燃料アンモニア 

はじめに
私はこれまで水素こそが次世代エネルギーの核心と考えてきた。
もちろん水素そのものはエネルギーの担体であり、人類が依拠すべきエネルギー源ではない。
基本的なエネルギー源は、いまもこれからも太陽光と風力だ。
水素はそれを輸送・保存可能なエネルギーとする一種の蓄電体だ。これは「エネルギーキャリア」と呼ばれるらしい。

それを前提に考えるなら、水素はLPGのように取り扱うことも可能ではないか。

そこで三井物産が10年前に提示した夢が広がった。パタゴニアで風力発電プラントを立ち上げ、そこで発電した電力を水解法で水素に変える。これをタンカーで日本まで運ぼうというのだ。
しかしこれには強力が障壁があることがわかった。水素の重量・容量あたりのエネルギー発生量がかなり低いことである。したがって輸送コストが倍になる。
これは引き続きエネルギー源を海外に広く頼ろうとする日本にとってはかなりの障害になる。

はたと考え込んだときに、「燃料アンモニア」の記事が飛び込んできた。これは水素に代わりうるのだろうか?

アンモニアを燃やして発電」という記事から勉強を始めたい。

著者は小林 秀昭(東北大学 流体科学研究所 教授)という方です。


1.ガスタービンで世界初を実現

2014年、小林らはアンモニア燃料のガスタービン発電を実現した。
さらに2018年にはメタンに20%のアンモニアを混ぜた燃料で2MWの大型ガスタービン発電に成功している。
ということで、「アンモニアも混ぜたメタンガス」というのが真相のようだ。
しかもそれが世界初というから、操業化までは道遠しの印象だ。
まぁここまで来たのだから一応は目を通しておこう。

2.アンモニアの燃焼性は低い

アンモニアはメタンなどの炭化水素系燃料と比較して、炎を良い状態で安定させる“保炎範囲”がとても狭い。燃焼速度も非常に遅く、メタンのわずか5分の1に過ぎない。

小林らはアンモニアを石炭火発で混焼させることで石炭の使用料を減らし、炭酸ガスの産生を減らすことができるという。

ああ、ほとんど絶望的だ。さらにアンモニアの燃焼によって生じる窒素酸化物も厄介だ。

3.CO2 より NOx のほうが良いとはいえない

原理的にはNH3のHがO2と結合してNとH2Oになるのだろうが、NOx(窒素酸化物)の産生の可能性はないのだろうか。やはり気になってしまう。

CO2 より NOx のほうが良いとはいえないと思う。

結局は蓄電池問題なのだ

これまではどれが良いか問題のはなしである。それはこれからも続いていく話題になる。
しかし、なぜこんな話に門外漢の私がこだわるかということが実は一番の問題なのだ。
同日の日経の7面に
「50年排出ゼロ目標 電気料金値上げ抑制のためには9兆円投資が必要に」
という記事がある。

これによると蓄電池とCCS(二酸化炭素の回収・貯留)で9兆円の投資が必要とある。内訳は蓄電池配置に4兆円、水素発電所とCCSの建設に5兆円とされる。

ただ記事をよく読んでいくと、これは石炭火発をゼロにしたときの試算のみで、原発・火発はいまのままということだ。

原発と石炭火発をやめて自然エネルギーでそれを賄うとすれば、原発44基分44ギガワットの蓄電池が必要になる。その際は蓄電池本体で7兆、送電網増設に10兆円が必要になる。

アンモニアやメタンの話は、この発送電システムを全面オンラインにするが、一部オフラインにしてコスト節減は測れないかという話である。それと国内だけでなく海外の電力資源も使い回すとすれば、「動く蓄電体」の検討は不可欠の話題だ。