編集部の見解: ベネズエラでの新型コロナ感染はとくに恐ろしい見通しになっている。ベネズエラはフロリダから1千マイルの距離にある人口3千万人の国です。この国はまもなく新型コロナのあらたな震源地となる可能性があります。そしてラテンアメリカの近隣諸国にとって大きな脅威となるでしょう。
カテゴリ: 16 国際政治/ラテンアメリカ
ボリビア 議会を通じてアメリカの支配を覆す
キューバ グランマ紙
october 20, 2020
In Bolivia, MAS is more
ボリビア人民は、軍事クーデターのあとも真実と尊厳を失っていないことを鮮やかに示した。
「MASのみなさん、おめでとうございます。あなた方はOASと帝国主義のに導かれた裹頭勢力が奪った政治権力を、選挙という方法で奪い返すことができました」そして「キューバはルイス・アルセ勝利の喜びを分かち合っています。ボリバル主義の理想がよみがえりました」
「ありがとう、カネル大統領。団結した人々は、選挙という方法により、経済的、社会的、政治的な回復と安定を決意しました。そして我が人民は希望を取り戻しました」
アルセ候補の当選の弁
むかし何かで読んだのだが、「国会で安定した過半数を占めることができるならば、国会を反動支配の道具から人民に奉仕する道具に代え…」という一節があった。
まあそれはどうでも良いのだが、今回のボリビアのケースを見ているとまさにそういう実感が湧いてくる。
キューバにおけるコロナとの闘い
1. キューバの感染状況
ウィキペディアより転載
7月にはいったん完全な封じ込めに成功したが、その後8月からぶり返し、ばらつきはあるものの平均40~50人の新規感染数で推移している。しかし世界的な動向から見れば抑え込みに成功しているとってよい。死者数もきわめて少ない。
キューバがコロナ抑え込みに成功した理由
その1 訪問診療の威力
システム
ファミリードクターが一人当たり約200世帯を受け持ち、
各家庭を週に1回訪れている。
感染者や要注意対象はさらに頻回の往診を行う。
効果
感染者の早期発見・早期隔離が可能となり、
集団感染のリスクも抑えられ、
医療崩壊も起こらない。
キューバがコロナ抑え込みに成功した理由
その2 濃厚接触者への「濃厚な」対処
濃厚接触者『全て』を2週間入院させる
入院先は陽性者とは別の施設
総入院者は感染者の約3倍にのぼる
濃厚な対処が可能なのは国民的合意のため
健康は全ての国民に与えられる人権で、
国民ひとりひとりがその獲得に尽力する
キューバがコロナ抑え込みに成功した理由
その3 新規薬の積極利用
20種以上の薬剤で治療
免疫賦活薬 インターフェロンα 2b、バイオモジュリンT
インターフェロンα 2bはデング熱、HIV-AIDS、B型およびC型肝炎で
有効性が試されている
重症化した患者にはジャスビンザ(Jusvinza)
新規薬を使わざるを得ない理由
アメリカは医薬品まで封鎖している。キューバへの販売は犯罪。
第三国で作った製品でも処罰対象になる。
さらにアメリカはインターフェロンα 2bを使わないよう各国に呼びかけている。
キューバがコロナ抑え込みに成功した理由
その4 圧倒的な医療スタッフ
医師数が多い: 人口1,000人中約8.7人が医師(日本は2.6人)
外国人も多数受け入れている
緊急医療援助国際部隊「ヘンリ・リーブス」
コロナ以前より、28,000人を超える医師たちが世界59ヶ国で医療支援
コロナ後には、あらたに2,800人の医師が24ヶ国で活動。
ヘンリ・リーブスは19世紀末に独立戦争に参加し戦死した米国人
米国がベネズエラ向けタンカーを拿捕
まず報道内容から
これらのタンカーは約100万バレル、4億円のガソリンを積んでベネズエラに向かっていた。
米政府は、「友 好国の協力を得て」拿捕したと発表したが、詳細は明らかでない。
なぜこのような事件が発生したのか。
しかしタンカーは公海上を国際法上の違反なしに平和に航海しているのだから、上記の理由で拿捕することは、それ自体が戦争行為あるいは海賊行為に等しい。
そこで司法省は7月に、連邦地裁に対してベネズエラ向け貨物の差し押さえ許可をもとめた。それが今回認められてことから拿捕に及んだということだ。
つまり禁輸措置という制裁行動には、第三国への禁輸おしつけもふくまれるということになる。
米司法省によればタンカーはイラン革命防衛隊が運航にあたっていた。イラン革命防衛隊は米国が「外国テロ組織」に指定している。したがってこれは反テロ行動の一環だ、と主張しているようだ。
赤旗はこの事件を以下のように報道している。
米政府はベネズエラの マドゥーロ 反米政権を『正統性がない』 と見なし、(その結果)同政権を支援するイラ ンとともに石油禁輸を含む制裁を科しています。
この論理で行けば、いずれキューバ制裁も是認するようになるのかも知れない。
ベネズエラ情勢 赤旗が触れない事実
赤旗のベネズエラ記事
グアイドーを支持する野党連合の 27 政党は12月予定の国会議員選挙に参加しないと発表した。『不正選挙には参加しない』との態度を表明した。さらに『ベネズエラは人道危機にあり、犯罪的、抑圧的な独裁が支配している。自由で透明な国際的な監視団による選挙が必要だ』と強調した。選挙管理委員会を任命するのは、国会の役割だが、政府の意を受けた最高裁が勝手に任命した。このように最高裁を野党封じ込めに使うのは政府の常套手段だ。
“難民” は、この間に経済危機で生活の糧を失い、故郷コロンビアに戻った“ベネズエラ人”の数を反映している。
つまりは上流階級による“資本家ゼネスト”のとばっちりをモロに被ったことになる。もちろん彼らを供し続けることができなくなった上流階級の弱体化も反映しているのだろう。
2019 年の国会議員選挙は、自由で正当ではなかった。それは2018 年の大統領選挙より、一層悪いもので操作されていた。
奇跡の国 ニカラグア
ニカラグア革命41周年、おめでとうございます。
1.ニカラグア 最初の奇跡
2.米国と真っ向勝負した10年間
米国と資本家の思いのままにならない政府に対し、ついに破壊命令がくだされました。新政府樹立から5年目のことです。
3.雌伏の15年とニカラグア革命
それからのニカラグアの政治はもう一つのミラクルでした。
5.「愛と平和」の革命
ビットコインで超インフレを回避 ベネズエラの実例
公立医療機関の悪い噂
ビットコインの現金化
ビットコインは私を救った
ベネズエラの仮想通貨「ペトロ」の展望
仮想通貨「ペトロ」の行方は日本のメディアからはさっぱり浮かんでこない。
実はベネズエラの仮想通貨はきわめて興味ある歴史的実験なのである。それはペトロが最初の国家の運営する仮想通貨だというためであるが、もう一つは、そもそもビットコインをふくむ仮想通貨が一般通貨を乗り越えるほどに通用し、それがドル支配体制を乗り越える可能性があるのかという話だ。
だからこそ米国は仮想通貨を犯罪視し、ベネズエラのペトロ運営責任者を国際犯罪者として敵視するのである。
ペトロに関して重要な日本語記事は2つある。一つはロイターの敵意に満ちた記事であり、もう一つはサンパウロの日経特派員の同じく敵意ある記事である。
それ以外の記事は、断片的ではあるが、好意的な印象で書かれているものも多い。その多くは仮想通貨の当事者であり、ベネズエラの積極的な試みが将来に向けての試金石になってほしいという願いを込めたものとなっている。
それらを時系列風につなぎ合わせてみた。
作った後の感想だが、実はベネズエラのハイパーインフレを止めたのはビットコインだったということである。ビットコインはペトロとは違うが仮想通貨であり、その代表である。
ビットコイン購入量の変化(Coindance出典)
この図が見事にインフレ収束とビットコインの関係を示している(左クリックで拡大)
つまりベネズエラの国民は、わずかでも蓄えを増やす経済力のある人々は、通貨ボリーバルが手に入り次第、それを片っ端からビットコインに変えていったわけだ。
そうして必要なときはそれをボリーバルに変えて買い物をすることになる。これで通貨発行量は激減する。承知の通りベネズエラのハイパーインフレは物資不足よりも投機に基づくものだったから、多分投機筋は相当痛い目にあって市場から撤退していったのではないか。
そう思うと、なにか大きな力がアメリカの圧力に対して、ズリッズリっと押し返し始めているような気がしてくる。
ビットコインは相当上下の激しいものだから、普通なら素人が手を出すものではない。しかし十万、百万というインフレに比べればはるかに安全だ。しかも、ここが大事なところだが、アメリカ政府の思うような動きには決してならない。
アメリカはベネズエラ政府をいじめるに際してマドゥロ派ではない一般国民までもいじめ抜いた。それがやりすぎると国民をビットコインの方に押しやってしまうことになる。ビットコインで生き抜いた人々は絶対にアメリカのドル支配を認めないだろう。
とはいえ、それがドル離れのきっかけにはなってもペトロの側にやってくるとは限らない。要するに庶民はもう政治なんてたくさんだと思っているのではないか。
今後ペトロが国民の間に根付いていくのには、それなりの知恵と、何よりもそれなりの年月が必要だ。しかし国民はもはや決して親米の方向には動かないだろう。
国民はハイパーインフレに苦しむ人々を前に、1千万%などと予想を立ててニヤニヤと笑い済ましていたIMFの連中を許さないだろうし、早く潰れろ早く潰れろと囃し立てていたロイターやBBCのことを信じないだろう。もうひとこと言いたいが、それは我慢する。
ペトロに関する時刻表
アヤクーチョ油田は埋蔵されているというだけで、稼働しているわけではない。開発計画も整っていない。(ただしロイター記事)
ペトロ計画の意義を強調。ドル依存の国際市場に一石を投じ、国際市場の健全化・多様化を実現すると語る。さらに、国内のダイヤモンド鉱床やアルコ・ミネロ金鉱も割り当てるとする。
これはかなりの名案と思う。かねてより問題となっていたガソリン補助金の撤廃とペトロの普及が一石二鳥という仕掛けだ。もっともこういう美味しい話には裏があるのが普通だが。
Dさん、ありがとう
Dさん、コメントありがとうございます
1. D 2020年05月25日 15:02
ベネズエラでアメリカがクーデターに失敗
見逃した人は是非、オンデマンドへ
私も録画したが、残念ながらファイル変換の知識はなく皆さんにお見せできない。
もっとも、そんなことをすれば手が後ろに回るかもしれない。
番組紹介文から
6日にベネズエラで大統領殺害を狙ったアメリカ人とベネズエラ人の傭兵グループが捕らえられ、グアイド国会議長の関与が疑われている。捕らえられたアメリカの元海兵隊員は、マイアミにある軍事顧問会社に所属。その会社の社長はグアイド国会議長の関与を明かした。これまで反マドゥーロの立場だったメディアもグアイド氏の関与を次々と報じている。20世紀にアメリカが中南米各国で仕掛けていた謀略を想起させる。
NHKの報道によれば、グアイドのこの行動は「彼ならいかにもやりそうなこと」として受けとめられてえおり、反チャベス・反マドゥーロの野党勢力もふくめ、国内での支持はほとんど失われている。
アメリカのクーデター策動への共感もない。
その後、追いかけ情報が次々に流されている。これまでの“マドゥーロ憎し”の氾濫はどこに行ったのだろう。赤旗は変わるのだろうか。もう少し情報を集めてみる。
ベネズエラのコロナは、メディアの嘘を暴く
4月26日の東京新聞は、①ベネズエラが原油価格低落で危機的にあり、②医療保険制度が崩壊し、③コロナが蔓延していると書かれている。
すごく善意で見ると、記者は筆の勢いでコロナ蔓延と書いてしまったのかもしれないが、少なくとも③については取り消したほうが良いのではないだろうか。
彼らにとっては予想外で、かついくらか残念なことであろうが、ベネズエラではコロナは抑え込まれているのだ。
数はばらつきがあるが、WHOの4月17日の発表ではベネズエラは感染者440人、回復者220人、死亡者10人となっている。4月27日のロイター報道では、感染者数が318名,死者が10名にとどまっている。
この数字はラテンアメリカでは最低部に入る。理由についてはいろいろの見方ができるだろうが、数字だけで見ればほぼ抑え込まれていると見て良い。
ブラジルの感染率は104人/100万人。これに対しベネズエラでは6人/100万人である。
そしてここが大事なところだが、一部の人達には信じたくない情報だろうが、それはベネズエラの経済状況が悪化したあとも変わらない。
2.ベネズエラの医療は国際的な支援を受けている
もちろん無慈悲な経済封鎖のもとで、医薬品などあらゆる製品が不足している。これに対し量は少ないとはいえ、国際機関による支援が与えられている。
経過を少し書いておく。
3月25日、国連はコロナ支援を必要とする優先支援国の一つにベネズエラを指定した。感染者数や重症度ではなく、医療インフラが極度に逼迫しているためである。
彼は国連がベネズエラを優先支援国に指定すると、翌日には早速、攻撃を開始した。米司法省がマドゥーロ大統領ら 14 名を「麻薬テロ」への関与で起訴。
さらに4月に入ると、カリブ海域の「高まる脅威」に対処するため、軍事リソースを倍増すると発表。高まる脅威というのは、マドゥロ大統領など「麻薬・腐敗アクター」がコロナ大流行に乗じて麻薬密輸を強化しているという途方も無いフェイクだ。
IMFも何度も頭を下げたベネズエラ政府を足蹴にして、50億ドルの緊急融資を拒絶した。さらに特別引き出し権(SDR)へのアクセスも拒否した。ベネズエラは、融資額を 10 億ドルに引き下げて、改めて緊急支援を要請したが、その要請も拒否された。
みなさん、
コロナとの闘いにおいて、各国政府の真面目さと人権に対する思いが試されています。
決して、「うまかった、下手だった」という目で評価しないでください。
そもそも「やれません、やりません、その気はありません」の政府がうまくできるわけはないのです。
ベネズエラのように何にもない国、危機にさらされている国でも、コロナを抑え込むことはできるのだ、という事実を見ていただきたいと思います。
ベネズエラにおけるコロナ制圧の状況 を参考にしました。さらに知りたい方はそちらへどうぞ。
ラテンアメリカ: 女性とマイノリティーがコロナの犠牲に
ベネズエラ情勢: 孤立しているのは米国だ
米国はベネズエラの政権転覆を長い間計画してきた。これは公然の秘密である。
2.策動は失敗しつつある
3.マドゥーロ政権を倒すさまざまな試み
4.グアイド擁立の失敗
5.ベネズエラ包囲網のほころび
6.孤立しているのはどちらか
ベネズエラ拾遺選 その5
後ほど明らかになったことだが、国会では出席者数151人のうちパルラ81票、グアイドー70票だった。「もう一つの国会」では出席議員は70人。残りの30人は補欠などでした。
今回の事件は、結局グアイドーが野党の中でも孤立深めていること、それと比例するかのように、ますます彼がアメリカ言うなりの操り人形と化しつつあることを示しています。
ベネズエラ拾遺選 その4
例によって新藤さんの記事のメガホンです。
これは19.12.16の 日経新聞の紹介です。
サンパウロ特派員の外山記者の記事ですが、写真などを見ても、どうやら現地に行って取材してきたようです。何処かの記者にも見習ってほしいです。
1.ハイパーインフレが終熄しつつある
11月の物価上昇率はなお年率で1万%台だが、200万%超に達した年初からは縮小した。
理由は、政府がドルの国内流通を容認したからである。これは自国通貨とドルの公定レートを廃止したことと連動している。
これはある意味で、ベネズエラ政府が敗北を宣言したということだ。そのきっかけはアメリカの取引銀行がドル決済を凍結したことにある。その前は民間にカネがなくても政府にはうなるほどあった。石油を売れば自動的にドルが転がり込んでくるからだ。
ところがその窓口が閉められてしまったから、ドルの残高はあってもブルーバックはないという仕掛けになった。これでベネズエラ政府は干上がったから、屈服せざるを得なくなった。
ベネズエラのやせ我慢を前提に成り立っていた、1千万%という交換レートは一気に瓦解した。これは20世紀末のいわゆる「ドラリゼーション」である。多分大損した連中もいるだろうと思う。
2.IMFの予言は嘘だった
もちろん外山記者がそう言っているわけではありませんが、中身はそういうことです。
2018年10月、IMFはベネズエラのインフレ率が1000万%に及ぶと予測した。しかし現実にはインフレ率は200分の1に縮小した。
こういうのを「最悪の口先介入」というのではではないでしょうか。IMFが蹴っ飛ばして、格付会社がそれを奈落の底に突き落とすというタッグは最悪です。彼らは「失われた10年」の悪の主役でした。
3.物資は溢れている
外山記者は「商店の棚が空っぽで、店の前に長蛇の列」というのは過去のものだといっています。見てきたものの強みです。
スーパーに食料品や飲料が並び、ドラッグストアには欧米メーカーの商品が陳列されていた。現地在住者は「この数年で、今が一番物がそろっている」と口をそろえた。12月中旬にはカラカスのショッピングモールで年末商戦が始まった。
おそらくこのような光景は赤旗記者には信じられないでしょう。なぜなら彼はロイターやBBCのニュースを信じ切っていたからです。
4.固定相場制は悪の温床になっていた
これはきわめて厳しい指摘ですが、まさしくそのとおりです。市場原理を全面否定したその先には、前近代的「非経済的」力関係が復活する他ありません。
しかしながら、この関係を「市場原理主義」として固定的に考えるのは間違いです。我々は自転車を漕ぎなら進歩への坂道を登っています。その時は右足、左足と交互に力を入れながら前にすすむのです。
固定相場制は自国の経済発展を揺るぎないものとするために非常に魅力的なオプションに見えますが、経済は大抵が有利と不利の2つの側面を持っているので、必ず裏を取っていかなければなりません。
肝心なことは進むことであって、そのためには左右に体を振りながら力を込めていくしかないのです。
マドゥロ政権はハイパーインフレによる社会不安を抑え込もうと、18年12月から公定レートと実勢レートの差を近づける方針に転換した。
と書いてあるのは、正しくそういうことを示しているのでしょう。
5.とにかく独立した経済を運営していくのは大変なことなのだ
ベネズエラのシンクタンク、エコアナリティカはインフレの沈静化をこう説明しています
インフレの沈静化は所得減少に伴う一時的な需要縮小という側面も大きい。
原因はどうであれ、ハイパーインフレは極端な物不足の表現です。ここまで民衆の生活を下支えしようと頑張ってきた政府が、もはや万策尽きてその役割を放棄した。
そのゆえに物価は沈静化したのです。経済のブラックホール化です。
外山記者はこう書いています
ベネズエラ国民はBsを受け取った後、競うように闇市場でドルに替え、必要に応じてBsに再び替えていた。日常的にドルを受け取り、支払いにもそのままドルを使う人が増え、経済取引が安定するようになり、国内の物価高騰を抑える効果をもたらした。
それにしても、このような状況を押し付けたアメリカ帝国主義に、どうして怒りが向かわないのでしょうか。
ベネズエラ拾遺選 その3
ベネズエラ 地に墜ちた野党大統領
12 月 4 日 ベネズエラで一つの世論調査が発表された。保守系の世論調査会社メガアナリシスによるものだ。
その結果は、28日の グロボビシオン紙に掲載された。
質問の一つは、次のようなものだった。
グアイドー議長を支持するか?
グアイドーは、大統領を僭称する国会議長である。アメリカを始めとする西側諸国とラテンアメリカのうち親米諸国が承認している。
この質問に対する回答は以下の通り。
① 最早支持しない 68.5%
② 一度も支持したことはない 12.9%
③ 今でも支持している 10.3%
④ わからない 8.2%
という結果だ。
他にも質問項目はあったが省略する。
はっきりしたのは、①と②をあわせた不支持の合計が 85.3% に達するということだ。
この調査会社が保守的傾向の持ち主というのは、「一度も支持したことはない」層、すなわち頑固な与党派が 12.9% にすぎないことからも伺われる。
グロボシオン紙がグアイドーをクソミソに
グアイドーが招集するデモは、すでに結集力はなくなっている。グアイドー人気の低迷と、ベネズエラ過激派のなみいるお偉方の雪崩をうつ腐敗を強調する事以外には、もはや国際メディアの表紙を飾ることはないだろう。グアイドーは、最初は、市民の人気を得ていると信じた。無条件に国際的な支援を受けていると信じ、陶酔した。彼はベネズエラ政府に逮捕されることを恐れなかった。しかし今では、その人気は本当のものでなく、その仕事は死産であったことを認めざるを得なくなっている。
ベネズエラの実情にそぐわない国際対応
御承知のように、日本外務省は公然とグアイドーを支持しているので、グアイドーが要望すれば大使館の接収とイシカワ大使の放逐は時間の問題だと考えられている。現にいくつかの国でそのような措置が実現している。
「赤旗」はマチャドを独裁者として激しく非難する一方、国民の声を代表するものとして、グアイドーに強い親近感を示している。
しかしこれらの見解が、ベネズエラ国民にとって共感しうるものなのだろうか。これらの見解に基づいて取られるであろういくつかの措置は、国民の意志に反する内政干渉とならないだろうか…
私としては深刻な危惧を抱かざるを得ない。
ベネズエラ 拾遺選 2
「人権」への階級的視点は絶対に譲れない
20年前、ノリエガが支配するパナマは米軍の直接侵攻を受け政府を破壊された。外国の武力侵攻に抗議する人々は、親ノリエガだろうが反ノリエガだろうが、海兵隊の標的となった。
今となって明らかなのは、ノリエガはコンタドーラ・グループの先頭に立ってニカラグアやエルサルバドルへのアメリカの干渉を止めさせようとしたから首を切られたのだ。別に国内で独裁体制を敷いたからでも麻薬カルテルに首を突っ込んだからでもない。
10年経てばそういう話は明らかになる。だから歴史を学ぶ人間は誰でも「アメリカが民主主義を言い出し始めたらクーデターが始まるな」ということは分かるのだ。
ロイターもBBCもそのくらいは百も承知でヤマを張るのだ。だから連中の言うことは決してまともに信じてはいけない。少なくともそれを根拠にして綱領を書き換えるなんて言うことは絶対にやってはいけないことなのだ。
繰り返す。「人権」というのは実に階級的な概念なのだ。むかし北海道選出の国会議員で高崎裕子さんという人がいて、この人の決り文句が「強いものに味方はいらない。弱いものにこそ味方が要るのだ」というセリフだった。
国際政治の中でもこの観点は絶対必要だ。弱い国に向かって叫ぶ「人権」が、「弱い国の強者」の人権にならないよう、私たちは心がけなければならない。
ベネズエラ 拾遺選 1
少し遅れましたが、11月はじめに京都外語大学で開かれた「ベネズエラ・シンポジウム」に行ったときの写真を紹介します。
講義では名古屋大学の岡田さんの報告が面白かったです。
1.ベネズエラ問題は人種問題の側面がある
ベネズエラはかつて白人主義をとったこともあり、白人の比率が高いのですが、それでもメスティソが多いのです。
もう一つ、ベネズエラが白人主義をとったということは、白人に人種差別観が強いということを示唆しています。戦前は日本人移民は入国できませんでした。
2.ベネズエラは豊かな国
ニュースを見ているとベネズエラは超貧しい国と誤解されるかもしれませんが、実はとてもゆたかな国なんです。
石油は唸るほどある。国民向けのガソリン代はほとんど無料なのです。少なくとも中流以上の人なら、働かなくても食っていける国です。景気のいいときは、カラカスの下水にはヘネシーが流れているというくらい贅沢をしていました。
それは豊かだと言うだけではなく、富が偏在していることも意味しています。だから非白人系の怒りが燃え上って、それがチャベスを大統領の座に押し上げたのです。
豊かな国ベネズエラには南米諸国から多くに人々が移り住んでいました。その人たちの多くは資産家の召使いとして働いていました。ベネズエラにめぼしい産業はないのでそれより他に働き口はなかったのです。
この表からはいろんなことが読みこめますが、岡田さんの示すようにコロンビア発ベネズエラ行の人口移動が圧倒的だということです。年間53万人にも達しています。
これはちょっと古い1990年の統計です。もう一つの図(ちょっと見えにくいので省略)では、2000年で60.5万人となっています
あらあらですが、20年で1千万人がコロンビアからベネズエラに入って、その多くが不安定就業人口となっていたら、その人たちが経済危機に際してとる手段は帰国でしかないでしょう。
数百万の国外難民がいるのに、あふれかえるような難民キャンプの映像がまったく報道されないのは、こういう事情で説明できるのだろうと思います。
3.ベネズエラで殺人が多いのはチャベスのせいではない
岡田さんが証拠として示した図がこれです。
ベネズエラで「カラカソ」と呼ばれる民衆暴動が起き、これを憂いたチャベスがクーデターを企てたのが1990年のことです。そして出獄したチャベスが大統領選に打って出て勝利したのが1998年のことです。そのチャベスが今度は逆にクーデターをかけられ、民衆に救い出されたのが2002年のことです。
これらの事件は安定した物価水準にも、増加する一方の殺人事件にもまったく影響を与えていません。“良くも悪しくも”、関係ないのです。
あるとすれば、麻薬カルテルの浸透、隣国コロンビアでの武装闘争の激化でしょうか。
岡田さんは別にベネズエラ問題で、どちらに肩入れしているわけではありませんが、メディア(および赤旗)で流されるベネズエラ情報については一定の批判的視点を持っていらっしゃるようです。
キューバ決議からみた国家関係の原則
制裁の内容に含んではいけないこと
京都外大「ベネズエラ」講座でのフロア発言
綱領改定案への感想 中南米評価を中心として
ここまでが総論部分だ。「社会主義」諸国の削除については異論はない。
「世界情勢――二〇世紀から二一世紀へ」の表題を「二一世紀の世界」に変更。
その結果、米国から自立した地域へと変わった。
また非同盟運動の志、バンドン会議の精神は、反核運動の枠に押し込まず、もっと多角的に称揚すべきではないでしょうか。
とりあえずの感想です。
眞樹子さんのベネズエラだより
ハバナからカラカスまで直行便で3時間、お隣、という近さです。
私がベネスエラを訪問していた時、首都カラカスでは、「ノー・モア・トランプ!大集会」と、「女性のための集会」が開かれ、スクレでは「ベネスエラ・キューバ相互連帯集会」が同時に開かれていました、なんとまあ精力的な事でしょう。
今回は「連帯集会」に参加するために、カリブ海に面したクマナ県スクレ市に行ってきました。スクレはカラカスから東へ525キロ、海岸沿いのリゾート地でもあります。
<買い物に来た女性たちと小さなお店の前で>
”愛の高齢者“プロジェクト
ステージでは、”愛の高齢者“プロジェクトが開催されていました。
「どこに餓死する人が?」
フィエスタをやらないわけにはいかない
カラカスの庶民の生活事情
食べるものは調達できるのでしょうか?
病院や教育費は?
サラリーは平均どのくらいでしょう?」
答えは次のようなものでした。
例えば、お米、トウモロコシの粉(主食のパンケーキを作る)、卵、パスタ、油、砂糖、珈琲、ツナの缶詰…いろいろある、
高齢者や障害者にはミルクなど更に多く支給される(安価で)」
キューバのリブレタ(食糧支援)と同じです。(真紀子さんはハバナ在住)
八百屋さんや小売店に行ってみました。食料品の品数は豊富、キューバは比べ物にならないくらいです。野菜や果物の価格はキューバと同じくらいです。珈琲はキューバの半額です。
「病院は種類があって無料のもあります、教育費は大学まで無償です。
ガソリンは激安! だから、ヤンキーが狙う
「え!まさか、それだけ?」 それではトイレチップと同じ金額です。
「ガソリンはリットル幾らですか?」
「ガソリン1リットルは0.0001米ドル、0.01セントだ」
(お店によって為替レートが若干違いますが、1USドル=20,000~23,000ボリーバル、9月末現在)
「は!そんな激安!?」
「いいかい、40㍑買うとする、100ボリバル払う、60㍑買っても100ボリバル、200㍑買ったとしても100ボリバルだ、要するにいくらでもないのだ、ここではオイルは水よりも安い」
ベネズエラ大使らの邦銀口座が勝手に凍結
ブラジル共産党(PCdoB)との会見記
YさんはY大学の先生で、ブラジル経済が専門です。
ニカラグア訪問団でご一緒させていただきました。
ブラジルにきています。PCdoB(ブラジル共産党)の幹部に取材しました。
PT(労働党)とPSOL(ブラジル社会主義自由党)は、時間がなく、取材には至りませんでした。
1 ジルマ・ルセウ(前大統領)の弾劾やそれにいたる2013年頃からの抗議運動には、米国の介入がある。
ジルマの電話が盗聴されていたのは、報道されたように、周知のことだ。
ベネズエラやニカラグアへの米国の介入と似ている。
2 米州機構のニカラグア報告は、きわめて批判的で残念だ。
あれを仕切った委員はブラジル人で、彼はPT派の人だからなおさら非常に残念な状況だ。
バチェレ(現OAS事務局長・前チリ大統領)のベネズエラ報告も残念だ。とまどっている。
個人を越えた、組織のなにか力が働いていると考えるほかない。
(ただバチェレについては「もともと、市民社会との関係が強い人ではないと思う」というようなことを、
おっしゃったと思いますが、全体に微妙な表現で、完全に理解できませんでした)
3 ただしニカラグアのガバナンスがいいと思わない。
オルテガの奥さんが副大統領というのは、まあどうかと思うけど。
4 ベネズエラも民主主義の点で問題があるとは思う。しかしそれでも、今は彼らを支持している。
サンパウロでは長年の友人にききました。彼がいうには、
1 ジャバラトの汚職捜査は、ひどいの一言。PTつぶしの作戦だ。
汚職そのものは、嘘ではないにしても。
2 ジルマ弾劾も、PTつぶし以外のなにものでもない。弾劾のロジックがおかしい。
むろんジルマやイグナシオ・ルーラ(元大統領)が完全に白かどうかはわからないが、
とにかくPTつぶし最初にありきの捜査だ。
3 ボルソナロ(現大統領)は、ブラジルの民主主義的な諸制度をつぶしつつある。
大学予算カットもひどいし、私の研究すら影響を受けそうな状況だ。
PT政権は、科学技術の発展を重視していた。ボルソナルは反対の動きだ。
4 ルラのときに国会内で野党票を買収していた。それは事実で、メンサロン事件とよばれた。
仕切ってたのはディルセゥ議員だが、彼は「good management賞」だ(皮肉)。
ジャバラトと比較したら少額だった。少額で国会を仕切ってたんだから、
効率的な金の使い方で“good management”賞だ。ジャバラトの汚職の規模は、それと比べるとでかすぎる。
5 司法がPTつぶしに加担して、おかしくなっている。 こんな感じです。2019年9月29日
ニカラグアの優しさを疑ってはならない
19.08.21 朝日新聞の記事のようです(新藤さんの紹介)
折り鶴の作り方を教えてくれた女性に再会したい
駐日ニカラグア大使のロドリゴ・コロネルさんが27年前、米国で出会った日本人女性を探している。今夏、長崎と広島の被爆者のために自作の2千羽の鶴を送り届けたコロネルさん。「直接会ってお礼を言いたい」と願う。
コロネルさんは1992年、米国に留学した際、同じクラスの日本人女性から折り鶴を見せてもらった。美しさに感動し、作り方を教えてくれるよう頼んだが「すぐに忘れるなら時間の無駄」と断られた。
あきらめきれず、2週間頼み続けると、一日一折りずつなら教えてもいいと言われた。その一折りを毎日100回練習し、完璧にできれば次を教えるという。
「きっちりと折らないと、形が崩れてしまう」。毎日、練習を重ね、3カ月かけてすべての折り方を覚えた。
女性が見守る中で折り鶴を完成させると、女性は両手を上に上げて “〇” の形を作った。意味が分からなかったが、よくできたという意味なのだろう、と思った。
その後、女性とは連絡が途絶えた。コロネルさんは当時16歳。女性も同じ年齢くらいだったが、名前も覚えていないという。
駐日大使着任、広島長崎悼み届けた2千羽
昨年、コロネルさんは駐日大使として来日。これを機に久しく作っていなかった鶴を毎日折るようになった。レストランやホテルで箸の袋で鶴を折り、サービスしてくれたスタッフにお礼として置く。チップの習慣のない日本で、せめてもの感謝を見せるためだ。
来日後、広島と長崎を初めて訪れた。広島で被爆し、白血病になった少女の快復を願い、少女や友人が千羽鶴を折ったエピソードを学んだ。
千羽鶴に平和への思いが込められていることを知り、今年に入り、広島と長崎のために千羽鶴を折り始めた。4カ月かけたといい、「被爆者の痛みを想像した」と振り返る。
8月7日、千羽鶴を届けようと長崎市役所に行くと、田上富久市長と職員が拍手で出迎えてくれた。30メートルほど職員が両脇に並ぶなかを歩いた。
「ありがとうございます」と口々に声をかけられ、涙がこみ上げた。
千羽鶴は長崎原爆資料館のエントランスに飾られている。
こんな人が大使をしている国が悪いことすると思いますか?
「被爆のマリア」をお父さんが歌にして、それを娘が歌って、その娘の旦那が日本大使をしているような国が悪いことしていると思いますか?
ベネズエラ金融改革とインフレ克服
1.GDPの縮小
2.月次インフレ率
2018年の総インフレは13万パーセントに達しました。
そして12ヶ月経った2019年3月にインフレ率が50%を下回りました。BCVの3月と4月のインフレ率は、それぞれ34,8と33,8%です。
2017年1月以降の月間インフレ率。青はベネズエラ中銀、橙は国会チームのデータ、
50%の緑色破線はハイパーインフレのしきい値。
野党が支配する国会附属機関も2017年11月から経済分析を開始していますが、こちらも3月に初めてインフレ率が50%を下回ったと発表しています。
3.石油と貿易比率
石油輸出収入は、2017年には315億ドルでしたが、2018年には298億ドルに低下しました。
米国による一方的な措置は、ベネズエラの経済、特に石油部門をターゲットとしています。
米国の制裁により、2017年以降、ベネズエラの石油生産量が著明に減少している。さらに制裁はベネズエラに40,000人以上の死者をもたらした。
研究者のJeffrey SachsとMark Weisbrotは、「経済制裁はハイパーインフレと深刻な経済危機に対処する可能性を奪った」と結論を与えました。
6.金融政策の改革
国連人権理事会、ベネズエラ制裁を非難する決議
ベネズエラは非同盟運動の当番議長として、加盟国からの大きな支持を得て国連人権理事会に決議案を提出しました。
すでに今年の5月、国連の特別報告者であるIdriss Jazairyは、制裁がもたらす悪影響に対する報告をしています。彼は「キューバ、ベネズエラ、イランに対する政治的目的での経済制裁の使用は、人権と国際法に違反している」と非難しています。
しかし今回の決議は、ベネズエラにとって重要な意味を持っています。それは理事会が国連の人権高等弁務官ミシェル・バチェレの提出した報告書を体系的に拒否しているためです。
バチェレ報告は、ベネズエラ政府の主要な社会政策を無視しています。そして米国政府による経済制裁についても言及していません。
今回の決議は、米国による経済制裁が「対象国(ベネズエラのこと)の人々の福祉を妨げ、人格の完全な実現を障害している」と述べています。
単独行動主義反対! 非同盟諸国会議の カラカス宣言
ユニラテラリズム(単独行動主義)とマルチラテラリズム(多国間主義)
マルチラテラリズムは非同盟運動の最も基本的な理念の一つです。非常に訳しにくいのですが多方向主義とも訳せます。三カ国以上でやる交渉ならマルチラテラリズムですが、たとえばサミット会議などはマルチラテラリズムとは言いません。大国間の談合はそもそも多国間主義の理念に反するのだから当然です。これは普通「多極化論」と呼ばれます。
これらの合意形成過程を一切無視して、大国が自らの意見を一方的に押し付けるのがユニラテラリズムです。「無理が通れば道理が引っ込む」ことになるので、ユニラテラリズムは本質的に間違っています。
これができるのはアメリカしかありません。だから「単独行動主義」というのは、反多国間主義のことであり、事実上アメリカの覇権主義にほかなりません。
多国間主義の立場に立つ非同盟運動は、単独行動主義と原理的に相容れません。ここがベネズエラやニカラグアの問題を考える上でのキーポイントだろうと思います。
何れにしても世界の国々の3分の2を結集する非同盟運動が、メディアの大宣伝を打破し、単独行動主義との対決を打ち出したことの意義は決して小さくないと思います。
トランプと「ニカ法」
去年の11月、トランプ大統領はニカラグア政府が「米国の国家安全保障と外交政策に対する異常で異常な脅威となっている」と宣言しました。そしてオルテガ政権の閣僚を個人的に制裁する内容の大統領令に署名しました。「個人」と言っても拡大解釈が可能なようにできています。
2.ニカラグアの反応
実際、広く実証されているように、これらの団体は第三国の政府機関や一見私的な組織から多額の資金を受け取っていた。援助団体の元をたぐると、それらは反サンディニスタ政府で暴力的な行動を訴える外国政党や政府にたどり着く。
ニカラグアの学生リーダーたちは、オルテガに対する彼らの戦いを助けてもらおうとして、ワシントンのトランプ大統領や右派政府高官の発言を歓迎した。
学生たちのクーデターの目論み支援するために、USAIDはおよそ7千万ドルを割り当てた。これは前年比で800万ドルの増加だ。
ニカラグア 恩赦法と制裁の根拠
ロシアと中国は米国を「世界を不安定化させ国際法に乱暴に違反している」と非難しており、このところの状況は、冷戦時代以来見られなかった対立を露わにし、世界を危険にさらしている。
私の疑問
1.ボルトンの主張は、ある面では「正しい」のだろうか?
2.NICA法は、民主主義を守るためには必要なのだろうか?
3.交渉を拒否する野党強硬派の立場は、支持しうるものだろうか?
4.「専制のトロイカ」を打倒することは、民主主義の実現を意味するのだろうか?
平和を愛するニカラグア
こういう経過を知っていたら、メディアの“掌返し”に疑問を持つのが普通でしょう。
平和市長会のニュースについては下記もご参照ください
30年ぶりニカラグア訪問 第二報
ニカラグア年表 7/8 ビオレータ・チャモロの大統領就任まで
の87年9月の項目に詳しい経過あり。その他のあいさつ
祝賀会場であるラ・フェ広場には500人以上の外国人客が数千のニカラグア青年とともに並んだ。
オルテガ大統領の前に、副大統領ロザリオ・ムリーリョ、キューバとベネズエラの代表、そしてカトリック司祭アントニオ・カストロ神父がスピーチを行った。
ロサリオ・ムリージョ副大統領はこう述べた。
この40年、ニカラグアは栄光、若さ、歴史、そして未来に満たされていた。「サンディニスタ人民革命」は負けることなく意気高く、前進を続けてきた。
キューバ代表のサルバドール・バルデス・メサ第一副大統領はフィデル・カストロの言葉を引用した。
「サンディニスタの勝利は、45年のソモサ独裁に対する勝利ではない。それは150年にわたる外国支配の勝利だ」
演者たちは平和の重要性を訴えた。また社会的、経済的正義と貧困の撲滅の課題を強調した。
それぞれは米国がニカラグアやキューバ、ベネズエラに対して制裁を科したことを非難した。それはすでに貧困状態にある人々をさらに貧困に追いやることにつながるだろう。
「私たちはサンディニスタ革命40周年を歌う。それはラテンアメリカの歴史を変えたのだ」
30年ぶりニカラグア訪問 第一報
サンディニスタ革命40周年記念集会に参加して
2013年01月27日 ニカラグア大使講演、聞き書き: どうして、サンディニスタが政権に再び就いたか
【サンパウロ山本太一】反政府デモを暴力的に取り締まる中米ニカラグアの反米左派オルテガ政権に対し、国際社会の非難が高まっている。4月以降、当局との衝突などで市民約270人が亡くなった。各国は対話による解決を求めるが、混乱は深まる一方だ。軍や警察がデモ隊や立てこもった市民に発砲し、死者や負傷者が相次いでいる…
みんなをずっとだまし続けるのは不可能だ
少数の人ならずっとだませる。みんなをいっときだますことも可能だ。しかし、みんなをずっとだまし続けるのは不可能だ。You can fool some of the people all of the time, and all of the people some of the time, but you can't fool all of the people all of the time.
「学びなくして連帯なし!」です。みなさんが「知性」のエンジンをフル稼働させてもらうよう期待します。
JICA現地の見たニカラグアの実情
名井弘美JICA所長
「赤旗“ベネズエラはいま“を読む」を読んでくれた方へ
いまどきこの記事を読んでくれる方がいました。
なかなかものが言いづらくなっている今、心より感謝します。
いまは「世界史の回転軸」について考えています。
一方におけるトランプや右翼のゴリ押し、他方における地方選挙と民主勢力の伸び悩みという状況のなかで、「だれに依拠し、どう戦い、どの方向に展望を切り開いていくのか」という変革者の視点がますます必要になっています。
答えは明らかで、「民衆に依拠し民衆のために闘うこと、そして民衆にとって望ましい目標を提起すること」です。
階級闘争が激化すればそこにはバリケードが形成されます。
そのとき、バリケードを挟んで対峙する2つの勢力のあいだで自分がどちらにいるか、自分の居るべき場所はどちらか、そこを見失ってしまったのでは話しになりません。
それは何よりも鍛えられた皮膚感覚と階級感覚が決めることです。五つ星のホテルに泊まりながらバリケードの向こう側を語ることはできません。
捲土重来を期しローマを脱出しようとしたペテロにイエスは問いかけます。
「クオ・ヴァディス、お前はどこへ行くのか?」
そしてイエスは自ら応えます。
「君は去れ、私は向かう」
若い人には勧められませんが、余命いくばくもないジジババにはずしんと応える呼びかけです。
ベネズエラ 果たしてどこまで政府の責任か?
アメリカのペロシ下院議長とバイデン元副大統領(共に民主党)によるグアイド大統領承認は、ワシントンの悪意ある合意の最新版です。
2.根拠のないベネズエラ非難をそのままにしてはおけない
3.「元を正せば」のどこが「元」なのか?
ベネズエラの野党はいつもこう主張します。「制裁も、原油価格の下落も、国の経済的困難を合理化するものではない。全ては経済の誤った管理のせいだ」と。
そこに続いて石油価格の下落、そして制裁というわけです。
4.米国のベネズエラ干渉の歴史
1999年にゥーゴ・チャベス大統領が当選したときから、米国は新自由主義と米国の覇権の受け入れを拒否するベネズエラ政府に干渉を続けてきました。米国の敵意はさまざまな点で経済に深刻な打撃を与えました。
国際制裁もトランプで始まったのではなく、2015年のオバマ時代に始まっています。オバマはベネズエラを米国の国家安全保障への脅威と呼んで制裁を命令しました。
5.闇市場対策の失敗
6.独裁者のレッテルは千回も貼り直される。
メディアはベネズエラ報道において良質な情報源が徹底して不足しています。
ベネズエラの民主主義に関する声明は、露骨な誤解を招くものから正確なものまで多岐にわたります。
実際には、その動きはHetlandが議論したものよりも悪かった。
一時、政治的地位が大幅に下落したカプリレスは、政府との対話を主張する穏健派野党に鞍替えし、多くの市民の支持を集めました。
しかしカプリーレスはその政治的地位を利用して党内に過激派を招き入れました。その結果、国内対話を起こすための努力は水泡に帰したのです。
8.最後に
ベネズエラと「みにくい日本人」
それらが、ベネズエラの地に限って日本人植民がきわめて少ないことの説明だ。
60年代初頭のカラカスのハイウエイ
写真はいずれも60年代初頭の絵葉書
あとで調べたら、この本は当時のベストセラーで、ようやく増え始めた海外生活の指針として重視されたらしい。
著者を日本人と知って諭したパン屋のワンさんは、チャベスを支持してきた“色付き”の人々と重なるのかもしれない。
「医療・社会保障がベネズエラを壊した」のだそうだ
1.ベネズエラの戦いを妨害する米国リベラリスト
それは、健康保険業界を国有化し、それを仕事にしたいと思うすべての人を保証し、そして大幅に増税し、経済への政府の介入を増やしました。
3.医療・社会保障は国家を滅ぼす
誰かが進歩的な政策思想に反対するとき、その理由としてベネズエラを引き合いに出します。その人は知らないか、嘘をついているか、またはその両方です。
アメリカは社会主義国になることは決してありません
この文章からはいくつかのことが読み取れる。
1.ベネズエラ野党の反対理由は、反民主主義や独裁よりも医療・社会保障政策への反対にある。
2.米国の民主党やリベラル派も、医療・社会保障政策を強調するが、これは「社会主義」であり許されない。
ということで、日本で報道されている論点とはだいぶ違うことが分かる。そもそも、より人道的なのがマドゥーロ政権なので、彼らはそのゆえに非難されているという側面がある。
私達もロイター、BBC、アムネスティなどのヒステリックな人道攻撃に惑わされないようにしなければならない。
アムネスティはトランプのベネズエラ攻撃をどのように支援しているか
国際正義はベネズエラの人権侵害を防ぐ唯一の希望です。 さらなる残虐行為を防ぐために、“利用可能なすべてのメカニズムをアクティブにする”時が来ました。
ベネズエラの人権状況を本当に心配している国は、“普遍的管轄権の適用”を探るべきである。
それまでは、ベネズエラは年間約20億ドルの医薬品を輸入していたのです。
そのときアムネスティはこう言っています。
アムネスティは、これらの制裁措置について意見を表明するつもりはありません。そうではなく、ベネズエラが直面している深刻な危機に対処する、緊急の手当の必要性を強調しているのです。人権に関しては、これを解決するのがベネズエラ国の責任です。
カラカスの貧しい地域は特に影響を受け、最も多くの犠牲者を登録した。当局との衝突で殺害された犠牲者は、「犯罪者」として後に提示された。
BBCとベネズエラ:偏向とウソ
リード
チャベスは大統領の任期を経るごとに「力に酔いしれた」ようになった。そして力に身を任せるようになった。
題名に惹かれて訳したが、あまり水準の高いレポートではない。おそらくトロツキスト系青年のなぐり書きであろう。
“それはBBCが沈んだ闇の深さを示しています”というのがかっこいいが、なぜBBCがその闇に突っ込んだかについては言及されていない。
もう少し探してみる。
ペルー政府、ベネズエラ大使館職員へのビザを取り消す
私がイシカワ大使にうかがった話では、一昨日深夜、コスタリカの大使館に「グアイド政府の代表」なる人々が乱入し、明渡しを迫ったそうです。コスタリカは忠実なアメリカのしもべですから、これを黙認したようです。
世界中にいま、無法が罷り通っています。
ベネズエラ国のなぶり殺しが始まっている
ベネズエラ “制裁が後” は蘆溝橋の論理
以前から指摘しているように、民衆の生活の困難の最大の原因は、非人道的な経済制裁と金融封鎖にあるのだから、それをやめることがもっとも有効なやり方だ。
しかも一文の金もかからない、命の危険もゼロ、明日からでもできる方法なのだ。
その上で、再選挙でも何でもやればよい。それでマドゥーロが敗れてまったく問題ない。
とにかくそれが最初のアプローチではないか。
ところで、一部の人から「ベネズエラの苦境は制裁のせいではなくマドゥーロ政権の失策のためだ」という意見が出ている。「なぜなら失政の影響のほうが早くから出現しているからだ」というのだ。
たしかにその意見には一理あるのかもしれない。しかし、だからといって経済制裁をそのままにしてよいということにはなるまい。
問題は7月7日に蘆溝橋のたもとで、どちらが先に鉄砲を射ったかではあるまい。それが日本軍ではなかったにせよ、それを機に戦争へと持ち込んだのは間違いなく日本軍だ。このことで侵略軍の行動を合理化してはいけないのではないかと思う。
それにしても、グーグルの検索機能は明らかにおかしい。ベネズエラと入れて100件出てくると、「似たような記事はなんとか」といって、検索を打ち切る。
ずっと「メディア」のせいにばかりしてきたが、どうもそればかりではないのかもしれない。
そろそろ意識的にグーグルに頼らない検索エンジンを育てる運動を始めるべきではないか。
すみません
私のベネズエラ関連ファイルは下記のホームページから
サイト内検索でベネズエラと入れると、ズラズラと出てきます。
ホームページ「ラテンアメリカの政治」ではここから
坂口安紀さんとベネズエラ
ベネズエラ ジャーナリズムの“恥ずべき沈黙”
リマグループの動きは逐一報道するが、セラックの動きは報じない。(CELAC: 全ての中南米諸国33カ国が参加し,2011年12月に発足した組織。将来的な中南米統合を長期的な目標に掲げている 日本外務省HP)
ベネズエラ国民がいまなぜ苦しんでいるか。それは米国が経済・金融封鎖を行っているからだ。石油生産を妨害し、商品を売り惜しみして価格を吊り上げているからだ。
すみません。「記事検索」窓に“ベネズエラ”と入れてブログ内検索してください。
ベネズエラ評価 せめて WSJ 並みの知性を
分かることは…
ウォールストリートジャーナルのほうが、ロイターその他の一般メディアよりはるかに正確だ、ということ。
などもご参照ください。
ベネズエラに関するチョムスキーらの公開書簡
グーグルのネグレクト攻撃が始まった。ベネズエラ大使館のホームページが検索候補を外されたようだ。
私自身も一度経験があって、日大アメフト事件の際に日大理事長を辞任させないと問題は片付かないという記事を書いた。そのときに山口組の司組長と理事長の握手する写真を引用掲載した。アップ後2日目にその記事は検索ページの1ページめに掲載された。ところが3日目になるといきなり消えた。なんと記事名をそのまま載せて検索してもヒットしないのだ。
今回、大使館のホームページが消えたのも同様のメカニズムが効いているのではないかと疑ってしまう。
とりあえず下記の記事にリンクを張っておく。なお訳文は大使館訳に一部手を加えている。小見出しは私がつけたもの
メディアが報道しなかった法王のベネズエラ発言
“In Panama, the Holy Father has been informed of the news coming from Venezuela and is closely following the situation as it evolves. He is praying for the victims and for all the people of Venezuela. The Holy See supports all efforts that help save the population from further suffering”
フランシスコ法王がベネズエラでの与野党和解を調停し、大統領選挙の実現に尽力したことは、ラテンアメリカでは周知の事実である。
ベネズエラ 衝撃の“クーデター未遂事件” | 国際報道2020 [特集] | NHK BS1
https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2020/05/0521.html
いずれ消えるでしょうからお早めに。