三谷さんの話はきわめて説得力豊かで、示唆に富むものだ。
おそらく保守派の人々を暗黙の聴衆として設定しているのだろう。「敗者の論理」と「勝者の論理」との組み合わせで戦後日本を描き分ける視点は秀逸だと思う。

「非戦能力」とか「戦後築き上げたものに対する誇り」とかいろいろな言葉で語られているが、私は憲法前文の「国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う」という一節に集約されるのではないかと思う。
正確に書いておくと下記の通りだ。
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。
そう思い、努力し、いささかながらではあるが、その地位を獲得した。
その過程で強化されたのが「非戦能力」ということになる。
その事実をリアルに見よ。というのが論者の主題だと思われる。
それは改憲論者たちの「世界をリアルに見よ。世界は恐怖にあふれている」というリアリズムと、対極にあるリアリズムである。