反体制派の芸術家を米国の手先と非難
ハバナにて
マーク・フランク
フィナンシャルタイムス
DECEMBER 6 2020
 

抗議運動と対話 一連の経過

独立系の芸術家が表現の自由について当局との対話をもとめた。
11月27日、文化省の外で約300人の若い芸術家、作家、支持者が集まり、対話をもとめた。

このグループは以前から「サン・イシドロ運動」への当局の取締りに抗議し、さまざまなパフォーマンスを行ってきた。その中には当局に対する挑発的な行為も含まれていた。

当局者とグループ代表者との間で4時間の話し合いが行われた。

交渉では ①投獄されたラップ歌手の緊急捜査、②芸術政策でのさまざまな不満・要望を1周以内に開始する、③集会に参加したアーティストが警察から嫌がらせを受けないことを保証する、ことが合意された。

当局は今後の交渉を約束し、集会の解散をもとめた。

政府の対応の変化

数時間後、カネル大統領はツイッターで述べた。
私たちは対話を支持しますが、それを脅迫や取引の手段にすることは認めません。私たちは、米国の援助を受け、キューバに損害を与えようとする人々を認めません。
これが一連の交渉の最終結論となった。

政府声明は米大使ティモシー・ブラウンを「キューバの内政への重大な干渉」を叱責したと非難した。「芸術グループ」の米国との関係が疑われたことによる。

国営テレビはラッパーや他の反体制派アーティストを攻撃する90分間の特別番組を放送した。そして米国の外交官やマイアミの亡命者と一緒に彼らの映像を放送し、両者が一体であるとの印象を植え付けようとした。

国営メディアは、グループの中に米国からの「帰国者」が紛れ込み、陰謀活動の部隊に仕立てようとしていると報じた。


政府の態度変更の背景

最近、米国の制裁強化で深刻な経済危機になったため、これらの運動は活発化した。

キューバ政府は、当初は対話の方向を探っていたが、途中から方針転換し、「米国と連携した政治的扇動者が、若い芸術家のアクセスをとり、対話を改善するための議論をハイジャックした」と述べた。

そして当局はこれらの政治的扇動者が現在勾留されていることも明らかにした。

当局はこう述べた。
私たちは、直接接触し、米国政府とその当局者から資金提供、後方支援、宣伝支援を受けている人々とは会うことはない。すでに文化省はアーティスト・グループから運動メンバーと独立したメディアを分離した。
いまキューバは米国の厳しい制裁措置にさらされている。そんな時代における表現の自由に関する議論は難しい。

これまでも政府の抑圧的な態度に抗議した知識人や芸術家がいたが、結局より広範な政治運動を形成することを断念してきた。

それがソーシャルメディアの普及により、抗議が勢いを増す可能性が出てきた。政府は今や祖国を守りつつ、より幅広い欲求不満の表現に対処しなければならなくなっている。


この「芸術家グループ」のトラブルを、キューバの独裁制を象徴するものとして報道したのは、ロイターのサラ・マーシュ記者。これを報道したのが日本では唯一「赤旗」紙。
これについて少し幅広く書いたのがこの記事。決してキューバ政府寄りではないが、キューバの置かれた厳しい死活的状況にもきちっと目配りしている。
これはフィナンシャル・タイムズの記事だが、マーク・フランク記者はロイターの寄稿者でもあるので、ロイターの後輩記者に釘を差したということなのではないか。