日経新聞の「展望 2021年」というお正月特集で「中銀発のデジタル通貨」が取り上げられていた。
本来なら去年がデジタル通貨元年となっていたはずだが、コロナで延期となった感がある。
いまのところは「デジタル人民元」が先行しているが、今年中にはECBが試験運用を開始するはずだ。
しかしその目論見はかなり違ってきていて、もはやビットコインとの共通性はなく、まったく別の通貨だと考えたほうが良さそうだ。

中銀の考えるデジタル通貨は、手っ取り早くいえば中銀が胴元になった電子マネーだ。クレジットカードのように使えるが、支払いは即時に完了している。信用の積み重ねがなく、すべてがキャッシュフローとしてあつかわれることになる。

ただしこれは決済機能のみであり、これを使った信用取引の世界はこれから開拓されていくこととなる。

私たちとしては、これがドル支配体制に風穴を開けるようになるかということだが、それはむしろ逆向きになる可能性が高い。現在はクレジット会社や金融機関で行われている大小の決済取引が、これからは中銀の統制のもとに行われるようになる可能性がある。さらに各国中銀が国際的な金融ネットワークに紐付けられれば、それは唯一の金融大国である米国と米ドルの支配力を強固にするほかないからだ。

一面、各国中銀の支配力は、その範囲ではさらに強まり、国内信用取引のほぼ全てを我が手に掌握することになる。そして国民のプライバシーは徹底的に侵害され、AIの前に丸裸となる。

これを日経では「金融包摂」と読んでいる。

それを民間でやろうというのがフェースブックだったり、モルガン・チェースだったりする。発想は同じで、巨大マネーを担保とする疑似マネーの創造である。

これらとは別に、ピア・トゥ・ピアのウェブ型信用の積み上げで通貨構築を目指すビットコインの行方はどうなるのだろうか。