はじめに

今日の我が国は社会的に大きく変化しており、教育においてもこの変化に対応して大きく変貌した。

これを受けて、中央教育審議会で学習指導要領の改訂が審議され、ゆとり教育の見直し、算数や国語などの主要5教科の授業時間を約1割増やす方向が打ち出されている。

算数教育要綱
  図1 小学校の算数教育要綱

1.学習指導要領における算数科の目標

小学校教育が目指す人間形成において、算数科が受け持つ観点として算数科の目標が定められた。

数量や図形についての算数的活動を通して、基礎的な知識と技能を身につけ、日常の事象
について見通しを持ち筋道を立てて考える能力を育てるとともに、活動の楽しさや数理的な処
理の良さに気づき、進んで生活に生かそうとする態度を育てる。

上記目標で分かるように「算数的活動」という考え方が基本になっている。その具体例として以下の8つの項目が並べられている。

① 作業的な算数的活動:手や身体などを使って、ものを作るなどの作業
② 体験的な算数的活動:教室の内外において、各自が実際に行ったり確かめたりする内容
③ 具体物を用いた算数的活動:身の回りにある具体物を用いた活動
④ 調査的な算数的活動:実態や数量などを調査する活動
⑤ 探求的な算数的活動:概念、性質や解決方法を見つけたり、作り出したりする活動
⑥ 発展的な算数的活動:学習したことを発展的に考える活動
⑦ 応用的な算数的活動:学習したことを様々な場面に応用する活動
⑧ 総合的な算数的活動:算数のいろいろな知識、あるいは算数や様々な学習で得た知識などを総合
的に用いる活動

と、ここまでが総論のようである。「活動の楽しさ」など聞いて呆れる。学校の先生の話はつかれる。


3.算数の各領域

① 数と計算

この領域は、整数、小数及び分数の意味やそれらの表し方について理解できるようにし、数について
の感覚を豊かにする。
また、整数、小数及び分数の加減乗除の意味について理解し、それらの計算の仕方を考え、適切に用いることができるようにする。
さらに、数の意味や計算の仕方などの学習を通して、数学的な考え方や数理的な処理の良さに気づかせることをねらいとしている。

② 量と測定

この領域は、様々な量の量の意味と測定についての理解を図ることをねらいとしている

③ 図形
図形の教育計画
    図2 図形の教育計画

この領域は、算数的活動を通して基本的な平面図形や立体図形について理解できるようにし、図形の性質を活用して、適切に処理したりできるようにすることをねらいとしている。

空間図形の見取り図、展開図、投影図、表面積、体積などが小学校での最も重要な指導内容である。3次元空間なら学んで努力すれば身につけることができる。

また、図形の学習を通して論理的な考えの進め方を知るとともに、その過程を通じて数学的(幾何学的)な考え方の育成を図ることも重要なねらいである。


④ 数量関係
関数の処理
図3 関数の処理に関する教育計画

この領域は、「数と計算」、「量と測定」、「図形」の三領域の内容を理解したり、活用したりする際に用いられる数学的な考え方や方法を身につけることをねらいとしている。

また、数量や図形について調べたり、表現したりする方法を身につけることも大切なねらいである。なかでも、「関数の考え」、「式で表すことと式を読むこと」及び「統計的な処理」などは中学数学でも重要な内容である。


論文そのものは、絵に書いたような無味乾燥のお役所風文書であるが、3つの図表がかなり小5の崖を的確に示している。