ラテンアメリカではこのところ、左翼の復調を思わせる新たな動きが相次いでいます。

1.ボリビアでのMASの勝利

ボリビアでは10月18日の選挙で「社会主義運動」(MAS)が大勝利を収めました。そして11月8日にはエボ・モラレスを支えてきたルイス・アルセが新大統領に就任しました。

この国では、1年前に軍とアメリカの支持を受けた右翼グループがクーデターを起こし、モラレスを追放しました。

彼らはMAS幹部の公職追放と系統的な反MAS宣伝とにより影響力をそごうと試みましたが、国民のMAS支持基盤が非常の強力であったため、権力の維持を断念せざるを得なくなりました。

2.チリ、新憲法制定に圧倒的な支持

チリでは10月25日の国民投票で、ピノチェト時代の憲法の破棄と新憲法の制定が圧倒的に支持されました。

これは軍事独裁時の残滓を最終的に放棄するというだけではなく、選挙の方法をふくめピノチェト時代の復活を二度と許さないという決意の現れです。

国民投票では、市民主導の制憲議会が新憲法を起草することも決まりました。これまでの議会のように軍人に何議席とか上院と下院とか面倒なことはなくきわめて風通しの良いものになります。おそらくこの民主的制憲議会が成立すれば、非民主的な国会は活動を制限されていくでしょう。


3.エクアドル、前大統領派が2月の選挙で圧勝の勢い

コレア前大統領は、2007年に大統領に就任して以来10年間、寡占層と対決しながら国民の権利を守り抜いてきました。

3年前の選挙では副大統領のモレーノに後継を託したのですが、モレーノは国民に背を向け、アメリカ追随とIMF主導の方向に進みました。

これに怒った国民は大規模な反対闘争に立ち上がりました。世論調査でモレーノの支持率は8%前落ち込み、来年2月の選挙を前にすでにレームダック化しています。

裁判所や選管はコレアに様々な罪を押し付け、立候補を禁止し、政治活動を許さず、国外追放しています。

これに対し、コレア派は身代わり候補を立て、中道政党に間借りするなどの対応で登録に成功しました。

4.ブラジル、ルーラ元大統領の出馬を求めるキャンペーン

ブラジルについては山崎先生から貴重な論考を頂いています。AALAニューズの次号から4回連続にわたってご覧いただけることになりました。

ブラジルのトランプ、ボルソナロ大統領の人気はすでに地に落ちています。これに代わり国民の支持を集められる候補として、ルーラ元大統領の人気が高まっています。

ルーラはブラジル史上初めて、左翼勢力の代表として選挙に勝利しました。ルーラの政策は新自由主義に忠実に従ったものでしたが、左翼的な傾向を示し、中南米の団結のためにイニシアチブを発揮しました。

いま、ルーラは汚職の罪を着せられ獄中にあります。国内外に釈放と公民権回復を求める運動が起きています。


5.これらの変化はなにを意味するか

21世紀の最初の10年間、中南米の人々はかつてなく自由で民主的な空気を満喫しました。

それが4年前、トランプの大統領就任とともにアメリカの集中攻撃にさらされるようになりました。

多くの権利が奪われ、ネオリベラリズムの野蛮な掟が復活しました。

そしていまラテンアメリカの人々は、アメリカの手口を見抜き、相次いで反撃の狼煙を上げています。

(日本AALA国際部会での発言原稿)