ホヤの脳が人間脳の元祖

6月5日の記事「脳の進化論におけるAIの殴り込み」で、これまでの脳神経概念が「ガラガラと崩れた感じ」と書いたのは、昆虫の脳と脊椎動物の脳がDNA的には同じものだという指摘、人間の脳の祖先はナメクジウオではなくてホヤだということ、これもDNA的に確認されているということだ。

昆虫・節足動物の話はとりあえずおいておく。まずはホヤの脳の話だ。

「ホヤ 脳」をグーグルで検索すると、すごい題名の記事が勢揃いしている。
「自分の脳」を食べることで成長する生物とは?
脳を捨てた動物たち 
ホヤのドラマチックな変態 – 体の形成と消失を同時に開始
などなど。
しかし見出しの割に中身は軽いものが多い。その内容も正直のところ的はずれだ。居酒屋でホヤ好きから聞かされる講釈そのままだ。嫌いではないがちょいエグい。

各記事からの寄せ集め

ホヤ: 尾索動物亜門ホヤ綱に属する海産動物の総称。
ホヤ幼生




卵は孵化から約3日ほどすると、幼生となり遊泳する。
ホヤの幼生の身体は
a. 脊索と背側神経索を含む尻尾
b. 鰓裂(Gill slits)
c. 脳(眼点、平衡器を含む)
の3部分に分かれる。外見上はオタマジャクシに似る。

幼生における「脳」

「脳」の発達度は低く、約100個のニューロンと約250個のグリア細胞から構成される。
ホヤ幼生期

ニューロンにはグルタミン酸作動性、GABA/グリシン作動性、コリン作動性のニューロンがある。

GABA作動性ニューロにより放出されたGABAは、標的ニューロンに作用してGnRHというペプチドホルモンを放出させる。これが幼生の成体化をもたらす。後2者は特定の刺激によりグリア細胞より分化しうる。

中枢神経系は、前方部から感覚胞、脳胞後部、頸部、運動神経節、神経索と大きく5つの部分に分かれる。
ホヤ幼生期2

無脊椎動物で唯一、脊椎動物の眼と同じタイプの眼の細胞をもつ。
耳石のような器官もあり、重力方向を認識する。さらに、鼻のもとになる組織もあると言われる。

成体における脳の退化

まもなく幼生は、岩場のような場所に固着し、その後の数年の寿命をそこで送る。

ホヤの中枢神経系

「植物化」した成体では、泳ぐための尻尾や筋肉も、判断するための脳も必要ない。このためそれらは自家消化される。

しかし、内柱や鰓裂をはじめ、心臓、生殖器官、消化器官などは残存する。

また残存したグリア細胞たる「上衣細胞」が一種の中枢神経系を再構築する。


正直のところ、いろいろな図を見せられても前脳・中脳・後脳のコンパートメントは釈然としない。これならナメクジウオのほうがはるかにしっくり来る。

結局、全部ゲノムだ。いろいろ割り切れないところはあるだろうが、ゲノムがそう言っているのだからなんとかそこは収めてくれと、なにかと押し付けがましい。斟酌や忖度は私のもっとも苦手とするところである。

私も、日本人の起源の議論では、Y染色体ハプロで何でも決め打ちしているから、あまりでかい口はたたけないのだが、やはり時間軸のスケールが違いすぎる。それに節足動物までふくめて家系図を作るのは、DNAのたすき掛けみたいで気が進まない。

もうひとつ、彼は王位継承の最上位にいたが、王位を継承はしていない。それだけではない。彼は王位継承を自発的に拒否して隠者として一生を終えたのである。なぜなら彼は植物として一生を送りたかったからである。

多くの学者は、この肝心の点を何故か無視する。そしてナメクジウオが脊椎動物の直接の始祖となった可能性を否定する。ナメクジウオがDNA的平民のゆえである。