内村の遠藤村長の国会での証言(共産党高橋議員の質問に答えたもの)

代替エネルギーがなければ、再稼働反対と言ってはいけないのか

というもの。
まことに論理を超えた、感情の噴出である。

「とにかく原発やめよう」というところからどうして出発しないんだ、という怒りでもある。

そして、再稼働論者の脳天への一撃でもある。

福島県は県内の原発をなくすと宣言している。人間の気持ちはそうなるものだ。
ならないのは想像力が足りないからだ。事実を見ようとしないし、そのことについて自分の前頭葉を使って考えようとしないからだ。

脱原発をめぐる力関係とその変化

脱原発をめぐる力関係を知りたくて年表を作ってみた。

脱原発派は、とりあえずはひとつにまとまっている。それは原発維持派が力で押さえつけようとする姿勢を変えていないからだ。そういう点では未だにがっぷり四つの状況にある。

原発維持派の構造

原発維持派は、階層を成している。

おそらく一番基層をなすのはアメリカの軍産複合体である。歴史的に見れば日本に原発を導入し技術を供与したのはアメリカであり、なかんづく軍産複合体である。

それは今でも原発維持派の最大の動因となっている。これがこの二年間の中のいくつかの場面で露頭している。

財界は、この2年間維持派の主役を務めてきた。経団連会長みずからが維持派の最大の旗振り役となってきた。彼らを駆り立てるのはビジネスへの衝動もあるが、なによりもアメリカの意向である。

第三は、財界の一部でもあるが、いわゆる原子力村の住人たちである。彼らはおおっぴらには発言を控え、もっぱら危機煽りキャンペーンに力を集中している。末端では立地自治体の首長らが未だに忠誠を誓っている。

霞ヶ関、とくに経産省は、大企業の意向を受け入れつつ、再稼働に向けた作業をコーディネートしている。国会の事故調査委員会で指摘された「囚われ」状況はそのまま続いている。

これら4つの層が、さまざまな事態、政府のあれこれの方針提起に際してどう動き、どう揺れたのかを分析することによって、全体の流れがどう動いているのかを明らかにすることができるのではないだろうか。

原発維持派の矛盾

経産省は、原発行政のための最大の武器であった原子力安全・保安院を失った。当面は科学技術庁(外局)で原発の海外売り込みなどに集中することになる。しかし廃炉作業などで出番はあるだろう。もんじゅは文科省の管轄(原子力科学技術委員会)である。この他に内閣府に所属する原子力委員会があるが、ムラ関係者を集めたこの委員会は、去年5月以降、休眠状態に追い込まれている。

財界にも矛盾がある。一生懸命旗を振れば振るほど、国民の目には悪役に映らざるを得なくなるからである。そうでなくても消費税、TPP、非正規切りなど何をとっても財界にたどり着く。東レや武田薬品などはいつ不買運動を起こされてもおかしくない立場に身をおいている。

原子力村は決して諦めていないが、財界の発言力が弱まると、見通しが厳しくなってくる。「狼がやってくる」はもはや通用しない。目下は値上げ申請で攻勢をかけているが、これは自縄自縛のところがあって、発送電分離や買取強化などの動きを招きかねない。

米軍産複合体は国民の前に直接姿を現す訳にはいかない。だから財界や政党を使って闘いを督励することになる。しかし余りゴリ押しすれば、日米同盟そのものに亀裂が入る危険がある。

2013年

1.04 安倍首相、原発新設についても「腰を据えて検討していきたい」と表明。

1.30 安倍首相、民主党政権の「原発ゼロ」方針を「ゼロベースで見直す」と表明。

1.30 米国で天然ガス価格急落でコストが逆転したため原発の閉鎖が相次ぐ。

2.28 安倍首相が施政方針演説。日米首脳会談を受け「安全が確認された原発は再稼働する」と明言

3.22 福島第一原発で配電盤にネズミが入り、電源が落ちる。水温が6度上昇し緊急の外部注水を施行。

2.28 ブルガリア議会、原発新設の中止を決定

3.11 パリで「原発ノン」を叫ぶ人間の鎖に2万人が参加する。

4.03 ドイツで脱原発が進んだにもかかわらず、電力輸出が前年の4倍に。

4.02 各電力会社が、あいついで米国産LNGの非リンク購入契約を締結。

 

2012年

1月 森本氏(その後防衛大臣)、北海道で講演。「国の基本として、原子力を持つということは、たんにエネルギーの問題ではない。…非常に大事な抑止的機能を果たしている。…(原子力を)決して捨てるべきではない」と発言。

2.27 大阪・京都・神戸の三市長、連名で関西電力に意見書を提出。原子力発電に依存しない電力供給を求める。

3.12 保安院、ストレステストの妥当性を認定。安全評価を勝手に一次と二次に分け、その一次がクリアしたという話。

3.23 原子力安全委員会は、一次評価だけでは不十分と判断。福島事故をふまえた新たな安全基準による審査が必要とする。

3.23 京都府防災会議、SPEEDI による放射性ヨウ素の拡散予想を発表。大飯西方の高浜原発が3月にやられた際は死の灰が京都市内に振り注ぐことが明らかになる。

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3.28 原子力安全保安院は30項目の安全対策を取りまとめる。安全委員会はこれを妥当と判断。

4.08 政府、関西電力管内の夏の電力不足が需要に対し17%不足と発表。各界から多くの疑問が出され、4月13日に修正案を提示。

4.09 原子力安全委員会の久住静代委員(問題発言を繰り返してきた)が、「保安院は、防災指針見直しについて、財政負担増大が懸念されるといって反対してきた」と批判。

4.13 橋下市長、大飯の再稼働反対と倒閣運動を宣言。

4.13 関係閣僚会合、大飯原発の安全性を最終確認し、「再稼働することが妥当」と判断。

4.14 枝野幸男経済産業相が福井県を訪問し、再稼働を要請。

4.17 滋賀・京都知事が大飯原発再稼働への国民的理解のための7項目提言。

4.27 首相官邸前で 1100人が大飯原発再稼働に反対する行動。

5.05 泊原発3号機が定期検査に入る。国内50基の全原発が停止する。

5.11 三井物産の槍田会長、日本中の原発をすべて再稼働させないといけない、と発言。

5.24 毎日新聞、原子力委員会が事業者を含めた会議を開き、再処理に有利に報告書原案を書き換えたと報道。原子力委員会は「事業者を含めた会議」を開いたことは認めるが、「報告書を書き換えた」というのは事実無根と反論。(委員全員が原子力村の住民であり、書き換えの必要などなかった)

5.31 橋下市長、再稼働を容認。

5.31 ヨルダン議会、原発事業一時停止を議決 安全性など懸念

6.10 野田首相が記者会見で原発再稼働を宣言。「福島を襲ったような地震・津波が怒っても、自己を防止できる対策と体制は整った」と豪語する。

6.18 野田政権は、法的根拠も議事録もない四大臣会合で大飯原発再稼働を図る。

6月 「さようなら原発1000万人署名」運動が754万人分の署名を集め政府に提出。

7.01 関西電力の大飯原発が再稼働。代わりに燃料費が高い火力発電所を8基止める。

7.05 国会事故調査委員会が報告書を発表。「根源的な原因は、規制当局と東電が、意図的な先送り、不作為、自分に都合の良い判断により安全対策を怠ったことにある」とする。さらに、原子力を扱うものに許されない無知と慢心であり、世界の潮流を無視し、国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする思い込み を糾弾。

7.17 「2030年の電源構成に占める原子力の割合」について国民から9万の意見が寄せられる。「原発ゼロ」が7割以上をしめる。15%を軸に検討していた政府は厳しい対応を迫られる。

7.23 政府の事故調査・検証委員会が最終報告書。「国と東電が安全神話にとらわれたことが「根源的問題」とする

7.24 野田首相、「脱原発依存」の立場は維持しながら、海外での原発売り込み推進という奇怪な態度を表明。

7.25 関西電力の八木社長、高浜原発の再稼働を求める。電力供給の安定性の回復など、一般的理由を強調。

7.27 米国での天然ガスの販売価格が100万BTU当たり3.07ドルまで低下。08年ピーク時の4分の1となる。

7.29 首都圏反原発連合が主催する「7.29脱原発国会大包囲」、主催者発表で約20万人が参加。

7.30 東京電力が、LNGを対米販売価格の8~9倍の高値で購入していることが共産党の質問で暴露される。

7.30 米GEのCEOが「原発の正当化は難しい」と発言。ガスと風力・ソーラーのコンビネーションに移行すると予測。

8.29 内閣府が、「南海トラフの連動型巨大地震」の被害想定を発表。神奈川から宮崎にかけて、20メートルから30メートルの津波が押し寄せ、静岡県だけで11万人の死者が予想される。

8月 西本願寺の大谷門主、「処理方法がない廃棄物を残していくのは、倫理的・宗教的に問題がある」と発言(非公式)。

9.13 政府の国家戦略会議、発電コストの試算上、原発とLNGに差がないことを明らかにする。これはシェールガスの本格開発以前のもの。

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9.10 野田内閣がエネルギー戦略策定。「2030年代に原発稼働ゼロ」とする。米側から懸念が強まる。米エネルギー省のポネマン副長官、前原政調会長に「このような措置を実際に取れば、意図せざる影響もありうる」と恫喝。

9.13 経団連の米倉会長が“緊急”記者会見。野田首相に電話で直接「原発ゼロは承服しかねる」と伝えたことを明らかにする。「日米同盟関係の維持も重要である」ことを強調。

9.19 保安院が廃止され、環境省の外局である原子力規制委員会へ移行。通産省は資源エネルギー庁内の日本原子力研究開発機構を中心に原発の海外売り込みに集中することとなる。


9.24 原子力規制委員会の田中俊一委員長、電力会社による安全評価(ストレステスト)について判断の根拠としない方針を明らかにした。既に30基の1次評価が提出されているが、手続きは白紙に戻ることになる。

9.25 枝野幸男経済産業相、未着工の原子力発電所の新設計画について、電力会社に計画の自主的な撤回を促す考えを明らかにする。また原発の再稼働については政府が関与しない考えを示した。敦賀市の河瀬市長は、「地域の実情を踏まえ、個別に判断していただきたい」とクレーム。

9.30 政府が「30年代原発ゼロ」を掲げた「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定を断念。米政府に対して「安全が確認された原子力発電所は引き続き重要な電源として再稼働させていく」方針を伝える。

9月 武田製薬の長谷川社長(同友会代表幹事)、「原発をゼロにするのであれば企業は事業会計の見直しをしなくてはならない。政府は無責任と言わざるを得ない」と意味不明の発言。

10.01 Jパワー(電源開発)の大間原発、建設作業を再開。

10.01 リトアニアで、原発の建設をめぐる国民投票が行われ反対票が6割を超えた。この原発は日立製作所が受注したもの。

10.02 北海道の主要経済3団体の首脳が、自民党本部で安倍晋三総裁らと会談し、泊原子力発電所の再稼働を求める緊急要望書を手渡す。

10.02 世界の風力発電10年で6倍超 中国が4割、日本出遅れ

10.04 経団連の米倉会長が、浜岡原発を視察。視察後の会見で、「どうしても原発をゼロにするわけにはいかない。再稼動に持って行けたら、世界的な模範になる事例だ」と述べた。

10.04 福島第一原発事故に伴い、各市町村にごみの焼却灰がたまり続け「このままでは数年で満杯になる」ことが明らかになる。

10.13 全国で反原発集会。サッポロ反原発集会は70年安保以来の1万数千人が結集。

10.24 NHK道内ニュース、「この冬、最悪で7.7%の電力不足に陥る可能性がある」と報道。その後毎日「でんき予報」なる情報を流し始める。読売新聞は「北海道の停電は命にかかわる」と脅迫。泊原発を再稼働すれば電力不足を解消できると主張。

12.07 三菱重工と日立製作所が火力発電事業を統合することで合意(すでに水力発電事業は統合済み)。原発維持で統一戦線をはる一方、ポスト原発も視野に入れる。

12.08 衆院選前の世論調査(日経新聞)、「脱原発を目指すが、当面は必要」が61%、「今後も必要」が13%だった。日経は「原発の現実的必要性を認める声が4分の3を占めた」と評価。

12.19 13年から、原油価格とリンクしたLNG長期契約が更新を迎える。

12.25 安倍政権、「原発再稼働は原子力規制委員会の判断による」ことを確認。

12.29 安倍首相、民主党政権の「原発ゼロ」方針の見直しを示唆。

2011年

3月11日 福島第一原発、東北地方太平洋沖地震とその後の大津波で、外部からの電源と、何らかのトラブルにより稼動しなかったとされる非常用ディーゼル発電機を失い、「全交流電源喪失」状態に陥った。(その後の一連の経過については別途当たってください)

3.30 政府は全国の原発を対象に「緊急安全対策」を指示。津波による事故発生を防ぐ当面の手立てを整え、原発の安全性を確保する。

4.11 福島第一原発事故の評価をチェルノブイリ並みのレベル7に引き上げ

4.13 松本内閣官房参与「原発周辺には10~20年住めない」という首相発言を紹介。すぐに撤回。

5.06 菅直人首相が緊急記者会見。浜岡原発全原子炉の停止を中部電力に要求。

5.03 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の事故当時の予測値が公開される。公開された理由も、公開されなかった理由も不明。

5.09 中電、浜岡原発の停止要請を受諾。水野社長は「追加対策の実施後に速やかに再稼動する」と述べ、「原発は電力供給の基幹だ」と言い切る。

5.10 経団連の米倉会長、「政府は安全基準をもっと強化しておくべきだった。政府は何をしていたのか」と非難する。

5.12 福島第一原発1号機が、実はメルトダウンしていたと発表。

5.17 平田内閣官房参与、福島原発からの汚染水海洋放出について、「米国からの強い要請があった」と発言。

5.20 福島第一原発、1~4号機について廃止措置を進めること、及び建設計画を進めていた7、8号機について計画を中止。

5.27 菅直人首相がG8サミットで発言。自然エネルギーの増加と脱原発について言及する。

5.28 俳優の山本太郎さん、原発をめぐる発言のためにテレビドラマ出演ができなくなったことを明らかにする。

5月 スイス政府、福島第一原子力発電所における事故を受けて、2034年までに、「脱原発」を実現することを決定。

6.07 首相官邸で「新成長戦略実現会議」、「原発の早期稼働は国の責任」との声が相次ぐ。主な発言者は日商の岡村(東芝会長)、同友会の長谷川(武田薬品社長)

6.13 イタリア国民投票で脱原発へ。投票率は57%。原発再開反対が94%を占める。ベルルスコーニ首相が敗北宣言。

6.15 「さようなら原発1000万人アクション」が署名行動を開始する。

6.18 海江田経産相、「過酷事故対策は完了し、安全性が確認された。原発が稼働できなければ産業が停滞し国民生活への不安が生じる」と発言。

6.19 原発再稼働の動きが開始される。玄海原発がそのターゲットとなる。古川佐賀県知事や玄海町の岸本町長が暗躍する。

6.29 菅首相、経産相主導で進行する玄海原発の再稼働にストップを掛ける。

6.29 経団連会長の米倉会長、「企業の努力が否定されている。これでは海外移転がますます加速する」と脅迫発言。

6.30 独下院が脱原発法案を可決、2022年末までに全17基閉鎖

7.06 共産党が国会質問で九電やらせメール事件を暴露。

7.07 菅首相、定期点検中の原発について、ストレステスト抜きの再稼働はおこわないと答弁。

7.13 議会解散を狙う菅首相が、記者会見で「脱原発」を打ち出す。与野党から猛反発。自民党の谷垣総裁も「縮原発」を唱えたが腰砕けに終わる。

7.13 朝日新聞が一面に社説。「いまこそ 政策の大転換を」とし、原発ゼロ社会を提言。同社の世論調査(7.17)では、77%が原発を将来やめることに賛成。

7.16 大飯原発の冷却系統に事故が発生、緊急手動停止に至る。

9.11 小泉元首相が厚かましく「脱原発」講演。「政府は原発が最もコストが安いとして原発建設を進めてきたが、国民は原発 が安全だとは信用しなくなった」と述べる。

9.14 経済同友会の行った電力制限に関する経営者アンケートで、「生産量や売り上げへの影響はなし」とした回答が69.3%。

9.29 政府の原子力委員会が「国民の意見」の集計結果を発表。意見書約1万件のうち原子力発電を廃止すべきだという意見が98%を占める。

10.15 モンゴル政府、日本の核廃棄物の処分場建設計画を断念。

10.28 独シーメンス社が「原発ルネッサンス」計画を放棄。原子力発電からの完全撤退を決定。格付会社はこれをポジティブと評価。

10月 原子力安全委員会、廃炉を含め、福島原発事故によって発生した損害は5兆円に達すると発表(かなり内輪の数字だが)。

11.17 関西電力が大飯原発の ストレステストの結果を経産省に報告。原子力安全保安院は再稼働に向けて手順を積み重ねる。

11.21 地震予知連の島崎会長、「震災前に、福島での津波地震を予測していたが無視された。背景には、原子力業界の力が働いていた と感じている」と発言。

12.07 小林よしのりが、雑誌に「脱原発論」の連載を開始。 西尾幹二、竹田恒泰や勝谷誠彦らも「山河を守れ」「国土を汚すな」と呼号。

12.21 福島第一原発1〜4号機の廃炉に向けた工程表が発表される。

12.28 東レの榊原会長(エネルギー基本計画策定会議メンバー)、「原発の順次再開、原子力発電の推進、国家の研究・開発予算の思い切った傾斜配分」を主張。

これはかなりのビッグニュースと思うが。
4月2日にドイツ連邦統計庁が発表したものによれば、

12年のドイツの電力輸出は大幅に増加し、11年の4倍に達した。

というもの。

同庁によると12年の輸出は666億KWで、輸入の438KWを差し引いた超過分は228億KW。これは11年の60億KWの約4倍。

事故直後の頃は、みんなが知らないのを良いことに、
欧州が地域ごとに電力を融通しあっていることを隠して、輸入額だけを取り出して、ドイツは電力輸入国だとデマを飛ばしていた人たちもいた。

もちろん、ドイツはまだ原発を使っている。やめることは決めたが、まだやめたわけではない。

しかしこの2年間で8基の原発が止まった。残りの11基もあと10年で稼働を止めるよていだ。つまり原発を減らしても電力生産は減らないどころか増えていることになる。

片岡記者は
①原発を廃止し再生可能エネルギーに切り替える政策の実効性が証明された。
②「原発をやめると電力輸入国になり、他国に電力を依存することになる」という議論の根拠の無さが証明された。
と書いています。
賛成です。ただ②についてはLNGの安定供給に見通しがつかないと、断言には至りません。

ちょっと古いが

2012年7月27日付 英フィナンシャル・タイムズ

米国での天然ガスの販売価格は1年前より52%低下した。価格は現在、100万BTU当たり3.07ドルで、08年ピーク時の4分の1にも満たない。

シェルは今年第2四半期の利益が1年前の66億ドルから13%減少した。エネルギー価格の下落が大きな減益要因とされる。

エクソンモービルも、石油の販売価格と米国での天然ガス販売価格の下落が、9億ドル近い減益をもたらした。


こちらはあたらしいところで
2013/04/02 電気新聞

関西電力が、住友商事との間で、米国産LNG購入に関する基本合意書を締結した。

米国メリーランド州でのガス田から住商子会社が購入することになる。2017年後半以降生産開始見通しで、約20年間にわたって年間約80万トンを調達する計画。

注目はヘンリーハブ価格指標での購入という点で、これまでの原油価格リンケージからは解放されることになる。


2012年12月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙

この背景は、フィナンシャル・タイムズ紙に詳しい。(何故だ!)

1970~80年代から続く現行のLNG契約の多くが今後10年で切れ、供給の条件を再交渉する時期に入っている。

日本のLNG業界は、原油と連動する契約から脱して米国のガス価格と連動する価格協定にシフトを始めている。(ヘンリーハブBTU:英国熱量単位)

ロシアのガス大手ガスプロムは、販売価格を原油市場から切り離すことを余儀なくされた。

これらの動きはLNGの輸入価格を30%下げる可能性がある(たった30%?)。

すでに東京ガスや大阪ガス、中部電力などの日本のガス・電力会社や三井物産、三菱商事、住友商事が先行している。

米国はシェールガスブームで供給に余裕が生じている。現在、政府は限定的なLNG輸出を認めるべきかどうかを検討している。(と書いているが、アメリカにそのような余裕はないはずだ)

要するに、LNGは深刻な生産能力過剰に陥っているのだ。当初、アメリカ政府はFTAやTTPなどの貿易交渉の切り札に使おうとしていた。しかし今やそのような余裕はなくなっている。

膨大な先行投資をして能力過剰になっているから、これを販売しなければ倒産が相次ぐことになる。

ただ、LNGはあくまでつなぎであり、最終的にはあらゆるエネルギーを液体水素に転換して蓄える方式の確立がもとめられていくのではないだろうか。


ネットを見ていると、そんなに見通しは甘くないぞと力説している人がいた。たしかにそうだなと思って読んでいたら、結局原発再開論につながっていた。

しかし、その人さえ最終的には5,6ドルに落ち着くと見ている。これで現在の1/3だ。ランニングコストとしても原発と同等である。

問題はここ4,5年の過渡期をどう凌ぐかであるが、それには無理にインフレターゲット政策をとるより円高で推移してもらったほうがありがたい。

 

米シェールガス会社が倒産…生産過剰で値崩れ

時事通信の配信ですごいニュースだ。

シェールガスなどを生産する米エネルギー会社のGMXリソーシズは、1日、オクラホマ州の連邦破産裁判所に対して破産法の適用を申請した。

「シェール革命」による生産過剰で、米国では天然ガス価格が08年のピーク時から3分の1程度に値崩れしており、GMXの経営も行き詰まりました。

同社の昨年12月時点の負債総額は4億6千万ドル。同社は最大5千万ドルのつなぎ融資を受けて事業を継続し、並行して資産売却を進める。

話はもうそこまで来ているのだ。電力各社がいまだに20ドルも出してLNGを買う理由が分からない。

三菱商事が間に入ってネコババしているのか。電力各社が原価高として国民に転嫁しようとしているのか。

それとも貿易赤字をふくらませて、原発再開のネタにしようとしているのか。あるいはアメリカが原発再開のために、シェールガスを売らないよう圧力をかけているのか。

もう2年も過ぎているから、いろいろな憶測が出てくるだろう。

スターリンとヒットラーが流血の20世紀を作り上げた二大巨悪だということは、いまや我々の目にも明らかになってきた。
そして、ヒットラーを敵とし、その背後にいる世界独占資本と帝国主義を敵とする闘いのなかで、結果的に我々はもう一人の巨悪を支持するという過ちを犯してきた。そのことも明確になってきた。
この巨大な過ちにもかかわらず、我々は相対的に正しかったと言わざるをえないアイロニーに直面している。
歴史の中の立ち位置に基本的なブレはなかった。さまざまな困難があったとしても、人民の立場(Pro Popolo)に立って帝国主義に立ち向かう(Anti Imprialism)という道を選んだことに間違いはない。
しかし特殊状況のなかで、世紀の巨悪を自らの指導者に据えたという“あほらしさ”は、ほかの全場面での頑張りを持ってしても合理化はできない。「アホだけど頑張った」というのと、「頑張ったけどアホだった」ということの違いをあげつらうのは、それ自体がアホらしい行為である。

少し内向きの議論になるが、我々は誠実な批判者に対して誠実に対応してきたとはいえない。スターリン信仰の残滓を多少なりとも引きずりながら、我々は歩んできた。

それは原発信仰とも似ている。
原子力は未来のエネルギーだろうか? 違う!
原発にもいいところはあるだろうか? ない!
原子力の平和的利用は推進すべきだろうか? だめ!

これは東日本大震災から2年で、急速に作り上げられた固められた私たちの信念である。

アベノミクスがもてはやされ、普通の庶民まで何かしら期待感が広がっている。
それは、大企業が儲かれば、景気が良くなる。景気が良くなればおすそわけが回ってくる、という期待感だ。
これは、昔ながらのトリクルダウンの理論の焼き直しだ。
しかしそれが幻想にすぎないことは、この15年間で痛いほど経験してきたではないか。
トリクルダウンの蛇口は97年以来閉められたままだ。リーマンショック前のいわゆる“好況期”に於いてさえそうだった。
それでは大企業は蛇口を緩めるだろうか。大企業はもっと締めると宣言しているではないか。
正社員にボーナスを多少多く払ったといって、それで何になるだろうか。
労働規制をさらに緩和して解雇も自由にする、派遣ももっと拡大する、ということになれば、労働者の生活はさらに悪化する。
これが蛇口を締めるということだ。

インフレというのはそもそも、貧乏人いじめのもっとも有効は方法だ。物価が2%上昇するということは給料が2%減少するということだ。
そうなればどうなる。貧乏人はますますモノを買わなくなるし、内需は冷え込む。これがスタグフレーションというやつで、不況と物価高のダブルパンチだ。

民衆はその時になってやっと、円高とデフレは関係ないということに気づくがもう遅い。アベノミクスは参議院選挙まで持てばいいという打ち上げ花火だ。参議院で多数を確保すれば、反動立法を次々に成立させ、国内の不満を抑えこみ、ファシズムにまっしぐらだ。

3月14日の記事で、「放射性物質は不発弾のまま残っている。脆弱性はそのままに残されているから、わずかの自然災害でも大事故に結びつく恐れはある」と書いたが、それがほとんどお笑いのような形で実現した。
「泰山鳴動して鼠一匹」というが、鼠一匹が泰山を鳴動させたのである。

事故の概要は以下のとおり
①停電事故が起きたのは3,4号機共用のプール冷却システム回路。工事の都合で1号機の回路にも電源を供給していたため、1号機にも影響が広がった。
②とくに大量の核燃料が貯蔵された4号機(震災時定期点検にて停止中)では,水温が6度上昇し、緊急に外部注水を行った。
③1,3号機では高放射線量のため、くわしい実態は把握されていない。

今日の赤旗では、間宮記者が背景を解説している。
これによると問題点は以下のようなものである。

①配電盤は建屋付近に止めたトラックの荷台に載せられていた。これは事故後2ヶ月目に設置されて以来、そのまま使用されていた。
②配電盤にはケーブルを引き込むための隙間があった。ネズミや鳥などの侵入予防はこの種設備では常識。
③ほぼ同時期に免震重要棟で瞬間停電があり、現場点検に入ったとき冷却停止が発見された。点検がなければ、発見は遅れていた可能性がある。
④冷却再開には29時間を要した。これは代替電源が用意されていなかったためである。
(なお「雑草で排水パイプに穴」というのは、これはこれで重大な問題ではあるが、“周辺的”事実である)

千年に一度の大津波なら“想定外”と言い抜けることも出来るが、鼠一匹を“想定外”とするようでは終わっている。笑って済ませる話ではない。

明らかになったのは、笹子トンネル並みのずさんな安全管理体制である。笹子トンネルでも多くの人命が失われているが、事故が起きたときの影響は比較にならないほど深刻である。

原発のようなトップリスク設備での安全設計は、教科書的に考えればより強力なものでなくてはいけないはずだ。そもそも安全設計が存在していない可能性すら想起させる。最低でも第三者のスーパーヴァイジングが必要ではないだろうか。

それにしても、関東大震災の避難訓練などではなく、福島の大量放射能流出を想定した首都避難訓練が必要だ。松代大本営でも再建するか。





全量買取制度が発足して1年近く経った。資源エネルギー庁の発表によると、稼働済みの設備が120万KW、稼動予定が500万KWということだ。12月末での集計ということで、9ヶ月でここまで達したのがすごいとも言えるし、こんなものかとも言える。

しかし日本の総発電量は30億KWだ。再生可能エネルギー発電設備の9割強が住宅用ソーラーというから、「発電しました」というより「節電しました」という方が似合いそうだ

当分はLNGをどれだけ安く仕入れられるかが工夫のしどころだろうが、このままの輸入超過が続くと、いつまでも持つわけではない。

12日に京都で起きた風力発電の倒壊は、その画像とともにかなりの衝撃を与えた。
以前にも書いたが、日本における風力発電の実績はあまり芳しいものではない。
いくつもの風力発電が作られたが、それと同じくらいのテンポで、作られた風力発電が運転休止に追い込まれている。
結局、もうけたのはヨーロッパの製造メーカーと日本の建設会社だけということだ。

日本に風がないわけではない。問題は強すぎるか変動が大きすぎるということだ。だから作りはさらに頑丈にし、蓄電設備の併設が不可欠となる。さらに人口が密集する平地では低周波の問題が避けて通れないから、どうしても人里離れた山の上ということになる。送電設備も含めると、とてもコスト的には引き合わないと思う。

だいたい風車といえばドン・キホーテのスペインか、チューリップのオランダかという具合で、例えば日本と同じ島国のイギリスではあまり見かけない。
代替エネルギーの主流として風力にこだわるか、それとも他の資源に行くかは、もうそろそろ結論を出さないといけない。

ドイツでは風力発電で電力需要の大半をまかなえるという見通しがあるから原発廃止に踏み切った。
日本では、そういうそろばんの前に、とにかくだめだという倫理的なところから議論が出発している。代替エネルギーとしてこれで行くんだという見通しが持てていないことが原発廃止論の弱点となっている。

私としては、風力には見切りをつけるべきかと思う。こんな事故で再生エネルギー推進の流れに水をさされてはかなわない。
ただ、原発跡地に風力発電というのなら、政治的な意義もふくめて有りうると思うが。

では、国民の電力需要をまかなえる可能性のある自然エネルギーは何なのか、あれこれのアイデアではなく、もう少ししっかりした計算の上に立った説得力のある計画が必要だろう。

住宅用ソーラーは発電と言うよりは節電の一環と考えたほうが良い。設置したパネルが耐用年数に達したとき、どのくらいの人が交換するだろうか、いささか不安ではある。

私としては、パタゴニアの風力発電を液体水素に転換して輸入するという案が魅力的なのだが、LNGの価格がさらに下がった時にペイできるかどうか不透明である。

アルゼンチン政府の意向次第では、高値をふっかけられる可能性もある。

「福島第一原発 廃炉への険しい道」と題して、神田康子記者がレポートしている。

1.使用済み燃料の取り出しが最重要課題

主要な課題として、次の3つがある。
①使用済み燃料の取り出し
②「燃料デブリ」の取り出し
③汚染水の処理

この内、戦略的にもっとも重要なのは、核燃料の処理である。なぜならそれは、ほとんど不発弾を野積みにしているようなものだからである。

今の状態で同じような地震があれば、再び大事故を起こす危険があるからだ。それどころか落雷、突風、豪雨などあらゆる災害に対して脆弱な状況にある。

ほかの二つは、影響の深刻さは別にして、どちらかと言えば後片付け的作業になる。

神田記者はこの3つをベタで扱っているが、現場の重点は明らかに燃料棒の取り出しにある。


2.収束宣言が出せるような状況ではない

おそらく、使用済み燃料のプールがそれなりに安定して、何かの事故が起きない限り、臨界には入らないと確認された時点で、国は収束宣言を出したのであろう。

それはそれとして、間違いであったとはいえない。しかしそれは仮の安全である。

棚から半分ずれ出して、今にも落ちそう担っていた爆弾をとりあえず棚の上に置き直したという状況であり、それが信管付きの不発弾であるという状況に変わりはない。

ここに事態の本質がある。汚染水が最大の問題と書いたが、事態はもっと切迫している。ただ幸運(ツキ)が今までの安静を担保していただけなのだ。

昨年9月、3号機の使用済燃料プールでは、地上のクレーンに吊り下げられた重さ500キロの鉄骨がプールに落下しました。
プール内の使用済み燃料を傷つけるだけでなく、プール自体に穴が開いてしまう危険もありました。そうすれば使用済み燃料を冷やしている水が抜けてしまいます。



3.ロボットは役に立たなかった

この処理過程が難航している最大の技術的問題は、抑えのエースとして登場したロボットが、次々と炎上、何の役にも立たなかったということだ。

階段で転んだり、通信が切れて制御不能になったり、帰還できなくなるロボットが続出。中には炉内の細かな部分まで調査するための子機を置き去りにしてきたロボットもいます。


と、記事は伝えている。

その理由として、神田記者は①安全神話によりかかり、ロボットの開発が遅れていたこと、②築40年の建造物で、修復・改造を重ねているために設計図が役に立たないことを上げている。(②の話は身につまされる思いがする)

そこで現在は、炉全体をカバーするようなレールとクレーンでアプローチする戦術に切り替えているようだ。

というわけで、結局最後は人力。テレビに出てくるようなクレーン車運転の名人が出番となるのではないだろうか。


4.使用済み核燃料の処理は国家的プロジェクト

使用済み核燃料の処理といっても、燃料棒を今にも壊れそうな建屋の内部から取り出して、敷地内に設けた仮置き場に入れるだけの話で、本当の処理には程遠い。

とりあえず、ご遺体を収容して死体置き場に納めるだけの話で、通夜も葬式もそれからだ。だいいちまだ死んでいない。死んだふりしているだけだ。

東電が責任をもってやるにせよ、事の本質は日本の未来がかかる国家的プロジェクトだ。人も金も出し惜しんではならない。いわんや収束宣言であとは知らんぷりというのはありえないと思う。


志位さんに言われて納得した。
汚染水がもっとも重大な問題だということ。
たしかにそうだ。
以前、本願寺の貫主に言われた時にも納得したのだが、原発は事故を起こそうが起こすまいが、放射性廃棄物を必ず発生する。
これをそのままためておいて、それが際限なく続くということはありえない。いつかは終りが来る
我々は未来を先食いしていることになる。

その放射性廃棄物は、いったん事故を起こすと、凄まじい速度で増え続ける。それが未だに止まっていないというのは恐ろしいことなのだ。核の暴走が止まっていないということだ。
このことは以前、不破さんも指摘していた。

問題はまさにここにある。
長期に見ても短期に見ても、放射性廃棄物が人類を滅ぼす危険は、ますます明らかになっている。


東京都民に避難勧告を出すべきだったか、否か

究極的にはこの問題が問われていると思う。みんなこの問い掛けを恐れている。

アメリカ政府は東京からの避難を指令した。多くのアメリカ人が西へ向かった。彼らの情勢判断はシビアーだった。

かつて朝鮮戦争が始まった時、ソウルを防衛する韓国軍は雪崩を打って潰走した。李承晩大統領は市民を置き去りにして漢江の橋を落とした。アメリカ大使館は取り残された。
これに懲りたアメリカは、94年に南北朝鮮が開戦の危機に直面した時、いち早くソウルを離脱した。


幸いなことに、原子炉のメルトダウン直後の風向きは海側に向かっていた。その後風は東北方面に向かい、いくつかの街が廃墟と化した。

まったく状況は風まかせだった。

私が首相であっても、とても東京都民への避難勧告を出す自信はない。おそらくとんでもないパニックになるだろう。

そうでなくても、都内の主要駅には帰宅難民が溢れかえっていた。

結局避難区域は半径10キロそこそこにとどまった。明らかに避難すべきだった県都福島にも避難命令も勧告も出なかった。

おそらく、政府首脳はどこかの時点で東京は避難しないという決断を行ったのだろう。

それから情報統制が始まっている。マスコミ情報に関する限り、完全な報道管制だ。


アメリカからの情報提供はあっただろうから、知らなかったのではなく無視したのだろう。

「どうせ東京がダメなら、日本は全滅だ」という判断が働いたのだろうと思う。

現に東京でも放射能は観測されたし、静岡まで放射能が到達したことも確認されている。

通常考えれば、半径100キロは避難区域とするのが科学的常識だろう。放射能の人体影響に閾値はないのである。

ただ放射能(I131)は急速に減衰するので、あとはセシウムで判断すれば良くなる。だいたい10ないし15キロまで避難区域は縮小できる。

放射能が現に観測されているのに、「直ちに人体に影響はない」などというセリフでごまかそうとするのは、ほとんどデマに近い。放射線は直ちに人体に影響するのであって、ただそれが病気として直ちに出現しないだけの話である。

しゃべっている人も、おそらく嘘と知りつつ喋っていたのではないか。

ただし、今でも原発推進を説く人たちは、この問い掛けを完全にスルーしているとしか思えない。

自民党の石破幹事長が、震災2周年にあたり、「緊急時には国民の権利を制限する非常事態法が必要」と語ったそうだが、あのとき国民の権利、とりわけ知る権利は大幅に制限されていたのである。


もう一回グーグルで検索してみた。たしかにこのファイルは出てくるが、1年以内というフィルターをかけると消える。

甘利さんのサイトで見ると、この人は以前の自民党政権時代にも通産大臣をやっているようだ。
したがって、これは3.11前の出来事かもしれない。

たしかに今こんなことを言ったら大問題ですね。しかし3.11前には平気でこんなことを合意していたんだということが分かりました。

いまでも本心はこんなトコロじゃないんでしょうか。

ウィキペディアで調べてみました。

Samuel Wright Bodman III
11th United States Secretary of Energy
In office
January 31, 2005 – January 20, 2009

ということでブッシュ政権の終了とともに職を辞しています。
Forbesによると、その後は
Director of AES since April 2009, and serves on the Compensation Committee of the Board.
ですが、現在は公職からはリタイアしているものと思われます。

これってなんだろう
http://www.enecho.meti.go.jp/policy/nuclear/pptfiles/080610_1.pdf
ていうファイルだ。親元を辿って行くと

資源エネルギー庁 Agency for Natural Resources and Energy

のサイトに突き当たる。

7日というのが何月の7日なのかもわからないが、グーグルで 原発、日米共同声明、1ヶ月以内、とやって検索したらこれがヒットした。
今度は「日米原子力共同声明」と入れて検索をかけてみたが、それらしきものは引っかかってこない。
甘利さんが経済産業大臣だから2月でなくても1月だろう。

日米原子力共同声明の発表について
~ 日米のエネルギー担当大臣、原子力協力の更なる強化に合意 ~
~ 米国での新規建設支援に国際協力銀行等を活用へ ~

甘利経済産業大臣とボドマンエネルギー省長官は、7日、我が国の主要原子力施設が立地する青森で会談し、原子力協力についての共同声明を発表。
日米間では、昨年4月に策定した日米原子力エネルギー共同計画に基づき協力が進展。本年7月から協力の第2フェーズに入る。両大臣は、これまでの成果を確認するとともに、研究開発及び米国での新規原子力発電所建設などの各分野での協力を一層強化することで合意した。

以下が要約

◯昨年4月に日米原子力エネルギー共同計画が策定された。これに沿って、高速炉技術やサイクル技術等の研究開発や新規原子力発電所の建設など着実に協力が進展している。

◯高速炉の実証炉や燃料サイクル技術の研究開発について協力する。もんじゅの活用も検討する。また、発展途上国で要望の強い中小型炉の設計についても協力を進める。

◯米国での新規原発建設のために、日本貿易保険(NEXI)や国際協力銀行(JBIC)の活用を検討する。これを米国エネルギー省の債務保証制度と組み合わせて、プロジェクトを支援する。


(共同声明の意義)


◯世界的な原子力発電の見直しの中で、米国では30年ぶりの原発の新規建設を計画している。原発建設では資金調達が課題であり、プロジェクトの規模が大きいことから、金融支援面での政策協調が課題。

◯米国への金融支援が進めば、日本の原子力産業の海外展開が大きく進み、国際競争力の強化が期待される。

◯JBICは先進国向けの金融支援は原則禁止となる予定だが、必要な場合は、政令を制定することにより、投資金融は可能だ。

◯高速炉の研究は、日米に加え、フランスとの3ヵ国間でも協力を積極的に推進しており、今回の合意で3カ国の協力にも弾みがつくことが期待される。

「こんなもの出しちゃっていいの」というくらい露骨な文書だ。しかも高官級ではなく、政府間の公式文書だ。
これが日米首脳会談の下敷きになっている。

消えてしまうかもしれないので、早めの閲覧をお勧めする。


時事通信の報道では、共同記者会見のなかで、

「原発再稼働」
首相 2030年代に原発稼働ゼロを可能にするとの民主党政権の方針はゼロベースで見直す。
と書かれているのみだ。

赤旗の山崎特派員は、さらに安倍首相の発言を補足しています。

米国とは原子力協力のパートナーとして緊密に連携して行きたい

“原子力協力のパートナー”というのは、“核の傘”のことを指しているのでしょう。

だから安倍首相の発言はこう読めます。すなわち
日米核同盟に協力するために、原発は継続する。そのためには、たとえ国内世論の大半が原発ゼロを望んでいたとしても、断固原発は稼働し続ける。
ということです。

それが何を意味するのか、日本の原発は発電設備ではなく、核兵器の原料供給設備として位置づけられているということです。

そうでなければ、原発はたんなる国内問題です。日本国民が廃棄を選択すれば話はそれで終わりです。

原子力協力と原発が繋がらなければならないいわれはありません。日米原子力協力はもし必要なら別の形でやればいいだけの話です。

赤旗経済面のコラムに次のような見出しの記事

“人災だから再稼動しても安全”
原産協会会長のトンデモあいさつ


原子力発電所の業界団体である「原子力産業協会」の今井敬会長が、年頭にあたっての挨拶を公表しています。

この中で今井氏は、国会事故調査委員会が東京電力福島原発の事故について、「明らかに人災である」と結論付けたことを指摘。

人災であるがゆえに、その原因をはっきりと究明して対策を講ずれば、原子力を再稼動しても大きな災害は起こらないということです」と述べています。



思わず言葉を失う。「ウーム、そういう読み方もあったのか」と、思わず唸ってしまう。

ただ、今井会長が国会事故調報告を本当に読んだのかということが気になる。

国会事故調が何ゆえに、何を以って「人災」と表現したのかが分かっていないのではないだろうか。

国会事故調は、原産協会と東電が、経産省を縛り付け、安全神話を押し付け、必要な対策を怠ってきたことが原発事故の究極の原因であり、その故にこそ、事故を「人災」と糾弾したのである。

国会事故調は、経営陣の経営優先と安全軽視の姿勢を厳しく問い、「原子力を扱う事業者としての資格があるのか」という疑問を投げかけている。

だから「その原因をはっきりと究明して対策を講ず」 るということは、あなた方の責任を明らかにし、あなた方を原発から遠ざけ、口出しさせないようにするということなのだ。

私の読み方が間違っているのだろうか、国会事故調の委員長にぜひお話をうかがってみたいところである。

国会事故調報告については、私もだいぶ勉強させてもらった。
2012年7月12日の記事、あるいはブログ内検索の欄に「国会事故調」と入れると、逐条解説が読めます。

北電の苫小牧火発で火事があったそうだ。
NHKは電気が足りなくなるかもしれないと市民の不安をあおっている。
家の嫁さんはパニックになっている。
福島原発のときには、根拠もなく「安心だ安心だ」と垂れ流していたのが、今度は手のひらを返したようだ。

NHKに言いたい。いたずらに市民の不安をあおるのはきわめて危険な行ないだ。パニックになった市民が何をやるか、ルアンダで証明済みではないか。

北電に言いたい。あなた方には道民の生活を守る義務がある。不安をあおる権利はない。
あなた方には1年半の猶予があったはずだ。他の電力会社は火発を増強して電力不足に備えている。
あなた方はそうしなかった。それだけの需給見通しがあったからやらなかったのだろう。
それなのに、いまになって電力不足を訴えるのは、なぜなのか。

ことは命にかかわる問題だ。はっきりさせてほしい。見通しが誤っていたのなら、そのことをはっきりとさせて道民に謝罪すべきだろう。

これでもし停電になれば、今の北海道、間違いなく凍死者が出る。それはあなた方の不作為が殺したことになる。

人々は北電に葬儀デモで押しかけ、社長を捕まえて人民裁判にかけるかもしれない。なぜならそれは人災としか言いようがないからだ。そしてNHKが人々をパニックに追い込んだからだ。

「脱原発のドイツを訪問」という連載がある。増山さん(画家)の寄稿連載という異色の記事。
それだけのことはある。
このなかで、原発解体会社の担当者の発言が重い。

「原発解体は建設や稼働中の売電利益よりもずっと多額。小規模原発1基で660億円以上、少なくとも70年の期間がかかります」

この会社はドイツの全原発の解体作業を請け負っているというから、情報は確かだ。

とくに旧東ドイツのソ連製原子炉が劣悪で危険なようだ。

「熱い核燃料を冷まして、放射性レベルを落としてからでないと作業できないため、5年間寝かしてから作業を開始しました。
徐々に放射性レベルが高い部品の解体作業にかかりますが、22年経った今も床の掃除が終わらず、建物自体はさらに50年間待たないと解体できない」

森林総合研究所が高知県仁淀川の上流地域で小水力発電のシミュレーションを行った。

おそらく熊野川水系と並んで、水量の安定的確保には最も適したところであろう。小水力発電は、100KW以下の出力の発電施設で、基本的にはダムを作らない。
これまでの100KW以上の発電規模は中小水力発電と呼ばれてきたので、マイクロ発電と呼ぶべきかもしれない。

実際に調査したところでは、多いところでは100KW近くに達するが、ほとんどのところでは流水量が秒あたり100リットル、発電量としては10~20KWという。1世帯あたりの使用電力は1.5~2KWと考えられるので、5~10軒程度にしかならない。
もちろん年間を通して毎秒100リットルの水が確保されるわけではないので、補助電源は必要だ。さらに、治水・利水というのはそれだけでも大仕事だ。川筋が変わったり、ちょっとした崖崩れがあったりすれば、それで設備は無用の長物と化す。

九州発電の良いところは、治水・利水の水路をそのまま用いて、ついでに発電にも利用するということなので、コストやリスクはゼロとは言わないにしても、かなり転嫁できるところにある。

当面は、発電の問題としてよりも、環境問題として扱っておいたほうが良さそうだ。

第二次経済対策が決まった。総事業費が1兆円あまり。このうち東日本大震災関連が2千億ほどになる。

そのうち、共産党がずっとキャンペーンを行ってきた、仮設住宅の風呂の追い炊き機能追加が総額781億円になる。たしかに大事なことだが、それにしてもえらく高いな。どういう原価計算になっているのだろう。一括発注なのだろうか。積水ハウスあたりが全取りするのだろうか。

医療再生支援が380億円だ。被災地中小企業の資金繰り支援はわずか243億円である。たしか地元信用金庫の赤字だけで1千億を越えていたのではなかったろうか。

以下は05月18日付の東海新報 の記事

仮設住宅は、県内13市町村で1万3984戸が建設された。4月27日現在の入居状況は、入居戸数1万3048戸、入居者3万444人。

追い焚き機能の工事内容は、給湯器の交換と浴槽への配管、台所リモコン交換、浴室リモコン追加、配管に伴う雑工事。

 
県復興局によると、全部の入居戸数に追い焚き機能と物置を設置した場合の推計費用は54億8000万円と見積もっている。費用は国庫負担金と、県の負担分が震災復興特例交付税として措置されるため、全額国庫で設置される。

今年2月には共産党の山下議員が風呂の改修を迫っている。

浴槽の交換をせずに追い炊き機能付きの湯沸かし器を業者に頼んで付けている人がいる▽風呂用の電気保温器は2万円程度で市販されている―などの例を突きつけ、「やる気さえあればすぐできる」と迫りました。

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これだと3万5千x1万3千=4億6千万円だ。さすがにこれでは難しいだろうが…

ちゃんと工事をするとどうなるか。


のQ&Aでは下記の通り。

うちで値段を聞いたのは、追い炊きと給湯・浴室乾燥・床暖房の3系統まで使えるもので20号機、定価26万が14万ちょっとでした。
ほかにリモコンや配管カバー、取り付け部材、換気用ふたセットが入ります。旧機械の処理代もかかります。

うちの場合は工事費も入れると25万ほどです。


ということで、まあクーラー並みだ。まとめ買いで一戸当たり20万として26億円。

これに対し県の計算だと、55億÷1万3千戸=42万円ということになる。工事の内容からするとえらく高い。
まして55億と780億ではあまりに違いすぎるが、なんなのだろう?(すみません。42万は物置こみの値段でした。写真で見るとかなりちゃちな物置で5万もしないでしょう。それを差し引けば37万ということになります。それでも相場の1.5倍です)


すみません。戸数間違えました。東海新聞の数字は岩手県の数のようです。
全国の仮設全体では約5万3千戸でした。1戸当たり37万で計算すれば、195億になります。

ところが国の予算では781億円÷5万3千戸=148万円ということになる。つまり、県の段階で2倍近くに吊り上げ、さらに国のレベルで4倍に吊り上げていることになる。

山下議員の2万円という見積りからすれば74倍に膨れ上がったわけだ。誰かが「共産党も反対は出来まい」と思って、悪乗りしているようだ。

と、かように思うのだが、如何でしょう。



三菱重工と日立製作所が火力発電事業を統合することで合意したという。
すでに水力発電事業は統合済み。

今後の電力の柱のうち従来型発電が一本化されることになる。
その先が問題だ。
原発では、三菱が加圧水型で、日立が軽水炉型だ。両者は競合関係にある。しかしそんなことは言っておれん。原発そのものがなくなってしまうことになれば困る。そこで統一戦線を張ろうというのが事業統合の意味だろう。
もう一つは、原発にこだわっていては新エネルギーに立ち遅れる、業界リーダーとしての地位を確保して、新規企業の参入に対抗して行こうということも考えられる。
さらに考えられるのは原発村全体の利益を守るための要請だ。今後の火発はLNGの輸入価格しだいで経営が左右される。買い取り制度が発足し、発送電分離が進んでいけば、安価なLNGを購入できれば、たとえば君津あたりの製鉄会社、精油施設など後発の発電会社でもあっという間にのし上がれる状況がある。
火発プラントそのものの建設費やノウハウはさほどのものではないから、異業種の参入も十分考えられる。

こうなってくると電力会社とプラントメーカーで作ってきた独占体制が根本から揺らぐことになる。まさにお家の一大事だ。

太陽光発電の記事を書いていて気になったのだが、結局、原発に代わるエネルギーってなんだろうという問題は、もう少しまじめにやっておく必要がある。

赤旗も、再生可能エネルギーへの転換というが、一足飛びにそこには行かないだろうと思う。当面LNGの確保に全力を挙げることが一番だろうと思う。その際一番の問題が価格だ。
このままの貿易赤字が続いて、しかもこれから円安に振れていくとなると、10ドルを切ることを目標に安定した輸入先を確保することが最優先課題だ。
もちろんLNGはCO2 を産出するから、それでOKとはならない。最低でも何らかの再生可能エネルギーとのミックスが必要だ。

GEのCEOは風力との組み合わせを説いているが、これが日本における解決策かといわれると、どうも問題なようだ。
とにかく故障が多すぎる。何とか公団のホームページを見ると運用停止の風車があまりに多いのに驚く。
10年ほど前、近くに大型パチンコ店が出来て、小型の風車を10本あまり取り付けた。2年も経ったら半分は回らなくなり、5年ほどですべて取っ払われた。どうも風力発電は日本の気候に向いていないのではないかという感じだ。

太陽光はいわば出戻りだ。一世を風靡したものの、コスト面でアウトになった。その問題はいまだ決着がついているとはいえない。積水ハウスのセールスマンですら、元を取るのは20年以上といっている。そのあいだに買い取り法律がどうなるかも分からない。下手をすれば始末に負えない粗大ごみとなる。これでは「武士の一存」というか趣味の世界だ。

私が考えるに、日本はこれまで資源を外国に頼ってきた。これからも外国に頼って生きていけばよいのではないかと思う。三井物産がアルゼンチンのパタゴニアに風力発電を作って、その電力を液体水素にして運ぶという計画を立てている。トルエンにくっつけても良い。そして火発でLNGと混焼する。私はこれだと思う。

基本エネルギーに関する政策はままごとではすまない。そこさえ覚悟しておけば、節電・省エネと並んで自家発電はおおいに意味があるし、比率としてもけっこう稼げるのではないかと思う。

このくらいのスタンスで行くべきではないか。

面白いデータが出た。
共産党の質問に答え政府が試算した結果である。

沖縄県内の米軍施設は230平方キロ。ここに太陽光発電設備を設置すると、年間160~240億KW時と出た。

沖縄電力の年間電気販売量は74億KW時だから、2~3倍に相当する。

とはいえ、むざむざ一等地にパネルを敷き詰めるだけというのも能がない話だが、最悪でもそれだけの価値はあるということだ。液体水素にして持ち出す技術が開発できれば、有力な産業となりうるかもしれない。

さらに構図が明らかになってきた。
突然流れたNHKのニュース、それに続く読売の社説と、北海道狙い撃ちのキャンペーンが始まったが、それを受けて今度は政府が直接乗り出してきた。

赤旗道内版によれば、
2日に政府が道内電力需給対策として7%節電を要請し、「計画停電回避緊急プログラム」を全国で始めて策定した。
これに対し、日本共産党北海道委員会は以下のごときコメントを発表した。

①「危機」の根拠は不明確
2月の最大需要予測は563万KW、これに対し供給力は596万KWで、予備率は5.8%となる。
最低必要な予備率は3%とされており、その約2倍が確保されていることになる。危機感煽りは正しくない。

②もし危機とすればあまりにも遅い対応
東京電力や東北電力は、原発再稼動を見込めない下で、安定供給の責任を果たす立場から30万KW級の火力発電所を3台設置するなど緊急電源の対策を講じました。


とくに②が初耳だった。1年も前から不足が見込まれるのなら、どうして火発を建設しなかったのか、ここを明らかにすべきです。ちゃんと他所では出来たのですから、間に合わなかったでは済まされません。

おそらく北電は不足などと考えなかったからではないでしょうか。それを東京のほうから騒げとせっつかされているのではないでしょうか。
どちらにしても、社会の命綱とも言うべき電力をこのように弄ぶのは、社会紊乱の罪に問われてもおかしくないでしょう。不遜のきわみです。


もう一つ紹介の紹介。
「ルポ イチエフ-福島第一原発レベル7の現場」という布施祐仁さんの本を、丸山重威さんが紹介している。

「捨て場のない核廃棄物」とともに原発の「非倫理性」の筆頭にあげられているのが、正常に運転していても被曝で健康をむしばまれる人が必ず出る「原発労働」の問題だ。
…犠牲者を出さずには成り立たない原発という技術は、非倫理的だ。

「イチエフ」とは福島第一原発の意味だ。
…東電は7万~10万円の日当を出しているのに現場では1万円ちょっとの下請け構造だ。
…「線量パンクしたら使い捨て」という汚染水処理の作業員の言葉。
…多くの人が語り、随所に見られる「使い捨て」という言葉が印象的だ。

廃棄物問題と同列に置くのは、さすがに同意しがたいが、深刻な問題だということは間違いない。

それにしても20年以上も前に読んだ「原発ジプシー」と同じ構造がそのまま温存されているんですね。

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