アメリカで、最低賃金の引き上げが雇用を増やしたという、注目すべき統計が出た。
アメリカでは政府の定める最低賃金の額は変わっていない。オバマは変えようとしているが議会の共和党が反対しているからだ。
しかし、州・市レベルでは独自の最低賃金を定めており、これが相次いで引き上げられつつある。州レベルで政府最賃を上回る額に設定した州が13ある。奇しくも独立時の州の数と同じで、フロリダを除いて南部の州は一つもない.

この13州と他の37州の雇用伸び率を比較してみたところ、なんと最賃引き上げ州の方が高いということがわかった。
平均値で引き上げ州0.99%に対し据え置き州は0.68%にとどまっている。つまり最賃引き上げは1.5倍の雇用効果を生み出したということだ。

ただし中身を見ると相当ばらつきがあって、上げ幅も違うし、絶対額も異なる。たくさんあげた州が雇用増が大きかったというわけでもない。なにせまだ半年だから、定量的な判断には時期尚早だ。
にも関わらず、少なくとも雇用減少をもたらすことはないという事実は明らかだ。

この記事でもう一つの注目は、全米企業評議会による経営者の意識調査だ。これによると企業経営者の多くが最賃の引き上げを支持している。とくに従業員数99人以下の零細企業主の61%が賃上げを支持している。

単純に考えると、賃金の引き上げは雇用を減らすはずだ。これは人件費の総枠が一定なら当然の結果だ。
それが逆に雇用を増やすというのは、どういうことなのだろうか。
それは低賃金労働者のほとんどが賃上げ分を直接消費に向けるからだ。だからそこにかけたお金は「回るお金」になるのである。
しかもそのお金で車を買うわけではなく、食品を購入し、家財道具を購入し、もろもろの雑貨を買うのであるから、そのカネは直接零細業者を潤すカネになる。

こういうお金の循環は大企業や輸出産業にとってはありがたくないかもしれない。それはコストアップとなり、国際競争力の低下となって跳ね返ってくるかもしれないからだ。