課税新時代3: グローバルな課税権力

1.いまいちど「合意課税」について

この号は「合意課税」そのものに焦点を当てている。だからこれまでの2号は、前書きに過ぎないとも言える。

しかしその割には合意課税(単一税)がいかなるものかについて、あまり説明されていない。何か唐突に各論に入っていってしまう。

一応、辞典の記載を紹介しておく(

Financial Dictionary)

①ある国がある法人に対して所得税をかけること。
②ここまでは普通の法人税だが、その際に、企業の全世界所得と該当法人の所得への各国の貢献度により、割当税額が定められる。
③その割当税率は多国間交渉にもとづいて国際的に定められる。
④これにより所得移転や租税回避による節税技法が阻止される。

2.合意課税実現のために必要なこと…情報確保

まずは企業活動に関する国別の情報を集約するという技術的困難。

もちろん企業はできているだろうが、国家は管理できていない。

これについては、2016年の「パナマ文書事件」のあと、相次いで立ち上げられたFATCA・CRSのシステムによってかなりオープンになった。

3.合意課税実現のために必要なこと…国際協調

もう一つの必要条件は国際的な徴税主体を形成することだ。これについては諸富さんが適切に表現されている。
国民国家を超える世界政府を生み出すのではありません。現行の国家徴税主権は維持されます。その上で多国籍企業の全体利益はケーキにナイフを入れるように切り分けられ、各国に配分されます。
このような21世紀型の新しい課税権力を、私は「ネットワーク型課税権力」と呼んでいます。

4.課税権力グローバル化の背景

これまでの話とかなりだぶるところがあるので省略。

5.日本では何が必要か

「消費税を上げなければ社会保障は確保できない」神話を打ち破らなければならない。

社会保障の原則は所得の再配分だが、消費税は所得の再配分ではなく逆進税である。

そうではない道があることを国民に知らせる運動が必要だ。

OECDのタイムスケジュールでは、今年半ばまでに合算課税と最低法人税率導入で最終合意に達することを目指している。

「夜明けは近い」のだ!