鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

カテゴリ: 16 国際政治/ラテンアメリカ

18.11.14 朝日
キューバ大使宿泊、ヒルトン福岡が拒否 米の制裁理由に

在日キューバ大使が10月、米ヒルトングループ系列のホテル「ヒルトン福岡シーホーク」(福岡市中央区)に宿泊しようとしたところ、米国の経済制裁の対象国の外交官であることを理由に、宿泊を拒否されたことが分かった。ヒルトン側は「米国企業として、米国の法律を順守した」と説明しているが、国籍による宿泊拒否は日本の旅館業法に抵触しているとして、福岡市が行政指導をした。

新藤さんからのメールで事件を知りました。

以前にもメキシコのシェラトンで同様の事件が起きており、いわばアメリカ企業としては当然の措置をとったわけです。

問題は日本国憲法に違反した行為を公然と行われたことに対する「日本」の対応です。日本政府というより日本という国家の対応です。

刑法上の罪に問うのは不可能ではありませんが、量刑としてはなかなか難しいでしょう。行政上の不法行為として罰するのもおそらく対応する法律が?でしょう。

結局民法で行くしかありませんが、ここは懲罰的罰金、あるいは慰謝料の請求が可能と思われます。

国家に慰謝料を求める権利はありませんが、最高裁判所の前で立ちションベンを引っ掛けられた屈辱は十分埋め合わせさせるべきです。

メキシコの裁判所は罰金約120万ペソ(約1300万円)の支払いを命じたそうです。その金額を見て「そのくらいなら払ったほうが良い」とホテル側は判断したのでしょう。

したがってこれ以下の額では国際的に許されないでしょう。

多分どのような額が出てもホテル側は争わないでしょうから、最低でも億は行くべきだろうと思います。これで大使館の半年分くらいの運営費にはなるでしょう。

これがうまく行ったら、週に1度位出張して、そのたびにヒルトンとシェラトンに予約すれば良いのです。パソコンのボタンを押すだけでまったく原価はかかりません。

これで日本駐在のキューバ大使館は外貨の稼ぎ頭になれるでしょう。

ベネズエラ大使講演会は大盛況だった。
聴衆が100名を越えた。

最大の成功の理由は、ベネズエラを心配する人が予想以上に世の中にはいるということだ。この講演会はその人達のそういう気分に応える企画になったのではないか、という気がする。

講演の最中に「そのとおり!」という掛け声までかかった。大使も「こんなに反応してもらえるなんて」と感激していた。

覚悟はしていたが、案に相違して、斜に構えた質問とか、メディア報道を鵜呑みにした批判はなかった。

この企画は多くの民主勢力の協力を得て行った。赤旗にもチラシを折り込んでもらった。平和委員会や革新懇にもずいぶんお世話になった。

何よりも私たち連帯委員会には、過去に2度にわたりベネズエラ革命の支援集会を成功させた経験がある。アメリカの覇権主義と闘うキューバ連帯の催しやニカラグア連帯を積み上げてきた伝統がある。

こういう要素がバックにあったから、「北海道AALAがベネズエラ問題を本格的に取り上げるのだから、聞いておかなければ」という雰囲気を生んだのではないだろうかと思っている。

これが「反転攻勢」のきっかけの一つになってくれればと心から願っている。

ベネズエラ大使の講演の抄訳です。日本語訳文章を北海道AALAの責任で要約したものです。



セイコウ・イシカワ大使講演

「ベネズエラのいま~ベネズエラ“危機”の真相と課題~」 
(要約版)

2018年11月10日 札幌

 

ベネズエラ革命への攻撃

親愛なる北海道AALA代表と友人の皆様に心からの連帯の挨拶を送ります。

いまベネズエラ革命への攻撃が続いています。

1998年に公明な選挙によってチャベスが大統領に選ばれてから、革命は絶え間なくさまざまな規模の攻撃にさらされてきました。ベネズエラは米国の干渉の的になってきました。この20年間の米国の政策は、疑いもなく好戦的なものでした。

ここで多くの人に疑問が浮かぶでしょう。なぜベネズエラが攻撃されるのか。

ベネズエラが他国の脅威になっているというのでしょうか。米国のような超大国を脅かしているというのでしょうか。

ベネズエラには大量破壊兵器はありません。他国に軍事基地を持ってもいません。他国を爆撃したことも、侵略したこともありません。ベネズエラは平和主義の国です。憲法には国家間の平和的協力を促進することが明示されています。また原水爆もたらす危機に対する防御法は、唯一つ核兵器撤廃のみという立場に立っています。


ベネズエラ革命とはなにか

ベネズエラ革命は、「ベネズエラ住居計画」を通じて200万以上の家族に家財道具つきの家を提供しました。

ベネズエラ革命は、例外なく全ての国民に初等・中等・大学教育を無償で提供しています。学生を対象に研究を後押しする奨学金を出しています。医療は無料ですし、高齢者への年金額も増額しています。

食料供給と生産を充足させるため、地域共同体が運営する地方評議会がつくられています。政府はこれを強力に支援しています。文化的グループを支援するネットワークが全土に作られ、広がっています。

これがわたしたちのベネズエラ革命です。


チャベスとラテンアメリカの共同体

ウゴ・チャベスは、長い間の夢「私たちのアメリカの統合」のために、文字通り種を蒔きました。

そうして、米州ボリバル同盟(ALBA)やペトロカリベ、南米諸国連合(UNASUR)やラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)が生まれたのです。これらは一極集中ではなく多中心性の世界の実現に資するものです。


米国のベネズエラ攻撃

米国はベネズエラを攻撃してどんな利益があるのでしょう。それはとりわけ、ベネズエラが世界最大の石油埋蔵量を有しているということと、(米国に近いという)地政学的な位置づけに意味があるのです。この二つの要素をあわせもつ国が、「社会主義」を意識的にめざす愛国的政府に率いられているということが、米国の心配の種となっているのです。

米国はベネズエラを「西半球における主要な敵」と断定し、宣戦布告もなしに我が国に戦争を仕掛けています。

その目的は、ベネズエラ型の民主主義モデルを破壊することであり、国民運動における革命政府の指導的役割を根絶することであります。そして最終的に、ベネズエラの豊かな資源を再び私物化しコントロールしようとすることです。


報道機関が報道しないもの

世界の報道機関は、主に新聞の見出しや社説欄で、競い合うように広い紙面を割いて、日々ベネズエラ国民が直面している困難を書き立てています。記者やコメンテーター、歌手や俳優、有識者や政治家は喜んで、世界の主要メディアでベネズエラについて意見を述べます。そしていつも、それをマドゥロ大統領の責任にしています。

しかし、メディアがどんなに妄想を作り上げ、どんなに厳密性を欠く分析をしても、真実を知るための必要な鍵となる事実を隠しています。それは「封鎖」です。


封鎖の歴史的背景

20年前、チャベスが大統領に就任して間もなくから、米国はベネズエラの「政権交代」を目指し続けています。それは米国の帝国主義的な人々とベネズエラの国民民主主義との共存が不可能であるということを裏付けています。

ベネズエラの国民民主主義は主権・独立・社会正義の考えを包含しています。米国はそこに脅威を見出しているのです。なぜならそれは米国による南米地域の支配と統制の図式と正反対のものだからです。

ブッシュ政権は、2002年の反チャベスのクーデターを支援しました。2015年には、オバマ前大統領が、ベネズエラを「異常で並外れた脅威」と規定した大統領令を出しました。それ以来「政権交代」の政策が加速しました。

米政権はそれまで非公式だった政策を合法化しました。それは財政的、政治的、メディア、軍事的な秘密作戦を柱とするものでした。トランプは「どのような手段を使ってでもベネズエラの合法的政府を打倒したい」と公言しています。

2017年8月には、トランプ自身が、ベネズエラに対して軍事作戦の可能性も含めた「全ての選択肢」を持っていると言明しました。ほかにもポンペオ国務長官、ペンス副大統領、マティス国防長官、ヘイリー国連大使、ジョン・ボルトン大統領補佐官といったトランプ政権の高官たちがベネズエラの政権を引きずり下ろすという言明を繰り返しています。

直近では、ワシントンで最も影響力のあるロビイストの一人ルビオ上院議員が、「ベネズエラに対して軍事的行動を起こす時が来た」と主張しました。これはまったく由々しい発言です。ベネズエラのような小国を米国の軍事攻撃の目標とすることは、明らかに西半球の平和への深刻な脅しです。


経済と金融の分野における攻撃

経済と金融の分野における攻撃は、制裁から封鎖へとエスカレートしてきました。それは一方的な抑圧手段を通じて行われています。

資本主義体制を批判し、国内政策や対外政策を自主的に進めようとする政府がどこかに出現した時、それらの国が乱暴な手段で封鎖されるのは、今に始まったことではありません。それはキューバに対して50年以上前からおこなわれています。チリのアジェンデ政権も同じ目にあっています。

アジェンデ大統領は政権に就いた当初から、米国による金融的・経済的封鎖とたたかわなければなりませんでした。マドゥロ大統領も同じことを迫られています。経済封鎖は国際法に違反する不当で不法なものです。それはベネズエラ政府と提携しているとみなされた個人や企業に対しても適応されます。

トランプ政権はこのような手段はこの国の情勢を改善して「民主主義への回帰」を促進するための措置であると強弁しています。そしてベネズエラ国民に悪影響を及ぼすものではないと主張しています。


経済封鎖は一種の軍事行動だ

いま制裁は、金融管理、石油産業や国際貿易まで、その範囲を広げています。それは米国の敵視政策がエスカレートしているからです。この異常な事態は経済侵犯、経済戦争とも呼ばれるべきものです。

戦争において一番はじめにやるべき軍事的任務は「敵の供給路を遮断する」ことだといわれます。つまりいまの米国の敵視政策は、軍事的観念に完全に当てはまっているということです。このようにして米国は、ベネズエラ経済を行き詰まらせ、大規模な不安定化と国内対立を引き起こそうとしています。そしてその結果、「国際社会が解決策を見出ださ」ざるをえなくなり、力を合わせて「人道的」な行動を起こす、ことを目論んでいるのです。

制裁の目的は、ベネズエラ経済へ打撃を与え、国際貿易の崩壊を引き起こすことです。それはベネズエラの金融活動を妨害し、投資へのアクセスを邪魔し、食料品や医薬品、生活必需品の購入を妨げています。それは国民生活に、とりわけ経済的分野において深刻な混乱をもたらしています。

こうした全てのことは、ベネズエラに経済危機を引き起こす目的でおこなわれています。もし経済危機が起これば、それはベネズエラを政治的に不安定化させる口実に使えるのです。


ベネズエラ政府打倒戦略と「転換期」

トランプ政権は、両国間の緊張をさらにエスカレートさせています。それと並行してベネズエラに対する制裁をこれまでに4度も実施しています。この2つはどういう関係にあるのでしょうか。

それは米国政府にとって受け入れ可能な方針がただひとつ、マドゥロ大統領の解任だということを示しています。米国は「民主主義の回復」を目指しているのではないのです。かれらは合憲的、民主的、選挙に基づく解決の道を正統なものと認めず、「チャベス主義」の降伏のみを求めています。

2017年、ベネズエラ野党は政権交代を目論見ましたが失敗に終わります。米国は野党勢力に「政権交代」を実現させる力がないと判断し、制裁措置を適用しました。これが、米国が言うところの「民主主義への回帰」への「転換期」が意味しているものです。

2017年から2018年にかけてのドミニカ共和国での与野党協議は、ローマ法王などのイニシアチブで政治的正常化への道を開こうとするものでした。米国はこの会談をサボタージュしつつ、大規模な人口移動や市民対立というかたちでベネズエラ国民の対立を煽っています。そうして「人道的介入」に都合のいい状況を生み出そうとしています。

米国政府は制裁は「個人への制裁」であると主張しています。しかし制裁によって引き起こされたすさまじい影響に照らして見ると、「ベネズエラ国民の幸福を気にかけている」という米国の主張は悪意に満ちたものです。

「転換期」の柱は、①外国の銀行にベネズエラが保有する資産の凍結 ②ベネズエラ国債の取引禁止 ③世界的金融システムにおけるベネズエラ口座の閉鎖 ④食糧や医薬品の輸入への妨害 などです。これらの事実から、米国がベネズエラ国民の暮らしなどどうでも良いと考えていることがわかります。

「転換期」は混沌と暴力の状況を推し進めています。ベネズエラの状況に対する憲法に則った平和的な解決の道は、米国により閉ざされています。


ベネズエラを孤立化させる工作

米国政府は米州機構を利用してベネズエラに攻撃を仕掛けました。トランプ大統領は中南米各国に、ベネズエラに対する封鎖と制裁政策への絶対服従を迫ったのです。今年4月にペルーのリマで開かれた米州首脳会議において、その策略は明確に示されました。

ベネズエラ経済を崩壊させる一方的な措置には、カナダのような国も加わっています。さらに米国は、欧州議会も反ベネズエラの国際的同盟に取り込むことに成功しました。欧州議会の圧力のもと、EUは一方的な制裁を採択しました。

これらの措置は、「独裁的で破産した国家」が引き起こした困窮から、ベネズエラを救うための措置であるかのように見えています。しかし実のところ、ベネズエラを「罰する」という名目の下に、その合法的政府を崩壊させるという、トランプの圧力に屈したのです。

これは、“国家同士の共存を支配する原理”への新たな攻撃でもあります。

これは、ベネズエラ国民への犯罪行為であり、人類に対する重罪です。


難民キャンペーンに関して

難民キャンペーンはベネズエラに対するもう一つの「厚かましい攻撃戦略」です。

こうした状況は、国際社会においてベネズエラの状況を「人道的危機」とする根拠になるからです。「人道的危機」と判断されれば、結果として国際社会が「人道的」介入を「せざるをえなくなる」ように仕向けることができるのです。多くのメディアが、人口流出の危機と決めつけられた現象を広めています。それは人道的危機と言われています。たくさんの人がおそらく善意から、この事象に関する懸念を口にしています。

国際移住機関(IOM)の統計で見てみましょう。ベネズエラは絶対数においても人口比率においても移民が多い国ではありませんが、傾向としては移民や難民の受け入れ国であり続けています。最も現状がよく分かるデータは、国内在住外国人の数です。ベネズエラの人口は3千万人ですが、これに加えて510万人のコロンビア人が住んでいます。この比率はコロンビアでの比率の9倍です。

これは中長期の傾向ですが、短期的にはどうでしょうか。

おそらく国際移住機関が出したデータのなかで最も事実を明示するものは、コロンビア外務省の国境における調査結果でしょう。このモニター調査によると、コロンビア方向へ国境を越えた人は224,804人で、ベネズエラ方向へ向かった人は252,565人でした。コロンビアからベネズエラに向かった人の方が多かったのです。

もう一つの項目、コロンビアに向けて国境を越えた人の52%は買い物をするためであり、14%はコロンビアで働いている人たちでした。また69%が、その日のうちにベネズエラに戻ると答えています。

なぜメディアの報道と実態の間にこれほどの格差があるのでしょう。米国とリマ・グループ、国際的マスメディアが、ベネズエラ問題を「人道上の問題」に仕立て上げようとしているからと言わざるをえません、


メディアに溢れる反ベネズエラ報道

報道機関はベネズエラにおける「食糧難と人道上の危機」を報道し、国民の国外流出を驚き嘆いてみせます。一方で、米国などの国や機関が医薬品や食料のベネズエラへの輸入を阻んでいることを無視します。

反ベネズエラの制裁と封鎖作戦は、恥知らずで矛盾に満ちているにも拘らず、思想的には持ちこたえています。それは封鎖作戦のもう一つのオプション、メディアによる封鎖のおかげです。この封鎖もまた、矛盾に満ちています。

メディアは中央アメリカやメキシコから米国への膨大な数の移民を過小評価しながら、ベネズエラの移民問題は大げさに、そして逐一報道するのです。しかし、制裁や封鎖が、ベネズエラの現状の主要な原因となっていることには触れません。

世界中の世論は、多くがこれらのメディアからベネズエラについての情報を得るので、事実に対してバイアスのかかった見方が形成されてしまいます。


まとめ

1.アメリカ帝国主義
帝国主義者たちが、ベネズエラ干渉を強化し、ボリバル革命転覆の条件を作り出そうとしていることは明らかです。 彼らは選挙で選ばれたマドゥロ大統領の正統な政府を揺るがせ、「政権 交代」を狙っています。
2.無慈悲なキャンペーン
政府転覆の手段には、国際世論の前にベネズエラを否定する情報を流すメディア戦略が含まれています。それは帝国主義戦略を正当化するための、まことに無慈悲なキャンペーンでした 。 人道危機のもう一つのシナリオは、ベネズエラ人の近隣諸国への「大規模かつ永続的な移住」の情報宣伝でした。政府転覆の口実はこれによってさらに強化されています。
3.複合的な攻撃
ベネズエラに対する反政府攻撃は、干渉の仕組みが複合的であるという特徴を持っています。そこには政治的、外交的、メディア的、経済的な圧力が組み合わされています。そしてさらに 憂慮されるのは、そこに軍事的選択肢もふくまれつつあることです。
4.いのちの恐怖をともなう攻撃
軍事介入の脅しは、革命を「罰する」という一般的圧力だけにとどまりません。それに加えて、国民の間に生命と安全に関する不安をもたらします。
5.ワシントンは犠牲を恐れない
ワシントンにとって唯一受け入れられる解決策は、ニコラス・マドゥロの解任と「政権交代」しかありません。このオプションは内戦の危険や人的および経済的に大きな犠牲を伴うかもしれま せん。たとえそうであっても米政府の結論は変わりません。イラク、リビア、シリアでも同じ惨事のモデルが適用されました。おなじ悲劇が繰り返されました。そのことを私たちは知っています 。
6.野党強硬派は軍事解決派
ベネズエラの野党の強硬派は軍事的選択肢に固執しています。彼らはマドゥロ大統領が繰り返し述べた対話の呼びかけに応えず、選挙プロセスへの参加を拒否しました。
7.ベネズエラは政治的・思想的回転軸
帝国主義者がベネズエラを攻撃するのは、ベネズエラをアメリカ大陸の政治的・思想的回転軸として捉えているからです。「それは打ち倒すべきものだ -できるだけ速やかに」 なぜなら、彼らは「ベネズエラが新興国や多極共同体などが相互に結びつくためのブリッジとなる存在だ」と考えているからです。 一方トランプ政権は中南米支配の新しい青写真を描き、その中でモンロー・ドクトリンを甦らせ、その思想をベネズエラの紛争につなげようとしています。だからベネズエラは思想と思想の 衝突点となっているのです。
8.中南米右翼政権の“悲しい役割”
脚本家と俳優の間に危険な共鳴作用が起きています。それは右翼政権がこの地域で果たしている“悲しい役” に代表されます。かれらは米国の干渉行為を正当化し支持しようとしていま す。 その戦略はあのときと同じです。彼らは帝国主義に反対する国を政治的かつ経済的に封鎖するのを手助けします。その役割は、封鎖という卑劣な手段とその悲惨な結果をおおい隠し、国 際世論の非難から守ることです。 それはキューバに始まりました。それはチリに続きました。そしてそれはいまベネズエラに起こっているのです。
9.ベネズエラ革命は続く
ベネズエラ革命は帝国主義の攻撃強化と向き合い、社会的挑戦を続けます。「国民が主人公の民主主義」を完成させ、共同体を通じて社会運動の組織を拡大し、変革の道すじで一致した 政治勢力を統一する。そしてそのなかで人々の意識変革を目指します。それはフィデル・カストロが「思想の戦い」と呼んでいた運動です。
10.民族自決と諸国民の連帯
いまベネズエラでは、平和と民主主義、独立、諸民族の主権と自決をめざす戦いが進められています。戦いは決定的な段階を迎えています。 この戦いにおいて、諸国民の連帯は、ベネズエラとボリバル革命が覇権勢力に抵抗できる最強の手段です。いま必要なこと、それは私たちの間で努力を結び合わせることです。独立・主 権・自決の原則を守り、互いの団結を固めましょう。
11.チャベスは予測していた
最後に「我々の永遠の司令官」であるウーゴ・チャベスが私たちに残した言葉をお伝えしたいと思います。
"帝国主義が存在する限り、ずっとボリバル革命は危険にさらされ、脅かされ続けるだろう。なぜなら、もしそれが成功すれば, 帝国主義は溶け去ってしまうからだ"
最後に、みなさんのボリバル革命への一貫した連帯に感謝いたします。

ベネズエラが米国の中間選挙をどう見ているか。それを示す解説記事だ。著者はベネズエラ問題を専門とするジャーナリストという肩書きになっているが、ベネズエラ政府筋の人と見て間違いないだろう。

トランプの中南米いじめは中間選挙の政治戦術だ
by Paul Dobson  
Nov 4th 2018  venezuelanalysis  

1.ボルトンのマイアミでの発言
ジョン・ボルトン米国務次官補は、最近、キューバ、ニカラグア、ベネズエラに対する新たな制裁に関する発表を行った。
これは彼らを米国の敵国として描き出す試みに過ぎない
ボルトン氏は、マイケル・デイド・カレッジのフリーダム・タワーで語った。「ベネズエラ、キューバ、ニカラグアに対し、新たな制裁措置を開始する」と発表した。
そこには米国市民がベネズエラの地金との取引に参加することの禁止を含む。
ボルトンはマイアミの聴衆に語った。
ハバナからカラカス、マナグアに至るこの“暴虐の三角”は、人間の深刻な苦しみの原因であり、地域に巨大な不安定さを引き起こす原動力であり、西半球の共産主義の醜悪な発祥地である。
米国は、トランプ大統領のもとで、3つの政権に対して直接行動を起こしている。それは地域の公正、自由、基本的な人間の尊厳を守るためだ.
ボルトン議長の発言は、米国の中間選挙に向けての共和党の支援キャンペーンで、アメリカ人に恐怖を植え付けようとする“トランプ節”Trumpesqueのひとつである。

2.“暴虐の三角”
ボルトンが使用しているレトリックは、中間選挙の文脈で見ていかなければならない。
ボルトンはアメリカの人々に恐怖を抱かせるために“外部の敵”を描こうとしている。そのために“暴虐の三角”などのフレーズを使っている。
キューバに関する米国の政策は、これまで行われてきた金融制裁の継続に加え、ハバナの米国大使館からの外交官の撤去に焦点を当てている。米国がニカラグアにどのような計画を持っているかは今のところ不明だ。
ボルトン議長は30分間の演説でこう述べた。
ベネズエラが何百人もの政治犯を解放し、自由な選挙を認めない限り、米国は「腐敗したベネズエラ経済を支配するネットワークをターゲットにし、彼らが奪った富へのアクセスを拒否する。
3.米国のベネズエラ制裁は手詰まりになっている
ベネズエラに対する最近の動きは、具体的にはニコラ・マドゥロ大統領に対する動きである。それは9月に中米国家に課されたトランプ政権の制裁措置への追加措置である。
しかしそれはボルトンが信じるほど厳しいものではないし、ベネズエラ社会に大きな影響を与えるものでもない。
それは何らかの厳しい新制裁といったものではない。
もし厳しい新制裁というなら、それは石油禁輸措置とか旅行制限などになるはずだ。しかしそれらは明らかにされていない。
なぜか。それはアメリカの支配階級やビジネス界に本格的な石油輸出禁止令を受け入れる準備ができていないからだ。
アメリカ経済は依然として石油を始めとするベネズエラの産品に大きく依存している。
ボルトンが使用している言葉を見ると、制裁自体の実際の内容よりも、選挙運動で有権者に訴えようとしているようだ。

4.移民キャラバンをどう見るか
話は変わるが、貧困と暴力から逃れようとする移民キャラバンの問題がある。トランプ大統領は彼らを「侵略者」と呼んでいる。
このキャラバンはホンジュラスから米国とメキシコの国境へと移動している。留意すべきは、これらの大半は米国がこの地域に繰り返し介入した結果もたらされたことである。
木曜日にトランプは語った。
私たちは亡命制度の誤った乱用を終わらせる。そのための計画を確定する。
そして、移民キャラバンのメンバーによる暴力行為は軍事的に対応すると誓った。すなわち石が投げられれば銃で応えるということだ。
ボルトンの発言は、フロリダ州の選挙戦「戦場」でのものであり、トランプの反移民の立場に沿ったものだだということに留意する必要がある。
それは、すでにアメリカに拠点を置く移民に対して、さらなる人種的憎悪を煽る手段として働いている。

5.ラテンアメリカの民衆に対する“人種的憎しみ”
ホンジュラスの移民行進と、ニカラグア・ベネズエラ・キューバについての声明の間にははっきりとしたつながりがある。それは“人種的憎しみ”というつながりである。
これらの声明はボルトンとトランプがゲームを再評価し、新たな攻め口を準備していることを示唆する。
それは3つの政府、とりわけベネズエラを、病気や失業や医薬品の不足や、その他もろもろの口実で攻め立てようとするものだ。
そのことは、この間の選挙キャンペーンを通じて、明白な政治戦術として浮かび上がっている。

チャベス政府の経済・社会的成果
ベネズエラ経済の悪いところばかり取り上げられるが、チャベスが政権についたときのベネズエラの状況がどうだったのかを知ってもらいたい。プログラムの要旨に少し余裕があるというので書き込ませてもらった。
そして、チャベス政権の10年余りの間に、それらのパフォーマンスがいかに改善したかを知ってほしい。そのうえでここ数年間に途上国が負わされた経済的重荷をベネズエラも背負わざるを得なかったことに思いを致してほしい。
出所はすべて下記による
The Chávez Administration at 10 Years: The Economy and Social Indicators
February 2009
Center for Economic and Policy Research
ヨーロッパの中立的シンクタンクということである。

1 GDPは実質成長で2倍となった
現在の経済の拡大は、チャベス政権が2003年の第1四半期に国営石油会社の統制権を獲得したときに始まった 。それ以来、実質GDP(物価上昇補正後)はほぼ2倍となっている。すなわち5年余りで94.7パーセント、年間で13.5パーセント成長したことになる。
この経済成長を牽引したのは非石油セクターだった。また、民間部門は公共部門より速く成長した。

2 貧困率は半分以下に低下した
経済成長の成果は一般大衆にもたらされた。貧困率は54%から26%に、すなわち半分以下に低下した。極貧層の減少は72%に達し、さらに著明である。これらの貧困率は、医療や教育へのアクセスの増加は計算に入れられていない。
実質社会消費(Real social spending)は3倍以上に増加している。

3 失業率は低下し、社会格差も低下した
労働市場は著明に改善した。失業率は11%から8%に低下した。労働需要は拡大しており失業率は半分以下になっている。労働環境を示す他の指標でも相当の改善が示されている。
これに伴いジニ・インデックスも48%から41%に低下している。これは社会格差の著しい縮小を意味する。

4 教育・医療・社会福祉の改善
幼児死亡率はこの間に30%以上の減少を示している。特に医療へのアクセスの改善が特記される。公的機関におけるプライマリーケア医師は12倍に増えている。これまで医療を受けることのなかった何百万人もの民衆が医療を受けることが可能となった。これは多くのキューバ人医師の活躍によるものである。
社会保障の受益者の数は2倍以上になっている。
教育の分野でも顕著な前進があった。とくに高等教育の就学率は2倍以上になっている。

5 経済パフォーマンス
GDPが成長しているため、対外債務の対GDP比は半分以下となった。政府の対外累積債務も30%から14%まで低下した。
インフレ率は顕著に抑制されている。物価上昇率は31%で、10年前の水準に復帰した。これは一面では、世界的な通貨収縮の圧力によるものである。



「超インフレ」が非難されていますが、固定相場制でドルの流通が厳しく制限されていることを抑えて置かなければなりません。日本でもむかしは1ドル360円でした。今で言えば300%も割高でしたがそれで困ったことはありません。
為替相場といいますが、ドルの相場は本来存在しません。もしあるとすればそれはヤミ相場であり、IMFが為替価格のように語るのは失礼です。流通量が少なければ高値がつくのは当たり前。アムロの入場券に20万円のプレミアがついても市民生活とは無縁です。
大量の札束で買い物しているのは、高額紙幣を誰かが回収してしまったからです。これはデノミで解決します。通貨は一旦信用を回復すると狂気のように回り始めます。買い占めた人は相当被害を被っているでしょう。


札幌での講演会が4日後に迫りました。
もう一度、お知らせいたします。
当日は、エル・システマの少年交響楽団や、聴覚障害者による「白い手袋」のパフォーマンス、コロンえりか(大使夫人)さん、ベネズエラ音楽などのビデオ紹介も行います。
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Ⅰ.最近のベネズエラ

ここ2,3年のベネズエラ関連記事です。「もう一つのベネズエラ」の本体部分です。

A.2018年前半

2018年01月18日 ベネズエラ共産党の現状分析

2018年01月11日 2017年、ベネズエラ人民はどう闘ったのか ③

2018年01月10日 2017年、ベネズエラ人民はどう闘ったのか ②

2018年01月10日 2017年、ベネズエラ人民はどう闘ったのか ①

2018年01月05日 ベネズエラ記事の紹介

2018年01月05日  ベネズエラの「ある左翼」

B.2017年後半

①2017年12月25日 ベネズエラ:国連人権専門家の最新報告

②2017年12月25日 大統領選への道は開かれている。

③2017年12月25日 変動相場制が絶対ではない

④2017年12月24日 封鎖されつつあるベネズエラ

2017年12月24日 ベネズエラ ハイパーインフレの原因

2017年12月23日 ベネズエラ側の言い分

2017年12月23日 ベネズエラ経済分析はとりあえず保留 

2017年12月22日 ベネズエラのカトリック教会は恐ろしく下品

2017年12月21日 ニューズウィークのほうがまだマシ

2017年12月21日 ある進歩的な新聞の「反ベネズエラ」報道

C.2017年前半

2017年05月25日 ベネズエラ 野党の行動をどう見るか

2017年05月25日 ベネズエラ 野党の行動記録

2017年05月22日  ベネズエラ野党の大統領辞任要求に道理はない

2017年05月17日 カラカス情報 心得るべきこと

D.2014~2016年

2016年07月21日 ラテンアメリカ人民の闘い: この間の動向

2016年07月20日 ラテンアメリカの方向は人民の戦闘性により規定される

2016年07月23日 ベネズエラの政治危機

2015年12月18日 ベネズエラの選挙結果についての見解 

2015年12月17日 ベネズエラ国会選挙 第二報

2015年12月17日 ベネズエラ国会選挙 第一報

2015年02月04日 原油安 誰が敗者となるか

2014年12月26日 OPEC決定の画期性

2014年11月26日 ラテンアメリカ、最近の動き(2014) その2

2014年11月26日 ラテンアメリカ、最近の動き(2014) その1

2014年06月16日 ラテンアメリカ左翼政権一覧表


Ⅱ.チャベスのベネズエラ

1990年のカラカソ(首都カラカスでの暴動)から、チャベスのクーデター。98年のチャベス当選から、反チャベスのクーデター、ゼネストやリコール作戦の失敗、チャベス改革の開始までがふくまれます。

 

2013年03月12日 石油生産、いらぬ心配はご無用

2013年03月12日 WSJはチャベス革命の死を願う

2013年03月12日 チャベスの死と資本家の大はしゃぎ

2013年03月10日  チャベス革命の道筋 その3

2013年03月10日 チャベス革命の道筋 その2

2013年03月10日 チャベス革命の道筋 その1

2013年03月07日 チャベスに関する私の過去発言

2013年03月06日 チャベス、3つの功績

2013年02月22日 日本はマクロ指標が狂っている

2012年10月06日 ベネズエラ 最終盤の状況

2012年08月18日 チャベス政権の十年: 経済・社会指標の検討

2012年08月15日 ベネズエラ 世論調査の動向

2012年08月13日 赤旗「ベネズエラはいま」を読む

2012年08月13日 チャベスの対抗馬ラドンスキー

2012年08月12日 エコノミストはベネズエラを評価している

2012年08月11日 赤旗の「ベネズエラ特集」について

2012年05月25日 「これが世界だ」2012年版 その6 ラテンアメリカ: リーマンショックからの回復

2011年09月26日 南米を変えたこの十年 その5

2011年09月26日 南米を変えたこの十年 その4

2011年09月23日 ベネズエラ もう少し考えた

2011年09月22日 ベネズエラ経済: 立ち止まって考えた

2011年09月22日  ベネズエラ経済を、ふと考える

2011年05月11日 アメリカとベネズエラ、国民が感じる「幸福感」

今のところはっきりしたことは言えない。しかしホンジュラス難民の情報は気がかりである。
あまりにもタイミングがどんぴしゃりだ。
それに取り立てて今、ホンジュラスが人道的危機にあるとは言えない。厳密な意味での“難民”は存在していないとおもう。

honduran-caravan
第一、こんな難民行列ありえない。こんな集団を米国が受け入れるわけがない。その前に、そもそもメキシコが国境を開放するなどというのも信じがたい。
トランプであろうとなかろうと、だれもこのような行動を支持するわけがない。これを信じてしまうメディアの素直さが信じられない。
メディアではニカラグアやベネズエラの人道危機を書き立てるが、ホンジュラスはそのような「反米」国家ではなく、紛れもない親米反共(…にさせられた)国家だ。なのに、このことにメディアが口を噤んでいるのも頷けない。

以下の動画はMatt Gaetz下院議員の10月17日付の投稿によるものだ。なんと221万回も再生されている。(これはYouTubeでも閲覧できます)
‏この議員が実在かどうかも知らないし、動画そのものの真偽も不明だ。(調べました。この人はフロリダ1区選出の下院議員です。共和党員で、"one of the most pro-gun members“ だそうです
gaetz
gun
Gaetz議員は、民主党系有力者のヤラセだと主張している。しかし状況は「むしろ彼のお仲間ではないか」と思わせる。推理小説ではないが「この報道の最大の受益者は誰か」ということだ。
左翼系のNPOという報道もあるが、ベルトにピストル刺してカネ配りする左翼はあまり見たことはない。
いくつかの人権団体がこのニュースに肯定的なコメントをしているのも気になる(たとえば国連難民高等弁務官事務所)
ただ紹介しておく価値はあると考える。メディアが現地謀略組織をふくめて、ことの真偽を明らかにしてくれることを(かすかに)期待する。

我々にとって、いちばん大事なポイントは、彼らはいつでも好きなところに難民の大群を作り上げることができるということだ。同じやり方で、ピストルとドルの札束で、“ベネズエラの人道危機”も作り上げることができるのだ。

ベネズエラの前国連大使が政府批判を始めたそうだ。
赤旗で大々的に取り上げている。
思い出すのは1984年のニカラグア、私がニカラグアを訪問していた間に、ニカラグアの国連大使クルースが辞任した。
その男はニカラグア革命が成功したときに、3人の最高指導者の一人だった。
彼は大使をやめて政府批判をはじめた。そしてレーガンが作った反革命ゲリラ「コントラ」の政治代表となった。
コントラが10年の内戦の間に7万人の国民を殺し、経済を荒廃させたのは記憶に新しい。あのときのニカラグアも5千%の超インフレだった。しかし多くの国民はそれでもサンディニスタを支持した。
だから20年後に、サンディニスタは選挙を通じて、平和的に政権を取り戻したのだ。

ところで、最近もテレビに筆坂という人物が出演してデマを撒き散らしているようだが、ベネズエラの新聞が彼の言い分を報道したら、礼儀上はあまりいい気分ではないだろう。

下記の記事は、先月9月20日に発表されたものであり、駐日ベネズエラ大使館の紹介を通じて入手したものである。筆者の責任で内容を要約してあるため、正確には原文をご参照願いたい(同大使館ホームページにて閲覧可能 20180920 PUNTOS INFORME EXPERTO ALFRED DE ZAYAS)

国連人権委員会  独立専門官・アルフレド・デ・サヤス
「ベネズエラにおける人権状況についての報告」  

1.ベネズエラに対する非人道的制裁

ベネズエラでは経済制裁により、経済危機が深刻化し、食料や医薬品の生産と分配を歪め、死者が発生し、大量の移民が生まれています。
またこのような状況のもとで、人権侵害も発生しています。
とくに2017年11月に、注文された抗マラリア薬の発送・供給をコロンビアが拒んだこと、国際社会がこれを容認したことは危機の深刻さを示しています。
(代替抗マラリア薬はインドから輸入され事なきを得ました)

2.その他の薬剤不足

米国、カナダ、EUはベネズエラに一方的制裁を課しています。その結果、インスリンや抗レトロウイルス薬といった薬剤の不足が直接的・間接的に深刻化しました。

3.新たな追加制裁の動き

米国はベネズエラを締め上げるために、新たな制裁の法令を考えています。そして準備を始めています。

4.一方的制裁が深刻な経済的影響をもたらしている

ベネズエラでは多くの失業が生まれ、その結果、隣国への移民が発生しています。
その主な理由は一方的制裁や金融封鎖にあること、それらが経済危機を深刻にしたためです。このことは十分な証拠を持って証明できます。

5.経済制裁はこれまでも行われてきた

このような一方的制裁は、チリのアジェンデ政権、ニカラグアのサンディニスタ政権などに対して行われてきました。
今回の制裁はそれらに匹敵するものになっています。

6.メディアは慎重でなければならない

メディアは不安を煽るようなキャンペーンを繰り返しています。それを通じて、ベネズエラには「人道危機」が存在するとの先入観が植え付けられています。

このような誇張表現には慎重でなければなリません。

なぜなら「人道危機」は、軍事介入の口実として不適切に使用され得る専門用語だからです。

7.ベネズエラ国民への国際的な連帯

ベネズエラにおける現在の物資不足を軽減するためには、自由な食料品・医薬品の流通が必要です。

そのためには国際的な連帯が必要です。それは人道的な連帯です。政治的なものである必要はありません。

8.ベネズエラ危機は人道危機ではない

ベネズエラは経済的危機にありますが、中東やアフリカ諸国とは異なり人道危機にあるわけではありません。

国連食糧農業機関(FAO)の報告では、世界37カ国で食糧危機が列挙されていますが、ベネズエラは含まれていません。

9.政府は頑張っているが、制裁が足を引っ張っている

ベネズエラ政府は重大な経済危機に立ち向かっています。

国際的な援助を求め、経済を多様化し、負債の再編を試みています。

しかし、一方的制裁はこれを妨げています。医薬品や種子の輸入を妨げるなど、状況を悪化させるのみです。

10.独立専門家サヤスの国連総会への勧告
 
国連総会の名において、キューバ決議とほぼ同様の意味付けで「ベネズエラ制裁は国際法及び人権法に反する」と宣言することを勧告します。



この半年間のベネズエラ関係記事

ペレイラ・キューバ大使の連帯挨拶(要旨)

ちょっと古い発言(17年10月「私たちは皆ベネズエラ-連帯の集い-」)だが、要点がはっきりしているので、学習会のレジメには使えると思う。
1.マスコミの報道について
マスコミの編集方針は大企業と支配層によって決められる。そのため、概して我々の諸国の政治的社会的現実を操作したり隠したりする傾向がある。

2.富裕層と米国が攻撃を仕掛けている
この間、進歩的政府が社会プログラムや富の再分配をおこなった。これによって富裕層の特権が脅かされた。
この勢力は、正規に樹立された政府を倒し、我々の国々を不安定化させ、内部危機を作り出そうとしている。

3.攻撃の実験場:ベネズエラ
その攻撃の主要な実験場となったのがベネズエラである。ニカラグアもまた、攻撃の的となっている。
キューバにも6月、経済・貿易・金融封鎖を強化することが決定された。

4.真実を知らせる必要がある
国際的な情報封鎖が打開されなければならない。
我々は今後とも引き続き、地域の出来事について真実を語り、知らせる必要がある。

エル・システマの国ベネズエラ なぜ“人権抑圧”と非難されるのか

ある新聞ではベネズエラは人権を抑圧し、表現の自由を認めず、医薬品も与えない。そのために多くの人々がいのちの危険にさらされ、国を逃げ出している…と書き立てています。
果たしてそうでしょうか。
私達は文章やデータでも、それらが根拠のないデマだと証明できます。
しかしそれより前に、私達はベネズエラの人たちの真心を示すことで、「そんなことはありえない」と証明することができます。

それがエル・システマの活動です。

これまでずっとベネズエラでは貧しい人たちは教育や医療、文化や芸術から遠ざけられきました。
20年前、「それは間違いだ。貧しい人たちにも文字や薬やバイオリンが必要なんだ」と叫んで大統領になった人がいます。それがチャベスという人です。

彼は石油のバルブを左に、民衆の側に開きました。こうしてエル・システマという音楽教育のシステムが花咲きました。
そして貧しい子どもたちによる世界的なオーケストラが出来上がりました。

お金持ちは、「そんなことはバラマキだ」といって民衆の側にたった政治、教育、医療をやめさせようとしました。そんなことをするから経済がおかしくなるのだと言うのです。
そしてお金持ちの意見を聞かない政治は民主主義ではないと批判し、暴力的な攻撃を繰り返しました。

考えてみてください。“お金持ちの意見を聞かない政治は民主主義ではない”のでしょうか。
それは逆でしょう。
お金持ちの意見を聞かない政治こそ民主主義でしょう。強いものに味方はいらない、弱いものにこそ政治は寄り添わなくてはいけないのです。

あなたはエル・システマを支持しますか? そして「そんなことはバラマキだ」という意見をきっぱりと拒否できますか?

ぜひそうしてください。私達はお金持ちがお金持ちであることに別にこだわりませんが、貧しい人が惨めであることは許せません。なぜなら私達がお金持ちになる確率は1億分の1ですが、貧乏になる確率はいつも2分の1だからです。



1975年 経済学者で音楽家のホセ・アントニオ・アブレウが「音楽の社会運動」をはじめた。
最初の活動はカラカス市街の地下駐車場スペースに集まり共にアンサンブルを演奏することだった。
その時に運動を支えるボランティア・システムとして、エル・システマが創設された。

「音楽の社会運動」というのは、平ったく言えば「音楽で子どもたちを貧困と犯罪から救う」こと、そのために「エル・システマを暴力から隔絶されたサンクチュアリーにする」ことである。
アブレウの考え: 音楽は最も高度な価値、連帯、調和、相互の思いやりと言ったものをもたらす。それは全共同体を統一させる能力と、崇高な感情を表現する能力を持つ。
だから音楽は、社会の発展の要因として認識されなければならない。
1979年 日本人ヴァイオリニスト小林武史がスズキ・メソードに基づいて指導を開始する。
現在は国家が支援する財団であり、正式名称は「ベネズエラの児童及び青少年オーケストラの国民的システムのための国家財団」と呼ばれる。
200のユース・オーケストラと、それらに演奏技術を身につけされる器楽練習プログラムを担っている。
過去 30 年で100 万人の子供たちが活動に加わった。いまも30万人の子どもたちが練習に参加しているが、その70%は貧困層の出身である。
2007年 チャベス大統領は参加者を100万人に増やすプログラム「音楽の使命(Misión Música)」を発表した。
彼はエル・システマを監督するのではなく、貧困層への補助とサービスの拡大と並行させるようにした。
2007年 米州開発銀行(IDB)はベネズエラの音楽教育システムを経済的に評価した。
エル・システマが教育してきた200万人以上の若者の調査を実施し、学校での落ちこぼれと犯罪による経済的損失とを秤にかけた。
エル・システマへの投資は、1ドルあたり1.68ドルも社会に還元されているという結果が導き出された。
エル・システマの成功は世界に広がり、60以上の国・地域で音楽による地域青少年活動が取り組まれている。

シモン・ボリバル・オーケストラ
話はやや複雑である。
最初に作られた選抜メンバーによるオーケストラは「国立青少年オーケストラ」である。
しかしここを卒業した音楽家が成長してきたとき、「シモン・ボリバル・オーケストラ」が結成された。これは現在も活動しているが、最近になって国立青少年オーケストラから移った年少のメンバーが、もう一つのオーケストラを結成した。
このために、従来からのシニアオーケストラは「シモン・ボリバルA」と呼ばれるようになり、ジュニアのほうが「シモン・ボリバルB」と呼ばれるようになった。
つまり125のユース・オーケストラの上に、全国規模の選抜オーケストラが、3つあるのである。
2007年に世界ツアーをおこない、センセーショナルな歓迎を受けたのは「シモン・ボリバルB」である。

追加 ちょっと嫌なこと
オーケストラの指揮者だったドゥダメルがベネズエラ国籍を捨てスペイン人女性と結婚したと言う。人間誰でも豊かになりたいし、その権利はある。
彼はエル・システマを擁護することで国際メディアの十字砲火を浴びていた。そのことは十分同情に値する。しかし貧しい人たちを足蹴にする権利はないだろうと思う。
とにかく世の中ひっくり返っている。


対中制裁もイランやトルコの制裁もベネズエラ制裁も根は一つだ。
アメリカの野蛮な世界制覇の試みに対して、断固として反対しなければならない。
アメリカが新興国をやっつけるときに「民主主義」を持ち出すのは常套手段だ。
しかしアメリカは決して民主的な国ではない。
平等の国でもないし、平和の国でもないし、寛容な国でもないし、進歩的な国でもない。
さらにあえて言うなら、知性的な国でもない。

世界の人々にとって、アメリカの一国主義こそが最も主要な危険になっている。アメリカの一国主義を許さなず、多国間主義にもとづき、正義の共同・統一を目指すことが、最も差し迫った課題となっている。

自由と平等、平和と民主主義、格差の解消という目標に向けて何が必要かを考えよう。その観点からさまざまな国の政策や姿勢を判断しよう。
メディアがある国の「民主主義」について度外れのキャンペーンを始めたとき、その背景に何があるかを冷静に考えることが必要だ。我々はそれで何度も痛い目にあってきた。
ルムンバ、キューバ、ベトコン、ジャカルタ、チリ、コントラ…
アメリカの仕掛けた「民主主義」キャンペーンに、決して踊らされるな!
最小抵抗線で逃げようとするな。正義と真実、民族自決の精神にもとづいて連帯しよう。
これが、現在最も大事な視点である。

最近のニューヨークタイムスに、トランプ政権がベネズエラのクーデター計画に関わっているという記事が掲載されました。
新藤さんのブログで読めますが、機械翻訳のせいかかなり読みにくいようです。
こちらは 9月10日の「TeleSur」の記事です。

これが見出し
ベネズエラ、ニューヨークタイムズ報道を受け米国のクーデター陰謀を非難
これがリードです
ニューヨークタイムズ(以下NYT)の報道によると、米国の当局者はベネズエラのクーデター陰謀者と1年以上にわたり会っている。

ここからが本文です。

NYTは、「米国政府のメンバーが、2017年中頃からベネズエラ軍将校と会合を持っている。これらの軍将校は民主的に選出されたニコラス・マドゥーロ大統領を追放しようと活発に動いている」と報道した。
NYTのロンドーニョとケーシーによれば、陰謀は1年前、2017年8月に始まった。それはトランプが「米国にはベネズエラに対し軍事オプションが有る」と宣言した後に始まった。
それは「クーデターを狙うベネズエラ軍将校たちを励まし、ワシントンと手を結ぶよう促す」ものであった。
米国の当局者との最初の会合で、ベネズエラ側参加者の1人は「マドゥロ政権を打倒するためにベネズエラ軍のグループを説得できる」と伝えた。

報道された内容の多くは、ベネズエラ政府がこれまで繰り返し警告してきたことの確認である。
すなわち、軍事行動に「政治的野党」の活動と米国の関与を統合したマドゥロ政府に対する包括的行動計画である。
米国は一人の職業外交官を指名し会談に出席させた。この外交官は彼らの話を聞き、それについて報告している。
米国の高官は匿名を条件にNYT記者に話した。
  トランプ政権は当初、ベテランのCIA職員、フアン・クルスを派遣することを検討した。 後で「CIAではなく職業外交官を送るのが賢明だろう」と決めた。
 NY Timesの記事は次のように述べている
"2017年の秋の米政府内報告では、「ベネズエラ人は詳細な政打倒計画を持っていないようだ」と報告されている。
彼らはアメリカ人が指導やアイデアを提供してくれることを期待していた。 軍関係者は「暗号化された無線機」を米国に提供するよう頼んだ。その理由として、「選挙実施までの間の暫定政府を設置する計画を策定したので、安全なコミュニケーションの手段を必要としている」と述べた。

ところで、
NYTは「米国の関係者は物質的支援を行っていない」と書いているが、実際には軍事援助も行っていると思われる。
8月4日、国軍81周年記念式典でC4を積んだ2機のドローンが、マドゥロ大統領、いくつかの他の政府関係者、およびゲストを暗殺しようとして爆発した。 その後の一掃作戦の結果、計画の全体像が発覚した。
それは数十人の陰謀参加者の逮捕につながった。 野党のフリオ・ボルヘス議員とオスワルド・ガルシア退役大佐を含む40人以上がこの攻撃に関連している。
これらの装備は高度な準備と能力を要求するもので、大きな軍事組織の存在なしには実行し得ないものであった。
米軍とベネズエラ軍内の関係者がマドゥロを転覆させるために関係結んでいるかどうかは今のところ不明である。 ベネズエラ政府のアレアサ外相は、NYTの報道にもとづき、干渉を続け、軍事的な政府転覆の陰謀を支持する米国をあらためて非難した。



トランプ政権がベネズエラのクーデターを企て、国内のクーデター派を組織しているとのニューヨーク・タイムズの報道は、日本国内でもかなりの反響を呼んでいるようです。

あの「産経ニュース」でさえ、取り上げています。ただみな共同通信の配信なのでそれだけです。


ニューヨーク・タイムズは、トランプ政権当局者が昨年秋から、ベネズエラの反米政権を転覆するクーデターを計画していた軍不満分子の将校らと、数回の秘密会合を持っていたと報じた。

複数の米政府高官と元ベネズエラ軍将校によると、ベネズエラ軍内のクーデター勢力は数百人。
トランプ政権側は「話を聞くだけ聞こう」と考え、複数回極秘に将校らと面会した。しかし、クーデターの具体的な計画はないようだった。

AFPはもう少し率直に書いている。しかし日本AFP以外は無視。

ニューヨーク・タイムズは以下のように報じた。
元ベネズエラ国軍司令官とトランプ政権の当局者が、マドゥロ大統領に対するクーデター計画について秘密裡に協議した。最終的に米国は支援を行わないことになった。
補足報道として、
① 17年8月には、トランプ大統領が米国によるベネズエラ進攻の可能性について側近に尋ねた。
② トランプは、ベネズエラの混乱の収拾のためには「軍事的選択肢」も排除しないと公言している。
というコメントを付加している。


この文章は、下記の文章を私なりに解説したものです。
Mar 15th 2018 ベネズエラ・アナリシス
ベネズエラの「亡命」についての誤解と歪曲

Fallacies and Inaccuracies About Venezuelan Migration

ベネズエラのいわゆる「亡命」について多くの見解がぶつかりあっている。
誰を信じるべきだろうか?


というのですが、日本においてはぶつかりあうどころか一方的に反ベネズエラ情報が垂れ流されています。この文章も蟷螂の斧にすぎませんが、出しておく価値はあるでしょう。

はじめに
この1年あまり、ベネズエラの危機に関する物語がますます強烈に印象付けられている。
最初は警察による野蛮なデモ隊弾圧で多くの死者が出て、ベネズエラが内戦状態に陥っていると報道された。ついでマドゥーロ政権が反民主的な言論弾圧を行い、国内は戒厳令状態に陥っているとされた。そして医薬品がなくなってインシュリンも打てなくなり医療が崩壊していると報道された。その後は、5万%にも上る超インフレで、人々の生活は崩壊していると報道された。最近では難民が大量発生し近隣諸国は大混乱に陥っていると報道されている。
我が国の報道機関は左右を問わずこれらの報道を無批判に受け入れ垂れ流している。しかしこれらがすべて真実であるなら、ベネズエラという国家はとうの昔に消失していなくてはならないだろう。
そろそろこれらの国際報道に疑いの目を向け、常識を働かせて判断すべきときに来ているのではないだろうか。とくに世界のメディアは2002年反チャベスのクーデターに際して、白を黒と言いふくめる重大な間違いを犯している。そのことの反省を忘れないでいただきたいと思う。

「難民」に関するいくつかの信じられない数字
国際メディアの主流と世界的機構によると、200万人以上のベネズエラ人が故国を離れたという。
率直に言えば、まず数字そのものが信じられない。
国連難民委員会の発表(2017)では以下の国が御三家である。
シリア:550万人
アフガニスタン:250万人
南スーダン:140万人
これだとベネズエラは一気に堂々の銅メダルということになる。普通の報道関係者なら、内戦国でもないところで、しかも突然に説明不可能な難民が出現したというのなら、まず情報源を疑うべきであろう。
この200万人という数字は、「ベネズエラ亡命者観測機構」というNGOが提出した報告にもとづいている。ベネズエラはいかなる周囲国とも正常な国交を維持している。したがってこれが出入国管理当局の数字ではないことに十分留意すべきである。
反チャベスの新聞「タル・クアル」は、2017年11月17日から12月4日までのあいだに409万人のベネズエラ人が出国したと報道している。それは“Consultores 21”が組織した2千人のスタッフの調査に基づいているという。
同紙によれば、ベネズエラの家族のうち3割で、少なくとも誰か1人、平均すれば1.97人が国境を越えて生活しているという。
ここまで書きたてると、流石に欧米メディアも手を出さなくなるようだ。ただこの報道から明らかなことは、「亡命」が一種のキャンペーンとして計画的に行われているということだ。

コロンビへの亡命という矛盾
米南部軍司令部のカルト提督は、米上院軍事委員会でベネズエラの亡命の動きについて証言した。証言によると、コロンビアへのベネズエラ移民は50万人に達した。さらにブラジルに40,000人、エクアドルに93,000人が向かっていると述べた。
しかしコロンビアの上げている数字はこれよりはるかに低い。
コロンビア外務省と国際移住機関(IOM)が発表した報告によると、コロンビアとの国境を越えた人の69%は、日常的に国境地域を往来する地域住民、労働者、研究者であった。
残り30%のうち23%は、数ヶ月間コロンビアにとどまる予定と申告、ベネズエラを恒久的に離れるとした人はわずか5%に過ぎなかった。
コロンビアの統計によれば、153,443人のベネズエラ人が法的に許可された滞在を超え、ビザなしで滞在している。彼らは「不法移民」ということになる。社会保障制度の裏付けなしに雇用され、搾取される可能性がある。
この他に合法的に移住手続きを行った人が47,305人いる。あわせて約20万人がベネズエラを離れ、コロンビアに移ったことになる。
これは決して少ない数ではない。
しかし少し長い目で見ると、これはきわめて奇妙な現象であることが分かる。
第一にコロンビアこそ世界有数の難民国である。先ほどの国連難民局の統計でそれより1年前の数字を見ると、2016年末時点でコロンビアでは730万人が難民登録されている。これは世界最多である。これに続くのがシリア(630万人)、スーダン(330万人)、イラク(300万人)、コンゴ民主共和国(220万人)である。銅メダルどころか国歌付きの金メダルなのだ。
和平が実現した後、この難民数は大幅に減少し圏外へと去るのだが、このような国に避難するいわれなどない。
第二に、過去においてコロンビア人の避難先は圧倒的にベネズエラだったのである。国連の難民局の公式発表では、ベネズエラ在住のコロンビア難民数は172,000人に達している。難民だけでなく経済移民や出稼ぎをあわせ、ベネズエラのコロンビア人は約100万人を数える。
ベネズエラは豊かで雇用(下働き)があるからだ。そのかわり、コロンビア人はベネズエラにおいて差別と偏見の対象となってきた。
ベネズエラ人の生活が苦しくなったとき、そのしわ寄せをまっさきに受けるのはコロンビア人のはずだ。おそらく大量にコロンビアに脱出しているのはこういう人々ではないだろうか。

以下は「思想運動」からの引用
ベネズエラ国内には隣国コロンビアからこの20年間に600万人の人びとがベネズエラの出生を差別しない社会保障を求め移住している。
また、コロンビアの法律では国外で生まれたコロンビア人の子どもは自分の意志を法的に宣言すればすぐにコロンビア人として認められる権利を持っている。
コロンビア・ベネズエラ国境を越える人びとの70%はこのコロンビア人のベネズエラ生まれの子どもたちで、残り30%の大半がベネズエラ居住のコロンビア人である。また、その人たちの大半が富裕層に属している

出る人も入る人もいるが…
マイアミのメディアは「150万人以上のベネズエラ人が国外居住しているが、その90%はこの16年間に祖国を去った」と報道する。
下の図は国連の人口統計である。ベネスエラ生まれで外国居住の流出者と、外国生まれでベネズエラ居住の流入者を対照したものだ。
nanmin
イミグレは入国者、エミグレは出国者である。ともに累計である。ざっと倍以上の入超である。
これがまず1つ、もう一つは出国者は16年間の累計で65万人。国外居住者が150万人とすれば43%にすぎない。
国連のデータによれば、このように移入が一貫して移出よりも高くなっている。ただしCIAの発表した世界ファクトブックは異なる状況を示している。「世界各国の移民率」の表では、ベネズエラはー1.2パーミリとなっている。これは僅かな出国過剰を表している。
国連のデータが嘘で、CIAのデータが真実を述べているというのではなく、統計のとり方によるのだろう。
ではこのCIAのランキングををラテンアメリカの他の国と比較してみよう。リマ・グループ諸国(親米諸国)の12カ国のうち9カ国で、ベネズエラと同じマイナスの移民率となっている。
例えばメキシコがー1.80、グアテマラ ー1.90、ペルー  ー2.20などである。

たしかに多くの出国者がおり、その背後に経済困難がある
この間に少なからぬ人が経済困難を理由に国外へ逃避した。その経済困難はどのようにしてもたらされたのか。
その経済困難は封鎖によって強化された、ベネズエラの財政的包囲によって引き起こされた。 その経済封鎖と財政的包囲はトランプ政権が実行し、コロンビア、ペルー、ブラジル、アルゼンチンの大統領が支援しているものだ。
そして国外脱出そのものは、前国会議長のJulio Borgesが煽っているキャンペーンが影響している。先にも述べたとおりである。


いま、トルコとベネズエラは世界中で経済危機がスポットライトを浴びる東西の両横綱である。
さまざまな経済指標の中でもとりわけ通貨安が先行しているところに特徴がある。
しかも、アメリカ=トランプ政権による強引な干渉がその引き金になっているところにも共通点がある。金融グローバリゼーションはいまや為替操作という強力な武器を手に入れたことで無敵となりつつある。その国際金融資本の身勝手な投機が途上国を苦しめているという構図も同じである。
さらに言うなら、そのような攻撃をかけるときの口実が民主主義と人権であることも共通している。
その口実は、弱小国を弄ぶための囃子詞として使われる一方、世界の富を独占し99%の人から搾り取る不正には目をつぶる。プーチンのウクライナ侵略にも目をつむる。そういう大変身勝手な「ルール」の上に成り立っている。
読者の皆さんにはぜひ、この大前提に立って物事を見てほしい。
そのうえで、トルコとベネズエラの違いについても理解する必要がある。
ベネズエラでは通貨ボリーバルが大暴落している。しかし、その原因は政府が外貨を放出しないからである。外貨がないわけではない。トルコは経済が発展し離陸段階に入っている。こういう国では原材料やノウハウ・設備を買うために外貨がいくらでもほしい。だから常にインフレ傾向は必然である。
ベネズエラはそこまで行っていないから、石油を売ったお金で、その範囲で生活するだけだ。だからそれほど深刻な外貨不足ではない。石油価格が半分になったら生活を半分にすればよいだけの話だ。だから本来インフレは発生のしようがないのだ。
今までの生活を続けようと思ったら、仮に生活用品の100%を輸入してたとして、物価は2倍になるだろう。それだけだ。それが1万%に物価が跳ね上がるのはドルの国内流通量があまりにも少ないのでとんでもないプレミアが付いてしまうのだ。
国内の流通量が少ないのは政府が市場へのドル流出を妨害しているからだ。いわばドル鎖国をしていることになる。では政府は石油を売った富をどのように国民に還元するか。物とサービスの直接提供だ。つまり配給制度だ。
配給なんで日本でもつい先日まであったのだ。私が昭和40年に札幌に来たとき、母親が私に「お米の通帳」を渡した。「そんな物いらねえよ」と放置しておいたのだが、実はそれが住民票だったのだ。それを市役所に出さなかったばかりに、私は幽霊市民になっていた。選挙になっても投票権が来ないので、いろいろ調べているうちに、やっと配給手帳が住民票と同じだったのだということがわかった。
こういう分配システムのもとではどうなるか。政府の指示通りに働き暮らす限りにおいてはまったく不自由はないのだ。国内通貨は国内では普通に通用する。
別に不思議じゃないでしょう、
ドルが高すぎると言うが、団塊世代以上の人にとっては。あのとき1ドル360円だったのだが、それで困った記憶はありますか?
サザンのコンサートのチケットが50万円になっても別に困ることはない。ただ悪徳ダフ屋は取り締まるべきだろう。コンサート・チケットがドル札になったと思えば良い。ベネズエラのドル市場というのは完全に闇市場だから、闇ドルを禁止し摘発するのに躊躇することはないのである。
IMFが先頭に立って1万%とかいうのもどうかと思う。それは結局ドル換算で見た通貨価値の低下率の逆数である。しかも公定為替相場ではなく、素人が手を出さない闇相場を基準にしている。だから物価が上がってもデノミをすればそれで済むだけの話だ。

ただし経済制裁後は話は違ってきている。ドルがあっても物が買えない、売ってくれないという状況が出てきているからだ。つまりこの1年間におけるベネズエラのハイパーインフレは、経済問題ではなく、優れて政治問題なのだ。

もちろん固定相場制をいつまでも続けるということが、市場原理による資本の再配分、経済の自律的成長の確保に障害となることは間違いない。対立的な政治状況が長引く中で、このような恣意の入り込みやすい経済運営を続ければ、内部腐敗を招く危険は率直に言って高い。

個人的な感想としては、2008年の憲法改正のときがチャンスだったし、それが失敗した時にもっと率直に反省すべきだったと思う。マクロにばかり目を向けたチャベスの責任だ。
妥協というのは上り坂のときにこそできるのであって、マドゥーロに今それをやれというのはかなりきつい。しかしどこかでやらないと、必ずどこかでやられると思う。

“Turn on” は歯向かうこと

今朝、BS ワールドニュースを見ていてわからない言葉に出会った。
英語を翻訳していると、良くこの手の表現に出くわす。これを真面目に辞書で検索するか否かで翻訳文の出来栄えは俄然変わってくる。
以前、医学書を翻訳して医学書院から出してもらったことがある。その時は「こなれた良い訳だ」とほめられた。
それは半分はあたっているかも知れない。
日本語としてこなれた文章にするには、日本語の能力が問われる。
しかし、本当はその前に、ちょっとした言葉でもしっかりと訳語をパッチすることが大事なのだ。
これをやると翻訳の時間は3倍かかる。しかしこれをやっていくうちに、ネーティブの人よりよく読めるようになることは間違いない。しかし困ったことに、読むスピードはむしろ落ちていくのである。

話が横道に入った。
元の表現は
Turning on Donald Trump?
というので、グーグルの翻訳エンジンでは「オンにする」としかでてこない。
こういうときは、「辞書で探せ」と言っているのと同じだから、辞書で検索するしかない。
といっても、便利なもので、いまでは“turn on”と入れてグーグル辞書を見ればよいだけだ。
turn on
「他9件の翻訳」を左クリックすると候補が出てくる。
9件の候補のうち最後の方に
歯向かう
oppose, bite back, defy, turn on, rise against, strike at
というのが出てくる。
なぜか?
それは書いてない。それを調べ始めたら翻訳の仕事は20分は止まってしまう。

「歯向かう」に相当する英語に、“bite back”というのがあったのには笑った。「あるんだ!」ね。

It is not often that Fox News criticizes President Trump, but the network’s primetime hosts have now criticized Trump twice

というニュース。「歯向かう」を知らないと、どうしようもない。

以下の年表は北大大学院法学科の馬場香織さんの論文(メキシコの麻薬紛争に関する予備的考察)から作成したものである。この論文は「なぜ」という側面に迫ったものであるが、かなり話が難しいのでとりあえず端折らせてもらった。興味ある方は当該ページに当たられたい。

1960 年代 ヒッピー・ムーヴメントに乗って米国で麻薬の需要が急速に拡大。これにともないメキシコの麻薬生産も飛躍的に拡大する。

1976年 政府、米麻薬取締局(DEA)の協力を得て「コンドル作戦」を開始する。シナロア州を中心に徹底的な攻撃を加える。

1978 年 コンドル作戦が収束。グアダラハラに潜伏していたギャングが麻薬密輸を再開。

1980 年代 米政府、コロンビアからカリブ海を経てフロリダに至る密輸ルートを壊滅に追い込む。これに代わり、メキシコを経由するルートが主流となる。

1990 年代 コロンビアのカルテルが衰退。メキシコのカルテルがコカインを含む麻薬密輸の中心となる。グアダラハラを拠点としたカルテルと、メキシコ湾を拠点とするカルテルが勢力を伸ばす。

2000 年 大統領選。国民行動党(PAN)が勝利して政権交代が実現。民主化が達成される。

1990 年代 グアダラハラ系のカルテルは、フアレス・カルテル、シナロア・カルテル、ティフアナ・カルテルの3つに分裂する。

1995 年 メキシコで経済・金融危機。失業者の増加は、子分の調達を容易にする。

1996 年 ガルフ・カルテルのリーダーにオシエル・カルデナスが就く。シナロア・カルテルに対抗するため、対諜報活動に精通したメキシコ軍の精鋭メンバーを集め、超強力部隊「セタス」を創設する。

2003 年 ガルフ・カルテルのオシエル・カルデナスが逮捕される。これをチャンスとみたシナロア・カルテルが攻勢。これにセタスが応える。

2006 年 ミチョアカン州でミレニオ・カルテルに代わりファミリア・ミチョアカーナが台頭。住民に対する一定の支援を行う。

2006年 セタスの活躍を見た各カルテルが兵士のリクルートを活発化。6年間で5 万 6000 人が軍務を離脱。

2006 年末 カルデロン PAN 政権が発足。「対麻薬戦争」を宣言。

2007 年 セタスとシナロア・カルテルが休戦協定を結ぶ。

2009 年 フアレスを舞台にシナロア組織の内紛が激化。フアレスは世界でもっとも殺人率の高い街となる。

2011年 セタスはメキシコ湾カルテルから自立。メキシコ各地に支部を拡げる。カルテル間抗争は三つ巴となり、年間死者数が1万6千人を超える。

2011年 ミチョアカンでファミリア・ミチョアカーナが壊滅。住民への暴力を事とする「テンプル騎士団」が勢力を伸ばす。



ベネズエラ革命は勝利できるだろうか


これは今から10年前に書いた記事です。タンスを引っ掻き回していたら出てきました。
あの頃、まだチャベスは健在で、ベネズエラ革命は不抜のように見えました。しかしアメリカは諦めてはいなかった…その事がよく分かる記事です。



いまベネズエラ革命は、数々の困難を乗り越えて大きく前進しつつあります。しかしそれが長期に見て勝利を収めうるのかどうかは、依然として不透明です。

革命そのものが抱える困難は、おおきく言って外部的な困難と内部的な困難に分けられます。このうち内部的な問題については専門的になるし、意見も分かれるところがありますので、ここでは簡単に触れるにとどめます。

言うまでもなく外部的な困難のうち最大のものはアメリカとの関係にあります。というより、ベネズエラ革命が抱える困難の圧倒的な部分は米国の干渉がもたらしたものです。

チャベス下ろしの策動は、これまで大きなものだけでも、すでに3回も実行されました。1回目は2002年4月の失敗したクーデターです。2回目は同じ2002年の12月に始まり、2ヶ月にわたって続いた「ゼネスト」です。そして3回目が2004年8月に行なわれたチャベス解任を求めるリコール投票です。それらのもくろみは、そのたびに失敗してきました。

 

米国はベネズエラをあきらめていない

①ベネズエラ政府転覆の秘密作戦

昨年、調査ジャーナリストのエバ・ゴリンジャーは、情報公開法(FOIA)を通じて最高機密のCIA文書を入手しました。2002年4月のクーデターの2日前のものでした。それはCIAのクーデターへの関わりを証明し、複雑な経路をとった資金援助を明らかにしています。

これによると、クーデター組織への援助は2001年から始まっています。秘密資金は、米国議会の全額拠出する準政府機関の「国家民主主義振興会」(NED)および米国国際開発局(USAID)を通じて行なわれました。

これらの機関の資金は、最終的にチャベス反対派に流れました。それは暴力的な街頭抗議行動の準備・組織に用いられ、クーデター当日の大デモへとつながっていきました。さらに2002年末から翌年初めにかけての石油公社のストライキや、2004年8月のチャベスに対するリコール投票にも用いられました。

ゴリンジャーが入手した文書は、米国国務省、国家安全保障局、そしてホワイトハウスがこれら三つの陰謀を全面的に掌握し、それを是認していたことを、一点の曇りもなく明らかにしています。

②三つの政府打倒計画

2002年4月のクーデターについては私の別著「ベネズエラ…何が起きたのか?」をご参照ください。このときは企業連合が、武力挑発の後「虐殺事件」をデッチあげ、これに連動して軍の反チャベス派がクーデターを起こし、チャベスを逮捕・拘留しました。

しかし市民の反撃にあい、権力が維持できなくなり「新政府」はわずか2日間で崩壊してしまったのです。

二回目の計画は、企業が営業をストップさせ、これと連動して国営石油の操業を停止させる作戦でした。反政府派の労働組合が音頭をとり、表面的にはストライキのように見えますが、実体はアメリカの意を受けた生産サボタージュです。

30年前のチリではトラック運送業や、商店主の波状的なサボタージュがアジェンデ大統領と民主連合政府を痛みつけ、クーデターへとつながっていきました。しかしベネズエラでは軍と政府が石油生産を管理し、銀行などの敵対行為に対しては外国為替の取引を停止するという強硬手段で、押さえ込むことに成功しました。

政府は石油生産と金融機能を抑え、流通機構の統制にも乗り出しました。それがメルカル計画です。これらの措置により反チャベス派企業や労組の力は大幅にダウンしてしまいました。

三つ目の計画は大統領リコール投票です。これは大統領のリコール権を認めた新憲法を逆手にとって、チャベスを追い落とそうという、一見合法的な闘争形態をとりました。

しかし、それはリコール投票をキャンペーンの手段として利用することに目的がありました。反政府派はリコール要求署名を集め、それが法定数に達したとしてリコール投票の実施を求めました。ところが選挙管理委員会で署名をチェックすると、不正な署名が圧倒的に多く、そもそもリコール投票の実施に必要な要件を満たしていないことが明らかになりました。

選挙管理委員会が中間報告の形でそのことを明らかにすると、反政府派は政府と選管の違法な独裁を糾弾し、カラカスを中心に大規模な暴動を引き起こしたのです。この暴動で多くの人が犠牲になり、国際世論はチャベスを批判するようになりました。ここまではメディアを使った反政府キャンペーンが一定の成功を収めたといえます。

政府は、カーター元大統領や米州機構の調停を受け入れ、リコール投票の実施を受け入れることになります。

しかし、その裏にはこの国民投票に勝てるという、チャベスの絶対的な自信がありました。そして結果はそのとおりになりました。

③その後の政府打倒計画

これまで何回かの米国によるチャベス政権転覆策動はことごとく失敗してきました。かといって米国が手をこまねいているわけではありません。むしろ追い詰められれば追い詰められるほど、その凶暴さをむき出しにしてきているといえます。

 

ウーゴ・チャベスは、米国が彼の暗殺計画をもっていると確信しています。彼は、正しいかもしれません。

ニューヨーク州ビンガンプトン大学の名誉教授でラテンアメリカの専門家であるジェームズ・ペトラスは、以下のように述べています。

「米国はチャベスとカストロを軍事的に打倒する戦略を持っている。それは二段階に分かれている。まずチャベス政権を倒す。そしてキューバへのエネルギー供給をとめる。それから経済的締め付けを強め、最後に軍による攻撃へと進む。

チャベスを倒すために 、米国は「三角形の戦略」を使用するだろう。まずコロンビアから反革命軍部隊が侵入する。米国は空と海からベネズエラを攻撃し、さらに特殊部隊が政府幹部を暗殺するなど破壊工作を行なう。そして国内においては、潜入したテロリストと軍内の反チャベス派により反乱を引き起こす。これらの作戦はメディア、銀行界、石油会社幹部によって支持されるだろう。

これに先立ち、米国はコロンビアに軍事援助30億ドルを提供する。おそらく「麻薬戦争」のためという名目がつけられるだろう。この援助によりコロンビア軍の規模は現在の3倍以上、27万人に達するだろう。そして、新しいヘリコプターや爆撃機を加え、「先進的な軍事技術」を獲得するだろう」

②反チャベス宣伝の強化

クーデター、石油スト、リコール投票の全期間を通じて、米国は反チャベス・レトリックを強めました。それは、米国の民衆に、チャベスの除去を何か良い変化が起こったかのように受容させようとするものでした。

そのときと同じレトリックが、次のチャベス追放計画のときにも、それに先立って展開されるでしょう。実際、それはすでに始まっているともいえます。

2005年の初め、CIA長官ポーター・ゴスが上院情報委員会で証言しました。その中でゴスはベネズエラに言及し、「潜在的な不安定地域」であり「発火点」だと表現しました。彼はまた、ウーゴ・チャベスが「合法的な戦術を用いて彼の権力を強化し、敵対者を攻撃し、他の地域に干渉しようとしている」と非難しました。

他にも米政府当局者は、チャベスを「地域への否定的な力」であり、「新しい種類の権威主義である」と攻撃しています。そしていささかのためらいもなく、ベネズエラ政府を「権威主義的民主主義」、「民主主義に対する脅威」、「選ばれた独裁」と呼んでいます(何たる形容矛盾!)。

常に自発的で恥知らずな共謀者である米国メディアは、これらの反チャベス感情を増幅し続けています。それらのキャンペーンは米国の国益に対する脅威としてチャベスを描き出しています。

このタイプのレトリックが新しい年を迎えても続き、強化されるならば、それは何かが起きている鮮明な兆候であるかもしれません。



長年フォローしていると、明らかなのは「理由は後からついてくる」ということです。人権だろうと民主主義であろうと対外債務であろうと経済危機であろうと、とにかく理由はつけられるのです。問題はメディアがそれをあたかも真実のように報道することです。



ベネズエラのドローン・テロについて
いつもの通り、新藤ニュースのつまみ食いです。
「マドゥーロ大統領殺害未遂テロ事件とその背景」 8月6日

1.事件の概要
8月4日、カラカスで、国家警察創立81周年記念集会が執り行われた。 マドゥーロ大統領が演説中に、爆薬をしかけたドローンが飛来し爆発した。
ドローンの爆発により、国家警察の隊員7名が軽傷を負ったが、大統領に怪我はなかった。
大統領は演説を続け、「犯行の狙いはベネズエラ国民を分裂させることにある。行動は米国のフロリダにいる過激派集団に支持されている」と述べた。
キューバ、ボリビア、ニカラグア、エルサルバドルの元首は、直ちにこの無法なテロ行為を厳しく糾弾した。同時にベネズエラとの連帯、マドゥーロ大統領への支持を表明した。

2.事件の背景
この卑劣なテロ行為は、ベネズエラの反政府派が手詰まり状態に陥っていることが背景となっている。
反政府派は、昨年10月の一斉地方選挙、6月の大統領選挙で相次いで敗北し、最近の世論調査でも支持を激減させている。
トランプ政権の経済制裁と、マドゥーロ政権への執拗な攻撃もむしろ国民の反感を強めている。 野党連合から脱退する政党も続出している。「経済再建のために対決から対話に移るべきだ」との声も上がっている。
7月末の「Hinterlace世論調査」では野党連合(MUD)の支持率は8%にまで落ち込んでいる。

3.経済困難の打開のために
7月末、IMFはベネズエラの今年度インフレ率が1万倍に達するとの推計を発表した。 これは為替相場への介入が原因と思われる。通貨への売り浴びせにより輸入品価格が上昇している。
しかし輸入品の制限は以前から行われており、食料など基礎生活資料に関しては破綻状態とは言えない。ただしこの1年については「金を払っても売らない」制裁、「銀行決済を禁止する」制裁が課せられている。
対外債務の増加は短期資金ではなく中国からの信用増加によるものであり、原油とのバーターがメインとなっている(松浦さんの情報)。
経済パフォーマンスは原油価格の復調もあり、物価1万倍を説明できる要因がない。
状況は昨年8月のトランプによる経済制裁を契機としており、明らかに政治的要因によるものである。 したがって、経済再建の条件は政治的安定にかかっている。そのためには、破壊的勢力を除く与野党の対話とコンセサス形成が何よりも必要となっている。
米国政府は、ベネズエラの主権を尊重し、干渉や制裁を一日も早くやめなければならない。
(3節は私の意見です)

メキシコ大統領選挙について、新藤ニュースが送られてきた。

「メキシコ、左派勢力圧勝の背景」という、いつもながら凝縮されたレポートだが、いささか胃もたれするので、5分読み切りのダイジェスト版にして紹介する。

この記事は「背景」には踏み込まず、「圧勝」がどれほどの圧勝であったかを示すことに絞る。

今回のメキシコ総選挙は、大統領選挙と上下両院、首都メキシコ市などの首長選挙が一度に行われた。日食と月食が一度に来たみたいなことになっている。

大統領選挙でアムロ(ロペス・オブラドール)が勝利したのは既報の通りだが、ほかの3つの選挙でもアムロ派が“地滑り的な勝利を収めた”ようだ。

まず大統領選挙。
大統領選

こうやって並べると、あらためて53%というのがいかに“ありえない数字”であるのかが実感される。
アムロへの支持が半分、残りは「バスタジャン」(もうたくさんだ!)票なのだろう。

次に国会選挙。
上が上院議会選挙
上院
下が下院選挙
下院
(図上で左クリックすると拡大画面が見られます)

略称ばかりで見づらいが、右の3つが中道左派連合の構成政党。
MORENAがアムロの所属する「国家再生運動」で、PTが労働党、PESが社会合流党という。
この与党連合が上下院ともに過半数を握った。

次に地方選挙
これについてはあまり詳しく触れられていない。
地方選挙では、「共に歴史を」連合は、首都メキシコ市をはじめ、8 州のうち4つの州知事選挙で勝利を収めた。
ということである。

ついでに 女性進出も歴史的
国会上院議員の男女比率は63/65、下院議員の比率は男女246/254となり、ともに女性議員数が男性議員数を上回った。これは史上初めてのことである。
メキシコ市長に当選したのも女性であり、初代女性市長となる。
また新政府の閣僚は、男9人、女7人 と発表されている。

なお新藤さんはアムロ躍進の背景としてのメキシコ経済事情にも触れているが、マクロ指標で端的に言えばGDPの低下と激しいインフレが進行しているということだ。それは1984年とか90年の状況を思い起こさせる。
ただしあの頃の保護政策はすでに放棄され、市場開放と変動相場前は全面的に展開されているから、その性格はかなり異なったものであろう。
スタグフレーションと同時に失業率の低下とジニ係数の低下も進んでいると言うからよくわからない。
かなり背景の背景にまで迫らないと評価は難しい。

重大な訂正 7月13日
松浦さんから御丁寧な挨拶をいただきました。ありがとうございます。
なお「ベネズエラ投資代理業」というのは私の誤解に基づく虚偽情報でした。正確を期すため、松浦さんご自身の文章をそのまま転載します。
お願いしたいカ所は私の現在の仕事でして、投資代理業ではなく「日本企業向けのベネズエラ情報配信業」にご修正をお願いできますでしょうか。
弊社は日本企業にベネズエラの政治経済情勢は情報提供しますが、債券の売り買いの助言あるいは投資代理は行っていません。
投資業は基本的に金融機関での勤務経験や、コンプラ対応を行うことが出来る人員体制、預託金の支払いなど事業を行うにあたり一定の登録要件がございます。
無登録の業者は罰則の対象になってしまいますので、誤解を生むことがないようご修正をお願いできればと存じます。
今回のベネズエラ講演会のメインは松浦健太郎さんのレポートである。
話は2つあって、ひとつは2017年5月に松浦さんが発表したレポート。もうひとつはその後始まったトランプ政権の経済制裁の評価である。
その間に松浦さんの肩書きは変わっていて、17年5月にはジェトロのカラカス事務所勤務であったがが、現在は独立してベネズエラ投資代理業を立ち上げている。
会社名は株式会社 ベネインベストメント で役職名は代表取締役。会社の活動内容は以下の通り

ベネズエラは原油、金、鉄鉱石、ボーキサイトなどあらゆる資源が眠る大国。
極めて高いポテンシャルを秘める国でありながら不安定な政情、信頼できる情報の欠如、複雑な為替制度など先を見通すことが極めて困難な国でもあります。
ベネズエラでのビジネスは中立で客観的な情報を掴むことが何よりも重要です。
ベネインベストメントは現地に駐在し1,000件以上の投資貿易相談に応じてきた専門家の視点を通して現地の報道、法制度、経済統計などビジネスに必要な情報をお届けします。


まずは駐日大使館のホームページに転載された、「外国プレスが報じないベネズエラのもう一つの真実」という文章の摘要をとる。
これは「ラテンアメリカ時報 2017年 春号」に 「時事解説」として掲載されたものである。

はじめに 
ベネズエラの状況は極めて危機的で現政権が崩壊寸前のような印象を与える。
しかし、それについては疑問を感じている。

3重苦を乗り越えたベネズエラ
現在のベネズエラは一年前と比べると改善しつつある。
とくに2016年前期の状況が深刻だった。
1 つ目は原油価格の下落、2 つ目は電力不足、3 つ目は与党内部の混乱である。
1.原油価格の下落
原油市場は14年7月に急落した。そして15年12 月に2度目の急落があった。ベネズエラの原油
価格は1バレル24.25ドルまで下がった。
政府は財・サービスの輸入切りつめを迫られた。
2.電力不足
ベネズエラは電力の6割を水力発電で賄っているが、水不足で電力不足をきたした。
全国で一日 4 時間の計画停電が行われた。保冷設備が停止し食料品が腐った。
カードが使えず決済ができない。工場稼働も自粛を迫られるなどの影響がでた。
3.与党内の混乱
マドゥーロ政権は危機脱出のためアバッド経済担当副大統領に任命した。一連の引き締め政策は与党幹部議員の抵抗を招いた。
議会の2/3を野党がしめていたこともあり、政府の力は弱体化した。
この2016年三重苦は、政府が副大統領を辞任させ、経済緊急事態令という超法規的な措置をとることで終熄に向かった。
CLAP制度が作られ、生活必需品が直接市民へ低価格で販売されるようになった。

与党の権力基盤は強化傾向にある
17年現在、原油価格は1年前に比べ10ドル上昇した。雨量は多く停電の危険はない。与党の
内部分裂は回避された。
しかし一方で、物不足や高インフレは残っている。CLAPは状況を改善したが十分とは言えない。
世論調査では、マドゥロ大統領を評価する意見が増え始めている。その一方、野党統一党(MUD)の支持は激減した。
以下は松浦さんの所感で、おそらく大事なポイントである。
国会議員選挙で議席の 3 分の 2 を獲得しながら何も有効な対応ができなかった野党にする国民の失望は強い。

野党が国民の意見を代表するために
1.野党大勝の原因
2015年12月の国会議員選挙では、野党が大勝した。しかしこれは過大評価できない。
松浦さんの見方では、
チャベス元大統領は好きだが、マドゥロ政権は支持しないという態度がとられた。交代に重なって景気が悪化したためである。
2.野党はエリート集団である
松浦さんの見方では、
現野党はいつまでも一般大衆を代表する組織にはなれない。なぜなら彼らはエリート層の集団だからだ。
野党はリーダーの総入れ替えを含めた抜本的
な改革が必要だろう。
3.与野党間の三すくみ状況
世論調査では与党支持が3割、野党支持も3割、支持政党なしが4割となっている。

2017年のデフォルトは回避可能か
原油が1バレル60ドル以上なら債務危機は生じない。
45ドル以上なら条件付きで回避は可能。
特に必要なのは、外貨管理制度の維持をあきらめ自由相場制に移行することだ。
ただし自由相場制への移行は公共料金の急騰
をもたらし、与党の支持基盤である貧困層を直撃する。
これが現政権に実行できる可能性は薄い。

政局の見通し
省略

結論
短期的な展望は決して明るいものではない。しかし長期的には極めてポテンシャルの高い国だ。
①世界一の原油埋蔵量、天然ガス埋蔵量も世界8位
②金、ダイヤモンド、鉄鉱石、ボーキサイト、石炭など豊富な地下資源
③国民の消費意欲は旺盛で、必要不可欠な投資が山積している。
参入チャンスを逃さないために日本企業も引き続き同国の動きを注視していく必要がある。

先日、ベネズエラを知る会の勉強会に出席した。会場にたまたま奥様がいて、ご挨拶させてもらった。
イシカワ大使にはもったいないほどの方である。
まずは写真をお見せする。

大使夫人
左の男性は私ではない。日本AALA連帯委員会国際部長の田中靖宏さんである。いつもより少し鼻の下が長く写っているかもしれない。
大使夫人のお名前はコロン えりかさん。エル・システマ・ジャパンのスペシャルアドバイザーを務めている。有名なオペラ歌手なのだそうだ。
11月に大使が来札するとき一緒に来てコンサートをしてもらえないか聞いたが、残念ながらスケジュールが合わなかった。
で、勉強会の方だが、いずれまた報告する。

ついでにネットの画像。
歌う大使夫人
   被爆のマリアに捧げる賛歌 / 相馬子どもコーラス&コロンえりか
から拾ったもの。
石川コロンえりかさん
この歌は原水爆禁止2015年世界大会(la Conferencia Mundial en contra de las Bombas Atómicas e Hidrogeno)に参加したコロンえりかさんが歌い大好評を博した。彼女の挨拶
被爆70年の大切な年に、皆様とともに私もひとつの決意を表明できました。
そのことにくわえ、音楽によって、皆様とこの思いを共有できました。そのことを感謝します。
そして、
私にとってこれからの新たな力にして参りたいと思います
とりあえずはこのくらいにしておく。えりかさんの祖国、心優しきベネズエラに幸多かれと望む。

日本語のネット情報だけで、「メキシコ総選挙」の情報を書いてみました。
1.アムロの勝利は「優しさ」の勝利
のっけからやや感傷的な感想で申し訳ないが、アムロの勝利はこの国の持つ優しさの勝利ではないかという気がする。
毎年何万人という人がカルテルの抗争で殺される殺伐とした国ではあるが、それはこの国の権力を握る者たちの腐敗を示すものであって、人の持つ優しさを否定するものではない。
アムロは30年前に政界入りして以来、一貫して貧しい人々、社会を支えて働く人々、女性や子供、若者たちの目線に自らを置いて闘ってきた。優しさを闘いに変えてきた。所属政党を変えたのでなく所属政党が変わって行ってしまったのであって、アムロは一貫している。
そのようにアムロの姿勢が一貫したものだったとしたら、どうしてその優しさがこれまでは伝わらず、今回突然に国民の圧倒的支持を得ることになったのだろう。
それが、メキシコ総選挙を教訓とする上での最大の眼目である。

2.アムロってどんな人
アムロはタバスコ州出身の政治家で、現在は64歳。1976年に当時の与党「制度的革命党」(PRI)に入党し政治活動をスタートした。
1988年に党内の進歩派が分かれ「民主革命党」PRDを結成すると、アムロもそちらに移りました。2000年から05年までメキシコ市長を務めたあと、2006年にはPRDから大統領選に出馬、このときは僅差で破れた。2012年にも出馬し敗れており、今回は3度目の正直ということになる。
メキシコの大統領は任期6年で、再選は禁止されている。
PRDの右傾化に伴いこれと袂を分かち、自らの主導する政党「国家再生運動」(モレーナ)を立ち上げた。去年、大統領選に立候補するに伴い党首を辞任したが、現在も強い影響力を保持している。
PRIを離れて以降、PRIの汚職腐敗を批判する姿勢は一貫している。メキシコ市長時代も清廉潔白を貫いた。アムロの愛車は日産の小型セダンの「ツル」(サニーの旧モデル)だった。

3.暴力と腐敗根絶に高まる期待
アムロは汚職や免責の撲滅を新政権の最優先課題にすえた。
総選挙の期間中には130人以上の候補・党員が殺害された。「メキシコ近代史上、最も暴力的な選挙」だといわれる。
なお同じ時期、殺人事件による犠牲者の数は2万5000人を超えている。その多くが麻薬組織間の抗争によるもの。今年1~3月も前年同期に比し20%増と絶望的な状況にある。
どこが絶望的なのか。それは2万5千人が殺されたことではなく、殺された分が新たに補充されているという事実である。それはどこからリクルートされているのか。
アムロは治安悪化の根本的な要因として貧困を挙げており、貧困対策や雇用創出を通じて麻薬ビジネスを抑え込もうと主張する。貧困と失業がなくなれば、蛇口を開いてもギャング予備軍は出て来なくなるはずだ。
また犯罪組織との関係では、徹底抗戦よりも対話を重視した解決を目指すと主張している。具体的な内容は不明だが、とりあえずカルテルの内輪もめについては放置し、市民に影響を及ぼさないような一種の協約体制を目指す可能性もある。実のところ、国連・世界銀行データによれば、殺人事件の発生率は複数のラテンアメリカ諸国よりもかなり低いのだ。

4.青年がアムロ勝利の道を切り開いた
アムロ圧勝の道を切り開いたのはサンダースのアメリカ、コービンのイギリス、メランションのフランスと同じく若者の力だった。
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             アムロ支持派の集会
18歳から23歳の有権者約1300万人が今回初めて投票に参加した。彼らは前回選挙後の6年間に新たに有権者となった層である。彼らは少年期を汚職や薬物関連の暴力などにさらされて育った。
彼らは、既成勢力に深く幻滅しており、真の変化をもたらすことのできる道義心を持ったリーダーを切実に求めている。青年がもとめているのは社会正義であり、そのパワーを見誤ってはならない。
世論調査によると、30歳以下の有権者の47%がアムロを支持しており、分厚いアムロ支持層を形成している。アムロ現象はある意味で、サンダース現象が国境を越えて波及したものと言える。

5.経済政策とNAFTAの扱い
経済・通商政策では、アムロは「メキシコ第一主義」をとなえトランプの向こうを張るような大衆迎合政策を掲げた。他の政党はアムロを「ポピュリストで経済の舵取りは任せられない」と非難した。
農業などの国内産業の保護は譲れないが、それ以外では妥協の余地を残している。
選挙戦末期には対米避難の論調を多少緩め、米国との「友好的かつ協力的な関係」を目指すと発言し始めている。
アムロの経済政策をよく見ると、言葉上の過激主義とは異なり、成熟した政策展開が予想される。
彼は無論、市場メカニズム至上主義ともいえる新自由主義(ネオリベラリズム)には反対である。しかし市場メカニズムを完全には否定しているわけではない。民間資本や外資も有効に活用すべきと主張している。
マクロ経済政策については、公的支出の役割に重点を置いた新ケインズ的な計画となっているが、マクロ経済指標は重視し、均衡財政を維持することを大前提においている。
NAFTAについては原則として、「貿易と外国投資に対する法的信頼性を付与し、経済・通商関係の発展にとって有益な手段であった」ことを認めている。そのうえで相対的自立を目指そうとしている。
最大の資源関連イシューとなっている石油売却(ファームアウト)の契約についても、汚職の可能性を指摘し、見直しを訴えている。ただ国際入札自体を否定しているわけではない。ガソリン販売の自由化もそれ自体は否定していない。
(経済分析についてはジェトロの「AMLO氏旋風が舞うメキシコ大統領選挙」を参考にさせていただきました)

6.ラテンアメリカ情勢とアムロの勝利
アムロの当選、メキシコにおける左翼の勝利は中南米の進歩派にとって長年の夢だった。
リオグランデからフエゴ島までラテンアメリカ人の自主的国家が完成したかもしれない。
しかしアムロが当選したいま、中南米の進歩派は著しい退潮ムードの中にある。
おそらく政策的な舵取りはとても難しいものになるだろう。
逆に言えば、そのような政策選択の幅が狭い中でどうしてこれだけ多くの国民の期待が集中したのだろう、という話になる。
メディアの報道にはこの視点が欠如している。

AMLOについては過去に数多く言及しています。サイドバーの検索窓に“AMLO”と入れて検索してみてください。
振り返りをしようと思いましたが、ここ10年近くメキシコ年表が更新されていません。2,3日は更新作業に集中します。


赤旗が2日連続でメキシコの総選挙を報道している。
まずは紹介しておこう。
7月1日 メキシコ大統領選挙
アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)が過半数を獲得し勝利した。
赤旗の見出しは「新興左派が勝利」となっているが、現地でも使っている言葉なのか。AMLOは10年以上も前に大統領選に出馬して惜敗している(本人は勝ったと主張した)
ただ当時は中道左派のPRDをバックにしての出馬だったが、その後新党を結成して選挙に臨むことになったというのが経過である。

AMLO政権には2つの特徴がある
一つは汚職と治安の悪化が進む中で、清潔で誠実な政治を打ち出したことだ。
これまでの政党PRI もPAN も汚職まみれでカルテルとは骨絡みで癒着している。PRDさえも最近では疑問符がつけられるようになっている。
そのなかで国民の希望が集中したのであろう。
もう一つは反NAFTA・反自由主義の旗である。
ただこちらはそう簡単には行かないだろうと思う。
これは本気かどうかは知らないが、「メキシコは汚職でGDPの9%を失っているからこれを解決すれば財源問題は解決できる」と主張しているらしい。
こういうのは「政策」とは言えない。「汚職」は犯罪であり、それを防ぐのには財源が必要なのであって、少なくとも当面は収入ではなく出費の対象なのである。
まずはできるところから一歩一歩ということになるだろう。

議会・首長選の結果
これが3日付の報道、以下が4日付となる。
見出しがなんともふやけたもの
新興左派が議会・首長選でも躍進
脇見出しが
“民主主義の前進”との声も
だ!
議会選挙では、アムロの与党モレーナが下院で確実に過半数超え、上院も過半数に達する可能性があるとされる。
さらに首長選ではメキシコでモレーナ派の女性市長が当選。州知事選でも4/8州で勝利した。
これですべてだ。これにトランプがアムロ当選を歓迎しているとのワシントン発が添えられている。
見出しもふやけているが、特派員が張り付いているのに現場の生の声はまったく取り上げられていない。
報道各紙を読んでホルナーダの編集長の談話を摘まみ食いして終わりなんです。
それにしても
“民主主義の前進”との声も
ってなんでしょうか
“そうでもないとの声も”という意味でしょうか
それであなたはどうなんでしょうか、松島さん。

AALA国際部の新藤さんから下記のニュースが送られてきました(6月23日)。
要旨を紹介します。
なお先般、札幌にお越しいただいたアラーナ大使は、日本での勤務を終えられ、現在はチリのサンチャゴでご勤務と伺っております。

はじめに
ニカラグアでは大きな緊張状態が起きています。4月19日にニカラグア政府の年金改革を巡って広範な市民の抗議が生じました。
その後、過激な反政府行動が展開されました。報道では、警官8名を含め173名が死亡し、2,100名(うち警官200名)が負傷しているとされます。
人口630万人、GDP138億ドルのこの小国で何が起きているのでしょうか。

Ⅰ ニカラグア 社会の状況
最近のニカラグアは経済成長が著しく、失業率や貧困者も減少し、貧富の格差も改善しています。
病院・学校・電気・水道・通信などの社会・インフラ投資も順調で、殺人事故は中米中最低となっています。
国内政治では、労働者・資本家政府の協調姿勢が貫かれています。
これはサンディニスタ政府が内戦による損害を取り戻すために、社会の安定を最重視したためだといいます。
このやり方は IMF・世界銀行・米州開発銀行からも高く評価されていました。
外国投資も順調に増大し、ムーディズの格付けでもB2で「ポジティブ」 と評価されています。
オルテガ大統領の率いるサンディニスタ政府は、2006年以来3度の総選挙を勝ち抜いて政権を維持しています。
国際貿易収支は7億ドルの赤字ですが、海外からの家族送金が14 億ドルあります。
財政も比較的健全で、財政赤字は歳入の7%程度です。
要するに経済・社会のマクロ指標はバッチリです。

Ⅱ 何が起きたのか
今年4月、年金財政赤字の改善のため保険料引上げや年金支給額の減額を打ち出しました。
これは各団体との協議を経て提案されたものでしたが、企業団体と労働団体が強硬な反対に回りました。
抗議運動が各地に広がり、一部では暴力的な行動を伴いました。
contra
      グラネード・ランチャーを標準装備した暴力分子
政府は年金改革の撤回を打ち出し、対話をもとめ、司教会議に仲裁を要請しました。
しかし抗議は続けられエスカレートしていきました。火炎瓶、ロケット砲などが用いられ、公的施設、政府派人物の民家の焼き討ち、略奪、人への攻撃、道路封鎖が展開されました。
取締り警官隊への攻撃と挑発が繰り返され、火炎瓶、ロケット砲などが用いられるようになりました。
闘争目標も大統領の辞任、選挙法の改正、前倒し選挙の実施へと移っていきました。
5月に入ると抗議行動は一層エスカレートし、全国14の県で道路封鎖が実行されました。都市では商店の焼き討ち、公共バスの破壊、サンディニスタ事務所の放火などが繰り返された。
FSLN事務所の焼き討ち
            FSLN事務所の焼き討ち
Ⅲ アメリカの干渉
アメリカ政府は反政府勢力を支持して内政に干渉しています。キューバ、ベネズエラにくわえ、ニカラグアも「専制政治」の一員に加えられました。
ペンス副大統領は、「母の日の平和なデモに攻撃が加えられ、恐るべき暴力により数十名が殺され、数百名が負傷した」と非難しています。
今回のニカラグアの問題は、米国の意向が反映されたものであり、トランプ大統領、ペンス副大統領の言動が、大きな影響を及ぼしています。
新藤さんの本文はこの記事の数倍あり、最近の動きまで丹念にフォローされている。ぜひご一読を願いたい。


反政府派の暴力的妄動は、ベネズエラで見られた光景とまったく同じです。
違うのは、ベネズエラではそれが政権による弾圧として描かれ、民衆がそれに対して民主主義をもとめて戦っているように描かれ、アメリカが民主主義を支えるために支援を行っているように描かれていることです。
拉致者を焼殺
            FSLN支持者が焼き殺される
現在のところ、ニカラグアのような小国のケースは見過ごされているようですが、いずれサンディニスタも民主主義の敵として描かれるようになるのでしょうか。(すでにその兆候は現れています)

7/7緊急シンポジウムのお知らせ  

     ベネズエラで今、何がおきているのか
            ~経済危機の実情と背景~  

ということでベネズエラ大使館からお知らせが来ている。かなり急な話なので、参加できるかどうか確信が持てないが、皆さんにもお知らせしておく。

シンポジストは松浦健太郎さんというエコノミストの方、西谷修さんという立教大学教授のお二人、私はどちらも存じ上げていない。

<日時> 7月7日(土)13時~17時
<場所> 明治大学お茶の水校舎リバティータワー 1143教室 (14階)

で、完全オープンではないようなので、大使館に連絡入れておいたほうが良いだろう。
surugadai


ベネズエラ・ボリバル共和国大使館
大使秘書 寺山由美子
Tel: 03-3409-1501  ext.1
Fax: 03-3409-1505
e-mail: asistente.embajador@venezuela.or.jp
住所:〒106-0031 東京都港区西麻布4-12-24第38興和ビル703号

となっている。


4月24日 「欧州議会有志による動議」
10名の議員の連名で発議されている。

以下は動議のうち行動提起部分のみ

1.ベネズエラ・ボリバリア共和国(以下ベネズエラ)に対する、継続的な外部からの干渉、および政治的、経済的、社会的不安定化工作を強く非難する。

2.ベネズエラの主権を犯す干渉戦略を適用することが、対話と平和のための空間を創造することにいかなる貢献もしていない。このことを強調する。

3.ベネズエラの国民は、発展の道筋について、外部の干渉や圧力をまったく受けることなく、主体的かつ平和的に決定する権利をもつ。このことを再確認する。

4.国際法にもとづく、「内政不干渉」の原則は全面的に尊重されるべきである。このことを表明する。

5.ベネズエラにおける「人道危機の疑惑」は、外部からの干渉を増大させ、政治介入のキャンペーンを強めている。このことを非難する。

6.米国、OAS、EU、その他の国が第三国の内政に干渉することを深く憂慮する。そして、すべての人々が自決権、すなわち政治状況をみずから決定する権利、経済的、社会的、文化的発展をもとめる権利を認め尊重するよう求める。

7.不安定化キャンペーンは非民主的で暴力的な目的を持っている。それは米国の帝国主義的利益を補強している。それはベネズエラの石油資源へのアクセスを確保し、アメリカ・ボリーバル同盟(ALBA)諸国の利益を損なおうとしている。

8.米国はベネズエラに対する制裁を継続することを決定した。それはベネズエラを「米国の国家安全保障と外交政策」にとって「異常で異常な脅威」とみなしている。これを拒絶し即時廃止を要求する。

9.アメリカ南方軍司令官クルト・テッド提督の声明(4月6日)を非難する。これはこれは主権国に対する攻撃を予告するものである。

10.最近の米州機構(OAS)の動向は、組織の民主主義の欠如を示し、中南米の国民の主権に対する一貫した侵害者の役割を果たしている。これを批判する。

11.メルコスール内にはベネズエラが議長国となるのを阻止しようとする動きがある。これを批判する。

12.EUは政治的目的のために人権を見せかけの「道具」として利用しようとする動きがある。とくにベネズエラのケースで著しい。これを非難する。

13.EUはベネズエラと国民に対して制裁その他の措置を適用しようと試みている。これを断固として拒否する。

14.第三世界の国々との対話は、いかなる場合においても、国民の自己決定権を制限するものであってはならない。このことを強調する。

15.多くの国際メディアは、うわさ話を広げ、ニセ情報を流してベネズエラ政府への信頼を傷つけた。そして暴力的な雰囲気を煽った。この役割を指摘する。
報道の自由は人権の根幹をなす。このことを想起する。
そして、責任ある行動と、公正・正確でバランスの取れた表現でイベントをカバーするようもとめる。それは現在もなお、なされていない。

16.現在ベネズエラが深刻な経済危機に直面していることを認める。その原因は以下のごとく考える。
この経済危機は主に国外事情によって引き起こされている。それは経済制裁と石油価格の下落の両方によるものだ。そして野党と経済界の一部が指揮する組織的な経済不安定化戦略がこれに拍車をかけている。
彼らは商品の生産と流通を支配し、特に食品や医薬品の分野では、彼らの策動が商品の不足につながった。
経済界と手を結んだバチャケーロス(bachaqueros)はモノ不足を作り出し、商品を闇市場に横流しして法外な利益をむさぼっている。
この国のインフレを作り出しているのは高額紙幣の隠匿でもある。それらの高額紙幣の多くがコロンビアやパラグアイなどで発見されている。
この厳しい経済攻撃にもかかわらず、ベネズエラは対外債務に関して国際的な信用を維持している。また国家予算の70%を社会開発に配分し続けている。

17.ベネズエラ政府は憲法を遵守した。国会の多数を占める野党は憲法を無視し、違反することを厭わなかった。これは記録すべき事柄である。

18.「ラテンアメリカ・カリブ平和地帯宣言」にふくまれる諸原則は強調されるべきである。
この宣言にはいかなる国とも内政不干渉の原則を守ること、国家主権、国家間の平等、民族の自決権の原則が含まれる。
国際社会はこの宣言を十分尊重すべきである。

19.ベネズエラにおける社会政策の実施を歓迎する。それらは社会的責任と正義、平等、連帯と人権にもとづいており、国民のあいだの不平等を軽減するのに役立っている。
それは社会開発や教育の発展として、たとえば2005年の文盲の根絶や高等教育の学生数の大幅な増加に示されている。

20.ベネズエラはラテンアメリカの人々の協力と統合に大きな役割を果たした。その重要性を想起しなければならない。とくにALBAは健康、教育、文化、相互理解の分野で大きな足跡を残した。これは歓迎されるべきである。

21.ALBA-TCPの加盟国は、人権、司法、平和を促進するためにベネズエラ政府が払った努力を認識している。そのゆえにベネズエラに対する国際的介入が、兄弟国ベネズエラだけではなく、ラテンアメリカ・カリブ全体を不安定化させていることに気づいている。

22.ベネズエラのマドゥーロ大統領は、南米諸国連合(NNASUR)の支援を受け、野党代表との対話を進めている。これを支持する。
この対話にはスペインのサパテロ前首相、ドミニカのフェルナンデス元大統領、パナマのトリホス前大統領も加わっている。また特別代表として法皇フランシス猊下も参加されている。
UNASURの他にも国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(CELAC)やALBAのような組織が、福祉、平和、正義、真実、制度、経済的措置などに大きな役割を果たしている。これを支持する。
また法と民主主義の支配を支持し、国家の尊厳に敬意を払う。

23.ベネズエラの人々と連帯する。そしてベネズエラがこの間に成し遂げた社会的成果を再確認し、これを守るための闘いを支持する。

24.議長はこの決議を以下の部署に送致していただきたい。理事会、委員会、ベネズエラ政府、メルコスール議会、欧州・ラテンアメリカ議員集会、それにUnasur、ALBA、CELACなどの地域機構。
このことを勧告する。

TeleSur English Mar 26th 2018

国連人権理事会、ベネズエラに対する制裁措置を非難

「このような措置は、国家の経済社会開発の完全な実現を妨げる」

国連人権理事会(OHCHR)は、非同盟国(NAM)の運動が提案した決議を採択した。

これは、米国、カナダ、欧州連合(EU)とその同盟国によるベネズエラに対する経済制裁を非難するものである。

この文書は、金曜日にスイスのジュネーブで開催されたOHCHR会議に提出された。

決議は、このような一方的な措置を継続することを非難する。大国が政治的または経済的圧力を加えるために、その道具としてこのような方法を取ることは許されない。

決議はすべての国にたいし、 「このような措置は、諸国家の経済社会開発の完全な実現を妨げる」と喚起した。

決議はベネズエラの主張を認めている。それは「経済制裁は、貧しくて最も脆弱な階層に“度外れに”影響し、人権の実現を脅かす」というものだ。

そして、国際法に違反する一方的な強制的な措置を適用するのではなく、「対話と平和的関係を通じて相違を解決するべきだ」と強調している。 

先週、米国はベネズエラに対して新たな制裁を課した。今回は「ペトロ」というベネズエラが発行した仮想通貨である。

制裁措置は、「ベネズエラ政府によって発行されたあらゆるデジタル通貨でのすべての取引」を対象としており、米国人による、または米国内における取引が対象となる」

仮想通貨「ペトロ」はベネズエラ政府がとっている政策である。それは、米国と同盟国が輸入能力を制限するためにベネズエラに課した財政封鎖を迂回するためのものである。

ベネズエラのホルヘ・アレザザ外相は、Twitterを介して決議への共感を示した。

ドイツ、米国、英国、スペインを含む西側諸国は、この決定を拒否した。

一方、人権理事会は、この措置は「国家の主権を脅かす...」と述べた。

なぜならそれらの措置は自国の自由意志、政治・経済・社会的制度についての自決権を否認するものだからである。


下記の文章は私による要約ですので、引用はお控えください。本来の見出しは「制裁非難声明」とすべきであることをお断りいたします。
元の文章は
3月12日付の venezuelanalysis.com 掲載記事 を独立ジャーナリストの加治康男さんが訳したもので、駐日ベネズエラ大使館のホームページにアップされていると思います。
チョムスキーと並んで書かれている Danny Glover は映画俳優でリーサルウェポンでおなじみの人です。
ダニー・グローヴァー
   ウィキペディアより
ノーム・チョムスキーら150人がベネズエラ制裁を非難する声明
Noam Chomsky, Danny Glover & 150 Other Activists Slam US-Canadian Sanctions on Venezuela

<記事のリード部分>
米国とカナダの市民活動家が、ベネズエラに対する制裁措置に反対の声を上げました。
制裁はベネズエラの貧しい弱者を苦しめる、違法かつ威圧的な措置です。
私たちは、ベネズエラの心ある人たちとともに、トランプ大統領と議会に要請します。ベネズエラの諸勢力のあいだで行われている対話を支持し、制裁を解除してください。
この対話はサパテロ元スペイン首相、メディーナ・ドミニカ大統領、チリ、メキシコ、ボリビア、ニカラグアの外相が仲裁にあたっています。フランシスコ・ローマ教皇もこの協議を支持しています。
マドゥロ現大統領と4人の大統領候補は、5月20日に大統領選挙を実施することで合意しました。
米国、カナダ両政府はこのプロセスを支持してください。ベネズエラ国民が民主的に、外国から脅威を受けることなく投票するために協力してください。
オバマ米政権下での制裁措置に加え、トランプ政権による追加制裁措置は、ベネズエラの一般民衆に負担を強いています。この一方的制裁は国際法に違反しています。
150人を超える米国とカナダの活動家は国会議員に次のような手紙を送っています。


【公開書簡: 私たちは制裁ではなく、仲裁を支持します】

私たちは、米国とカナダの政府にもとめます。
ベネズエラに対する違法な制裁を直ちに解除してください。ベネズエラ政府と非暴力派の野党勢力とを仲裁する取り組みを支持してください。
私たちは南北アメリカのすべての国の人々が、主権の尊重に基づく関係を維持することをもとめます。
私たちは違法な制裁措置に深刻な懸念を抱いています。制裁の結果は貧しい、ぎりぎりの生活を送っている人々に最も重くのしかかります。
そしてその国の政治的及び経済的なあり方に、好ましくない変化を強要することになります。
ベネズエラの世論調査によると、大多数の人々が制裁に反対しています。それはマドゥーロを支持しようとしまいと同じです。
いまバチカン、ドミニカ共和国などの国が仲介し、ベネズエラの現状を解決しようと取り組んでいます。しかし制裁は深く分断された状況をより複雑にするだけです。
また制裁は、政府と制憲議会が危機的な経済課題に対処しようとする取り組みを壊しかねません。
アメリカとカナダの政府幹部は、「高尚な」言葉遣いにもかかわらず、ベネズエラ政府に対する好戦的な干渉姿勢を取り続けています。それは民主主義、人権および社会正義を本心では軽視しているからでしょう。
オバマ前大統領は「ベネズエラは米国を脅かす国家安全保障上の脅威である」との発言を残しました。
ニッキー・ヘイリー米国連大使は「ベネズエラは世界を脅かし、ますます暴力のはびこる麻薬国家である」と語りました。
これらの国際舞台での発言は、平和的な紛争解決にはほとんど寄与することがないでしょう。
ベネズエラの政治指導者は新自由主義モデルをきらっています。米国の覇権に異を唱え、米国がラテンアメリカに新自由主義モデルを導入しようとすることに抵抗しています。
だからこそ、ベネズエラは周知の通り、米国の体制転換に向けての努力の主要な対象になっています
もちろん、ベネズエラが世界最大の石油埋蔵国であることも、ワシントンから望まぬ注目を浴びる原因となっています。。
米州機構(OAS)の事務総長ルイス・アルマグロはならず者としか言いようがありません。彼はベネズエラの野党勢力によって任命された「対抗最高裁判所」を公然と支持しました。
この「裁判所」が宣誓式を行うのに、ワシントンDCのOAS本部を提供しました。
アルマグロはベネズエラで最も過激な勢力、暴力を是認する野党勢力をつけあがらせています。それは仲裁の取り組みを妨害するだけでなく、OASの合法的権威を失墜させています。
米国のベネズエラ経済制裁は、ベネズエラの主権を犯し人々の基本的人権を侵害しています。ベネズエラはハイパーインフレと基本物資の不足を解決しようと取り組んでいます。
そういう国に対して経済的な圧力を威圧的で鼻持ちならないやり方で押し付けています。民主主義と自由を前進させるとの名目はウソっぱちです。
私たちは米国の指導者に冷静な発言をもとめます。ベネズエラの政治、経済問題の本当の解決策を探してください。
経済制裁を取り下げ、ドミニカ共和国やスペインのサパテロ元首相、バチカンが主導する仲裁の取り組みを支援してください。

付属: 「米州機構憲章第4章第19条」
いずれの国家または国の集団も、理由の如何を問わず、直接または間接に、いかなる他国の国内または対外の事項に干渉する権利を有しない。この原則は、武力のみならず、国の人格または政治的、経済的および文化的要素に対する他のいかなる形態による干渉または脅威の企てをも禁止するものである。

署名者

米国
ノーム・チョムスキー 
ダニー・グローバー 市民アーティスト
エステラ・バスケス 「医療従事者労組」副議長
トーマス・ジャムブルン デトロイト大司教区司教
ジル・スタイン 米緑の党
ピーター・ノールトン 全米電気労組議長
アルフレド・デ・サヤス博士 元国連高等弁務官事務所 国連の独立調査官
メデア・ベンジャミン 「コード・ピンク」共同設立者
ダン・コヴァリック 連邦鉄鋼労働組合・顧問弁護士
クラレンス・トーマス ILWU(在サンフランシスコ労働組合)元専従職員
ナターシャ・リシア・オラ・バナン 全米弁護士会会長
チャック・カウフマン グローバル正義同盟・共同コーディネーター
ジェームス・アーリー ラテンアメリカ及びカリブ海諸国におけるアフリカ系人アーティキュレイション
グロリア・ラ・リーバ キューバ・ベネズエラ連帯委員会
カレン・ベルナル カリフォルニア州民主党・革新議員団議長
ケビン・ゼーズ、マーガレット・フラワー 「人民の抵抗」共同議長
クリス・ベンダー 在カリフォルニア州労組
メアリー・ハンソン・ハリソン 「平和と自由のための女性国際連盟」・米国支部長
アルフレッド・L・マーダー 米国平和評議会会長
タミー・ドラマー カリフォルニア州民主党執行委員
グレッグ・ウィルパルト ジャーナリスト
ジェリー・コンドン 「平和のための退役軍人」理事長
チアナ・オカシオ ラテンアメリカ・アドバンスメント・コネチカット州委員会委員長
レア・ボルジャー 「戦争を越えた世界」コーディネーター 
アレクサンダー・マイン 「経済政策研究センター」・上級研究員
ケビン・マーティン 「平和活動及び平和アクション教育基金」議長
ロバート・W・マッケスニー博士 イリノイ大学アーバナシャンペーン校 
バーソニー・デュポン 「ハイチ・リベルテ」取締役
フレデリック・B・ミルズ博士 (米メリーランド州)ボウイー州立大学哲学部
マルシャ・ルンメル (米ウィスコンシン州)マディソン市会議員
モニカ・ムーアヘッド 「労働者世界党」
キム・アイヴス 「ハイチ・リベルテ」記者
シンディ・シーハン Cindy's Soapbox
(聞き覚えのある名のこの人は、息子をイラクで失い、ブッシュの農場前で座り込みをやって有名になった活動家です)
クラウディア・ルセロ 「中南米問題シカゴ宗教指導者ネットワーク」議長
ウィリアム・カマカロ ベネズエラ活動家 ボルティモアフィル・ベリガン
デイヴィッド・W・キャンベル、USWカリフォルニア州カーソン事務局長
アリス・ブッシュ SEIU北西インディアナ支部ディレクター
テレサ・グティエレス 国際アクションセンター共同ディレクター
クレア・デロチェ ニューヨーク拷問に反対する異教徒間キャンペーン
エヴァ・ゴリンジャー ジャーナリスト兼作家 クロスボーダーネットワーク(カンザスシティ)
(ベネズエラ通の弁護士で、チャベス時代から活躍している人です)
アントニア・ドミンゴ ピッツバーク・ラテンアメリカ進出協議会
デイヴィッド・スワンソン 「戦争を克服した世界」ディレクター
(左翼のブロガーとして有名な人)
マットマイヤー 「和解フェローシップ」全米共同議長、
ダニエル・デール牧師 ディサイプルス派キリスト教教会CLRN理事会
キャスリーン・デスセルズ 「八日目の裁きセンター(8th Day Center for Justice)」
マイケル・アイゼンシュチャー 「戦争に反対する米国労組(USLAW)」全国連絡委員会
ポール・ドルダル博士 「解放と公平のためのキリスト教ネットワーク」ディレクター
ダラス・フリードマン博士 チャールストン大学国際学部理事
チャールズ・ダーム司教 「ドメスティック・バイオレンス・アウトリーチ」大司教区理事
ブラス・ボンペイン 南北アメリカ事務所理事長
ラリー・バーンズ 西半球問題評議会南北アメリカタスクフォース理事
シャラット・G・リン博士 「サンノゼ平和・司法センター」元議長
ダニエル・チャベス トランスナショナル・インスティテュート
スタンツフィールド・スミス シカゴALBA連帯
アリシア・ジャッココ 「キューバ平和、正義、尊厳ナショナルネットワーク国際委員会」米国コーディネーター
ディアナ・ボーン「地域行動ニカラグアセンター」コーディネーター
ジョー・ジャミソン クイーンズ・ニューヨーク平和評議会
ジェリー・ハリス 「北米グローバル研究協会」書記
チャーリー・ハーディ 「カラカスのカウボーイ」著者
ダン・シェア 「平和のための退役軍人」全国委員会
クリスティ・ソーントン博士 ハーバード大学ウェザーヘッド国際問題研究所フェロー
 以下略

カナダ
ジェリー・ディアス UNIFOR会長
(UNIFORは運輸、自動車、通信業界などを網羅した一般労組。組織人員30万でカナダ最大の一般労組となっている)
マイク・パレセック カナダ郵便労働者組合議長
ハーベイ・ビスショフ オンタリオ州中学校教員組合連盟議長
マーク・ハンコック カナダ公務員労組連合議長
ステファニー・スミス ブリティッシュコロンビア州政府職員労組委員長
リンダ・マックイグ ジャーナリスト・作家 トロント
ラウル・ブーバノ 「共通のフロンティア」計画ディレクター 
ミゲル・フィゲロア 「カナダ平和会議」議長
 以下略

変な記事があった。
日付は去年の7月30日、立憲議会の投票当日、混乱の極にあった日である。
記事が載ったのは長者番付で有名な財界紙「フォーブス」である。
Congratulations To Venezuela - The Human Development Index Is Up
というもの。訳すと「おめでとうベネズエラ 人間開発指数が上がったよ」ということか。


ベネズエラは、いまや経済的ににっちもさっちもいかない状態だと考えられている。
ハイパーインフレが襲っている。この1ヶ月で物価は50%上昇した。すべての人の体重が食料不足で減少した。子供は医薬品の不足から死にかけている。トイレットペーパー、ビール、ビッグマックは使い果たされた。

しかし、「国民よ心配するな。人間開発指数は上昇したのだ!」 そう報道されている。
いや、違う。これははるか遠いヨーロッパの左翼の連中の所業だ。
ベネズエラはその歴史において最も重要な時代にあります。
私は最初から、ボリバルの革命を重視し、連帯してきました。
過去20年間の社会的成果は疑う余地がありません。
これを証明するためには、「人間開発指数の進歩」に関する2016年版国連報告書を参照するだけで十分です。
レポートは続く。
2015年のベネズエラの人間開発指数は0.767でした。これは188の国と地域のうち71位、トルコと同格にランクされます。人間開発の分野で高開発国に位置する数字です。
1990年代から2015年にかけて、ベネズエラのHDIは0.634から0.767へと増加しました。増加率は20.9%にあたります。
1990年から2015年にかけて、出生時平均余命(平均寿命)は4.6年増加しました。平均教育水準は4.8年に上昇しました。一般教育年数は平均値で3.8年増加しました。
1人当たり国内総生産(GDP)は1990年から2015年の間に5.4%増加しました。
もちろん、この報告はいろいろな読みかたができる。

私の場合、最初は、それが本当に真実であったのか、今も真実なのかをチェックすることから始まった。
(しかしそれは事実だった)
つぎに私のしたことは、HDIはライフスタイルや経済管理を評価するために果たして適当な方法なのか、ひょっとして違うのではないかという違うことだった。
なぜなら、もし経済が誤操作の結果、自由落下している状況のもとでも、HDIが「状況は良好だ」というのなら、それは社会状況の測定システムとしては使えないことになるのではないか?
(しかしそれも事実だった)
HDIは「状況は良好だ」と言っている。
GDPがこれだけ明らかに失敗を示している以上、HDI指標はすべてたんなる憐憫にしか過ぎない。もしHDIが「ベネズエラはうまくやっている」というデータを出すのなら、その測定システムに誤りがあるとしか考えられない。

エディターさん、ご苦労さま。ご同情申し上げます。紛れもない事実を前に思い悩む姿が目に浮かぶようです。もう少し事実に対して素直になれば、楽になると思うのですが。

ベネズエラのアレアサ外相、国連で米国の干渉を非難
Venezuela's Arreaza Condemns 'US Interventionism' in UN Speech

2018年2月26日 teleSUR

「20年近くにわたり、我々チャベス主義者は外国人の介入勢力に嫌われてきた。我々が石油、ガス、金、希少金属、ダイヤモンド、水、肥沃な土地の主権を取り戻すことを熱望し続けているからだ」

ベネズエラの外交トップは、スイスで人権理事会会議に出席し各国高官に語りかけた。

アレアサ外相は言った。ボリーバルの言葉を引用した。「アメリカ合衆国は自由の名のもとに、南北アメリカ大陸に悲惨を広げることを望んでいる」と。

アレアサは述べた。「トランプ米国大統領がベネズエラを脅かしている、そして我が国への制裁を課し、マドゥロ大統領を打倒しようとしている」と。

「この人権理事会が戦争を起こしたい人にハイジャックされることは許されない」

アレアサはティラーソン米国務長官の最近のコメントを指摘した。その中で彼は公然と、ベネズエラの民主党政権の打倒を提案し、次の選挙の結果を認めないと述べた。

アレアサ外相は、「それはベネズエラが今年受けた105の国際的な言葉による攻撃のほんの一部に過ぎない」と付け加えた。

マドゥロは、野党が「平和のための対話」に参加するよう400回以上も呼びかけている。しかし、彼らはそうしなかった。そうしたくないからだ。
アレアサは強調した。
野党は、4月22日の選挙に参加することにも同意しなかった。その日は彼らの提案した日だ。

彼はさらに、米国政府を非難した
「ベネズエラに人道的危機がある」という話を世界に信じさせたこと。それは南米諸国への介入を意図したものだということ。
一方で、国連の独立人権調査官アルフレド・デ・サヤスの最近のコメントの意味を強調した。

先週、サヤスは「ベネズエラに人道危機はなかった」と述べた。
「もちろん欠乏、不安、不足はある。しかし何十年も国連で働いて、アジア、アフリカ、中南米の国々の状況を知っている人なら誰でもわかる。ベネズエラの状況は人道的危機ではない」
サヤ発言の詳細は下記をご参照ください
2017年12月25日 ベネズエラ:国連人権専門家の最新報告

アレアサはこう付け加えた。「にも拘らず、メディアの報道がベネズエラは破滅の危機にあると報道するのは、なぜか。それは、ベネズエラが経済戦争を仕掛けられているからだ」

そして「さらにベネズエラは金融封鎖、法外な密貿易などに苦しめられている。これらの問題を解決するために国際連帯が必要・不可欠だ」と述べた。

アレアサはまた指摘した。
「ベネズエラの人々は給与増や年金制度などの社会計画の恩恵を受けている。障害者には奨学金が渡され、失業率は6%に低下した。600万人以上の家族が“供給・生産地方委員会”の恩恵を受け、200万の家が分配された」

「ベネズエラは、人権擁護のために国連と協調している。他の国々は人権を軽視し違反している。
人権は神聖でなければならない。私たちはそれらに違反することはできない。なぜならそれは人類の防衛にとって不可欠なものだからだ」

(ベネズエラ連帯キャンペーン 18年3月1日)

「フェイク・ニュース」という言葉はドナルド・トランプのおかげで2017年に有名になりました。

しかしミスリードし、ミスインフォームし、アンダーインフォームする企業メディアのパワーはもっと深い根っこを持っています。
それはメディア自身とその強力な同盟者の利益を守るために発揮されています。

それがラテンアメリカに適用される時には、一般市民により深刻な影響を与えます。それが3つの国の事例で示されています。

ブラジル

ブラジルでは、民間ニュースメディアが、ディルマ・ルセフ大統領に対する2016年の反政府ラリーをことこまかに報道しました。

これには、世界で2番目に大きな商用TVネットワークであるO Gl​​oboも含まれています。

民間メディアと右翼は、「ブラジルの腐敗」という蛇の頭にルセフ大統領を乗せました。腐敗の疑いや捜査が行われていないにもかかわらず、彼女に「予算操作」というレッテルを貼ったのです。

大規模なデモンストレーションは、ルセフを解任するための不正な弾劾行為に対して強力な政治的支援を提供しました。

テメル副大統領は選挙の洗礼を受けることなく大統領に就任しました。そして大衆の支持がない強硬な緊縮策が迅速に設定されました。

ルセフ糾弾デモとは対照的に、何百万人もの労働者の支援を受けて、2017年4月に全面緊縮策に対するゼネラル・ストライキが発生したとき、メディアの報道態度は変わりようがありませんでした。

報道されたことは、ストの規模の大きさではなく、むしろ「デモンストレーション、抗議、破壊行為」でした。

労働総同盟のスポークスパーソンは語っています。
「ストライカーとデモ参加者は決してインタビューを受けることはなかった。ゼネラルストライキの目的についての議論は決して聞かされなかった。主流メディアは、明らかにストライキは信用できないという報道傾向を持っていた」

同時に、ブラジルの私営メディアは、2016年9月にテメルがルセフの解任を承認した理由を無視しました。

テメルは、米国のビジネスリーダーや外交政策の専門家との会合に向けて語っています。

それは民営化へのルーゼフの反対と、彼の党とその大企業の支持者によって強要された弾劾でした。「予算犯罪」とはおよそ無関係の理由でした。

最近これらのメディアと右翼勢力は、10月の次期大統領選挙でルーラ元大統領の再立候補を阻止しようと必死です。

ルーラの顧問弁護士はこう語ります。

「ルーラや支持グループに関する報道には、根拠のない情報漏れが絶え間なく続いている。これらの情報はどれも証明することはできませんが、その人が有罪になるまで、報道に何度も繰り返し現れます」

ホンジュラス

ホンジュラスでは、2009年に、軍事クーデターでマヌエル・ゼラヤ大統領の進歩的民主主義政権が覆されました。

大資本所有のメディアは、クーデターと結合し好意的な広報とサポートを提供しました。

このクーデターは、ラテンアメリカ、EU、米州機構その他の地域ブロック、各国政府によって広く非難されました。

対照的に、米国では、バラク・オバマとヒラリー・クリントンはこの政治危機を軍事クーデターと呼びませんでした。

その後の選挙では、メディアの沈黙と、野党指導者を対象とした投票前の暗殺が実行されました。

国際機関は選挙を監視していません。

今日のホンジュラスのニュースメディアは、依然として強力なビジネスエリートの手に集中しています。

コミュニティのラジオ局の地位はあいまいで、特に野党の意見を報道するときにはみずからを危険に晒すことになります。

国境なき記者団は次のように報告しています。

「ホンジュラスではさらにプレスの自由度が低下している。
 ジャーナリストは、2014年1月以来、フアン・オーランド・ヘルナンデス大統領の下で恐怖と自己検閲の雰囲気が強まり、不法捜査、暴力、殺人の対象となり続けている」

昨年12月、ドナルド・トランプ氏は、選挙詐欺の多くの疑惑にもかかわらず、勝者として、保守派で親米のヘルナンデスを承認しました。

そうした中で、彼は選挙監視団の調査結果を無視し、米議会有志議員と「独裁政権に反対するホンジュラス同盟」によるやり直し選挙の求めを無視します。

言うまでもなく、フォックス・ニュースはエルナンデスを支持する物語を提供しました。

しかし「エコノミスト」誌(保守系)さえも、選挙前の投票談合計画とヘルナンデス賛成票の積み増しの両方を報道しました。

「エコノミスト」はこう書いています。
「国の最高選挙裁判所(TSE)が公表した結果には、依然として説明できないほどの投票終了の遅れがあった」

ベネズエラ

ベネズエラでは、強力な民間企業が報道メディアを支配し、ニコラス・マドゥロが率いる現政権に対して積極的に政治介入を行い、将来のクーデターのための条件を作り出そうとしている。

1998年のウーゴ・チャベス選挙の4年後、アメリカと同盟関係にあるビジネス・エリートの敵意が激化。2002年にはクーデターを開始した。民営メディアは全面的に支持した。

国際的な報道機関は、情報源を地元ジャーナリストに依存していた。そのため、世界中のメディア報道が歪曲させられた。

英国では、主流メディアが1998年以来のチャベスの成果についてはほとんど報告しておらず、抑圧された人々が権威主義的な軍事指導者に立ち向かう物語として安易に受け止められた。

英国の企業メディア報道には、チャベスに「民主主義者というよりは独裁者」とか「遊び場のいじめっこ」というレッテルを貼るなど、不正確で誤った特徴づけが数多く含まれていました。

クーデターの2日後、民衆的に選出された大統領として人気のある蜂起がチャベスを元通りにしたが、右派野党の物語は持続し、国際メディア、特に米国で増幅されました。

過激な野党の指導による暴力的な抗議は、2014年には40人、2017年には120人以上が死に至りました。

主流の国際メディアの多くの特徴は、犯罪的な放火、バリケード封鎖、看護師や病院への攻撃などを無視しており、これらの死者は非常に多くなっています。

すべて人生の喪失は悲劇です。責任者は説明する必要があります。ベネズエラ政府は、治安部隊員が不法殺人犯の加害者と疑われたり、積極的に特定された例を認定しており、逮捕や起訴は既に行われています。

それにもかかわらず、国際メディアが提示した印象は、ベネズエラの暴力は、極端に偏った政治的格差の片側のみに由来しているように描き出します。
国際的な非難を何ら受けずに暴力を使うベネズエラの右翼の過激派分子には青信号が灯されています。

ニュースのストーリーは、各派の利害を理解しつつ注意深く読む必要があります。

主流メディアの歪んだ抑圧的な物語は、ベネズエラ、ブラジル、ホンジュラスなどのラテンアメリカ諸国の社会正義のために苦労している人々を傷つけ、強力な人々の特権を維持しようとしています。

したがって、これらの闘争の実態を理解し、それに根ざした国際連帯の構築がより重要でしょう。

大阪AALAでのベネズエラ大使の講演内容です。新藤さんの配信を転載します。


大阪アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(Osaka AALA)主催

「ラテンアメリカとカリブ:危機の時代の機会と課題」シンポジウム

セイコウ・イシカワ大使講演

大阪 2018224

 

敬愛する大阪AALA理事長及び友人の皆さま、

カルロス・ミゲル・ペレイラ、キューバ大使及び私を、この貴重なシンポジウムにお招きいただき、ラテンアメリカの最近の情勢を共に語りあい、友好と連帯を祝うことを主催者の皆さんに感謝します。このシンポジウムは、特にベネズエラと日本の国交樹立80周年と、わが国への日本人移民開始90周年の機会に行われています。

 

来る35日は、ベネズエラにおいてはわれわれの最高司令官のウーゴ・チャベス・フリアス没後5周年を記念して祝います。したがって、今日のこの集会は、人類と社会的正義の遺産を思い出し、祝福するための絶好の機会となります。

 

ボリーバル革命に対して継続される攻撃

l  ウーゴ・チャベス・フリアス(Hugo Chávez Frías)司令官が、1998年に政権につき、その後透明性のあるいろいろな選挙に勝利して以来、ボリーバル革命は政治的・外交的・経済的、そして特にメディア、といったあらゆる角度から絶えず計画的で、系統的かつ継続的な攻撃にさらされてきています。

 

l  長年、一連の事件が起きてきました。アメリカ帝国が、米国を支配するグローバル企業グループの指示のもとに行動し、当初は隠蔽されたあらゆる干渉行動を実施してきたことの全容と詳細は、恐らく世界中で知られておりません。その目的は、ベネズエラ・ボリーバル共和国の合法的かつ主権ある政権を打倒することであります。最初は2002年にウーゴ・チャベス・フリアス大統領を拉致し、2013年以降は継続的にニコラス・マドゥーロ大統領の合法的政権に対して、そうした行為を行っています。

 

ベネズエラは脅威なのか?

l  多くの人が、同じ疑問を頭に浮かべます。「なぜベネズエラを攻撃するのか?」。オバマ大統領行政命令は、ベネズエラは、アメリカ合衆国にとって異常で異例の脅威であるとしていますが、ベネズエラは他の国々にとって脅威なのでしょうか。ベネズエラのような国が米国のような余大国を脅すなどというばかげたことが、信じられるでしょうか?

 

l  ベネズエラには大量破壊兵器はないし、どこの国にも軍事基地を所有していませんし、どの国も爆撃したことも侵略したこともありません。19世紀に解放者シモン・ボリーバルが率いる部隊がスペイン植民地帝国から独立するために戦っていたコロンビア、ペルー、エクアドルとボリビアの国民とともに闘うために赴いたことがありますが、歴史を見てもベネズエラの軍は、兄弟国を守るためにしか国外に出たことはありません。ベネズエラは、平和主義の国であり、憲法は、目的の中に国家間の平和協力と核軍縮を明白に定めています。ベネズエラは原爆と水爆の存在が意味する危険に対する唯一の保障である核軍縮を擁護しています。

 

l  さて、米国の利害について語る際には、中でもベネズエラが持つ世界有数の石油埋蔵量とベネズエラの地政学的位置に触れることになります。最重要な2つの戦略的ファクターであり、社会主義国であると明確に認識していること、愛国的政権であることが、アメリカ帝国の懸念するところになっているのです。愛国者であるウーゴ・チャベスとニコラス・マドゥーロは、わが国の主要な天然資源である石油の所有権を行使するにあたり民族的な政策を維持してきました。しかし、それだけでなく、OPEC(石油輸出国機構)と団結する政策を推進してきました。ヘンリ―・キッシンジャーの時代からエネルギーの大量消費国は、OPECを破壊しようと策略を図ってきました。そして、もうすぐ目的を達成できる、という時期にウーゴ・チャベスが、世界の石油舞台に登場し、大量消費国に追従する諸国が奉仕していた計画を挫折させたのでした。

 

l  一貫した社会主義者であるチャベスとマドゥーロは、所得の分配に関するいろいろな政策を適用しました。それは、もはやベネズエラの特権層を豊かにするのではなく、ベネズエラ国民の生活条件を継続的に改善するためのものでした。

 

l  ボリーバル革命は、ベネズエラ住宅計画(Misión Vivienda Venezuela)によって立派で設備を備えた家を与え、約200万世帯の尊厳を回復しました。市民の治安組織を強化し、全国民に対して例外なく推進してきました。すなわち、無料の初等、中等、大学教育、キューバ共和国との二国間協定に基づいた支援を得ての無料医療、研究奨励策としての奨学金、高齢者に対して物価スライド制による年金の増額、国の機関や国営企業での市民の労働賃金の増加、共同体が主導しての食料供給・生産についての地域共同体評議会制度の導入、そのための中央政府の確固とした支援、ベネズエラ全国に及ぶ住民自治組織と住民自治評議会のネットワークの拡大、様々な文化集団に対する支援など、国民の過半数の条件改善を目指す、枚挙にいとまがないほどの活動を実行してきました。しかし、エリートや経済力のある人々の集団は、こういう活動をよく思わず、食料と医薬品のテーマについては、特にコロンビア共和国との国境地帯において一時的な供給不足や危機を作り出して、頓挫させようとしてきました。

 

l  ベネズエラ政府の特徴である、ベネズエラ国民の物質的条件の改善と主権を重視する政策によって、ベネズエラは、国の富によるのではなく、ボリーバル的不屈の精神によって強い国になりました。

 

l  しかし、ベネズエラの国の利益に関わる政策の他に、ウーゴ・チャベス司令官は、アメリカ大陸統合の種を文字通り蒔き、水を与えました。アメリカ大陸の統合は、ボリーバルの時代以降、休眠状態になっていました。こうして多中核的・多極的世界の実現に貢献するためにALBA(米州ボリーバル同盟)、Petrocaribe(ペトロカリブ)、UNASUR(南米諸国連合)、CELAC(中南米・カリブ海諸国諸共同体)が生まれました。チャベスの指導力のもとで、ボリーバルは、崇拝対象の遺物ではなくなり、新たに現実の命を獲得しました。これらの計画は、的確で非常に示唆に富んだ計画であったと同時に、具体的な行動でもありました。「われわれのアメリカ」は、再び孤立した個別の国、存在するだけで満足する国ではなく、団結が代表する巨大な潜在能力を益々自覚し、またみずからの国土も、また主として国民の想像力も宿している印象的な富を益々自覚した国と変わりつつあるのです。

 

反ベネズエラの同じ戦略の中での様々な戦術、

l  1999年以来ベネズエラが被っている様々なハラスメントは、ウーゴ・チャベスが死去した2013年以降、またその後2015年に野党が立法府で勝利してから激しくなっています。ここ20年間にベネズエラは、様々な形で攻撃を受けました。それらは、クーデター、石油スト、殺人と絡めた暴力的過激行動、政治裁判の試み、組織的な品物の供給不足と買占め、OAS(米州機構)やメルコスール原加盟国(メルコスールをベネズエラ迫害組織に換えた)など多国家機関の絶えざる干渉的表明、また米国による制裁や干渉的な脅迫です。

 

l  問題は、南米地域の他の政権と違って、エネルギー資源をものにすることが大国の行動日程に入っているという地政学的状況下で、外国企業による石油産業の全面的管理(おまけに世界有数の確認済み石油資源を不法に占有しようとしている)を受け入れない政権を終焉させようとしていることです。

 

l  米国政府の政治・情報機関が、在カラカス大使館を隠れ蓑に、NGO(非政府組織)を通じて種々の行動に資金を提供し、指導してきたことは火を見るより明らかです。こうした地政学的行動からは、カリブ・南米・ラテンアメリカの国であるベネズエラ(「われわれのアメリカ」における典型的な地政学的性質です)を再び自国の権力下におこうという絶望的かつ誤った意図が垣間見えます。天然資源、特に石油・石炭エネルギーやウラニウムに加え鉄、ボーキサイト、コルタン、金その他ほぼ無尽蔵の既存資源に対する覇権を維持しようとしているのです。

 

l  レックス・ティラーソン米国国務長官は、20171月にシンクタンクLatin America Goes Globalのインタビューで、ベネズエラの体制転換への支援を確認しました。同長官は、マドウーロ大統領のチャベス派政権を交代させるたに地域の右翼政権や組織とともに努力する、と語りました。

 

l  南方軍司令官のカート・ティッド提督は、20174月の米国上院軍事委員会に対してベネズエラの深まりゆく「人道的危機」が「最終的に地域レベルでの対応を要求するかもしれない」と断言したことを忘れてはなりません。

 

l  2017年ベネズエラの野党が招集し、鼓舞した抗議行動の間に無責任な野党のせいで100名を余える死者が出ました。暴力が激化し、経済戦争が相当数の国民の苦しめていたなか、組織的な集団が連続的テロの状況を作り出し、統治不能で人道的支援と介入を必要としている状況を世界に見せようとしました。

 

l  ベネズエラの変革プロセスに対する国際的圧力が強まる中、米国の南方軍は、ベネズエラ周辺地域で様々な「活動」を展開しました。中でも際立ったのがTradewinds 2017(ベネズエラ沿岸の正面で行った軍事作戦)、最近ペルー、ブラジル、コロンビア三カ国のアマゾン三地域国境地帯で行った「Operación América Unida」(統一アメリカ・オペレーション)と称する軍事演習、また、20162月にホンジュラスにあるPalmerola(パルメロラ)基地からベネズエラを進攻する目的で準備したFreedom II作戦です。

 

l  南方軍のカート・ティッド提督は、10月にはっきりと、こういいました。「10年間挑戦をしてきた反米体制は崩壊しつつある。ベネズエラにおける民主主義に対する継続的な攻撃は、われわれの共有する価値を防衛する国々を結束させた」。ベネズエラの問題は「反米」の立場であることが明らかなのです。換言すれば、世界最大の石油埋蔵量を持つ国において社会・経済・政治秩序が提起している変革の過程は、米国と「西側社会」が推進する自由市場の民主主義に合わないと考えているのです。

 

l  しかし、米国がベネズエラ周辺地域で軍事的プレゼンスを持ち、常時監視しているだけでは不十分なのです。したがって、1113日にEU加盟国の外相たちは、ニコラス・マドゥーロ政権に「法の支配と民主主義」を強化するよう圧力をかける「規制手段」と考えるものの一環として、ベネズエラに対する武器輸出禁止策を承認したのです。

 

l  実際には物質的・象徴的に見てこの禁輸措置は、ベネズエラが「孤立し」、「包囲されて」おり、変革過程は「失敗した」という誤った印象を与えようと国際社会が講じて来た一連の政策に新たに加わったものです。具体的な例としては、マドゥーロ大統領に対して米州民主主義憲章を適用しようという強迫観念に駆られたOAS(米州機構)のルイス・アルマグロ事務総長主導でベネズエラに対して長年行ってきた運動があげられます。これらの「手段」は、経済戦争においては、包囲という不可欠の手段なのです。

 

l  このことは、むしろOASのいくつかの加盟国によるOAS民主主義憲章の原則の違反にあたります。不思議なことにこれらの国々は、いかなる加盟国の国土が侵害された場合にも適用されるべきTIAR(米州相互援助条約)の精神に違反しようとしているのです。これは、OASの最高責任者による法律上、また、客観的にもあらゆる法的秩序からOASが外れた行為なのです。

 

l  ティラーソン国務長官は、2月のラテンアメリカ諸国歴訪の際、この地域におけるベネズエラの役割を崩そうと願って、当面の地政学的目標を探しました。歴訪中にティラーソンが、「リマグループとOAS を通じてベネズエラに民主主義を復活させるために」、地域の諸国で行った会談について述べたことを考慮すると、もし仮に民主主義憲章適用の是非を問う投票が行われたならば、OAS内でベネズエラを制裁するのに必要な票数を確保する上で基本的に重要なのがカリブ諸国であることが理解されます。昨年OASにおいて、正にカリブ海の同盟国がベネズエラを援護して、米国は敗北したことを思い出すべきです。

 

l  ティラーソン国務長官が、右翼政権諸国のカルテル、自称リマグループを利用してベネズエラに対し、来る4月にリマで開催される米州首脳会議において、ベネズエラ政府を孤立化させ、連携して圧力をかけることを期待していると結論づける証拠が多数あります。

 

l  213日に米国と密接な同盟関係を形成している国々が合意した米州首脳会議における反民主的なベネズエラ排除は、各国元首と政府首班による議論や決定の水準まで上げられていないので、現在有効な基準には違反しており、失敗する方向に向かっています。

 

l  ティラーソン長官は、更にベネズエラ紛争で道が開かれるような新たな図式の中でモンロー主義を蘇らせようとしています。この主義を蘇らせたティラーソンによれば、ラテンアメリカにおける中国とロシアのプレゼンスが「欧州植民地主義」を思い出させ、それを口実に米国政府は、膨張政策を用いて西半球を米国の地政学的・軍事的・経済的後衛にしようとしています。ティラーソンは、中国とロシアが、彼の基準では「警戒すべき」「憂慮される」影響力を、有名な「裏庭」にたいして一層行使するのではないかという懸念を表明しています。

 

l  一部の覇権的メディアにより、ベネズエラが債務不履行(デフォルト)に陥るという推測が流されました。これを後押ししたのはStandard & Poor’sのような国際的格付け会社の表明でした。しかしながら、ベネズエラ政府は、すべての金融債務を債権者に返済し、2017年と2020年までの国債を保障しましたので、2017年現在のすべての債務は返済されています。更にベネズエラ政府は、債務のリスケを予定しています。2018年には他の約90億ドルの国債の支払いをしなければならないからです。米国が科した最近の経済制裁は、ベネズエラでは大統領選挙が行われる年であることから、国際機関が米国の圧力のもとで債務のリスケを阻止、あるいは少なくとも邪魔をするかもしれないことを示しています。

 

制裁、さらに制裁

l  国務省ができる範囲内で「ベネズエラの状況に対処する」ために、「あらゆる経済的・政治的・外交的手段」を駆使する論理で、ベネズエラ経済に「悲鳴をあげさせる」目的で、米国による経済制裁は位置付けられています(サルバドル・アジェンデが率いる人民連合政権を懲らしめるためニクソンは、チリ経済に対して制裁を行うよう頼んだのでした)。このように、15日米国財務省は、海外資産管理局(OFAC)を通して、ベネズエラの4名の高官に新たな制裁を科しました。

 

l  数週間後の122日、EUが米国の政策に加わり、ベネズエラ社会主義統一党(PSUV)副党首デイオスダド・カベジョ、最高裁判所長官マイケル・モレノ、内務・司法・平和大臣ネストル・ㇾベロ、ベネズエラ・ボリーバル国家情報局長官グスタボ・エンリケ・ゴンサレス、全国選挙評議委員長テイビサイ・ルセナ、検事総長タレク・ウィリアム・サアブ及びベネズエラ国家警備隊元長官アントニオ・ホセ・べナビデス・トレス、といったベネズエラ政府のその他の高官に対して制裁を科しました。

 

l  制裁内容は、これらの人物の資産凍結及びEU の全加盟国への入国禁止です。これらの制裁に加えて、201711月以降EU が課した武器輸出禁止、「国内の抑圧に使用」できるかもしれないあらゆる物質の輸出禁止が加わりました。更に米国政府がPDVSA CITGOといったベネズエラの石油会社と米国におけるその子会社の役員と企業に対して、以前述べた制裁も加わります。

 

l  最近、マイク・ポンぺオCIA長官が、トランプ宛に政治的、経済的面について多数の報告書を作成したことを明かしました。それらの報告書が、ベネズエラ中央銀行(BCV)や国営石油公社(PDVSA)が新規に発行する債券所有を禁止した制裁のベースになりました。

 

l  ラテンアメリカについては、太平洋同盟加盟国の大統領たちが、カルテル、リマグループを結成して、ベネズエラ政府に対する執拗なハラスメントが継続しています。リマグループとして、あるいは個人として、メディアを通じて、ベネズエラが「自由、民主主義、法の支配と人権の尊重を回復し、ベネズエラ国民に悪影響を及ぼし、苦しめている深刻な経済的・人道的危機を克服する」必要性について、繰り返し公言しています。また、アルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領も、最近行ったEU歴訪中に同様の意味の声明を出しました。この筋書きは、ラテンアメリカやヨーロッパの著名な元大統領たちが参加し、これらの声明を補強し、OAS に対し米州民主主義憲章を適用するよう執拗に申し立てるというものです。

 

l  今述べたあらゆる行動や声明と並行して、Human Rights Watchのような一見進歩的な人権擁護団体やシンクタンクの報告書が、「中立性」を装って刊行されています。これらのアナリスト達は、以前に述べた内容と軌を一にして、「体制転換」に向けて圧力をかけるためにベネズエラにおける「人道的危機」、「人権」の弱体や「民主主義」の不在を議論しています。数か月前にベネズエラの選挙の前倒しを要求していた人々が、今度は2018422日の大統領選挙実施を拒否しているのです。 

 

l  ドナルド・トランプ大統領は、最近の一般教書で「私の政権もキューバとベネズエラで共産主義と社会主義の独裁に厳しい制裁を加えた」と断言しました。

 

l  ドナルド・トランプは、ベネズエラ経済を攻撃目標にした行政命令(オバマ大統領が前に出した条例を継続して)を発令しました。詳細に読めば、ベネズエラが、米国にいるベネズエラの友人と関わりを持つことを阻止すると同時に、対外債務の返済や対外債務への新たな資金供給の可能性を規制しようという意図した、明白な妨害行為であることが分かります。

 

l  国際金融システムの大半は、近年ベネズエラの金融活動に対する封鎖体制を進めてきました。つまり、いろいろなベネズエラ国内機関(公的及び私的)によるベネズエラへの輸出業者への支払い、入金、送金、投資案内の管理、債務返済、国際的な資金源へのアクセスを制限しているのです。ベネズエラに反対して銀行のコルレス(代理支払い)契約が、一方的に相次いでキャンセルされました。PDVSAが発行した債券の支払い代理店であるデラウェアは、20177月から同銀行の米国にあるコルレス(代理支払い)銀行が、PDVSAからの資金の受け入れを拒否すると連絡しました。一方ポルトガルのノボ銀行(Novo Banco)は、20178月に仲介業者が封鎖しているためベネズエラの公的機関によるドル建ての業務はできない、と通知してきました。ベネズエラ債権のかなりの部分を保管しているベネズエラの国債のかなりの部分を管理しているユーロ・クリアー(Euroclear)社は、「見直し」の過程にあるかなりの額の保留国債の取引を留保しています。それは、OFAC の圧力によるもので、12億ドル余となります。ベネズエラと提携しているチャイナ・フランクフルト銀行(Bank of China Frankfurt)は、カナダの鉱業会社Gold Reserveに対する1500万ドルに上る債務を支払を履行することができませんでした。

 

l  食料及びその他の基本物資の輸入支払いが、封鎖を受けています。例えば11月の第三週には食料の代金支払いに向けた23余の業務で3,900万ドの支払いが返金されました。といいますのは、輸出業者の仲介銀行が、ベネズエラからの資金を受け入れようとしなかったからです。似たような状況が、クリスマス用品の買物、医薬品(インシュリン、マラリア治療薬)、種子、ベネズエラのスポーツ選手の移動(ウエルズ・ファーゴ銀行Wells Fargoが業務を阻止しました)、通信(オランダ・ラボ銀行Rabobankが、送金名義人がOFACの制裁対象であるとして国際通信社テレスルTelesurの運営のための支払いを拒否しました)でも起きました。

 

l  トランプ政権は、ベネズエラ経済にとって石油輸出が戦略的価値を持つことを認識して、ベネズエラに対し石油禁輸措置の適用を考えています。公式には最初この考えは、昨年9月に米国の国連常任代表、ニッキー・ヘイリー大使から出されました。2月、ティラーソン国務長官がアルゼンチン訪問時に、「米国における石油の販売やベネズエラ製品の精製に制裁を加えることをわが国は考えている」と述べました。

 

カリブ海においてベネズエラの石油に対抗する米国

l  経済戦争は、エネルギー分野に対する圧力も含まれます。周知のように、ベネズエラは、2005年にペトロカリブ(Petrocaribeカリブ石油供給協定)の創設を推進しました。このイニシアティブには、カリブ15カ国余が加盟し、ベネズエラがこれら加盟国に助成価格で石油を販売し、支払いにも便宜を図る、という形で協力しています。問題は、ベネズエラから見れば、同盟国のエネルギー安全保障を確固なものにして、その発展を保障し、それまでとは異なる地政学上の協力の基礎を築いていることです。

 

l  米国は、伝統的に米国の影響下にあったこれらの小さく経済力が脆弱な国にとって、関係を多角化し、より自由に行動できるようになる通商協定を実現することは戦略的な意味をもつことを認識していました。それゆえ、バラク・オバマ大統領の政権時からPetrocaribeから石油を調達するのを止めて米国との新しい同盟国から調達するよう、カリブ海諸国に対し圧力をかけました。米国は、ベネズエラの対外政策の支柱の一つを壊そうとしたのです。このようなことから、20151月に米国は、CELAC(中南米・カリブ海諸国諸国共同体)の第三回首脳会議開催に合わせて、カリブ諸国を招集して会議を行いました。その会議の後、4月にCESI(カリブ・エネルギー安全保障イニシアティブ)が、設立されました。米国は、石油価格下落後ベネズエラが、経済危機に陥ったことを、またそれがペトロカリブの協力関係に影響を及ぼし得ることを利用して、カリブ海の島嶼国を自らにひきつけようとしました。Petrocaribeが不安定である、という考えは、Atlantic Councilのような米国のエスタブリッシュメントの複数のシンクタンクが事前に研究しており、2014年にはUncertain Energy: The Caribbean’s Gamble with Venezuela(不確実なエネルギー:カリブ海によるベネズエラへの賭け)というタイトルの報告書が公表されました。

 

l  米国の更なる戦略は、エネルギーの代替をアピールするものでした。表面的に環境保護を唱える議論の裏には、カリブ海のような米国にとって地政学戦略的に重要な地域において、ベネズエラの影響力をくつがえそうとする地政学的な議論が隠されています。この文脈において、昨年1115日に米国国務省は、「カリブのエネルギー多角化を支援する」ために430万ドルを供出すると発表したことが理解されます。この発表が、「米国・カリブ海の繁栄に関する円卓会議」の枠組みでなされ、資金は、CESIの推進とカリブのための2020年戦略のために役立てる、といっていることを強調することは、重要です。この計画には、国務省のエネルギー資源局、米国開発庁(USAID、近年類似の諸計画を既に持っている)と海外個人投資会社(OPIC)が参加しています。国務省自体の説明によると、その仕事は「エネルギーに関する技術援助、計画準備のための補助金、企業にとって新規機会並びに世界で競合できる米国エネルギー輸出」をもたらすことです。

 

 

干渉の可能性

l  こうして、都合により合同で、または単独で実行する様々な規模や戦略が、明らかになりました。すなわち、国際機関や外交を通じた政治的圧力、経済的圧力、破壊活動、市街での暴力的なシナリオの構築、軍部による決起の誘い、「不安定性が高度になった」場合での介入の脅迫(これは南方軍の役割でしょう)です。これらすべてに、国際報道が付け加わります。実際、英語メディアや、スペインにある大手メディアでベネズエラに関して偏った(悪い方に)報道をしないものはありません。世界の世論に干渉者側の表現(「人道的危機」「警察国家」「麻薬独裁体制」)を売り込むのは、報道企業のできあがった確認されている戦略なのです。ますます、追いつめられた無法の、破産した国家であると語るのです。すべては、ベネズエラが直面している「人道的危機」について、同意を得るためであり、そのことにより、様々な種類の干渉を正当化できるからです。

 

l  今述べたことに、ラテンアメリカ地域における米国軍のプレゼンスが増していること、最近カート・ティッド提督がコロンビアを訪問したこと、コロンビアとブラジルに駐屯していた複数の部隊がベネズエラとの国境地帯に移動したこと、他方ではベネズエラ移民の問題で悪印象を与えようとしていることを勘案しますと、最小限の口実でベネズエラに軍事介入するための完璧なシナリオが作られつつあるように思われます。後は挑発することで、虚偽であってもいいのです。コロンビアからの偶然の攻撃か、ベネズエラ国内での何らかの暴力行為か、それが、ラテンアメリカの1カ国または複数の国の軍隊の干渉を正当化する、というもので、そのことにより、米国南方軍が何らかの形で介入する状況が作られることになるのです。

 

l  先週、ベネズエラのネストル・ㇾベロル(Néstor Reverol)内務・司法大臣は、コロンビア陸軍が150名以上のベネズエラ人を徴兵したことを非難しました。これは、彼らにコロンビアの身分証明書を迅速に供与して、彼らに反コロンビア行動を行わせ、ベネズエラ=コロンビア国境地帯で偽の身分証明書であることが暴露される事件(虚偽の身分証明書をもった行動)をでっちあげるためです。 

 

制憲議会

l  国内外の構成員を使った帝国主義の攻撃が、強まるなか、ニコラス・マドゥーロ大統領は、201751日に国の平和と対話のための制憲議会選挙を招集しました。大統領直属の委員会が設立され、選挙基準案を策定し、地域別と分野別の投票を決定しました。制憲議会を招集する決定は、ベネズエラのテロリスト野党が引き起こした紛争と暴力のただ中で、高級の対話を行うことを提起したものです。日常的な厳しい批判という困難を解決し、わが国における経済、政治、社会モデルにおいて構造的な矯正を実現するために、制憲議会は必要な場なのです。

 

l  昨年730日に制憲議会の選挙当日、多数の国民の投票行動を困難にしたのは、暴力行動でした。問われていたのは、マドゥーロ大統領の政権が、2015年に投票しなかった200万人の一部のチャベス派を取り戻せるかどうかでした。しかしながら、攻撃と暴力が、チャベス派=マドゥーロ派及び批判派を制憲議会に関わって団結させるにいたったのでした。その時、選挙キャンペーンは、平和の呼びかけが設定されました。制憲議会により、議員たちが属する分野や地域に基づいた提案をもった、新たな基礎的指導層が出現したのです。

 

l  制憲議会が成立して以来、ベネズエラは、平和への道のりに戻ることができました。われわれは、国に対する極右分子が行う暴力による不安定化キャンペーンを打ち破りました。それは、彼らが外国の介入とニコラス・マドゥーロ共和国大統領に対するクーデターを正当化する計画を、再活性化しようとするものでした。

 

l  制憲議会は、本来、国民に存する権力を解き放ち、今やベネズエラ社会の重要な仲介者としての役割を果たす構えでいます。制憲議会は、最も多様な民主主義を現実的に行使するという精神を常に持ちつつ、論争に終止符を打つためには、欠かせない場なのです。国は、引き続き、他の各権力とその機関の権限と相互依存性を尊重しつつ、これまでの道を進んでいます。

 

l  全国選挙評議会の規定に沿って、選挙日程が決められました。ベネズエラでは7月末から1210日までの間の140日間に3つの選挙が実施されました。制憲議会選挙、県知事選挙及び基礎行政区選挙です。これらの三つの選挙で、チャベス派は、再評価され、再び選挙での力を増し、明白な勝利をおさめました。

 

l  10月におこなわれた県知事選挙は、投票率は54%で、チャベス派は54%の得票率を確保しましたが、野党は得票率45%でした。国内23県のうち18県でボリーバル革命が認められました。

 

l  基礎行政区選挙には、70余の政党が参加し、チャベス派は、6,517,605票(得票率70%)を獲得したのに、野党は2,749,778票(得票率29%)を得票しただけでした。ボリーバル革命は、305の基礎行政区長(92%)を獲得、野党は25の基礎行政区長(7%)、その他の政党が5の基礎行政区長(1%)を獲得しました。

 

l  同様に、来る422日に大統領選挙が招集され、12政党が候補者を出します(224日現在)。ニコラス・マドゥーロ大統領は、最近開催されたPSUV(ベネズエラ社会主義統一党)の全国大会においてチャベス派の候補者に任命されました。

政府と野党の対話

l  前述した判断材料を見れば、ドミニカ共和国における野党とベネズエラ政府の対話の場を崩そうと急いだ、米国とコロンビアの寡頭政治支配者の行動を理解できます。もし、両者が既に用意し、双方が承認していた合意書に署名していたならば、ベネズエラに対する介入の陰謀が少なくともしばらくの間は停止することになるはずですから。

 

l  2017年末、マドゥーロ大統領が推し進め、ダニロ・メディーナ(Danilo Medina)ドミニカ共和国大統領が後援者となり、スペインのホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテーロ(José Luis Rodríguez Zapatero)元首相が仲介者となり、ドミニカ共和国で政府と野党間の対話が行われました。フリオ・ボルヘス(Julio Borges)を団長とするベネズエラ野党代表団が、合意書の作成を作業しました。いつものように、ボルヘスは、様々な国や国際機関に対して、一方で対話を肯定しながら、他方で経済封鎖を更に厳しくし、制裁を拡大し、ベネズエラの内政に外国が介入するよう求めました。

 

l  このような状況を前に、サパテーロ元首相は、公開書簡によって、マドゥーロ大統領側は既に合意を果たしており、野党には最後の瞬間に態度を変えて攻撃するのではなく、これまで形成してきた合意を尊重するよう主張しました。結果として、ボルヘスは、何度も矛盾する表明を行ったあと、ベネズエラ全国選挙評議会により行われた選挙の呼びかけを拒否しました。ところが、この同じ評議会が、数度の選挙で野党が勝利したことを承認しているのです。

 

ベネズエラの同盟国

l  ベネズエラが国際的に孤立しているという考え方を押し付けるのは、基本的に、強力な経済権力に結びついたメディアによるプロパガンダによるものです。これらのメディアにとって、国際システムは、西側の中心的な大国の存在に限定され、中華人民共和国、ロシア連邦、インド、ブラジルなどのすべての新興国は無視されているようです。しかし、これはBRICSに限ったことではありません。ウーゴ・チャベス元大統領は、ベネズエラの外交政策を、ベネズエラの二国間関係においても多国間関係においても、また、影響範囲の多様化においても、それまではベネズエラ外交が開拓していなかった国や地方まで展望を広げました。その結果、ベネズエラ国家は、過去10数年間、国際的に第一級の積極的で精力的な国になりました。OPECの交渉においては、世界の確認済石油資源の主要な保有国として中心的な役割を果たし、国際的な反帝国主義の基準にもなっているという特徴からも、国際的孤立という図式は、偽りであることが分かります。

 

l  事実20169月から2019年までベネズエラは、NAM(非同盟諸国運動)の議長国を務めています。ベネズエラは、初めてこの国際組織の責任を負っていますが、海外で国が、大いに問題視されている時期だけに、大きな象徴的意味があります。また、ベネズエラは、2017年からカリブ諸国連合の議長国でもあります。

 

l  ボリーバル革命に対して虚偽の証言がなされたり、国内政治に不安定化が誘引されたりしても、それにもかかわらず、ベネズエラは、ここ重要な数カ月間に中国やロシアといった大国と通商協定に調印しましたし、これらの国の政治的支援を受けています。ロシア企業は、米国による制裁が行われているさなかに、PDVSAに前払いをして支援しています。

 

l  ベネズエラの変革プロセスに対して、日々軍事・政治・経済及びメディアによる包囲が行われており、包囲の当面の目的は、ベネズエラは孤立しており、強力な同盟国がなく、「出口が無い」という考え方を植え付けることです。しかしながら、ベネズエラ国民は、強さと自尊心があることを見せています。それは、去る7月の制憲議会選挙と2017年の県知事選、基礎行政区選での国民の参加に示されました。一方ベネズエラ政府も、引き続き、国際的な同盟を強化しています。包囲は現実にありますが、失敗しています。新自由主義のメディアの予測に反して、ベネズエラ国民が変革プロセスの強化を目指しているという「想定外」の現実がありますが、そのことは、来る422日の大統領選挙で再び示されることでしょう。

 

結論

l  帝国主義はベネズエラに対する干渉の水準を高め、ボリーバル革命への攻撃を強化するための条件を作り出そうとし、合法的なマドゥーロ大統領政権を不安定にし、「体制の転換」を招こうと企図しています。

l  この条件には、国際世論の前で、ベネズエラを否定的に画き、帝国主義の戦略を正当化する容赦ないメディア操作が含まれています。ベネズエラ人の近隣諸国への「想像上の大量の恒常的な移民」による人道的危機という場面が強調されています。

l  かくして、干渉の仕組みは、政治的、外交的、メディア的、経済的圧力を含むまでに拡大され、最も懸念されることは、軍事的オプションとなっています。

l  軍事介入の脅迫は、この恒常的な増大している強力な圧力に加えて、革命の過程に「制裁」を科すために、より不安定化を招く要因として使われています。

l  ワシントンにとって、唯一の解決は、今や、ニコラス・マドゥーロの交代及び「体制の転換」となっています。このオプションは、内戦と甚大な人的・経済的損失の危険を内包するもので、最近イラク、リビア及びシリアで適用された荒廃と悲惨なモデルと同じものです。

l  そして、ベネズエラの反政府派は、このオプションを支持して、ドミニカ共和国での対話で到達していた合意に署名することを拒否しました。この合意は、内部の政治的紛争を減少させるためには必要な一歩となっていました。この反政府派による拒否でもって、ベネズエラに対し金融的、経済的に最大限の包囲を進めるための必要な口実を作り出そうとしたのです。

l  帝国主義の攻撃は、ベネズエラを米州の政治的に重大な問題点と認識し、転覆する―それも急速に―必要性があるとするものです。というのは、ベネズエラは、米州において新興の多国間ブロック(中国、ロシア、2018年の国家安全保障戦略の地政戦略の視点に従えば)の導入のために地政学上の橋渡しとなっているからです。米国は、米州を専一的な地政学上の後衛と考えているのです。

l  日程と要因が組み合わされており、危険で憂慮されるものとなっています。こうした干渉行為を合法化することを支持し、推進している地域の右翼政府が果たしてきた悲しむべき役割がそれを代表しています。

l  帝国主義の増大する攻撃に対決するために、ボリーバル革命は、引き続き社会的成果を前進させ、参加型、国民が主人公の民主主義を改善し、住民共同体を通じた社会運動組織を拡大し、変革の過程を支持する政治勢力と団結し、疲れを知らぬほど努力しています。これは、フィデル・カストロ司令官が「思想の戦い」と呼んだ、国民の意識改革です。

l  ベネズエラにおいては、平和、民主主義、独立、主権、民族自決権を擁護する決定的な戦いが展開されています。

l  連帯は、ベネズエラ及びボリーバル革命が覇権主義大国に抵抗できるための道具です。独立、主権、民族自決権の擁護のために闘う人々の努力を結集し、相互の連帯を強化することが必要です。

 

終わりに当たり、永遠の司令官、ウーゴ・チャベスがわれわれに残したことば、皆さんとともに共有したいと思います。「帝国主義が存在するかぎり、ボリーバル革命は、危険、脅迫にみまわれる。というのは、われわれは、彼らの代替モデルを建設しており、もしわれわれが成功するなら、資本主義が一掃されるからである」。

 

ボリーバル革命との一貫した連帯に感謝いたします。

 

ベネズエラ医療危機の真実が叫ばれていますが、作られた危機だけが声高に叫ばれ、本当の危機は無視されています。これはその一端を報告した記事です。

CORAL WYNTER
Barquisimeto
September 25, 2017

この記事は、グリーン・ウィークリー・ウィークリーが、ララの州都バルキシメトで「命のための女性運動」をになっている活動家カトリーナ・コザレクから取材したものです。

今年の初めから、ここララ州で出産時に76人の女性が死亡しました。これはベネズエラの中で最悪の数字であり、他の国の死亡率の3倍にものぼります。

この州は貧しい黒人が多く住んでいますが、医者も看護師も、黒人女性の扱いは本当にひどいものです。彼らは女性の尻を叩き、名前を呼び捨てにしてこう言います。
「叫ぶんじゃない。お前がセックスをしていた最中にはそんなに叫んでいなかったろう」
これらは、産科病棟のホラーストーリーの一部にすぎません。
本当なら医師はこんなことをしたら免許を失ったり、停止処分を受けたり、刑務所に行く可能性もあります。しかしそのようなことは、これまでのところ起こっていません。

ベネズエラ医療危機をもたらした犯人
ベネズエラの保健システムは州単位に「分権化」されています。まずこのことに注意することが重要です。
保険医療のための資金と、医薬品などの供給は国からまわされて来ます。しかし、それにもかかわらず、州の健康に関する行政上の決定はすべて地方自治体が管理統制しています。
ここララ州の場合、知事は野党のアンリ・ファルコン、州保健部長も野党のルイ・メディナです。
この州の保険医療はひどいものです。薬の不法取引に関わる地下のネットワークが形成されています。それがマドゥロ大統領に対する経済戦争の一環を担っています。
ほとんどの医師や看護師は、上層階級に属しています。だから政府が社会と健康管理システムをどのように運営すべきかについて、私たちとは全く異なるビジョンを持っています。圧倒的に、彼らは野党=ララ州政府を支持するのです。

ベネズエラ人医師が抱える道徳的問題
看護師や医師は、例えば帝王切開を行うと称して、公立病院から出産用医療セットを譲渡するよう要求することがよくあります。しかし多くの医師たちが、その出産用医療セットをヤミ業者に横流ししてしまいます。
ではどうするか。医者や看護師は、患者に「あなたは自分の薬を見つけなければならない」と伝えます。そうすると患者・家族は薬局に行って必要な器具や薬を買い求めなければならなくなります。「まさか、ウソでしょう」と思うでしょう。
しかし本当です。カラボボ州(ララ州の隣)のバレンシア中央病院の病院長は、薬や器具をヤミ業者に横流ししたのがバレて逮捕されました。
メリダ州の病院ではさらにおぞましいことがありました。
ある看護師はある日、街頭での衝突で負傷したチャベス支持者が担ぎ込まれました。このとき一人の看護婦はこの患者に致死的な薬液を注入するよう強制されたといいます。

女性グループが立ち上がった
コザレクらバルキシメトに住む女性グループはこのような状況を打破するために立ち上がりました。彼女たちは、出産キットを医師と看護師を迂回して確保するためのシステムを作り上げました。それは「女性のための地域共同防衛隊」と名付けられました。
それは病院の労働組合が仲立ちするものです。帝王切開の症例が発生したとき、女性グループからの連絡を受けた労働組合が、当局に出産キットの払い出しを代理申請します。キットを受け取った労働組合から患者に手渡すというシステムです。
「私たちはこのシステムによっていくつかの正義をもたらすことができました」と、コザレックは述べています。「病院の労働者と一緒に、私たちはこの状況をコントロールすることができるようになりました」
この社会実験が行われたのはバルキシメト郊外La Carucienaの小規模公立病院でのことです。それは公立病院ですが、死亡事故や不審死の大部分が発生する州都の主要病院ではありません。
コザレックは振り返ります。「これは簡単なプロセスではありませんでした。医者たちはこの試みに反抗しました。先週には、病院の専門医2人が退職すると脅かしてきました」

州幹部を巻き込んだ大泥棒作戦
保険医療の戦線での「戦争」で使用された別の戦術は、泥棒作戦です。すなわち大型・高額医療機器の盗難です。
これらの機器は公的病院のためにチャベス政権が購入したものでした。しかしそれらを現場で使用するのは医師たちです。
医師の多くは個人開業医を兼ねていたり、あるいは転職して開業するつもりです。このような場合、医師は、個人開業のためにそれらの装置を盗むことが往々にしてあります。
何人かの医師は窃盗がばれて刑務所に行きました。しかし多くの医師はうまいことそれを手に入れました。もっとひどいのはそれを転売することです。
しかしそれは盗品買いがいないと成立しません。その先頭に立ったのが野党政治家です。
ララ州の知事も州都バルキシメトの市長も野党所属です。彼らこそが医薬品や医療機器の闇市場ネットワークを構築する主役となったのです。
全国女性連合の闘い
コザレックたちは「全国女性連合」(Unamujer)に結集して、これら野党勢力と対決することになりました。
「私たちは2015年に記者会見を開きました。ララ州での妊産婦の死亡率は高い、そしてさらに上昇しつつあると主張しました」
「私たちは州政府前の広場まで行きました。私たちのビデオカメラが撮影を開始した時、近くの野営事務所から50人ほどが出てきて、私たちに石を投げ始めました。私たちは20人くらいしかいませんでした」
「私たちは、投石者のうちの何人かが知事の有給秘書であることを確認しました」

このあと最後の一言を誰かに聞かせたい

これが現実です。しかしいつものように、この現実はどれも国際的なマスメディアで語られていません。
その代わりに富裕層相手の小商売を営む「庶民」が三段抜きの記事で取り上げられる(しかも外信の受け売り)。これでは創刊90年の歴史が泣こうというものでしょう。

インデペンデント オンライン 1月3日号


これはトランプがベネズエラへの武力侵攻を考えているとの発言に関してのもの

世界各国の政府は、ベネズエラ政府が政権の民主的移行を認めず、基本品目の価格急騰を放置していることを批判しているが、解決策として武力紛争を提起したものはいない。

EUや近隣諸国からいくつかの経済制裁が行われてきたが、マドゥロ氏の統治権力を否定するものはなかった。

しかし、アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、パナマの閣僚は、マドロ氏の辞任を促すための「軍事的選択肢」に関するトランプ氏の提案を覚えている。
それは17年9月の米州会議後の首脳夕食会における一場面である。

「レックスは、あなたが『ベネズエラで軍事的な選択をしたくない』と言っていると、私に伝えていますよ」
夕食会の参加者によると、トランプは同席する首脳の一人にそういったそうだ。その時トランプの左にはレックス・ティラーソン国務長官が座っていた。

結局のところそのテーブルに座った人々は、トランプの意見に反して、武力干渉が極端な措置になるとの判断で合意した。その時トランプはこう言ったそうだ。

“Is that right ? Are you sure ?”

「夕食が終わる頃、ラテンアメリカ各国指導者たちはショック状態に陥りました。武力紛争はただの空想の話ではなかったのです。 
覚悟していたとはいえ、米大統領の就任以来の8ヶ月は、彼らの想像の範囲を全く超えていたのです」
こうPolitico紙はレポートしている。

元米国関係者は、「ラテンアメリカの指導者たちは、間違いなく、米国の広範な関与について再確認した。そして就任後8ヶ月であるにせよ、米国の関与に関するトランプの無知に驚いた。そして将来の恐るべき不確実さについて懸念を抱かざるを得なかった」


バーク・オバマ政権時代に国家安全保障理事会の西半球上級代表であったマーク・フェイエスタイン氏は12月の米州協会・米州会議で語った。

 トランプ政権の国家安全保障理事会は、ベネズエラを大統領の3つの優先事項の1つとしている。イランと北朝鮮は他の2つである。

9月の夕食よりわずか1ヶ月前に、国連総会の席上で、トランプ氏は語った。
「ベネズエラのための多くの選択肢があり、そこには軍事的選択肢も含まれる」

マドゥロ氏はこの不安を利用して支援を集め、この地域のアメリカの外交官は不安と緊張を和らげるために奮闘した。

一方で米国はベネズエラ国有石油会社に対し厳しい制裁を課している。

この記事はやや大雑把なところがある。別な記事ではこうなっている。
When President Donald Trump sat down for dinner on September 18 in New York with leaders of four Latin American countries on the sidelines of the annual United Nations General Assembly,

テレスール 23 December 2017

ベネズエラ政府と平和と団結の促進を目的とした野党間の会談は、1月11日と12日にドミニカ共和国で再開する予定です。

ベネズエラの制憲議会(ANC)のデルシー・ロドリゲス議長は、公衆に与えられた右翼の暴力に関する報告書を発表しました。

ロドリゲスは、土曜日に公表された「真実、平和、公共の平穏」委員会が作成したこの報告書では、「このような暴力行為の責任者は、地域社会の仕事に着かせるよう処罰されるべきだ」と勧告しています。

「同委員会は、4カ月を費やして、被告人を捜査し拘留者にインタビューしている。それは正義、被害者の理解、国民の和解に貢献するためだ」と彼女は述べている。

「ベネズエラを不安定化させようとする右派の暴力事件を防ぐために、加害者に被害者を補償させるべきだ」と報告書は述べている。

ロドリゲスは、この勧告をこう締めくくる。
「労働奉仕は平和に到達する道具」である。それは犠牲となった被害者が持つ「尊厳の権利の報酬算定式」を用いて算定される。

政府機関は、右翼暴力を犯した80人以上の人々をこのやり方で釈放するよう勧告している。

「ベネズエラ人の国民としての統一を通してのみ、ボリーバルの遺産を可能にすることができると我々は理解している」
ロドリゲスはこう書いています。 「ベネズエラで平和が構築されれば、それを排除できるものなどない」

この報告書は、現在ニコラス・マドゥロ大統領と司法機関に送られています。

ベネズエラ政府と平和と団結の促進を目的とした野党間の会談は、1月11日と12日にドミニカ共和国で再開する予定です。


「私たちはベネズエラをみどり児イエスに委ね、様々な人々の静かな対話が再開できるようにする」とフランシス法皇は述べた。

フランシスコ法皇は、クリスマスメッセージを使って、ベネズエラ政府と野党の間の継続的な対話の重要性について話した。
そして、永続的な平和を達成し、社会福祉を強化するために、交渉が政治的な裂け目を癒すのが不可欠であると述べた。

「ベネズエラをみどり児イエスに委ね、愛するベネズエラの人々の利益のために様々な社会的構成要素の間の穏やかな対話を再開できるようにする」とフランシスコ法皇は述べた。

会談は、ドミニカ共和国の首都サントドミンゴで1月11日と12日に再開される予定である。
そこでは国の政治的、社会的、経済的課題を解決する仕組みを作り出すことになっている。

アジェンダとしては次の6つのポイントが考慮されている。
すなわち
①真理委員会の設置。
②経済的保証;
③政治的および選挙的保証。
④全国制憲議会の承認
⑤制度的調和を達成する方法、
⑥経済的および社会的ニーズなどが含まれる。

教皇は、バチカン外交団のメンバーへのメッセージの中で、対話を進めるのを手伝う意欲を表明した。
ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、右翼野党との会談を要請した多くの団体に手を差し伸べた。

関係改善は、地方選挙後、カラカスのミラフローレス宮殿で野党連合(MUD)の市長と面談した2013年に始まった。
しかし、17年4月、野党が暴動を誘発した。
100人以上が死亡した。その中には21歳のオーランド・ホゼ・フィゲイラのように、単に「チャビスタである」という理由で生きながら焼かれた人もいた。
その結果、公的・私的財産に何百万ドルもの損害をもたらした。
burned
   野党デモ隊によって焼かれたチャベス派の青年(その後死亡)
2017年9月には最新の平和協議が行われた。ドミニカ共和国で野党との予備調査会議が開催された。
ドミニカ共和国のダニロ・メディナ大統領とスペインの元首相ホセ・ルイス・サパテロが首脳会談を行い、2回目の協議を進めることになった。
2回目からはメキシコ、チリ、ボリビア、ニカラグアなどの代表団も同席することになっている。


もう一つのベネズエラ
OTRA VE


いろんな記事がブログに散らばるのはうっとうしいものです。自分でもそうだから、見に来る人はいっそう、うっとうしいと思います。

とりあえず、このページに全部放り込むことにしました。といっても実際にはサイト内リンク集です。

実際にはかなりの記事はリンク先に跳んで読んでもらうことになります。

これと同じものが私のホームページ「ラテンアメリカの政治」に載ります。ブログに書いた記事は同時にホームページのリンク集「もう一つのベネズエラ」に掲載されます。探しものがる場合はそちらに言ってください。

よろしくお願いします。


Ⅰ.最近のベネズエラ

ここ2,3年のベネズエラ関連記事です。「もう一つのベネズエラ」の本体部分です。

A.2018年前半

2018年01月18日 ベネズエラ共産党の現状分析

2018年01月11日 2017年、ベネズエラ人民はどう闘ったのか ③

2018年01月10日 2017年、ベネズエラ人民はどう闘ったのか ②

2018年01月10日 2017年、ベネズエラ人民はどう闘ったのか ①

2018年01月05日 ベネズエラ記事の紹介

2018年01月05日  ベネズエラの「ある左翼」

B.2017年後半

①2017年12月25日 ベネズエラ:国連人権専門家の最新報告

②2017年12月25日 大統領選への道は開かれている。

③2017年12月25日 変動相場制が絶対ではない

④2017年12月24日 封鎖されつつあるベネズエラ

2017年12月24日 ベネズエラ ハイパーインフレの原因

2017年12月23日 ベネズエラ側の言い分

2017年12月23日 ベネズエラ経済分析はとりあえず保留 

2017年12月22日 ベネズエラのカトリック教会は恐ろしく下品

2017年12月21日 ニューズウィークのほうがまだマシ

2017年12月21日 ある進歩的な新聞の「反ベネズエラ」報道

C.2017年前半

2017年05月25日 ベネズエラ 野党の行動をどう見るか

2017年05月25日 ベネズエラ 野党の行動記録

2017年05月22日  ベネズエラ野党の大統領辞任要求に道理はない

2017年05月17日 カラカス情報 心得るべきこと

D.2014~2016年

2016年07月21日 ラテンアメリカ人民の闘い: この間の動向

2016年07月20日 ラテンアメリカの方向は人民の戦闘性により規定される

2016年07月23日 ベネズエラの政治危機

2015年12月18日 ベネズエラの選挙結果についての見解 

2015年12月17日 ベネズエラ国会選挙 第二報

2015年12月17日 ベネズエラ国会選挙 第一報

2015年02月04日 原油安 誰が敗者となるか

2014年12月26日 OPEC決定の画期性

2014年11月26日 ラテンアメリカ、最近の動き(2014) その2

2014年11月26日 ラテンアメリカ、最近の動き(2014) その1

2014年06月16日 ラテンアメリカ左翼政権一覧表


Ⅱ.チャベスのベネズエラ

1990年のカラカソ(首都カラカスでの暴動)から、チャベスのクーデター。98年のチャベス当選から、反チャベスのクーデター、ゼネストやリコール作戦の失敗、チャベス改革の開始までがふくまれます。

2013年03月12日 石油生産、いらぬ心配はご無用

2013年03月12日 WSJはチャベス革命の死を願う

2013年03月12日 チャベスの死と資本家の大はしゃぎ

2013年03月10日  チャベス革命の道筋 その3

2013年03月10日 チャベス革命の道筋 その2

2013年03月10日 チャベス革命の道筋 その1

2013年03月07日 チャベスに関する私の過去発言

最近では、チャベス政権を正面から批判できなくなったため、経済運営に対する非難という変化球で攻めてきています。これに対する反論は、ブログの中で随時触れています。


2013年03月06日 チャベス、3つの功績

2013年02月22日 日本はマクロ指標が狂っている

2012年10月06日 ベネズエラ 最終盤の状況

2012年08月18日 チャベス政権の十年: 経済・社会指標の検討

2012年08月15日 ベネズエラ 世論調査の動向

2012年08月13日 赤旗「ベネズエラはいま」を読む

2012年08月13日 チャベスの対抗馬ラドンスキー

2012年08月12日 エコノミストはベネズエラを評価している

2012年08月11日 赤旗の「ベネズエラ特集」について

2012年05月25日 「これが世界だ」2012年版 その6 ラテンアメリカ: リーマンショックからの回復

2011年09月26日 南米を変えたこの十年 その5

2011年09月26日 南米を変えたこの十年 その4

2011年09月23日 ベネズエラ もう少し考えた

2011年09月22日 ベネズエラ経済: 立ち止まって考えた

2011年09月22日  ベネズエラ経済を、ふと考える

2011年05月11日 アメリカとベネズエラ、国民が感じる「幸福感」

Ⅲ.ベネズエラの歴史

ブログを始めたのが東北大震災の直後、2011年5月からなので、それ以前の記事は私のホームページ「ラテンアメリカの政治」にあげています。

チャベスについては下記の4本の記事が基本となっています。

ベネズエラ…何が起きたのか?

2002年 ベネズエラ・ゼネストに学ぶ

2つの闘争に勝利したチャベスの政策については下記をご参照ください。

ボリーバル運動の展開: チャベスの挑戦

ベネズエラにおける憲法改正

ベネズエラではシモン・ボリーバルの南米解放からベネズエラの建国、石油開発、軍事独裁、ゲリラ闘争などが展開されました。そのあらましが年表などに記載されています。

#1 ~2001, 312kb  

#2 2002~ , 209kb 

#2 2004~ , 250kb 

 

ベネズエラ共産党の現状分析

(venezuelanalysis 2018.1.10  Venezuelan Communists Urge Radical Solutions to Current Crisis)

ベネズエラ共産党(以下PCV)はベネズエラにおいて組織労働者内の革新派を基盤とする政党です。教育・医療労働者、公共企業体などに根強い勢力を築いています。チャベス派の政党(PSUV)とは友好関係にあり、現在も政権に閣僚をおくっています。

概況

現在の状況は不確実性、絶望、国民間の憤りによって特徴づけられています。それは国の社会経済状況が悪化したことに基づいています。

インフレ、投機、売り惜しみは、人々の生活の問題になっています。人々はスーパーマーケットで長時間並び、高い値段で買わされています。

政府は、ベネズエラ社会に苦しんでいる一連の問題に対する効果的な措置に直ちに対応しなければなりません。

なぜなら、このような状況の悪化は、激怒、憤慨、絶望の蓄積につながります。そしてこの国は大きな社会爆発の門口にいる可能性があるからです。

いまこの国は深刻な経済的、社会的、政治的問題を抱えており、何か火花があれば、国に火をつけることができます。

 

輸送

カラカス地下鉄には輸送の問題があります。十分な保守システムを持たないためです。エスカレーターが壊れてドアが損傷したりして、路線がその影響を受け遅れたりします。

これは首都圏の人々の交通状況を悪化させます。民間輸送業者のコストが高いからです。

地元の民間バスの供給者も全国の交通の供給者も、銀行振込による融資を受けていません。

銀行は非常に最小限の資金しか出していません。現金にアクセスするのが困難なため、輸送システムを稼働できなくなっています。

交換部品の不足のためにバスが走れなくなっています。また燃料も不足しています。

 

食糧危機

スーパーマーケットでは主要製品の不足が続いており、入手可能な場合も法外な価格でしか見つかりません。

ベネズエラ共産党は、労働者への賞与としての給与を増やすことには反対していませんが、現在の最低賃金にも達しないようなボーナスには反対しています。

ボーナスは歓迎です。彼らはベネズエラの人々に利益をもたらし、私たちは、カーニバルのモモボーナスや復活祭のときのユダのボーナスを希望します。

しかし、これは問題の解決策ではありません。

私たちはバチャケーロを厳しく取り締まる必要性を強調します。そして主要製品の輸入とベネズエラ人への流通を担当するベネズエラ国営企業の設立を訴えます。

政府の「地方生産・供給委員会」(CLAP)の食品パッケージが月に1回以上人々に届かないケースがあります。

ジャラクイ州のエル・ビルヘン村では、村民が3ヶ月間にわたりガスも食品パッケージも受け取ることができませんでした。疲弊した村民が抗議に出むいたとき、政府の示した反応は村民を弾圧することでした。

私達は国家治安部隊による国民に対するこのような行動を拒否します。そして特に言っておきたいのですが、より良い労働条件、尊厳に値する給与、労働組合の団結権に対する攻撃には断固として反対します。 


新しいプント・フィホ条約を拒否する

PCVは、ドミニカ共和国の首都サントドミンゴで結ばれた「政府と野党の間の合意」について、ベネズエラ国民がその詳細を知るべきであると主張してきました。

この合意について、多くの人はすでに「ニューヨーク」協定と呼んでおり、かつてのプント・フィホ協定と同じ結果になるのではないかと危惧しています。

私たちはサントドミンゴ合意という新たなプント・フィホ協定に直面している可能性があります。

(プント・フィホ協定は1958年の立憲革命に参加した諸勢力が偽りの二大政党制を形成し、左派を排除することで合意。これにより資本家と地主による独裁が継続することになる。ベネズエラ年表を参照のこと)


経済

この間のベネズエラ危機において銀行が果たした否定的役割は大きい。それはブルジョアが富を蓄積するための最大の源泉となってきた。それはベネズエラ革命の全経過を通じても不変であった。

我々は、政府が外貨管理を統制下に置き、銀行を国有化することが必要だと主張する。

また我々は、税制を改革し、巨額で益々増え続ける銀行セクターの収益を規制することが必要だと主張する


産業と農業

国の重要な工業領域には修復の必要があります。政府の主要な努力は、生産を増やし、それによって国の経済問題を解決することを目指すことに集中されなければなりません。

食糧の問題に取り組むためには、農業関連産業計画が優先されなければなりません。私たちが消費するものをみずから生産しない限り、私たちは常に他の国に依存することになります。

 

医療問題

我々は、主要医療センターの修復を主張します。そして医薬品の供給が経済力のない人々に行き渡るようもとめます。そして病気になったときや生命の危機を迎えたときに医療が対応可能となるようもとめます。

民間部門の医療を利用した場合、人々はしばしば200万ボーバルもの支払いをもとめられます。これでは受診できないのが当たり前です。

 

労働組合運動

カラカス地下鉄の労働者が解雇されました。交通大臣は、その運動が野党の動きの一部であると非難しました。

しかし彼らは労働者の草の根に基盤を置く労働組合指導者です。彼らは政府寄り労働組合の官僚制に挑戦してきました。

彼らは、労働条件の改善についてはあまり問題にしていません。その代わり、 腐敗した、官僚的で、高給取りの組合幹部とのあいだには妥協はありません。そして彼らと競い合いながら新たな指導部を形成しようと努力してきました。

(文章はここまで)



これは1月2日のテレスール(TeleSur 通信)に掲載された文章の要約です。原題は“ベネズエラ大統領マドゥーロの12の勝利ー2017年版(The 12 Victories of Venezuelan President Maduro in 2017)”となっていますが、多少表現を変えました。訳者は記載内容に全面的に同意するものではありません。

14.第4世代の戦争

今もベネズエラは厳しい攻撃のもとにあります。ここではそれを「第4世代の戦争」と呼びます。
(訳者の理解としては、第一世代は1月から3月末の司法と議会との全面対決まで、第2世代は制憲議会設立の提案から7月末の投票までの街頭戦争の世代、第三世代は二つの地方選挙を挟んで12月上旬までの期間、そしてこれからが、反チャベス派の国際戦線が組織的・系統的・全面的な攻撃を始めるという世代の始まりということになるのでしょう)

ここで指摘しておきたいのは、ベネズエラに対する第4世代の戦争宣言にはいくつかの前線が想定されているということです。攻撃は主として次の4つの面から同時かつ連続的に行われるでしょう。

4つの前線とは

1)軍事的戦線

専門家によって設計された軍事的反乱です。破壊、サボタージュ、大衆扇動からなります。

多くの場合は傭兵が使用され、犯罪的な暴動(グァリンバ)の周期的な爆発とテロ攻撃が組み合わされます。

兵舎、軍事目標、および電力網、製油所、配水などのインフラ目標が設定されます。

2)メディア戦争

新聞、ラジオ、テレビ、ソーシャルネットワークは、宣伝の計画的使用を通じて新しい攻撃力に改造されました。それは人々の心をときに傷つけ、ときに誘惑しています。

3)外交戦争

いくつかの国際フォーラム、特にOASでの嫌がらせが目立ちます。

中南米の親米・反共国家群、いわゆる「リマ・グループ」の国々による攻撃を中核とし、米国、カナダ、欧州連合もつねにこの攻撃に加わっています。

4)経済・金融戦争

食糧と薬品の隠匿と演出された「品不足」

通貨の為替レートの操作により誘発されたインフレ、

国内取引銀行の口座封鎖

格付機関による国債リスクの歪み。
これら、軍事・メディア・外交・経済面での攻撃が複合され、もし弱点を見つければ集中的に攻撃を仕掛けることになるでしょう。1918年、大変厳しい闘いが待っていると言わなければなりません。


15.金融戦争の実相はベネズエラへの金融封鎖

これら第4世代戦争のうち、7月30日以降の攻撃の中心となっている経済・金融戦争について少し詳しく見ていきます。

ベネズエラのカントリーリスクに関して語る場合は、次のことを忘れてはなりません、

既に述べたように、 過去4年間に、カラカスは、すべての債務支払い請求を例外なく尊重しました。その総額は7400億ドル以上にのぼります。すべての債務を律儀に支払うため、ベネズエラへの融資にはリスクはないのです。
この行動はベネズエラのカントリーリスクを大幅に削減しています。

しかし、それにもかかわらずカントリーリスクは増加し続けています。JPモルガン銀行によれば、この国のリスクは4,820ポイント、すなわちチリの38倍の高さであります。チリの負債/ GDP比はベネズエラとほぼ同じ高さです。なぜこのように信用リスクが高いのでしょうか。

その理由は政治的なものにしかもとめることはできません。すなわちベネズエラはアメリカに逆らって中南米の自立を唱導しているからです。また社会主義的制度を積極的に採用し、貧富の差を攻撃し、金持ち優位の政治を否定しているからです。そのためにアメリカに嫌われているからです。
ベネズエラは社会主義的な政治制度を、民主的な方法で選んだために高いコストを払わされていることになります。

2017年に於ける国際銀行の金融封鎖に関して述べましょう。

ドナルド・トランプ制裁の発動後、 アメリカ籍企業による契約の一方的な解除は倍増しました。例えば、支払代理業のデラウェア社は、その特約銀行である米国のPNC銀行がPDVSAから資金を受け取ることを拒否したと報告しています。これは7月のことです。
ポルトガルのノボ・バンコ社は、ドルでの業務を実行できないことをベネズエラに通知してきました。米国の仲介銀行が対ベネズエラ金融封鎖に加わったことに起因しています。これが8月のことです。
ベネズエラと契約した中国銀行のフランクフルト支店は、カナダの鉱山会社であるゴールドリザーブに1500万米ドルを支払うことができませんでした。それはベネズエラ側が支払うべきものでした。

11月には、クリスマス休暇に向けられた食糧の23件の購買契約の支払い分がカラカスに戻ってきました。供給元の仲介銀行がベネズエラからの資金を受け入れなかったため購入契約が破棄されたのです。その総額は3900万ドル以上に登ります。
これらはWTOで締結されている国際自由貿易の原則をあからさまに侵害するものです。しかし問題はさらに深刻です。ことは人道問題に絡んできています。
9月上旬、ベネズエラ政府はアメリカの医薬品会社などに総額12億ドル相当の医薬品と食品を発注しました。米国企業の取引銀行はJPモルガン銀行の子会社であるユーロクリアでしたが、この銀行が12億ドルの受け取りを拒否しました。これにより、ベネズエラは患者の治療に必要不可欠な30万回分のインスリンを確保できなくなったのです。

もう一つ、ベネズエラはコロンビアのBSNメディカル(スエーデン)系列の製薬会社にマラリア治療薬であるプリマキンを発注しました。しかしこれも同じような理由で受注を拒否されました。

なぜこのような事態があいついで起きたのでしょうか。その目的は、ベネズエラが国民が必要とする食糧や医薬品を輸入するために外貨を使用するのを妨げることにあります。そうすれば人々が抗議し、医療システムに混乱を生み出すことでしょう。
11月に政府はインドからの重要なインスリン輸入の緊急到着を実現しました。死に至るリスクのある何百人もの患者が救われました。 疑いなく、これはベネズエラ人民の新たな勝利です。
(訳者が考えるには、これはあまりにも非人道的なやり方です。何千人もの患者さんの生命を危険にさらしています。もしそれにより糖尿病やマラリアの患者さんが命を落としたときは、誰が責任を負うのでしょう。たんなる有責ではなく、アメリカ国内法でも完全な有罪、それも人道に対する罪で有罪であると思われます。訴訟をおこすべきではないでしょうか)


16.奇策: デジタル通貨の発行

11月、金融封鎖を破るために、ベネズエラ政府はある計画を発表しました。それがデジタル通貨「ペトロ」の創設です。

この発表は仮想通貨投資家のコミュニティに多くの熱意を呼び起こしました。ベネズエラは技術とグローバル・ファイナンスの最前線に位置づけられ、大きな期待を集めまています。

さらに「ペトロ」の利点は、市場の気まぐれと投機の対象にならず金、ガス、ダイヤモンド、石油などの実質資産の国際価値に関連していることです。
外国の権力はドルの力を背景に資本の受け取りを拒否したりボイコットしたりと勝手なことをしていますが、ベネズエラはそのようなことをさせない革命的な資金調達メカニズムを持つことになります。その意味では「ペトロ」の発行はベネズエラにとって明らかな勝利です。

(流石にこれは訳者にも眉唾ですが)


17.社会福祉インフラへの投資を前進させる

ベネズエラ政府は、2017年にあっても社会福祉インフラへの投資を前進させたことに誇りを持っています。闘いの真っただ中であるにもかかかわらず、石油依存型経済モデルの全体的な不調・故障にもかかわらず、この間ベネズエラ政府は社会主義への関心を失いませんでした。

国民の誰もが学校、仕事、シェルター、医療ケア、所得、食糧へのアクセスを失っていません。そのことが証明されています。革命政府は基本的な公共事業への資金調達を止めず、住宅建設をやめませんでした。2017年には57万戸以上が納入されました。

住宅建設計画を始めすべての社会的ミッションが維持されました。農作物の栽培計画が維持されました。Sovereign Supplyミッションが拡張されました。Sovereign Field fairsが倍増した。
(これらの「計画」や「ミッション」の内容は訳者には不明です)

いくたの嵐のなかで、チャベス主義政府はベネズエラとベネズエラ国民を救うという社会的奇跡を達成しました。野党連合による反乱は福祉と社会主義の進歩を止めることはできませんでした。

社会主義の進歩を語る上で、「供給・生産のための地方委員会」(CLAP)の働きは特筆されなければなりません。それは生産点と都市とを結ぶ直接物流を中央統一化させ、全国的な進化をもたらし続けています。このシステムにより、400万人のベネズエラ人が経済戦争に由来するもの不足から守られました。

2017年、ベネズエラ政府は新しい社会イニシアチブを開始しました。なかでも最も壮大なのは、市民の社会経済的地位を特定するためにQRコードを使用する新しい身分証明書(カルネ・デ・ラ・パトリア)を発足させたことです。これを通じ、必要な家族のために社会福祉計画へのアクセスを提供することができます。

2017年12月末には、総数1650万人の市民がカルネ・デ・ラ・パトリアに登録しました。

大統領はまた、社会扶助の配分のプロセスをスピードアップするために、「ソモス・ベネズエラ」運動の創設を促進しました。「ソモス・ベネズエラ」の20万人のボランティアは、登録された家族のニーズを家ごとに識別します。彼らは実際のニーズに応じて家族に援助を割り当てます。

「ソモス・ベネズエラ」運動のもう一つの重要な目的は、全国の年金受給者の100%を保証することです。
(言葉通りに受け取ればマイナンバー制度ということになるが、土台が違いすぎてその是非は評価できません)

マドゥーロ大統領はまた、「青年非正規労働」計画を提案しました。これは15歳から35歳の若者を対象とした失業対策事業で、雇用分野に彼らを組み込むことを目的としています。

この計画は、特に、無職の大学生、学校に行っていない若者、家族の責任を負っているシングルマザー、そして路上生活の若者を対象としています。この新しい計画は約80万の雇用を生むと推定されています。

18.マドゥーロ政権の最近の成果

政府の最近の成果の一つとして、10月に行われたマドゥーロ大統領の外遊について言及します。

マドゥーロはこの外遊を通じて、金融封鎖の嫌がらせを振り払い、経済戦争に勝利することを目指しました。ベラルーシ、アルジェリア、ロシア、トルコを歴訪し、それぞれで重要な二国間協定の署名に成功しました。
また石油生産国(OPECおよび非OPEC)との不断の交渉により、2017年の原油バレルあたり価格の驚異的な復調(23%上昇)を可能にしました!

11月に始まった石油関係の腐敗に対する大規模な取締まりも、2017年の大きな成果でした。

ベネズエラ石油公社(Pdvsa)と石油販売公社(Citgo)の経営幹部のうち最高幹部を含む数十人の逮捕が発表されました。このような摘発は、百年間のあいだ、ベネズエラ石油産業に起きたことはありませんでした。これは間違いなく、2017年のベネズエラ政権の勝利であります。

19.結論

結論として、ベネズエラに破壊的な作用をもたらした最大の要因は国内外でのメディア攻撃にありました。
大手メディア企業が指揮する世界宣伝キャンペーンの主な目的は、チャベス派政権のイメージの破壊であります。このことは再度指摘する必要があります。

インターネット上の複数のプラットフォーム、たとえば Facebook、Twitter、YouTube、Instagram などのソーシャルネットワークを通じて闘われた、長期にわたる“デジタル戦争”も忘れてはなりません。

これらの大量世論操作の武器はすべて、ベネズエラ革命の姿を貶めようとして使われています。それらはベネズエラの現実を操作し、反政府派の運動に広範な支援を与え、野党の暴力をおおい隠しています。

反政府派の行動目的は、たんなる反マドゥーロというより、もっと構造的なものです。ベネズエラは地球規模でのシステムを変革しようという流れの主要な担い手であります。そのベネズエラを敗北させることは、単にその豊かな財産をふたたび我がものととするためだけではありません。ベネズエラが実現しつつある革命的な社会モデルを消滅させるためにこそ必要なのです。

反帝国主義勢力の先頭に立つベネズエラを敗北させることは、ラテンアメリカの地政学的見地から見ても重要です。

しかし今のところ、ニコラス・マドゥーロを破滅させるすべての計画は失敗しています。

彼自身が言ったように、「帝国主義はわたしたちの首に手をかけたが、私たちを窒息させることはできなかった。チャベス革命はそのどんな分野においても粉砕されなかった」のです。

反対に、ベネズエラ共和国は2017年を通じて強化されました。そして国の平和のための戦略的イニシアチブを再開することができました。大きな国益を守り、誠実さと謙虚さの原則を遵守することに成功しました。

マドゥーロ大統領は、野党に対し交渉の場に座り、尊敬と相互認知に基づいて対話を再開するよう提案しました。マドゥーロの要請を受けてサント・ドミンゴが仲裁国として中立的シナリオを提案しました。
それは、国論が分裂するのはベネズエラが革命のただ中にあるためであり、革命をどうすすめるかを巡っての政治的な立場の違いから生まれるのだと判断しています。
そしてだいじなことは国家の最善の利益を守り、紛争を規制するための民主的な方法を生み出すことだとしています。そしてまず最初の出発点として恒久的な国民対話を復活するようもとめています。

残忍な攻撃と果てしない暴力に耐えたこの英雄的な1年間に、チャベス主義は強さと生存力を発揮しました。それは支持基盤を拡大し、革命に有利な政治的状況とおよび社会的な力を増やすことができました。そしてこれまで以上に強固な確信を抱くに至っています。

2017年におけるベネズエラ革命の勝利と前進はラテンアメリカ全土の救済と希望を意味します。今やベネズエラ革命は決して倒すことのできないものとなっています。






2017年、ベネズエラ人民はどう闘ったのか ②

これは1月2日のテレスール(TeleSur 通信)に掲載された文章の要約です。原題は“ベネズエラ大統領マドゥーロの12の勝利ー2017年版(The 12 Victories of Venezuelan President Maduro in 2017)”となっていますが、多少表現を変えました。訳者は記載内容に全面的に同意するものではありません。


9.制憲議会の提起

世の中はあまりにも多くの恐怖に満ちており、それに抵抗することは容易ではありませんでした。人々は沈黙を守るほか手段がなくなろうとしていました。
しかし政府は公序良俗を回復させる方法を見出したのです。政府は民主的権威、三権の平等、人権の尊重という三つのビジョンを掲げました。それは暴力の迷路から脱出するための立憲的かつ合法的な方法でした。
そもそも野党勢力の言い分は、立法機関と司法機関という二つの正統な機関のあいだの不一致にもとづいたものです。両方の機関の筋を通しながら難局を脱する方法は、行政機関の長たる大統領が仲裁人となり、紛争解決のために行政的な手段を講じるほかありません。

これが三権分立の基本です。

そこで大統領は、憲法第347条、第348条および第349条に基づき、政府および最大仲裁人としての地位を利用して、5月1日に制憲議会の設置を中核とする和解プロセスを提示しました。ちなみにこの憲法は、1999年のチャベス大統領の時代に成立したものです。
このマドゥーロ解決案は、解決方向が三権分立のあり方まで立ち戻らざるを得ないという点で、妥当といえます。もちろんマドゥーロ大統領がいったん辞任するという選択肢もあるとは思いますが、マドゥーロの側から見れば辞める理由がありません。

10.制憲議会選挙の勝利

世界の報道陣から上がる大歓声の中で、野党は制憲議会選挙をボイコットすると宣言しました。そしてその代わりに選挙を実力で妨害することに専念しました。選挙の成立を阻止するため、バリケードを築き、選挙権を行使したいと思っている人たちを脅しました。

しかし彼らは失敗しました。彼らは、暴力と恐怖に負けず民主主義に向かおうとする人々の流れを止めることはできませんでした。
7月30日、制憲議会選挙が実施されました。選挙は過半数の投票率を得て成立し、全員が政府支持派である制憲議会が立ち上げられることになりました。
850万人以上の有権者が投票所に足を運び、市民的、政治的、倫理的、道徳的な義務を果たしました。武装組織や暴力集団に正面から向き合い、彼らにより閉鎖された街路を横切って、あらゆる種類の妨害・障害を乗り越えて人々は投票所におもむき、1票を託したのです。
これにともない、国会は新憲法成立までのあいだ、その存在意義を失うことになりました。野党勢力は絶望的な政治的失敗を確認せざるを得なくなりました。

8月1日、投票日の翌日、「グァリンバス」は散り散りとなり街路から姿を消しました。暴力は消えていました。平和が再び支配するようになりました。

このようにして人民とその政府は「グァリンバス」を倒し、明らかなクーデターの試みを中止したのです。人民は国内外の脅威に対して毅然と立ち向かいました。政府は政策の根拠を揺らぐことなく貫きました。

これは2017年の最も壮大な勝利でした。

11.二つの選挙での勝利

制憲議会とともに「平和の季節」がやってきました。それはベネズエラ革命が反革命主義者に政治的反撃を加えるチャンスを与えました。

その反撃は一斉地方選挙で2つの驚異的な選挙勝利をもたらしたのです。
(ベネズエラの一斉地方選挙は日本と同じで4年に1度行われます。前半と後半の2回に分けて行われ、はじめが州知事と州議会の選挙、次が市町村の長と議員の選挙です。制憲議会選挙と違いこちらの選挙は野党も参加しています)

まず最初が10月15日の地方選挙です。州知事選挙では23人の知事のうち19人が与党PSUVの勝利に終わりました。
そこにはこれまで野党が知事を務めていたミランダ州とララ州も含まれていました。また大きな人口学的重要性を持つ戦略的州であり、石油とガスの重要な資源があるスリア州(マラカイボ湖)でも勝利しました。
ベネズエラ 州
          ウィキペディアより
ついで12月10日の自治体選挙でもチャベス派が圧勝しました。首長選では335の市区町村のうち308で勝利しました。これは市町村の93%を占めています。

大カラカス首都圏は24都市よりなっていますが、チャベス派はこの内22都市を確保しました。いっぽう反政府派は得票数が激減し、21万票を失いました。彼らの行動は多くの国民から非人道的と認知されました。そのことが投票行動によっても確認されたといえます。

ベネズエラは、2017年に3回の全国規模の選挙を組織した中南米で唯一の国です。そしてその国で3勝したのがチャベス派です。


12.対外債務問題

反政府派は今や国内での影響力を大幅に減らし、活動力を失っています。しかし依然として国際的な保護者の支持を保持しています。その中で最も攻撃的なのが、新しい米国大統領ドナルド・トランプです。

トランプ政権はいろいろな問題をでっち上げて、ベネズエラに制裁を課してきました。とりわけ目立つのが、ベネズエラ政府と石油公社(PDVSA)が金融市場にアクセスするのを妨害することです。そうやってベネズエラの決済を妨害し、デフォルト(対外債務不履行)に押しやろうとしています。

米国はベネズエラに信用を提供することを妨げ、それによってベネズエラが外貨を得ることを妨げようとします。じつに下劣な嫌がらせです。

ジョージ・W・ブッシュ大統領下で国務長官をつとめたローレンス・イーグルバーガー氏は、フォックス・ニュースとのインタビューでこう答えています。(この段落は背景が不明です。イーグルバーガーは30年も前の国務長官であり、チャベスよりはるかに前の人ですが、国務省OBとしてベネズエラ転覆策動に関与しているのかもしれません)

ブッシュ政権のもとでも、ベネズエラに対する経済戦争がワシントンで効果的に計画されていた。我々はベネズエラ攻撃のために経済的ツールを使わなければならないと考えていた。

ベネズエラの経済を悪化させ、チャベス主義の影響を国や地域で減退させるようにしている。ベネズエラ経済を困難な状況に沈ませるための方策はうまくいっている。

新たな制裁が「ベネズエラをめちゃくちゃにする」ことになるだろう。

もちろん、ベネズエラ政府はそのような攻撃に対してしっかりと対応しています。

まず強調したいのは、ベネズエラは南米の他のどの国よりも多くの借金を支払っているということです。過去4年間だけで、ベネズエラは約740億米ドルを債務返済のために支払いました。たしかに対外債務の累積はありますが、その再編についても再交渉を目指して「常に明確な戦略を持つ」ています。

国外の反チャベス主義者はベネズエラ革命を財政的に孤立させようとねらっています。彼らは個人投資家に恐れを生じさせたいので、ベネズエラ国債を購入せず、ベネズエラ債務の再交渉にも参加しようとしません。このため新規投資はもはやストップされています。

積極的な貿易、銀行口座、金融への迫害が強められています。ベネズエラが直面するのは本物の「迫害」です。

13.債務スワップ交渉の成功

ベネズエラ政府は11月3日に借り換えを統合する委員会の創設を発表しました。メリカからの金融攻撃を跳ね返すために、対外債務の再編が計画されています。政府は「バランスを取るために外部からの支払いを完全に再フォーマットするつもりだ」とのべました。

数日後、大統領が提案した再交渉と再編への最初のアプローチの一環として、カラカスで債権者との話し合いが招集されました。そこにはアメリカの金融封鎖の目論見に反して、パナマ、英国、ポルトガル、コロンビア、チリ、アルゼンチン、日本、ドイツの債務者グループが集まりました。


(③に続く)

2017年、ベネズエラ人民はどう闘ったのか

これは1月2日のテレスール(TeleSur 通信)に掲載された文章の要約です。原題は“ベネズエラ大統領マドゥーロの12の勝利ー2017年版(The 12 Victories of Venezuelan President Maduro in 2017)”となっていますが、多少表現を変えました。「12の勝利」のすべてがはたしてほんとうに勝利なのかよくわからないのと、ニコラス・マドゥロ大統領個人の功績よりもベネズエラ人民の闘いを引き出す形で紹介したかったからです。
要約とは言え、解説的なフレーズを加えたりすると、かなり長くなりそうです。とりあえず、本日は第一部として掲載します。

1.最初の攻撃: 大統領解任の企て

今のベネズエラ政府ほど、不当に中傷され攻撃を受けた政府はありません。それは「ボリーバル革命」を標榜してベネズエラの政治改革を創始したウーゴ・チャベス(故人)への攻撃をも凌ぐものです。

今、ベネズエラ政府は国内の反体制野党と、国外の親野党勢力の共通の攻撃目標となっており、とりわけ米国のトランプ政府の主要攻撃目標となっています。

1年前、2017年が始まるとすぐに、大統領に対する攻撃が始まりました。最初の攻撃は国会内の野党が仕掛けました。1月9日に野党はマドゥロ大統領が「我が国の大統領としての立場を放棄した」と非難し、大統領を「解任」することを決議しました。

この「国会によるクーデター」というモデルは、2016年にブラジルでディルマ・ルセウ大統領を追い落とすために用いられた手段です。(ブラジルではオリンピック直前に、進歩派の大統領が“職権乱用”という曖昧な理由で弾劾され、財界代表が大統領になりました。これを機に南米の政治状況が一気に悪化しています)

しかしこのやり方はベネズエラでは成功しませんでした。最高裁がこの決議を却下したからです。理由は「憲法の下で、国会は国民によって直接選出された首脳を解任することはできない」という立憲主義的な判断です。

国会の動きに対抗して、1月14日に「不可欠な反帝国主義的行動」と呼ばれる大規模な市民治安訓練が組織されました。ベネズエラ人民は「2002年4月のクーデターの再現は許さない」という決意を示すことによって、国会クーデターの試みに応えようとしました。
「行動」には軍兵士、民兵、社会人など60万人が結集しました。それは軍と市民勢力、ベネズエラ統一社会党(政権与党。以下PSUV)との団結を印象づけるものでした。

これが2017年の最初の攻撃と反撃でした。

2.反政府デモと対抗デモ

1月20日にワシントンで就任したドナルド・トランプはベネズエラの右翼を励ましました。ベネズエラの野党はこれに応え、1月23日にカラカスで大規模な抗議デモをしてマドゥロ政府を脅かそうとしました。

1958年のこの日は、独裁者マルコス・ペレス・ヒメネスの崩壊した日でした。つまり野党はマドゥーロ政権を独裁者に、みずからを民主派に擬したのです。(「1958年革命」については私のベネズエラ年表をご覧ください)

しかし、彼らの試みはみじめに失敗しました。

同じ日、政府は58年革命の英雄たちをあらためて祀り、PSUVは祈りを捧げる集会を組織しました。数十万人のカラカス市民が首都の道を埋めました。そしてチャベス主義が街を支配していることをはっきりと見せつけました。(ベネズエラではボリーバル主義というが、この記事ではチャベス主義に1本化する)

これが2017年の年頭における、二度目の人民の勝利となりました。

3.国会の「任務放棄」という違憲状況

最高裁は、国会が2016年以来「違憲」の状態にあるとの判断を示しました。これは直近の2015年12月6日に行われた国会選挙の際に、アマゾナス州での不正選挙の疑いが認定されたためです。

アマゾナス州では州政府の書記が、野党候補者に投票をうながすために、複数の特定グループに金額を渡していましたが、その合計を提供した記録が証拠採用されたのです。

アマゾナス州には3議席が割り当てられていますが、それは大きな意味を持っています。なぜなら野党が大統領の行動を制限する権限を確保するために、議席の絶対多数を確保できるかどうかを左右するからです。
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  アマソーナス州(ウィキペディア)
全土が熱帯モンスーンの樹林。面積は日本の半分。人口は14万人。うち州都に10万人。気の遠くなるような田舎である。

ところで、議会と最高裁の緊張はすべての先進国の民主主義システムの中で比較的頻繁に起こっています。たとえば欧州では、司法と立法府間で憲法紛争が発生した場合、最高裁判所が議会の権限を引き継ぐのが一般的となってます。

そして米国でも、ドナルド・トランプのような強引な大統領でも、最高裁判所の決定を守らなければなりません。これは最近の報道でもおなじみです。

4.反政府国際キャンペーンと「メディア・リンチ」

しかし野党勢力は議会と最高裁の緊張を利用し、「ベネズエラにおける民主主義の欠如」という国際キャンペーンを再開しました。

米国の新政権もこれと共謀して、反ベネズエラ攻撃を強めました。こうしてベネズエラ政府に対する巨大でグローバルな「メディア・リンチ」が始まりました。

ラテンアメリカとカリブ海諸国の主要メディアだけではなく、ロンドンのBBCやCNN、フォックス・ニュースなどの支配的なメディアも動員されました。

5.米州機構の干渉

ベネズエラの野党勢力は、国内紛争を南北アメリカの協議機関である米州機構(以下OAS)に移管することで、問題を国際化しようと画策しました。

OASの事務局長であるルイス・アルマグロは、その動きを拡大させ、「ベネズエラに対するOAS民主憲章の適用」を引き出そうとする嘆かわしい役割を引き受けました。カラカスは直ちに反撃し、ラテンアメリカとカリブ海諸国の大部分との外交的連帯を確保しました。

アルマグロ事務総長は不当な虚偽の議論を繰り返しましたが、それにもかかわらず、ベネズエラは決して中南米諸国の支持を失うことはありませんでした。

4月にベネズエラ政府は「ベネズエラの主権に対する侵入的行為」と非難しOAS脱退を決めました。しかしそのことによってベネズエラが孤立することはありませんでした。これは1962年にキューバが米州機構を除名されたときとは全く異なる状況です。(キューバ経済封鎖については拙著「キューバ革命史」をご参照ください)
ワシントンを発信地とするベネズエラ革命の敵は、ベネズエラ政府の事実と政治的誠実さに裏付けられた堅実な戦略によって敗退しました。

これが2017年の第3回目の勝利です。

6.裁判所が議会の権限を行使し立法を代行

3月29日、憲法裁判所は「国会の司法への侮辱と政治的無能の状況が続く限り、法の支配を確実にするために憲法裁判所が議会の権限を直接行使する」と宣言しました。これは国会が本来の立法義務を果たさないことへの警告でした。

反チャベス野党はこれを待ち望んでいたかのように大声で叫び始めました。「我々が助けを求めれば、国際的な軍事支援が寄せられるだろう」そして反逆的な計画を推進しました。
こうして長くて悲劇的な「グアリンバの危機」が始まりました。
GUARIMBA-1
guarimba:ベネズエラで10年ほど前から使われ始めた新語。選挙の不正に抗議する手段として野党系若者のあいだで認められている。参加者はグァリンベーロとなる。
7.グアリンバの危機

4月から7月の4か月の間、反革命主義者たちは政府に対する絶望的で残忍な戦闘攻撃を続けました。主として、国際的パワーによってドルを提供された反チャベス勢力である「正義第一」党と、その戦闘部隊である「人民義勇軍」が暴力を振るいました。

これらの右翼組織は同時に「不規則な戦術」を展開しました。彼らは組織犯罪者による準軍事組織、テロリスト、傭兵を使用することを躊躇しませんでした。彼らは神経戦・心理戦・恐怖戦と「民主的な」宣伝を担当するエリート専門家と一緒に組んで行動しました。

これらすべての作戦は、ベネズエラで民主的に選ばれた政権を打倒するという、病的で歪んだ目的を持っています。

暴力で酔いしれた暴動犯は、次々とベネズエラの民主主義を襲いました。病院、保健所、保育園、学校、高等学校、産科病院、食料品店、官公庁、数百の民間企業、地下鉄駅、バス、公共インフラなどが攻撃されました。
彼らが支配したブルジョアの居住区では、いたるところに立入禁止のバリケードが増えていきました。モロトフのカクテルを投げつける暴力グループは、治安警察を標的にしていました。5人の警官が射殺されました。カラカスの西側が高級住宅地です。ここでは市長も警察も反政府派です。

多くの「グアリンベーロス」は、公共の道路にピアノ線を張ってをオートバイを攻撃しました。憎しみと人種的な差別心にあふれた彼らは、若いチャビスタ(チャベス派の活動家)をなぶりものにしました。合計29人がリンチにあい、うち9人が死亡しました。反革命主義者が歓喜のうちに過ごした4ヶ月のあいだに、全体では117人が死亡し数千人が負傷し数百万ドルが失われました。
反政府派は資産を持つ白人です。チャベス派は貧しい有色人です。反政府活動には人種差別的な色彩があります。そこでは日本人は「名誉白人」となっているようです。

グアリンバと並行して、狂気のメディアキャンペーンが国際規模で続けられました。そこでは無実の人を殺し学校を破壊した人々が賞賛されました。病院を焼いた人が「自由の英雄」と持ち上げられました。
July 31, 2017AFP
           2017.7.30 AFP

7月30日の制憲議会の議員選挙が迫ると、野党はますます戦術をアップし過激な行動を提起するようになりました。彼らは軍事基地を攻撃するよう呼びかけました。さらに軍隊を正統な政府に立ち向かわせ、大統領宮を襲撃するよう呼びかけるなど、事実上の政府転覆作戦まで提起するようになりました。

クーデターを意図する極右集団は、内戦を開始し、市民連合を破壊し、ベネズエラの民主主義を破壊するためにすべての可能性を試みました。

それは裏返しの世界、すなわちポスト・トゥルース(事実を否定する真実)とオルタナティブ・トゥルース(事実でない真実)の世界でした。

(続く)

最近書いた記事です。

ベネズエラの「ある左翼」

少し前の記事です。

しばらく前の記事です

だいぶ前の記事です

ベネズエラでは野党連合に「左翼勢力」の一部が加わっていることから、さまざまな憶測を呼んでいます。
オーストラリアの左翼活動家が、この点に関して包括的なレポートを発表しています。
ものすごく長くて、とても訳すことはできませんが、最初のところだけちょっと紹介しておきます。


著者は社会主義オルタナティブ・オブ・オーストラリアの活動家と言うことです。

1. ベネズエラにおける実験
商業メディアでベネズエラ政府について何かを読んだことがある人は、気づいているだろうと思います。
そこでは過去17年間、ベネズエラ政府は抑圧的な独裁政治として特徴付けられてきました。
しかし、ボリバル革命の支持者たちは、別な物語を語ります。
彼らは今、急進的な民主化を達成し、貧困を大幅に削減しつつあると主張しています。
この間に展開された生産拠点における労働者の管理への参加、協同組合組織の普及と拡大、地域コミューンの活性化の試みなどは、いまもなおボリーバル革命の重要な礎石であり続けております。
しかし、2000年代の最初の10年を通じて進行した急進的変化は、いま大きな挫折に直面しています。
ボリバル革命は資本主義国家に打撃を与えたかもしれないが、 社会主義の生産方式を確立するには至っていません。逆に深刻な経済的、政治的危機に直面しています。
ボリバル革命の未来への可能性は残っていますが、強力で多様な右翼の野党の台頭も進行しています。
それは民主円卓会議(MUD)として知られています。
さらに米国は「ベネズエラの脅威」を騒ぎ立て、演出しています。
 MUDの目的は明確です。 それはボリバル革命を破壊するための政府を設置することです。それは米国の利益に準拠しています。
今の政府は革命の成果をまもり、革命の基盤を広げ、そのことで危機に対処しようとしています。
7月30日、ベネズエラで新しい制憲議会(ANC)が選出されました。制憲議会を立ち上げるための選挙は、国内外の強い妨害に会いました。野党の支持者が200ヶ所の投票所を攻撃し、10人以上が死亡しました。海外の右翼メディア、特に米国とスペインではマドゥロ政府の暴力を非難して「非民主的で抑圧的だ」と宣伝しました。
ベネズエラのブルジョア・プレスは、恐怖とヒステリーという広範な雰囲気を引き起こし、「新議会がニコラス・マドゥロ大統領に独裁権力を与える」と主張し、選挙の有効性に疑問を呈しました。

2.反政府合唱に加わった「左翼」
このような反政府の合唱に一部の左翼も加わっています。
米国人のマイク・ゴンザレスのようなマルクス主義者です。ゴンサレスはグラスゴー大学の教授で歴史家、文学評論家です。
不確実性と米国の介入という状況の中で、彼らは連帯を促進するかわりに「権威主義と抑圧」という右翼と同じ言葉を使って政府を非難しています。

ゴンサレスらは、「社会主義潮流」(MS)というベネズエラ内の一派閥を無批判に支持しています。MSは与党の「統一社会主義党」(PSUV)から分かれ、右派連合に加わったグループです。
 3月27日に公表された声明の中で、MSは「最も広い統一行動」を求めています。
彼らは右派の抗議者の行動をこうやって擁護しました。
「国家が市民権の行使を侵犯したときに、デモ参加者が正当防衛権を行使することは正当です」
彼らは抗議の性質について嘘をつきました、デモ関連死のほとんどが国家警備隊の手によるものであったと主張しました。
野党がボリーバル革命支持者へのテロとリンチを実行していた時に、MSは「それは人々の抗議の声である」と主張しました。
ボリバル革命支持の集会に出席していた公務員に野党勢力が発砲したとき、MSは「彼らは "偶然"殺されたに過ぎない」と主張しました。
ゴンザレスとその仲間が分析を引き出すのは、これらの反革命家です。彼らは一貫した革命的な路線を持っていないが、政府とボリバル革命を体系的に非難します。

3.「左翼」のふりをした反革命勢力
彼らは「マドゥロが問題である」と述べ、「政府は非民主的であり、トップダウンであり、抑圧的である」と主張します。そして事実上、右翼の野党の主張を繰り返しています。
彼らは、政府が労働者階級によって打ち倒される必要があることを叫びます。
ここで私が強調したいのは、社会主義者には、商業メディアが主張する主張を批判的に分析し評価する責任があるということです。
ゴンサレスらは、「ベネズエラ政府は非民主的かつ抑圧的である」と述べています。そうやって野党や企業メディアの主張を繰り返します。
国家と民族の尊厳が危機に瀕しているときに、そこでは国際連帯の原則が放棄されています。彼らは米国の帝国主義的介入をカバーする役割しか提供していません。
ベネズエラの社会主義の主な敵は政府ではなく、米国の支援を受けているベネズエラのブルジョアジーです。
彼らこそが、ベネズエラにおける貧困の根絶と労働者階級の解放のための、主な障害であるのは彼らです。

まぁ、政府側にもいろいろ誤りはあると思いますが… お互いの話も聞いた上で、これまでの経過も勘案して判断してはいかがでしょうか。

国連人権専門家のアルフレッド・デ・サヤス氏が最近(11~12月)ベネズエラを訪問し、国家危機の政治化の危険性、政府に対する「心配なメディアキャンペーン」についてコメントしています。

要約を紹介します

私たちの仕事は、政府を非難することではない

民主的かつ公平な国際秩序の促進に関する人権理事会の専門家として、私は1か月にわたり現地調査し、総会のための6つの報告書を作成しました。

私たちは人権をより良く実現するために来ています。そうするために、私たちは政府にアドバイザリーサービスと技術支援を提供します。

一部のオブザーバーや市民社会の活動家は、わたしたちを特別な特使や弁護士として誤って捉えているようですが、私たちの仕事は政府を非難することではありません。

私たちのミッションは人権侵害の告発ではなく、人権の確保と発展です。社会の進歩とより一貫した生活水準を促進するための共同努力の検討に焦点をあてています。

権限の範囲内で実行可能なソリューションを推奨することであり、私のアプローチは常に結果指向です。

今回の訪問には、両国の大臣、大使、外交官、教会指導者、学者、経済学者、教授、学生、市民団体とあいました。

ま私は、NGO、先住民、個人たちと会いました。市民社会組織は非常に有用な文書を提供してくれました。た拘留中の人の親戚との多くの会合が含まれています。 適切な担当者に向け請願書を送付しました。

私はたんなる情報の受け取り役ではありません。異なるグループ間のバランスをとり、真実の探求と目標とする積極的な情報収集を行いました。

民主主義に関する総論部分は省略

民主主義にとって、国際的な経済問題は避けて通れない

通貨投機は、目標とする経済を不安定化させるためのツールの1つです。

民主的正当性を持たない信用格付け機関の活動も、債券を発行し資金を調達する財務能力に重大な影響を及ぼします。

税回避は、それぞれの国の資源が不法に持ち出されたものです。それは国家の財政義務の履行能力に悪影響を及ぼします。

また国際的な犯罪グループは、公的資金、食料品、医薬品の盗難、人権の享受に影響を及ぼします。

ベネズエラでは、公共財産の破壊、公共建物、病院やその他の施設に対する放火、電気や電話回線の破壊など公共暴力が続いている問題があります。

私への中傷キャンペーン

残念なことに、カラカスに到着する数週間前に、私の使命に反対するキャンペーンが開始されたようです。私の任務を「偽の調査」と呼んでいる人もいます。

ソーシャルメディアでは、私の人間的信用度が疑問視されました。メディアが私を攻撃しました。あらゆる種類の侮辱や告発を含んでいました。それがジャーナリストと話したり、記者会見をしたりする前から始まったのです。

オブザーバーに先入観を強いる心配なメディアキャンペーンがあります。例えば ベネズエラに「人道的危機」があること、「人道危機」は終末であると言ったことです。私たちは、それが軍事介入と政権交代のための口実として誤用される可能性があることを念頭に置いて、誇張や過激さに注意する必要があります。

「人道危機」とその対応

ベネズエラの状況は人道危機の限界に達していません。しかし いくつかの分野では栄養不足、不安、苦悩がみられます。政府がこれらの問題に取り組んでいますが、改善策を提案しました。

食糧や医薬品の現在の不足を緩和するために、ベネズエラへの食料や医薬品の自由な流れが必要です。そのような援助は本当に人道的なものでなければならず、政治的目的を持つべきではありません。国際赤十字委員会および他の組織は、援助の輸入と分配を調整する上で確実に手助けをすることができます。

いくつかのセクターで受け入れがたいレベルの苦しみがありますが、そのことを繰り返すだけでは役に立たない。重要なことは建設的な提案をすることです。そのためには、問題の原因を多角的に研究することが重要です。

とくにサボタージュ、退蔵、闇市場の活動、誘発されたインフレ、食品や医薬品の封鎖の影響を知ることは重要です。

(米国のように)国を孤立させてボイコットしてはいけません。

重要なことは、包括的措置を通じて国際的な連帯のレベルを立証することである。UNDP、ユニセフ、FAO、UNAIDSなどの国際機関を通じた協力の努力を支援します。

私は特に、ベネズエラに国連からの助言や技術援助を求めるよう要請しましたが、この呼び出しは耳を傾けられています。


エクアドル関連記述は略


答えはノー

Venezuelanalysis.com Dec 22nd 2017

ベネズエラは、野党が来年の大統領選挙に出るのを正式に禁止している。少なくとも西側のメディアによると間違いない。ニュースはどこにでもあり、見出しはすべてそう言っている。

The Independent: ベネズエラ大統領選挙:ニコラス・マドゥロ政権が野党候補の出馬を阻止

ABC News: ベネズエラの3野党、出馬を阻止される

The Economist: 民主主義の名において、ベネズエラは野党を禁止

DW: ニコラス・マドゥロ大統領、野党の大統領選出馬を阻止

ニューヨークタイムズ紙とワシントンポスト紙も同じ話をしていたので、それは真実に違いない。確かに読めばそうだ。
「ベネズエラの国会議会は、水曜日、来年の大統領選挙に参加する最も影響力の強い野党の3人を効果的に取り除いた」
ニューヨークタイムズ紙の見出しににはそう書いてある。

しかし記事の本文は最初から食い違っている。記者(AP)は説明し始める。
「議会は、12月初旬の市長選挙をボイコットした野党が法的地位(立候補のための)を獲得するために再申請することを要求する声明を採択した」
のである。

したがって、問題は「法的地位のために再申請する」ことを強制されたことが、事実上の「禁止」を意味するのか、ということである。

制憲議会がどう言っているのか見てみよう

「国家または地方の選挙に参加するためには、政治組織は、憲法の定める直前の国家または地方の選挙に参加していなければならない」

これは野党よりの「エルナシオナル」紙から転載したものだから、間違いないだろう。

一体どうなっているのだ?

つまり、基本的な考え方はこういうことである。一般的に言えば、各当事者は各選挙に際して基本的な要件のセットを登録し、満たすことが求められるということである。

ただし、このプロセスは、前回の選挙に参加し投票の少なくとも1%を得た当事者に対しては免除される。しかし「直前の」選挙に参加しなかった場合、当事者は再申請プロセスを経なければならない。

だから、前回の選挙(一斉地方選)をボイコットした場合、次の投票に出馬するためには、大量の書類を通す必要がある。

明らかに、この動きは地方選挙をボイコットした野党を対象としている。

これには、民主円卓連合(MUD)の主要三政党、すなわち民主行動党(AD)、「人民の意志」(VP)、そして「正義第一」(PJ)が含まれる。

「彼らが選挙に参加することを拒否したのだから、彼らは再び検証されなければならない」と、制憲議会の議長は語る。
「これが合理的な措置であるかどうかは、あなたが決定することです。議論があるでしょう。
有権者であろうと候補者であろうと、民主主義への参加行動に対するいかなる障害も非難されるべきであるかもしれません。
反対に、野党は勝てる選挙にしか出馬しない、負ける選挙はボイコットするという習慣が悪いと考える人もいます。
しかし、これはただの「負け犬戦略」ではありません。むしろ、ベネズエラの民主主義を非合法化し攻撃することを目的としたシニカル・ショーです」
いずれにせよ、問題はこのことに尽きる。この決議は、主流のメディアが主張しているように、野党の出馬を事実上禁止しているのだろうか?

検証要件はどれぐらい厳しいのか?
ANCの決定が、事実上野党の出馬禁止を構成するほどに厳しいものなのか。それを理解するためには、申請プロセスをより詳細に見る必要があります。
まず、選挙活動を再開するためには、少なくとも0.5%の有権者の支持を得ていることを示す必要があります。
これは政党・政治活動法の第2章、第10条に記載されています。
この要件は、米国に比べて特に煩わしいものではない。例えばカリフォルニアでは、政党資格を得るには登録された有権者の0.33%の支持が必要です。
しかしフロリダでは、閾値は5%とかなり高いです。 それにもかかわらず、フロリダは独裁者だと主張する人はいないでしょうか?

登録プロセスの本当の問題

以上のごとく、制憲議会の決定を「野党」当事者の「禁止」と表現したすべてのメディアは、基本的な事実レベルでは間違っていた。
野党にとっては、新しい要件は、少なくとも今のところは彼らに何の影響も与えてはいないようです。
選挙が近づくにつれ、ANCやマドゥロ政権がいくつかの障害を投げつけようとする可能性を否定するわけではない。たしかに2018年の投票では、両派の中に多くの不届き者を見るかもしれない。

左派の小政党にとっては再登録は非民主的に見える可能性がある。これが登録法の本当の問題だ。

共産党は、かつてPSUVの密接な同盟者であったが、制憲議会の要件は、プライバシーに対する攻撃であると主張している。
オスカー・フィゲラ書記長は「将来の政治的迫害の基礎を築く可能性がある」と批判する。
登録プロセスは、大規模な野党に対する包括的禁止ではなく、実際には革命家や草の根の候補者が立ち向かうのを困難にする可能性がある。

後略

ベネズエラ封鎖の4つの効果

金融封鎖は、財やサービスの日常的な国際支払いに直接影響を与える

By Misión Verdad

Dec 4th 2017

1.インスリンの輸入資金が凍結される

8月に、ドナルド・トランプ大統領が金融制裁を課してから、ベネズエラは、国内で生産されていない医薬品や食料品の輸入の際にさまざまな困難に直面しています。

金融封鎖は、財やサービスへの日常的な国際決済に直接影響を与えています。

ベネズエラ政府はこれを繰り返し非難しています。ニコラス・マドゥロ大統領は、「ドナルド・トランプ=フリオ・ボルゲス条約」のおかげで、30万単位を超えるインスリン貨物が国際港湾で動けなくなっていると非難しました。

米国の金融機関シティバンクが、糖尿病患者のインシュリン貨物を輸入するために入金した資金を受け取ることを拒否したためです。

その結果、インスリンの輸送は何日間も港湾で待たされました。マドゥロ大統領は、「私たちがお金を支払っても、彼らはそれを受け取らない」と説明しました。

マドゥロ大統領は、「今週から、私はトランプとボルジスが薬の封鎖の責任者だと非難する」と述べました。そして今年はじめの「正義第一党」によるボイコットの要請を引用した。ボルジスはこの党の代表者としてトランプにベネズエラ制裁をもとめたのです。

2.コロンビアによるマラリア薬の封鎖

11月3日、タレク・エル・アイサミ副大統領が非難しました。

ベネズエラは、コロンビアで抗マラリア薬であるプリマキン(Primaquine)を購入しました。しかし、「製薬会社が最終目的地はベネズエラ保健省と知ったとき、コロンビア大統領の命令でこの薬の配送が意識的に阻止された」と述べました。

マドゥロ大統領は、「すでに薬を購入するためのお金があり、それを支払うために行くとき、コロンビア政府はこれらの抗マラリア薬のベネズエラ国民への販売を禁止した」ことを明らかにしました。

同時に「これらの薬はどこかで買うことができる。ベネズエラの人々は、これらの疾病と戦うための医薬品が不足していない」と述べました。とはいうものの、実際には、プリマキンおよび慢性疾患のための他の薬は、インドで購入しなければなりませんでした


3.食糧購入資金の停止

地元産品供給委員会のフレディ・ベルナル事務総長は、1年前から、ベネズエラは食糧輸入の激しい封鎖に苦しんでいると述べました。

国際的な銀行は、ベネズエラで食品を加工して生産するのに必要な備品を運ぶコンテナ船の到着を遅らせました。その結果29隻の輸送船が3ヶ月にわたり到着が遅れました。その間銀行から輸送業者への支払いは行われませんでした。

これがベネズエラとの金融戦争の一環です。

ベルナルは「私たちは業者に経費を支払う方法を探して68日もかかりました。もちろん、現在の深刻な食糧配給に影響を与えていることを国に伝えなければなりませんでした」

ついに私たちは支払い方法を見つけました。

ベネズエラの当局は、食品をベネズエラに持ち込むために、さまざまな同盟国と協力して三角貿易の支払い方式を生み出す必要がありました。

この方式は通貨に対する攻撃と経済的な攻勢によるインフレとモノ不足を劇的に縮小させました。

しかし、この9月には、またも支払いがブロックされたため、1800万のパッケージを配布することができませんでした。

さらに、支払い契約が成立したとしても、今度は運輸契約が困難になっています。出荷ボイコットが組織されました。600個のコンテナが、一回の出荷ではなく6度に分けられなければなりませんでした。

これらの障害は明らかに、ベネズエラに反対する強力で覇権主義的な国家によってもたらされたものです。

4.ベネズエラのスポーツチームによる旅費支払いの妨害

しかし、ベネズエラの人々に課せられた封鎖の主要な表現は、医薬品や食品だけではありません。スポーツも影響を受けます。

9月6日、某国際的銀行が、ベネズエラから米国の金融機関への支払いが「不可能」であるとボリビア政府に通知してきました

ベネズエラの様々なアスリートの航空券、宿泊施設などのために、スポーツ省から150万ドルを譲渡することを拒否したのです。

マドゥロ大統領は、選手団の処分に政府航空機を配置することを決定しました。特に、ベネズエラの女子バレーボールチームは、2017年の南米選手権への参加が危うくなった。


ベネズエラは、米国の覇権争いに挑んでいる国との国際連合によりアメリカに対抗しようとしている。それなしにはチャベス主義政府の維持を図るのは困難である。


とりあえずリンクを貼っているヒマがないので、検索窓に「ベネズエラ」と入れてください。20篇くらいは出てくると思います。

ハイパーインフレの原因についてはベネズエラ大使館は下記のように説明している。正確には下記のように説明した論文を紹介している。

日本語訳がややわかりにくいが、英語を読むよりはまだ良いかと思って読み始める。

1.おおっぴらなダフ行為

ベネズエラは為替相場は固定されている。昔の日本のように1ドルが360円なのだ。ところが公定レートあるところかならず闇レートが存在する。

闇レートは、行列に横入りするようなもので、そもそも犯罪であるが、強烈な需要がある場合は必要悪ともなる。

闇レートはその成り立ちからして、それほど大きな規模ではない。したがって乱高下はするがだからといって表経済にはさほどの影響はないはずである。

たぶん、そういう常識はもはや通じなくなっているのであろう。

文章は最初から意味がわからないが、

政府はGDPの35%を年間輸入可能量とし、これに相当する外貨を輸入業者に割り当ててきたらしい。ところが輸入業者が輸入した商品をいくらで売るかは輸入業者に委ねられている。

そこで輸入業者はこういうことをする。

輸入に必要なドルを確保するときは、公定レートで政府から受け取る。しかしそれを販売するときは闇レートに換算して値付けして、販売するということである。

ごく普通に聞けば、これは犯罪である。どのような価格設定をしようと売れなければ仕方ないので、そのへんは普通には(ルイビトンを百ドルで売ろうが千ドルで売ろうが)市場の論理であるが、ドルの割当というのは誰でも獲得できるわけではないので、そこには競争原理は働いていない。

これだと、許認可をめぐる関係の不透明性が強く疑われ、元売りから小売に至る流通のいたるところに恣意的契機が存在するであろう。

ついで論文は、状況をわかりやすくするために例を上げているが、そこにはありえない話が展開されている。

自動車のスペアを輸入する会社が、国から公定ルート、つまり1ドル=10ボリバルで外貨を受け取って製品を購入したとする。(文章では公定ルートではなく「優先的な為替レート」と書かれている)これを国内で販売するときには、闇ルートである1ドル=1,000ボリバルを使用する。

もうこれだけで唖然とする話だ。

しかし話はこれで終わらない。話はさらに進む。


2.ヤミ社会が金融を仕切る

これは以前より続く状況である。しかし2006年以降、事情は変わった。

ブラックマーケットでの推定為替レートが一般社会に拡散されるようになった。3つから4つのウェブ・サイトが毎日、ヤミ為替レートを公表するようになったのだ。

このレートは、実体経済の動向にも、外貨準備の水準にも、通貨ボリバルの供給量にも応じていない。それは恣意的で、操作された、不均衡なレートである。

論者はこう言って嘆く

2006年以降、為替レートの変動理由とされてきたのは、変わりやすい政治である。ベネズエラで何らかの選挙プロセスの日程が示されただけで、この種の為替レートは急騰し始める。選挙が終わると、変動はまだ収まりはしないものの緩やかとなる。同様の動きが、政治情勢に合わせて観測される。

3.ちょっと私の意見

私はここまでの論者の為替相場論には賛成できない。気持ちとしては分かるが、為替相場というのはそういうものだからである。方程式の解ではなく生き物として扱わなければならない。それがどう動くのかをよく研究して対応していくしかないものだ。

固定レートなど一時の杭にしか過ぎないので、それを永久的なものと捉えるのは許せない間違いである。

ただし、投機資本の介入による売り浴びせなどに対しては、国際協調のもとで一定期間の為替レートの凍結も必要となる。ただしそれは97年のマハティールのごとく、国家主権をかけた大勝負となる。

ベネズエラにはそのような選択肢はないから、いずれデノミと変動相場への移行が必要になるだろう。

4.為替レートとインフレ

為替レートの変動を経時的に見たグラフがある。以下の説明がある。

次のグラフを見ると、「違法な対ドル闇レート」の政治的なサイクルがわかる。2012年から変動が激しくなっており、さらに2015年12月の国会議員選挙直前にはさらに大きく動いている。

これらの影響とダメージがインフレ率に及んでおり、2012年8月から現在までで14,640%と犯罪的に上昇している。

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この為替操作は、物価上昇を引き起こすだけではない。生産水準、したがって雇用水準にも影響する。

5.べつに「供給ショック」でも何でもない

著者はこのあと、次のような議論を展開していく。

この為替操作が経済を歪めるメカニズムは、供給ショックとして知られており、次のように起こる。

1.違法なマーケットで為替レートを不均衡に操作する。

2.輸入を行う大規模な独占企業や寡占企業が、操作され違法にウェブ公開された為替レートを参照して国内価格を決定する。

3.経済の中で生産・輸入されるあらゆる財やサービスのコストが上昇する。

4.コスト上昇に伴い物価が上昇する。つまり誘導されたコスト増による、誘導されたインフレである。

5.労働者の実質的な給与が減少する。つまり、家庭の購買力が低下する。

6.家庭は家計の見直しを余儀なくされ、優先順位がさほど高くないもの(娯楽、衣服、靴等)から順に、多くの財やサービスの需要を縮小させる。インフレの程度と場合によっては、生活必需品の必要量まで縮小する。

7.需要の縮小により中小規模の事業者、特に生活で優先順位があまり高くない財・サービスを提供する事業者が影響を受ける。

8.これら事業者は従業員者数を減らす必要に迫られ、雇用水準に影響が出る。

9.家庭の購買力はさらに低下する。これはインフレ率の誘導された上昇だけでなく、失業にも起因するものである。

10.経済に多大な影響を与える悪循環が始まる。違法な為替レートの犯罪的操作により、物価が急騰し、生産が減少し、中小規模事業者の損失、ひいては失業に繋がるサイクルである。

わかったようなわからないような話である。

たぶん、こんな「風が吹けば桶屋が儲かる」式の話は意味がない。

要するに新手の犯罪なのだ。経済学的事象ではないのだ。主犯は大手輸入業者であり、闇レートの作成者ではない。
大手輸入業者は、金融官僚のおろかさにつけ入り、固定レート制度の弱点を利用し、闇レートの作成者に値を吊り上げさせ、その値段で商品を売りまくっているのだ。にも関わらず財務警察も独禁制の運用者も知らぬふりしているのだ。こんなにひどい犯罪はないのだ。
6.犯罪は罰せられなくてはならない

基本的に相互の善意に基づいて成立している商契約を、一方が明らかに悪意を持って裏切っているのだから、契約は破棄されるべきだ。他に代替業者がいないのなら、仕方がないので条件をつけて再契約するしか無いだろうが、その際にはいったん預けたドルをドルのまま返却させるべきだ。あるいは闇レートの現在の時価(ボリーバル)で返納させるべきだ。

わからないのだが、生活必需品の海外での購買と国内での販売を業者に託す時点で、入札は行われているのだろうか。契約内容は公開されているのだろうか。

論者も最後にこう書いている。

国、つまり政府だけでなく国が、外貨割り当てを受けている大規模な輸入業の独占企業に対してより大きな統制と管理を敷くことが急務である。国民が外貨割り当てに関する情報について、どの企業が割り当てを受け、どのような製品を輸入するのにどれだけ費やしたのか、どのレートで外貨を受け取ったのか、知ることが重要である。輸入事業者に対して、国からどのレートで外貨を受け取ったのかを包装に明記することを課した公正価格法第6条を守らせる必要がある。緊急に独占禁止命令を適用しなければならない。

この記載は十分正しい。だから以下の結論は逆に納得がいかないのである。

ベネズエラ国民に対する大規模かつ犯罪となる違法為替レートの操作と戦うことは、今日では単なる経済課題ではない。平和と民主主義の安定を確保する手段であり、平等と社会的正義のモデルに向けて歩み続けられるという希望である。

私にいわせれば、「違法為替レートの操作と戦うこと」は、実はどうでも良いことなのだ。むしろ大規模輸入業者の不正を取り除いたあとでは、「必要な悪」だとさえ言える。このような不正の土壌を形成したのが、不自然・不必要かつ長期にわたる固定為替制度なのだから、経済担当者はそのことを肝に銘じるべきである。

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