今日はシューマンの交響的練習曲。
これはしちめんどくさい曲でなく、景気良く鳴ってくれれば良い話で、したがって腕さえ良ければ、音質さえ良ければ誰でもいい話。
クライスレリアーナのときも書いたけど、シューマンという人は絶対にメロディーラインを切らない。必ず音がつながっている。
多分指使いはすごく難しいと思うけど、リストやブラームス(初期)とは違う。
リストなら盛大に羽目をはずしても決めどころさえ押さえておけばなんとかなる。つまりミスタッチを前提にして曲作りをしている。なぜならリストは作曲家である前に演奏家だからだ。そして大規模な演奏会を前提に音作りをしているからだ。
しかし、シューマンはミスタッチを許さない。間違えればその瞬間にすべての聴衆が間違えたと分かるように曲作りをしている。
もしあなたが疲れていて、曲に集中できないようなら、演奏者が何回間違えたかをカウントしながら聴けばよい。
そんなシューマンの中でも、この曲(と謝肉祭)はあまり間違いが気にならない曲である。
それほどアップされた演奏は多くはないが、ナタン・ブランドが頭抜けている。クライスレリアーナのときも書いたが、ナタン・ブランドを聴くことなくしてシューマンを語るなかれだ。恐るべき迫力だ。音質は最低だが…
キーシンが良いが、低音質で音割れしている。直接CD音源で聞いたらもっと良い音で聞けるだろう。ほかに、例によってブレンデルの漂白剤たっぷりの演奏がある。ギレリスのコンサート・ライブは聴き応えがある。ミスタッチは多いが、弾きこんだ上でのミスだと分かる。