1週間前の赤旗。寺井奈緒美という歌人の連載がある。「くねくね TANKA ロード」という、ちょっと冴えない題名で、山頭火をあつかっている。山頭火はクロウト筋の評価は高いようだが、正直あまり好きな歌人ではない。

文章の最後に、何気なしに正月を歌った自詠が置かれている。
正月の集まり 嫌で抜け出した君と
会う気がする ブックオフ
字余りなのか字足らずなのか、そこは山頭火風に崩れている

おトソが回って、ほろ酔いと言うにはいささか酩酊…
言葉の節目がおぼろげで、
雰囲気だけが足より前に、ゆらーり、ゆらーり

だから、「君」は彼なのか、彼女なのかもあいまいだ。

この歌には句点がないから、
私は「君と」のあとで区切った。
だから君は彼だ。
私はブックオフで彼を待っている彼女だ。
正確に言うとブックオフに一人いて、
ふと、彼がふらりと入ってきそうな気がしている彼女だ。

この歌をすなおに五七五七七で読めば、「抜け出した」で切れる。
屈託を抱いたまま、酔い醒ましにフラフラと歩いていて、
ふと街角のブックオフに入った。
立ち読みしているうち、突然君が現れたような気がした…
ということになる。

しかしそれでは身もフタもない。
やはり主語がフラフラと定まらぬところに余韻が残る
その場合、駅前の紀伊国屋も大学前の古書店もだめなので、
まさに中途半端、まさに「ザ・ブックオフ」なのだ。

ところで、詠みびとが女性だから何となくそう書いたけど
ブックオフで、一人立ち読みしているのは
ひょっとして彼かも知れない。
そのほうがお互いに
すこし正月らしく、秘めやかにハメを外した気分だ。

とにかくなんとなしに、
うなぎのようにヌラヌラとした歌だが
それも、お正月の気分かもしれない

なにか、これを毛筆風のポスターにして
ブックオフのカウンターの脇に張り出してみたいな。