「レディット」騒動のその後

日経に「レディット」騒動の続報が出た(2月14日号7面)。

前回の報道は腰が定まらず何が何だか分からない記事だったが、果たして姿勢が明確になったのだろうか。

正直のところ、ますます混迷を深めているとしか言いようがない。

ただこちらも多少勉強したおかげで、混乱の理由がわかってきた。

さきにそこを言っておこう。

問題点のおさらい

最初の問題はレディットに結集して行動した個人投資家が、「義賊」なのか「サイバーテロリスト」なのかという評価だ。

多くの金融関係筋や公的機関、メディアは後者の立場に立っている。個人投資家たちが相場を荒らし、多くの株主に損害を与えたと非難している。

一方で民主党左派には、これをヘッジファンドの横暴に対する零細投資家の集団的抵抗とする味方もある。

義賊とは言え賊であることには違いないのだから、決して正義の味方と誉め讃えているわけではない。

ただ「彼らの思いは汲むべきではないか」という議論がある。彼らの抗議の対象である「巨悪」を蔑ろにして問題は解決しないだろうということについても大方の一致派あるのだろうと思う。

さらに、個人投資家のオプション取引への参入は必然的な歴史の流れとして受け止めるべきではないかという評価もある。

以前にビットコインが出てきたときもそうだった。最初はバクチ並みに扱われ敵視された。長期的には、むしろオプション取引の透明化を考えるべきなのかも知れない。


日経新聞のためらい

ただレディットを批判する人々はそのことについては口が重い。

日経の記者はその間で、“前向きに” 動揺しているのかも知れない。

第2の問題は、最初は個人投資家グループの「買い」を黙認したロビンフッドが突然、取引を停止したことだ。これはトレーダーからの要請を受けたものらしい。


規制当局の動き

これだけの前説きをしておいても、なお記事は複雑で錯綜している。

今回の事件を受けて、マサチューセッツ州当局は、個人投資家が危険な取引に乗り出さないように動き始めた。ロビンフッド社の関連部門を提訴した。

先程も述べたように「義賊」といえども「賊」なのだから当然である。

今回の記事ですこし分かったのだが、この騒動の舞台は普通の株式市場ではなく、オプション取引を行うデリバティブ市場だ。

以前勉強したロンドン・ホエール事件と同じで、入れ物が小さいから値動きが激しく、いわば鉄火場市場だ。
(2012年05月25日 
こんなところに素人が手出しするのはご法度だが、最近はテラ銭がただなので、みんなゲーム感覚で入ってくる。「投機の民主化」現象が起きていると言われる。

このような目先の対応問題だけでなく、背景までふくめて深堀りしようという動きも見られる。

それが米議会下院の金融サービス委員会で、明日からこの問題で公聴会を開催する。

この公聴会には今回糾弾の対象となったロビンフッド社、マーケット・メーカー(シタデル・セキュリティーズ)、空売りしていたファンド会社(メルビン・キャピタル・マネージメント)、SNSを運営しているレディット運営会社の各CEOが証言することになっている。


メルビンとシタデル社

また新しい横文字が出てきた。

マーケット・メーカー: これはマーケットで直接取引を行う会社だ。ロビンフッドはスマホ証券会社で、資金調達を行う。
マーケット・メーカー(シタデル社)はその資金を運用する。運用益の一部がロビンフッドに支払われる。これでロビンフッドは御飯を食べていくことになる。

メルビン・キャピタル・マネージメント: これが空売りを仕掛けたヘッジファンドだ。

こいつがある会社にカラ売り攻撃を仕掛けた。株価が下がれば会社の資産価値は低下し、資金ショートになり破産する。

こんなやり方に義憤を感じた一個人投資家がレディットで行動を呼びかけた

壮絶なシテ戦の末、メルビンは相当の痛手を被ったらしい。ここから先はよくわからないが、メルビンがシタデル社に泣きを入れて、シタデルがロビンフッドに取引停止を迫ったらしい。

早い話、ぐるになって顧客を裏切ったわけだ。

民主党左派のエリザベス・ウォレン上院議員はロビンフッドにこう言って迫った。

「米国民はロビンフッドと大手金融会社(メルビンとシタデル社)の関係について明快な説明を必要としている」

日経新聞はこう解説している。
個人の買い注文を止めたのがマーケットメーカーの要請だったとすれば容認できない」というのがウォレン議員の態度だ。

日経新聞の結語は納得できる。

変わりゆく時代にあった規制を実現し、秩序ある市場をどう守るかが問われている。