メディアなどの報道のためか、心ある方々も心配されているところもあるようですので、できるだけ多くの方に実態を知っていただければ嬉しく思います。 米国の攻勢が続いておりますが、「平和デモ」の日は大きな問題もなく過ぎ、ジュニオルもスペインに出たようで、ほっとしております。今、米国が何を考えているのか、わからないところもございますが。よろしくお願い致します。
マチェーテをもった一人のデモ参加者が4人の警察官によって取り押さえられ、商店の略奪者数人が逮捕者された。何事かと駆けつけた多くの市民が周囲を取り巻いていたが、一般市民とデモ隊の衝突はなかった。
翌12日にはハバナ州東南のマヤベケ州グイネラで反社会グループの一団が警察署を襲撃しようとして警官に阻止され、住宅や電線を破壊したり、コンテナに火をつけたりした。襲撃者グループの一人が死亡し、警官を含む数人が負傷した。
見逃してならないのは、そのために「人心を変える」政策に重点が置かれ、同法ではNGOや国際人権団体などへ働きかけることも規定されていることである。最近はスマホの時代でもあり、ツイッターやユーチューブなどソーシャルメディアが活用されるようになった。因みにキューバの携帯電話の利用者は660万人以上、インターネットの接続者は440万人である(2020年末)。
これはアルゼンチン人のアグスティン・アントネジ(極右団体「自由財団」メンバー)がラテンアメリカの中道左派政権などの追放に用いた手法に倣ったもので、SNSなどを使い、経済危機、政権の無策、汚職、人権侵害などを訴え、独裁政府に対して立ち上がるよう呼びかける。フェイクニュースや模造した映像も頻繁に用いられる。
botという1秒間に5回のリツイートを自動的に配信できる高度なアプリが用いられていた。次いでHT#SOSCubaというハッシュタグ付きのツイートが作成され、世界のアーティストに向けてキューバ国民への「人道援助と連帯」を訴えるキャンペーンが繰り広げられた。1,100以上の返信があったが、そのアカウントのほとんどは最近ないしは1年以内に作られたものであった。
キューバ国内でも#SOSCubaというタグがついたアカウントのうち1,500以上が7月10日と11日に作成されていた。リツイートが世界で50万を超えたその時にデモが起きた。
これに先立つ6月15日にはフロリダ州政府がProActivo Miami Incorporationsという小さな企業にSOSCubaのハッシュタグの認定証を出している。同社はその日のうちにキャンペーン費用として州の資金を受け取った。ロドリゲス外相はこの認定書のコピーを7月12日のテレビ番組で示している。
大統領は「これは経済悪化のために国民生活が苦しんでいることを反映したものであり、反省すべきことは反省しなければならない。生活に苦しむ人々への配慮に足りない面はなかったか」として、弱者に対する政策の検証と見直しを打ち出した。
昨年にはあらゆる手を尽くしてようやく人口呼吸器の輸入契約にこぎつけたが、入手先のスイス企業が米国企業に買収され、制裁法に抵触するとしてキャンセルになった。キューバに向かっていたベネズエラのタンカーが制裁の対象国であるとして拿捕され、積み荷の石油が米国内で売却されたこともあった。
トランプ大統領は置き土産としてキューバをテロ支援国リストに加えてホワイトハウスを去っていったが、そのために海外からの資金調達はおろか、貿易の決済のためのドルの支払いも難しくなった。
そこにコロナ禍が襲い、感染対策に必要な医薬品や人材、隔離施設等々が急増し、物資や資金の枯渇に拍車をかけた。状況の深刻さは1990年代のソ連解体による経済危機に匹敵するとも言われている。
しかし、12月初めに第2波が始まり、新規感染者数は1日6,000人を超えるようになった(7月13日)。3大感染地はマタンサス州、ハバナ州、サンティアゴ・デ・クーバ州である。
バイデン大統領はまた、「反政府デモ」を「勇敢な行為」と称賛し、キューバ政府に国民の声に耳を傾けるよう求めた。警察官を武器で襲ったり、公共施設を破壊したり放火したりしたデモ隊員が拘束されたことに対し、バイデン大統領は23日には人権侵害であるとして制裁を強化している。
キューバのロドリゲス外相は「経済悪化は米国の封鎖のためであり、反政府デモは米国がしかけたものである。冷笑的である」と評している。
とはいえ、食料生産の拡大に限っても、肥料や農薬の確保、流通部門の整備、さらには農場や工場の管理運営能力や労働意欲の向上など、課題は多い。
ラテンアメリカでもメキシコのオブラドル政権、アルゼンチンのフェルナンド政権が成立するなど、この10年来、後退していた「米国離れ」が再生しつつある。両国政府は「反政府デモ」について米国を非難し、制裁解除を求めている。