フィナンシャル・タイムズの意見
The editorial board DECEMBER 7 2020
ベネズエラの人々は十分に苦しんでいる
国民の苦痛を終わらせることはバイデンの優先事項だ

ベネズエラ国会議員選挙について

ベネズエラの国会選挙の結果は疑う余地がない。

マドゥロ大統領とその与党は、これまでのところ、「民主反対派」が選挙をボイコットしたのを受けて、着実に議席を伸ばしている。

国会はこれまで与党の管制下にないただ一つの国家機構だった。


ベネズエラの経済的苦痛

ベネズエラの経済は過去5年間で4分の3に縮小した。
インフレ率は6,500%を超え、通貨「ボリバル」は無価値となっている。

かつてパリからの超音速機コンコルドの定期便が飛んだほど、石油が豊富なこの国は豊かだった。

いまベネズエラは食糧、燃料、電気、水道などすべての資源が慢性的な不足に陥っている。

危機が始まってから500万人以上が国外逃亡し、難民危機を引き起こした。


ベネズエラの政治状況(注:編集部の見解とは異なる)

政権の反対者が何千人も殺されたり投獄されたりした。

マドゥロ氏は、民主的な選挙を行えば敗北するかも知れないと感じ、競争の場を変えた。

最大の野党は裁判所命令により新政府派に乗っ取られ。選挙評議会は政府の任命者のみとなった。

電波は、与党統一社会主義党によって支配されるようになった。投票は、新しい自家製のタッチスクリーン投票機で行われ、記録されている。

EUと米国が監視団の派遣を拒否したため、ロシアが選挙を監視している。


どんな選挙が行われたのか

「偽の野党」は、競争を見せかけるることを目的としていた。

投票率は政府の食料配給によって支援された。政権ナンバー2のカベージョが「投票しない人は食べようと思うな」と脅した。

チャベス派が多数を占めるであろう国会は、目先の勝利にも関わらず、米国とその同盟国との間ににジレンマを生み出すだろう。


グアイドの役割は終わった(ここから読めば良い)

過去2年間、米国とその同盟者は野党党首グアイドをベネズエラの暫定大統領として認めてきた。

その主張は、マドゥロ氏を政権にとどめた2018年の選挙が不正であったという認識に基づいている。

もしそうであれはマドゥロは退陣し、国会議長が暫定大統領となるという根拠に基づいていた。

そしてグアイドは野党が多数を占める国会の議長だったのである。

グアイドの勇気と努力にもかかわらず、彼の「影の政府」はマドゥロ氏を追い払うことに成功していない。

それは、米国の傭兵による今年のクーデター計画の失敗と、昨年の軍の反乱の失敗という、「不幸な事件」によって傷つけられました。 

トランプ政権は、グアイド氏の指導力と「最大圧力」の制裁がマドゥロ政権を転覆させるという筋書きに賭けた。
そのギャンビットは失敗した。


バイデンのなすべきこと

次期大統領ジョー・バイデンは、ベネズエラの人々が切望する政治的自由と経済回復に向けてベネズエラを導く手助けをするチャンスを得た。

トランプ政権の当局者は、マドゥロがさらに別の選挙に当選するようなことがあってはならないと言う。それは正しい。

しかし、この国の危機はすでに長期にわたっている。この危機が交渉なしに解決できるととは思えない。

話し合いが行われるとすれば、そこには、マドゥロと民主反対派だけでなく、おそらくより広範な人が集まらなければならない。

バイデンは外交努力の一環として、ベネズエラの主要な支持者であるキューバ、中国、ロシア、イランも交渉相手に含めなければならない。

ベネズエラの変化へと向かう窓はいまは閉じている。

毎年、政権はより抑圧的になり、より多くの難民が去り、その石油資産は立腐れになるリスクがある。

バイデンの就任に際しては多くの困難な課題がある。

しかしその中でも、ベネズエラは南北アメリカで最大の政治的・人道的危機となっている。

ベネズエラに対する平和的な解決策は最優先事項に値する。


この記事は表から入っても見ることはできません。
バイデンは外交努力の一環として、ベネズエラの主要な支持者であるキューバ、中国、ロシア、イランも交渉相手に含めなければならない。
という提案は、あっといわせるものがあります。
このフィナンシャルタイムズの社説は非常に注目されています。本文の数倍くらいのコメントが投稿されています。多分そういう人が拡散しているのではないかと思います。
日本でもこういう方向で議論が進むといいですね。「赤旗」さん!