https://www.thejakartapost.com/opinion/2022/04/10/how-indonesia-as-g20-host-can-be-a-mediator-between-russia-and-ukraine.html

OPINION

How Indonesia, as G20 host, can be a mediator
between Russia and Ukraine

Mireille Marcia Karman
April 10, 2022
The Jakarta Post

オピニオン

G20ホスト国、インドネシアが
ロシアとウクライナの仲介役となるには


リード

今年のG20サミットの開催地であるインドネシアでは、会議の参加対象が注目されている。米国とその同盟国であるオーストラリアやEU加盟国が、ロシアを会議から排除するよう提案しているからだ。


G20サミットとウクライナ紛争

今年のG20サミットの開催地であるインドネシアが注目されている

ロシアとウクライナの戦争は、1ヶ月以上前からすぐに収まる気配がない。欧米諸国は、武器やロシアへの一方的な経済制裁、ロシア人外交官の大量追放などでウクライナを支援してきた。

米国とその同盟国であるオーストラリアや欧州連合加盟国などのtは、ウクライナに侵攻したロシアを会議から排除するよう提案している。

しかしJoko大統領はそれを押し切り、ロシアをG20サミットに招待することを決定した。彼はインドネシアが公平性を保ち、両当事者と良好な関係を維持したいと願っていると答えた。

このため欧米諸国は、ロシアが出席するなら、ウクライナもサミットに招待するよう要求している。しかし、欧米諸国の圧力に屈することは、インドネシアにとって賢明な選択とは思えない。

これは、インドネシアと、ブラジルや中国など他の非欧米メンバーとの間に不必要な溝を作ることになるかもしれない。そして不必要な軋轢は、G20サミットそのものの進行方向を混乱させるかもしれない。

また、ロシアやウクライナと良好な関係を維持しようとする、インドネシアの現在の努力とも矛盾する可能性がある。

だからといって、中国の言うようにG20の議題からウクライナ問題を外し、経済問題だけに集中するのも、必ずしも賢明とは言えない。インドネシアが、非同盟運動の主要メンバーでありながら、世界的な緊急課題に背を向けたということになるからだ。

ロシア・ウクライナ紛争が、経済問題としても避けて通れない議題になるだろうと主張する経済専門家もいる。これは、戦争が原油や商品価格の変動を誘発するなど、世界的な経済危機を深化させたからである。


調停者としての実績

G20加盟国の半数以上は、どちらかの戦争当事者に固く結びついている。

その一方で、もしインドネシアがロシアとウクライナの仲介役として役割を果たすことができれば、G20サミットは和平プロセスへの具体的な貢献を示す契機ともなり得る。

楽観的になるべき理由は以下の2つである。

第一にインドネシアは、ロシアのプーチン大統領とウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領との間の和平交渉を仲介する誠実な調停役となることができるからである。

① インドネシアの公平性

 インドネシアは「自由で積極的な」外交原則を堅持している。 これは、世界の平和と秩序を維持するというインドネシアの基本姿勢に基づくものだ。

 この原則と基本姿勢に基づき、インドネシアは主要国との紛争や公然たる介入を回避してきた。そして一方の当事者に肩入れして他方と敵対することを拒否してきた。

 この姿勢は、G20の主催者でもあるインドネシアが採用すべき本質的な要素である。 このことにより、わが国は外交的アドバンテージを持っている。そして多国間交渉における調停役として、強力な役割を果たしうる。

 インドネシアがG20の招待リストにロシアを残すことは、大国の圧力に屈しないという非同盟の姿勢を世界に示すことになる。そして戦略的なミドルパワーとして、戦争当事者から信頼を得ることができる。

インドネシアは、未だウクライナを招待することを決定していない。しかし、G20サミットにウクライナとロシアが参加するなら、それは良い出発点になるだろう。

もし両者がサミットで会談することに同意すれば、インドネシアは、同じような考えと願いを持つメンバー国を結集し、和平交渉に持ち込むことができるだろう。


② 和平交渉・調停者としてのインドネシアの経験

インドネシアには地域紛争の調停に優れた実績がある。

 ジャカルタのシンクタンク、戦略国際問題研究所のリナ・アレキサンドラ上級研究員は、論文の中で次のように書いている。

1988年から1991年にかけて、インドネシアはカンボジアの武力紛争を停止させ、ベトナムのカンボジア占領を終わらせるために極めて重要な役割を果たした。

また、フィリピンのミンダナオ島で長期間続いた、モロ民族解放戦線と政府軍との戦闘についてもインドネシアがかかわった。この紛争は1970年代から1990年代にかけてつづいた。インドネシアは和平努力を促進するために、誠実な仲介役をはたした。

1993年、インドネシアはイスラム会議機構の議長を務め、西ジャワのチパナス(Cipanas)で第2回非公式な事前協議を開催した。この会談で「了解覚書」が結ばれ、1996年にフィリピン政府とモロ民族解放戦線が和平協定に調印するに至った。

インドネシアは、G20議長国であるロシアとウクライナの間で、実現可能かつ戦略的な平和の推進役として、この成功を繰り返すことができるかも知れない。


インドネシアは誠実な調停者となるつもりだ。そのことで国際秩序をささえる能力を証明し、みずからの国際的なイメージを向上させることができる。


G20サミットは絶好のチャンスだ

ロシアとウクライナの紛争では、トルコ、中国、イスラエルも調停役の座を争っている。

しかし、G20サミットのホスト国であるインドネシアには、ゴールデン・チャンスがある。

 G20サミットでロシア・ウクライナ紛争をタブー視する必要はない。それはG20議長国の仕事を混乱させる危険ではなく、平和を促進する機会としてとらえる必要がある。

インドネシアが過去の例に習って、和平合意につながる成果をもたらすことができれば、それは国際舞台におけるインドネシアのイメージを向上させる絶好のチャンスになるはずである。

***筆者はパラヒャンガン・カトリック大学助教授