課税新時代2: 税逃れ

この号は内容多彩、ちょっととりとめがなくなっていて、見出しの付け方が難しい。

1.租税体系上、無形資産が重要に

これは新しい提起で、とても大事なところだと思う。

普通の資産は当然ながら形がある。地代(土地所有権)も、国家で保障される限り、現物としての価値を持つ。株や証券も時価相当の価値を持つ。

ところがいわゆる知財権、特許や著作権、商標権は、国家の枠を越えて価値を持つようになっている。

しかもこの資産は移動コストがゼロで、租税回避地への移転は容易である。

有形資産があればそれを無形化して海外子会社に集中させれば、法人税負担はほぼゼロとなる。


2.脱税分がそっくり富裕層に

税引後利益の増加は、配当の増額や株価の上昇を通じて株主の資産に反映される。

これまでの資本主義とは異なる株主資本主義が広がり、経済システムを歪めていく。

この歪曲が租税回避の動きを加速している。それは大企業の中でも、国内企業と多国籍企業との間に格差をもたらしている。

こうして一握りのグローバル企業と超富裕層による世界制覇が進行していく。


3.「租税位回避産業」

今や世界経済の一角に「租税回避産業」と呼ばれる産業分野が成長しつつある。

その中心を担うのがデロイト、アーンスト&ヤング、KPMG、プライス・ウォータハウス・クーパースという4大会計事務所である。

彼らは租税のがれの対策を立案し、提示し、支援している。

4つを合わせれば従業員は25万人に登るとされる。それだけの利益が上がっているということだ。


5.OECDの提案した「合算課税」方式

最近、OECDが新しい国際化税方式を提案し話題になっている。それが「合算課税方式」(Unitary Tax
)である。

OECDは無形資産を用いた多国籍企業の税逃れが深刻になったことを受け、国際税制の抜本改正を考えるようになってきた。

それは多国籍企業のグループ全体の利益をまず合算することである。要するに国際機関が多国籍企業めがけて投網をかける。

そして全体利益を切り分けて、各国に配分していくことにする。利益や隠れ利益の評価、無形資産、按分率などについてはこれからの話しだ。


OECDは正式名を経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development)という。もとはマーシャル・プラン受入国の連合で西欧諸国を中心としていた。現在は世界37カ国が加盟しているが、ヨーロッパの影響力が比較的強い。