すまいるナビゲーターというサイトに下記の講演が載っていた。非常にわかり易い文章なので、引用させていただく。

統合失調症の初期家族講座 統合失調症について知る

帝京大学医学部精神神経科学講座教授 池淵 恵美先生

統合失調症は親の育て方に原因があるわけではありません

統合失調症は一般的におよそ100人に1人がかかるといわれ、けっしてまれな病気ではありません。

現在考えられている統合失調症の原因としては、脳の生物学的な要因や、心理的な要因、環境的な要因などがあります。

脳の生物学的な要因としては、ドーパミンなどの神経伝達物質の失調が明らかにされています。


ここはもっと強調すべきだと思う。つまり統合失調は心の病気ではなく、脳の病気だということだ。パーキンソンやアルツハイマーと同じく脳の細胞に原因がある病気だということだ。

ストレスがかかればどんな病気だって悪化するに決まっている。言わずもがなのことを言うべきではない。


心理的な要因としては病気になりやすい本人の脆弱性が関係し、これは遺伝の問題などが関係しています。

そして、ストレスなどの環境的な要因が加わることで発症するとされています。


さすがに専門医だけあって、非常に的確な説明である。しかも微妙に核心を外している。このへんがプロのさじ加減ということだろう。

円グラフを見ると原因と誘因が混同されている。私がこの円グラフを見れば、統合失調はまごうことなき遺伝性疾患だと考える。

もう一つは人類の1%が統合失調という統計的事実だ。だいたい遺伝性疾患でも発症するのはその一部にすぎない。一卵性双生児の研究でも50%と言われている。

おそらく高血圧以上の頻度であろう(高血圧は日本ではきわめてポピュラーであるが、かなり民族差がある)。生きとし生けるもののほとんどすべてが、統合失調の素因を有していると考えなければならない。

とすれば、これは「遺伝」というより「業」(ごう)と考えたほうが良いのかもしれない。統合失調が人間の「業」だとすれば、その発症は抑制機構の破綻として捉えるべきということになる。これが論理的帰結である。


かつて統合失調症は親の育て方に原因があると考えられていました。精神科医ですら統合失調症の原因は家族にあると考えていた時期がありました。

また、養子の研究でも、どちらかというと家庭環境よりも本人の脆弱性が発症に強 い影響を与える可能性が示唆されています。


これらは、物言いは穏やかだが、過去の精神分析医の行いに対する厳しい非難だ。彼らは統合失調患者を哲学書や文学書を書くために利用しただけだ。


遺伝する病気ではなく、病気になりやすい体質が受け継がれる

一方、遺伝に関しても誤った考え方が幅をきかせていました。確かに統合失調症の原因には遺伝的なことが大きく関係していることは事実ですが、病気そのものが遺伝するのではありません。


ここが統合失調という病気の微妙なところだ。

私は高血圧患者の治療開始にあたって、「この病気は“業”みたいなもので、ご先祖様を恨むしかない」と言い渡している。

何とか逃れようと、病気であることを否認したり、服薬を拒否したり、要するにコンプライアンスの低い人が多いので、最初に宣告するのだ。

これから、社会の理解が深まり、偏見が解けていけば、統合失調でもそう言える日が来るかもしれない。


一卵性双生児の研究では、遺伝子がすべ て同じなのに、同時発症率は60~70%で、100%にはなりません。(これはあまり慰めにはならない数字だ)

両親のいずれかが統合失調症の場合、子どもが統合失調症になる可能性は10%程度です。健常な両親から生まれた子供だと1%程度です。(これもあまり慰めにはならない数字だ)

統合失調症は、病気になりやすい体質や気質が受け継がれるにすぎないのです。


私ならこう言う。

神代の昔から世界中どこの、どの人種でも、統合失調は1%と決まっている。統合失調の人の出産率は当然低いだろうから、統合失調でない親から生まれている人のほうがはるかに多いと考えられる。

「産んだらヒト様に迷惑かけるんじゃないか」と思い悩む必要はない。世の中それで釣り合いはとれている。遺伝病の人は産んじゃダメというのなら、高血圧の人も糖尿病の人も産めなくなる。


統合失調症はごく一部の人だけがかかる病気ではなく、多くの人がかかりうる病気なのだということを知ってお いてほしいと思います。

統合失調症にかかりやすい気質というのがあって、人間のおよそ3割がこれらの気質に関係する遺伝子を有しているという説もあります。(昔なつかしいクレッチマー分類でしょうか)