浜田・河合教授らが日中韓関係改善を提言、首相官邸は受け取らず
もうだいぶ前の報道で、ニュースというよりキュウスだが、面白い内容ではあるもののなんとも論評のしようがないので、そのままにしておいた。
事実として踏まえておくべきだと考え紹介する。
[東京 20日 ロイター]
安倍首相の経済ブレーンで、アベノミクスの発案者とされる浜田宏一(イェール大学名誉教授)ら18人が、日中韓の関係改善を求める報告書を、首相に提出しようとしたところ、受け取りを断られた。
提言は安倍首相の目指す方向性と異なるため、事実上、門前払いされたことになる。首相官邸はこの件でのコメントを拒否している。
次いでグループは、岸田外相宛てに提言を提出しようとしたが、こちらも直接の提出・面会を断られた。
外務省は「事務方から大臣に渡した」としている。グループは岸田外相への面会を求めているが、外務省では面会については「承知していない」としている。

というのが経過。
それでそのグループというのはどういう人達なのか、何を提言しようとしたのかということだが、
グループの名は「平和と安全を考えるエコノミストの会」、浜田氏や河合正弘・東京大学教授、著名エコノミスト、全国紙論説委員OBを含む18人よりなる。
つまり日本のエコノミストの主流を形成する人々だ。おそらく官庁エコノミストのかなりの層もここにふくまれると思われる。ロイターは「アベノミクスの発案者らによる外交面での提言」だとしている。
次にその中身だが、
まず基本として「アジア諸国との経済連携を日本の成長戦略の中心にとらえるべき」と主張する。
そのために
1)日中韓は東アジア地域包括協定(RCEP)協定の構築を目指す
2)中国による環太平洋連携協定(TPP)への参加とそれに必要な国内経済改革を歓迎・支援する
3)日中韓3カ国の自由貿易協定の早期締結を図る、
4)円・元・ウォンの通貨金融協力を活性化させる
の4つを経済外交の3つの柱とすべきだとする。TPPへの中国参加などピンぼけもいいところだが、全体の方向としては理解できる。
「東アジア地域包括協定」については、もう少し詳細に知っておく必要がありそうだ。
ということで、基本方向を設定したうえで、
日本と中国、韓国との外交関係の悪化が経済連携を妨げるおそれがあるとして、当面の政治分野への言及を行う。
内容としては、
1)日中の軍事衝突が起これば、日本のGDPを0.8%押し下げるだろう。
2)中国にとっても同様に0.9%のマイナス効果が生じる。
3)アジア全体の経済成長も損なわれ、アベノミクスが目指す日本経済の再生が行き詰まる
と、懸念を示した上で、
1)日本政府が「河野談話」「村山談話」を明確に踏襲する
2)首相・主要閣僚による靖国神社参拝を控え、国民全体が戦没者の慰霊を行える無宗教の慰霊施設を設置する
3)尖閣諸島や竹島の領有権問題解決に向け、日中韓は領有権に関して当面は事実上の棚上げを行い、実力・武力で問題解決を図らないことに合意する
の3点を上げている。

いくつかの裏話的な事実も明らかにされている。
1.今回の提言が、外交面も含めて踏み込んだ内容となっていることに関し、参加した学者メンバーの1人は「官邸の不興を買うことを承知でサインした」と明かす。
2.別の関係者は、官邸の対応姿勢について「安倍首相の周囲の人々の中には、かなり保守的な人もいるようだ」と漏らす。
3.さらに別の関係者は、安倍首相の周囲には、首相の意見と違う提案を拒絶する人々がいて情報が制約されているとし、首相の判断に影響が出かねないと懸念を示している。

ということで、かなり突っ込んだ取材にもとづくしっかりした記事だ。
記者の名を挙げておく。
中川泉 竹本能文 編集:田巻一彦
すみませんが、提案内容にスタンスをおいた紹介に再編集させてもらいました。