ワルトシュタインはもうごちそうさまだ。
ピアニストは皆ワルトシュタインが大好きなようで、そうそうたるメンバーが揃っている。
ホロヴィッツ、バックハウス、ケンプ、ゼルキン、ブレンデル…なんとシュナーベルまで聴くことができる。
まずつまらないものから挙げる。当然、ポリーニとアルゲリッチ。
例えてみると、LP版を45回転でかけたらポリーニ、78回転でかけたらアルゲリッチになる。
DJ風に手回しするとホロヴィッツになる。ただしベートーヴェンというのは相当のイカレ野郎で、曲の構成など無視して前衛風に作っているから、案外それが正解かもしれない。
バックハウスとケンプは50年代のはじめの録音だから、元の音がかなり貧弱だ。バックハウスという人は夕映えの人で60年代のステレオの時期になって俄然良くなっている。それまでの演奏はけっこう荒っぽい。ステレオでの全集がアップされてないから、しかたなく聞いたが、みなさんが無理して聴くほどのものではない。
ルドルフ・ゼルキンはこの二人より腕は立つが、とにかく音が汚い。むかし、おそらく70年代なかばと思うがテレビで演奏会の放送を聞いたおぼえがある。多分この曲が大好きなのだろう。大いに乗せてくれた記憶がある。
改めて聞くと、たしかに熱演で、弾きこんでるなと思わせるものがある。しかし繰り返し聞くにはちょっとつかれる。
アラウとプレトニョフは予想通りの出来栄えだ。
どこかに「ワルトシュタインはベートーベンのソナタのなかでは女性的で…」と書いてあったが、それは違うでしょう。第三楽章の「どすこい、どすこい」など根性の入り過ぎで、むしろ一番男性的な曲ではないかと思うが。

というわけで、聴き比べの結論はエミール・ギレリスということになる。
バレンボイムの演奏の時にも触れたのだが、この曲の演奏スタイルには二通りあって、スタジオでピアノだけを相手に純粋に音楽の世界に浸りながら演奏するのと、大会場で大観衆を相手に交響曲を演奏するように演奏するのと二つである。
ずるいのは、バレンボイムとギレリスだけその2種類の演奏がアップされていることである。
両方とも容易にYouTubeで検索できるので、聴き比べて欲しい。
これでもうやめだ。