YouTubeでは意外とセルのモーツァルトが聴けない。
良い音質で聞けるのは39番くらいだ。しかしこれが素晴らしい。
セルは終戦直後からクリーブランドの常任になって、それから死ぬまで常任を勤めた。
50年前後の演奏が今ではかなり聞ける。これもいいのだが相当硬い。ゴリゴリと鍛え上げたという感じがする。
いわば凄腕の軍楽隊だ。
それが50年代の末から明らかにメジャーになるにつれて、ほっこりとしてくる。

しかし本当にすごいのは65年以降、死ぬまでの5年間だろう。楽団の自発性が全く違ってくる。おそらく最後の5年間は棒振りしているだけで、コンマスがほとんど仕切っていたのではないだろうか。
39番を聞いていると、すべてのパートがまるで弦楽四重奏団のように、ブレスまで揃えて弾いているようだ。
僅かなルバートのところまで全く乱れがなく、しかもすべてのパートが乗っている。
前に紹介した協奏交響曲も素晴らしいが、もう少し前のものだろう。セルの意図がかなり前面に出ていて、それを一生懸命こなしている感じだ。
伸びやかさにおいては39番がはるかに上を行っている(と言いつつ、これがいつ頃の演奏なのか知らないのだが)。
もうひとつ40番のライブがUPされている。70年の定期演奏会のエアチェックのようだ。これは音がくぐもっていてひどいが、内容は素晴らしい(なんとなくフルベン・フリークみたいな言い方になってしまうが)。
この演奏をいい音で聞いてみたいものだ。さらに欲を言えば、41番の終楽章を聞けないものだろうかと思っている。