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Singapore abstains from vote to suspend Russia from UN human rights body,
urges support for inquiry on violations in Ukraine
08 Apr 2022
Channel News Asia
シンガポールは、ロシアの国連人権機関への権利停止決議を棄権、
ウクライナでの人権侵害を精査するようもとめる
シンガポールの国連常任代表補佐Tang Jo-Phie 氏が危険の理由を説明する
SINGAPORE:
シンガポールは、すべての当事者に対し、ウクライナにおける人権侵害の疑いに関する独立調査委員会を立ち上げるよう呼びかけた。
そして、調査委員会が完全に任務を果たすためには、十分なアクセスを与えられる必要があると付け加えた。
この発言は、4月7日に国連総会で行われた、ロシアを国連(UN)人権理事会から停止させる決議の投票が行われた後のことである。シンガポールはこの決議に棄権した。
総会の後のメディアからの問い合わせに対し、シンガポール外務省は次のように述べた。
シンガポールは、「ウクライナにおける人権および国際人道法違反の疑惑を調査する独立国際調査委員会」による調査を主張する。そして調査の結果を待って意思表明したい、そのために投票を棄権した。
この委員会は、3月4日に採択された人権理事会決議49/1「ロシアの侵略に起因するウクライナの人権状況」の委託を受け設置されたものである。
外務省は、シンガポールがこの決議の共同提案者であることをあらためて強調した。
外務省は以下のごとく述べた。
我々は人権と国際人道法のいかなる違反も強く非難する。委員会が証拠を集め業務を遂行できるよう、すべての当事者が協力すること。そして完全かつ自由なアクセスを許可するよう求める。(それが事実上ウクライナ当局への要請であることは明らかである)
我々は人権と国際人道法のいかなる違反も強く非難する。調査委員会は説明責任を果たさなければならない。委員会が証拠を集め、業務を遂行できるよう、すべての当事者が委員会に協力すべきである。そして完全かつ妨げのないアクセスを確保すべきであるロシアの資格停止をもとめる今回の決議に対し、我々は棄権する。この立場は、「多国間主義のルールに基づくシステム」に対する確固たる信念に基づくものである。それは我々の長年の経験に基いている。
このたび国連総会は、ウクライナにおける「重大かつ組織的な人権の侵害および乱用」を理由に、ロシアを人権理事会から停止した。モスクワはそれに対抗して、人権理事会を脱退すると発表した。
停止決議は米国主導で推進され、93の賛成票を集めた。しかし24カ国が反対票を投じ、シンガポールを含む58カ国は棄権した。
ジュネーブに本部を置く人権理事会は、47の加盟国からなる。人権理事会自身には理事国の権利停止を行う権限はない。そのためには
ニューヨークの国連総会で3分の2の多数を獲得する必要がある。
193の加盟国からなる総会において、投票権を持つメンバーの3分の2の多数(棄権はカウントしない)を獲得するのは容易ではない。
タン・ジョーフィー国連常駐副代表の談話
タン・ジョーフィー国連常駐副代表の談話
4月7日、シンガポールの国連常駐副代表であるタン・ジョーフィーは、棄権の説明をするために議場に立ち、次のように述べた。
シンガポールは、ロシアによるウクライナへの侵攻と、ウクライナの都市、市民、民間インフラへの継続的な攻撃を最も強い言葉で非難します。ウクライナ侵攻事件に対するシンガポールの立場は、紛争当初から明確で一貫しています。我々はウクライナの主権、政治的独立、領土の完全性を全面的に支持することを改めて表明するものです。そのためシンガポールは、「ウクライナへの侵略に関する国連総会決議ES-11/1」を共同提案し、支持票を投じたのです。さらに「ウクライナに対する侵略の人道上の影響に関する決議 ES-11/2 on」にも賛成したのです。またシンガポールは、「ロシアの侵略に起因するウクライナの人権状況に関する人権理事会決議49/1」を共同提案しました。
シンガポールは、ブチャやその他のウクライナの町の最新のレポートや映像に深刻な懸念と苦痛を感じています。そこでは多くの民間人が犠牲となり、生活のための施設が破壊されています。我々は、人権と国際人道法のあらゆる侵害を強く非難します。我々はES-11/1、ES-11/2、HRC決議49/1の完全かつ緊急な実施を求めます。シンガポールは、ウクライナにおけるすべての人権侵害の疑いを調査するために、独立した国際調査委員会の設立に留意します。我が国は同委員会の作業終了とその結果を待ち望んでいます。調査委員会はウクライナの紛争で行われた、いかなる重大かつ組織的な人権侵害に対しても、説明責任を果たす必要があります。我々は、すべての当事者が委員会の作業に協力することをもとめます。そして、委員会が証拠の収集作業を行うために完全かつ自由なアクセスを認められることを強く求めます。ウクライナの民間人を保護し、必要とするすべての人々に安全で妨げられない人道的アクセスを確保する必要があります。我々はそのための努力を惜しんではなりません。我々は、ロシア連邦に対し引き続き要請します。攻撃的な軍事行動を直ちに停止し、ウクライナとの意味のある交渉を継続し、国連憲章および国際法に従って平和的解決を図ってください。
シンガポールはあらたな対ロ金融措置を決めた
シンガポールはあらたな金融措置を発表した。それは、ロシアの銀行、ロシアで活動する団体、およびロシア政府に利益をもたらす資金調達活動を対象としたものだ。
先週、米国訪問を終えたLee Hsien Loong首相は、次のように述べた。
シンガポールがロシアの侵攻に強い態度で臨んだのは、重要な原則を守ることを選択したからです。すなわち、我が国だけでなくすべての国の「主権と領土の保全」という長期的な国益に対応する原則です。私たちはこの原則を選択し、長期的な国益に対応した原則を守ります。それは一貫したものです。
* シンガポールはロシアに直接制裁を課している唯一のASEAN加盟国です。バラクリシュナン外相は、ロシアに対して「適切な制裁と制限」を課す計画であると述べました。シンガポールはまた、武器として使用される可能性のある材料に貿易制限を課すことを検討していました。
このことを考えると、今回棄権に回った決断の重みを感じます。
* このほか、ASEANではマレーシア、インドネシア、カンボジアが棄権した。ベトナムは反対票を投じました。
* マレーシアの国連代表団は、投票に棄権した理由について、次のように説明しています。
「人権理事会メンバーの資格停止のような重要な決定は、性急に行われるべきではありません。また、そのようなかたちで、調査の結果に予断を与えるべきではありません。
このような重要な問題は、決議60/251(人権理事会の設立に関する)の完全な精神と文言の下で、過去と同様の平等な扱いと正当な手続きを踏んだうえで、決定されなければなりません」
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