鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

13年4月、ぷらら・Broachより移行しました。 中身が雑多なので、カテゴリー(サイドバー)から入ることをおすめします。 過去記事の一覧表はhttp://www10.plala.or.jp/shosuzki/blogtable001.htm ホームページは http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」です。

カテゴリ:04 国内政治 > D 原発/東電

ということで、ALPSには実施上のさまざまな問題があって汚染水処理がうまく行っていないということは分かった。

しかしALPSは本質的に役に立たないという学者もいるようだ。

東洋経済オンラインの2013年10月22日の記事

東電・東芝の「ALPS」は、役に立たない

東工大・冨安名誉教授に汚染水処理の対案を聞く

というものだ。冨安さんは、東工大で原子炉工学研究所教授を務めた専門家。

汚染水というのは正確に言うと処理対象水(RO濃縮塩水)というのだそうだ。

この中にはストロンチウム90が1リットルあたり1600万ベクレルふくまれている。他の各種に比し圧倒的な比率だ。

ALPSの欠陥

東電は現状の技術では除去が困難なトリチウムを除く62の放射性核種を、ALPSを用いて規制値以下に減らすとしている。

しかし、富安さんによればALPSによる処理はコスト的に無駄であるだけでなく、危険だ。

なぜ無駄か?

ストロンチウムと比べて相対的に微量で、危険性の少ない核種も高いコストと手間ひまをかけて基準値以下に減らそうとしている。そのためにALPSは設備が大がかりになった一方で、最も重要なストロンチウム除去のための工程が合理的に設計されていない。

なぜそのようなことをしたのか。東電はALPS処理済み水の海洋投棄を想定しているからだ。

なぜ危険か?

ストロンチウムの吸着タワーは、チタン酸塩を吸着材としている。チタン酸塩は過度にストロンチウムを吸着した場合、放射線化学反応を起こす。

このときベータ線が水に照射して水素を発生し、これによる水素爆発のおそれがある。

発想が間違っている

第一に考えるべきは、海洋投棄を前提とせず、できるだけリスクが少ない形で汚染水を溜め続ける方法に切り替えることだ。

この後、富安さん独自の処理法が展開されているが、コメントできる立場にはない。

いずれにせよ、前の記事で私の感じた素朴な疑問が裏打ちされたような気がする。

肝心なのはストラテジーで、これは4段階に分ける必要がある。

一次除染: セシウムの除去をふくむ前処理

二次除染: ストロンチウムの除去

三次除染: ストロンチウム以外の61種の核種の除去

四次除染: トリチウムの除去

ALPSは二次と三次を一度にすまそうということだが、そのために技術的困難が生じている。

これはある意味で簡単なことで、「四次除染を行わない限り、海上投棄は認めない」という態度を示せば済む話である。

トリチウムが十分に比重が重ければ、やがて海底深く沈殿することになるだろうから、海洋投棄はありえない話ではない。

しかし沈まずに漂い続けるのなら、てんでアウトだ。善悪・可否の判断以前に漂着地である米国の世論が黙ってはいないだろう。

アメリカがダメと言って、それを日本は押しきれるだろうか? ありえない話である。

土曜日の赤旗一面トップは、かなり恐ろしげな見出しである。

「汚染水コントロール不能」

ただ縦見出しは「東電、年度内処理を断念」とあって、両者を総合すると、“未だにコントロールが未達成”だということのようだ。

中核となる事実は、東電の社長が次のような事態を公式に明らかにしたことだ。すなわち、

1.東電は安部首相に対し、放射能汚染水を3月末までに全量処理すると約束した。(2013年3月)

2.目標達成は不可能であり、断念する。

ということだ。ただし汚染水処理そのものは進んでおり、予定量の半分程度は処理済みである。

ということで、見出しは、ややセンセーショナルに過ぎる感もある。

福島原発の廃炉にとって最大の課題が汚染水処理だ。いまそれが最大の難関を通過しているということなのかもしれない。東電に好意的に見れば。

そこでネットから情報を集めてみた。


ALPSとはなにか

汚染水処理はどのようになされるのか。その中核となるのがALPS(多核種除去設備)という装置らしい。

そしてALPSの不具合が多々あって、それが処理の遅れに繋がっているらしい。東電側はそう説明している。

そこでALPSだが、ちょっとだけ記事を深読みしてみた というブログの

2013-09-14 福島原発 ALPS トリチウム

で要領よく説明してくれているので紹介する。

まずALPSの名前は、Advanced(高度な)Liquid(液体の)Processing(処理)System(装置)の頭文字なのだそうだ。

f:id:news0109:20130914140308j:image

この図のごとく、16個のタワーが立って、その中を通過していくあいだに62種類の放射性物質が除去されるというもの。

処理能力は1日500トンとされているので、結構なものだ。まぁ1年もあれば処理は完了する計算だ。

この後、このブログではトリチウムの危険が訴えられているが、それはうまく行ってから発生する話。

そもそもALPSが回っていないところに問題がある。

なぜALPSが回らないのか

以下は IWJ Independent Web Journal というサイト

2015/01/26 予定していた年度内の汚染水全量処理は断念、新たな目標日程は検討中~東電定例記者会見

という記事からの引用。

ALPSの稼働率が想定通りに上がらない。特にストロンチウムを除去する吸着剤の性能低下が当初想定より早い。

また前処理が悪く、処理前の水にカルシウムや不純物が多く含まれている。このため、頻繁に運転を止め、クロスフローフィルターの逆洗洗浄を行う必要がある。

ということで、除去装置はすでに第一、第二、第三世代と投入されているが、能書き通りの稼働には至っていない、ということのようである。

私は考えるのだが、ストロンチウム除去プロセスがLimitting Step になっているのなら、新型施設の設計時にどうしてそこを強化しなかったのかがわからない。場合によってはストロンチウム単独の処理施設を作ったほうが安上がりではないだろうか。

遅れている理由は他にもある

今月に入って、作業者の死亡事故が続いて起きた。このため21日以降、全ての工事作業が中断されている。

総点検の結果、相当安全設備の不備がひどいこと分かった。このため操業停止期間はさらに長引く可能性がある。

問題は汚染水処理だけではない。海水配管トレンチの充填止水工事、凍土遮水壁もとまっている。


と、とりあえずこんなところか。

変な話だが、致命的なコントロール不能=失速・きりもみ状態に入っているわけではないことが確認できて、ひと安心した。

しかし、どこか一段落しないことには、原発再稼働はムリだろうね。

こういう状況が世界に知られたら、安部首相は大嘘をついたということで、オリンピックを返上しなければならなくなるかも知れない。

25日の赤旗第3面で1ページを使った原発関連のインタビューが組まれている。

題名は「原発の経済性を問う」で、話者は立命館教授で環境経済学の大島堅一さんという人。岩波新書から「原発のコスト」という本を出しているので、そのダイジェストといったところ。

記事は率直に言えば肩に力が入りすぎていて、ゴタゴタとして読みにくい。さらに質問と回答がすれ違っているところが多く、結構イラつく。

質問を無視して回答の中から要点を拾っていくことにする。

1.損害賠償責任はどうなったか

賠償と除染費用など事故対策費は国の責任となった。大島さんの計算では、総額は11兆円と推定される。これにより東電の破産はなくなった。

それ以外の費用は電気料金への転嫁を認められた。一番大きいのは原発の維持費で、年間1兆円以上になるが、これが電気料金に上乗せされている。

2.東電のモラルハザード

政府は「原子力損害賠償支援機構」を設立した。政府が「機構」に国債を交付し、「機構」がそれを現金化し東電に交付して、東電はそれを賠償に当てている。

政府は他にも金融機関の東電貸し付けに保証を与えている。これにより金融機関の連帯責任は回避されている。

この辺りは、当初から「破綻処理」論として明らかにされている。当ブログでも何回かにわたり触れてきた。

ということで、最後の再生エネルギー問題での見解が目新しいところ。

…制度運用の失敗やほころびがある。太陽光に偏っている。しかし大枠では成功に向かっている。

…ドイツ問題(原発廃止したドイツが電気料金高騰を来している)には直接答えず、「悩みのレベルが違う」ということで済ましている。


私としては

1.当面は原油とリンクさせないLNGの独自供給ルートの確保。

2.長期的には、電気という形にこだわらずに、総合的エネルギー問題として方向を出す。

3.再生可能エネルギー問題は、本質的には環境問題の中に位置づけるべき課題。

4.自然エネルギーや地産地消は、本質的には地域開発の問題として位置づける。

5.水素ネットワークや蓄電システムは、本質的には次世代技術構築の課題として位置づける。

ということで、少し問題を整理すべきだと思う。

もちろん、大前提となるのは地球の有限性であり、原子力発電システムの廃棄であるが…

本日の一面トップは「新規制基準1年」というもの

安部首相は、「独立した原子力規制委員会によって世界最高水準の新しい安全基準が策定されました」と言っている。

これが嘘だという一番の根拠が「コアキャッチャーがない」ということだ。

これはきわめて単純な話で、ヨーロッパの原発の多くはコアキャッチャーが付いている、ところが日本の規制基準にはコアキャッチャーが義務付けられていない。したがって世界最高の規制基準とはいえないというものだ。

あまりにも単純な話であるために、政府はまともな反論ができない。

メルトダウンが起きた時、日本の原発はどうなるのか。炉心溶融物を受け止めるコアキャッチャーがないので、炉心溶融物は圧力容器や格納容器を溶かして外に漏出します。炉心溶融物は建屋のコンクリートと反応します。ここで発熱ひどければ、コンクリートも溶かして建屋を抜け、外部へ漏れ出します。

(原発隣接地帯から: 脱原発を考えるブログ より)

こんな話がわかっているのに、なぜコアキャッチャーを義務付けないのか。

コアキャッチャーの設計図
日本原子力学会HP掲載資料から引用)

コアキャッチャー

なぜなら、上の図みたいなもの作ろうとしたら、原発、最初から建設しなおさなければならないからです。

(原発隣接地帯から: 脱原発を考えるブログ より)

(コアキャッチャーもどきのものは東芝が開発中だが、ポンプで冷却材を回して冷やす仕掛けであり、全電源喪失の際は機能しない、まがい物である)

(このブログにコメントがあって、コアキャッチャーを使うようになっちゃえば、所詮はもう終わっている、という話です。たしかにそうですね)

どうも赤旗の見出しはミスリードのようだ。

最初に記事を読んだ時、日本の軽水炉型原発は欧州の加圧水型に比べ4つの欠点があるというふうに読んだのだが、そうではなかった。

どういう比較をしているのかと思って舩橋さんの参考人発言を聞いてみたら、「脱原子力大綱を読め」ということだったのは前報のとおり。

面倒なのでそのままにしようかと思ったが、やはり気になる。

そこで、その「脱原子力大綱」に行ってみた。

原子力市民委員会のホームページに「原発ゼロ社会への道――市民がつくる脱原子力政策大綱」(5.72MB)のPDF版が載せられている。その160ページが該当する部分だ。

taikou


4-7 新規制基準は「世界最高水準」には程遠い

福島原発事故の教訓と反省をもとに策定された新規制基準において初めて過酷事故が規制の対象になった。

その新規制基準について、「世界最高水準である」あるいは「世界一厳しい基準ができた」と田中俊一原子力規制委員長は公言しているが、それが事実かどうかを検証した。

福島原発事故が生じる以前の段階から安全性を高めた原発として設置が承認された欧州加圧水型炉(EPR)の安全対策に照らし合わせると、いくつかの重要な設備が新規制基準には入っていない。

これらの事実から、新規制基準が「世界最高水準」でないことは明らかである。

表4.3 安全設備に関するEPR と新規制基準の相違点

安全設備

EPR

新規制基準

安全上重要な系統設備の多重性

独立4系統

独立2系統

コアキャッチャー

設置

要求なし

格納容器熱除去設備

設置

要求なし

頑健な原子炉格納容器

大型ジェット旅客機の衝突に耐える二重構造

要求なし

(コアキャッチャーというのは、原子炉圧力容器外に流出した溶融炉心を格納容器内に貯留する設備のことで、そのものずばりである。格納容器の熱除去設備というのは、コアキャッチャーを水で循環冷却する装置で、さらに原子炉を水棺にできる機能も併せ持っている設備のことで、要するに溶けた炉心の二重の受け皿ということになる)

4-7-3 原子力規制委員長自ら安全文化を軽視

田中俊一原子力規制委員長が「新規制基準は世界最高水準である」と公言すること自体に、安全文化(セイフティー・カルチャー)に関わる大きな問題点が含まれている。

IAEA が注意を促す「安全文化が劣化する典型的なパターン」の第1項に「過信:良好な過去の実績、他からの評価、根拠のない自己満足」が挙げられている。

原子力規制委員長が「新規制基準は世界最高水準である」と公言することは、前節で明らかにしたように、この「根拠のない自己満足」に当たると言わざるをえない。


ということで、要するに日本の安全基準が緩いと言っているだけの話だ。軽水炉か加圧水型かはこの際関係ない。

大変お騒がせしました。

なおこの「脱原子力大綱」、題名とその厚さに怖気を振るってしまうのだが、中身は案外読みやすく、寝転んでも読める。

だいじな知識がぎっしり詰まっているので、ぜひご一読を。

 

 

 

赤旗の国会ニュースで、参議院外交防衛委員会での参考人発言があった。その見出しに、「世界最高水準安全は“錯覚かウソ”」とあった。

「うーむ、そういう切り口もあるなぁ」と感心して記事を読んだが、さわりだけで前後関係がはっきりしない。

もう少し詳しく知りたいと思ったら、「避難の権利」ブログ というサイトに発言の要約が載せられていた。その一部を紹介する


舩橋参考人(法政大学教授・原子力市民委員会座長)

1.原則的視点

原発輸出問題について考慮するべき論点として大局的原則的視点が必要。

まず、原発を輸出の是非、ついで国内の原発政策だ。

我が国の規範・原則である「平和・民主・自主」に立脚しなければならない。またそれが検証できなければならない。

2.エネルギー政策のありかた

エネルギー基本計画が閣議決定されたが、妥当とは思えない。

我々の「脱原子力大綱」と比較して、どちらが包括的かを検証してほしい。

3.原発の安全性と規制基準

原発に関わる危険は技術でコントロールできない。

「新規制基準」は安全基準ではない。過酷事故のリスクをゼロにすることはできない。

新規制基準は「世界最高水準」ではない。過酷事故対策についても欧州加圧水型基準にくらべても4つの点で劣っている。

4.原発輸出に伴う問題

日本が輸出した原発の放射性廃棄物をどうするのか? 日本が引き取るのか?。 他国に押し付けるのか?


ということで、肝心の「4つの点」が書かれていない。

仕方ないので審議中継を閲覧することにする。

苦労してやっと頭出しに成功して聞いていたら、「4つの点の内容については我々の大綱を参照してほしい」ときたもんだ。30分時間を無駄にした。

赤旗もまじめに報道してほしいものだ。

内閣の閣議決定したエネルギー基本計画の骨子


energy


ようするに、原発は続ける。再稼働はやる。核燃料サイクルも続ける。もんじゅはやめないということだ。
もし電源各社や経団連は押さえられたとしても、原発を隠れ蓑にしたプルトニウムの生産はやめられないということなのだろう。
日米同盟という錦の御旗を前にしては、豪腕安部首相といえども楯突くことは許されないだろう。まぁ最初からその気などないのだろうが。
ただ、それを良いことにして図に乗る経済団体の冷血・厚顔ぶりも頭にくるが。


本日の文化面には東大名誉教授の島薗さんが登場する。

島薗さんは宗教学者で、生命倫理の問題が専門のようだ。

宗教者らしく、やや断定的な物言いが気になるが、二つの問題意識は共通するものがる。

一つは、我々がむかし「産学協同」といっていたものがさらに深刻化している問題。

もう一つが、科学者の「専門バカ」化が、大衆蔑視とない合わさってさらに進行していることだ。

「専門バカ」と大衆蔑視は「卵が先か鶏が先か」みたいなところがあるが、その先に見えてくる学者像が「ヒラメ型」人間だ。

ヒラメというのはヒラメには失礼かもしれない。ヒラメには背中と腹の間には美味しい身があるが、連中は紙のようにヒラヒラだ。守るべきものがない。骨が全部透き通って見える。

島薗さんは、場(フォーラム)の形成を呼びかけている。

狭い領域の専門家だけでなく、人文科学や社会科学もふくめて異なる専門領域の人達が議論して科学技術の方向を決めること、さらに科学技術によって影響を受ける人達が参加できる場を作ることが必要です。

それはそのとおりなんだけど、肝心なことは科学者に腹と背中の間に筋肉を付けさせることだろうと思う。養殖ハマチではなくコリコリのヒラメだ。

それは、市民の厳しい批判を通じて行われるほかない。そして科学者同士の相互検証を強めるしかない。「世の荒波」の洗礼だ。

原発事故とその後の反原発運動を通じて痛感したのは、「街の専門家」を先頭とする草の根レベルの専門的知識の高さである。

知識の高さというより、必要とあれば理解しようとし理解できる潜在能力の高さである。

市民の力を侮る「専門家」は何時の日か、こてんぱんにやっつけられる日が来る。

そのことを「専門家」は肝に銘ずるべきだろう。


赤旗の一面トップは原子力規制委員会の第28回定例会(23日)の報道。

いくつかの発言を取り上げている。

「柏崎の刈羽原発が(再稼働を申請するくらい)万全だというなら、その(スタッフを含めた)リソースを福島原発に投入できないのか」という意見が3人の委員から出されている。

原文を見てみようと思ったら、まだ文書化はされておらず、会議映像がそのままYouTubeにアップされている。

全1時間45分、とても長くて付き合いきれない。と言いつつ流していたら、1時間10分過ぎにやっと報告が終わって、議論が始まった。

先ほどの発言は、まぁもののついでみたいな発言だが、全体の議論は極めて悲観的なムードで展開されている。

その理由はいくつかある。

まず第一が、現場の消耗だ。委員が一様に強調するのがここ。

現場は疲弊しているだけでなく、線量が限界に達するスタッフが続出し、人的に現在の力量を維持できなくなっている。

第二に、次から次へと難題が出てきて、今後も止まりそうにないこと、しかも対応能力が落ちていく危険性が高いことだ。

「人は石垣、人は城」というが、予期せぬ事態が続出する状況にあって、最大の防壁は技能・経験も含めた人の力だ。その防壁が脆弱になっていることに最大の危機がある。

第三に、東電トップの誠実さに疑問があり、抜本的な対策が確立されないままになっていること(ケチっている可能性がある)

第四に、東電が誠実であったとしても、そこには限界があり、政府の関与が不可欠だということ。しかし安倍首相は政府が責任を持つといったのに、いまだに具体的な動きが見られないことだ。

会議の最後は、委員長が東電社長と会って、きちっと話し合いを持ち、とりわけ現場スタッフの確保と配慮について対策を促すことになったが、「きっとのらりくらりと逃げまわるだろうな」という表情が田中委員長の顔には浮かんでいる。

これは実写ならではの情報だ。

御用とお急ぎの方も、最後の5分だけでも良いから、見てやってください(とくに1:14頃からの中村委員の発言)


この会議がいいのは現場主義を強く押し出していることだ。現場主義の視点から問題を捉え直していることだ。

現場には答えがある

この点についてはルネサス山形工場の関連記事でも触れた。

ウンザリさせられるありきたりの案から離れて、現場レベルの深い情報を賢く活用し、現場の士気を鼓舞するような、力強い産業政策を打ち出すならば、日本国内にも、まだまだ収益化できる半導体の工場と設計部隊がある。(DIAMOND online より引用)


安倍首相は「港湾内への流出は完全にブロックされている」と豪語した。それ自体もウソであることは確かだが、主たる流出ルートは港湾外から直接外洋に向けて出来上がっていることが分かった。
漏洩した汚染水の主流が港湾内には行かないのだから、むしろより危険である。そこにはカーテンも、いちじくの葉一枚もない。場末のストリップ小屋のごとく全スト状況である。
安倍首相は「漏れていない」といったわけではなく、漏れてはいるが「完全にブロックされている」といったのである。しかし事態は、「漏れていて、ブロックもされていない」のである。
これが世界に知られれば、三つ目の事実が衆目のもとに晒されることになる。「この国の首相は、この国の政府は嘘つきだ」
安倍首相は「右翼で、軍国主義者で、しかも嘘つきだ」という烙印を押されることになるのである。

同時に、そういう人物を首相に仰ぎ、「ウソ」で五輪招致を実現し浮かれている極楽とんびにも厳しい目が注がれることになる。

天皇家がこのスキャンダルに紙一重で巻き込まれなくてすんだのが、唯一の救いと呼べるかもしれない。

17日付の共産党の提案

1.放射能で海を汚さない
汚染水を希釈して海に流せというのは、決して国内外から理解されない
2.非常事態の認識
現状把握、危険性に関する情報の遅滞なき公開、国際協力
3.人的・物的資源の集中
再稼働・原発輸出は問題外
5.東電の破綻処理
国が事故収束と賠償・除染に全面的責任を持つ

4点目については、破産処理自体は当然だが、緊急かどうかは分からない。国が全面責任を負うことについてはそのとおり。


数字というのはどんどん変わっていくものなので、適宜修正していかなければならない。
16日付の赤旗8面より

1.4月に地下貯水槽からの汚染水漏れが明らかになる。6月に建屋海側の地下水が汚染されていることが明らかになる。7月汚染水の海水内流出が明らかになる。

2.8月に汚染水貯蔵タンクからの漏洩が多発していることが明らかになる。漏洩タンク近くの地下水で汚染が明らかになる。

3.現在の汚染水の量は、地下貯水槽で9万トン、汚染水貯蔵タンクで34万トン。

4.汚染水は、現在なお一日あたり400トン増えている。これはメルトダウンした核燃料を隔離できるまで続く。

5.現在貯蔵タンクは80万トンまで増設する計画だが、これは3年しか持たない。(80万-34万)÷400÷365日=3.15









これは決定的な発言だ。
当事者(技術トップ)が、首相の全世界に向けての発言を「全面否定」したに等しい。
世論調査でも、日本人の半分以上が「安倍首相は嘘をついた」と認識しているとの結果が出ている。
それでも安倍首相を嘘つきと非難する声がサッパリ聞こえてこないのも不思議な話だが、これでは「日本人は目的のためには嘘をつくことに平気だ」と思われても仕方ない。

慰安婦問題がまじめに受け止められないことも含めて、当節、かなり日本人であることが恥ずかしくなる。

ところで東電本社の対応が面白い。

1.安倍首相の「コントロール発言」は正しい。なぜなら放射性物質は発電所の港湾内にとどまっているからだ。

2.しかし、タンクからの漏洩・汚染水の港湾内流出はコントロール出来ていない。山下フェローの発言はこのことを指している。

と、なんとかギリギリ安倍首相の顔を立てた。

しかし、1.そのものもきわめて怪しい。もしこれも嘘だということになると、恥の上塗りになる。刺を抜こうとして、かえって深く差し込んでしまった可能性がある。

「ネイチャー」誌といえば、泣く子も黙る自然科学分野の最高権威だ。

ノーベル賞の登竜門とも言われる。

その「ネーチャー」が、このところ福島原発への関与を強めている。

8月13日号ではFukushima: 'Ecolab' branding insensitive

8月29日号ではFukushima leaks 18 times worse than first thought

そして9月3日号では Nuclear error

とまで書いた。副題は

Japan should bring in international help to study and mitigate the Fukushima crisis.

となっている。福島の「危機」と、それをもたらした「エラー」は科学界のお墨付きをもらったことになる。その直後に、安倍首相の発言が飛び出したわけだ。


@yoko71さんによる日本語訳が読める
http://yokofurukawa.tumblr.com/post/60466011377/9-5-nuclear-error

1.原子力事故から2年半、TEPCO(東電)は、三機の破壊された原子炉での核燃料の貯蔵タンクで起こる問題の原因とその深刻さを、認識できていない

2.今回の漏洩で、この貯蔵システムは、管理の行き届いていない時限爆弾のようなものだ、ということがわかってきた。

3.日本政府の今までの対応や情報公開(のお粗末さ)の前例から考えると、日本政府がこの事態の収拾を、TEPCOよりも上手くやっていけるのか、疑問として残る。

4.漏洩しているタンクの周囲の放射線量は、当初の報告よりも18倍高かった。単なる「異常事態」として始まったはずの漏洩が、結果的には本物の危機となってしまった。

5.日本は、ここで海外の専門家に助けを求めるべきだ。世界中からの研究者がデータを集め、解析し、シェアできるように、サポート体制をととのえるべきだ。

少なくとも福島では、まだ遅くはありません。

これは相当深刻な問題だ。

本日の赤旗二面の囲み記事。菅官房長官の10日の記者会見

安倍首相の「汚染水は港湾内0.3キロの範囲で完全にブロックされている」発言について質問された。

菅官房長官は「水は当然、行き来している」と答えた。どことどこを? 当然0.3キロ以遠の外洋と汚染水だ。

これは単純な三段論法だ。

A 港湾内外の水の放射性物質濃度は国際基準を下回っている。(菅長官の言明)

B 港湾内に流れ出た汚染水は、ストロンチウムで10兆ベクレル、セシウムで20兆ベクレルにのぼる。(東電発表)

C ゆえに流出した汚染水の殆どは港湾外に拡散したと考えられる。

これで「完全にブロックされている」というのが嘘だということがはっきりした。

もう一つ、完全にブロックされているというのは、誰かが何らかの方法で完全にブロックしている からこそブロックされているということだろうが、誰がどんな方法でブロックしているのかが分らない。

菅長官の話だと「水は当然、行き来している」とうことだから、実のところ何もブロックしていないのではないか。

記者会見では東電の張った「水中カーテン」(シルトフェンス)完全ブロックの手段だと示唆されているようだが、その有効性の評価はさておくとしても、すくなくとも原理的には「完全なブロッケード」とは言えない。

言ってみれば、網戸で雨風を遮るようなものだ。

もし安倍首相が水中カーテンをさして「完全ブロッケード」と言っているのなら、怒りを通り越して、「完全な物笑い」の種だ。安倍首相は「お笑い」も輸出しようとしているのだろうか。

安倍首相の「コントロール発言」は憶えておいた方がいい

9月7日に安倍首相が IOC総会で行った原発発言は、思わず耳を疑うものだった。

お互い健忘症の気味があるので、しっかりメモしておいたほうが良い。この言葉にウソがあったら、我々はオリンピックを返上しなければならなくなる。

1.状況はコントロールされている。

2.健康問題については、今も将来もまったく問題ない。

3.すでに、わたしが責任をもって抜本的解決のプログラムを決定した。

とし、「コントロール」の技術的内容として、

汚染水は港湾内0.3平方キロの範囲内で完全にブロックされている

と断言した。


この3つとも、控えめに見て不正確、きつく言えば嘘っぱちだ。

1.水素爆発やメルトダウンの可能性は今のところ低いが、ゼロとはいえない。汚染水はまったくコントロールされていない。

2.A 健康問題は、住民が避難生活を続ける限り、今のところ深刻な問題ではない。しかし内部被曝による遅発性障害の危険は除去されたとはいえない。

B 事故処理に当たる作業員の被曝の可能性は依然高いままである。

C 汚染地域に将来とも人間が住む可能性が否定されている。

3.たしかに政府は責任を持つと言明したが、その内容は明らかではない

A これまで東電任せにしてきたのが、やっと政府が出てきたに過ぎず、それは事態の深刻さの表現でしかない。

とくに最後のIOC委員の質問に対する答え「0.3平方キロ」の数字は、かぎりなく虚偽に近い。一国の首相としてこのような数字を示すのは致命的となる可能性がある。

実際に汚染水はブロックはされていないし、そもそもブロックしていない。完全もヘチマもない。

外国のメディアは甘くはない。ディナーにお呼ばれもしていない。

汚染水が0.3キロを越えて確認されれば、「完全なブロック」が事実でないことがはっきりすれば(いずれはっきりするだろうが)、安倍首相と日本政府は世界中から嘘つき呼ばわりされることになる。東京五輪は「嘘つき五輪」と呼ばれるようになる。

共産党は書記局長談話を発表している。

国際的な場で述べた以上、それは国際公約になる。

“問題ない”というなら、その根拠を国際的にも、国民と国会の前にも明らかにして、責任を果たす必要がある。

たしかにそれが明らかにされるなら、オリンピックが決まったことよりもはるかに嬉しいニュースだ。


汚染水発覚の直後に「柏崎原発再開を急げ」と呼号した同友会の長谷川代表だが、直後に福島原発の見学に入った彼がマイクロバスのなかで示した表情は、テレビの画面を通してだが、「さすがに参った」というふうに見えた。
それから1ヶ月を置いて本日の記者会見になるのだが、多少は変化が現れたようだ。こちらの欲目かも知れないが…

経済同友会の長谷川閑史代表幹事は汚染水漏れ対策での国費投入について「この段階に至れば当然」と述べた。
その上で「原発廃炉や除染についても国の全面関与をもう一度真剣に検討する時期に来ている」とし、政府がさらに一歩踏み込んで原発対策に乗り出すべき だとの認識を示した。
一連の汚染水問題に関し長谷川氏は「こういう状況が起きたことは極めて遺憾。監視や(漏水の)早期発見など、より慎重にしていただくべきではなかったか」と東電の対応を批判した。


まぁずいぶん控えめな表現ではあるが、7月初めの記者会見と比べれば同じ人とは思えぬほどの変化である。

東京電力が柏崎刈羽原発の再稼働に向けた安全審査を申請することについは、「至極当然だ。選択の余地はない」と理解を示した。

そして再稼働を審査する原子力規制委員会に対し「粛々と迅速に調査をして回答してほし い」と要望した。

これを聞いたJR東海や東レの社長さん方はどう思うだろうか。「裏切り者め」と舌打ちしているかも知れない。

6月10日の記事で、原子炉事故を起こしたアメリカの原発会社が三菱重工に賠償請求したと書いたが、話はさらに大きくなっているようだ。

会社側は契約の上限1億4千万ドルを超え、損害全額の責任も負うべきだと主張しているそうだ。その理由は「欠陥があまりにも基本的かつ広範な場合、責任上限は無効」というもの。

これでは原発会社は「善意の第三者」みたいな言い方だ。アメリカの会社はつくづく面の皮が厚く出来ているようだ。「反省だけなら猿にもできる」というが、連中には通じそうもない。

しかしそんなことを言っていても始まらない。振りかかる火の粉は払わなければならない。

ネットでちょっと見ただけでも、この請求に関する大量の記事が発信されている。しばらく大仕事はやりたくないので、突っ込むのはご遠慮させていただく。

それはそれとして、この問題は福島にも飛び火する可能性がある。

共産党の吉井議員は、もしこれが認められるなら、福島の原子炉を製造したGEの製造責任も問われることになると指摘している。

日本政府は知らんぷりするかもしれないが、これをアメリカの裁判所に持ち込めばどうなるか、なかなか面白い話だ。

三菱重工さん、対抗訴訟やってみたらどうだろう。福島は東芝だからちょうどいいんじゃない?

汚染水流出に関する事実

こういう報道は、ぱっと出てぱっと消える。

しっかり核心的事実を抑えておかないと、後からの情報に流されてしまう。

覚書的に事実を羅列しておく。

最初に結論から言っておくと、今回の事象はこれまでとは性質が違う、本質的な問題をはらんでいる。

一つは根本的な対策を立てない限り解決できない問題だからだ。

もう一つは、これはもろに国際問題になるからだ。太平洋を隔てたアメリカが直接絡んでくる。アメリカ人は日本国民のように優しくはない。メディアは日本のように従順ではない。

ここを周知徹底させる必要がある。


最初は6月19日、東電の発表だ。

1 タービン建屋東側の海岸に掘削された観測用井戸の地下水から、高濃度の放射能が検出された。

2.検出された放射能レベルは、1リットルあたりで、トリチウム(三重水素)が50万ベクレル、ストロンチウム90が1000ベクレルだった。

3.「海洋への流出はない」とされた。

つまり、地下に汚染が拡散している。しかし海には出ていない、ということである。

この第3点目、「海には出ていない」という判断が、その後間違っていたことが証明される。むかしの「メルトダウンはしていない」というセリフが思い出される。

それが6月24日の記者会見だ。

1.港湾で採取された海水から、1リットルあたり1100ベクレルのトリチウムが検出された。

2.「汚染水の海洋流出」かどうかは、「判断する段階にはない」ということで保留された。

これは発表者が、「判断する地位にはないと判断した」と読むべきであろう。

それから、実に1ヶ月もの時間が経った。

そして、ようやく認めた。

それが7月22日の記者会見だ。

1.放射性物質で汚染された地下水が海に流出していると判断される。

2.判断の根拠は、地下水の水位が海岸の潮位に合わせて変動していることが確認されたためである。

この第2点目については説明が必要だろう。

2011年3月の事故直後に大量の放射性物質が海水中に流出した。したがって海水中の放射能が高くても、その時のものなのか、その後漏れ続けているかは判断できない。

地下水の水位と海岸の潮位の関係をある程度の期間、調べてみて、地下水と海がつながっているかどうかが分かる。

地下水の水位を調査し始めたのは今年1月からであった。

ということで、要するに東電は隠していたのではなく、分からなかったのだという言い訳なのだ。

ということで、第一幕が終わる。

しかし、汚染水がどこからどうやって流出したのかが問題だ。

ということで、

それが、7月29日の記者会見だ。

1.建屋と海岸のあいだで地下水の水位が上昇している。

2.遮水壁を乗り越えて汚染水が流出している可能性を「否定出来ない」。

これも少し説明が必要だ。遮水壁というのは地中に水ガラスを打ち込んで作った壁で、海岸線に沿って作られている。おそらく遮水機能は完璧だろうと思われる。

ただ、どういうわけか、壁の高さは地下1.8メートルなのだそうだ。

遮水機能が発揮されるに従い、行き場を失った地下水は推移を上げ始めた。そうするとダムに溜まった水が堰堤を越えるように、溢れてくる可能性がある。

その可能性を「否定出来ない」ということになると、話は深刻だ。

8月2日に規制委員会が動いた。

原子力規制委員会の汚染対策検討会は、地下水の組み上げを急げと、東電にもとめた。

ただねぇ。溢れてくる水を吸い取れというのでは、大変だと思う。

地下水の出処は二つある。

一つは天然のもので山の方から1日1千トン流れてくる。もう一つは原子炉建屋から流れてくる冷却水で、こちらが1日400トンだ。

吸い出しポンプは、1日2千トンくらいの処理能力がなければならない。吸いだしたとしてどこに保管するのか。1400x365=約50万トンだ。

私なら、三島の東レの工場と名古屋のJR東海本社に持って行く。少なくとも社長さんは歓迎してくれるだろう。「少量の放射能は体に良い」そうだから。

不破さんというのはすごい人で、原発事故からわずか3ヶ月後に、今日の事態を見通している。

11万トンたまった汚染水は、10万トンの大きな集中処理施設を作って、大部分移したはずなんですよ。しかし移しても減らないんですね。ということはそれが地下水とつながってもっと巨大な汚染水となっているのではないかと考えられるんです。
…放射能を原子炉の中に閉じ込められないで、水が担い手になってどんどん外に出つつあるというのが現状なのですね。


今が非常事態の瀬戸際だ 2011.6.29 記事

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