水素を用いた自然エネルギー利用の第三段。
これも日経新聞の12月28日付け一面トップだ。
まずは三段からなる見出し
三菱重が水素製鉄設備
CO2 排出ゼロに
欧州で来年稼働へ

1.製鉄とCO2

鉄鋼業界のCO2排出量は年間20億トン。これは20年前の2倍に達している。
製鉄由来CO2排出量の、全産業に占める割合は25%。これも20年前に比べ5%増えている。
すなわち製鉄工程のCO2排出は最大最悪となっており、その改善がCO2 削減の鍵を握っている。

2.製鉄工程がCO2を生み出すメカニズム

鉄鉱石は酸化鉄の形で採掘されている。これを鉄として用いるためにには還元(精錬)が不可欠だ。現在の精錬法は、石炭(コークス)を燃焼させて、炭素を鉄鉱石内の酸化鉄と結合させ、二酸化炭素として取り出すもの。ある意味では、炭酸ガス産出は精錬過程の本質的な一部だ。 

3.炭素の代わりに水素で還元する

炭素の代わりに水素を酸化鉄にくっつけると、炭酸ガスの代わりに水(H2O)が産生され、排出される。残りは還元されたFeとなる。

もちろんそれにはエネルギーが必要だが、エネルギーの供給役は水素が果たす。それは石炭がエネルギーを供給すると同時に、酸素の受け手としての炭素の供給者になるのと同様である。

4.水素製鉄の実用可能性

このプラントはDRIとよばれ、“鉄鉱石を水素で直接還元する” 手法なのだそうだ。高炉に比べ生産量は少ないものの、投資額は半分以下となるらしい。ただし記事からは詳細は不明。

ページ下に解説

5.ネックは安価な水素の供給

水素の現在の価格は1立米で100円。これを10円以下に押さえないと採算には乗らならしい。

それにしても炭酸ガスといい水素といい、いざ使おうとなるとそうかんたんなものではないようだ。「雲をつかむような話」にならなければ幸いだが…


水素DRI法の解説 (神戸製鋼所のページより

以下の解説は神戸製鋼所のHPからのもの。日経新聞に紹介された三菱重工方式とはやや異なる可能性があるが、原理的には同じものと思われる。



Midrex社の水素を活用した直接還元製鉄法。当社グループ100%子会社であるMidrex Technologies, Incの保有する技術。

直接還元法(DRI: Direct Reduced Iron)

これまでミトレックス社では天然ガスを還元剤とする直接還元鉄プラントを開発してきた。

これは天然ガスを還元剤として、粉状の鉱石を加工したペレットをシャフト炉によって還元し、還元鉄を製造する方法である。

今回は天然ガスではなく水素を還元剤とする直接還元鉄プラントを実証実験した。

水素は天然ガスプラントの炉頂ガスに含まれる水素を回収し利用した。


天然ガスベース

水素還元

Fe2O3+3CO→2Fe+3CO2

Fe2O3+3H2→2Fe+3H2O

Fe2O3+3H2→2Fe+3H2O