鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

カテゴリ: 16 国際政治/ラテンアメリカ


19.08.21 朝日新聞の記事のようです(新藤さんの紹介)


折り鶴の君、いまどこに 
27年前の米国、「一日一折り」教わった手順


ニカラグア千羽鶴
   田上長崎市長に自作の千羽鶴を届けたニカラグアのコロネル大使


折り鶴の作り方を教えてくれた女性に再会したい

駐日ニカラグア大使のロドリゴ・コロネルさんが27年前、米国で出会った日本人女性を探している。今夏、長崎と広島の被爆者のために自作の2千羽の鶴を送り届けたコロネルさん。「直接会ってお礼を言いたい」と願う。


コロネルさんは1992年、米国に留学した際、同じクラスの日本人女性から折り鶴を見せてもらった。美しさに感動し、作り方を教えてくれるよう頼んだが「すぐに忘れるなら時間の無駄」と断られた。


あきらめきれず、2週間頼み続けると、一日一折りずつなら教えてもいいと言われた。その一折りを毎日100回練習し、完璧にできれば次を教えるという。

「きっちりと折らないと、形が崩れてしまう」。毎日、練習を重ね、3カ月かけてすべての折り方を覚えた。


 女性が見守る中で折り鶴を完成させると、女性は両手を上に上げて “〇” の形を作った。意味が分からなかったが、よくできたという意味なのだろう、と思った。


 その後、女性とは連絡が途絶えた。コロネルさんは当時16歳。女性も同じ年齢くらいだったが、名前も覚えていないという。


駐日大使着任、広島長崎悼み届けた2千羽


 昨年、コロネルさんは駐日大使として来日。これを機に久しく作っていなかった鶴を毎日折るようになった。レストランやホテルで箸の袋で鶴を折り、サービスしてくれたスタッフにお礼として置く。チップの習慣のない日本で、せめてもの感謝を見せるためだ。


 来日後、広島と長崎を初めて訪れた。広島で被爆し、白血病になった少女の快復を願い、少女や友人が千羽鶴を折ったエピソードを学んだ。

千羽鶴に平和への思いが込められていることを知り、今年に入り、広島と長崎のために千羽鶴を折り始めた。4カ月かけたといい、「被爆者の痛みを想像した」と振り返る。


8月7日、千羽鶴を届けようと長崎市役所に行くと、田上富久市長と職員が拍手で出迎えてくれた。30メートルほど職員が両脇に並ぶなかを歩いた。

「ありがとうございます」と口々に声をかけられ、涙がこみ上げた。

千羽鶴は長崎原爆資料館のエントランスに飾られている。




こんな人が大使をしている国が悪いことすると思いますか?
「被爆のマリア」をお父さんが歌にして、それを娘が歌って、その娘の旦那が日本大使をしているような国が悪いことしていると思いますか?



May 30, 2019


ベネズエラ中央銀行(BCV)が3年ぶりに経済指標を発表しました。

1.GDPの縮小

データは、ベネズエラの経済が2013年から2018年の第三期までに47.6パーセント縮小したことを明らかにしています。これについての公式のコミュニケーションはありません。

2.月次インフレ率

BCVのデータは、ベネズエラのハイパーインフレ(月間50%を超えるインフレ)が始まったのが、わずか1年ちょっと前、つまり2018年4月だったことを明らかにしています。

2018年の総インフレは13万パーセントに達しました。

そして12ヶ月経った2019年3月にインフレ率が50%を下回りました。BCVの3月と4月のインフレ率は、それぞれ34,8と33,8%です。

inflation
2017年1月以降の月間インフレ率。青はベネズエラ中銀、橙は国会チームのデータ、
50%の緑色破線はハイパーインフレのしきい値。


野党が支配する国会附属機関も2017年11月から経済分析を開始していますが、こちらも3月に初めてインフレ率が50%を下回ったと発表しています。

3.石油と貿易比率

ベネズエラは、2015年以来、原油価格の下落、経済の不正管理、制裁の結果として、深刻な経済的失速状態に陥っています。

石油輸出収入は、2017年には315億ドルでしたが、2018年には298億ドルに低下しました。

輸入総額は2012年に史上最高となり、660億ドルに達しました。それが2017年には120億ドルまで低下しました。2018年にはそれから149億ドルにまで増加しましたが、依然として1/4以下の水準です。

4.非道な経済制裁

今年はじめ、フアン・グイドが自称「暫定大統領」を宣言します。政府打倒を目指すワシントンは、直ちにフアン・グイドを支持することを決定しました。それ以来、米国財務省の制裁は著しくエスカレートしています。

米国による一方的な措置は、ベネズエラの経済、特に石油部門をターゲットとしています。

ワシントンDCに本拠を置くシンクタンクである「経済政策研究センター」が最近、報告書を発表しています。その結論は以下のようなものでした。

米国の制裁により、2017年以降、ベネズエラの石油生産量が著明に減少している。さらに制裁はベネズエラに40,000人以上の死者をもたらした。

研究者のJeffrey SachsとMark Weisbrotは、「経済制裁はハイパーインフレと深刻な経済危機に対処する可能性を奪った」と結論を与えました。

5.経済改革の挫折

ベネズエラ政府は昨年8月に包括的な経済改革を実施しました。

これには、通貨の再変換、為替レートの切り下げ、通貨をペトロ暗号通貨に固定することが含まれます。

しかしそれにもかかわらず、ハイパーインフレを抑止することはできませんでした。政府はボリバル・ペトロの為替レートを切り下げて給与を引き上げざるを得ませんでした。

最新の昇給は4月末に行われました。

最低賃金と食糧費補助は合計で65,000ソブリン・ボリバルです。これは並行市場レートで約11ドルに相当します。

6.金融政策の改革

ベネズエラ中央銀行は昨年12月に進路を変更しました。通貨安誘導政策の採用です。

DICOMの公式外貨オークションでドルに関してボリバルを積極的に切り下げました。
5月6日、BCVは並行市場指標のペースを維持するため為替管理の廃止を発表し、完全変動相場制へ移行しました。
「交換ボード」は現在、公共銀行と民間銀行によって運営されており、為替レートはBCVに伝えられています。

中央銀行による最近の措置は、流通するボリバルの量の制限とともに、経済のインフレスパイラルを減速させました。

しかしこれは劇薬です。インフレの抑制は需要の縮小を犠牲にしてもたらされることになります。エコノミストは、どこかで資金手当がない限り、このインフレ抑制策には長期的な経済停滞のリスクがあると警告しています。


UN Human Rights Council Adopts Resolution Rejecting US Sanctions

7月13日、国連人権理事会第41回評議会は、ベネズエラに対する米国による制裁を非難する決議を採決しました。

決議案は非同盟国運動(NAM)の議長国ベネズエラとパレスチナから提出され、賛成28票、反対14票、棄権5票で承認されました。

ベネズエラ政府は「決議に対する国連人権理事会の加盟国の圧倒的な支持に感謝する」との声明を発表しました。

この文書は、「すべての国の「譲渡不能な権利」としての自決権を再確認しました。そして一方的な強制措置(制裁)を拒否し、他国や米州諸機関の干渉なしに、国民主権・独自の政治的、社会的、経済的、文化的システムに従って、進むべき道を決めるべきである」と訴えています。

ベネズエラは非同盟運動の当番議長として、加盟国からの大きな支持を得て国連人権理事会に決議案を提出しました。

ベネズエラのホルヘ・アレアザ外相はこう述べています。

すでに今年の5月、国連の特別報告者であるIdriss Jazairyは、制裁がもたらす悪影響に対する報告をしています。彼は「キューバ、ベネズエラ、イランに対する政治的目的での経済制裁の使用は、人権と国際法に違反している」と非難しています。

しかし今回の決議は、ベネズエラにとって重要な意味を持っています。それは理事会が国連の人権高等弁務官ミシェル・バチェレの提出した報告書を体系的に拒否しているためです。

バチェレ報告は、ベネズエラ政府の主要な社会政策を無視しています。そして米国政府による経済制裁についても言及していません。

今回の決議は、米国による経済制裁が「対象国(ベネズエラのこと)の人々の福祉を妨げ、人格の完全な実現を障害している」と述べています。

2017年以来、ホワイトハウスはベネズエラの個人や事業体に対して150の制裁を課しており、食料と医薬品の不足により4万人以上の市民が直接死亡し、1,160億ドルの損失が発生しました。

この数字は、最近の経済政策研究センターによる独立した報告書によって明らかにされています。


「非同盟諸国外相会議」のカラカス政治宣言

上記の会議が7月20日、21日ベネズエラの首都、カラカスで開催されました。
正式名称は「非同盟諸国運動調整ビューロー閣僚会議」というのだそうです。

その会議の「宣言」が発表され、その抄訳を新藤さんが訳されています。大変ありがたい話ですが、それでさえも法律用語風の言い回しで相当読みにくい。

そこで私が勝手に10分で読めるように縮めて言い換えて、読み物風にまとめました。大事だと思うところはゴシックにしています。

もとより正確さにかけているので、気になる方は新藤さんの本文をご覧ください。

はじめに

私たちは…特に平和の推進と国際法を順守する緊急の必要性について率直に討議した。
そして反戦勢力、平和愛好勢力として非同盟運動の役割を果たすために、以下のことを決定した。

平和と国際安全保障の維持のためには、諸国家が国際法の諸原則と国連憲章に従うことが重要である。
とくに主権、政治的独立、加盟国間の国境の不可侵を尊重することを再確認する。

平和的手段を通じた国際紛争の解決を推進する。国連憲章の原則に違反する力あるいは脅迫、軍事侵略の行使を慎まなければならない。

単独行動主義について

特定の国々により押し付けられた単独行動主義的な措置に反対する。
単独行動主義は国連憲章、国際法、人権の侵害を生み出し、国際関係に否定的影響を与える
非同盟諸国にたいし、単独行動主義にもとづく一方的な経済制裁、威嚇的・一方的な制限を慎むべきである。それは主権と独立、貿易・投資の自由に脅威を与える。
非同盟諸国のみずから決定する権利を妨害してはならない。それは国連憲章、国際法の基準と原則に対する重大な侵害となる。
単独行動主義的な措置は逆転されるべきである。こうした措置や法律は即時に廃止するよう要請する。

被害国との連帯

侵略行為あるいは単独行動主義は国際法違反である。それによる被害は賠償されるべきである。

単独行動主義が非同盟諸国、とりわけ発展途上国に圧力をかけるために行うレッテル貼りに断固反対する。

外部からの力の行使の脅迫、侵略行為、抑圧的な措置の被害を受けている諸国民との連帯を引き続き強化する。

以下略


ユニラテラリズム(単独行動主義)とマルチラテラリズム(多国間主義)

マルチラテラリズムは非同盟運動の最も基本的な理念の一つです。非常に訳しにくいのですが多方向主義とも訳せます。三カ国以上でやる交渉ならマルチラテラリズムですが、たとえばサミット会議などはマルチラテラリズムとは言いません。大国間の談合はそもそも多国間主義の理念に反するのだから当然です。これは普通「多極化論」と呼ばれます。

これらの合意形成過程を一切無視して、大国が自らの意見を一方的に押し付けるのがユニラテラリズムです。「無理が通れば道理が引っ込む」ことになるので、ユニラテラリズムは本質的に間違っています。

これができるのはアメリカしかありません。だから「単独行動主義」というのは、反多国間主義のことであり、事実上アメリカの覇権主義にほかなりません。

多国間主義の立場に立つ非同盟運動は、単独行動主義と原理的に相容れません。ここがベネズエラやニカラグアの問題を考える上でのキーポイントだろうと思います。

何れにしても世界の国々の3分の2を結集する非同盟運動が、メディアの大宣伝を打破し、単独行動主義との対決を打ち出したことの意義は決して小さくないと思います。



1.NICA法の成立

去年の11月、トランプ大統領はニカラグア政府が「米国の国家安全保障と外交政策に対する異常で異常な脅威となっている」と宣言しました。そしてオルテガ政権の閣僚を個人的に制裁する内容の大統領令に署名しました。「個人」と言っても拡大解釈が可能なようにできています。
この「Nica Act」が実施されると、米国政府は金融機関(例えばIMF・世銀・米州開銀など)がニカラグア向けに融資するのを制限できるようになります。

オルテガ大統領は、この決定を断固として拒否しました。
M&R Consultoresの世論調査によると、ニカラグアの人々も大部分が拒否しています。それはニカラグアの民主主義にとって有害であると考えられています。

2.ニカラグアの反応

水曜日にニカラグア国会は、92人のうち70人の賛成で一つの法律を可決しました。
それは5つの非政府組織を解散させました。それらは去年ニカラグアで危機を引き起こしたクーデター策動に際して、組織的、財政的にこれを支え、事実上指導的役割を演じました。

ニカラグアの地元メディア “El 19 Digital” はこう書いています。
実際、広く実証されているように、これらの団体は第三国の政府機関や一見私的な組織から多額の資金を受け取っていた。援助団体の元をたぐると、それらは反サンディニスタ政府で暴力的な行動を訴える外国政党や政府にたどり着く。
複数の国際アナリストによると、サンディニスタ政府に対する抗議運動は USAID や NED などの悪名高い米国機関が資金を提供し支援していました。

マックス・ブルメンソール氏は、このようにニカラグアの状況を説明しています。
ニカラグアの学生リーダーたちは、オルテガに対する彼らの戦いを助けてもらおうとして、ワシントンのトランプ大統領や右派政府高官の発言を歓迎した。
「キューバ・ディベート」という雑誌は「USAIDはニカラグアに対するソフトクーデター計画をどのように準備したか」というレポートを掲載しています。
学生たちのクーデターの目論み支援するために、USAIDはおよそ7千万ドルを割り当てた。これは前年比で800万ドルの増加だ。

3.左翼政権諸国の反応

ラテンアメリカの左翼政権を統合する「アメリカ人民連盟」(ALBA)は、ラテンアメリカ諸国の発展を阻害しようとするアメリカの強制を拒否しました。

ボリビアのエボ・モラレス大統領は、オルテガ大統領に「帝国主義に反対するのはあなただけではない」語り、ニカラグアの人々への連帯を表明しています。




July 2019 「米国はキューバ、ニカラグア、ベネズエラへの攻撃を強化している」
Intensification of US aggression against Cuba, Nicaragua and Venezuela

4月16日、ジョン・ボルトンが「ピッグス湾の侵略に参加した退役軍人の会」に出席し演説した。
彼は述べた。「トランプ政権は民主主義、主権、安全、法の支配を擁護する。モンロー・ドクトリンはいまも生きている」

この200年も前に宣言されたモンロー・ドクトリンは、アメリカがアメリカ大陸を好きなように形作る「権利」としてずっと主張されてきた。

ボルトンは、キューバ、ニカラグア、ベネズエラを「専制のトロイカ」だと決めつけ、新たな経済制裁策を発表した。

彼は、この「トロイカ」が崩壊すると、アメリカ大陸は「雪をかぶったカナディアン・ロッキーから輝くマゼラン海峡まで、人類史上初めて自由な半球になる」と宣言した。

モンロー・ドクトリンのこの非常に危険な復活は、「民主主義」とも「人権の尊重」とも何の関係もない。しかしアメリカの経済的権益擁護と左翼政権を排除することには深い関係がある。
ロシアと中国は米国を「世界を不安定化させ国際法に乱暴に違反している」と非難しており、このところの状況は、冷戦時代以来見られなかった対立を露わにし、世界を危険にさらしている。

ニカラグアに最も壊滅的な影響を与える制裁措置はNICA法である。それは「米国は国際貸付機関にたいし、ニカラグアへの貸付を行わせないよう阻止する」と定めている。政府の財政困難を駆り立てている。

国連の特別報告者 Idriss Jazairyは、政治的な目的のために経済制裁を使用することは人権と国際法の違反だと言う。 
「そのような行動は、一般の人々が見せしめや人質にされてしまう。それは前例のない人道的な災害を引き起こす可能性がある」

和平交渉と恩赦法

2月26日にニカラグアの世論調査会社が行った調査では、回答者の90%以上が、家族や地域社会の幸福を保証するために対話、平和、安定を望んでいると回答している。

このような背景の下、政府代表と野党「正義と民主主義のための市民同盟」による交渉が開始された。 協議には、OAS代表や教皇庁代表が立ち会った。

重要な合意がなされている。一つは市民の権利を強化するための手続きに関するものであり、もう一つは昨年の暴力に関連して拘禁された人々の釈放である。それは国際赤十字委員会によって監督されていることになっている。

国会はこれを受けて、2018年4月18日以降の全国で起きた事件で、すべての関係者に完全な恩赦を与える法律を承認した。
政府は市民同盟の反対派逮捕者を釈放した。さらにOASが関与して、選挙改革のための検討プロセスが再開された。

なお保留されている問題は次のとおり。
① 暴力事件に関連して国外逃亡した人々の帰還を許可する。 
② NICA法という違法な米国の制裁措置の停止。それは国の最貧者、最も脆弱な分野に対して度外れに悪い影響を与えている。

「正義と民主主義のための市民同盟」は、政府との交渉を担当する主要な野党グループだった。
しかし、先行きは不透明である。反対派を構成している70の組織のうち多数は、政府との和平交渉をやめて、米国がさらに制裁を強化するようもとめている。

米州機構のアルマグロ事務局長は、囚人の釈放が大幅に進んだことを確認し、ニカラグア政府が健康と教育の改善を進めていると称賛した。 
このため、アルマグロはSNSでは過激派に非難された。

私の疑問

1.ボルトンの主張は、ある面では「正しい」のだろうか?
2.NICA法は、民主主義を守るためには必要なのだろうか?
3.交渉を拒否する野党強硬派の立場は、支持しうるものだろうか?
4.「専制のトロイカ」を打倒することは、民主主義の実現を意味するのだろうか?

平和市長会ニュース(Mayors for Peace Newsletter)の2010年1月号です
記事の見出しは「ニカラグア全自治体が平和市長会議に加盟」となっています。

要旨は以下の通り
2010年1月、秋葉会長は、加盟都市が急増した中米のニカラグアを訪問し、オルテガ大統領や前国連総会議長のデスコト氏らと会見した。
ニカラグアは内戦を経験しており、平和への思いを強く持つ国であることから、核兵器廃絶への深い共感を示した。
オルテガ大統領は、原爆の話は子どもの時から聞いており、是非日本を訪問したいと考えていると述べた。
秋葉会長に、この国の最高の栄誉である「ルーベン・ダリオ文化独立勲章」が授与された。訪問に前後して「核兵器廃絶に向けて努力する」アピールが出され、ニカラグア国内の全自治体が平和市長会議に加盟しまた。

こういう経過を知っていたら、メディアの“掌返し”に疑問を持つのが普通でしょう。

平和市長会のニュースについては下記もご参照ください
2012年11月23日

集会での演説要旨(キューバのグランマ英語版より)

40年集会

オルテガは全国民に「貧困撲滅の戦い」への参加を呼びかける

オルテガ大統領は、サンディニスタ革命40周年記念集会で、数十万人の人々を前に演説した。

彼は演説の冒頭、貧困と失業を根絶するための行動に参加するよう求めた。彼は同時に、予算が全体として削減されたにもかかわらず、道路・学校・保健センター・病院の建設が続いていると明らかにした。

外交の分野では、経済制裁を厳しく批判した。これは新たに採用された攻撃の形態である。それはあけっぴろげの恥知らずの攻撃だ。
どんな国でも、国際法に基づかない制裁措置を課す権利はない。そのような制裁を課した国は犯罪を犯しており、そのような行動は許されるべきではない。

オルテガは問う「結局、誰が苦しむのか? 苦しむのは民衆である。アメリカはなぜ民衆の生活をそのようにして弄ぶことができるのだろうか?」

40周年記念集会に参加した外国人ゲストの中には、アメリカ合衆国から来た「平和のための退役軍人グループ」(Veterans for Peace)がいた。オルテガは、これら元兵士が今では「人類の道は平和への道しかないと確信している」と強調した。その一人が、中米に武器を運ぶ列車を止めようとして足を轢断されたブライアン・ウィルソンである。 「彼こそは平和の本当の英雄だ」とオルテガは付け加えた。

ニカラグア年表 7/8 ビオレータ・チャモロの大統領就任まで

の87年9月の項目に詳しい経過あり。

Brian Willson

オルテガは、国の社会的、経済的発展のために働きたいと思うすべての人々と対話する準備ができていると語った。彼は労働者、技術者、大小規模の生産者と対話すると述べた。

選挙は2021年(前倒しすることなく、予定通り)に行われるだろう。そして我々はそれらを勝ち取るべく準備している。

オルテガは、すべての選挙改革は憲法に従って行われる。選挙の後に「我々は選挙を奪われた」などという抗議ができないようにすると強調した。(El Digital 7/20/19)

その他のあいさつ

祝賀会場であるラ・フェ広場には500人以上の外国人客が数千のニカラグア青年とともに並んだ。
オルテガ大統領の前に、副大統領ロザリオ・ムリーリョ、キューバとベネズエラの代表、そしてカトリック司祭アントニオ・カストロ神父がスピーチを行った。

ロサリオ・ムリージョ副大統領はこう述べた。
この40年、ニカラグアは栄光、若さ、歴史、そして未来に満たされていた。「サンディニスタ人民革命」は負けることなく意気高く、前進を続けてきた。

キューバ代表のサルバドール・バルデス・メサ第一副大統領はフィデル・カストロの言葉を引用した。
「サンディニスタの勝利は、45年のソモサ独裁に対する勝利ではない。それは150年にわたる外国支配の勝利だ」

演者たちは平和の重要性を訴えた。また社会的、経済的正義と貧困の撲滅の課題を強調した。

それぞれは米国がニカラグアやキューバ、ベネズエラに対して制裁を科したことを非難した。それはすでに貧困状態にある人々をさらに貧困に追いやることにつながるだろう。

キューバはニカラグアの成功が帝国主義を苦しめていると言う

キューバのミゲル・ディアス=カネル大統領は、ツイッターでメッセージを送っている。(紛らわしいが、この人は大統領兼首相でバルデス・メサの前の副大統領。プレジデンテはこれまで議長と訳されてきたが、今年から大統領となったらしい)

下記のセンテンス “Nicaragua pains them, love pains them” はとても難しいが、「ニカラグアには棘がある。“愛”という棘が奴らを苦しめる」と訳しておく(我ながらなかなかの訳だ)。
「私たちはサンディニスタ革命40周年を歌う。それはラテンアメリカの歴史を変えたのだ」


本日、北海道AALAでの報告会用の原稿です。

サンディニスタ革命40周年記念集会に参加して

はじめに

目の前に広がっている景色は、35年前に見た景色と同じでした。会場いっぱいの人々、10万人は越えていたと思います。
しかし集会の雰囲気はどことなく成熟したものを感じました。

考えてみればあたりまえの話で、ダニエル・オルテガは私と同世代、あの時が30代後半で今は70歳を超えています。
その下にふた世代積み重なったサンディニスタ党の集会なのです。

あのときは一方で革命の熱気が残っていて、片方ではコントラが大規模な侵攻を開始して、とにかくものすごいテンションだったのです。

いまでは与党とはいえ一つの政党にすぎず、支持しない人もたくさんいます。街にも幟や飾りはほとんど見かけず、サンディニスタがあまり目立たないように抑えている感じでした。

それなのに革命直後並みの動員力を持っているのはなぜでしょうか。これは一つの謎です。

アメリカに負けなかった国: ニカラグア

謎といえば、何から何まで謎です。10年近くも続いた内戦は、自分の責任ではなくアメリカから一方的に仕掛けられたものでした。

とはいえ、内戦のもとで5万人が命を失い、経済が崩壊し自滅した政権だったのに、その後も国民の影響力を失わず、生きながらえ、あまつさえ20年後に政権に返り咲き(しかも平和的に)、今では国民の7,8割の支持を受けているというのは、謎でしかありません。

そもそも自滅というのは正確ではありません。むしろアメリカの雇兵部隊に打ち勝ち、和平にまで持ち込んだことで、国の独立を守り、戦いそのものには事実上勝利したのです。

ニカラグアは小さな国です。面積や人口から言うと、北海道が独立して一つの国になったようなものです。

そんな国がアメリカに正面から立ち向かって勝てるはずはないだろうと思っていましたが、私の間違いでした。それは歴史的に証明されたことです。

ニカラグアは独裁国家ではない

そんなニカラグアを独裁主義国家だという人がいます。これはどこをどう押しても大嘘のコンコンチキです。

サンディニスタは戦いには勝った(というか引き分けに持ち込んだ)のですが、1990年の選挙では負けてしまいました。

彼らは、命がけで守った政権を野党に譲り渡し、長い間野党として活動してきました。

そして16年後に保守党分裂のすきを突いて、ちょっとした手練手管(もちろん平和的な)を使って見事に政権に復帰します。

2013年01月27日 ニカラグア大使講演、聞き書き: どうして、サンディニスタが政権に再び就いたか

それからというもの、世論調査では圧倒的に支持され、選挙のたびに大勝を繰り返しています。アメリカにしてみれば憎たらしいと思うでしょうが、選挙が公明正大だから手を出せずに来たのです。


それが10年も続いているのです。いわば民主国家としてのアメリカのお墨付きをもらったようなものでしょう。それが急に去年になって変わったというなら、その証拠を出すべきではないかな。

メディアは誰を「市民」としているか

今回、これだけ大々的に40周年記念集会をやったのは、単純なお祝いではないと思います。

去年の4~6月に国内で大規模な反政府派との衝突があって、それから1年経って国内はどうなっているのかを世界に知らせたいという思いがあるでしょう。

この「衝突」は2つの否定的影響を与えました。一つはそれまでニカラグアはポジティブなイメージで語られてきたのに、独裁政治のもとで暴力がまん延する危険な国だというネガティブなイメージに変えられたことです。

もう一つは、反政府派(の一部)が武力であちこちを占拠し、道路を封鎖したことです。さらにアメリカなどが制裁を課したことから、GDPは前年比4%(ちょっとうろ覚え)下がったと言われます。

もちろんこれとは別に人命をふくむ物理的被害はありますが、紙面の関係上ここでは省略します。

メディアの事件報道は偏ったものでした。
例えば、毎日新聞は次のように報道しています。
【サンパウロ山本太一】反政府デモを暴力的に取り締まる中米ニカラグアの反米左派オルテガ政権に対し、国際社会の非難が高まっている。
4月以降、当局との衝突などで市民約270人が亡くなった。各国は対話による解決を求めるが、混乱は深まる一方だ。
軍や警察がデモ隊や立てこもった市民に発砲し、死者や負傷者が相次いでいる…
それで市民というのが、この写真です。
民主派
説明文は「車やバイクに乗ってオルテガ政権に対し抗議の声を上げる人々」となっています。こういうのを普通日本では暴走族というけど、山本記者には「自由を求める正義の市民」に見えるらしい。

とにかく、メディアはなんの根拠もなく書き放題です。ベネズエラと同じことが行われています。

ニカラグア政府は紛争をどう抑えたか

今の世界が本当に怖いのは、米国がやると決めた瞬間から、対象国が世界中から孤立してしまうことです。

ドルの購入やドルによる決済が困難になり、世界との通常の貿易が不可能になります。禁輸措置がとられると、ドルを持っていても医薬品すら買えなくなります。さらに通関手続きが制限されることから物資は滞留します。

それらが何をもたらすかはベネズエラで見たとおりです。経済政策の失敗という見方もあるようですが、論理的にありえない話です。

ニカラグアに残された道は唯一つ、ひたすらに隠忍自重することでした。

反政府派がいかに暴力をふるい、破壊活動と封鎖を続けようと、政府は手を出しませんでした。サンディニスタ活動家にも待機の指示が出されました。警察は暴徒の破壊行為を遠巻きに眺めるだけで、事実上為すがままにさせました。

「軍や警察がデモ隊や立てこもった市民に発砲」している写真はありません。彼らが一方的に暴れ、サンディニスタの活動家を“人間タイマツ”にしている写真のみです。

当時の「衝突」は日本大使館が詳しくフォローしています。メディアに頼らざるを得なかったので仕方ないのですが、そのほとんどは反政府の「市民」による暴行でした。

今年3月にニカラグア国内のテレビで6夜にわたって放映されたドキュメンタリー番組が、余すことなく実態を伝えています。(ただし全体に冗長で、目を背けるような映像もふくまれており、日本人向けに手入れが必要でしょう)

ただこれに警察力をもって対応すれば、相手の思うつぼになります。ここは「ならぬ堪忍、するが堪忍」です。

実はこれでネを上げたのが経営者たちでした。
道路封鎖で3ヶ月にわたり全土で産業活動が止まりました。
資本家にとっては全国で無期限ゼネストを打たれたようなものです。

結局最終的にはアメリカと資本家たちの根負けの形になりました。サンディニスタではない普通の人々が、バリケードに立ち向かうようになりました。

7月に入って徐々に道路封鎖のバリケードは解除され、暴徒たちはいつの間にか消え去りました。結局のところ、反政府派の妄動は自己破産していったのです。

反政府派への恩赦と「愛」

暴徒は数ヶ月の妄動の間に、警察官やサンディニスタ活動家など数百人を殺害しました。

普通なら一般刑事犯として処罰すべきものですが、政府はこれらの暴徒に全て恩赦を与えました。無罪ではなく無処罰です。それが反政府派との和解の条件でした。

ただすごいのは、恩赦を和解の条件として提示したのではなく、「愛と平和」というサンディニスタ哲学の基本として提示したことです。

この考えは、かつてコントラとの和平の中で打ち出された考えです。内戦中にコントラは集団虐殺など悪辣な行為を繰り返していましたが、和解にあたっては一切その罪を問わず、土地を与え職を与えました。
nica女性戦士

このときのサンディニスタに対する信頼感が、今も国民の間に強く根付いていると思います。ニカラグアは、党派を超えてすべての市長が反核宣言をしている唯一の国です。

恩赦というのは罰しないということですが、そうではなく「罪は恕されなければならない」という考えが大事なのです。

若干宗教的になりますが、恕すというのは「愛」なしには実現できない行為です。愛の具体的な試金石です。
そこから導かれるのは、神が愛し恕すように我々も互いに恕さなければならないということです。

といっても言うは易く行うは難しい。

サンディニスタの青年と話す機会がありました。彼女も一生懸命勉強して納得したが、納得できない人もいると正直に話していました。

とにかく、このような方針と哲学を掲げた政党が国民の圧倒的支持を受けて活動を続けているという事実を、ささやかな事実ではあるけれども、大いに語っていかなければならないと強く心に刻みました。


25x220=5500

みんなをずっとだまし続けるのは不可能だ

リンカーンの有名な文句に「人民の人民による人民のための政治」というのがありますが、それほどではなくても同じようによく知られた、もう一つの言葉があります。
少数の人ならずっとだませる。みんなをいっときだますことも可能だ。しかし、みんなをずっとだまし続けるのは不可能だ。

You can fool some of the people all of the time, and all of the people some of the time, but you can't fool all of the people all of the time.
というのです。

7月15日から1週間あまり、ニカラグアに行ってきました。そこで多くの出来事を経験し多くの人と接触する中で、ずっとこの事を考えていました。

リンカーンの言葉は絶対に正しいと思います。

しかし、“ずっと” というのは何時までなのでしょう。ヒトラーが政権についてから、廃墟となったベルリンで自殺するまで、世界は12年と1億の人間の死をもとめられました。

その間、世界の人口の半分は「鏡の国」、“ウソがマコトとなり、マコトがウソとなる世界”に閉じ込められました。ヒトラーは ある意味では、“ヒトラー的なもの” の代表にしかすぎません。それはいつか、どこかにか出現するのです。

いま、ラテンアメリカの数億の人々もトランプの作った「人種の壁」の向こうの「鏡の国」に追いやられ、“貧困と無知と暴虐のもとに暮らすアリたち”のように蔑まれています。

日本をふくむ「先進国」の人々は、1%の人々が “99%” を支配し貶めていることを憤っています。しかしその多くは、 “99%” たる「私たち」のなかに中東やアフリカ、ラテンアメリカの人々がふくまれていることを理解できないままでいるように見えます。

だから難民が押し寄せるとそれを害虫のように嫌い、「彼らには民主主義の一員としての資格はないのだ」と決めつけます。それは巨大な情報操作のなせる業です。

そうして作られた歪んだ「民主主義観」が、新興国とそこに住む人々への根拠のないヘイト感情をもたらします。それが結果として、「1%による支配」を補強していくのです。

私たちは今、歴史の流れに究極的確信を抱きつつも、国内外に現存するこうした無知と無関心と偏見の壁をどうしても乗り越える必要があります。この作業にはスピードがもとめられています。

連帯運動は審判する運動ではありません。それはなによりも自らが相手国の人々に学び、闘いに共感し、その教訓と歴史的意味を語り広げていく「知的運動」です。
「学びなくして連帯なし!」です。みなさんが「知性」のエンジンをフル稼働させてもらうよう期待します。


JICAニカラグアの所長あいさつ」という文章を見つけた。現場の感覚は、“独裁政権による流血の弾圧”という一部報道とはかなりニュアンスが違っているように見える。

要旨は以下の通り

所長挨拶
 名井弘美JICA所長

80年代の内戦期を終えて迎えた90年代は、ニカラグアにとって復興に向けた国造りの時代でした。

2000年代に入り、より国としての成長、発展を目指す段階を迎え、特に2010年以降は安定した経済成長を遂げてきました。

ニカラグア人は一般的に誠実且つ真面目で、一昔前の日本のような助け合い精神を有している、親日的な国民です。内戦のイメージが強い国ですが、実は治安も大変よいことに私自身赴任して驚きました。

残念ながら2018年4月に発生した政府・反政府派の対立により、一時的に治安が悪化し、これに伴い経済が悪化しています。

それは、特に貧困層、あるいは貧困からようやく脱却しつつある人々の生活を直接的に脅かしつつあります。

JICAニカラグアは、ニカラグアの良さや強みが活きる協力を展開するつもりです。



2012年08月13日 赤旗「ベネズエラはいま」を読む
いまどきこの記事を読んでくれる方がいました。
なかなかものが言いづらくなっている今、心より感謝します。

 いまは「世界史の回転軸」について考えています。
一方におけるトランプや右翼のゴリ押し、他方における地方選挙と民主勢力の伸び悩みという状況のなかで、「だれに依拠し、どう戦い、どの方向に展望を切り開いていくのか」という変革者の視点がますます必要になっています。

答えは明らかで、「民衆に依拠し民衆のために闘うこと、そして民衆にとって望ましい目標を提起すること」です。

階級闘争が激化すればそこにはバリケードが形成されます。
そのとき、バリケードを挟んで対峙する2つの勢力のあいだで自分がどちらにいるか、自分の居るべき場所はどちらか、そこを見失ってしまったのでは話しになりません。

それは何よりも鍛えられた皮膚感覚と階級感覚が決めることです。五つ星のホテルに泊まりながらバリケードの向こう側を語ることはできません。

捲土重来を期しローマを脱出しようとしたペテロにイエスは問いかけます。
「クオ・ヴァディス、お前はどこへ行くのか?」

そしてイエスは自ら応えます。
「君は去れ、私は向かう」
若い人には勧められませんが、余命いくばくもないジジババにはずしんと応える呼びかけです。


1.右も左もベネズエラ政府を非難

アメリカのペロシ下院議長とバイデン元副大統領(共に民主党)によるグアイド大統領承認は、ワシントンの悪意ある合意の最新版です。

フィデル・カストロ以来、ラテンアメリカの国家元首は一貫して悪魔化されてきました。

しかし、カストロの就任した1960年代は冷戦の極寒の時期でした。今日のベネズエラとは異なり、キューバは一党制でした。

左右両派のベネズエラに関するコンセンサスの範囲は、最近のトランプ大統領とオカシオ・コルテス議員の発言によって示されています。

連邦議会の演説で、トランプはベネズエラの経済危機を社会主義の失敗に帰しました。これに対してオカシオ・コルテスは「権威主義体制と民主主義の問題」であると主張しました。

二人のコメントは互いに補完し合っています。

ワシントンを支配するストーリーによると、ベネズエラは経済的にも政治的にも大失敗です。経済苦境と国家の権威主義的な支配の責任は、マドゥーロと取り巻きにあります。

当然のことながら、主流メディアは疑問を投げかけようとはしません。ほとんどの報道は経済制裁の有害な影響にふれつつも、国家の無能力と汚職にアクセントマークを付けています。

さらに少なからぬ左翼は、少なくとも部分的に節度ある経済制裁を支持しています。国の差し迫った経済的困難を乗り越えるために必要だというのです。

今や、こういったベネズエラ非難を批判的に検討している人はほとんどいません。一部の人々は制裁には異議を唱えますが、マドゥーロ政府を攻撃することで実質的に反対に参加します。

例えば、Gabriel Hetlandによる最近の記事は、「Maduroは権威主義的な手段によって権力を保持している」と述べています。そこではベネズエラ経済を分析した結果、「経済困難の主な要因は、政府の石油収入の管理ミスと汚職である」と主張されています。

2.根拠のないベネズエラ非難をそのままにしてはおけない

私は昨年末、アメリカとカナダで2ヶ月間、ベネズエラへの連帯を訴えるツアーへ参加しました。そのとき、「ベネズエラの経済的、政治的問題を詳しく知る必要はない」という意見をよく耳にしました。それは主要な問題ではなく、主にはトランプの制裁の違法性と軍事介入の脅威だからだというのです。

しかし、「国際法の遵守を!」だけで問題を解決できるのでしょうか。

マドゥーロが恐怖の独裁者であり、完璧に無能な支配者であるとの烙印が押されたら、人々は外国の介入に反対して、ベネズエラ政府を熱心に支持する旗のもとに集まりますか?

私はそうは思いません。

絶対に、政治・経済的の両方を、事実に即して詳しく検討する必要があります。連帯の努力が有効に働くか否かは、ベネズエラ政府の“真実性”にかかっているからです。

マドゥーロ政権についての圧倒的に支配的なストーリーが撒き散らされています。しかしそれは額面通りに取ることはできません。その中に1片の真理があるとしてもです。


3.「元を正せば」のどこが「元」なのか?

ベネズエラの野党はいつもこう主張します。「制裁も、原油価格の下落も、国の経済的困難を合理化するものではない。全ては経済の誤った管理のせいだ」と。

一部の野党アナリストは、要因としての原油価格の重要性を否定または最小化しています。そして「他のOPEC諸国はベネズエラと同じくらい石油輸出に依存しているが、ここまでの経済混乱はなかった」ことを指摘します。

野党の中心的な主張は、ベネズエラの悲惨な経済困難がトランプの制裁実施より先だということです。

2014年半ばから国際原油価格の急激な下落が来たとき、すでに政府の失政が蓄積していたからこそ、原油値下がりがベネズエラに悲惨な影響を与えたというのです。

そこに続いて石油価格の下落、そして制裁というわけです。

2日に渡って野党の大統領候補となったカプリーレスは、「危機は原油価格の下落前に始まったが、長い間政府によって無視され、抑圧され、覆い隠されてきた」と主張しました。

この考え方には2つの誤りがあります。

そもそも、ベネズエラに対する米国の「経済戦争」は、いろいろの要因の中で最も古くから始まっています。トランプによる制裁はそのなかで最終のものです。


4.米国のベネズエラ干渉の歴史

1999年にゥーゴ・チャベス大統領が当選したときから、米国は新自由主義と米国の覇権の受け入れを拒否するベネズエラ政府に干渉を続けてきました。米国の敵意はさまざまな点で経済に深刻な打撃を与えました。

例えば、2006年にはベネズエラ空軍に高価なF-16戦闘機のスペアパーツの販売を禁止しました。このためベネズエラ政府はロシアからの戦闘機の購入を余儀なくされました。

国際制裁もトランプで始まったのではなく、2015年のオバマ時代に始まっています。オバマはベネズエラを米国の国家安全保障への脅威と呼んで制裁を命令しました。

その命令に続いて、フォード、キンバリークラーク、ゼネラルモーターズ、ケロッグ、そしてほとんどすべての国際航空会社を含む多国籍企業によるベネズエラからの撤退が続きました。(オバマを弁護するわけではないがキューバとの国交正常化のための議会対策という側面もある)

2番目に、マドゥロの下の石油価格は2014年以来低かっただけではなく、任期中に急落しました。チャベスの下で起こったことのちょうど反対のことが起きたのです。

高値は期待とコミットメントを生み出します。それが急降下すると、それは欲求不満と怒りに変わります。現在の価格は下落前の水準の半分をわずかに超えた程度です。このため、油価急落は大問題です。


5.闇市場対策の失敗

3つの要因がベネズエラの経済的困難を説明しています。低原油価格、ベネズエラに対する「経済戦争」、そして誤った政策の3つです。

政府政策のカテゴリーで際立っているのは、公定価格と間価格との格差拡大の問題に対するマドゥーロの反応の遅れです。

配給品は市場を通して低価格で販売されることになっていました。しかしその製品の多くが闇市場に回り、法外な価格で販売されたり、近隣のコロンビアに密輸されてしまいました。をれは汚職や密輸の助けになります。


6.独裁者のレッテルは千回も貼り直される。

メディアはベネズエラ報道において良質な情報源が徹底して不足しています。

ベネズエラの民主主義に関する声明は、露骨な誤解を招くものから正確なものまで多岐にわたります。

前者の例は、「ガーディアン」紙の主張です。

そこではベネズエラ政府が「ほとんどのテレビ局とラジオ局を統制している。それらは絶えず親マドゥーロ宣伝を流し続ける」と書かれています。

これは明らかなウソです。実際には、ベネズエラの人々の80%が、3つの主要な民放(Venevisión、Televén、およびGlobovisión)を見ています。これらは贔屓目に見ても親政府であるとはいえません。

もう一つの極端な例ではHetlandの主張があります。

野党指導者ヘンリック・カプリレスが汚職の容疑の結果として、公職立候補権を剥奪されたというものです。ヘトランドはこの決定が政治的に動機付けられたものと述べました。

実際には、その動きはHetlandが議論したものよりも悪かった。

一時、政治的地位が大幅に下落したカプリレスは、政府との対話を主張する穏健派野党に鞍替えし、多くの市民の支持を集めました。
しかしカプリーレスはその政治的地位を利用して党内に過激派を招き入れました。その結果、国内対話を起こすための努力は水泡に帰したのです。


7.軍・警察の暴力

マドゥーロを独裁者と呼ぶ人々には、2つの共通する主張があります。

政府は、2014年から2017年にかけて、政権交代をもとめる平和的デモを残酷に抑圧したとされています。それは4ヶ月間に及ぶものでした。

事実はどうでしょうか、抗議行動はとても平和的といえるものではありませんでした。2014年には6人の国家警察隊員と2人の警官が殺害されました

抗議者たちはカラカスの空軍基地にむけて発砲し、2017年にはタチラ市のいくつかの警察署を攻撃しました。

もちろん、抗議行動に関連して発生した多数の死亡者を取り巻く状況にはさまざまなバージョンがあります。しかしメディアがそれらを提示したことはほとんどありません。まず公平な分析が必要です。

第二に、野党は、昨年5月の大統領選挙は正当ではないと主張しています。したがってマドゥーロの再選は認められないとし否定しています。

大統領選挙を無効とする理由は、それが制憲議会(ANC)によって行われたためであり、そもそも制憲議会そのものに法的根拠がないというのが主張です。

グアイドの大統領としての自己宣言の正当性も制憲議会の違法性を根拠にしています。

8.最後に

第一に、民主的規範の違反や警察による抑圧の事例は、それ自体で政府が権威主義的であるか独裁的であることを証明するものではありません。

第二に、国の経済問題はいかなる種類の介入も正当化するべきではありません。紛争の本当の問題はベネズエラの民主主義の状態です。


むかし、高橋敷さんという人がいてベネズエラの大学で教えたことがある。その時の思い出を本にした。2015年に亡くなられたようである。高橋さんの経歴についてはウィキを参照のこと。
それが「みにくい日本人」(原書房)という本である。当時ベストセラーになったらしい。
1970年の出版であるが、南米在留期間は59~67の8年間である。後半はベネズエラのゲリラ闘争の頃と重なる。ゲリラについては詳しい年表があるので参照されたい。

その中の一節を紹介する。もはや入手困難な本であろうから、著作権など無視してコピー起こしする。

まず飛び込んでくるのがベネズエラの強烈な貧富の差と、それに劣らず強烈な有色人への差別意識。

ついで半ば奴隷としてつれてこられた東洋人(チーノ)に対する無知と蔑視。

それらが、ベネズエラの地に限って日本人植民がきわめて少ないことの説明だ。

最後が、この本の題名になっているのであるが、それに反発しながら実際には迎合し、「名誉白人」の地位をもとめ、東洋人(チーノ)や現地の有色人を差別することにかけて引けを取らない「みにくい日本人」だ。

わたしたちの「AALA人民連帯運動」は、こういう日本人像から脱却し、差別とは無縁の真の国際人となるための、気づきと学びの運動でもある。


2章 残酷と忍従のあと
  1 日本人不毛の地

 ◇夢の楽園

ベネズエラ。ここは夢とロマンスの国、さもなくば恋と情熱とリズムの楽園ともいえよう。
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        60年代初頭のカラカスのハイウエイ
 創市四百年の歴史を持つ首都カラカスは、人口百五十万、マイケティア空港から、またラガイラ海港から、キロメートル当り、時価にして十億円はかかる、片側六車線のすばらしい舗装道路が、いくつかの長いトンネルをくぐりぬけながら、海抜九百メートルの斜面をなだらかにのぼって、わずか二十分で都心部を結びつける。
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         写真はいずれも60年代初頭の絵葉書
 そこには、何階層にも重なり交錯しながら、国の各地方に広がってゆく美しいインターチェンジの白い輪の放列かあり、その中に空高くそびえる二本の政庁ビルを中心に、昼は色とりどりの花園や、
大学都市の広壮な造形に飾られ、夜は南十字の星影と、スケールの大きいネオンにいろどられて、ごみ一つない、清潔な近代都市が、緑ゆたかに広がっている。

 人口九百万、国土は日本の二倍半、たとい国民の半数を占める原住インディオの貧しい生活を、郊外や山間の僻地に捨て去っているとはいっても、この、ぜいたくなまでの富の来たるところを見ようと思えば、飛行機で四十分、西の方、カリブに続く美しいマラカイボの湖面を見わたせばよい。

 そこには、すみきった青空にむかって、無数ともいえる石油并が林立し、スペクトルのように輝きを変えるエメラルドの水面から、おびただしい石油の管が四方に送られる。世界第二の産出量を誇り、この国の貿易愉出の九六パーセントを占める、原油のすきとおった流れこそ、ベネズエラの明日なのである。


 ◇屈辱の日本人

 だが、未来を求めるこの楽園が、日本人にとっては何と耐えがたい屈辱の国なのだろうか。東洋人にとっては、未来どころか、つきまとう古き鎖のまぼろしの国であるかもしれない。

 美しいショーウインドをのぞいて歩きながら、しばしばあわれみとも軽蔑とも分かち難い、冷たい視線が自分に集まるのを意識する。そしで、ささやき合う母と子の対話が耳に入ってくるのだ。

「ごらん、チーノ(中国人)よ。ママ」
「まあ、ネクタイしてるわ、オホホホ。でもかわいそうね」

そしてタクシーに乗って、ますます事の重大さにおどろくのである。
「チーノ。さっさと行き先をいえ」
「俺は(ポネス(日本人)だ」
「何だって、前にもハポネスというチーノを乗せたことがあるぜ。ハポンがチーノの県か、チーノが「ポンの県か。どっちだい」

 腹を立てたってどうにもならない。
「お前、学校で地理を習わなかったのか」
「習ったよ。ハポンやチーノぱ、アヘンと伝染病の産地だって」


 ◇クマーナの町

 カラカスの台地を降りた車が、荒々しい濯木の野を分けて、まっすぐなパンアメリカン道路を東へ六百キロメートル、明るいカリブの青を左に眺めながら、何度かココヤシの林をすぎ、弓なりの木の
幹の間を通りすぎた後、来訪者歓迎のアーチと、漁業の盛んな町を象徴して、マクロを差し上げた少年の裸像に迎えられて、この東部の中心地に到着する。

 その昔、海賊に備えたという、数十門の砲台を据え付けたスペイン風の白い城が、緑に包みこまれて海岸の台地にそびえ、山手の方には人工の濠に影をうつして、日本のどんな大学だって太刀打ちできない、巨大なオリエンテ大学のビル群がひしめいている。

CUMANA

 しかし、これらの人工美にはるかに優り、旅行者の魂を神秘の境にさえ引き入れる、カリブ海の陶酔の輝きはどうであろうか。泳ぎつかれた金髪のセニョリータたちが憩う白糖の砂浜は、背後から、一度はのけぞって、幹の上の方でもう一度おおいかぶさる″びんろう樹”のぬれた緑に包みこまれて、数秒おきに小さくひびくそらからの波のタンバリンに洗われている。

 マルガリータの島影に夕陽が落ちると、空を染めつくした金線の残光が一瞬波の上を走り、びんろう樹の影をとかせていたサファイアの海面が、たちまちヒスイに変わり、やがて深いコバルトブルーの眠りにおちてゆく。

 この美しい海の而を、日々見なれて来たクマーナの人が、どうして人種差別の先頭に立つのか。カラカスでおどろいた対日無知は東部に行くにしたがって、ますます、とうにもならない、ひどいものになってくるのであった。

 ◇チーノーキャノン

 「おーい、来てみろチーノがいるぞ」
 海の美しさに見とれて、ぼんやり岸に立っている私を見つけて、五、六人の中学生が走りよって来た。

 「見ろよ、われわれより上等の服を着ているじゃないか」
 「ワッハッハ。ほんとうにチーノだ」
 「石をぶっつけようか」
 「よせやい。可哀そうじゃないか」
 「オーイ。チーノ。どこから来だのかいってみな。ホンコン、トウキョウ、。ペーピン、それともシャンハイかな、ニッポンかな」

 私は無視してじっと沖を見ていた。明日の朝刊はすべてを解決してくれるだろう。「日本人教授来たる」と。だが、この分では、ペルーでの初講義以上の困難を覚悟せねばならないだろう。別れを惜しむペルーの学生を振りきってまで、苦しみを求めてなぜこんな国にやって来たのだろう。

 それにしてもカリブの海の色あいはどうだ。恋を思いださせ、死をあこがれさせ、情熱のたかまりをかきたてる。とても現世のものとは思えない、生命を吸いこむ美しさなのである。タマーナの人々は、幸せな筈なのに。

 「あなた、見てごらん、チーノじゃない」
 汐風にふかれながら、若い一組の男女が通りすぎる。
 「ややっ。ごらん。チーノがカメラ持ってるぜ。それもキャノンじゃないか。世界の最高級品だよ。おどろいたなあ、まったく」


 ◇学生たちの生活

省略


 ◇黄色いプロフェサー

 さきの吉川教授の人気や、海洋研究所のドクトル・奥田(元北海道大教授)の活躍に目をつけて、東洋人不毛のベネズエラ東部に、一つ日本人を招こうと考えたゴンサレス学長は唯一の知日家だった。

 だが彼にともなわれて初講義に立った私の教室に、溢れるばかりに集まった学生たちは、学問が目的でないことだけは明らかであった。

「さあ、チーノ先生の講義がはじまるぞ」
「犬のサーカスよりは珍しいぜ」
「オー、オー、プロフェッサー・チーノ」
 さすがに礼殼だけは正しいものの、彼らのささやきは、まことにたまらないものであった。

 私は決して腹を立てずにたんたんと天体を論じた。何よりも私は日本の文化を示す道具を持っていた。だが、講義終了後の物理本館の屋上で、これ見よがしに学生実習用に日本からもって来た望遠鏡をすえつけている私をとり囲んだ学生たちの質問は、まことにひどいものだった。

 「先生、これはどこの望遠鏡ですか」
 「書いてあるじやないか。メイド・イン・ジャパンと」
 だが、学生は気の毒そうに訊ねるのだ。
 「それはわかります。私たちの知りたいのは、日本に会社を設けている国の名なのですけれど……」

 彼らによれば、ソニーも、キャノンも、日本の土地にある外国の会社の作品であり、だから商品名も英語であった。そして、私か大散財をあえてして、ラガイラ入港の見本市船「さくら丸」に何人かの学生を招いたことも、結果としては、どれだけの効果があったか知れたものではない。

 「先生、さくら丸はいい船ですね。こういう船が買えるんだから、日本は金持ちだといえますよ。」

 だが、さしもに忍耐を重ねた私か、ただ一度だけ、怒って灰皿をたたき割ったことがある。それは海岸のホテルで開かれた企画教授会でのこと、サービス係のマルコ助教授が、ひとりずつに葉巻を配ったとき、私の番になって一言多かった。

「どうぞ一本、プロフェサー・高橋、残念ながら当地にアヘンはありませんので……」

マルコはびっくりしてしまった。ほんのお世辞のつもりだったと弁明した。しかし、それ以後、私にアヘンの話をしかける者はいなくたった。

 こんな日常に、とつぜん一九六四年オリンピックが東京で開かれたことは幸いであった。大学に出勤すると、あいさつはオリンピックのことであった。

 「先生、昨日テレビを見ましたよ。東京って美しい町ですね。まるでカラカスみたいだ。日本をみなおしましたよ。自動車だって走っているじやないですか」


 ◇侮蔑対策三方法
 このような日常を生きぬいて、しかも教授としての面目を保って学生を指導してゆくにはさまざまの適応型がある。

 日本人教授第一号である吉田氏は学習型であり、報復型である。位相数学の世界的権威が、不心得な無礼学生を徹底的にしぼり上げたのではたまったものではない。だからといって「チーノはむつかしい」と音をあげるには彼らの誇りが許さなかった。学生たちは吉田氏を恐れるようになった。

 奥川氏は研究型、または超越型たった。チーノとか、アヘンとかいう言葉にも、氏は何の反応も示さなかった。

「チーノ、何、俺に名をつけるのか、どうぞ」という氏に、学生たちは、偏見を表明する興味と錢会を失ってしまった。

 東部という日本不毛の世界にとびこんだ私は、説得ないしは生活指導型をとらなければならなかった。日本は世界第三の工業国であること。新幹線も東京タワーもあること。

 そして、そのためには、学生たちを招いて夕食をともにしたり、日本のスライドを紹介する必要があって、日本の威厳のために涙をのんで、一日四十ボリパールの高級ホテル、クマナゴートに往まねばならなかった。
 市内には、十ボリバールを払えば、豊かな生活が楽しめる下宿がいくらもあった。クマナゴートに往んだのは、ただアメリカ大教授、ドイツ人教授か往んでいるのに対抗したにすぎなかった。


 ◇ムスメ売る国日本

 昭和四十年代の世界で、排水口に流れるゴミのように、これだけ日木に対する偏見の集まる場所があるだろうか。だが、たしかに、ここは北半球の一角なのである。

 彼ら、ヴェネズニフ大にとって「チーノ」とは東洋人の総称であり、それは同時に、頸に豚の尾のような弁髪を垂らせ、アヘンを求めて地上に寝転がる人々を意味した。その印象にある「チーノ」は今日もういない。

 だが彼らは、日本の映両が来た時にそれを思い回す。サムライのちょんまげは弁髪の変種なのであった。

 「僕は日本をよく知つてるよ。チーノとは全然別の国だって」
 こんなことをいいだすのも、決まって映画ファンだった。そして、日本映画といえばサムライ、さもなくばエロ映画ときまっていたし、稀に入ってくる受賞作は悲惨な汚れものに違いはなかった。

 「僕は文明社会は嫌になっているんだよ。日本の自然で、カゴにのってゲイシャと寢たらどんなにいいだろう。」
 「ゲイシャはキモノを着ているから普通のセニョリータと見分けぱつくだろうね」
 「ドクトルも日本じゃ刀をさすのかね」
 「日本じゃ人身売貿があつてゲイシャになるんだってね。ゲイシャつて可哀想なんだそうだよ。逃げられないんだ」
 黙ってきいていれば、彼らの会話には何がでてくるか、わかったものじゃない。
 「でもゲイシャにはきれいな人は少ないのだって、日本占領軍の友人がいってたよ。一番いい方法はポリスにチップをやって、一番きれいなセニョリータの家を教えて貰うんだ。」
 「しかしゲイシャは白人にあこがれるんだってね。みんな、もてて、もてて、帰国する時は泣き叫ぶので困るそうだよ」

 だが、ここで私か怒りだしただけでは問題は終わらない。後日、ニューヨークの場末で、時間まちに見た映画の筋は、たしかにこの会話と同じものであった。不良黒人兵が日本の娘に暴行を加えた。だが、MPが来るまで、日本人の弥次馬は集まるばかりで誰も助けようとはしない。そして、娘は黒人兵を慕うよりになるのである。

 「日本は世界第三位の国だぞ」
 だが、ひとりだけ私の叫びに同調する者がいた。キューバのモンテス研究員である。
 「世界一の強国は、アメリカ合衆国を倒して独立したキューバ。次は引き分けに持ちこんだベトナム。三番目は、四年問持ちこたえた日本だ。日本はゲイシャじゃない。キューバの友達だ」


 ◇差別のなりたち

 ベネズエラ人の東洋蔑視には、かつては旧中国の労務者を奴隷として買いこみ、開拓の人柱として酷使した、非道にも深い歴史のいきさつがある。

 侵略者として入りこんだ白人たちが、インカ帝国とは勝手の違う、気性のはげしいオリノコ高地人と融和して、いかにして支配体制を確立するかという命題につき当ったとき、おあつらえむきに現われたのが中国人であった。

 かつて日本の権力者たちが、同じ命題で民衆にむかった時、一体何をしたかを思い出せば、この関係ははっきりするだろう。権力者たちは、気にいらぬ者を犠牲にして、さまざまな方法で責めると同時に利用を試みた。はじめはキリシタンであるとの容疑をかぶせて、鼻そぎ、一寸刻み、逆吊り、蛇責め、油いため、はりつけなど、天才的な工夫でなぶり殺すと同時に、他への見せしめに利用した。

 後には、えた非人制を発明し、反抗する者を殺さず、家族主義の日本人の精神構造を利用した知恵で、子孫代々を苦しめて、しかも、平常は″切捨てごめん″の町人たちにも、権力の楽しさを味わわせる玩具として利用しつくそうとした。

 だが、ベネズエラの白人たちは、残酷を必要としなかった。ただ、希望する中国人を買えばよかった。弁髪に鼻の丸い、のっぺりした顔立ちの人種を見ただけで、高地人たちは大喜びであった。中国人の出現によって、鼻の高い高地人もまた、白人との共通性を見出したのである。


 ◇日本と中国

 事情がわかってみると「自分は日本人だ。チーノではない」といういいわけは、何と思い上がった差別加担行為であったかがわかるのである。チーノは日本そのものにほかならなかった。

 だが、せっかく仲よくなったパン屋のワンさんと、一夜、盃をかわした時、彼ははっきりと私に告げた。

 「高橋さんは別だ。だが、私が世界で一番嫌いなものは日本人だ」と。

 ワンさんは話を続ける。

 「ベネズエラ人の虐待は耐えられる。彼らには、それなりの歴史と理由がある。それに虐待しても決して排斥はしない。現に私の手になるパンを市民は喜んで食べるし、大学祭の仮装には中国服がいつも貸しだされる。だが、日本人はどんな理由で中国人を差別するのか」

 彼は、カラカスに働いていたとき、日本の旅行者に日本人と見誤られた思い出を語るのであった。

 「残念です。私は一つお隣りの中国です。と答えました。その時の旅行者の、さも汚いものに触れたような不快と軽蔑の目つき。私は、高橋さんには悪いげど、これでも五千年の歴史の中で、中国が日本に敗れたのは、最近の五十年間だけだと信じていますよ。日本人はなぜわれわれを排斥するのでしょう」


 ◇便壺と特攻隊

「日本に対する、すさまじいばかりの無知は一体どこから来るのか」

 だが、実際には、この質問ほど思い上がった島国根性はない。田舎の村会議員の権勢などよその町では通用するものではないのだ。

 第一、ベネズエラの教科書に日本の記事がどれだけあるだろう。
一年生で国内地理、二年生で白米地理、そして三年生になって世界地理に進行中学の・課程で、日本の現われるのはやっと三年生の三学期、北米、ヨーロで(を終えた後の「その他の両々」になる。もっとも、その大部分は中国、インド、オーストラリヤであるが。

 第二に、日本の変化が、地球の裏側のうわさ話を形づくるには激しすぎたということ。ナポリ郊外のポンペイの遺跡が、二千年前、ヴェスヴィヤスの噴火によって埋められた、そのままの姿で発掘されてみても、今日の生活様式とのあいだに目だった違いがないのにくらべて、日本の五十年の差違はどうでおろうか。

 第三に、これはもっとも大切なことなのだが、「誤解とか無知」とか感じるのは、むしろ私たちの方が間違っている場合が多いことである。

 「日木には東京タワーがある」
 「日本の汽車は世界一速い」

 こういってくれたら、もちろん日本人は大喜びするに違いない。しかし、この報告と、

 「日本人は大便小便を何力月か貯えて、そのまわりで寝起きするんだってね」

 といううわさと、どちらが一般的に本当に近いかは、胸に手をあてればわかる筈なのである。

 最後に、誤解そのものが世界的な常識であって、日本の方が狂っている場合もいくらでもある。

 「カミカゼというのは、アヘンを吸って、ふらふらになって飛行機に乗りこむんだね」

 私か真っ赤になって怒ったのはいうまでもない。日本人を馬鹿にするな、と。だが、自分で進んで軽蔑を買ったのが私の怒りであった。世界の人々は、(シラフで)爆弾を抱いて突っ込むというという非人間性を理解することができなかった。

 野蛮人ならいざ知らず、日本人が(本当の)文明人であることを認めるためには、自殺する前に精神錯乱の原囚を作る必要があったのである。


◇感激の夜は果てて

後略


あとで調べたら、この本は当時のベストセラーで、ようやく増え始めた海外生活の指針として重視されたらしい。

ウヨクと思われる人たちが「自虐的」と批判しているが、見当はずれだ。要は世界中の人の相対化、つまり嫌なこともふくめて「十人十色」というあたりまえのこと、そして「人の振り見て我が振り直せ」という自戒だ。

著者を日本人と知って諭したパン屋のワンさんは、チャベスを支持してきた“色付き”の人々と重なるのかもしれない。

以下の文章は「USAトゥデイ」の論説(Feb. 18, 2019)です。筆者はベネズエラ人のようです。

題名は
ベネズエラは私の家でした、そして社会主義はそれを破壊しました。 それはアメリカもゆっくりと破壊するでしょう


副題もけっこう長い
万人のためのメディケア」も富裕税もアメリカを一晩でベネズエラに変えることはありませんが、こういう一連の壊滅的な政策がベネズエラ化をもたらすでしょう

以下は要約なので、ご不明な箇所は本文を読んでください。

1.ベネズエラの戦いを妨害する米国リベラリスト

私たちベネズエラ人の多くは社会主義の破壊的な結果から逃れるためにアメリカへ逃げてきました。

しかし、アメリカの自由主義者はベネズエラが失敗した社会政策をまたも受け入れようとしています。
それはベネズエラで飢饉、大量流出および高騰のインフレを引き起こしました。

バーニー・サンダース上院議員やホセ・セラノ上院議員のようなリベラルな政治家は、マドゥーロと同じ種類の政策を称賛しています。
さらに悪いことに、最近の数週間で、Ilhan Omar、Ro KhannaおよびTulsi Gabbardの民主党代表は、ベネズエラ人のマドゥーロに対する抗議行動を歪めて伝えています。
加えて、多くの議会民主党員がメディケア・フォー・オールとグリーンニューディールの提案を支持しています。

そして、マドゥーロの独裁政権を終わらせるためにドナルド・トランプ大統領が広く支持している動きを非難しています。

2.医療・社会保障がベネズエラをだめにした

医療・社会保障政策は、キューバとベネズエラなどいくつかの国が行った重点政策です。
それは、健康保険業界を国有化し、それを仕事にしたいと思うすべての人を保証し、そして大幅に増税し、経済への政府の介入を増やしました。

米国の提案者たちは、彼らがすべてのアメリカ人に質の高い医療、住居、その他すべてを無料で提供できると考えています
そしてどういうわけか、政治家は事業主自身よりもうまく事業を運営できると考えています。

これらの提案は、米国の財政赤字と国家債務を急増させるでしょう。すでに債務は記録的な22兆ドルに達しています。

アレクサンドリア・オカシオ - コルテス議員は、「それでも十分でない場合は、連邦準備理事会に金を印刷させ」て、支払うようもとめました。
まさにこのような医療・社会保障こそがベネズエラの悪夢を引き起こしたものです。

3.医療・社会保障は国家を滅ぼす

リベラル経済学者のPaul Krugmanは最近コラムで論じました。
誰かが進歩的な政策思想に反対するとき、その理由としてベネズエラを引き合いに出します。その人は知らないか、嘘をついているか、またはその両方です。
私は知らないわけでも不正直でもないことをKrugman氏に保証することができます。

もちろん国民皆保険も富裕税だけでも、米国を一晩でベネズエラに変えることはできません。
しかし、これらの対策の全部または大部分が実施されれば、それらはベネズエラにもたらしたのと同じ壊滅的な結果をアメリカの人々にもたらす可能性があります。

トランプ大統領は、最近の州の演説で次のように述べています。
  アメリカは社会主義国になることは決してありません
私は大統領が正しいことを心から願っています、

すべてのアメリカ人は、かならず誤った約束の誘惑に抵抗することができるでしょう。
だからこの偉大な国は社会主義の暗い雲の上に常に輝き、そしてベネズエラの運命を避けることができるのです。


この文章からはいくつかのことが読み取れる。
1.ベネズエラ野党の反対理由は、反民主主義や独裁よりも医療・社会保障政策への反対にある。
2.米国の民主党やリベラル派も、医療・社会保障政策を強調するが、これは「社会主義」であり許されない。
3.民主党やリベラル派を支持すると、米国もベネズエラのようになる。
ということで、日本で報道されている論点とはだいぶ違うことが分かる。そもそも、より人道的なのがマドゥーロ政権なので、彼らはそのゆえに非難されているという側面がある。
私達もロイター、BBC、アムネスティなどのヒステリックな人道攻撃に惑わされないようにしなければならない。


How Amnesty International is Reinforcing Trump’s Regime-Change Propaganda Against Venezuela


Joe Emersberger著


イントロ

アムネスティ・インターナショナルは、読者に情報の誠実さと公平性を信頼するようもとめています。
しかし、率直に言ってそれらは信頼できません。

アムネスティはマドゥロ大統領の支持者たちを悪魔のように扱ってきました。そしてその一方で、反政府側の人々による明白な人権侵害を徹底的に無視してきたからです。

グアイドが暫定大統領に就任した直後、アムネスティは「人権」を最大の根拠として、トランプによる軍事的脅迫を「人権」で偽装させたかのように読める報告を出しました。


チームトランプがベネズエラの「唯一の希望」?

この点に関して、アムネスティのエリカ・ゲバラ米州局長はこう語っています。

国際正義はベネズエラの人権侵害を防ぐ唯一の希望です。 さらなる残虐行為を防ぐために、“利用可能なすべてのメカニズムをアクティブにする”時が来ました。

そして報告書でもこう述べています。

ベネズエラの人権状況を本当に心配している国は、“普遍的管轄権の適用”を探るべきである。

“普遍的管轄権の適用”とは、ユーゴ内戦のときのセルビアのように、国家主権を剥奪することです。アムネスティのベネズエラに対する主張は、思いとしては真剣かもしれませんが、誠実さ、公平さに欠けると言わざるを得ません。

ベネズエラへの米国の軍事攻撃の脅威は、「人道援助の提供」を偽装しています。その偽装役をみずから買っているのがアムネスティなのです。
実際には、ベネズエラは外国からの援助を積極的にもとめ、喜んで受けとっています。そのことを忘れてはならないでしょう。


食料・医薬品へのトランプの攻撃を無視するアムネスティ

2017年8月に金融制裁が始まったとき、アムネスティはそれを非難しませんでした。経済全体への影響が深刻ではなかったというのが理由です。

それから現在までに、ベネズエラは1200億ドルを輸入し、制裁措置により60億ドルを超える追加コストを払っています。

国際石油価格が大幅に値下がりし、その安値が続き、持続的な価格崩壊が始まりました。そのあと制裁措置が始まり、設備の修復管理が困難となり石油生産が急減しました。

それまでは、ベネズエラは年間約20億ドルの医薬品を輸入していたのです。

アムネスティはベネズエラの経済問題を、しばしば人権侵害とごたまぜにして指摘しています。このことを覚えておくことは重要です。

 昨年、私はトランプの制裁を非難するよう求める手紙をアムネスティに送りました。これに対しアムネスティは非難を拒否する旨の返答を送ってきました。

そのときアムネスティはこう言っています。
アムネスティは、これらの制裁措置について意見を表明するつもりはありません。
そうではなく、ベネズエラが直面している深刻な危機に対処する、緊急の手当の必要性を強調しているのです。
人権に関しては、これを解決するのがベネズエラ国の責任です。
米国がベネズエラに与えた破滅的な被害を、アムネスティが一貫して認めなかったのは驚くべきことです。

アムネスティはさらに、1月から始まった追加制裁について、その影響を注意深く「監視する」ようにトランプにもとめました。制裁の「効果」と書かなかっただけ偉いのかもしれませんが、中身はまさにそのとおりです。

信頼できる人権団体なら、トランプが課したすべての経済制裁の即時終了を要求するのが筋だろうに。

ベネズエラでの暴力犯罪

アムネスティはまた、最新の報告書で次のように述べています。
カラカスの貧しい地域は特に影響を受け、最も多くの犠牲者を登録した。
当局との衝突で殺害された犠牲者は、「犯罪者」として後に提示された。
ベネズエラの治安部隊が犯罪を犯したことは間違いありません。マドゥーロ政府もそれを認めています。そして2017年の暴力的なデモ事件に関係した警察官は逮捕されました。

2017年6月、ウラジミール・パドリノ国防相は、国営テレビで治安部隊に警告しました。そして「もう国家警備隊が残虐行為を実行するのを見たくはない」と述べました。

ベネズエラの治安部隊は非常に高い殺人率を保持しています。同時に警察官の高い死亡率に直面していることにも留意すべきです。この傾向はチャベス政権よりずっと前からの傾向です。

同時に、この国は何年もの間、米国に支持された暴力的な抗議者に悩まされてきました。その粗暴ぶりは際立っており、アフロ系ベネズエラ人を路上で生きたまま焼いたり、警察官を殺害したりします。

そして今日、米国は野党内で最も暴力的な勢力を権力につかせようとしています。このことが深刻な脅威をもたらしています。

暴力は連鎖します。治安部隊が「犯罪との闘い」として、または自己防衛として法外な処刑を黙認する可能性があります。

それはまた、アムネスティのような党派的グループがトランプの政権転覆計画を、実際上煽るような動きをもたらすかもしれません。


Maduroの支持者たちへの汚い戦争をけしかける宣伝

アムネスティはその報告書で次のように述べています:

カラカス市内のあちこちに、政府を支持する強力な武装グループ「コレクティボ」が存在します。住民が国の配給システムに依存しているところではより強力です。

繰り返しになりますが、「緊急事態計画」は制裁措置が発動されたためのものです。

野党系の世論調査でも、何百万人もの貧しい人々に必需品を配給しています。それは全世帯の最大60%に達します。

そもそも貧困地域で、自分たちを自己防衛のために組織化することは、貧しい人々の歴史となっています。それは別に新しいことでも何でもありません。

そして彼らは貧民街や貧しい農村にいてマドゥーロを支持しています。

だから、武装しているかどうかにかかわらず、米国とつながる勢力が権力を握ると、激しく標的にされるでしょう。特にクーデターや米軍の侵略を通して政権が変わるのならなおさらのことです。

アムネスティは、貧困者を「非難する」ことについてはほとんど懸念を持っていません。
トランプが彼らの「健康と食料への権利」を攻撃することについては、ほとんど気にしてないように見えます。

上記のすべての理由からして、ベネズエラに関するアムネスティの誠実性と客観性には強い疑問を投げかけるほかありません。

平和と正義のために、私たちはアムネスティへの視点をもっと厳しい水準に保つべきです。


リード

クーデターは偶然ではありません。 それはただ空から降ってくるのではありません。
それは特殊な材料と条件でつくりあげるものなのです。それが成功するには準備・計画・宣伝、それに時間とお金が必要です。

国内外の民衆が納得するために、宣伝は重要です。

クーデターとは選挙で選ばれた政府を強制的に辞任させることです。
それを納得してもらえるためには、国家が特殊な状況にあり、クーデターが論理的・必然的な帰結であることを、民衆に確信させることが必要です。

資本主義の下のマスメディアは、国家支配の道具の一部です。そして国家の重要な宣伝要素としての役割を果たすため、「客観的」で「自立的」であるという「名声」をしっかり利用します。

イギリスでは、BBCは人々が帝国主義的なクーデターを受け入れるように仕向けるスキルを完成させました。それが彼らがベネズエラについてしたことです。

BBCは1月16日、「廃墟の中の革命ーウーゴ・チャベス物語」という番組を放送しました。

これはマドゥーロをチャベス神話の後継者とし、彼に対するあらゆる行動を視聴者が受け入れるよう準備されたものでした。
そして一週間以内に、クーデター計画が発動したのです!

正しい一面

BBCはまたベネズエラの直面する問題を、チャベスとマドゥーロによる独裁の結果として描き出そうとしました。

ベネズエラ革命の経済、社会、政治的背景を説明しようとする視点は、まったく見当たりません。
そしてもちろん、アメリカの経済制裁がもたらしたものについては、まったく言及されません。

番組の冒頭から、彼らは「チャベス大統領の14年間は、今日みられる多くのポピュリスト指導者の先駆者だった」と主張しました。

チャベスのもとで、健康と教育におけるいくらかの前進がみられたが、それはごく初期のごく短期間のものだった」。そして同じ時期、「独裁権力のあくなき追求」が強められたと、BBCは主張します。

それが残りのシーンのほとんどです。

世界最大の石油埋蔵量があるにもかかわらず、この国は崩壊しました。
そこには混乱、貧困、暴力だけがあります。いまベネズエラは、世界で最も危険な国です。

チャベスは「力の集中」に夢中でした。民衆は「ただ一人の人物によって惑わされ、支配されていました」。その時、チャベスはその性格の最悪の側面を露わにしていました。

これは「客観的報道」が売りもののBBCが作り出した物語です。

人々は、ベネズエラの災厄は全て独裁者チャベスによって引き起こされたと信じるように導かれます!

それはBBCが沈んだ闇の深さを示しています。


チャベスを“批評するものたち

BBCの見解を裏付けるために、語り手に加えて8人がコメントを述べています。
大多数は反Chavezでした。

11年間チャベスの助言者であり支持者であったエヴァ・ゴリンジャーでさえ、チャベスに対する性的性格の非難“Me Too”をしました。(それにしても見事な大脱走だ。CIAが作った筋書きだろう)
彼女が言うような事件が起きたかどうかはわかりません。彼女とチャベスしかいない席での出来事ですし、チャベスは2012年に亡くなったので、自分を弁護することができません。

1998年の大統領選挙で、チャベスは56%の票を獲得しました。

これについてコメンテーターの一人ラウル・ガジェゴスは言います。
「それでチャベスは何を手に入れたか。それは軍事独裁者の地位ではなかったか」
「教養ある」大学教授マルガリータ・ロペスは、「チャベスには政治的経験がなかった」と述べました。

このあとも番組のウソはますますひどくなります。

しかし「客観的なBBC」は完全な嘘をつくことを控えなければなりません。半分の真実で十分です。

石油公社(PdVSA)は、国家によって所有されていました。しかし事実上、それは国家内の国家でした。石油収入の多くは、寡頭支配層に利益をもたらすよう取締役会によって配分されました。

人口の大部分が貧困の中で、飢餓と栄養失調に苦しみながら生活していました。
それでもガジェゴスは「政治はうまくいっていた」と言いはります。しかしチャベスの前に降伏したことは認めざるを得ませんでした。

チャベスは野党指導者が多数を占める石油公社を支配しようとして、「手綱をギュッと引き締めた」。
野党の支持者にとってそれは「共産主義者の乗っ取り」のように見えました。

2002年4月にチャベス政権に対しクーデターがおこされ失敗しました。
番組ではこの件で、チャベスはほとんど非難されているようにさえ見えます。

画面上、デモ参加者は政府側も反政府側も狙撃手によって殺されているように見えます。
これは真っ赤なウソです。当時のテレビの映像が明らかに示しています。狙撃は明確にチャベス支持派を目標としたものでした。

チャベスへの中傷

番組は言います。
チャベスは大統領の任期を経るごとに「力に酔いしれた」ようになった。そして力に身を任せるようになった。

しかし番組は2012年10月に起きた事実を隠すことはできませんでした。

彼の最後の大統領選挙に当たり、「全国の人々は死ぬことが分かっている人物に投票した。そしていまも彼を支持し信頼している」

皆さん、せっかく良い話をしているのに、気に入らない事実がジャマをするけど、気にしないでね。

BBCが知っていながら無視したことは、チャベスと民衆との生き生きとした結びつきです。

なぜ民衆はチャベスを愛したか。なぜならチャベスはベネズエラから貧困、ホームレス、飢餓、文盲を取り除くと宣言し、彼らの願いを代弁したからです。

番組はかくの如くです。それは全体としてチャベスのキャラ抹殺でした。

ついでジェレミー・コービン(英労働党委員長)もまた有罪であることが示されました。彼がチャベスと親しかったからです。
映像ではチャベスがイランのアフマディネジャド、リビアのカダフィ、イラクのフセインと挨拶をしているところが移されました。もちろんその中にコービン!も混じっていました。


帝国主義者の干渉

最後に、番組は3つの分野に言及しました。
それらがもっと展開されれば、チャベス政権下で起こったことがより正しく描かれたかもしれません。

第一がメディアの干渉です。ほとんどのメディアは個人的に所有されています。チャベスが大統領に選出された当初から、その大部分は彼の打倒を求めていました。

チャベスは「伝統的なメディアを迂回して」人々に直接話しました。それには国営放送の「「ハロー大統領」という番組が使われました。

英国のマスコミが、選出された政府の打倒を公然と求めた場合、どうなるでしょうか。
このことについてBBCからの言及はありません。

第二の干渉は「社会的使命」計画の資金を供給するために石油収入を使うことへの非難です。

チャベスはそれを決めました。

社会計画のための伝統的な方法では資金調達はあまりに遅く、あまりに官僚的でした。
そこでかれは国家構造をバイパスしたのです。

社会主義の方向に社会を動かすために、資本主義国家を使うことにはさまざまな困難がつきまといます。
とりわけベネズエラのように国家機構が寡占層の執行部として、寡占層のためにだけ機能してきた国ではそうです。

既存の組織ではほとんど対応できないのです。

第三の問題が、貧しい人々を政治に参加させたことへの非難です。

しかし番組の最後にコメンテーターの一人がこう告白しました。

  「貧しい人々は、これから先もずっと、ベネズエラの政治対話の一翼となるだろう」

何百万もの普通のベネズエラ人が政治生活に目覚めました。これがチャベスとベネズエラ革命の永続的な遺産です。



題名に惹かれて訳したが、あまり水準の高いレポートではない。おそらくトロツキスト系青年のなぐり書きであろう。
“それはBBCが沈んだ闇の深さを示しています”というのがかっこいいが、なぜBBCがその闇に突っ込んだかについては言及されていない。

もう少し探してみる。

ペルー政府、ベネズエラ大使館職員へのビザを取り消す
27.02.2019 AFP

ペルーは、15日以内にベネズエラ国会議長のJuan Guaidoの自称指導部を支持し、15日以内にベネズエラ大使館職員のビザを取り消すと発表した。

私がイシカワ大使にうかがった話では、一昨日深夜、コスタリカの大使館に「グアイド政府の代表」なる人々が乱入し、明渡しを迫ったそうです。コスタリカは忠実なアメリカのしもべですから、これを黙認したようです。

世界中にいま、無法が罷り通っています。

メキシコとウルグアイはグアイドの承認を拒否し、中立を宣言し、対話を通じた危機の解決を促進している。

グアイド国会議長が代表として認められると、外交関係は済し崩しにされる可能性が出てくる。

すでにその兆候は出ている。

2月20日、エクアドル最大の都市グアヤキルで、ベネズエラ総領事館が武装集団に襲撃された。

武装集団は男4人、女3人の7人だった。彼らは領事館が保持する資金をすべて奪った。そして外交員たちの政治的見解を理由に、外交員を嘲笑し殴打した。

エクアドル政府はベネズエラのグアイドを暫定大統領として承認しており、グアイドが指名した代表を承諾している。

ただし、首都キトにあるベネズエラ大使館は、引き続きマドゥロ政府の任命した外交官らによって業務が続けられている。

私はいま行われている「人道援助」の不条理に心痛めている。
以前から指摘しているように、民衆の生活の困難の最大の原因は、非人道的な経済制裁と金融封鎖にあるのだから、それをやめることがもっとも有効なやり方だ。
しかも一文の金もかからない、命の危険もゼロ、明日からでもできる方法なのだ。
その上で、再選挙でも何でもやればよい。それでマドゥーロが敗れてまったく問題ない。
とにかくそれが最初のアプローチではないか。
ところで、一部の人から「ベネズエラの苦境は制裁のせいではなくマドゥーロ政権の失策のためだ」という意見が出ている。「なぜなら失政の影響のほうが早くから出現しているからだ」というのだ。
たしかにその意見には一理あるのかもしれない。しかし、だからといって経済制裁をそのままにしてよいということにはなるまい。
問題は7月7日に蘆溝橋のたもとで、どちらが先に鉄砲を射ったかではあるまい。それが日本軍ではなかったにせよ、それを機に戦争へと持ち込んだのは間違いなく日本軍だ。このことで侵略軍の行動を合理化してはいけないのではないかと思う。

それにしても、グーグルの検索機能は明らかにおかしい。ベネズエラと入れて100件出てくると、「似たような記事はなんとか」といって、検索を打ち切る。
ずっと「メディア」のせいにばかりしてきたが、どうもそればかりではないのかもしれない。
そろそろ意識的にグーグルに頼らない検索エンジンを育てる運動を始めるべきではないか。

すみません
私のベネズエラ関連ファイルは下記のホームページから
サイト内検索でベネズエラと入れると、ズラズラと出てきます。
検索窓1

ホームページ「ラテンアメリカの政治」ではここから
検索窓2


ベネズエラ情勢をウォッチしていて、これだけ系統的な悪意に出会ったことはない。私ごときシロウトが無知に任せて一方的な意見を言うのとは次元が異なる。専門家としての識見が問われる地位にあるのだが、およそそのような節度や公正さが感じられないのである。

2002年の反チャベス・クーデター未遂事件が起こったとき、ベネズエラの高級住宅街から日本語で反チャベスキャンペーンを流し続けた女性がいた。

クーデターが未遂に終わったあと、しばらくネット上では声を潜めていたが、事の真相を知った後もまったく考えを変えることはなかった。

おそらくは駐在員の夫人として上流階級の思考方法にすっかり染め抜かれたのであろう。

それが2010年ころから、別の女性の声がふたたびけたたましくなってきた。それがこの坂口安紀という女性だ。

どうも影としては重なってしまうのだがどうなのだろうか。


ジェトロの紹介ページを見ると1988年にICUを卒業したらしい。計算上は50歳前後ということになる。UCLAで修士をとってアジ研に入ったらしい。

29~31歳でカラカスに研究員として派遣されている。さらに43歳から2年間、調査員としてカラカスに滞在している。

帰ってきてからはラテンアメリカ研究グループ長となり、アジ研を仕切るようになった。

アジ研に入って最初の論文が1993年の『冷戦後ラテンアメリカの再編成』という論文集の中の「ベネズエラの経済改革と民主主義の危機」という論文である。

読んでもらえればわかるように、相当大胆に政治的立場を押し出す人で、その基本は「白い民主主義」である。おそらくはカラカスの高級住宅街のコンセンサスを代表するようなスタンスであろうと思われる。

おそらく1990年前後にUCLA在学中にベネズエラでの生活を体験したものと思われ、まさしくカラカソ(カラカス暴動)やチャベスのクーデター騒ぎと同時代を生きたことになる。そしてその頃日本はバブルの絶頂にあった。
日本が得意絶頂だったときにベネズエラに入った日本人は、雲の上の上流社会で名誉白人としての地位を満喫したのではないか。

彼女の時代にはすでに、我々のになっていたような学生運動は影も形もないから、貧しい人に寄り添うとか社会の進歩に貢献するとかいう考えは希薄なのかもしれない。山裾を埋め尽くすバラック小屋もカラカス固有の光景なのだろう。

ベネズエラの白い人々の差別意識は、石油成金の常としてただならぬものがある。一昔前には日本人もイエローモンキーで、ベネズエラでは差別と侮蔑の対象でしかなかった。だからベネズエラの日系人は数少ないのだということを理解できないのだろう。

たぶん彼女の政治の枠組みは、白いリベラルと白いコンサーバティブの物分りの良い議論に収斂するのだろう。ただ、時々は自分の肌の色、アジア系の顔立ちを鏡で確かめながら議論を組み立ててほしいなと思う。

ベネズエラ ジャーナリズムの“恥ずべき沈黙”

ジャーナリストである以上、ベネズエラ政府にとってどんなに嬉しくないニュースでもどんどん流すべきである。それを流すのがジャーナリストの義務だからだ。

私はそのことを非難しているわけではない。私が非難するのはこのようにベネズエラ政府の失態を激しく非難しながら、世界の平和と民主主義にとって最大の問題、すなわち米国の干渉、経済制裁、民族自決権の侵害、武力介入の脅しについて口をつぐむことだ。

リマグループの動きは逐一報道するが、セラックの動きは報じない。(CELAC: 全ての中南米諸国33カ国が参加し,2011年12月に発足した組織。将来的な中南米統合を長期的な目標に掲げている 日本外務省HP)

ベネズエラカトリックの意見は尊重するが、ローマ法王の平和の呼びかけは無視する。

ベネズエラ国民がいまなぜ苦しんでいるか。それは米国が経済・金融封鎖を行っているからだ。石油生産を妨害し、商品を売り惜しみして価格を吊り上げているからだ。
ベネズエラがいまなぜ内戦の危機にあるのか。それは米国がベネズエラの軍部にクーデターを焚き付けているからだ。

米国は過去100年、そうやってラテンアメリカの数十の政府を潰してきた。どうしてジャーナリズムはその歴史に口をつぐむのか。

ジャーナリズムはチリのクーデターを忘れたのか。合法的な政府が「経済的な失敗」を口実にして踏みにじられた。そのあと数千人の市民・青年・学生が連れ去られ、拷問され、虐殺された。

それがすべて米国の差金だったことは、今では白日のもとに明らかになっている。

その歴史的事実に、どうしてジャーナリズムは口をつぐむのか。

ジャーナリストはいつの日か後悔するだろう。もし市民とともに報道機関の持ち主の横暴に対決しなければ、そのような「騒々しい沈黙」はテロリズムへの加担に等しいからだ。



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などもご参照ください。

ウォールストリートジャーナル

ベネズエラ政権転覆狙う米国、次の矛先はキューバ
中露イランの影響力抑制も視野

By Jessica Donati, Vivian Salama and Ian Talley

2019 年 2 月 1 日 13:56 JST 更新


 【ワシントン】トランプ米政権によるベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領に対する失脚工作は、中南米への米国の影響力拡大に向けた新戦略の幕開けを意味する。米政権当局者が明らかにした。

 その視線の先にいるのはマドゥロ氏だけではない。50年以上も米国が中南米で最も敵視しているキューバのほか、最近同地域に接近しているロシアや中国、イランもだ。

 米政府はチャベス前大統領時代を含め長年ベネズエラを非難してきたが、トランプ政権にはキューバのほうが国家安全保障にとってより深刻な脅威だとみなされている。

以下略

分かることは…
ウォールストリートジャーナルのほうが、ロイターその他の一般メディアよりはるかに正確だ、ということ。

みなさんが、せめてWSJなみの知性をお持ちになるよう望みます。

すみません。「記事検索」窓に“ベネズエラ”と入れてブログ内検索してください。
などもご参照ください。


1.米国政府はベネズエラ政府転覆策動をやめるべきだ

米国政府は、ベネズエラへの内政干渉、とりわけ政府転覆を目的とした干渉を止めるべきである。 トランプ政権と同盟国にの干渉によって、ベネズエラの状況はさらに悪化した。そこでは不必要な人的被害、暴力、そして政情不安が引き起こされている。


2.親米派野党は選挙を通さない政権排除を狙っている

ベネズエラの政治対立は以前からのものである。ベネズエラは長い間、人種差別や経済格差によって分断されてきた。 
近年、その分断はさらに深まっている。その原因は、選挙以外のやり方でマドウーロ政権を排除しようとする野党の戦略がある。それを米国は支持してきた。

この戦略を巡ってベネズエラの野党は対立しているが、米国は強硬派の野党勢力を後押ししている。親米派野党は、暴力的な抗議活動、軍事クーデターなど、選挙を介さずにマドゥーロ政権を追放する目標を追求してきた。


3.経済危機は米国の制裁がもたらした

トランプ政権のベネズエラ政府に対する言葉遣いは、極端に攻撃的になった。今やそれは脅迫的なレベルにまでエスカレートしている。

トランプ政権の高官らは、ベネズエラがキューバ、ニカラグアとともに「暴政のトロイカ」を形成していると非難している。そして公然と「軍事行動」を口にしている。

米国の経済制裁は、米州機構や国連の名を借りて行われている。それと並び、米国の国内法や諸々の国際条約・協定の名の下で行われている。しかしそれらは違法な制裁である。

経済制裁によって、ベネズエラ政府のさまざまな困難は悪化の一途を辿っている。経済制裁は、ベネズエラが景気後退から脱出するための手段を断ち切ってしまった。

石油生産は劇的に減少してしまった。経済危機が悪化して、多くの人が命を救う医薬品を入手できずに死亡した。

にもかかわらず、米国など各国の政府はひたすらベネズエラ政府を非難し続けている。それは経済的なダメージを与える目的でしかない。これらの損害はまさに米国の制裁措置によって引き起こされたのだ。


4.いまや、軍事クーデターが準備されている

米国及びその同盟国は、ベネズエラを危機の瀬戸際に追い詰めた。アルマグロ米州機構事務総長やブラジルの極右のボルソナーロ大統領がマドゥーロ政権打倒を呼号している。

トランプ政権はグァイド国会議長を新大統領として承認した。これは明らかにOAS憲章に違反した行動である。

ベネズエラの政治危機は明らかに加速された。

米政府はベネズエラ軍を分裂させ、民衆を対立させて、否応なく二つの勢力に分断させたがっている。

トランプ政権は軍事クーデターを介して暴力でマドゥーロ大統領を追放しようとしている。彼らはその目標をあからさまに口にしている。


5.このままでは流血と混乱が避けられない

ベネズエラはハイパーインフレ、物資の不足、さらには深刻な不況に追い込まれている。そして政治的に分断された状態が続いている。

米国とその同盟国は、力の行使による超法規的な体制転換を認めてはならない。それを促進するための暴力を奨励してはならない。

トランプ政権と同盟国が見境のない方策を追求し続ければ、その結果として流血と混乱が引き起こされる恐れがきわめて高い。

米国は、イラク、シリア、リビアで行った政権転覆の企てから教訓を学ぶべきだ。さらにラテンアメリカで政権を転覆した長い、暴力の歴史からも学ぶべきだ。


6.最悪の場合は大規模な軍事衝突

ベネズエラの二つの勢力は、いずれも他方を打ち負かすことはできない。

例えば、ベネズエラ軍には少なくとも23万5千人の兵士、少なくとも160万人の民兵がいる。その多くは、米国の介入が拡大すれば、国家主権に対する信念に基づいて戦うだろう。

それだけではない。野党勢力が現政権を転覆するなら、その際に起こり得る弾圧から自身を守るためにも戦うだろう。


7.交渉こそが唯一の解決策

 このような状況において唯一の解決策は、交渉とそれによる平和的合意である。

かつてラテンアメリカ諸国では、社会が政治的に二極化し、内戦化したことがある。相互不信が長く強くなると、選挙を通じて意見の違いが解決できなかった。

このような場合、たとえばバチカンなどの調停役が合意への取り組みを主導した。

だがそのような努力は、体制転覆を望むワシントンとその同盟国からは、まったく無視されてきた。

ベネズエラで現在進行中の危機を解決するためには、その頑なな態度を改め、体制転覆一辺倒の戦略は変更しなければならない。


8.強力な調停団が必要だ

ベネズエラの民衆のために、そして国家主権の原則のために、国際的な行動力を持つ調停組織が結成されるべきだ。

その組織がベネズエラ政府と野党勢力との間の交渉を後押しすべきだ。

これによってのみ、ベネズエラはその政治的、経済的な危機を切り抜けることができるだろう。


すみません。「記事検索」窓に“ベネズエラ”と入れてブログ内検索してください。
などもご参照ください。

グーグルのネグレクト攻撃が始まった。ベネズエラ大使館のホームページが検索候補を外されたようだ。
私自身も一度経験があって、日大アメフト事件の際に日大理事長を辞任させないと問題は片付かないという記事を書いた。そのときに山口組の司組長と理事長の握手する写真を引用掲載した。アップ後2日目にその記事は検索ページの1ページめに掲載された。ところが3日目になるといきなり消えた。なんと記事名をそのまま載せて検索してもヒットしないのだ。
今回、大使館のホームページが消えたのも同様のメカニズムが効いているのではないかと疑ってしまう。
とりあえず下記の記事にリンクを張っておく。なお訳文は大使館訳に一部手を加えている。小見出しは私がつけたもの



以下はバチカン・ニュースの24 January 2019号

日本の新聞記者は突然、みな英語が読めなくなったのか、下記の発言には目もくれないようだ。
“In Panama, the Holy Father has been informed of the news coming from Venezuela and is closely following the situation as it evolves. He is praying for the victims and for all the people of Venezuela. The Holy See supports all efforts that help save the population from further suffering” 
訳すと嫌みになるので、そのまま掲載する。

フランシスコ法王がベネズエラでの与野党和解を調停し、大統領選挙の実現に尽力したことは、ラテンアメリカでは周知の事実である。

ただし、ベネズエラのカトリック教会はむかしから石油寡占層と一心同体で、教会ヒエラルキーは反政府派の最強の牙城の一つである。
バチカン本庁も当初からその線で動いている。フランシスの言動を快くは思っていないかもしれない。

一連の動きは客観的に見て何なのか。

国内的にはクーデターの発動であり、国際的にはアメリカによる政府転覆の企てだ。さらに言えばメディアがそれらに目をつぶり、事実上クーデター派に大義名分を与えようとしていることだ。
核心的事実はそれしかない。ベネズエラ政府側にも落度があるとか、物資が欠乏しているとか、国外難民が多発しているとかは、一国の政府を否定しうるような核心的事実ではない。

ベネズエラ問題で一番大事なことは、ベネズエラ政府及び民衆に加えられた、これら一連の無法で無慈悲な攻撃が、決してベネズエラのみを標的としたものではないことである。
反政府宣伝で根っこを引き剥がし、関係諸国を無理やり動員して、ドルと金融システムを用いた経済制裁で弱らせ、最後に国家主権を無視した暴力的手段で崩壊に追いやる手法が、最大の国際問題なのである。それは100年前からラテンアメリカで繰り返されてきた「CIAマニュアル」の忠実な再現だ。

経済危機というが、それはアメリカの経済・金融封鎖がもたらしているものだ。ベネズエラの医薬品不足・食料不足はベネズエラが買えないからではなく、アメリカが売らない、売らせないからだ。ドルがないのは、アメリカ政府が銀行の支払いを凍結させているからだ。
それはファーウェイを抱えた中国への脅しにもなっている。「次はお前だ!」

いまアメリカは世界の覇者として君臨している。圧倒的な力を持つ国家が、気に入らない国をこのような形で潰していくことが許されるならば、世界のすべての人々にとって「明日は我が身!」だ。

以下、ALBA声明を転載する。

ALBA声明Jan2019

ベネズエラ経済の再活性化のために

Luis Enrique Gavazut との問答
Venezuelanalysis.com Jan 3rd 2019


実態分析の視角は妥当と思える。なぜそうなったか、とくに債務急増の原因はあまり追究されていない。解決の道筋はややヘテロドキシカルである。仮想通貨「ペトロ」の評価については“?”である。

 

質問 1

あなたの研究者としての見解では、ベネズエラの現在の経済危機を引き起こした状況と原因は何か?

答え 1

この数年間のベネズエラの状況は悪化しています。それは部分的には原油価格の下落の素直な反映です。

それは国家の現金収入の減少につながりました。これは、国民のニーズを満たすための鍵となるものです。(現金というのは実際にはドルのことなので以下ドルと訳すことにする)

ベネズエラ経済を理解するためには、ドルへのアクセスは最終的には一つの情報源、すなわち国家からのみ生じることを認識しなければなりません。

この100年というもの、ベネズエラのドル収入の95%は石油公社から来ています。これがこの国の主力企業です。

民間部門はドルを生み出さない。

生産的な装置の私有部分、少なくとも石油や鉱業に基づいていない部門は輸出向けではないからです。

社会のニーズを即座に対応すべき経済部門を見てみると大変な困難があることがわかります。

すでに危機以前の段階で、生産水準は急速に低下していました。 現在、国民経済は設備生産能力の22%で操業しており、輸入額は80%も減少しています。

この数字が私たちが今日直面している不足を説明しています。つまりそこにはひどい不況があることを意味します。

しかし、物事はずっとそうだったわけではありません。

数年前の2013年、チャベスが亡くなりマドゥーロが大統領に就任したとき、経済の状況、すなわち原油価格の動向はいまと変わりませんでした。

そのとき起こったのは、民間部門、特に外資系と国内大企業が、国家との経済戦争を始めるための決断を下したことです。

彼らの目的は何だったでしょうか? それは政府をひっくり返すことです。この国で最も強力な経済主体は、経済的な理由ではなく政治的な論理に従って行動し始めました。

その証しとしたのは、生産遅延と生産放棄の決断でした。2013年以降、彼らはベネズエラの商品供給に影響を与える措置を講じ始めました。それが、我々が「作られたモノ不足」と呼ぶものです。

これはベネズエラで起こった現象の真実です。それは「危機」の重要な要素です。

これに対しベネズエラ政府は給料を増やし、社会プログラムを維持することによって人々の購買力を維持しようとしました。

それは商品とサービスへの強い需要をしばらくの間支えました、しかし民間部門はすでに供給を遮断することを決定しました。

そうなると、需要が堅調にもかかわらず供給が減ることになるので、深刻な不均衡につながり、物価が急激に上昇し始めます。

 

質問 2

原油価格の不安定な中で、ベネズエラは多額の借金を抱えており、支払い負担は重くなっている。資金を借りることが困難になっている。

解決策としては福祉を削って通貨の供給を減らすか、かつてのアルゼンチンやエクアドルのようにデフォールトをかけるかしかないのだろうか。

答え 2

通貨不足は、ベネズエラの現状を理解するための鍵です。

ベネズエラでは国内の「為替市場」(ヤミ)が半ば公然と活動しています。まことに奇妙なのですが、政府がここに外貨を提供できないと、経済全体が暴走してしまいます。

これはベネズエラの経済が1世紀にわたって石油の採掘・販売料によって形作られてきたからです。

それは公共部門だけでなく民間部門もそうです。

石油は消費財だけでなく生産手段・中間財の輸入に影響を与えます。公共目的の配給システムに割り当てられた輸入も石油価格の動向次第で動揺します。

その石油ですが、石油公社(石油公社)の石油生産が急激に落ち込んでいます。これは国際石油業界における一連の悪い流れの結果です。

困ったことに、政府幹部は石油ボナンザがさらに長く続くと予想していました。それを当て込んで、オリノコ川流域の「オイルベルト」に多大な投資が行われました。それはベネズエラの重質油生産のための巨大プロジェクト地帯です。

そのオリノコ・プロジェクトに何が起こったのでしょう?

投資はすべて中途半端なままにとどまっています。目標実現のためには依然として膨大な量の資本投下を必要としています。

その一方でスリア州とアンソアテギ州では軽質油・中質油の維持管理が軽視され続けました。本当はこちらこそ重視されるべきだったのです。なぜならこれらの油は抽出も容易で、国際市場での販売も容易だからです。

石油公社はこの間不安定な状態にありました。原油価格の下落と生産の落ち込みに振り回されたのです。

それなのにオリノコ地帯への投資をするために巨額の借金をしたので、石油公社は借金のために厳しい返済条件を抱えることになりました。

経済的にペイする井戸に、借金を払い戻すための資金がしわ寄せされました。これが私たちを緊急事態に巻き込んだ大きな理由でした。

しかし、信用を拡大しようとしても扉のほとんどは閉鎖されています。業界が現在自覚しているのは、この悪循環です。

oil_graph_venezuela
       原油日産量の月次推移(単位:キロバレル)

 

質問 3

あなたは去年8月に発表されたベネズエラ政府の経済回復計画を批判している。あなたの主な論点はどこにあるのか?

答え 3

景気回復計画(以下プラン)は一連の理論的前提に基づいています。しかしその前提は、私の見地からすると間違っています。だからこそ、うまくいかなかったし、うまくいかなかったのです。

最初の問題は、プランが基づいているマネタリスト理論です。これは少なくとも今のベネズエラには当てはまりません。

基本的に、ベネズエラは経済の深刻な収縮、非常に深刻な不況のもとにあります。

 マネタリスト理論の前提は、通貨供給量を減らすと、消費者が商品やサービスの代金を払うことができず、その結果として価格が下がるという仮定です。

しかしベネズエラの場合は、引き締めがもたらすのは店舗の閉鎖だけです。それはさらなる景気後退を意味するにすぎません!

経済回復計画が発表された8月20日以降、まだ営業中だった工場、店舗、供給センターも、その大部分が、いま急激な速さで営業をストップしています。

大事なことは需要を維持することです。

ベネズエラでの経済活動の現状を維持し、現在も活動している企業を保護するためには、何らかの需要があることが不可欠です。

最低賃金が定期的に上がり、社会プログラムとボーナスを通じた労働者階級への直接支援が維持されなければなりません。直接および間接の助成金ももちろん維持されなければなりません。

これを続けることが政府の果たすべき役割です。

財政赤字ゼロを目標とし、裏付けのない「無機質の貨幣」を排除する再建計画は、今のベネズエラにおいては無意味です。

実際にも、国家は給与の引き上げを通じて「再建政策」を調整することを余儀なくされたではありませんか。計画が発表されてからわずか90日後に!

 

質問 4 経済回復計画のもう一つの柱、民間投資への動機づけについてはどうか。それは機能しているだろうか?

答え 4

その部分もまたかなり問題があります。

計画を設計した人は、「民間部門にインセンティブを与えることは、ビジネスマンから好意的な反応を生み出すだろう」と考えているようです。

インセンティブを受けた民間部門は、それをポジティブにとらえ、投資を行い、生産量を増やします。そうすると民間投資は経済の安定につながります。

しかし民間部門にインセンティブを与える根拠となる理論は、他国の経済では機能するかもしれないが、今日のベネズエラではうまくいかないでしょう。

いま、ベネズエラは世界で最も有利な為替レートと、世界で最も安い労働力を持っています。

労働は実質的に無料です。なぜなら、8月20日以降、国家が民間部門の労働者に賃金を払っているからです。

どこかの企業がベネズエラに来て事業を設立するならば、原理的には、国家が労働者の給料を支払うのです。

こんなことは今までになかったことです。ベネズエラは間違いなく経済史の年鑑にランク入ります!

さらに、「景気回復計画」は輸入関税を撤廃しました。

国はこれらすべてを提供しています。これなら多くの民間投資を引き付けるはずです。

それだけではありません。税金は非常に低く、累進性はありません。(莫大な脱税があるという長年の事実は別にして…)。

ベネズエラには、世界で最も安いエネルギー、最も安いガス、最も安い電気、そして最も安い水資源もあります。

それに加えて気候から場所(アメリカ市場に近い)まで、ベネズエラが持つすべての比較優位性を加えることができます。

つまりベネズエラは、インセンティブ理論と比較優位理論に従えば、民間投資にとって夢の楽園なのです。

それでも、民間部門はここに投資していません!

正統派の経済学者はどのようにこの状況を説明しますか?

彼らは、「ベネズエラには法的な保障がない」と言うかもしれません。言い古された議論です。

しかし、マドゥーロ大統領の時代には一つも収用が行われていないのです!

収用と国有化の政治はチャベス大統領で終わったのです。6年間、一度も収用はありませんでした。この政府は二度とやるつもりはないといっています。

1年前、憲法制定議会は外国投資法を可決しました。それは世界で最も外国資本に優しい法律で、「治外法権的」とさえいえる法律です。

さらにベネズエラには、法的安全保障を含む、あらゆる種類の便宜を提供する「経済特区」があります。

したがって問題は明らかです。
事態の解決策は、法的安全保障にも、民間部門にインセンティブを与えることにもありません。

最近、中国のある政府高官が、ベネズエラの公共テレビでマドゥーロ政府の指導部と話をしました。

彼は、中国には堅固な民間部門があると宣言しました。なぜなら中国政府がその分野にインセンティブを与え、育成したからです。 
しかし中国ではうまくいったかもしれませんが、ベネズエラではそのやりかたは当てはまりません。

ベネズエラ経済を刺激するための唯一の方法は、石油の使用料を増やすことです。それが唯一の有効手段です。

これは歴史的に確認でき、正確な相関関係が見られます。石油の賃貸料が増えるほど、そしてそれゆえ私たちの為替市場での通貨の供給は増えます。

それにより設備の生産能力が増加し、国内外の投資が行われます。しかし、これは経済的成長期にのみ起こります!景気後退期には石油収入が縮小し、国家は補助金を提供することができません。

景気後退期、石油収入が縮小すると、国家は補助金を提供することができません。

それがさらに進むと私有企業だけでなく公営企業も、売却したり、工場などを閉鎖したりせざるを得なくなります。これが今起こっていることです。

ところで、よく誤解されている問題があります。公的企業は民間企業より効率が悪いという“常識”です。それは全く間違っています!

例えば、今日のベネズエラでは、公営企業も民間企業も非効率的です。崩壊するかその境界にいます。石油の使用料が入ってこないからです。

それでも、通貨が国家の財源に入った瞬間、経営は再び活性化するでしょう。

このように考えてください。企業にとって最大の非効率性は、企業が業務を停止することなのです。

そう考えると、民間企業も国営企業も同じように非効率的なのです。

 

質問 5 石油生産国としての世界経済におけるベネズエラの役割はなにか。そのことがもたらす問題はなにか。

答え 5

ベネズエラは、賃貸・寄食経済です。自分自身では科学技術を開発しません。この状況は、通貨に過度に依存する経済を余儀なくさせています。

民間部門は、石油使用料収入が減ったときにベネズエラに投資しないのはなぜでしょう? それは、ここでの投資がドルで行われるからです。

民間投資家はドルで彼の収入を得ることを期待しています。彼は以前に技術、機械、その他の投入物をドルで購入したからです。だから彼はドルで投資を回収することを期待しています…

このため、投資家は言います。「まあ、ドルへのアクセスが制限されるようになれば、私はベネズエラに投資するつもりはありません」

投資家が戻ってくるのは、その国でドルがふたたび利用可能にったことを知ったときです。つまり石油の価格が回復し、経済が拡大期にあるとき、石油ブームが起きたときです。

どうして他の国の場合のように、個人投資家がドルを生み出さないのか。それはグローバリゼーションが姿を現したときに、ベネズエラが輸出志向経済を取らなかったからです。

例えば、プロクター・ギャンブル社はメキシコ、ブラジル、アルゼンチンで輸出施設を、コロンビアとパナマではより小さい設備を備えました。しかしベネズエラではそんなことはしませんでした。

なぜなら、ベネズエラは石油以外について、企業の輸出拠点とはみなされていないからです。

中南米には輸出拠点で労働者を搾取するための国もあれば、たんに料金を引き出すだけの国もあります。ベネズエラは後者です。

  

質問 6 ベネズエラの困難に対処するための解決策は何か?

答え 6

取るべき3つのステップがあります。 まず、国家がみずから生産的な投資をしなければなりません。 ベネズエラはこの役割を避けられません。

国家は民間投資を刺激するのではなく、生産手段への投資をしなければなりません。

もう一つの選択肢は、いまのままブルジョアジーと共に歩き続けることです。しかし非効率的なインセンティブで、個人投資家に媚びを売るようなやり方を続ければ、早晩破産してしまうでしょう!

第二段階は、マクロ経済対策の分野です。 私たちはベネズエラの為替レートを安定させる必要があります。 これを行うには、私の視点からは、2つの戦略が必要です。

一つ目は、ベネズエラの為替市場を完全に自由化することです。そうすることのポイントは、ドルの合法的な売却を引き付けるためです。

現在ドルは、送金を通して国に到着しています。あるいは、小規模な商品・サービスの輸出業者の手に渡っています。

これらのドル収入は年間100億ドルを下回る微々たるものですが、私たちの経済にとっては非常に重要です。それは為替規制を排除することによってのみ起こります。

現在ヤミ市場に参入しているこれらのドルを引き出し、合法的、正式、公的、透明な市場で取引できるようにすることは、重要な一歩前進です。

今、私たちはDICOM市場を持っています。それは合法であるが全く役に立たない為替市場です。それはドルを惹きつけることがなく、またそれらを提供することもない、見掛け倒しの市場です。

私の提案は、現在のヤミドル市場を透明な市場に転換することです。それが為替レートを安定させる第一歩です。

もう1つの重要な戦略は、「ペトロ」(仮想通貨)が金融資産として正しく機能するための条件を生成することです。

金融資産とは、市場で代替可能であり、他の通貨と簡単に交換できる資産です。そして取引コストを巡っては激しい競争にさらされています。残念ながら、ペトロはこの仮想通貨の論理には従うことができません。 

通貨ボリーバルと仮想通貨ペトロの交換レート固定が失敗したのはそのためです。最近の150%の切り下げは、その証明です。


質問7 マクロ経済学の分野であなたは為替レートの自由化プラス「ペトロ」を提案する。その際ペトロは交換可能な資産として機能することになっている。
あなたはまた“地域共同体の組織化と共同した生産的プロジェクト”への国家投資も提案している。これがあなたの勧める第1段階と第二段階だ。それでは第3段階とは?

答え 7

それは石油公社の救済です。これは待ったなしの課題です。

石油公社の生産水準の回復は、今や私たちの経済政策の焦点となるはずです。 私は、すべての国家の努力、そのすべての資源が、石油公社に向けられなければならないと思います。

石油公社にドル収入があれば、そのたびに、それが石油公社に再投資された場合と他の分野での使用との効果を比較・評価する必要があります。

国家は、人的な可能性、利用可能なすべての通貨資源を、石油公社の生産レベルを上げるために使用しなければなりません。他の生産資源に分散させてはいけません。

なぜなら、他の生産分野の活動はドルを経済にもたらすことはないからです。目下の状況では、ドルにならない生産は全く役に立たないのです。

私達の主な焦点は石油公社であるべきであり、他に一部として鉱業セクターを含むべきです。

そのセクターは現在の危機において必要かもしれません。たとえ環境への影響が避けられないにせよ、そして先住民コミュニティにもたらす破壊的作用を及ぼす危険を伴うにせよ…

結論

ベネズエラには新しい金融政策が必要です。私たちは生産力の発展をもたらす国家が必要です。組織化された地域共同体の参加がもとめられます。

そして何よりも、すべての努力を集中し石油公社の生産を回復することです。

 

18.11.14 朝日
キューバ大使宿泊、ヒルトン福岡が拒否 米の制裁理由に

在日キューバ大使が10月、米ヒルトングループ系列のホテル「ヒルトン福岡シーホーク」(福岡市中央区)に宿泊しようとしたところ、米国の経済制裁の対象国の外交官であることを理由に、宿泊を拒否されたことが分かった。ヒルトン側は「米国企業として、米国の法律を順守した」と説明しているが、国籍による宿泊拒否は日本の旅館業法に抵触しているとして、福岡市が行政指導をした。

新藤さんからのメールで事件を知りました。

以前にもメキシコのシェラトンで同様の事件が起きており、いわばアメリカ企業としては当然の措置をとったわけです。

問題は日本国憲法に違反した行為を公然と行われたことに対する「日本」の対応です。日本政府というより日本という国家の対応です。

刑法上の罪に問うのは不可能ではありませんが、量刑としてはなかなか難しいでしょう。行政上の不法行為として罰するのもおそらく対応する法律が?でしょう。

結局民法で行くしかありませんが、ここは懲罰的罰金、あるいは慰謝料の請求が可能と思われます。

国家に慰謝料を求める権利はありませんが、最高裁判所の前で立ちションベンを引っ掛けられた屈辱は十分埋め合わせさせるべきです。

メキシコの裁判所は罰金約120万ペソ(約1300万円)の支払いを命じたそうです。その金額を見て「そのくらいなら払ったほうが良い」とホテル側は判断したのでしょう。

したがってこれ以下の額では国際的に許されないでしょう。

多分どのような額が出てもホテル側は争わないでしょうから、最低でも億は行くべきだろうと思います。これで大使館の半年分くらいの運営費にはなるでしょう。

これがうまく行ったら、週に1度位出張して、そのたびにヒルトンとシェラトンに予約すれば良いのです。パソコンのボタンを押すだけでまったく原価はかかりません。

これで日本駐在のキューバ大使館は外貨の稼ぎ頭になれるでしょう。

ベネズエラ大使講演会は大盛況だった。
聴衆が100名を越えた。

最大の成功の理由は、ベネズエラを心配する人が予想以上に世の中にはいるということだ。この講演会はその人達のそういう気分に応える企画になったのではないか、という気がする。

講演の最中に「そのとおり!」という掛け声までかかった。大使も「こんなに反応してもらえるなんて」と感激していた。

覚悟はしていたが、案に相違して、斜に構えた質問とか、メディア報道を鵜呑みにした批判はなかった。

この企画は多くの民主勢力の協力を得て行った。赤旗にもチラシを折り込んでもらった。平和委員会や革新懇にもずいぶんお世話になった。

何よりも私たち連帯委員会には、過去に2度にわたりベネズエラ革命の支援集会を成功させた経験がある。アメリカの覇権主義と闘うキューバ連帯の催しやニカラグア連帯を積み上げてきた伝統がある。

こういう要素がバックにあったから、「北海道AALAがベネズエラ問題を本格的に取り上げるのだから、聞いておかなければ」という雰囲気を生んだのではないだろうかと思っている。

これが「反転攻勢」のきっかけの一つになってくれればと心から願っている。

ベネズエラ大使の講演の抄訳です。日本語訳文章を北海道AALAの責任で要約したものです。



セイコウ・イシカワ大使講演

「ベネズエラのいま~ベネズエラ“危機”の真相と課題~」 
(要約版)

2018年11月10日 札幌

 

ベネズエラ革命への攻撃

親愛なる北海道AALA代表と友人の皆様に心からの連帯の挨拶を送ります。

いまベネズエラ革命への攻撃が続いています。

1998年に公明な選挙によってチャベスが大統領に選ばれてから、革命は絶え間なくさまざまな規模の攻撃にさらされてきました。ベネズエラは米国の干渉の的になってきました。この20年間の米国の政策は、疑いもなく好戦的なものでした。

ここで多くの人に疑問が浮かぶでしょう。なぜベネズエラが攻撃されるのか。

ベネズエラが他国の脅威になっているというのでしょうか。米国のような超大国を脅かしているというのでしょうか。

ベネズエラには大量破壊兵器はありません。他国に軍事基地を持ってもいません。他国を爆撃したことも、侵略したこともありません。ベネズエラは平和主義の国です。憲法には国家間の平和的協力を促進することが明示されています。また原水爆もたらす危機に対する防御法は、唯一つ核兵器撤廃のみという立場に立っています。


ベネズエラ革命とはなにか

ベネズエラ革命は、「ベネズエラ住居計画」を通じて200万以上の家族に家財道具つきの家を提供しました。

ベネズエラ革命は、例外なく全ての国民に初等・中等・大学教育を無償で提供しています。学生を対象に研究を後押しする奨学金を出しています。医療は無料ですし、高齢者への年金額も増額しています。

食料供給と生産を充足させるため、地域共同体が運営する地方評議会がつくられています。政府はこれを強力に支援しています。文化的グループを支援するネットワークが全土に作られ、広がっています。

これがわたしたちのベネズエラ革命です。


チャベスとラテンアメリカの共同体

ウゴ・チャベスは、長い間の夢「私たちのアメリカの統合」のために、文字通り種を蒔きました。

そうして、米州ボリバル同盟(ALBA)やペトロカリベ、南米諸国連合(UNASUR)やラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)が生まれたのです。これらは一極集中ではなく多中心性の世界の実現に資するものです。


米国のベネズエラ攻撃

米国はベネズエラを攻撃してどんな利益があるのでしょう。それはとりわけ、ベネズエラが世界最大の石油埋蔵量を有しているということと、(米国に近いという)地政学的な位置づけに意味があるのです。この二つの要素をあわせもつ国が、「社会主義」を意識的にめざす愛国的政府に率いられているということが、米国の心配の種となっているのです。

米国はベネズエラを「西半球における主要な敵」と断定し、宣戦布告もなしに我が国に戦争を仕掛けています。

その目的は、ベネズエラ型の民主主義モデルを破壊することであり、国民運動における革命政府の指導的役割を根絶することであります。そして最終的に、ベネズエラの豊かな資源を再び私物化しコントロールしようとすることです。


報道機関が報道しないもの

世界の報道機関は、主に新聞の見出しや社説欄で、競い合うように広い紙面を割いて、日々ベネズエラ国民が直面している困難を書き立てています。記者やコメンテーター、歌手や俳優、有識者や政治家は喜んで、世界の主要メディアでベネズエラについて意見を述べます。そしていつも、それをマドゥロ大統領の責任にしています。

しかし、メディアがどんなに妄想を作り上げ、どんなに厳密性を欠く分析をしても、真実を知るための必要な鍵となる事実を隠しています。それは「封鎖」です。


封鎖の歴史的背景

20年前、チャベスが大統領に就任して間もなくから、米国はベネズエラの「政権交代」を目指し続けています。それは米国の帝国主義的な人々とベネズエラの国民民主主義との共存が不可能であるということを裏付けています。

ベネズエラの国民民主主義は主権・独立・社会正義の考えを包含しています。米国はそこに脅威を見出しているのです。なぜならそれは米国による南米地域の支配と統制の図式と正反対のものだからです。

ブッシュ政権は、2002年の反チャベスのクーデターを支援しました。2015年には、オバマ前大統領が、ベネズエラを「異常で並外れた脅威」と規定した大統領令を出しました。それ以来「政権交代」の政策が加速しました。

米政権はそれまで非公式だった政策を合法化しました。それは財政的、政治的、メディア、軍事的な秘密作戦を柱とするものでした。トランプは「どのような手段を使ってでもベネズエラの合法的政府を打倒したい」と公言しています。

2017年8月には、トランプ自身が、ベネズエラに対して軍事作戦の可能性も含めた「全ての選択肢」を持っていると言明しました。ほかにもポンペオ国務長官、ペンス副大統領、マティス国防長官、ヘイリー国連大使、ジョン・ボルトン大統領補佐官といったトランプ政権の高官たちがベネズエラの政権を引きずり下ろすという言明を繰り返しています。

直近では、ワシントンで最も影響力のあるロビイストの一人ルビオ上院議員が、「ベネズエラに対して軍事的行動を起こす時が来た」と主張しました。これはまったく由々しい発言です。ベネズエラのような小国を米国の軍事攻撃の目標とすることは、明らかに西半球の平和への深刻な脅しです。


経済と金融の分野における攻撃

経済と金融の分野における攻撃は、制裁から封鎖へとエスカレートしてきました。それは一方的な抑圧手段を通じて行われています。

資本主義体制を批判し、国内政策や対外政策を自主的に進めようとする政府がどこかに出現した時、それらの国が乱暴な手段で封鎖されるのは、今に始まったことではありません。それはキューバに対して50年以上前からおこなわれています。チリのアジェンデ政権も同じ目にあっています。

アジェンデ大統領は政権に就いた当初から、米国による金融的・経済的封鎖とたたかわなければなりませんでした。マドゥロ大統領も同じことを迫られています。経済封鎖は国際法に違反する不当で不法なものです。それはベネズエラ政府と提携しているとみなされた個人や企業に対しても適応されます。

トランプ政権はこのような手段はこの国の情勢を改善して「民主主義への回帰」を促進するための措置であると強弁しています。そしてベネズエラ国民に悪影響を及ぼすものではないと主張しています。


経済封鎖は一種の軍事行動だ

いま制裁は、金融管理、石油産業や国際貿易まで、その範囲を広げています。それは米国の敵視政策がエスカレートしているからです。この異常な事態は経済侵犯、経済戦争とも呼ばれるべきものです。

戦争において一番はじめにやるべき軍事的任務は「敵の供給路を遮断する」ことだといわれます。つまりいまの米国の敵視政策は、軍事的観念に完全に当てはまっているということです。このようにして米国は、ベネズエラ経済を行き詰まらせ、大規模な不安定化と国内対立を引き起こそうとしています。そしてその結果、「国際社会が解決策を見出ださ」ざるをえなくなり、力を合わせて「人道的」な行動を起こす、ことを目論んでいるのです。

制裁の目的は、ベネズエラ経済へ打撃を与え、国際貿易の崩壊を引き起こすことです。それはベネズエラの金融活動を妨害し、投資へのアクセスを邪魔し、食料品や医薬品、生活必需品の購入を妨げています。それは国民生活に、とりわけ経済的分野において深刻な混乱をもたらしています。

こうした全てのことは、ベネズエラに経済危機を引き起こす目的でおこなわれています。もし経済危機が起これば、それはベネズエラを政治的に不安定化させる口実に使えるのです。


ベネズエラ政府打倒戦略と「転換期」

トランプ政権は、両国間の緊張をさらにエスカレートさせています。それと並行してベネズエラに対する制裁をこれまでに4度も実施しています。この2つはどういう関係にあるのでしょうか。

それは米国政府にとって受け入れ可能な方針がただひとつ、マドゥロ大統領の解任だということを示しています。米国は「民主主義の回復」を目指しているのではないのです。かれらは合憲的、民主的、選挙に基づく解決の道を正統なものと認めず、「チャベス主義」の降伏のみを求めています。

2017年、ベネズエラ野党は政権交代を目論見ましたが失敗に終わります。米国は野党勢力に「政権交代」を実現させる力がないと判断し、制裁措置を適用しました。これが、米国が言うところの「民主主義への回帰」への「転換期」が意味しているものです。

2017年から2018年にかけてのドミニカ共和国での与野党協議は、ローマ法王などのイニシアチブで政治的正常化への道を開こうとするものでした。米国はこの会談をサボタージュしつつ、大規模な人口移動や市民対立というかたちでベネズエラ国民の対立を煽っています。そうして「人道的介入」に都合のいい状況を生み出そうとしています。

米国政府は制裁は「個人への制裁」であると主張しています。しかし制裁によって引き起こされたすさまじい影響に照らして見ると、「ベネズエラ国民の幸福を気にかけている」という米国の主張は悪意に満ちたものです。

「転換期」の柱は、①外国の銀行にベネズエラが保有する資産の凍結 ②ベネズエラ国債の取引禁止 ③世界的金融システムにおけるベネズエラ口座の閉鎖 ④食糧や医薬品の輸入への妨害 などです。これらの事実から、米国がベネズエラ国民の暮らしなどどうでも良いと考えていることがわかります。

「転換期」は混沌と暴力の状況を推し進めています。ベネズエラの状況に対する憲法に則った平和的な解決の道は、米国により閉ざされています。


ベネズエラを孤立化させる工作

米国政府は米州機構を利用してベネズエラに攻撃を仕掛けました。トランプ大統領は中南米各国に、ベネズエラに対する封鎖と制裁政策への絶対服従を迫ったのです。今年4月にペルーのリマで開かれた米州首脳会議において、その策略は明確に示されました。

ベネズエラ経済を崩壊させる一方的な措置には、カナダのような国も加わっています。さらに米国は、欧州議会も反ベネズエラの国際的同盟に取り込むことに成功しました。欧州議会の圧力のもと、EUは一方的な制裁を採択しました。

これらの措置は、「独裁的で破産した国家」が引き起こした困窮から、ベネズエラを救うための措置であるかのように見えています。しかし実のところ、ベネズエラを「罰する」という名目の下に、その合法的政府を崩壊させるという、トランプの圧力に屈したのです。

これは、“国家同士の共存を支配する原理”への新たな攻撃でもあります。

これは、ベネズエラ国民への犯罪行為であり、人類に対する重罪です。


難民キャンペーンに関して

難民キャンペーンはベネズエラに対するもう一つの「厚かましい攻撃戦略」です。

こうした状況は、国際社会においてベネズエラの状況を「人道的危機」とする根拠になるからです。「人道的危機」と判断されれば、結果として国際社会が「人道的」介入を「せざるをえなくなる」ように仕向けることができるのです。多くのメディアが、人口流出の危機と決めつけられた現象を広めています。それは人道的危機と言われています。たくさんの人がおそらく善意から、この事象に関する懸念を口にしています。

国際移住機関(IOM)の統計で見てみましょう。ベネズエラは絶対数においても人口比率においても移民が多い国ではありませんが、傾向としては移民や難民の受け入れ国であり続けています。最も現状がよく分かるデータは、国内在住外国人の数です。ベネズエラの人口は3千万人ですが、これに加えて510万人のコロンビア人が住んでいます。この比率はコロンビアでの比率の9倍です。

これは中長期の傾向ですが、短期的にはどうでしょうか。

おそらく国際移住機関が出したデータのなかで最も事実を明示するものは、コロンビア外務省の国境における調査結果でしょう。このモニター調査によると、コロンビア方向へ国境を越えた人は224,804人で、ベネズエラ方向へ向かった人は252,565人でした。コロンビアからベネズエラに向かった人の方が多かったのです。

もう一つの項目、コロンビアに向けて国境を越えた人の52%は買い物をするためであり、14%はコロンビアで働いている人たちでした。また69%が、その日のうちにベネズエラに戻ると答えています。

なぜメディアの報道と実態の間にこれほどの格差があるのでしょう。米国とリマ・グループ、国際的マスメディアが、ベネズエラ問題を「人道上の問題」に仕立て上げようとしているからと言わざるをえません、


メディアに溢れる反ベネズエラ報道

報道機関はベネズエラにおける「食糧難と人道上の危機」を報道し、国民の国外流出を驚き嘆いてみせます。一方で、米国などの国や機関が医薬品や食料のベネズエラへの輸入を阻んでいることを無視します。

反ベネズエラの制裁と封鎖作戦は、恥知らずで矛盾に満ちているにも拘らず、思想的には持ちこたえています。それは封鎖作戦のもう一つのオプション、メディアによる封鎖のおかげです。この封鎖もまた、矛盾に満ちています。

メディアは中央アメリカやメキシコから米国への膨大な数の移民を過小評価しながら、ベネズエラの移民問題は大げさに、そして逐一報道するのです。しかし、制裁や封鎖が、ベネズエラの現状の主要な原因となっていることには触れません。

世界中の世論は、多くがこれらのメディアからベネズエラについての情報を得るので、事実に対してバイアスのかかった見方が形成されてしまいます。


まとめ

1.アメリカ帝国主義
帝国主義者たちが、ベネズエラ干渉を強化し、ボリバル革命転覆の条件を作り出そうとしていることは明らかです。 彼らは選挙で選ばれたマドゥロ大統領の正統な政府を揺るがせ、「政権 交代」を狙っています。
2.無慈悲なキャンペーン
政府転覆の手段には、国際世論の前にベネズエラを否定する情報を流すメディア戦略が含まれています。それは帝国主義戦略を正当化するための、まことに無慈悲なキャンペーンでした 。 人道危機のもう一つのシナリオは、ベネズエラ人の近隣諸国への「大規模かつ永続的な移住」の情報宣伝でした。政府転覆の口実はこれによってさらに強化されています。
3.複合的な攻撃
ベネズエラに対する反政府攻撃は、干渉の仕組みが複合的であるという特徴を持っています。そこには政治的、外交的、メディア的、経済的な圧力が組み合わされています。そしてさらに 憂慮されるのは、そこに軍事的選択肢もふくまれつつあることです。
4.いのちの恐怖をともなう攻撃
軍事介入の脅しは、革命を「罰する」という一般的圧力だけにとどまりません。それに加えて、国民の間に生命と安全に関する不安をもたらします。
5.ワシントンは犠牲を恐れない
ワシントンにとって唯一受け入れられる解決策は、ニコラス・マドゥロの解任と「政権交代」しかありません。このオプションは内戦の危険や人的および経済的に大きな犠牲を伴うかもしれま せん。たとえそうであっても米政府の結論は変わりません。イラク、リビア、シリアでも同じ惨事のモデルが適用されました。おなじ悲劇が繰り返されました。そのことを私たちは知っています 。
6.野党強硬派は軍事解決派
ベネズエラの野党の強硬派は軍事的選択肢に固執しています。彼らはマドゥロ大統領が繰り返し述べた対話の呼びかけに応えず、選挙プロセスへの参加を拒否しました。
7.ベネズエラは政治的・思想的回転軸
帝国主義者がベネズエラを攻撃するのは、ベネズエラをアメリカ大陸の政治的・思想的回転軸として捉えているからです。「それは打ち倒すべきものだ -できるだけ速やかに」 なぜなら、彼らは「ベネズエラが新興国や多極共同体などが相互に結びつくためのブリッジとなる存在だ」と考えているからです。 一方トランプ政権は中南米支配の新しい青写真を描き、その中でモンロー・ドクトリンを甦らせ、その思想をベネズエラの紛争につなげようとしています。だからベネズエラは思想と思想の 衝突点となっているのです。
8.中南米右翼政権の“悲しい役割”
脚本家と俳優の間に危険な共鳴作用が起きています。それは右翼政権がこの地域で果たしている“悲しい役” に代表されます。かれらは米国の干渉行為を正当化し支持しようとしていま す。 その戦略はあのときと同じです。彼らは帝国主義に反対する国を政治的かつ経済的に封鎖するのを手助けします。その役割は、封鎖という卑劣な手段とその悲惨な結果をおおい隠し、国 際世論の非難から守ることです。 それはキューバに始まりました。それはチリに続きました。そしてそれはいまベネズエラに起こっているのです。
9.ベネズエラ革命は続く
ベネズエラ革命は帝国主義の攻撃強化と向き合い、社会的挑戦を続けます。「国民が主人公の民主主義」を完成させ、共同体を通じて社会運動の組織を拡大し、変革の道すじで一致した 政治勢力を統一する。そしてそのなかで人々の意識変革を目指します。それはフィデル・カストロが「思想の戦い」と呼んでいた運動です。
10.民族自決と諸国民の連帯
いまベネズエラでは、平和と民主主義、独立、諸民族の主権と自決をめざす戦いが進められています。戦いは決定的な段階を迎えています。 この戦いにおいて、諸国民の連帯は、ベネズエラとボリバル革命が覇権勢力に抵抗できる最強の手段です。いま必要なこと、それは私たちの間で努力を結び合わせることです。独立・主 権・自決の原則を守り、互いの団結を固めましょう。
11.チャベスは予測していた
最後に「我々の永遠の司令官」であるウーゴ・チャベスが私たちに残した言葉をお伝えしたいと思います。
"帝国主義が存在する限り、ずっとボリバル革命は危険にさらされ、脅かされ続けるだろう。なぜなら、もしそれが成功すれば, 帝国主義は溶け去ってしまうからだ"
最後に、みなさんのボリバル革命への一貫した連帯に感謝いたします。

ベネズエラが米国の中間選挙をどう見ているか。それを示す解説記事だ。著者はベネズエラ問題を専門とするジャーナリストという肩書きになっているが、ベネズエラ政府筋の人と見て間違いないだろう。

トランプの中南米いじめは中間選挙の政治戦術だ
by Paul Dobson  
Nov 4th 2018  venezuelanalysis  

1.ボルトンのマイアミでの発言
ジョン・ボルトン米国務次官補は、最近、キューバ、ニカラグア、ベネズエラに対する新たな制裁に関する発表を行った。
これは彼らを米国の敵国として描き出す試みに過ぎない
ボルトン氏は、マイケル・デイド・カレッジのフリーダム・タワーで語った。「ベネズエラ、キューバ、ニカラグアに対し、新たな制裁措置を開始する」と発表した。
そこには米国市民がベネズエラの地金との取引に参加することの禁止を含む。
ボルトンはマイアミの聴衆に語った。
ハバナからカラカス、マナグアに至るこの“暴虐の三角”は、人間の深刻な苦しみの原因であり、地域に巨大な不安定さを引き起こす原動力であり、西半球の共産主義の醜悪な発祥地である。
米国は、トランプ大統領のもとで、3つの政権に対して直接行動を起こしている。それは地域の公正、自由、基本的な人間の尊厳を守るためだ.
ボルトン議長の発言は、米国の中間選挙に向けての共和党の支援キャンペーンで、アメリカ人に恐怖を植え付けようとする“トランプ節”Trumpesqueのひとつである。

2.“暴虐の三角”
ボルトンが使用しているレトリックは、中間選挙の文脈で見ていかなければならない。
ボルトンはアメリカの人々に恐怖を抱かせるために“外部の敵”を描こうとしている。そのために“暴虐の三角”などのフレーズを使っている。
キューバに関する米国の政策は、これまで行われてきた金融制裁の継続に加え、ハバナの米国大使館からの外交官の撤去に焦点を当てている。米国がニカラグアにどのような計画を持っているかは今のところ不明だ。
ボルトン議長は30分間の演説でこう述べた。
ベネズエラが何百人もの政治犯を解放し、自由な選挙を認めない限り、米国は「腐敗したベネズエラ経済を支配するネットワークをターゲットにし、彼らが奪った富へのアクセスを拒否する。
3.米国のベネズエラ制裁は手詰まりになっている
ベネズエラに対する最近の動きは、具体的にはニコラ・マドゥロ大統領に対する動きである。それは9月に中米国家に課されたトランプ政権の制裁措置への追加措置である。
しかしそれはボルトンが信じるほど厳しいものではないし、ベネズエラ社会に大きな影響を与えるものでもない。
それは何らかの厳しい新制裁といったものではない。
もし厳しい新制裁というなら、それは石油禁輸措置とか旅行制限などになるはずだ。しかしそれらは明らかにされていない。
なぜか。それはアメリカの支配階級やビジネス界に本格的な石油輸出禁止令を受け入れる準備ができていないからだ。
アメリカ経済は依然として石油を始めとするベネズエラの産品に大きく依存している。
ボルトンが使用している言葉を見ると、制裁自体の実際の内容よりも、選挙運動で有権者に訴えようとしているようだ。

4.移民キャラバンをどう見るか
話は変わるが、貧困と暴力から逃れようとする移民キャラバンの問題がある。トランプ大統領は彼らを「侵略者」と呼んでいる。
このキャラバンはホンジュラスから米国とメキシコの国境へと移動している。留意すべきは、これらの大半は米国がこの地域に繰り返し介入した結果もたらされたことである。
木曜日にトランプは語った。
私たちは亡命制度の誤った乱用を終わらせる。そのための計画を確定する。
そして、移民キャラバンのメンバーによる暴力行為は軍事的に対応すると誓った。すなわち石が投げられれば銃で応えるということだ。
ボルトンの発言は、フロリダ州の選挙戦「戦場」でのものであり、トランプの反移民の立場に沿ったものだだということに留意する必要がある。
それは、すでにアメリカに拠点を置く移民に対して、さらなる人種的憎悪を煽る手段として働いている。

5.ラテンアメリカの民衆に対する“人種的憎しみ”
ホンジュラスの移民行進と、ニカラグア・ベネズエラ・キューバについての声明の間にははっきりとしたつながりがある。それは“人種的憎しみ”というつながりである。
これらの声明はボルトンとトランプがゲームを再評価し、新たな攻め口を準備していることを示唆する。
それは3つの政府、とりわけベネズエラを、病気や失業や医薬品の不足や、その他もろもろの口実で攻め立てようとするものだ。
そのことは、この間の選挙キャンペーンを通じて、明白な政治戦術として浮かび上がっている。

チャベス政府の経済・社会的成果
ベネズエラ経済の悪いところばかり取り上げられるが、チャベスが政権についたときのベネズエラの状況がどうだったのかを知ってもらいたい。プログラムの要旨に少し余裕があるというので書き込ませてもらった。
そして、チャベス政権の10年余りの間に、それらのパフォーマンスがいかに改善したかを知ってほしい。そのうえでここ数年間に途上国が負わされた経済的重荷をベネズエラも背負わざるを得なかったことに思いを致してほしい。
出所はすべて下記による
The Chávez Administration at 10 Years: The Economy and Social Indicators
February 2009
Center for Economic and Policy Research
ヨーロッパの中立的シンクタンクということである。

1 GDPは実質成長で2倍となった
現在の経済の拡大は、チャベス政権が2003年の第1四半期に国営石油会社の統制権を獲得したときに始まった 。それ以来、実質GDP(物価上昇補正後)はほぼ2倍となっている。すなわち5年余りで94.7パーセント、年間で13.5パーセント成長したことになる。
この経済成長を牽引したのは非石油セクターだった。また、民間部門は公共部門より速く成長した。

2 貧困率は半分以下に低下した
経済成長の成果は一般大衆にもたらされた。貧困率は54%から26%に、すなわち半分以下に低下した。極貧層の減少は72%に達し、さらに著明である。これらの貧困率は、医療や教育へのアクセスの増加は計算に入れられていない。
実質社会消費(Real social spending)は3倍以上に増加している。

3 失業率は低下し、社会格差も低下した
労働市場は著明に改善した。失業率は11%から8%に低下した。労働需要は拡大しており失業率は半分以下になっている。労働環境を示す他の指標でも相当の改善が示されている。
これに伴いジニ・インデックスも48%から41%に低下している。これは社会格差の著しい縮小を意味する。

4 教育・医療・社会福祉の改善
幼児死亡率はこの間に30%以上の減少を示している。特に医療へのアクセスの改善が特記される。公的機関におけるプライマリーケア医師は12倍に増えている。これまで医療を受けることのなかった何百万人もの民衆が医療を受けることが可能となった。これは多くのキューバ人医師の活躍によるものである。
社会保障の受益者の数は2倍以上になっている。
教育の分野でも顕著な前進があった。とくに高等教育の就学率は2倍以上になっている。

5 経済パフォーマンス
GDPが成長しているため、対外債務の対GDP比は半分以下となった。政府の対外累積債務も30%から14%まで低下した。
インフレ率は顕著に抑制されている。物価上昇率は31%で、10年前の水準に復帰した。これは一面では、世界的な通貨収縮の圧力によるものである。



「超インフレ」が非難されていますが、固定相場制でドルの流通が厳しく制限されていることを抑えて置かなければなりません。日本でもむかしは1ドル360円でした。今で言えば300%も割高でしたがそれで困ったことはありません。
為替相場といいますが、ドルの相場は本来存在しません。もしあるとすればそれはヤミ相場であり、IMFが為替価格のように語るのは失礼です。流通量が少なければ高値がつくのは当たり前。アムロの入場券に20万円のプレミアがついても市民生活とは無縁です。
大量の札束で買い物しているのは、高額紙幣を誰かが回収してしまったからです。これはデノミで解決します。通貨は一旦信用を回復すると狂気のように回り始めます。買い占めた人は相当被害を被っているでしょう。


札幌での講演会が4日後に迫りました。
もう一度、お知らせいたします。
当日は、エル・システマの少年交響楽団や、聴覚障害者による「白い手袋」のパフォーマンス、コロンえりか(大使夫人)さん、ベネズエラ音楽などのビデオ紹介も行います。
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Ⅰ.最近のベネズエラ

ここ2,3年のベネズエラ関連記事です。「もう一つのベネズエラ」の本体部分です。

A.2018年前半

2018年01月18日 ベネズエラ共産党の現状分析

2018年01月11日 2017年、ベネズエラ人民はどう闘ったのか ③

2018年01月10日 2017年、ベネズエラ人民はどう闘ったのか ②

2018年01月10日 2017年、ベネズエラ人民はどう闘ったのか ①

2018年01月05日 ベネズエラ記事の紹介

2018年01月05日  ベネズエラの「ある左翼」

B.2017年後半

①2017年12月25日 ベネズエラ:国連人権専門家の最新報告

②2017年12月25日 大統領選への道は開かれている。

③2017年12月25日 変動相場制が絶対ではない

④2017年12月24日 封鎖されつつあるベネズエラ

2017年12月24日 ベネズエラ ハイパーインフレの原因

2017年12月23日 ベネズエラ側の言い分

2017年12月23日 ベネズエラ経済分析はとりあえず保留 

2017年12月22日 ベネズエラのカトリック教会は恐ろしく下品

2017年12月21日 ニューズウィークのほうがまだマシ

2017年12月21日 ある進歩的な新聞の「反ベネズエラ」報道

C.2017年前半

2017年05月25日 ベネズエラ 野党の行動をどう見るか

2017年05月25日 ベネズエラ 野党の行動記録

2017年05月22日  ベネズエラ野党の大統領辞任要求に道理はない

2017年05月17日 カラカス情報 心得るべきこと

D.2014~2016年

2016年07月21日 ラテンアメリカ人民の闘い: この間の動向

2016年07月20日 ラテンアメリカの方向は人民の戦闘性により規定される

2016年07月23日 ベネズエラの政治危機

2015年12月18日 ベネズエラの選挙結果についての見解 

2015年12月17日 ベネズエラ国会選挙 第二報

2015年12月17日 ベネズエラ国会選挙 第一報

2015年02月04日 原油安 誰が敗者となるか

2014年12月26日 OPEC決定の画期性

2014年11月26日 ラテンアメリカ、最近の動き(2014) その2

2014年11月26日 ラテンアメリカ、最近の動き(2014) その1

2014年06月16日 ラテンアメリカ左翼政権一覧表


Ⅱ.チャベスのベネズエラ

1990年のカラカソ(首都カラカスでの暴動)から、チャベスのクーデター。98年のチャベス当選から、反チャベスのクーデター、ゼネストやリコール作戦の失敗、チャベス改革の開始までがふくまれます。

 

2013年03月12日 石油生産、いらぬ心配はご無用

2013年03月12日 WSJはチャベス革命の死を願う

2013年03月12日 チャベスの死と資本家の大はしゃぎ

2013年03月10日  チャベス革命の道筋 その3

2013年03月10日 チャベス革命の道筋 その2

2013年03月10日 チャベス革命の道筋 その1

2013年03月07日 チャベスに関する私の過去発言

2013年03月06日 チャベス、3つの功績

2013年02月22日 日本はマクロ指標が狂っている

2012年10月06日 ベネズエラ 最終盤の状況

2012年08月18日 チャベス政権の十年: 経済・社会指標の検討

2012年08月15日 ベネズエラ 世論調査の動向

2012年08月13日 赤旗「ベネズエラはいま」を読む

2012年08月13日 チャベスの対抗馬ラドンスキー

2012年08月12日 エコノミストはベネズエラを評価している

2012年08月11日 赤旗の「ベネズエラ特集」について

2012年05月25日 「これが世界だ」2012年版 その6 ラテンアメリカ: リーマンショックからの回復

2011年09月26日 南米を変えたこの十年 その5

2011年09月26日 南米を変えたこの十年 その4

2011年09月23日 ベネズエラ もう少し考えた

2011年09月22日 ベネズエラ経済: 立ち止まって考えた

2011年09月22日  ベネズエラ経済を、ふと考える

2011年05月11日 アメリカとベネズエラ、国民が感じる「幸福感」

今のところはっきりしたことは言えない。しかしホンジュラス難民の情報は気がかりである。
あまりにもタイミングがどんぴしゃりだ。
それに取り立てて今、ホンジュラスが人道的危機にあるとは言えない。厳密な意味での“難民”は存在していないとおもう。

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第一、こんな難民行列ありえない。こんな集団を米国が受け入れるわけがない。その前に、そもそもメキシコが国境を開放するなどというのも信じがたい。
トランプであろうとなかろうと、だれもこのような行動を支持するわけがない。これを信じてしまうメディアの素直さが信じられない。
メディアではニカラグアやベネズエラの人道危機を書き立てるが、ホンジュラスはそのような「反米」国家ではなく、紛れもない親米反共(…にさせられた)国家だ。なのに、このことにメディアが口を噤んでいるのも頷けない。

以下の動画はMatt Gaetz下院議員の10月17日付の投稿によるものだ。なんと221万回も再生されている。(これはYouTubeでも閲覧できます)
‏この議員が実在かどうかも知らないし、動画そのものの真偽も不明だ。(調べました。この人はフロリダ1区選出の下院議員です。共和党員で、"one of the most pro-gun members“ だそうです
gaetz
gun
Gaetz議員は、民主党系有力者のヤラセだと主張している。しかし状況は「むしろ彼のお仲間ではないか」と思わせる。推理小説ではないが「この報道の最大の受益者は誰か」ということだ。
左翼系のNPOという報道もあるが、ベルトにピストル刺してカネ配りする左翼はあまり見たことはない。
いくつかの人権団体がこのニュースに肯定的なコメントをしているのも気になる(たとえば国連難民高等弁務官事務所)
ただ紹介しておく価値はあると考える。メディアが現地謀略組織をふくめて、ことの真偽を明らかにしてくれることを(かすかに)期待する。

我々にとって、いちばん大事なポイントは、彼らはいつでも好きなところに難民の大群を作り上げることができるということだ。同じやり方で、ピストルとドルの札束で、“ベネズエラの人道危機”も作り上げることができるのだ。

ベネズエラの前国連大使が政府批判を始めたそうだ。
赤旗で大々的に取り上げている。
思い出すのは1984年のニカラグア、私がニカラグアを訪問していた間に、ニカラグアの国連大使クルースが辞任した。
その男はニカラグア革命が成功したときに、3人の最高指導者の一人だった。
彼は大使をやめて政府批判をはじめた。そしてレーガンが作った反革命ゲリラ「コントラ」の政治代表となった。
コントラが10年の内戦の間に7万人の国民を殺し、経済を荒廃させたのは記憶に新しい。あのときのニカラグアも5千%の超インフレだった。しかし多くの国民はそれでもサンディニスタを支持した。
だから20年後に、サンディニスタは選挙を通じて、平和的に政権を取り戻したのだ。

ところで、最近もテレビに筆坂という人物が出演してデマを撒き散らしているようだが、ベネズエラの新聞が彼の言い分を報道したら、礼儀上はあまりいい気分ではないだろう。

下記の記事は、先月9月20日に発表されたものであり、駐日ベネズエラ大使館の紹介を通じて入手したものである。筆者の責任で内容を要約してあるため、正確には原文をご参照願いたい(同大使館ホームページにて閲覧可能 20180920 PUNTOS INFORME EXPERTO ALFRED DE ZAYAS)

国連人権委員会  独立専門官・アルフレド・デ・サヤス
「ベネズエラにおける人権状況についての報告」  

1.ベネズエラに対する非人道的制裁

ベネズエラでは経済制裁により、経済危機が深刻化し、食料や医薬品の生産と分配を歪め、死者が発生し、大量の移民が生まれています。
またこのような状況のもとで、人権侵害も発生しています。
とくに2017年11月に、注文された抗マラリア薬の発送・供給をコロンビアが拒んだこと、国際社会がこれを容認したことは危機の深刻さを示しています。
(代替抗マラリア薬はインドから輸入され事なきを得ました)

2.その他の薬剤不足

米国、カナダ、EUはベネズエラに一方的制裁を課しています。その結果、インスリンや抗レトロウイルス薬といった薬剤の不足が直接的・間接的に深刻化しました。

3.新たな追加制裁の動き

米国はベネズエラを締め上げるために、新たな制裁の法令を考えています。そして準備を始めています。

4.一方的制裁が深刻な経済的影響をもたらしている

ベネズエラでは多くの失業が生まれ、その結果、隣国への移民が発生しています。
その主な理由は一方的制裁や金融封鎖にあること、それらが経済危機を深刻にしたためです。このことは十分な証拠を持って証明できます。

5.経済制裁はこれまでも行われてきた

このような一方的制裁は、チリのアジェンデ政権、ニカラグアのサンディニスタ政権などに対して行われてきました。
今回の制裁はそれらに匹敵するものになっています。

6.メディアは慎重でなければならない

メディアは不安を煽るようなキャンペーンを繰り返しています。それを通じて、ベネズエラには「人道危機」が存在するとの先入観が植え付けられています。

このような誇張表現には慎重でなければなリません。

なぜなら「人道危機」は、軍事介入の口実として不適切に使用され得る専門用語だからです。

7.ベネズエラ国民への国際的な連帯

ベネズエラにおける現在の物資不足を軽減するためには、自由な食料品・医薬品の流通が必要です。

そのためには国際的な連帯が必要です。それは人道的な連帯です。政治的なものである必要はありません。

8.ベネズエラ危機は人道危機ではない

ベネズエラは経済的危機にありますが、中東やアフリカ諸国とは異なり人道危機にあるわけではありません。

国連食糧農業機関(FAO)の報告では、世界37カ国で食糧危機が列挙されていますが、ベネズエラは含まれていません。

9.政府は頑張っているが、制裁が足を引っ張っている

ベネズエラ政府は重大な経済危機に立ち向かっています。

国際的な援助を求め、経済を多様化し、負債の再編を試みています。

しかし、一方的制裁はこれを妨げています。医薬品や種子の輸入を妨げるなど、状況を悪化させるのみです。

10.独立専門家サヤスの国連総会への勧告
 
国連総会の名において、キューバ決議とほぼ同様の意味付けで「ベネズエラ制裁は国際法及び人権法に反する」と宣言することを勧告します。



この半年間のベネズエラ関係記事

ペレイラ・キューバ大使の連帯挨拶(要旨)

ちょっと古い発言(17年10月「私たちは皆ベネズエラ-連帯の集い-」)だが、要点がはっきりしているので、学習会のレジメには使えると思う。
1.マスコミの報道について
マスコミの編集方針は大企業と支配層によって決められる。そのため、概して我々の諸国の政治的社会的現実を操作したり隠したりする傾向がある。

2.富裕層と米国が攻撃を仕掛けている
この間、進歩的政府が社会プログラムや富の再分配をおこなった。これによって富裕層の特権が脅かされた。
この勢力は、正規に樹立された政府を倒し、我々の国々を不安定化させ、内部危機を作り出そうとしている。

3.攻撃の実験場:ベネズエラ
その攻撃の主要な実験場となったのがベネズエラである。ニカラグアもまた、攻撃の的となっている。
キューバにも6月、経済・貿易・金融封鎖を強化することが決定された。

4.真実を知らせる必要がある
国際的な情報封鎖が打開されなければならない。
我々は今後とも引き続き、地域の出来事について真実を語り、知らせる必要がある。

エル・システマの国ベネズエラ なぜ“人権抑圧”と非難されるのか

ある新聞ではベネズエラは人権を抑圧し、表現の自由を認めず、医薬品も与えない。そのために多くの人々がいのちの危険にさらされ、国を逃げ出している…と書き立てています。
果たしてそうでしょうか。
私達は文章やデータでも、それらが根拠のないデマだと証明できます。
しかしそれより前に、私達はベネズエラの人たちの真心を示すことで、「そんなことはありえない」と証明することができます。

それがエル・システマの活動です。

これまでずっとベネズエラでは貧しい人たちは教育や医療、文化や芸術から遠ざけられきました。
20年前、「それは間違いだ。貧しい人たちにも文字や薬やバイオリンが必要なんだ」と叫んで大統領になった人がいます。それがチャベスという人です。

彼は石油のバルブを左に、民衆の側に開きました。こうしてエル・システマという音楽教育のシステムが花咲きました。
そして貧しい子どもたちによる世界的なオーケストラが出来上がりました。

お金持ちは、「そんなことはバラマキだ」といって民衆の側にたった政治、教育、医療をやめさせようとしました。そんなことをするから経済がおかしくなるのだと言うのです。
そしてお金持ちの意見を聞かない政治は民主主義ではないと批判し、暴力的な攻撃を繰り返しました。

考えてみてください。“お金持ちの意見を聞かない政治は民主主義ではない”のでしょうか。
それは逆でしょう。
お金持ちの意見を聞かない政治こそ民主主義でしょう。強いものに味方はいらない、弱いものにこそ政治は寄り添わなくてはいけないのです。

あなたはエル・システマを支持しますか? そして「そんなことはバラマキだ」という意見をきっぱりと拒否できますか?

ぜひそうしてください。私達はお金持ちがお金持ちであることに別にこだわりませんが、貧しい人が惨めであることは許せません。なぜなら私達がお金持ちになる確率は1億分の1ですが、貧乏になる確率はいつも2分の1だからです。



1975年 経済学者で音楽家のホセ・アントニオ・アブレウが「音楽の社会運動」をはじめた。
最初の活動はカラカス市街の地下駐車場スペースに集まり共にアンサンブルを演奏することだった。
その時に運動を支えるボランティア・システムとして、エル・システマが創設された。

「音楽の社会運動」というのは、平ったく言えば「音楽で子どもたちを貧困と犯罪から救う」こと、そのために「エル・システマを暴力から隔絶されたサンクチュアリーにする」ことである。
アブレウの考え: 音楽は最も高度な価値、連帯、調和、相互の思いやりと言ったものをもたらす。それは全共同体を統一させる能力と、崇高な感情を表現する能力を持つ。
だから音楽は、社会の発展の要因として認識されなければならない。
1979年 日本人ヴァイオリニスト小林武史がスズキ・メソードに基づいて指導を開始する。
現在は国家が支援する財団であり、正式名称は「ベネズエラの児童及び青少年オーケストラの国民的システムのための国家財団」と呼ばれる。
200のユース・オーケストラと、それらに演奏技術を身につけされる器楽練習プログラムを担っている。
過去 30 年で100 万人の子供たちが活動に加わった。いまも30万人の子どもたちが練習に参加しているが、その70%は貧困層の出身である。
2007年 チャベス大統領は参加者を100万人に増やすプログラム「音楽の使命(Misión Música)」を発表した。
彼はエル・システマを監督するのではなく、貧困層への補助とサービスの拡大と並行させるようにした。
2007年 米州開発銀行(IDB)はベネズエラの音楽教育システムを経済的に評価した。
エル・システマが教育してきた200万人以上の若者の調査を実施し、学校での落ちこぼれと犯罪による経済的損失とを秤にかけた。
エル・システマへの投資は、1ドルあたり1.68ドルも社会に還元されているという結果が導き出された。
エル・システマの成功は世界に広がり、60以上の国・地域で音楽による地域青少年活動が取り組まれている。

シモン・ボリバル・オーケストラ
話はやや複雑である。
最初に作られた選抜メンバーによるオーケストラは「国立青少年オーケストラ」である。
しかしここを卒業した音楽家が成長してきたとき、「シモン・ボリバル・オーケストラ」が結成された。これは現在も活動しているが、最近になって国立青少年オーケストラから移った年少のメンバーが、もう一つのオーケストラを結成した。
このために、従来からのシニアオーケストラは「シモン・ボリバルA」と呼ばれるようになり、ジュニアのほうが「シモン・ボリバルB」と呼ばれるようになった。
つまり125のユース・オーケストラの上に、全国規模の選抜オーケストラが、3つあるのである。
2007年に世界ツアーをおこない、センセーショナルな歓迎を受けたのは「シモン・ボリバルB」である。

追加 ちょっと嫌なこと
オーケストラの指揮者だったドゥダメルがベネズエラ国籍を捨てスペイン人女性と結婚したと言う。人間誰でも豊かになりたいし、その権利はある。
彼はエル・システマを擁護することで国際メディアの十字砲火を浴びていた。そのことは十分同情に値する。しかし貧しい人たちを足蹴にする権利はないだろうと思う。
とにかく世の中ひっくり返っている。


対中制裁もイランやトルコの制裁もベネズエラ制裁も根は一つだ。
アメリカの野蛮な世界制覇の試みに対して、断固として反対しなければならない。
アメリカが新興国をやっつけるときに「民主主義」を持ち出すのは常套手段だ。
しかしアメリカは決して民主的な国ではない。
平等の国でもないし、平和の国でもないし、寛容な国でもないし、進歩的な国でもない。
さらにあえて言うなら、知性的な国でもない。

世界の人々にとって、アメリカの一国主義こそが最も主要な危険になっている。アメリカの一国主義を許さなず、多国間主義にもとづき、正義の共同・統一を目指すことが、最も差し迫った課題となっている。

自由と平等、平和と民主主義、格差の解消という目標に向けて何が必要かを考えよう。その観点からさまざまな国の政策や姿勢を判断しよう。
メディアがある国の「民主主義」について度外れのキャンペーンを始めたとき、その背景に何があるかを冷静に考えることが必要だ。我々はそれで何度も痛い目にあってきた。
ルムンバ、キューバ、ベトコン、ジャカルタ、チリ、コントラ…
アメリカの仕掛けた「民主主義」キャンペーンに、決して踊らされるな!
最小抵抗線で逃げようとするな。正義と真実、民族自決の精神にもとづいて連帯しよう。
これが、現在最も大事な視点である。

これが、その記事。
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おそらくニューヨーク・タイムズのスクープ記事がきっかけになって、このままでは少し具合が悪いということに気づいたのではないか。(NYタイムズが明らかにしたベネズエラ・クーデターの陰謀

リーマンショックから10年、いま世界の流れの焦点は、アメリカを拠点とする巨大資本による新興国からの収奪にある。トランプ政権の本質はこれら巨大資本の攻勢の先陣を切ることにある。
GAFAを代表とするアメリカ巨大企業、情報リテラシーを利用した巨大投機資本がタッグを組んで新興国攻撃を仕掛けている。
そのターゲットは中国にあり、トルコにあり、イランにあり、ブラジルやアルゼンチンにある。貿易戦争を仕掛け、通貨で痛めつけ、懲罰的経済措置で新興国の持つ成長力を奪い取ろうとしている。
情報産業や投機資本が生み出す富は架空の富であり、どこかで実体の富の成長と交換されなければならない。それは新興国における実体経済の成長力しかない。
ベネズエラやトルコ、アルゼンチンは新興国を屈服させるための生けにえ・見せしめとなっているのだ。ここにベネズエラ問題の本質を見なければならない。大手通信社の尻馬に乗っている場合じゃないんですよ。
人類が生み出した巨大な寄生虫が地球と人類の持つ成長力を吸い尽くせば、大げさに言えば、世界は終末を迎えることになるのだ。これがマルクスの教えだ。


ニューヨーク・タイムズの記事はかなりの長編だ。
リンクだけ張っておく。

By Ernesto Londoño and Nicholas Casey
Sept. 8, 2018

これがメイン記事。

By Nicholas Casey and Ernesto Londoño
Sept. 8, 2018

これがベネズエラ政府側の反応を報じたフォロー記事。ベネズエラ政府の公式な反応についてはNYタイムズが明らかにしたベネズエラ・クーデターの陰謀を参照のこと

By The Editorial Board
Sept. 11, 2018

これが、報道を受けてのNYT社編集部の公式の立場。「赤旗」はこれに近いのかな。

最近のニューヨークタイムスに、トランプ政権がベネズエラのクーデター計画に関わっているという記事が掲載されました。
新藤さんのブログで読めますが、機械翻訳のせいかかなり読みにくいようです。
こちらは 9月10日の「TeleSur」の記事です。

これが見出し
ベネズエラ、ニューヨークタイムズ報道を受け米国のクーデター陰謀を非難
これがリードです
ニューヨークタイムズ(以下NYT)の報道によると、米国の当局者はベネズエラのクーデター陰謀者と1年以上にわたり会っている。

ここからが本文です。

NYTは、「米国政府のメンバーが、2017年中頃からベネズエラ軍将校と会合を持っている。これらの軍将校は民主的に選出されたニコラス・マドゥーロ大統領を追放しようと活発に動いている」と報道した。
NYTのロンドーニョとケーシーによれば、陰謀は1年前、2017年8月に始まった。それはトランプが「米国にはベネズエラに対し軍事オプションが有る」と宣言した後に始まった。
それは「クーデターを狙うベネズエラ軍将校たちを励まし、ワシントンと手を結ぶよう促す」ものであった。
米国の当局者との最初の会合で、ベネズエラ側参加者の1人は「マドゥロ政権を打倒するためにベネズエラ軍のグループを説得できる」と伝えた。

報道された内容の多くは、ベネズエラ政府がこれまで繰り返し警告してきたことの確認である。
すなわち、軍事行動に「政治的野党」の活動と米国の関与を統合したマドゥロ政府に対する包括的行動計画である。
米国は一人の職業外交官を指名し会談に出席させた。この外交官は彼らの話を聞き、それについて報告している。
米国の高官は匿名を条件にNYT記者に話した。
  トランプ政権は当初、ベテランのCIA職員、フアン・クルスを派遣することを検討した。 後で「CIAではなく職業外交官を送るのが賢明だろう」と決めた。
 NY Timesの記事は次のように述べている
"2017年の秋の米政府内報告では、「ベネズエラ人は詳細な政打倒計画を持っていないようだ」と報告されている。
彼らはアメリカ人が指導やアイデアを提供してくれることを期待していた。 軍関係者は「暗号化された無線機」を米国に提供するよう頼んだ。その理由として、「選挙実施までの間の暫定政府を設置する計画を策定したので、安全なコミュニケーションの手段を必要としている」と述べた。

ところで、
NYTは「米国の関係者は物質的支援を行っていない」と書いているが、実際には軍事援助も行っていると思われる。
8月4日、国軍81周年記念式典でC4を積んだ2機のドローンが、マドゥロ大統領、いくつかの他の政府関係者、およびゲストを暗殺しようとして爆発した。 その後の一掃作戦の結果、計画の全体像が発覚した。
それは数十人の陰謀参加者の逮捕につながった。 野党のフリオ・ボルヘス議員とオスワルド・ガルシア退役大佐を含む40人以上がこの攻撃に関連している。
これらの装備は高度な準備と能力を要求するもので、大きな軍事組織の存在なしには実行し得ないものであった。
米軍とベネズエラ軍内の関係者がマドゥロを転覆させるために関係結んでいるかどうかは今のところ不明である。 ベネズエラ政府のアレアサ外相は、NYTの報道にもとづき、干渉を続け、軍事的な政府転覆の陰謀を支持する米国をあらためて非難した。



トランプ政権がベネズエラのクーデターを企て、国内のクーデター派を組織しているとのニューヨーク・タイムズの報道は、日本国内でもかなりの反響を呼んでいるようです。

あの「産経ニュース」でさえ、取り上げています。ただみな共同通信の配信なのでそれだけです。


ニューヨーク・タイムズは、トランプ政権当局者が昨年秋から、ベネズエラの反米政権を転覆するクーデターを計画していた軍不満分子の将校らと、数回の秘密会合を持っていたと報じた。

複数の米政府高官と元ベネズエラ軍将校によると、ベネズエラ軍内のクーデター勢力は数百人。
トランプ政権側は「話を聞くだけ聞こう」と考え、複数回極秘に将校らと面会した。しかし、クーデターの具体的な計画はないようだった。

AFPはもう少し率直に書いている。しかし日本AFP以外は無視。

ニューヨーク・タイムズは以下のように報じた。
元ベネズエラ国軍司令官とトランプ政権の当局者が、マドゥロ大統領に対するクーデター計画について秘密裡に協議した。最終的に米国は支援を行わないことになった。
補足報道として、
① 17年8月には、トランプ大統領が米国によるベネズエラ進攻の可能性について側近に尋ねた。
② トランプは、ベネズエラの混乱の収拾のためには「軍事的選択肢」も排除しないと公言している。
というコメントを付加している。


この文章は、下記の文章を私なりに解説したものです。
Mar 15th 2018 ベネズエラ・アナリシス
ベネズエラの「亡命」についての誤解と歪曲

Fallacies and Inaccuracies About Venezuelan Migration

ベネズエラのいわゆる「亡命」について多くの見解がぶつかりあっている。
誰を信じるべきだろうか?


というのですが、日本においてはぶつかりあうどころか一方的に反ベネズエラ情報が垂れ流されています。この文章も蟷螂の斧にすぎませんが、出しておく価値はあるでしょう。

はじめに
この1年あまり、ベネズエラの危機に関する物語がますます強烈に印象付けられている。
最初は警察による野蛮なデモ隊弾圧で多くの死者が出て、ベネズエラが内戦状態に陥っていると報道された。ついでマドゥーロ政権が反民主的な言論弾圧を行い、国内は戒厳令状態に陥っているとされた。そして医薬品がなくなってインシュリンも打てなくなり医療が崩壊していると報道された。その後は、5万%にも上る超インフレで、人々の生活は崩壊していると報道された。最近では難民が大量発生し近隣諸国は大混乱に陥っていると報道されている。
我が国の報道機関は左右を問わずこれらの報道を無批判に受け入れ垂れ流している。しかしこれらがすべて真実であるなら、ベネズエラという国家はとうの昔に消失していなくてはならないだろう。
そろそろこれらの国際報道に疑いの目を向け、常識を働かせて判断すべきときに来ているのではないだろうか。とくに世界のメディアは2002年反チャベスのクーデターに際して、白を黒と言いふくめる重大な間違いを犯している。そのことの反省を忘れないでいただきたいと思う。

「難民」に関するいくつかの信じられない数字
国際メディアの主流と世界的機構によると、200万人以上のベネズエラ人が故国を離れたという。
率直に言えば、まず数字そのものが信じられない。
国連難民委員会の発表(2017)では以下の国が御三家である。
シリア:550万人
アフガニスタン:250万人
南スーダン:140万人
これだとベネズエラは一気に堂々の銅メダルということになる。普通の報道関係者なら、内戦国でもないところで、しかも突然に説明不可能な難民が出現したというのなら、まず情報源を疑うべきであろう。
この200万人という数字は、「ベネズエラ亡命者観測機構」というNGOが提出した報告にもとづいている。ベネズエラはいかなる周囲国とも正常な国交を維持している。したがってこれが出入国管理当局の数字ではないことに十分留意すべきである。
反チャベスの新聞「タル・クアル」は、2017年11月17日から12月4日までのあいだに409万人のベネズエラ人が出国したと報道している。それは“Consultores 21”が組織した2千人のスタッフの調査に基づいているという。
同紙によれば、ベネズエラの家族のうち3割で、少なくとも誰か1人、平均すれば1.97人が国境を越えて生活しているという。
ここまで書きたてると、流石に欧米メディアも手を出さなくなるようだ。ただこの報道から明らかなことは、「亡命」が一種のキャンペーンとして計画的に行われているということだ。

コロンビへの亡命という矛盾
米南部軍司令部のカルト提督は、米上院軍事委員会でベネズエラの亡命の動きについて証言した。証言によると、コロンビアへのベネズエラ移民は50万人に達した。さらにブラジルに40,000人、エクアドルに93,000人が向かっていると述べた。
しかしコロンビアの上げている数字はこれよりはるかに低い。
コロンビア外務省と国際移住機関(IOM)が発表した報告によると、コロンビアとの国境を越えた人の69%は、日常的に国境地域を往来する地域住民、労働者、研究者であった。
残り30%のうち23%は、数ヶ月間コロンビアにとどまる予定と申告、ベネズエラを恒久的に離れるとした人はわずか5%に過ぎなかった。
コロンビアの統計によれば、153,443人のベネズエラ人が法的に許可された滞在を超え、ビザなしで滞在している。彼らは「不法移民」ということになる。社会保障制度の裏付けなしに雇用され、搾取される可能性がある。
この他に合法的に移住手続きを行った人が47,305人いる。あわせて約20万人がベネズエラを離れ、コロンビアに移ったことになる。
これは決して少ない数ではない。
しかし少し長い目で見ると、これはきわめて奇妙な現象であることが分かる。
第一にコロンビアこそ世界有数の難民国である。先ほどの国連難民局の統計でそれより1年前の数字を見ると、2016年末時点でコロンビアでは730万人が難民登録されている。これは世界最多である。これに続くのがシリア(630万人)、スーダン(330万人)、イラク(300万人)、コンゴ民主共和国(220万人)である。銅メダルどころか国歌付きの金メダルなのだ。
和平が実現した後、この難民数は大幅に減少し圏外へと去るのだが、このような国に避難するいわれなどない。
第二に、過去においてコロンビア人の避難先は圧倒的にベネズエラだったのである。国連の難民局の公式発表では、ベネズエラ在住のコロンビア難民数は172,000人に達している。難民だけでなく経済移民や出稼ぎをあわせ、ベネズエラのコロンビア人は約100万人を数える。
ベネズエラは豊かで雇用(下働き)があるからだ。そのかわり、コロンビア人はベネズエラにおいて差別と偏見の対象となってきた。
ベネズエラ人の生活が苦しくなったとき、そのしわ寄せをまっさきに受けるのはコロンビア人のはずだ。おそらく大量にコロンビアに脱出しているのはこういう人々ではないだろうか。

以下は「思想運動」からの引用
ベネズエラ国内には隣国コロンビアからこの20年間に600万人の人びとがベネズエラの出生を差別しない社会保障を求め移住している。
また、コロンビアの法律では国外で生まれたコロンビア人の子どもは自分の意志を法的に宣言すればすぐにコロンビア人として認められる権利を持っている。
コロンビア・ベネズエラ国境を越える人びとの70%はこのコロンビア人のベネズエラ生まれの子どもたちで、残り30%の大半がベネズエラ居住のコロンビア人である。また、その人たちの大半が富裕層に属している

出る人も入る人もいるが…
マイアミのメディアは「150万人以上のベネズエラ人が国外居住しているが、その90%はこの16年間に祖国を去った」と報道する。
下の図は国連の人口統計である。ベネスエラ生まれで外国居住の流出者と、外国生まれでベネズエラ居住の流入者を対照したものだ。
nanmin
イミグレは入国者、エミグレは出国者である。ともに累計である。ざっと倍以上の入超である。
これがまず1つ、もう一つは出国者は16年間の累計で65万人。国外居住者が150万人とすれば43%にすぎない。
国連のデータによれば、このように移入が一貫して移出よりも高くなっている。ただしCIAの発表した世界ファクトブックは異なる状況を示している。「世界各国の移民率」の表では、ベネズエラはー1.2パーミリとなっている。これは僅かな出国過剰を表している。
国連のデータが嘘で、CIAのデータが真実を述べているというのではなく、統計のとり方によるのだろう。
ではこのCIAのランキングををラテンアメリカの他の国と比較してみよう。リマ・グループ諸国(親米諸国)の12カ国のうち9カ国で、ベネズエラと同じマイナスの移民率となっている。
例えばメキシコがー1.80、グアテマラ ー1.90、ペルー  ー2.20などである。

たしかに多くの出国者がおり、その背後に経済困難がある
この間に少なからぬ人が経済困難を理由に国外へ逃避した。その経済困難はどのようにしてもたらされたのか。
その経済困難は封鎖によって強化された、ベネズエラの財政的包囲によって引き起こされた。 その経済封鎖と財政的包囲はトランプ政権が実行し、コロンビア、ペルー、ブラジル、アルゼンチンの大統領が支援しているものだ。
そして国外脱出そのものは、前国会議長のJulio Borgesが煽っているキャンペーンが影響している。先にも述べたとおりである。


いま、トルコとベネズエラは世界中で経済危機がスポットライトを浴びる東西の両横綱である。
さまざまな経済指標の中でもとりわけ通貨安が先行しているところに特徴がある。
しかも、アメリカ=トランプ政権による強引な干渉がその引き金になっているところにも共通点がある。金融グローバリゼーションはいまや為替操作という強力な武器を手に入れたことで無敵となりつつある。その国際金融資本の身勝手な投機が途上国を苦しめているという構図も同じである。
さらに言うなら、そのような攻撃をかけるときの口実が民主主義と人権であることも共通している。
その口実は、弱小国を弄ぶための囃子詞として使われる一方、世界の富を独占し99%の人から搾り取る不正には目をつぶる。プーチンのウクライナ侵略にも目をつむる。そういう大変身勝手な「ルール」の上に成り立っている。
読者の皆さんにはぜひ、この大前提に立って物事を見てほしい。
そのうえで、トルコとベネズエラの違いについても理解する必要がある。
ベネズエラでは通貨ボリーバルが大暴落している。しかし、その原因は政府が外貨を放出しないからである。外貨がないわけではない。トルコは経済が発展し離陸段階に入っている。こういう国では原材料やノウハウ・設備を買うために外貨がいくらでもほしい。だから常にインフレ傾向は必然である。
ベネズエラはそこまで行っていないから、石油を売ったお金で、その範囲で生活するだけだ。だからそれほど深刻な外貨不足ではない。石油価格が半分になったら生活を半分にすればよいだけの話だ。だから本来インフレは発生のしようがないのだ。
今までの生活を続けようと思ったら、仮に生活用品の100%を輸入してたとして、物価は2倍になるだろう。それだけだ。それが1万%に物価が跳ね上がるのはドルの国内流通量があまりにも少ないのでとんでもないプレミアが付いてしまうのだ。
国内の流通量が少ないのは政府が市場へのドル流出を妨害しているからだ。いわばドル鎖国をしていることになる。では政府は石油を売った富をどのように国民に還元するか。物とサービスの直接提供だ。つまり配給制度だ。
配給なんで日本でもつい先日まであったのだ。私が昭和40年に札幌に来たとき、母親が私に「お米の通帳」を渡した。「そんな物いらねえよ」と放置しておいたのだが、実はそれが住民票だったのだ。それを市役所に出さなかったばかりに、私は幽霊市民になっていた。選挙になっても投票権が来ないので、いろいろ調べているうちに、やっと配給手帳が住民票と同じだったのだということがわかった。
こういう分配システムのもとではどうなるか。政府の指示通りに働き暮らす限りにおいてはまったく不自由はないのだ。国内通貨は国内では普通に通用する。
別に不思議じゃないでしょう、
ドルが高すぎると言うが、団塊世代以上の人にとっては。あのとき1ドル360円だったのだが、それで困った記憶はありますか?
サザンのコンサートのチケットが50万円になっても別に困ることはない。ただ悪徳ダフ屋は取り締まるべきだろう。コンサート・チケットがドル札になったと思えば良い。ベネズエラのドル市場というのは完全に闇市場だから、闇ドルを禁止し摘発するのに躊躇することはないのである。
IMFが先頭に立って1万%とかいうのもどうかと思う。それは結局ドル換算で見た通貨価値の低下率の逆数である。しかも公定為替相場ではなく、素人が手を出さない闇相場を基準にしている。だから物価が上がってもデノミをすればそれで済むだけの話だ。

ただし経済制裁後は話は違ってきている。ドルがあっても物が買えない、売ってくれないという状況が出てきているからだ。つまりこの1年間におけるベネズエラのハイパーインフレは、経済問題ではなく、優れて政治問題なのだ。

もちろん固定相場制をいつまでも続けるということが、市場原理による資本の再配分、経済の自律的成長の確保に障害となることは間違いない。対立的な政治状況が長引く中で、このような恣意の入り込みやすい経済運営を続ければ、内部腐敗を招く危険は率直に言って高い。

個人的な感想としては、2008年の憲法改正のときがチャンスだったし、それが失敗した時にもっと率直に反省すべきだったと思う。マクロにばかり目を向けたチャベスの責任だ。
妥協というのは上り坂のときにこそできるのであって、マドゥーロに今それをやれというのはかなりきつい。しかしどこかでやらないと、必ずどこかでやられると思う。

“Turn on” は歯向かうこと

今朝、BS ワールドニュースを見ていてわからない言葉に出会った。
英語を翻訳していると、良くこの手の表現に出くわす。これを真面目に辞書で検索するか否かで翻訳文の出来栄えは俄然変わってくる。
以前、医学書を翻訳して医学書院から出してもらったことがある。その時は「こなれた良い訳だ」とほめられた。
それは半分はあたっているかも知れない。
日本語としてこなれた文章にするには、日本語の能力が問われる。
しかし、本当はその前に、ちょっとした言葉でもしっかりと訳語をパッチすることが大事なのだ。
これをやると翻訳の時間は3倍かかる。しかしこれをやっていくうちに、ネーティブの人よりよく読めるようになることは間違いない。しかし困ったことに、読むスピードはむしろ落ちていくのである。

話が横道に入った。
元の表現は
Turning on Donald Trump?
というので、グーグルの翻訳エンジンでは「オンにする」としかでてこない。
こういうときは、「辞書で探せ」と言っているのと同じだから、辞書で検索するしかない。
といっても、便利なもので、いまでは“turn on”と入れてグーグル辞書を見ればよいだけだ。
turn on
「他9件の翻訳」を左クリックすると候補が出てくる。
9件の候補のうち最後の方に
歯向かう
oppose, bite back, defy, turn on, rise against, strike at
というのが出てくる。
なぜか?
それは書いてない。それを調べ始めたら翻訳の仕事は20分は止まってしまう。

「歯向かう」に相当する英語に、“bite back”というのがあったのには笑った。「あるんだ!」ね。

It is not often that Fox News criticizes President Trump, but the network’s primetime hosts have now criticized Trump twice

というニュース。「歯向かう」を知らないと、どうしようもない。

以下の年表は北大大学院法学科の馬場香織さんの論文(メキシコの麻薬紛争に関する予備的考察)から作成したものである。この論文は「なぜ」という側面に迫ったものであるが、かなり話が難しいのでとりあえず端折らせてもらった。興味ある方は当該ページに当たられたい。

1960 年代 ヒッピー・ムーヴメントに乗って米国で麻薬の需要が急速に拡大。これにともないメキシコの麻薬生産も飛躍的に拡大する。

1976年 政府、米麻薬取締局(DEA)の協力を得て「コンドル作戦」を開始する。シナロア州を中心に徹底的な攻撃を加える。

1978 年 コンドル作戦が収束。グアダラハラに潜伏していたギャングが麻薬密輸を再開。

1980 年代 米政府、コロンビアからカリブ海を経てフロリダに至る密輸ルートを壊滅に追い込む。これに代わり、メキシコを経由するルートが主流となる。

1990 年代 コロンビアのカルテルが衰退。メキシコのカルテルがコカインを含む麻薬密輸の中心となる。グアダラハラを拠点としたカルテルと、メキシコ湾を拠点とするカルテルが勢力を伸ばす。

2000 年 大統領選。国民行動党(PAN)が勝利して政権交代が実現。民主化が達成される。

1990 年代 グアダラハラ系のカルテルは、フアレス・カルテル、シナロア・カルテル、ティフアナ・カルテルの3つに分裂する。

1995 年 メキシコで経済・金融危機。失業者の増加は、子分の調達を容易にする。

1996 年 ガルフ・カルテルのリーダーにオシエル・カルデナスが就く。シナロア・カルテルに対抗するため、対諜報活動に精通したメキシコ軍の精鋭メンバーを集め、超強力部隊「セタス」を創設する。

2003 年 ガルフ・カルテルのオシエル・カルデナスが逮捕される。これをチャンスとみたシナロア・カルテルが攻勢。これにセタスが応える。

2006 年 ミチョアカン州でミレニオ・カルテルに代わりファミリア・ミチョアカーナが台頭。住民に対する一定の支援を行う。

2006年 セタスの活躍を見た各カルテルが兵士のリクルートを活発化。6年間で5 万 6000 人が軍務を離脱。

2006 年末 カルデロン PAN 政権が発足。「対麻薬戦争」を宣言。

2007 年 セタスとシナロア・カルテルが休戦協定を結ぶ。

2009 年 フアレスを舞台にシナロア組織の内紛が激化。フアレスは世界でもっとも殺人率の高い街となる。

2011年 セタスはメキシコ湾カルテルから自立。メキシコ各地に支部を拡げる。カルテル間抗争は三つ巴となり、年間死者数が1万6千人を超える。

2011年 ミチョアカンでファミリア・ミチョアカーナが壊滅。住民への暴力を事とする「テンプル騎士団」が勢力を伸ばす。



ベネズエラ革命は勝利できるだろうか


これは今から10年前に書いた記事です。タンスを引っ掻き回していたら出てきました。
あの頃、まだチャベスは健在で、ベネズエラ革命は不抜のように見えました。しかしアメリカは諦めてはいなかった…その事がよく分かる記事です。



いまベネズエラ革命は、数々の困難を乗り越えて大きく前進しつつあります。しかしそれが長期に見て勝利を収めうるのかどうかは、依然として不透明です。

革命そのものが抱える困難は、おおきく言って外部的な困難と内部的な困難に分けられます。このうち内部的な問題については専門的になるし、意見も分かれるところがありますので、ここでは簡単に触れるにとどめます。

言うまでもなく外部的な困難のうち最大のものはアメリカとの関係にあります。というより、ベネズエラ革命が抱える困難の圧倒的な部分は米国の干渉がもたらしたものです。

チャベス下ろしの策動は、これまで大きなものだけでも、すでに3回も実行されました。1回目は2002年4月の失敗したクーデターです。2回目は同じ2002年の12月に始まり、2ヶ月にわたって続いた「ゼネスト」です。そして3回目が2004年8月に行なわれたチャベス解任を求めるリコール投票です。それらのもくろみは、そのたびに失敗してきました。

 

米国はベネズエラをあきらめていない

①ベネズエラ政府転覆の秘密作戦

昨年、調査ジャーナリストのエバ・ゴリンジャーは、情報公開法(FOIA)を通じて最高機密のCIA文書を入手しました。2002年4月のクーデターの2日前のものでした。それはCIAのクーデターへの関わりを証明し、複雑な経路をとった資金援助を明らかにしています。

これによると、クーデター組織への援助は2001年から始まっています。秘密資金は、米国議会の全額拠出する準政府機関の「国家民主主義振興会」(NED)および米国国際開発局(USAID)を通じて行なわれました。

これらの機関の資金は、最終的にチャベス反対派に流れました。それは暴力的な街頭抗議行動の準備・組織に用いられ、クーデター当日の大デモへとつながっていきました。さらに2002年末から翌年初めにかけての石油公社のストライキや、2004年8月のチャベスに対するリコール投票にも用いられました。

ゴリンジャーが入手した文書は、米国国務省、国家安全保障局、そしてホワイトハウスがこれら三つの陰謀を全面的に掌握し、それを是認していたことを、一点の曇りもなく明らかにしています。

②三つの政府打倒計画

2002年4月のクーデターについては私の別著「ベネズエラ…何が起きたのか?」をご参照ください。このときは企業連合が、武力挑発の後「虐殺事件」をデッチあげ、これに連動して軍の反チャベス派がクーデターを起こし、チャベスを逮捕・拘留しました。

しかし市民の反撃にあい、権力が維持できなくなり「新政府」はわずか2日間で崩壊してしまったのです。

二回目の計画は、企業が営業をストップさせ、これと連動して国営石油の操業を停止させる作戦でした。反政府派の労働組合が音頭をとり、表面的にはストライキのように見えますが、実体はアメリカの意を受けた生産サボタージュです。

30年前のチリではトラック運送業や、商店主の波状的なサボタージュがアジェンデ大統領と民主連合政府を痛みつけ、クーデターへとつながっていきました。しかしベネズエラでは軍と政府が石油生産を管理し、銀行などの敵対行為に対しては外国為替の取引を停止するという強硬手段で、押さえ込むことに成功しました。

政府は石油生産と金融機能を抑え、流通機構の統制にも乗り出しました。それがメルカル計画です。これらの措置により反チャベス派企業や労組の力は大幅にダウンしてしまいました。

三つ目の計画は大統領リコール投票です。これは大統領のリコール権を認めた新憲法を逆手にとって、チャベスを追い落とそうという、一見合法的な闘争形態をとりました。

しかし、それはリコール投票をキャンペーンの手段として利用することに目的がありました。反政府派はリコール要求署名を集め、それが法定数に達したとしてリコール投票の実施を求めました。ところが選挙管理委員会で署名をチェックすると、不正な署名が圧倒的に多く、そもそもリコール投票の実施に必要な要件を満たしていないことが明らかになりました。

選挙管理委員会が中間報告の形でそのことを明らかにすると、反政府派は政府と選管の違法な独裁を糾弾し、カラカスを中心に大規模な暴動を引き起こしたのです。この暴動で多くの人が犠牲になり、国際世論はチャベスを批判するようになりました。ここまではメディアを使った反政府キャンペーンが一定の成功を収めたといえます。

政府は、カーター元大統領や米州機構の調停を受け入れ、リコール投票の実施を受け入れることになります。

しかし、その裏にはこの国民投票に勝てるという、チャベスの絶対的な自信がありました。そして結果はそのとおりになりました。

③その後の政府打倒計画

これまで何回かの米国によるチャベス政権転覆策動はことごとく失敗してきました。かといって米国が手をこまねいているわけではありません。むしろ追い詰められれば追い詰められるほど、その凶暴さをむき出しにしてきているといえます。

 

ウーゴ・チャベスは、米国が彼の暗殺計画をもっていると確信しています。彼は、正しいかもしれません。

ニューヨーク州ビンガンプトン大学の名誉教授でラテンアメリカの専門家であるジェームズ・ペトラスは、以下のように述べています。

「米国はチャベスとカストロを軍事的に打倒する戦略を持っている。それは二段階に分かれている。まずチャベス政権を倒す。そしてキューバへのエネルギー供給をとめる。それから経済的締め付けを強め、最後に軍による攻撃へと進む。

チャベスを倒すために 、米国は「三角形の戦略」を使用するだろう。まずコロンビアから反革命軍部隊が侵入する。米国は空と海からベネズエラを攻撃し、さらに特殊部隊が政府幹部を暗殺するなど破壊工作を行なう。そして国内においては、潜入したテロリストと軍内の反チャベス派により反乱を引き起こす。これらの作戦はメディア、銀行界、石油会社幹部によって支持されるだろう。

これに先立ち、米国はコロンビアに軍事援助30億ドルを提供する。おそらく「麻薬戦争」のためという名目がつけられるだろう。この援助によりコロンビア軍の規模は現在の3倍以上、27万人に達するだろう。そして、新しいヘリコプターや爆撃機を加え、「先進的な軍事技術」を獲得するだろう」

②反チャベス宣伝の強化

クーデター、石油スト、リコール投票の全期間を通じて、米国は反チャベス・レトリックを強めました。それは、米国の民衆に、チャベスの除去を何か良い変化が起こったかのように受容させようとするものでした。

そのときと同じレトリックが、次のチャベス追放計画のときにも、それに先立って展開されるでしょう。実際、それはすでに始まっているともいえます。

2005年の初め、CIA長官ポーター・ゴスが上院情報委員会で証言しました。その中でゴスはベネズエラに言及し、「潜在的な不安定地域」であり「発火点」だと表現しました。彼はまた、ウーゴ・チャベスが「合法的な戦術を用いて彼の権力を強化し、敵対者を攻撃し、他の地域に干渉しようとしている」と非難しました。

他にも米政府当局者は、チャベスを「地域への否定的な力」であり、「新しい種類の権威主義である」と攻撃しています。そしていささかのためらいもなく、ベネズエラ政府を「権威主義的民主主義」、「民主主義に対する脅威」、「選ばれた独裁」と呼んでいます(何たる形容矛盾!)。

常に自発的で恥知らずな共謀者である米国メディアは、これらの反チャベス感情を増幅し続けています。それらのキャンペーンは米国の国益に対する脅威としてチャベスを描き出しています。

このタイプのレトリックが新しい年を迎えても続き、強化されるならば、それは何かが起きている鮮明な兆候であるかもしれません。



長年フォローしていると、明らかなのは「理由は後からついてくる」ということです。人権だろうと民主主義であろうと対外債務であろうと経済危機であろうと、とにかく理由はつけられるのです。問題はメディアがそれをあたかも真実のように報道することです。



ベネズエラのドローン・テロについて
いつもの通り、新藤ニュースのつまみ食いです。
「マドゥーロ大統領殺害未遂テロ事件とその背景」 8月6日

1.事件の概要
8月4日、カラカスで、国家警察創立81周年記念集会が執り行われた。 マドゥーロ大統領が演説中に、爆薬をしかけたドローンが飛来し爆発した。
ドローンの爆発により、国家警察の隊員7名が軽傷を負ったが、大統領に怪我はなかった。
大統領は演説を続け、「犯行の狙いはベネズエラ国民を分裂させることにある。行動は米国のフロリダにいる過激派集団に支持されている」と述べた。
キューバ、ボリビア、ニカラグア、エルサルバドルの元首は、直ちにこの無法なテロ行為を厳しく糾弾した。同時にベネズエラとの連帯、マドゥーロ大統領への支持を表明した。

2.事件の背景
この卑劣なテロ行為は、ベネズエラの反政府派が手詰まり状態に陥っていることが背景となっている。
反政府派は、昨年10月の一斉地方選挙、6月の大統領選挙で相次いで敗北し、最近の世論調査でも支持を激減させている。
トランプ政権の経済制裁と、マドゥーロ政権への執拗な攻撃もむしろ国民の反感を強めている。 野党連合から脱退する政党も続出している。「経済再建のために対決から対話に移るべきだ」との声も上がっている。
7月末の「Hinterlace世論調査」では野党連合(MUD)の支持率は8%にまで落ち込んでいる。

3.経済困難の打開のために
7月末、IMFはベネズエラの今年度インフレ率が1万倍に達するとの推計を発表した。 これは為替相場への介入が原因と思われる。通貨への売り浴びせにより輸入品価格が上昇している。
しかし輸入品の制限は以前から行われており、食料など基礎生活資料に関しては破綻状態とは言えない。ただしこの1年については「金を払っても売らない」制裁、「銀行決済を禁止する」制裁が課せられている。
対外債務の増加は短期資金ではなく中国からの信用増加によるものであり、原油とのバーターがメインとなっている(松浦さんの情報)。
経済パフォーマンスは原油価格の復調もあり、物価1万倍を説明できる要因がない。
状況は昨年8月のトランプによる経済制裁を契機としており、明らかに政治的要因によるものである。 したがって、経済再建の条件は政治的安定にかかっている。そのためには、破壊的勢力を除く与野党の対話とコンセサス形成が何よりも必要となっている。
米国政府は、ベネズエラの主権を尊重し、干渉や制裁を一日も早くやめなければならない。
(3節は私の意見です)

メキシコ大統領選挙について、新藤ニュースが送られてきた。

「メキシコ、左派勢力圧勝の背景」という、いつもながら凝縮されたレポートだが、いささか胃もたれするので、5分読み切りのダイジェスト版にして紹介する。

この記事は「背景」には踏み込まず、「圧勝」がどれほどの圧勝であったかを示すことに絞る。

今回のメキシコ総選挙は、大統領選挙と上下両院、首都メキシコ市などの首長選挙が一度に行われた。日食と月食が一度に来たみたいなことになっている。

大統領選挙でアムロ(ロペス・オブラドール)が勝利したのは既報の通りだが、ほかの3つの選挙でもアムロ派が“地滑り的な勝利を収めた”ようだ。

まず大統領選挙。
大統領選

こうやって並べると、あらためて53%というのがいかに“ありえない数字”であるのかが実感される。
アムロへの支持が半分、残りは「バスタジャン」(もうたくさんだ!)票なのだろう。

次に国会選挙。
上が上院議会選挙
上院
下が下院選挙
下院
(図上で左クリックすると拡大画面が見られます)

略称ばかりで見づらいが、右の3つが中道左派連合の構成政党。
MORENAがアムロの所属する「国家再生運動」で、PTが労働党、PESが社会合流党という。
この与党連合が上下院ともに過半数を握った。

次に地方選挙
これについてはあまり詳しく触れられていない。
地方選挙では、「共に歴史を」連合は、首都メキシコ市をはじめ、8 州のうち4つの州知事選挙で勝利を収めた。
ということである。

ついでに 女性進出も歴史的
国会上院議員の男女比率は63/65、下院議員の比率は男女246/254となり、ともに女性議員数が男性議員数を上回った。これは史上初めてのことである。
メキシコ市長に当選したのも女性であり、初代女性市長となる。
また新政府の閣僚は、男9人、女7人 と発表されている。

なお新藤さんはアムロ躍進の背景としてのメキシコ経済事情にも触れているが、マクロ指標で端的に言えばGDPの低下と激しいインフレが進行しているということだ。それは1984年とか90年の状況を思い起こさせる。
ただしあの頃の保護政策はすでに放棄され、市場開放と変動相場前は全面的に展開されているから、その性格はかなり異なったものであろう。
スタグフレーションと同時に失業率の低下とジニ係数の低下も進んでいると言うからよくわからない。
かなり背景の背景にまで迫らないと評価は難しい。

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