いつもの酒飲み話なんですけどね。
トリニダーというむかし砂糖成金の街だったところから、かなりのがたごと道を抜けてサンタクララに出たんですよ。
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行けども行けども山道でいい加減おしりが痛くなった頃峠にさしかかりました。
エスカンブライ山地といって、むかしはここにゲリラがいたんですね。このゲリラはカストロとは別の系統で、半分ゲリラ半分山賊というたぐいの連中でした。
当時キューバの東の端にいたカストロはエスカンブライのゲリラとも共闘が必要だと考え、ゲバラの部隊を派遣したのです。2ヶ月余の苦しい行軍を終えエスカンブライに到着したゲバラですが、この連中のあまりの酷さに唖然とします。
いちおう義務としてひと通りの交渉は行いますが、その結果を待つことなく独自にエスカンブライでの行動を開始します。その手始めがこの街道沿いの街マニカラグアの攻撃作戦です。
その後ゲバラはマニカラグアを落とし、その足でフォメントに向かい、駐屯地を攻撃し陥落させます。ここからオリエンテに向かう国道1号線をぶったぎり、連続的にサンタクララの決戦へと向かっていくのです。
詳しくは私のキューバ革命史をお読みください。
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   私の行った時(1995年)はガタガタ道だった。

ガイドの男性が車の右側の山を指さして言いました。
「あの山にゲバラがいたんだ。あそこから山の斜面を下っていってマニカラグアの街を襲撃したんだ」
のだそうです。
そして軽くこう言い添えました。
「ちょっと行ってみるかい?」
ご冗談でしょう!
ざっと見て、ここより数十メートルは高い。道があるわけじゃない。
きっと、我ながら相当焦った顔していたのだと思います。ガイドさんの顔が笑っています。「偉そうに革命談義したって、所詮はそんなもんかい」という表情です。
憎らしいこと。
しかし、何気なしに山の斜面に目をやった時、一瞬、そこに山を駆け下るゲリラの一群が見えたような気がしました。その先頭にいたのは確かゲバラだったのでしょうが、一瞬ですからそこまではわかりません。